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がん・腫瘍疾患 28分で読める 47回

【軟部肉腫】「しこり」はがんのサイン?原因・症状・検査・治療と日常生活のポイント

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皮膚の下や筋肉の中に、今までなかった「しこり」や腫れを見つけると、「これってがんなのでは…」「放っておいて大丈夫?」と不安になりますよね。 軟部肉腫(なんぶにくしゅ)は、筋肉や脂肪、血管、神経などの「やわらかい組織(軟部組織)」にできる悪性腫瘍で、日本では人口10万人あたり3人前後とされる希少ながんです。1

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希少がんであるがゆえに、情報が少なく、「どの病院に行けばよいのか」「良性のしこりとの違いは?」「手術や抗がん剤のあと、仕事や家事はどうなるのか」など、周りに相談しづらい悩みを一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

本記事では、日本の公的機関や専門学会の情報をもとに、軟部肉腫の基礎知識から症状・検査・治療の流れ、日常生活で気をつけたいこと、受診の目安までを、できるだけ専門用語をかみ砕いて丁寧に解説します。 「自分や家族の状態をどう受け止め、どのタイミングでどこに相談すればよいか」をイメージできるようになることを目標としています。

なお、ここでお伝えする内容はあくまで一般的な情報です。実際の診断や治療方針は、症状や検査結果、全身状態などを総合的にみたうえで、担当医と相談しながら決めていく必要があります。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。 厚生労働省や国立がん研究センター、日本の専門学会、世界保健機関(WHO)などの信頼できる公的情報源や査読付き論文をもとに、日常生活で活用しやすい形で情報を整理・解説することを目指しています。

本記事の内容は、国立がん研究センターの「がん情報サービス」や希少がんセンターの軟部肉腫解説ページ、1日本整形外科学会の「軟部腫瘍診療ガイドライン2020」、2 欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の臨床ガイドラインに基づいた患者向け資料、3 さらに日本の全国がん登録データを用いた軟部肉腫の疫学研究4など、信頼性の高い一次情報源に基づいてJHO編集部がAIツールのサポートを受けながら整理したものです。

  • 日本の公的機関・研究機関:厚生労働省、国立がん研究センター(がん情報サービス・希少がんセンター)、自治体のがん相談窓口などの資料を優先的に参照しています。
  • 国内外の学会ガイドライン・査読付き論文:日本整形外科学会、国際的な臨床ガイドライン(NCCN、ESMOなど)を用い、診断・治療の標準的な考え方を確認しています。25
  • 医療機関・教育機関・NPOによる一次資料:希少がんセンターによる患者向け解説や、骨・軟部腫瘍を専門とする施設の情報も参考にしています。16

AIツールは文献の要約や構成案作成などの「アシスタント」として活用しており、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。

運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

要点まとめ

  • 軟部肉腫は、筋肉・脂肪・血管・神経などの「やわらかい組織」にできる希少ながんで、日本では年間およそ5,500〜6,000人が診断されています。4
  • 代表的な症状は、皮下や筋肉の中にできる「痛みの少ないしこりや腫れ」で、太ももや腕、体幹、腹部など、体のさまざまな部位に発生します。17
  • しこりが徐々に大きくなる、5cm以上ある、深い場所にある、固くて動きにくい、夜間痛む、といった特徴がある場合は、早めに専門医のいる医療機関での精密検査が推奨されます。25
  • 診断には、画像検査(MRI・CT・超音波など)と、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる「生検」が不可欠であり、骨・軟部腫瘍の専門チームがいる施設での評価が重要です。25
  • 標準的な治療は、「腫瘍を周囲の正常組織とともに広く切除する手術」が中心で、腫瘍の種類や広がりによって放射線療法・薬物療法(化学療法・分子標的薬など)が組み合わせられます。25
  • 治療後は数年間にわたり定期的な画像検査・診察によるフォローアップが必要で、再発や転移の早期発見とともに、生活や仕事、心のケアを含めた長期的なサポートが大切です。16

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第1部:軟部肉腫の基本と日常生活で気づきやすいサイン

まずは、軟部肉腫がどのようながんなのか、そして日常生活の中でどのような「気づきのサイン」があるのかを整理します。 「自分のしこりがすべてがん」というわけではありませんが、見逃してはいけない特徴を知っておくことは、早期発見につながります。

