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感染症 37分で読める 14回

ヘルパンギーナの症状と経過|高熱で水分がとれない時の対処法

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結論から言うと—国立健康危機管理研究機構と国立成育医療研究センターによると、ヘルパンギーナは、突然39〜40℃前後の高熱が出て、のどの奥に小さな水疱ができる、5歳以下の乳幼児に多い夏の感染症です[1][4]。

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ヘルパンギーナ、高熱で水分もとれないのは心配ですよね。いつ頃から症状が出ましたか?
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国立成育医療研究センターによると、熱そのものより注意したいのは、のどの痛みで水分や食事をとれなくなること、つまり脱水です[4]。こども家庭庁のガイドラインは、半日以上おしっこが出ない、ぐったりして元気がない、水分をまったく受けつけないときは、様子を見ずに早めに医療機関を受診するよう呼びかけています[7]。国立健康危機管理研究機構によると、多くは2〜4日で熱が下がり1週間ほどで治りますが、まれに無菌性髄膜炎や急性心筋炎を合併することがあります[1][5]。

要点まとめ

  • 国立健康危機管理研究機構によると、潜伏期間は2〜4日で、突然の高熱と、のどの奥(軟口蓋)の水疱・潰瘍が主な症状です[1]
  • 同機構の報告では、主な原因はコクサッキーウイルスA群で、患者の90%以上が5歳以下、なかでも1歳代がもっとも多いです[1]
  • 国立成育医療研究センターによると、熱よりも、のどの痛みで水分を拒否して起こる脱水のほうが心配すべき問題です[4]
  • 国立健康危機管理研究機構の資料では、まれに無菌性髄膜炎・急性心筋炎を合併することがあるとされています[1][5]
  • 日本小児科学会とこども家庭庁のガイドラインによると、登園・登校の目安は「休む日数」ではなく、熱がなく普段どおり食事がとれているかどうかです[6][7]

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、国立健康危機管理研究機構・厚生労働省・こども家庭庁・日本小児科学会・国立成育医療研究センター・東京都感染症情報センターなど、公的機関・学会が公開している一次情報と照合して作成しました。記事中の「」で囲んだ部分は、各機関の公表資料からの引用です。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の診断の代わりにはなりません。数値や登園基準はガイドラインの改定により変わることがあるため、記載のとおり2026年7月時点の情報として参照し、心配な症状があるときは自己判断せず医療機関にご相談ください。

🥤 水分がとれないときの飲ませ方・3ステップ

「飲ませなきゃ」と焦って一気にコップで飲ませようとすると、のどの奥の潰瘍にしみて余計に嫌がってしまうことがあります。ポイントは、量より「回数」です。

  1. ①東京都感染症情報センターとこども家庭庁のガイドラインによると、経口補水液、麦茶、湯冷ましなど刺激の少ない飲み物を用意し、オレンジジュースなど酸っぱいもの・熱いもの・味の濃いものは、のどの潰瘍にしみて痛がるため避けます[3][7]。
  2. ②国立成育医療研究センターとこども家庭庁のガイドラインによると、スプーン1杯程度のごく少量から、時間をあけて頻回に飲ませるのがコツです[4][7]。
  3. ③こども家庭庁のガイドラインによると、半日以上おしっこが出ない、ぐったりしている、吐き気がとまらないときは、様子を見ずに医療機関を受診します[7]。

この3ステップは、ヘルパンギーナに限らず、のどの痛みで水分がとりにくいときに広く使える考え方です。うまく飲めた・飲めなかったを記録しておくと、受診したときに医師へ状況を伝えやすくなります。

ヘルパンギーナとは?のどの奥に水疱ができる仕組み

「ヘルパンギーナ」という名前を初めて聞いたとき、聞き慣れないカタカナに戸惑う方も多いと思います。まずは、何が原因で、どこに症状が出る病気なのかを整理しておきましょう。国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、ヘルパンギーナは「一部のエンテロウイルス属を主な病原体とする、発熱、咽頭痛、口腔内の水疱を特徴とする症候群」です[1]。同機構の解説では、エンテロウイルス属は非常に多くの型を含むウイルスの総称で、そのなかでもヘルパンギーナはコクサッキーウイルスA群(CA)が主な原因ウイルスとされており、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスが関係することもあるとされています[1]。

厚生労働省の解説では、感染経路は主に経口感染・糞口感染(便と一緒に排出されたウイルスが口に入って感染すること)・接触感染・飛沫感染とされています[2]。同省によると、潜伏期間は2〜4日程度で、突然の発熱に続いてのどに痛みと水疱があらわれます[2]。ただし、潜伏期間の日数は資料によって幅があります。国立健康危機管理研究機構と東京都感染症情報センターは2〜4日としている一方[1][3]、国立成育医療研究センター・日本小児科学会・こども家庭庁のガイドラインは3〜6日としています[4][6][7]。数字が分かれているため、この記事では「発症からおおむね数日以内」という幅のある目安として捉えてください。国立健康危機管理研究機構の詳細版によれば、コクサッキーウイルスA群のなかでも2・3・4・5・6・10型など複数の血清型がヘルパンギーナの原因として分離されているとされています[5]。型がこれだけ多いことも、同じ子どもが夏ごとに繰り返しヘルパンギーナのような症状にかかることがある理由の一つと考えられます。同機構の詳細版資料では、水疱は「口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位」にでき、直径1〜2mm、大きいものでは5mmほどの、赤い暈(うん)に囲まれた小水疱として出現するとされています[5]。同資料によれば、小水疱はやがて破れて浅い潰瘍になり、痛みを伴うとされています[5]。

