乱視は自然に治るのか?原因から最新の治療法、費用まで徹底解説
眼の病気

乱視は自然に治るのか?原因から最新の治療法、費用まで徹底解説

「最近、物がぼやけたり、二重に見えたりする」「夜間の運転で光がにじんで見えにくい」。このような視界の悩みを抱えている方は、乱視が原因かもしれません。乱視は非常に一般的な目の状態ですが、その性質については多くの誤解が存在します。特に、「乱視は自然に治るものなのか?」という疑問は、多くの患者様が抱く切実な問いです。本記事では、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、国内外の信頼できる医学的根拠に基づき、乱視の根本的な原因、症状、そして眼鏡から最新の外科手術に至るまでのあらゆる治療選択肢を包括的に、そして深く掘り下げて解説します。皆様がご自身の目の状態を正しく理解し、最適な治療法を選択するための一助となることを目指します。

この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性のみが含まれています。

  • 米国眼科学会 (American Academy of Ophthalmology): この記事における乱視の基本的な定義、原因、および治療法に関するガイダンスは、米国眼科学会が公表した情報に基づいています5
  • 米国検眼協会 (American Optometric Association): 乱視の症状、診断、および管理に関する推奨事項は、米国検眼協会が提供する指針を参考にしています6
  • 日本眼科学会 (Japanese Ophthalmological Society): 日本における屈折矯正手術、特にレーシック(LASIK)の適応基準に関する記述は、日本眼科学会が策定したガイドラインに基づいています3243
  • 日本白内障屈折矯正手術学会 (Japanese Society of Cataract and Refractive Surgery): 有水晶体眼内レンズ(ICL)に関する適応、利点、および術者の要件については、日本白内障屈折矯正手術学会が提供する情報を重要な根拠としています3341
  • 文部科学省 (MEXT): 日本の子供たちの視力低下に関する統計データは、文部科学省が実施する「学校保健統計調査」の結果を引用しており、早期発見の重要性を強調する根拠としています20

要点まとめ

  • 乱視は、角膜や水晶体の形状の歪みが原因であり、一度発症すると自然に治ることはありません。放置すると症状が悪化する可能性があります1
  • 子供の乱視は、治療せずに放置すると視力の発達が妨げられ、永続的な視力障害である弱視(「怠け目」)を引き起こす危険性があるため、早期発見と早期治療が極めて重要です10
  • 治療法は、規則的な形状の「正乱視」と、不規則な「不正乱視」で大きく異なります。眼鏡やソフトコンタクトレンズは正乱視に、ハードコンタクトレンズは不正乱視に特に有効です712
  • 外科手術には、角膜を削ることで不可逆的なレーシック(LASIK)と、レンズを眼内に挿入し可逆的なICL(眼内コンタクトレンズ)があり、それぞれに適応、利点、費用、危険性が異なります16
  • 最適な治療法の選択は、乱視の種類、生活様式、費用、そして危険性の許容度を考慮し、眼科専門医と十分に相談した上で決定することが不可欠です。

結論:乱視は自然には治らないという医学的事実

多くの方が抱く最も重要な疑問、「乱視は自然に治りますか?」に対する医学的な答えは明確です。日本の信頼できる医療情報源が一致して示すように、一度進行した乱視が自然に治癒することはありません1。これは乱視が感染症や炎症のように時間とともに軽快する疾患ではなく、眼の光学的構成要素、主に角膜または水晶体の形状の物理的な不規則性によって引き起こされる屈折異常であるという事実に根ざしています2

ただし、乱視の度数が常に静的であるわけではないことを理解することが重要です。研究によれば、乱視の度数は変動し、時には強く、時には弱くなることがあります2。この変動は、まぶたからの圧力や眼の他の自然な生理的変化など、様々な要因に影響される可能性があります。この変動が、患者様に「状態が自己改善している」という危険な誤解を生むことがあります。この誤解は、専門的な診断と治療を遅らせる原因となり、その間に根本的な問題が存続し、悪化する可能性があります。

実際に、乱視を適切に管理しないことは、より深刻な結果を招く可能性があります。矯正されない乱視は角膜に損傷を与え、乱視をさらに進行させ、最終的には永続的な視力低下につながる可能性があります4。したがって、伝えるべき中心的なメッセージは、単に「乱視は自然治癒しない」ということだけでなく、「長期的な視力を守るためには、専門的な診断と治療による積極的な管理が不可欠である」という、より強力な行動喚起でなければなりません。自然回復への期待に基づいて症状を無視することは、回復不可能な損傷につながりかねない危険な戦略です。