1.1. 軟部肉腫とは?体のどこにできるがんなのか

軟部肉腫は、筋肉・脂肪・血管・リンパ管・神経・腱・関節の周りの膜(滑膜)など、骨や内臓ではない「やわらかい組織(軟部組織)」から発生する悪性腫瘍の総称です。17

内臓のがん(胃がん・肺がんなど)は「臓器の表面の細胞(上皮)」から発生することが多いのに対し、軟部肉腫は筋肉や脂肪そのものなどの「支持組織」から発生します。 大腿(太もも)や上腕などの四肢、体幹、後腹膜(お腹の奥深く)、頭頸部など、体のどこにでも生じる可能性があります。

軟部肉腫には非常に多くの種類があり、日本整形外科学会のガイドラインでは30種類以上が挙げられています。2代表的なものとして、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)などがあり、種類によって好発部位や治療方針、予後が異なります。

1.2. 日本における頻度と年齢分布

軟部肉腫は、がん全体の中では数が少ない「希少がん」に分類されます。国立がん研究センターの解説でも、「人口10万人あたり6例未満のがん」を希少がんとしており、軟部肉腫はその代表的な一つとされています。7

近年、日本の全国がん登録データを用いた大規模な解析では、2016〜2019年の4年間に23,522人の軟部肉腫患者が登録されており、年間およそ5,500〜6,000人が新たに診断されていること、年齢調整罹患率は10万人あたり約3.22人であることが報告されています。4

年齢分布としては50〜60歳代に多いとされますが、小児から高齢者まであらゆる年齢層で発生し得ます。小児軟部肉腫では別の分類や治療方針が適用されることも多く、「軟部肉腫〈小児〉」として国立がん研究センターが情報をまとめています。7

1.3. 日常生活で気づきやすい症状・しこりの特徴

軟部肉腫の多くは、皮膚の下や筋肉の中にできる「こぶのようなしこり」として気づかれます。国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、典型的には痛みのないしこりや腫れで、体の深い場所にできた場合はかなり大きくなるまで自覚されないことも珍しくありません。17

一般的に注意したい「要注意なしこり」の特徴として、次のようなポイントが挙げられます(あくまで目安であり、これらに当てはまるからといって必ずしも軟部肉腫というわけではありません)。

  • 直径が5cm以上(ゴルフボール〜テニスボール大)になっている。
  • 触ると固く、あまり動かない(皮膚のすぐ下の脂肪腫はやわらかく動くことが多い)。
  • 数週間〜数か月のあいだに、はっきりと大きくなってきている。
  • 筋肉の深いところにあるように感じる、または腫れで手足の太さが左右で違ってきた。
  • 夜間や安静時にも痛みがある、しびれや感覚の低下を伴う。
  • 皮膚の色が赤や紫に変化したり、潰瘍(皮膚のただれ)ができてくる。17

反対に、長年大きさが変わらず、やわらかくて指でつまむと動くようなしこりは、脂肪腫などの良性腫瘍であることも多いですが、自己判断は危険です。 「昔からあるから大丈夫」「脂肪だろう」と決めつけず、特に大きさや硬さ、痛みが変化してきた場合には、一度医療機関で相談することが大切です。

表1:セルフチェックリスト — しこりに気づいたときのポイント
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる背景・注意点
太ももや腕に、いつの間にか丸いしこりができており、数か月で少しずつ大きくなっている 軟部腫瘍全般の可能性。5cm以上、深部、固い場合は軟部肉腫も含め専門医に相談を。2
しこり自体はあまり痛くないが、最近しびれや感覚の低下が出てきた 腫瘍が神経を圧迫している可能性。早めの画像検査が望ましい。1
手足の太さが左右で明らかに違う、関節が曲げにくい 筋肉の奥に大きなしこりがある可能性。早期受診の目安となるサイン。7
皮膚の一部が赤紫色に変わり、徐々に盛り上がってきている 血管肉腫など一部の肉腫でみられる所見。高齢者や慢性のむくみがある場合は特に要注意。7

第2部:身体の内部要因 — 軟部肉腫の原因・危険因子と「なりやすい人」

多くの人が気になるのが、「なぜ自分に軟部肉腫ができたのか」という疑問です。 残念ながら、ほとんどの症例では明確な原因を特定することはできませんが、これまでの研究から「リスクが高くなる状況」や「背景となり得る要因」がいくつか分かってきています。35