好発年齢について、国立健康危機管理研究機構は、患者の90%以上が5歳以下で、なかでも1歳代がもっとも多いとしています[1]。国立成育医療研究センターは、年齢は4歳以下がほとんどで、1歳代がもっとも多いと述べています[4]。年齢の区切り方は資料によって「5歳以下」「4歳以下」と幅がありますが、どちらの資料も1歳前後の乳児にとくに多いことを示しています。厚生労働省の発表では、日本国内では毎年5月頃から患者が増え始め、7月頃にピークを迎え、8月頃から減少し、9〜10月にはほとんど見られなくなる、という季節的な流行パターンが報告されています[2]。国立健康危機管理研究機構の詳細版によれば、国内での流行は例年、西日本から東日本へと広がっていく傾向があるとされています[5]。同機構は、世界的に見ても流行のパターンは似ており、熱帯地域では一年を通して患者が見られる一方、温帯地域である日本では夏と秋に流行がみられるとしています[1]。気温や湿度が高い時期に子ども同士の接触が増えることなどが、季節性に関係していると考えられます。

「エンテロウイルス」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、国立健康危機管理研究機構によれば、これはポリオウイルスやコクサッキーウイルス、エコーウイルスなど、多数のウイルスをまとめた総称です[1]。同機構の詳細版によれば、同じエンテロウイルス属のなかでも型がいくつも存在するため、一度ヘルパンギーナにかかって免疫ができても、別の型に感染すれば再びかかる可能性があると考えられます[5]。「一度かかったから今年はもう大丈夫」とは言い切れない、という点は覚えておくとよいでしょう。

診断は、多くの場合、症状の見た目で行われます。東京都感染症情報センターは「通常は、症状による診断がなされますが、検査診断は、病原体の検出によります」と説明しており[3]、国立健康危機管理研究機構の詳細版も、確定診断が必要な場合には口腔内の拭い液や便、髄膜炎を合併した例では髄液などを材料に、ウイルスの分離・同定や抗原検出、遺伝子検出、血清学的検査を行うことがあると述べています[5]。日常の診療では、のどの奥の水疱の場所や見た目、流行状況などから総合的に判断されることがほとんどで、必ずしも詳しいウイルス検査が行われるわけではないと考えられます。

国立健康危機管理研究機構と厚生労働省によると、ヘルパンギーナは、感染症法にもとづく5類感染症の定点把握対象疾患に指定されています[1][2]。同機構の詳細版によれば、全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週の患者数が報告される仕組みになっているとされています[5]。この仕組みのおかげで、「今、自分の住む地域で流行が広がっているかどうか」を国や自治体の発表からある程度知ることができます。

図:JHO編集部が作成

国立健康危機管理研究機構の詳細版が示すとおり、ヘルパンギーナの水疱はのどの奥に限られ、手のひらや足の裏には出ません[5]。この「水疱ができる場所の違い」が、症状のよく似た手足口病との見分け方の手がかりになります(次の章で詳しく比較します)。

家で子どものどの奥を確認するときは、明るい場所で、スプーンの柄など清潔なもので軽く舌を押さえながら、「あー」と声を出してもらうと見やすくなります。ただし、痛がって口を開けたがらない子どもに無理強いする必要はありません。水疱の有無を確認できなくても、高熱とのどの痛みという症状の組み合わせだけで、受診の判断はできます。見た目の確認より、次の章で説明する水分・食事がとれているかどうかのほうが、実際のケアでは重要だと考えられます。

今の血圧・脈拍を確かめる

数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

身長と体重からBMIも調べる

これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

発熱から治るまで何日?経過の目安

「あと何日で楽になるのか」は、高熱と痛みで子どもも親もつらいときに、いちばん知りたいことだと思います。東京都感染症情報センターの解説によると、ヘルパンギーナは「2~4日の潜伏期の後、突然の高熱、咽頭痛や咽頭発赤を呈し、口腔内に水疱や発赤が現れます」[3]。同センターによれば、水疱はやがて破れて痛みを伴い、「2〜4日で解熱し、7日程度で治癒します」とされています[3]。国立成育医療研究センターも、発熱は2〜4日間程度で解熱し、1週間ほどで熱も水疱もひくケースがほとんどだと説明しています[4]。

ただし、国立成育医療研究センターも述べているとおり、これはあくまで多くの子どもに見られる目安であり、すべての子どもに同じようにあてはまるとは限りません[4]。熱の高さや続く日数には個人差があり、水疱の数や痛みの強さもさまざまです。下の表の日数より長引く場合や、いったん下がった熱がぶり返す場合は、次の章で説明する合併症のサインがないかを確認してください。

時期の目安 主な症状 出典
発症直後(0日目) 突然39〜40℃前後の高熱、のどの痛みが出現 [4]
発症1〜2日目 咽頭の粘膜が赤くなり、軟口蓋付近に小さな水疱が出現 [1][5]
数日間 水疱が破れて浅い潰瘍になり、痛みでつらい時期が続く [5]
2〜4日目ごろ 高熱が下がる [1][3]
7日前後 口の中の潰瘍も治り、ほぼ治癒 [3][4]

出典:東京都感染症情報センター「ヘルパンギーナ Herpangina」(2023年6月22日更新)[3]/国立成育医療研究センター「ヘルパンギーナ」[4]/国立健康危機管理研究機構「ヘルパンギーナ」基本版・詳細版[1][5]