そもそも乱視とは?その原因と主な症状

乱視を深く理解するためには、直感的で医学的に正確な類推を用いることが非常に有効です。日本国内外の文献は、シンプルかつ強力な比較イメージを一貫して使用しています。正常な眼の角膜がバスケットボールのように完璧な球形であると想像してください。対照的に、乱視の眼では、角膜(または水晶体)がアメリカンフットボールやラグビーボールのように不均一な形状をしています5

この形状の違いが屈折異常の根本原因です。健康な眼では、角膜と水晶体の均一な曲面が、眼に入る光線を均等に屈折させ、網膜上の一点に集束させることで、鮮明な像を作り出します5。しかし、乱視眼では、楕円形の表面が光線を不均一に屈折させます。より湾曲した軸を通過する光線は、より平坦な軸を通過する光線とは異なる点で集束します。その結果、単一の焦点ではなく、複数の焦点が形成されるか、あるいは明確な焦点が全く結ばれなくなります8。光が網膜上に正確に焦点を合わせられないため、遠近いずれの距離でも、像はぼやけたり、にじんだり、歪んだりして見えます5

乱視を引き起こす根本的な原因

乱視の原因は多様ですが、主に先天的な要因と後天的な要因の二つに大別されます。

  • 先天性および遺伝的要因: 最も一般的な原因は遺伝です。ほとんどの場合、乱視は生まれつきのものであり、不完全な形状の角膜または水晶体が両親から遺伝することによって生じます5。子供の眼は生後数年間、発達と形状の変化を続け、この過程で乱視が現れたり変化したりすることもあります11。これが、子供が視力の問題を明確に訴えなくても、早期の視力検査が非常に重要である理由です。
  • 後天的な要因: 乱視は人生の後半で外的要因によって発症することもあります。これには、眼の外傷6、円錐角膜などの眼疾患6、あるいは白内障手術などの眼科手術後の合併症が含まれます2。また、頻繁に強く目をこする習慣が、時間とともに角膜の形状に影響を与え、乱視を引き起こしたり悪化させたりする可能性を示唆する証拠もあります14

乱視の一般的な兆候と日常生活への影響

乱視の症状は、その程度によって重症度が異なりますが、一般的に生活の質や日常業務の遂行能力に大きな影響を与えます。

  • ぼやけや歪み: 最も特徴的な症状で、遠近両方の距離で発生します。物体がぼやけたり、伸びたり、歪んで見えたりします5
  • 眼精疲労: 眼が絶えずピントを合わせようと努力するため、特に読書やコンピューター作業の後、眼の疲れや不快感を引き起こします11
  • 頭痛: 持続的な眼の緊張が、しばしば前頭部やこめかみに集中する頭痛を引き起こすことがあります5
  • 目を細める: 無意識に目を細めて像を鮮明にしようとする習慣です5
  • 夜間の視力低下: 暗い場所での視力が低下し、車のヘッドライトなどが眩しく感じられたり、光の周りに輪や筋が見えたりすることがあります13
  • 複視(物が二重に見える): 重度の乱視の場合、一つの物体が二つ以上に見えることがあります16

特に子供の場合、自分の視力が異常であると認識できないため、症状を訴えることは稀です5。そのため、親は頭を傾ける、目を細める、テレビに近づきすぎるなどの行動的な兆候に注意を払う必要があります7

「正乱視」と「不正乱視」の決定的な違い

臨床的に最も重要な区別は、「正乱視」と「不正乱視」の違いです。この違いが、適切な矯正方法を決定します。

  • 正乱視 (Regular Astigmatism): 最も一般的なタイプの乱視です。角膜が一貫性のある予測可能なパターンで不均一に湾曲しており、ラグビーボールのように、最も湾曲した軸と最も平坦な軸が互いに直角になっています7。この規則性のため、正乱視は円柱レンズを含む眼鏡やトーリックソフトコンタクトレンズといった標準的な光学的手段で効果的に矯正できます7
  • 不正乱視 (Irregular Astigmatism): 角膜表面が混沌として不規則に変形している状態です。表面に凹凸や瘢痕があるため、無数の焦点が形成され、視力矯正が非常に困難になります7。不正乱視は通常、円錐角膜、眼の外傷、または角膜の炎症などの後天的な要因によって引き起こされます7。このタイプの乱視は、標準的な眼鏡やソフトコンタクトレンズでは矯正できず12、主に硬質ガス透過性(RGP)コンタクトレンズが治療の第一選択となります。RGPレンズと角膜の間に涙の層が形成され、これが滑らかで均一な新しい屈折面を作り出すことで、角膜の歪みを中和し、鮮明な視力を提供します15