2.1. 現時点でわかっている主な危険因子

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のガイドラインに基づく患者向け資料や、国際的な研究では、軟部肉腫のリスク増加に関わる要因として次のようなものが挙げられています。358

  • 遺伝性疾患・遺伝子症候群
    家族性網膜芽細胞腫、Li-Fraumeni症候群、神経線維腫症1型、Gardner症候群など、一部の遺伝性疾患では肉腫の発症リスクが高まることが知られています。
  • 放射線治療の既往
    乳がんやリンパ腫など、他のがんに対する放射線治療を受けた部位に、数年〜十数年後に肉腫が発生することがあります(放射線誘発肉腫)。ただし発生頻度は非常に低く、多くの人にとって放射線治療の利益の方がはるかに大きいとされています。
  • 特定の化学物質への暴露
    塩化ビニル、ヒ素、フェノキシ系除草剤、ダイオキシンなど、一部の化学物質と特定の肉腫(とくに血管肉腫)との関連が報告されています。主に長期にわたる職業上の暴露が問題となります。
  • 慢性的なリンパ浮腫
    乳がん術後の腕のむくみなど、長期間にわたるリンパ浮腫の部位に血管肉腫が生じることがあり、Stewart-Treves症候群として知られています。

ただし、これらの危険因子があったとしても、多くの人は一生のうちに軟部肉腫を発症しません。 一方で、これらの危険因子がまったくない人にも軟部肉腫は起こり得ます。 「原因は自分のせい」と自分を責める必要はなく、誰にでも起こり得る「たまたまの病気」としてとらえることが、心の負担を軽くする一歩になります。

2.2. 小児・若年者に多いタイプと、その特徴

小児や若年者に多い軟部肉腫として、横紋筋肉腫や間葉系腫瘍の一部などがあります。 国立がん研究センターの小児軟部肉腫のページでは、成人の軟部肉腫とは区別して説明されており、発生部位や治療方針、予後も異なる点が多いとされています。7

小児の場合、子ども自身が痛みや違和感をうまく表現できないことも多く、周囲の大人が「転んだわけでもないのに足を引きずる」「片方の腕や足が不自然に太くなっている」「触ると固いこぶがある」といった変化に気づくことが重要です。 気になる所見がある場合は、早めに小児腫瘍を扱う医療機関や小児がん拠点病院に相談しましょう。7

2.3. 「生活習慣が悪かったから?」という不安について

がんというと、「タバコ・食事・運動不足」など生活習慣の影響を思い浮かべる方も多いですが、軟部肉腫については、一般的な生活習慣と発症リスクの明確な関連は、他のがんほど強く示されていません。3

もちろん、治療に耐える体力を保つためにも、バランスのよい食事・適度な運動・十分な睡眠は大切ですが、「自分の生活が悪かったから軟部肉腫になった」と自分を責める必要はありません。 生活習慣の改善は、「再発や合併症のリスクを少しでも減らし、治療の副作用と付き合いやすくするためのサポート」として考えるのがおすすめです。

第3部:軟部肉腫の診断と治療 — 専門的な検査・治療の流れ

「しこりが見つかったので検査が必要と言われた」「軟部肉腫の疑いと説明され、生検や手術を勧められた」といった場面では、検査や治療の流れをあらかじめイメージしておくことが不安を和らげる助けになります。 ここでは、日本のガイドラインや国際的な臨床指針に基づき、一般的な診断・治療の流れを紹介します。25

3.1. 診断に用いられる検査

日本整形外科学会の「軟部腫瘍診療ガイドライン2020」や国立がん研究センターの解説では、軟部肉腫が疑われる場合、次のような検査の組み合わせが推奨されています。127