回復した後も、しばらくは便にウイルスが残ります。ただし、その期間については資料によって数字に幅があります。国立健康危機管理研究機構の詳細版は、鼻汁や飛沫からは1〜2週間、便からは「2~4週間の長期にわたり」ウイルスが検出されることがあるとしています[5]。一方、こども家庭庁のガイドラインは、便からの排出期間を「数週~数か月間」としています[7]。数週間程度なのか、数か月にわたることもあるのか、資料によって見積もりが異なるため、ここでは幅のある期間として捉えておくのが実用的だと考えられます。いずれにしても、症状が治まったからといって感染力がすぐになくなるわけではないため、トイレの後やおむつ交換の後の手洗いは、熱が下がった後もしばらく続けることが大切です[7]。こども家庭庁のガイドラインは、おむつの排便処理の際には手袋をするなど取り扱いに注意するよう勧めています[7]。

手足口病とはどう違う?よく似た「夏かぜ」を見分ける

ヘルパンギーナと同じ時期に流行し、症状もよく似ているのが手足口病です。公益社団法人日本小児科学会によると、どちらもエンテロウイルス属のウイルスが原因で、発熱とのどに水疱があらわれる点は似ていますが、水疱ができる範囲が異なります[6]。国立健康危機管理研究機構の詳細版は、この二つの鑑別点について「手足口病(ヘルパンギーナの場合よりも口腔内前方に水疱疹が見られ、手や足にも水疱疹がある)」と説明しています[5]。

項目 ヘルパンギーナ 手足口病
主な原因ウイルス 主にコクサッキーウイルスA群[1] コクサッキーウイルスA16・A10・A6、エンテロウイルス71型など[6]
水疱ができる場所 のどの奥(軟口蓋)が中心。手足には出ない[5] 口の中(前方にも)に加え、手のひら・足の裏・おしりなど[6]
熱の高さ 39〜40℃前後の高熱になりやすい[4] あまり高くないことが多い[6]
登園(校)の考え方 全身状態が安定し、普段の食事がとれること[6] 同じ考え方(流行阻止目的の一律の登園停止は行わない)[6]

出典:国立健康危機管理研究機構「ヘルパンギーナ(詳細版)」[5]/公益社団法人日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」[6]

表からわかるとおり、国立健康危機管理研究機構の詳細版が説明するように、ヘルパンギーナと手足口病は、同じ夏に流行する「口の中が痛くなる病気」という点では似ていますが、水疱の広がり方という目に見える違いがあります[5]。とはいえ、発症してすぐの段階では、水疱がまだ少なく、どちらのタイプか判断しにくいこともあります。数時間から1日ほど様子を見て、手足に発疹が出てくるかどうかで見分けがつくこともありますが、無理に自宅で結論を出そうとせず、心配なときは受診して確認してもらうほうが確実です。

発疹の出方だけで見分けるのが難しいときや、発熱と発疹をともなう他の病気との区別に迷うときは、子どもの発熱と発疹の見分け方をまとめたガイドも参考にしてください。ただし、自己判断に迷うときは受診して直接診てもらうのがいちばん確実です。

この記事では、手足口病についてはヘルパンギーナとの比較に必要な範囲にとどめています。すでに手足口病と診断されている場合や、手足口病そのものについてさらに詳しく知りたい場合は、かかりつけの小児科に相談するか、手足口病を主題にした情報もあわせて確認することをおすすめします。

🚨 いちばん注意したいのは「脱水」— 水分がとれないときの対応

「うちの子、39℃も熱があるのに水も飲まない」——ヘルパンギーナの看病でいちばん親を不安にさせるのは、この場面ではないでしょうか。結論から言うと、ヘルパンギーナで本当に注意すべきなのは、実は高熱そのものより脱水です。国立成育医療研究センターは、「口腔内の疼痛のため不機嫌や哺乳障害、経口摂取不良を起こし、乳児では脱水症をきたすこともあります」と説明しています[4]。同センターによれば、のどの奥の潰瘍が痛むため、子どもは水分そのものを拒否するようになり、これが脱水につながりやすいと考えられます[4]。東京都感染症情報センターも、「高熱による倦怠感や口腔内の痛みなどから、食事や水分を十分にとれず、脱水になることもあります」と、同じ点に注意を促しています[3]。

国立成育医療研究センターの解説によれば、体が小さい乳幼児ほど、体重に占める水分の割合が高く、少し飲めない時間が続くだけでも体への影響が出やすいと考えられます[4]。「熱があるから水分を」と頭ではわかっていても、痛くて飲めない子どもに無理強いしても逆効果になることがあるため、次に説明するような、痛みにしみにくい飲ませ方の工夫が必要になります。

こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」は、下痢や嘔吐など子どもの体調不良に共通する脱水のサインとして、次のような症状を挙げています[7]。これはヘルパンギーナだけを対象にした項目ではなく、同ガイドラインが子どもの体調不良全般について挙げている目安ですが、のどの痛みで水分がとれないヘルパンギーナの場面にもそのままあてはまる内容です。

サイン 考えられること
水分がまったく摂れない 脱水が進みやすい状態[7]
唇や舌が乾いている 脱水のサイン[7]
尿が半日以上出ない/尿の量が少なく色が濃い 脱水が進んでいる可能性[7]
目が落ちくぼんで見える/皮膚の張りがない 脱水のサイン[7]
元気がなく、ぐったりしている 至急の受診が必要と考えられる状態[7]

出典:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版、2023年5月一部改訂)[7]

おしっこの色も、脱水を見分ける手がかりの一つです。厚生労働省が熱中症対策として公開している資料では、尿の色が薄い黄色であれば体の水分量におおむね問題がなく、色が濃くなるほど水分不足が進んでいる可能性が高いという考え方が示されています[8]。この資料自体は主に熱中症を想定したものですが、「色の濃さで水分不足の程度を推測する」という考え方は、ヘルパンギーナで水分がとれているか不安なときの目安としても参考になると考えられます。おむつやトイレでの様子から、いつもより色が濃い・量が少ないと感じたら、こまめな水分補給を心がけてください。