子供の乱視と弱視のリスク:早期発見が極めて重要な理由

子供の乱視は単なる視力不良の問題ではありません。放置された場合、永続的な結果を招きかねない医学的緊急事態です。幼少期は、脳が両目からの視覚信号を解釈することを学ぶ視覚発達の「黄金期」です。未矯正の強度乱視により、片目(または両目)が常にぼやけた、歪んだ像を送り続けると、脳はその目からの信号を「無視」し始めることがあります。この状態は弱視(じゃくし)、通称「怠け目」として知られています10

弱視は、後から根本的な屈折異常を矯正したとしても、眼鏡やコンタクトレンズでは完全に矯正できない重篤な視力低下状態です7。視覚発達の窓が閉じてしまう(通常7〜8歳頃)と、弱視による視力喪失は永続的なものになる可能性があります。したがって、子供の乱視を早期に発見し矯正することは、教室でよく見えるようにするためだけでなく、生涯にわたる視覚障害を防ぐために不可欠なのです5

この問題の緊急性は、日本の状況によってさらに高まっています。文部科学省(MEXT)による最近の学校保健統計調査は、子供たちの視力に関する憂慮すべき状況を描き出しています。データによると、視力1.0未満の生徒の割合は増加の一途をたどり、小学生で3割以上、中学生で約6割、高校生では7割にも達しています20。これらの数字は近視を含む全体的な視力状態を反映していますが、日本の若年層における視覚問題の巨大な規模を示し、包括的なスクリーニングの重要性を強調しています。


手術以外の乱視の矯正方法

外科的な選択肢を検討する前に、非外科的な矯正方法を十分に理解することが重要です。これらは、乱視を持つ大多数の人々にとって、安全で効果的な第一選択肢となります。

眼鏡:矯正の基本

眼鏡は、正乱視を矯正するための基本的で最も一般的な「ゴールドスタンダード」な方法です6。特別に作られた円柱レンズが組み込まれており、角膜や水晶体の不均一な湾曲を補正します25。このレンズは、光線を正確に屈折させ、網膜上の一点に集束させることで、鮮明な視力を回復させます13。特に子供にとっては、正常な視覚発達を確保し、弱視を防ぐための必須の治療選択肢です7

コンタクトレンズ:詳細な比較

眼鏡から解放されたいと願う人々にとって、コンタクトレンズは優れた代替手段です。しかし、正しい種類のレンズを選択することは、患者が持つ乱視の種類に完全に依存します。

  • トーリックソフトコンタクトレンズ: 正乱視向けの解決策です。通常の球面ソフトレンズとは異なり、トーリックレンズは眼鏡のレンズと同様に、異なる経線で異なる度数を持つように特別に設計されています15。また、レンズの回転を防ぐための安定化機構(レンズの一部を重くするなど)も備わっており、乱視矯正軸が常に正しい位置に保たれるようになっています15
  • 硬質ガス透過性(RGP)コンタクトレンズ: 不正乱視に対する標準的かつ最も効果的な治療法です12。硬い素材のため、角膜の不規則な形状に沿って曲がることなく、レンズと角膜の間に涙で満たされた空間を作り出します。この「涙液レンズ」が、角膜の歪みのほぼ全てを中和し、眼鏡やソフトレンズでは達成不可能な極めて鮮明な視力を提供します15。強度な正乱視の場合にも使用されます26

どちらのタイプであれ、眼の感染症のリスクを防ぐためには、厳格な衛生規則と取り扱い手順の遵守が必須です24

オルソケラトロジー(Ortho-K):夜間の視力矯正

オルソケラトロジー、通称Ortho-Kは、就寝中に特別に設計されたハードコンタクトレンズを装用することで視力を矯正するユニークな非外科的屈折矯正法です27。夜通しレンズからの穏やかで制御された圧力が角膜中心部を一時的に平坦化させ、眼の屈折力を変化させます28。朝起きてレンズを外すと、日中は眼鏡やコンタクトレンズなしでクリアな視界を得ることができます29