  • 問診・視診・触診
    いつからあるか、大きさの変化、痛みの有無、ケガや手術歴、家族歴などを詳しく聞き取り、しこりの硬さ・動き・位置を確認します。
  • 画像検査
    • 超音波検査:しこりの位置や性状(液体か固体かなど)を簡便に確認する第一歩として用いられます。
    • MRI(磁気共鳴画像):軟部組織の描出に優れており、腫瘍の広がりや周囲の筋肉・神経・血管との関係を詳しく評価します。
    • CT:特に後腹膜や胸腹部の腫瘍、肺転移の有無の評価に用いられます。
    • 造影検査:造影剤を用いることで、腫瘍の血流や周囲組織との境界がより明瞭になります。
  • 生検(組織検査)
    画像検査だけでは良性か悪性か、どのタイプの肉腫かを確定することはできません。 そのため、多くの場合は局所麻酔または全身麻酔下で腫瘍の一部を採取し、病理医が顕微鏡で詳しく調べます。 ガイドラインでは、将来の手術切除を見据えて、生検の位置や方法も含めて骨・軟部腫瘍の専門チームで計画することが重要とされています。25
  • 全身評価
    転移の有無を調べるために、肺のCT、必要に応じてPET-CTや骨シンチグラフィなどを行うことがあります。5

3.2. 病期(ステージ)と悪性度(グレード)

軟部肉腫の治療方針を決めるうえで、腫瘍の「病期(ステージ)」と「悪性度(グレード)」が重要になります。25

  • 病期(ステージ)
    腫瘍の大きさ、深さ(表在か深部か)、リンパ節転移・遠隔転移の有無などから総合的に判断されます。 一般的には、腫瘍がその部位にとどまっている「局所」、周囲に広がった「局所進行」、肺など他の臓器に転移した「遠隔転移」に大きく分けられます。
  • 悪性度(グレード)
    生検や手術で得られた組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の分裂の頻度や壊死の有無などをもとに、高グレード(増殖が速い)〜低グレード(増殖が比較的ゆっくり)に分類します。

同じ大きさの腫瘍でも、グレードが高い場合は再発・転移リスクが高く、手術に加えて放射線療法や抗がん剤治療が検討されます。 これらの情報を組み合わせて、患者さん一人ひとりに合った治療計画が立てられます。

3.3. 標準的な治療:手術・放射線・薬物療法

日本整形外科学会のガイドラインおよびNCCN・ESMOなどの国際ガイドラインでは、軟部肉腫の標準治療として次のような方針が示されています。235

  • 手術(外科的切除)
    軟部肉腫の治療の基本は、「腫瘍を周囲の正常組織とともに十分な幅をもって切除し、顕微鏡レベルでもがん細胞が残らない状態(R0切除)を目指すこと」です。5 手足の腫瘍では、できるだけ手足を温存しつつ、機能と根治性のバランスをとることが重視されます。
  • 放射線療法
    手術だけでは局所再発のリスクが高いと判断される場合、術前または術後に放射線療法が行われることがあります。 術前照射は腫瘍を小さくし、切除しやすくする目的もありますが、創傷治癒への影響なども考慮して専門チームが判断します。25
  • 薬物療法(化学療法・分子標的薬など)
    高グレードで再発・転移リスクが高い場合、あるいはすでに遠隔転移がある場合には、ドキソルビシンなどを中心とした抗がん剤治療や、腫瘍のタイプに応じた分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などが検討されます。56 近年は、臨床試験を通じて新しい薬が次々と評価されており、日本でも希少がんセンターや腫瘍内科を中心に治験が進められています。6

いずれの治療も、腫瘍の種類・大きさ・場所、患者さんの年齢や持病、仕事や家庭の事情などを踏まえて、整形外科・外科・腫瘍内科・放射線治療科・リハビリテーション科など複数の専門職が話し合いながら決定していく「集学的治療(multidisciplinary team:MDT)」が重要とされています。26

3.4. 治療後のフォローアップと再発・転移

軟部肉腫は、治療後も数年にわたり局所再発や肺転移を起こす可能性があるため、一定期間の定期的なフォローアップが必要です。125

一般的には、治療後数年間は3〜6か月ごとに診察と画像検査(患部のMRIや超音波、肺のCTやレントゲンなど)を受け、その後は年1回程度に間隔をあけていきますが、腫瘍の種類やリスクに応じてスケジュールは異なります。

再発や転移が見つかった場合でも、手術や放射線・薬物療法で対応できるケースがあります。 「もう治療の選択肢がない」と感じたときでも、希少がんセンターや骨・軟部腫瘍専門施設など、セカンドオピニオンの場を活用することで、新たな治療法や臨床試験にアクセスできることもあります。6

第4部:今日から始めるセルフケアと生活の整え方

軟部肉腫と診断された、あるいはその疑いがあると言われたとき、多くの人が感じるのは「自分の日常生活はどう変わるのか」「今からできることは何か」という不安です。 ここでは、治療前後を通じて意識したいセルフケアや、具体的なアクションプランを整理します。