水分の与え方にもコツがあります。国立成育医療研究センターは「脱水とならないように少しずつ水分を摂るようにしましょう」と勧めています[4]。同センターの説明を踏まえると、冷たくてのど越しのよい経口補水液や麦茶を、コップ一杯を一気にではなく、スプーン数杯ずつ、間隔をあけて何度も与えるのがコツです[4]。東京都感染症情報センターの解説によれば、オレンジジュースのような酸味の強い飲み物や、熱い飲み物、塩味・味の濃い飲み物は、口の中の潰瘍にしみて痛がることがあるため避けたほうがよいと考えられます[3]。

食事についても、東京都感染症情報センターは「口の中に水疱ができ食事がとり難いため、柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけることが大切です」としています[3]。国立成育医療研究センターも「のど越しのよい食事をお勧めします」と述べています[4]。東京都感染症情報センターの解説を参考にすると、おかゆ、うどん、豆腐、ゼリー、プリンなど、刺激が少なく飲み込みやすいものを選び、酸っぱいものや熱いもの、塩気の強いものは避けるとよいでしょう[3]。水分や食事の工夫について、より詳しい献立の例は子どもの発熱時の食事ガイドでも紹介しています。

受診の目安—すぐに受診が必要なサイン(こども家庭庁・国立成育医療研究センター・国立健康危機管理研究機構の資料をもとに作成)

  • こども家庭庁のガイドラインによると、水分がまったく摂れない、吐き気がとまらない[7]
  • 同ガイドラインによると、半日以上おしっこが出ない、尿の量が少なく色が濃い[7]
  • 同ガイドラインによると、唇や舌が乾いている、皮膚の張りがない、目が落ちくぼんで見える[7]
  • 同ガイドラインによると、元気がなく、ぐったりしている[7]
  • 国立成育医療研究センターによると、発症して2〜3日目以降に発熱がひどくなり、吐き気や頭痛を伴う[4]
  • 国立健康危機管理研究機構によると、けいれんを起こす、意識がぼんやりしている[1][5]

🚨 まれだが見逃せない合併症—髄膜炎・心筋炎のサイン

ヘルパンギーナの大部分は軽症で自然に治りますが、国立健康危機管理研究機構は「まれに無菌性髄膜炎や急性心筋炎などを合併することがある」としています[1]。こども家庭庁のガイドラインも、「無菌性髄膜炎を合併することがあり、発熱、頭痛、嘔吐を認める。まれながら脳炎を合併して、けいれんや意識障害をおこすこともある」と説明しています[7]。

国立健康危機管理研究機構の詳細版は、この二つの合併症について、それぞれ注意すべきポイントを次のように挙げています。同機構によれば、無菌性髄膜炎の場合は「発熱以外に頭痛、嘔吐などに注意すべきであるが、項部硬直は見られないことも多い」とされています[5]。項部硬直とは首の後ろのこわばりのことで、これが目立たないからといって髄膜炎の可能性を否定できるわけではないと考えられます。同機構によれば、急性心筋炎については「心不全徴候の出現に十分注意することが必要である」と述べられています[5]。国立成育医療研究センターも、「発症して2~3日目以降に発熱がひどくなり、吐き気や頭痛を伴う場合は、脳や髄膜にウイルスが侵入している可能性がありますので注意が必要です」と注意を呼びかけています[4]。

こども家庭庁のガイドラインによれば、高熱にともなって、熱性けいれんを起こすこともあると報告されています[7]。国立健康危機管理研究機構の詳細版は、発熱時に熱性けいれんを伴うことがあるとしたうえで、「ほとんどは予後良好である」とも述べています[5]。とはいえ、初めてのけいれんや、いつもと様子が違うけいれんに遭遇すると、多くの親はパニックになってしまうと思います。けいれんが起きたときは、まわりに危ないものがないか確認し、けいれんの様子や続いた時間をできるだけ覚えておいたうえで、医療機関を受診してください。けいれんを1回起こしたからといって、必ず重い合併症があるとは限りませんが、自己判断で「よくあることだから大丈夫」と決めつけず、医師に相談することをおすすめします。

気になるサイン 考えられること 出典
発症2〜3日目以降に熱がぶり返し、頭痛・嘔吐をともなう ウイルスが脳や髄膜に及んでいる可能性[4] [4]
頭痛・嘔吐があるが、首の後ろの硬さは目立たない それでも無菌性髄膜炎の可能性は否定できないとされる[5] [5]
けいれん、意識がぼんやりする 脳炎の可能性[7] [7]
ぐったりして顔色が悪い、呼吸の様子がおかしい 心筋炎など、心臓に負担がかかっているサインの可能性[5] [5]

出典:国立成育医療研究センター「ヘルパンギーナ」[4]/国立健康危機管理研究機構「ヘルパンギーナ(詳細版)」[5]/こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」[7]

国立健康危機管理研究機構によれば、これらの合併症はいずれもまれとされていますが、「まれだから起きない」という意味ではありません[1]。同機構の詳細版は、無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要であり、心筋炎の場合には特に循環器の専門医による治療が望ましいとも述べています[5]。多くの子どもは軽症のまま自然に治る一方で、ごく一部にこうした重い経過をたどる例があるという二面性を、頭の片隅に置いておくことが大切だと考えられます。

上の表のようなサインに気づいたときは、様子を見ようとせず、すぐに医療機関を受診してください。夜間や休日で近くの小児科が開いていないときは、子ども医療電話相談(#8000)に電話をかけて相談する方法もあります。#8000の使い方はこちらの発熱対処ガイドでも紹介しています。

今、地域で流行しているかは調べられる?