この方法は、軽度から中等度の近視(通常-4.0Dまで)と軽度の乱視(通常-1.5Dまで)を持つ人々に最も効果的です29。主な利点は日中の視力矯正器具からの解放であり、特にスポーツをする人や活動的な生活様式を持つ人に魅力的です29。また、子供の近視進行を遅らせる可能性があることも多くの研究で報告されています29。しかし、効果を維持するためには毎晩の装用が必要であり、装用を中止すると角膜は元の形状に戻ります29。また、日本では健康保険が適用されない自費診療であり、費用が高額になる可能性があります29


乱視の屈折矯正手術:LASIKとICLの徹底比較

眼鏡やコンタクトレンズへの依存から解放され、長期的な解決策を求める患者にとって、屈折矯正手術は検討に値する選択肢です。

LASIK(レーシック):プロセス、有効性、そして限界

LASIKは、レーザーを用いて角膜の形状を変化させることで視力を矯正する手術です。この方法は、角膜の組織を削り取る「減法手術」であり、一度除去された組織は元に戻りません1629

  • プロセス: フェムト秒レーザーまたはマイクロケラトームという器具で角膜の表面に薄い蓋(フラップ)を作成し、それをめくります。次にエキシマレーザーを照射して角膜の形状を変化させ、フラップを元に戻します。手術時間自体は両眼で10分から15分程度です16
  • 有効性と限界: 軽度から中等度の正乱視の矯正に高い効果を発揮します。しかし、角膜を削るため、安全に除去できる組織量には限界があり、強度乱視(一部の文献では-6.0D以上16、日本眼科学会のガイドラインでは6Dが標準32)には適していません。また、角膜が薄い方や円錐角膜などの角膜疾患がある方には禁忌です16。その不可逆性も大きな特徴です。

ICL(眼内コンタクトレンズ):視力を「加える」アプローチ

ICLは、眼内にレンズを挿入することで視力を矯正する、LASIKとは根本的に異なる原理に基づく先進的な手術です。これは、眼の組織を削らずに矯正レンズを「加える」「加法手術」です16

  • プロセス: 角膜の縁に非常に小さな切開を加え、折りたたんだ柔らかいレンズを眼内に挿入します。レンズは眼内で自然に広がり、虹彩の後ろ、水晶体の前に固定されます16
  • 利点と可逆性: 最大の利点は、角膜の構造を一切変えないことです。これにより、角膜が薄い、重度のドライアイ、または強度近視・乱視のためにLASIK不適応とされた患者にとって優れた選択肢となります33。最も重要なのは、ICLが可逆的であることです。問題が生じた場合や、将来的に白内障手術が必要になった場合、あるいはより優れた視力矯正技術が登場した場合、レンズを外科的に取り出すことで眼を元の状態に戻すことが可能です16
  • リスクと費用: 眼内手術であるため、稀ではありますが、眼内炎(感染症)35、眼圧上昇36、白内障の誘発35といった特有のリスクが伴います。また、乱視用トーリックICLの場合、術後にレンズが回転し、再手術が必要になる僅かな可能性があります34。費用はLASIKよりも大幅に高額になります35

自分に合った治療法の選び方:比較表と医療ガイドライン

適切な乱視矯正方法の選択は、多くの要因を慎重に考慮する必要がある、非常に個人的な決定です。このプロセスを支援するために、明確な比較の枠組みと、費用や医療基準に関する実用的な情報を提供することが不可欠です。