表2:改善アクションプラン — 軟部肉腫と向き合うためのステップ
ステップ アクション 具体例
Level 1:今日からできること しこりや症状の記録をつける 大きさ・場所・痛みの有無・日付をメモし、スマホで写真を撮っておく。診察時に医師へ見せる。
Level 1:今日からできること 信頼できる情報源だけを読む 国立がん研究センターや公的機関のサイトを中心に情報収集し、不確かな体験談サイトは一旦閉じる。16
Level 2:診断・治療前に準備すること 仕事・家事・育児のサポート体制をイメージする 治療期間中に休む可能性を上司・家族と共有し、代替要員や家事代行、実家の支援などを話し合う。
Level 2:診断・治療前に準備すること セカンドオピニオンの選択肢を確認する 希少がんセンターや骨・軟部腫瘍専門施設の情報を調べ、必要なら紹介状の手続き方法を確認しておく。6
Level 3:治療中・治療後に続けたいこと リハビリや軽い運動で機能を維持する 主治医・理学療法士と相談し、ストレッチや関節の動きを保つ運動を無理のない範囲で継続する。
Level 3:治療中・治療後に続けたいこと 気持ちのつらさを一人で抱え込まない がん相談支援センターやピアサポート、カウンセリングなどを活用し、「同じ経験をした人の声」に触れる。

4.1. 食事・運動・睡眠のポイント

軟部肉腫そのものを食事や運動だけで治すことはできませんが、治療に耐える体力を保ち、副作用からの回復を助けるために、次のようなポイントが役立ちます。

  • 食事:極端な制限食やサプリメント頼みではなく、主食・主菜・副菜をバランスよくとることが基本です。食欲が落ちる時期は、少量ずつでもエネルギーやたんぱく質を確保できる食品(ヨーグルト、豆腐、卵料理など)を選びましょう。
  • 運動:手術部位や全身状態に応じて、安全な運動の範囲は異なります。リハビリ担当者と相談しながら、関節を動かす体操や、短時間の散歩から始め、少しずつ強度を上げていきます。
  • 睡眠:痛みや不安で眠れないときは、「眠れないこと自体を責めない」ことが大切です。寝る前のスマホ・カフェインを控え、温かい飲み物や深呼吸で体を休める習慣をつくりましょう。

4.2. メンタルケアと家族・職場とのコミュニケーション

希少がんである軟部肉腫は、周囲に同じ病気の人が少なく、「理解されにくい」という孤立感を抱えやすい病気です。 「弱音を吐いてはいけない」「家族に心配をかけたくない」と、気持ちを押し込めてしまう方も少なくありません。

日本には、各都道府県のがん診療連携拠点病院などに「がん相談支援センター」が設置されており、病気や治療、仕事との両立、経済的な不安などについて、無料で相談できる窓口があります。 必ずしも主治医にすべてを話さなければならないわけではなく、「少し話を聞いてほしい」というレベルでも利用できます。

職場に対しては、「病名をどこまで伝えるか」「治療期間中の働き方をどうするか」など迷う点も多いと思います。 産業医や人事部、信頼できる上司などと相談しながら、通院や休職・復職のスケジュール案を一緒に考えてもらうことで、「自分一人で抱えている」という感覚を軽くすることができます。

第5部:専門家への相談 — 受診の目安と医療機関の選び方

「どのタイミングで病院に行けばよいのか」「どの診療科を受診すべきか」「どの病院が軟部肉腫に詳しいのか」は、多くの方が迷うポイントです。 ここでは、受診の目安となるサインと、日本で軟部肉腫の診療を受ける際の基本的な考え方を整理します。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 直径5cm以上のしこりがあり、数週間〜数か月で明らかに大きくなっている。
  • しこりが筋肉の深いところにあり、手足の太さが左右で違って見える。
  • 夜間や安静時にも痛みが続く、痛み止めを飲んでもおさまりにくい。
  • しこりの周囲の皮膚が赤紫色に変化してきた、潰瘍ができている。
  • しこりの周囲にしびれや感覚の低下、筋力低下が出てきた。
  • 以前に放射線治療を受けた部位に、新たなしこりや皮膚変化が現れた。