「まわりで流行っているのか、たまたま自分の子だけがかかったのか」も、気になるところだと思います。国立健康危機管理研究機構と厚生労働省によると、ヘルパンギーナは感染症法にもとづく5類感染症の定点把握対象疾患であり、全国の指定された小児科医療機関から毎週の患者数が同機構に報告され、集計されています[1][2]。この情報は、感染症発生動向調査(IDWR)として、国立健康危機管理研究機構のサイトで地域別・週別のデータが公表されています[1]。お住まいの都道府県や市区町村のホームページでも、地域の流行状況が案内されていることがあるので、心配なときはあわせて確認してみるとよいでしょう。保育園や幼稚園から「園内で流行しています」といったお知らせが配られることもありますが、それも同じように、症状のある子どもが増えていることを知らせるための情報だと考えられます。流行の情報は、あくまで「今の時期はかかりやすい」という参考情報であり、個々の症状の重さとは別に判断する必要があります。

似ている病気との見分け方—ヘルペス性歯肉口内炎・アフタ性口内炎

「口の中に水疱や潰瘍ができる病気」は、ヘルパンギーナや手足口病以外にもいくつかあります。国立健康危機管理研究機構の詳細版は、鑑別が必要な病気として、単純ヘルペスウイルス1型による歯肉口内炎、手足口病、アフタ性口内炎の3つを挙げています[5]。それぞれの特徴を知っておくと、自宅で様子を見るときの手がかりになります。

病気 口の中の特徴 発熱の有無
ヘルパンギーナ のどの奥・軟口蓋付近が中心[5] 突然の高熱をともなうことが多い[3]
ヘルペス性歯肉口内炎 歯ぐきや舌に病変が目立つ[5] 発熱をともなうことがある[5]
アフタ性口内炎 舌や頬の粘膜に潰瘍が多い[5] 発熱をともなわないとされる[5]

出典:国立健康危機管理研究機構「ヘルパンギーナ(詳細版)」[5]

もっとも、国立健康危機管理研究機構の詳細版が示すとおり、これはあくまで大まかな見分け方の手がかりであり、実際に何の病気かを正確に区別するのは、見た目だけでは難しいこともあります[5]。とくに発熱を伴わない・高熱が続く・水疱の範囲が広いなど、ここまでの説明とずれる部分があるときは、自己判断で決めつけず、医療機関で直接診てもらうことをおすすめします。

インターネットで症状を調べて「たぶんこの病気だろう」とあたりをつけること自体は悪いことではありませんが、最終的な診断を自分で下してしまうのは避けたほうが安全です。国立健康危機管理研究機構の詳細版が挙げる鑑別診断の考え方にもあるとおり、水疱の場所や発熱の有無だけで判断がつきにくいケースや、きょうだいで症状が微妙に違うケースでは、実際に医師の目で見てもらうことで、思わぬ見落としを防げる可能性があります[5]。

受診の際は、「いつから」「どこに」「どんな見た目の」水疱や発疹があるかを伝えられると、医師の診断の助けになります。記事の後半で紹介している受診時のメモも、こうした場面で役立ちます。歯ぐきや舌に病変が集中している、発熱がないのに口の中の痛みが強いなど、ここまで説明したヘルパンギーナの典型像と違う点に気づいたら、その点も具体的に伝えるとよいでしょう。

家庭でのケア—解熱・食事・お風呂はどうする?

治療について、東京都感染症情報センターは「特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます」と説明しています[3]。厚生労働省も「特別な治療方法はありません。基本的には軽い症状の病気のため、経過観察を含め、症状に応じた治療となります」としています[2]。つまり、ウイルスをやっつける特効薬はなく、熱や痛みをやわらげながら体力の回復を待つのが基本的な考え方です。

発熱に対しては、国立成育医療研究センターによると、解熱薬を使うこと自体は対症療法の一つとして行われています[4]。ただし、どの薬をどのくらいの量・どのくらいの間隔で使うかは、子どもの年齢や体重、持病の有無によって異なります。市販薬を使う場合も、自己判断で量や回数を決めず、薬剤師や医師に確認してから使うようにしてください。解熱薬の選び方や使い方についてはこちらの記事も参考にしてください。

国立成育医療研究センターの説明を踏まえると、食べる量が減っているときは、無理に主食の量を確保しようとせず、水分と最低限のエネルギーが摂れていればよい、というくらいの気持ちで臨むほうが、看病する側もつらくなりすぎずにすむかもしれません[4]。ゼリーやプリン、よく冷やしたヨーグルトのような、のどごしがよくて刺激の少ないものは、痛みがあっても比較的食べやすいと感じる子どもが多いようです。ストローで飲むよりも、スプーンで少しずつ口に運んだほうが、のどの奥の水疱にあたりにくいこともあります。

お風呂については、こども家庭庁のガイドラインなど公的資料には、ヘルパンギーナに限定した入浴の可否について明確な記載は見当たりませんでした。一般的な小児の発熱時の考え方として、熱が高くぐったりしているときは無理に入浴させず、シャワーで汗を流す程度にとどめ、全身状態が落ち着いてから湯船に入るという判断が現実的だと考えられます。入浴の可否に迷う場合の考え方はこちらのお風呂ガイドで詳しく解説しています。なお、湯船で体を温めることと発疹・水疱そのものとの関係については、ヘルパンギーナに特化した記載は見当たらず、一般的な発熱時のケアに準じて判断することになると考えられます。