包括的な治療法比較分析

膨大な治療法に関する情報を統合するために、包括的な比較表が最も有用なツールとなります。

表1:乱視矯正法の包括的比較

基準 眼鏡 ソフトコンタクトレンズ(トーリック) ハードコンタクトレンズ(RGP) オルソケラトロジー LASIK ICL(眼内コンタクトレンズ)
方法 外部からの光学的矯正 眼表面での光学的矯正 「涙液レンズ」による新屈折面形成 夜間装用による一時的な角膜形状変化 レーザーによる永久的な角膜形状変化 眼内への矯正レンズ追加
適応乱視 主に正乱視 正乱視 不正乱視、強度正乱視 軽度正乱視 (通常≤−1.5D) 正乱視 (通常≤−6.0D) 強度正乱視
可逆性 完全可逆 完全可逆 完全可逆 完全可逆(中止後元に戻る) 不可逆 可逆(レンズ摘出可能)
日常の手入れ レンズの清掃 毎日の洗浄・保存 毎日の洗浄・保存 毎晩の装用と毎日の洗浄・保存 なし(術後の点眼のみ) なし
費用 初期費用は低い 継続的な費用 初期・交換費用は高い 初期・年間費用が高い(保険適用外) 初期費用が高い(一回) 初期費用が非常に高い(一回)
主な利点 最も安全、非侵襲的 利便性、審美性、良好な周辺視野 不正乱視に対する最も鮮明な視力 日中裸眼、子供の近視抑制効果 迅速、効果的、日常の手入れ不要 可逆性、強度数に適応、角膜を削らない
主な欠点 不便、審美性、スポーツの制限 厳格な衛生管理、感染症リスク、乾燥感 慣れるまでの時間、初期の違和感 高い規律、高コスト、非永続的 不可逆、適応限界、手術リスク(ドライアイ、グレア) 侵襲的、稀だが重篤な眼内手術リスク、非常に高コスト

外科手術の費用について

費用は屈折矯正手術における最大の障壁の一つです。特にICL手術は、乱視矯正機能(トーリック)の有無によって費用が大きく異なります。以下は、日本の医療機関における費用の参考例です。これらは保険適用外の自費診療であることにご留意ください。

表2:日本におけるICL手術費用参考(両眼)

医療機関(例) ICL費用(乱視なし) ICL費用(乱視あり) 備考
アイクリニック東京38 730,000円 830,000円 3年保証。その他費用が発生する場合あり。
品川近視クリニック39 427,000 – 537,000円 527,000 – 637,000円 3年保証。術後診察料込み。
新宿近視クリニック39 460,000 – 537,000円 560,000 – 637,000円 3年保証。
よしだ眼科クリニック40 450,000 – 594,000円 乱視用レンズに80,000円追加 初診料5,500円。
フジモト眼科39 600,000円 700,000円 保証期間は要確認。

注意:上記の数値はあくまで参考であり、変動する可能性があります。正確な費用については、各クリニックに直接お問い合わせください。

日本の医療ガイドラインの遵守

安全と効果を確保するため、屈折矯正手術は日本眼科学会などが発行するガイドラインを厳格に遵守しなければなりません。これにより、患者様が手術の適応候補であるかどうかを理解する助けとなります。

表3:日本のガイドラインに基づく屈折矯正手術の適応基準

基準 LASIK ICL(眼内コンタクトレンズ)
年齢 原則20歳以上で屈折度が安定していること32。18歳も可能だが慎重な検討を要す41 18歳以上(未成年は親権者の同意が必要)。老視年齢(40-45歳以上)では慎重な検討が必要33
屈折度 原則-6Dまで。十分な医学的根拠があれば-10Dまで検討可32 強度近視に有効(通常-3.0D以上)。-15.0Dを超える場合は慎重な検討を要す42
乱視度 レーザーの範囲内で矯正。不正乱視は不適応16 トーリックICLで約4.5Dまでの乱視を矯正可能33
禁忌 円錐角膜、角膜が薄い、自己免疫疾患、白内障、妊娠・授乳中など16 白内障、緑内障、眼内のスペース不足(前房深度 < 2.8mm)、妊娠・授乳中など35
術者資格 日本眼科学会認定の眼科専門医であり、角膜生理や光学に精通していること43 眼科専門医であることに加え、製造元が発行するICL執刀ライセンスの取得が必須41

よくある質問

質問1:乱視は本当に自然に治らないのですか?

はい、医学的に見て、一度進行した乱視が自然に治癒することはありません1。乱視は角膜や水晶体の形状の物理的な歪みによって生じるため、時間経過で自然に正常な形状に戻ることはないのです。症状が軽くなったように感じることがあっても、それは一時的な変動である可能性が高く、根本的な問題は解決していません。放置すると悪化する危険性もあるため、専門医による診断が不可欠です4

質問2:子供の乱視で最も注意すべきことは何ですか?

最も注意すべきは弱視(じゃくし)のリスクです10。子供の視覚は発達途上にあり、強い乱視によって常にぼやけた映像が脳に送られると、脳はその目からの情報を正しく処理する能力を失い、視力の発達が止まってしまいます。この弱視は、後から眼鏡などで矯正しても視力が完全には回復しない永続的な視力障害となる可能性があります。そのため、3歳児健診などでの早期発見と、必要に応じた眼鏡による早期矯正が極めて重要です718

質問3:「正乱視」と「不正乱視」の違いは何ですか?なぜ重要なのでしょうか?