これらのサインがあるからといって必ず軟部肉腫とは限りませんが、放置することのメリットはほとんどありません。 まずは整形外科や形成外科、あるいはがん診療連携拠点病院の外来などで相談し、必要に応じて骨・軟部腫瘍の専門施設を紹介してもらいましょう。12

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 四肢(腕・脚)のしこりが主な場合:まずは整形外科へ。必要に応じて「骨・軟部腫瘍外来」やがん専門病院へ紹介されることがあります。
  • 体幹・背中・首などのしこり:整形外科、形成外科、一般外科などが窓口となることが多く、画像検査の結果に応じて専門家へつながります。
  • 皮膚表面の変化が主な場合:皮膚科で診察を受け、皮膚悪性腫瘍に詳しい施設に紹介されることもあります。
  • すでに「軟部肉腫の疑い」と言われている場合:国立がん研究センターや大学病院など、軟部肉腫を専門に扱う施設への紹介を遠慮なく相談しましょう。6

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • これまでに撮影した画像(CD-Rなど)や検査結果のコピー。
  • しこりの経過がわかるメモや写真(日付入り)。
  • 現在服用中の薬のリストや「お薬手帳」。
  • 聞きたいことをメモした紙(治療の選択肢、仕事への影響、妊娠・出産への影響など)。

日本では、健康保険が適用される場合、診察・検査・手術・放射線治療・薬物療法などの費用の自己負担は原則3割です。 高額療養費制度や医療費控除、傷病手当金、障害年金など、経済的なサポート制度もありますので、がん相談支援センターやソーシャルワーカーに早めに相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1: しこりがあると必ず軟部肉腫(がん)なのでしょうか?

A1: しこりがあるからといって、必ず軟部肉腫というわけではありません。脂肪腫や粉瘤など、良性の「できもの」も多く存在します。 しかし、直径5cm以上・短期間で大きくなっている・深い場所にある・固くて動きにくい、といった特徴がある場合は、念のため専門的な検査を受けることが推奨されます。12

自分で「これは脂肪だろう」と判断してしまうのではなく、一度医療機関で相談し、必要な検査を受けることで安心につながります。

Q2: 軟部肉腫はどのくらい治る見込みがあるのでしょうか?

A2: 治る見込み(予後)は、腫瘍の種類(サブタイプ)、大きさや深さ、悪性度(グレード)、転移の有無、手術でどれだけ完全に取り切れたかなどによって大きく異なります。245

一般的には、早期に発見され、適切な手術と必要に応じた放射線・薬物療法を行った場合、長期にわたって再発なく生活できる方も少なくありません。 一方で、高グレードで進行した症例では再発や転移のリスクが高くなります。ご自身の予後について詳しく知りたい場合は、主治医と具体的な数値や統計ではなく、「自分の場合どう考えられるか」を話し合うことが大切です。

Q3: 軟部肉腫になった原因は、運動不足や食生活のせいですか?

A3: 現時点での研究では、一般的な運動不足や食生活と軟部肉腫の発症を直接結びつける決定的な証拠はありません。3 多くの場合、「これが原因」と断定できるものはなく、遺伝的要因や体質、偶然が重なって発症すると考えられています。

喫煙や極端な飲酒などは、他のがんや心血管疾患のリスクを高めるため注意が必要ですが、「自分の生活習慣が悪かったから軟部肉腫になった」と自分を責める必要はありません。 今後は、治療に耐える体力を維持するための「支え」として、無理のない範囲で食事や運動を整えていくことが大切です。

Q4: 子どもが軟部肉腫と診断されました。大人の軟部肉腫と何が違いますか?

A4: 小児の軟部肉腫は、発生する腫瘍の種類や治療方針が成人とは異なることが多く、日本でも「小児軟部肉腫」として別に情報がまとめられています。7 例えば横紋筋肉腫は子どもに多いタイプであり、化学療法を含む集学的治療が標準となっています。

小児がん拠点病院や小児腫瘍専門のチームが治療にあたることが重要で、成長や発達への影響、学校生活との両立なども含めたサポートが行われます。 不安な点は、主治医や小児がん相談窓口に遠慮なく質問してみてください。

Q5: 軟部肉腫の手術をすると、手足を失う可能性がありますか?