回復した後も便からウイルスが排出される期間は、国立健康危機管理研究機構の詳細版で2〜4週間[5]、こども家庭庁のガイドラインで数週〜数か月間と、資料によって幅があります[7]。こども家庭庁のガイドラインは、トイレの後やおむつ交換の後の手洗いを徹底するよう呼びかけています[7]。タオルの共用を避けることも、家庭内での感染拡大を防ぐうえで有効だと考えられます。

水分と食事以外に、休養も回復を後押しする要素です。高熱が続く間は無理に外出させず、家でゆっくり休ませることが基本になります。きょうだいがいる家庭では、看病する大人の負担が大きくなりがちですが、東京都感染症情報センターと国立成育医療研究センターの解説によれば、水分と睡眠さえとれていれば、食事量が普段より少ない日が続いても、多くの場合は熱が下がるとともに食欲も戻ってくると考えられます[3][4]。

保育園・学校はいつから行ける?「日数」ではなく「様子」で判断

登園・登校の目安について、まず知っておきたいのは、ヘルパンギーナには麻しんやインフルエンザのような「解熱後◯日」といった法律で定められた出席停止の日数がない、という点です。こども家庭庁のガイドラインによれば、学校保健安全法施行規則が定める第三種の感染症は、「コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症」とされています[7]。ヘルパンギーナは、この7つの具体的な病名として名指しされてはおらず、「その他の感染症」に含まれる扱いとなります。

公益社団法人日本小児科学会は、ヘルパンギーナを「第三種感染症 そのほかの感染症」に位置づけています[6]。同学会の解説によれば、「そのほかの感染症」は、学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症としての措置をとることができる疾患を指すとされています[6]。同学会は、そのうえでヘルパンギーナの登校(園)基準について、「流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能である」としています[6]。

こども家庭庁の保育所ガイドラインも、同じ考え方に立っています。同ガイドラインによれば、ヘルパンギーナに罹患した場合の登園のめやすは、「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」であるとされ、続けて「感染拡大を防止するために登園を控えることは有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない」と説明されています[7]。同ガイドラインは、発熱やのどの痛み、下痢がみられる場合や食べ物が食べられない場合には登園を控え、本人の全身状態が安定してから登園を再開するという考え方を示しています[7]。

まとめると、日本小児科学会とこども家庭庁の資料を確認するかぎり、「熱が下がって〇日経ったら登園可」という一律の日数ルールは見当たりません[6][7]。こども家庭庁のガイドラインが示す判断の基準は日数ではなく、①熱がないこと、②口の中の水疱・潰瘍の影響がなく、普段どおり食事や水分がとれること、の2点です[7]。実際に登園させてよいかどうかは、保育園・幼稚園・学校ごとに独自のルールを設けている場合もあるため、最終的には通っている園や学校に確認することをおすすめします。

なぜ日数で区切らないのか、疑問に思う方もいるかもしれません。理由は、ウイルスの排出期間の長さにあります。回復して症状がなくなった後も、便からのウイルス排出は、国立健康危機管理研究機構の詳細版によれば2〜4週間[5]、こども家庭庁のガイドラインによれば数週〜数か月間にわたって続くことがあるとされており[7]、こども家庭庁のガイドラインは「感染拡大を防止するために登園を控えることは有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない」と説明しています[7]。つまり、熱や発疹が治まった後も何週間も休み続けなければウイルスの拡散を防げない、という理屈になってしまい、現実的な対策にはならないと考えられているわけです。だからこそ、休むかどうかの判断は「感染力がゼロになるまで」ではなく、「本人が普段どおりに過ごせる状態かどうか」に置き換えられている、と理解すると納得しやすいのではないでしょうか。

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大人もかかるの?家族にうつさないために

国立健康危機管理研究機構の患者データは、患者の90%以上が5歳以下という乳幼児中心の内容がほとんどで[1]、成人がかかった場合の罹患率や重症度について具体的な数値を示した資料は、今回参照した範囲では見つかりませんでした。ただし、ヘルパンギーナの原因ウイルスには複数の型があるため、公益社団法人日本小児科学会は「原因となる病原ウイルスが複数あるため、再発することもある」と説明しています[6]。一度ヘルパンギーナにかかったことがある大人でも、型が違えばもう一度感染する可能性があると考えられます。

国立健康危機管理研究機構によると、感染経路は経口感染・飛沫感染・接触感染であり[1]、家庭内で子どもの看病をする大人が、おむつ交換や食事の介助などを通じてウイルスに触れる機会は十分にあります。同機構の詳細版によれば回復後も便から2〜4週間ウイルスが排出されることがあり[5]、こども家庭庁のガイドラインはさらに長い数週〜数か月間としているため[7]、症状が治まった後もしばらくは、トイレやおむつ交換の後の手洗いを家族全員で徹底することが、家庭内での感染拡大を防ぐうえで大切だと考えられます。

予防そのものについて、国立健康危機管理研究機構は「手洗いや咳エチケットなどの飛沫予防策、接触予防策が有効である」としています[1]。特別な薬やワクチンで防げる病気ではないからこそ、同機構とこども家庭庁のガイドラインが示すとおり、流水と石けんによる手洗い、タオルの共用を避けること、おむつ交換の後の手洗いといった、地味に見える基本の対策の積み重ねが、家庭内での感染拡大を防ぐ現実的な方法だと考えられます[1][7]。きょうだいがいる家庭では、コップや歯ブラシ、食器の共用を一時的に避けるだけでも、感染の機会を減らせる可能性があります。

看病する側もひと息—つらいのは子どもだけではありません

高熱で機嫌の悪い子どもに、水分を少しずつ何度も与え、夜中も熱を測って様子を見て——ヘルパンギーナの看病は、数日とはいえ体力的にも精神的にも負担が大きいものです。特に、水分を拒否されたり、せっかく飲ませたものを吐き戻されたりすると、「自分の対応が悪いのではないか」と不安になってしまう方も少なくないと思います。