「正乱視」は角膜がラグビーボールのように規則的に歪んでいる状態で、最も一般的です。これは眼鏡やトーリックソフトコンタクトレンズで効果的に矯正できます7。一方、「不正乱視」は角膜の表面が不規則に凸凹している状態で、円錐角膜や眼の外傷などが原因です7。不正乱視は通常の眼鏡では矯正が困難であり、主に硬質ガス透過性(RGP)コンタクトレンズが必要となります15。この違いを正確に診断することが、効果的な治療法を選択するための第一歩となります。

質問4:LASIKとICL、どちらの手術が優れているのですか?

どちらが優れているかという問いに単純な答えはありません。それぞれに異なる利点と欠点があり、最適な選択は個人の目の状態や要望によって決まります。LASIKは角膜を削るため元に戻せませんが、費用は比較的安価です16ICLは角膜を削らず、レンズを取り出せば元に戻せる可逆性がありますが、費用は非常に高額で、眼内手術特有のリスクが伴います1635。角膜の厚さ、乱視の強さ、可逆性を重視するかどうかなどを総合的に判断し、専門医と相談することが重要です。


結論

乱視は、「自然に治る」という期待を持つべき状態ではなく、積極的な管理を必要とする医学的な屈折異常です。本記事を通じて明らかになったように、その原因は遺伝から後天的な要因まで多岐にわたり、症状は日常生活に顕著な影響を及ぼします。特に子供の場合、未治療の乱視は弱視という永続的な視力障害につながるリスクをはらんでおり、早期の専門的な診断と介入の重要性はいくら強調してもし過ぎることはありません。

幸いなことに、現代医学は眼鏡や各種コンタクトレンズから、オルソケラトロジー、そしてLASIKやICLといった外科手術まで、多岐にわたる効果的な治療選択肢を提供しています。重要なのは、これらの選択肢が全ての人に等しく適しているわけではないという事実です。「正乱視」か「不正乱視」か、乱視の程度、年齢、生活様式、経済状況、そして何よりも個人の価値観(例えば、可逆性をどれだけ重視するか)といった多くの要素が、最適な治療法の選択に影響します。

最終的な決定は、信頼できる眼科専門医との詳細なカウンセリングを経て、ご自身が納得のいく形で行われるべきです。本記事が提供する科学的根拠に基づいた情報が、皆様一人ひとりがご自身の視力の健康について賢明な決断を下すための一助となることを、JAPANESEHEALTH.ORG編集部一同、心より願っております。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康上の懸念や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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  33. ICLを考えている方へ | JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)有水晶体眼内レンズ情報. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: http://jscrs-icl.org/contents/consideration.html
  34. ICLはおすすめしない・やめた方がいいと言われる理由|手術の安全性やデメリットを解説. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://senshinkai-clinic.jp/column/article/59/
  35. ICLはやめた方がいい?ICLが向いている人・向いていない人 – よしだ眼科クリニック. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://yoshida-ganka.jp/icl/indication/
  36. ICLはやめた方がいい?ICLのメリット・デメリットについて解説. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://www.kozuki-eyeclinic.com/blog/icl-merit-demerit/
  37. 乱視のある方必見|ICL手術で矯正できる?適応と注意点を専門医が解説 – 八王子友愛眼科. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://infinity-med.com/lp/icl/column/icl-astigmatism/
  38. ICL(眼内コンタクトレンズ)の手術費用と保険について | アイクリニック東京【公式】. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://eyeclinic-tokyo.jp/expense/
  39. ICLの費用はどれくらいが相場?大手クリニックの料金、保証期間を比較 | 山崎眼科. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://yamazaki-eye.com/column/icl-cost/
  40. ICL(眼内コンタクトレンズ)の手術費用・料金-保険適用される? – よしだ眼科クリニック. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://yoshida-ganka.jp/icl/cost/
  41. よくある質問 | JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)有水晶体眼内レンズ情報. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: http://jscrs-icl.org/contents/faq.html
  42. ICLをご検討されている方へ|京都の「ももの木眼科」 – 白内障手術. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://momonoki-eyeclinic.jp/for-those-considering-icl/
  43. 屈折矯正手術のガイドライン(第 7 版) – 日本眼科学会. [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/lasik_7.pdf
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