A5: かつては手足の切断が必要になるケースも多くありましたが、現在は画像診断や手術技術、放射線・薬物療法の進歩により、「手足を温存しながら腫瘍を十分に切除する」ことが目標とされることが多くなっています。25

ただし、腫瘍が重要な血管や神経を大きく巻き込んでいる場合など、機能温存と根治性を両立させることが難しいケースでは、切断を含めた選択肢が検討されることもあります。 その場合も、義肢やリハビリテーションを含めたサポート体制について、事前によく説明を受けることが大切です。

Q6: 妊娠中または妊娠を希望している場合、軟部肉腫の治療はどうなりますか?

A6: 妊娠中に軟部肉腫が見つかった場合や、治療後に妊娠を希望する場合は、腫瘍の種類・進行度・治療内容によって対応が大きく異なります。 妊娠中の化学療法や放射線治療には制限があり、母体と胎児の安全を最優先しつつ治療計画を調整する必要があります。35

妊娠や出産への影響について不安がある場合は、主治医だけでなく産婦人科とも連携しながら、治療のタイミングや妊娠計画について相談することをおすすめします。 必要に応じて、生殖医療専門医との連携が行われることもあります。

Q7: 治療が終わったあと、どれくらいの期間フォローアップが必要ですか?

A7: フォローアップの期間や頻度は、腫瘍の種類・グレード・病期・治療内容などによって異なりますが、一般的には治療後数年間は3〜6か月ごと、その後は年1回程度の受診が推奨されることが多いです。125

医師から「ここまでで定期フォローは一旦終了にしましょう」と言われるまで、自己判断で受診間隔をあけたり中止したりしないようにしましょう。 不安が強い場合は、「もう少し頻度を上げることはできますか?」と相談してみてもよいでしょう。

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結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

軟部肉腫は、発生頻度の低い希少がんであり、情報の少なさから「自分だけが特別な病気になってしまった」と感じやすい病気です。 しかし、日本には軟部肉腫を専門に診療するチームや、希少がんに特化したセンターが存在し、標準的な治療や臨床試験が行われています。26

もし今、「しこりが見つかった」「軟部肉腫の疑いと言われた」「治療後の再発が心配」といった状況にあるなら、

  • 自己判断で放置せず、まずは専門家に相談すること。
  • 一人で抱え込まず、家族・友人・がん相談支援センターなどのサポートを活用すること。
  • インターネット情報に振り回されすぎず、公的機関や専門学会の信頼できる情報を中心に選ぶこと。

を、ぜひ心に留めておいてください。 軟部肉腫と向き合う道のりは決して平坦ではありませんが、「自分の体の状態を知る」「自分に合った治療と生活のバランスを探す」ことを、一歩ずつ積み重ねていくことで、 少しずつ「病気と共に生きる」イメージを育てていくことができます。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して文献の下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(国立がん研究センターの「がん情報サービス」「希少がんセンター」、日本整形外科学会のガイドライン、国際的な臨床ガイドライン、査読付き論文など)と照合しながら、 内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。123456

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。 気になる症状がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際は、必ず担当医などの医療専門家にご相談ください。

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参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス. 軟部肉腫〈小児〉. 更新日: 2022-11-08. https://ganjoho.jp/public/cancer/soft_tissue_sarcoma/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  2. 日本整形外科学会. 軟部腫瘍診療ガイドライン 2020. 2020年. https://www.joa.or.jp/topics/2019/files/guideline_2020.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

  3. Anticancer Fund, ESMO. Soft tissue sarcomas: a guide for patients – Information based on ESMO Clinical Practice Guidelines. Version 2016.1. Japanese edition. https://dam.esmo.org/…Soft-Tissue-Sarcomas-Guide-for-Patients-Japanese.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

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  5. von Mehren M, Randall RL, Benjamin RS, et al. Soft Tissue Sarcoma, Version 2.2022, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. J Natl Compr Canc Netw. 2022. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35830886/(最終アクセス日:2025-11-26)

  6. 国立がん研究センター 希少がんセンター. 軟部肉腫. 2023年10月5日更新. https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/soft_tissue_sarcomas/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  7. 国立がん研究センター がん情報サービス. 軟部肉腫〈成人〉. https://ganjoho.jp/public/cancer/soft_tissue_adult/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  8. 国立がん研究センター 東病院 腫瘍内科. 肉腫、希少がん. 2021年1月18日. https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/medical_oncology/020/02040/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)

 

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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