国立成育医療研究センターの説明にもあるとおり、水分や食事が減ること自体はよくあることです[4]。東京都感染症情報センターの解説にあるように、少しずつでも水分がとれていて、おしっこも出ているなら、多くの場合は数日の経過で回復に向かいます[3]。「もっと飲ませなきゃ」と自分を追い詰めすぎず、この記事の受診の目安に当てはまるサインがあるかどうかを基準に、必要なときはためらわず医療機関や#8000を頼ってください。一人で抱え込まず、パートナーや家族、職場の看護休暇制度なども含めて、頼れるものは頼るという選択も大切です。

きょうだいがいる家庭では、上の子の学校行事や下の子の保育園の予定と看病が重なり、スケジュールの調整に追われることもあると思います。無理に普段どおりの予定をこなそうとせず、この記事で説明した登園・登校の考え方(日数ではなく本人の状態で判断する)を参考に、まわりの大人や園・学校とも相談しながら、無理のない形で乗り切ってください。

仕事を休んで看病にあたる場合、職場によっては子の看護休暇制度が使えることがあります。制度の有無や条件は勤務先によって異なるため、事前に就業規則や人事担当者に確認しておくと、いざというときに慌てずにすみます。看病そのものだけでなく、こうした周辺の準備も、家族の負担を減らす一つの方法だと考えられます。

受診のときに伝えると役立つメモ

限られた診察時間のなかで、聞かれたことに答えるだけで精一杯になってしまうこともあります。あらかじめ次の項目をメモしておくと、医師に状況を正確に伝えやすくなります。

  • 熱が出始めた日時と、これまでの最高体温
  • のどの水疱・潰瘍に気づいた時期
  • 今日、水分や食事をどのくらいとれているか(だいたいの回数・量)
  • 最後に排尿した時間、今日の排尿回数
  • けいれんの有無、あった場合はその時間と様子
  • ぐったり具合や機嫌など、いつもと違うと感じた点
  • 保育園・幼稚園・学校で同じような症状の子がいるかどうか

この記事のまとめ

国立健康危機管理研究機構によると、ヘルパンギーナは、突然の高熱とのどの奥の水疱を特徴とする、乳幼児に多い夏の感染症です[1]。東京都感染症情報センターと国立成育医療研究センターによると、特効薬はなく、多くは2〜4日で熱が下がり、1週間ほどで自然に治ります[3][4]。国立成育医療研究センターが強調するとおり、看病のポイントは、熱そのものより、のどの痛みによる水分・食事の拒否から起こる脱水への対応です[4]。こども家庭庁のガイドラインによれば、半日以上おしっこが出ない、ぐったりしている、水分がまったくとれないといったサインがあれば、様子を見ずに受診してください[7]。国立健康危機管理研究機構と国立成育医療研究センターが指摘するとおり、まれに髄膜炎や心筋炎を合併することがあるため、熱がぶり返す・頭痛や嘔吐が強い・けいれんがあるといった変化にも注意が必要です[1][4][5]。日本小児科学会とこども家庭庁によると、登園・登校の再開は「休む日数」ではなく、熱がなく普段どおり食事や水分がとれているかどうかで判断するとされています[6][7]。

成人がヘルパンギーナにかかった場合に、子どもと比べて症状が重くなりやすいかどうかについての具体的なデータは、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。無菌性髄膜炎や心筋炎を合併する具体的な頻度(何%程度で起こるか)についても、今回参照した公的資料には明確な数値の記載は見当たりませんでした。国立健康危機管理研究機構によれば、ヘルパンギーナに特化した予防接種は、2026年7月時点で国内では承認されていません[1]。今後の研究や統計で新しい知見が示される可能性はあります。

よくある質問

手足口病との違いは?
国立健康危機管理研究機構と日本小児科学会によると、どちらもエンテロウイルス属のウイルスが原因の夏かぜですが、水疱ができる場所が違います。ヘルパンギーナはのどの奥(軟口蓋)が中心で手足には出ませんが、手足口病は口の前方にも水疱ができ、さらに手のひらや足の裏、おしりにも発疹が出ます[5][6]。東京都感染症情報センターによれば、ヘルパンギーナのほうが高熱になりやすい傾向があるともされています[3]。日本小児科学会によると、どちらも登園(校)の考え方は同じで、日数ではなく本人の全身状態で判断するとされています[6]。見た目だけで自信を持って区別できないときは、無理に判断せず受診してください。
何日で治る?
東京都感染症情報センターと国立成育医療研究センターによると、多くの場合、高熱は2〜4日で下がり、口の中の潰瘍も含めて7日前後でほぼ治癒するとされています[3][4]。ただし回復後も便からのウイルス排出は続き、国立健康危機管理研究機構の詳細版は2〜4週間[5]、こども家庭庁のガイドラインは数週〜数か月間としています[7]。
保育園はいつから行ける?
こども家庭庁のガイドラインによると、「休む日数」を定めた法律上のルールはなく、目安は「発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」です[7]。日本小児科学会によれば、全身状態が安定していれば登園(校)可能とされています[6]。最終的な判断は通っている園・学校のルールも確認してください。
大人にうつる?
大人がかかった場合の具体的なデータは今回参照した資料には見当たりませんでしたが、国立健康危機管理研究機構によると、感染経路は経口感染・飛沫感染・接触感染であり[1]、日本小児科学会の解説を踏まえると、原因ウイルスには複数の型があるため大人でも感染しうると考えられます[6]。看病する家族は、トイレやおむつ交換の後の手洗いを徹底しましょう。
食べられないけど大丈夫?
のどの痛みで食事が減ること自体は珍しくありません。国立成育医療研究センターも、口の中の痛みが原因で経口摂取が不良になることがあると説明しています[4]。食事の量が減っても、水分が少しずつでもとれていて、おしっこも普段どおり出ているなら、数日は経過を見てよいと考えられます。一方で、こども家庭庁のガイドラインによると、水分もまったくとれない、半日以上おしっこが出ない、ぐったりしているときは脱水の可能性があるため受診が必要です[7]。東京都感染症情報センターによれば、おかゆやうどん、豆腐、ゼリーなど、のど越しのよい柔らかい食事から少しずつ試してみるとよいとされています[3]。
お風呂は入っていい?
ヘルパンギーナに限定した入浴の可否についての明確な公的資料は見当たりませんでした。熱が高くぐったりしているときは無理をせずシャワー程度にとどめ、全身状態が落ち着いてから湯船に入るという考え方が現実的です。
解熱剤は使っていい?
国立成育医療研究センターによると、解熱薬を使うこと自体は対症療法の一つとして行われています[4]。熱を下げる目的は主に、つらさをやわらげて水分や睡眠をとりやすくすることにあると考えられます。ただし種類や量、使う間隔は子どもの年齢・体重によって異なるため、自己判断で量や回数を決めず、薬剤師や医師の指示にしたがって使ってください。持病がある場合や、他の薬を使っている場合は、あらかじめ相談しておくと安心です。
何科を受診すればいい?
かかりつけの小児科が基本です。東京都感染症情報センターと国立健康危機管理研究機構の詳細版によれば、診断は主に症状の見た目で行われ、必要に応じて口腔内の拭い液や便などからウイルスを調べる検査が行われることもあります[3][5]。夜間や休日で近くの医療機関が開いていないときは、子ども医療電話相談(#8000)に電話して相談する方法もあります。こども家庭庁のガイドラインが挙げる、ぐったりしている、けいれんしているなど緊急性が高いサインがあるときは、様子を見ずにすぐ医療機関を受診してください[7]。
きょうだいにうつさない方法はある?
国立健康危機管理研究機構によると、感染経路は経口感染・飛沫感染・接触感染です[1]。こども家庭庁のガイドラインによれば、タオルの共用を避け、コップや食器を分け、トイレの後やおむつ交換の後の手洗いを徹底することが基本の対策になります[7]。ただし、日本小児科学会によれば、流行阻止を目的に登園を止めることの有効性は低いとされているため[6]、家庭内での完全な感染予防は難しいと考えられます。きょうだいが数日〜1週間ほど遅れて発症することも珍しくないため、一人が治ったからと油断せず、しばらくは他のきょうだいの体調も注意して見てあげてください。
予防接種はある?
国立健康危機管理研究機構によると、2026年7月時点で、国内で承認されたワクチンはありません[1]。同機構によれば、手洗いや咳エチケットといった一般的な感染対策が、現時点でできる予防法とされています[1]。
水疱を自分で潰してもいい?
国立健康危機管理研究機構の詳細版によれば、のどの奥の水疱は自然に破れて潰瘍になっていくものであり[5]、無理に触ったり潰したりする必要はないと考えられます。痛みが強い場合や、潰瘍が広がっているように見える場合は、自己対応をせずに医療機関に相談してください。
母乳やミルクは飲ませていい?(赤ちゃんの場合)
国立成育医療研究センターによると、口の中の痛みから哺乳を嫌がる赤ちゃんもいます[4]。同センターの説明を踏まえると、母乳やミルクを含め、飲めるものを少量ずつ、回数を増やして与える工夫が基本になります[4]。哺乳量が明らかに減っている、おしっこの回数が減っているなど気になる様子があるときは、早めに小児科に相談してください。

参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構「ヘルパンギーナ」感染症情報提供サイト(2025年8月28日更新)。病原体・感染経路・疫学・臨床像・法的取り扱いなど基本情報の一次情報源として使用。 https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/herpangina/index.html
  2. 厚生労働省「ヘルパンギーナ」。症状・感染経路・治療・予防に関する国の解説として使用。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/herpangina.html
  3. 東京都感染症情報センター「ヘルパンギーナ Herpangina」(2023年6月22日更新)。経過の日数、治療・食事の工夫についての解説として使用。 https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/herpangina/
  4. 国立成育医療研究センター「ヘルパンギーナ」。家庭でのケア、脱水・合併症の注意点についての解説として使用。 https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/herpangina.html
  5. 国立健康危機管理研究機構「ヘルパンギーナ(詳細版)」(2014年7月23日改訂、国立感染症研究所感染症疫学センター作成)。水疱の場所・鑑別診断・合併症・学校保健安全法上の位置づけの詳細説明として使用。ページ内に「更新作業中のため、ページの一部に古い情報が含まれる場合があります」旨の注記があるため、法律名など時点依存の記載は現行の資料(ref-6・ref-7)とあわせて確認しています。 https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/herpangina/detail/index.html
  6. 公益社団法人日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」ヘルパンギーナの項。登校(園)基準、手足口病との比較についての一次情報源として使用。 https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-12.html
  7. こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版、2023年5月一部改訂)。脱水のサイン、登園のめやす、学校保健安全法施行規則上の分類についての一次情報源として使用。 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/d557529d/20230401_policies_hoiku_15.pdf
  8. 厚生労働省「熱中症の予備軍『隠れ脱水症』の見つけ方」(尿の色によるセルフチェック資料)。もともとは熱中症・成人向けの資料だが、尿の色で水分不足の程度を推測する考え方の参考として使用。 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001088385.pdf

更新日:2026年7月25日

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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