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感染症 32分で読める 10回

微熱が続く原因|がんより感染症が多い理由と受診の目安を解説

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結論から言うと、微熱が続くときの多くは、ウイルス性の風邪や疲労・ストレスによる一時的な体温上昇であり、深刻な病気でないことがほとんどです。MSDマニュアルは、健常な人に起こる急性の発熱(4日以内)の原因としてウイルス性の上気道・消化管感染症の可能性が非常に高いと説明しています[1]。

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ただし、MSDマニュアルによれば、体温が直腸温で38.3℃以上あり、3週間を超えて原因がわからないまま続く場合は「不明熱」と呼ばれ、感染症だけでなく、全身性の炎症性疾患やまれに腫瘍が背景にあることもあるため、医療機関で系統立てた検査を受ける対象になります[3]。「がん」を心配して検索する人は多いものの、不明熱の原因のうち腫瘍が占める割合はおよそ2〜25%にとどまり、感染症(25〜50%)のほうが多いと報告されています[3]。まずは体温の記録をとり、下に示す「すぐに受診が必要なサイン」に当てはまらないかを確認してください。

要点まとめ

  • 体温には個人差があり、朝は低く夕方に高くなる日内変動が1日で約1℃ほどある[2]
  • 「発熱」は一般に37.5℃以上とされているが、正確な基準は測定部位や時間帯によって変わる[2][1]
  • 38.3℃以上の発熱が3週間を超えて原因不明のまま続く場合は「不明熱」と呼ばれ、系統的な検査の対象になる[3][4]
  • 不明熱の原因は感染症25〜50%、リウマチ性疾患10〜20%、腫瘍2〜25%、その他15〜25%と報告されており、腫瘍より感染症のほうが多い[3]
  • 40℃を超える高熱、意識の変化、呼吸困難、点状出血などがあれば様子を見ずすぐに受診が必要[1]

編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・学会・MSDマニュアル・J-STAGE掲載論文などの公的情報源と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。本記事は医師による個別の診断・治療の代わりにはなりません。数値・基準はガイドラインの改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報)。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

微熱とは?体温を決めるしくみと個人差

まず知っておきたいのは、「平熱」も「発熱」も、実は一つの数字ですべての人に当てはまるものではないということです。日本小児心身医学会は、体温について「視床下部で調整されていて、早朝に低く夕方に高くなる日内変動があります。1日で約1℃の変動があります」と説明しています[2]。同学会は続けて、発熱を「正常な日内変動の範囲を超えて上昇することです。一般に37.5℃以上とされています」と定義しています[2]。

より詳しい基準として、MSDマニュアルは測定部位によって体温の見え方が変わることを示しています。同マニュアルによると、直腸温と鼓膜温は口腔温と比べて約0.6℃高く、皮膚温は約0.6℃低いとされ、口腔温では「早朝で37.2℃以上」または「早朝以降のいずれかの時点で37.8℃以上」を高値の目安としています[1]。つまり、同じ体温でも測る場所や時間帯によって「発熱」と判定されるかどうかが変わるということです。だからこそ、自分の平熱を複数のタイミングで知っておくことが、体調変化に気づく助けになります。

「微熱」という言葉そのものに、学会や公的機関が定めた共通の数値基準があるわけではありません。一般には、はっきりした高熱(38℃台後半以上)ほどではないものの、いつもより体温が高い状態が続くことを指して使われることが多い表現です。この記事では、日本小児心身医学会が示す「37.5℃以上」というおおまかな目安と、MSDマニュアルが示す測定部位ごとの基準の両方を踏まえながら、体調の変化として気に留めるべきラインを紹介していきます[2][1]。

図:JHO編集部が作成

MSDマニュアルは発熱が起こるしくみについて、「体温は組織(特に肝臓および筋肉)での熱産生と末梢からの熱放散とのバランスによって決定される。正常では、視床下部の体温調節中枢によって体内温度は37〜38℃の範囲で維持されている」と説明しています[1]。MSDマニュアルは続けて、「発熱は何らかの原因で視床下部の設定値が引き上げられた際に発生し、血管収縮を誘発して末梢からの血流をシャントすることで熱放散を減少させ、ときにはシバリングを惹起して熱産生を増大させる」と述べています。この説明を言い換えると、MSDマニュアルが述べるように、体が意図的に「体温の物差し」そのものを高い位置に引き上げていることがわかります[1]。MSDマニュアルは、この設定値の引き上げにはインターロイキン1(IL-1)や腫瘍壊死因子α(TNF-α)、IL-6といったサイトカインなどの「発熱物質」が関わっていると説明しています[1]。

多くの人は発熱そのものを心配しますが、MSDマニュアルは「大半の急性感染症による中等度かつ一過性の深部体温の上昇(すなわち38〜40℃)は、健康な成人であれば十分に耐えられるものである」とし、感染に対する防御反応として発熱には意味があると考えられています[1]。MSDマニュアルは一方で、「極度の体温上昇(典型的には41℃を超える場合)では何らかの傷害が生じる可能性がある」とも述べており、体温の高さそのものより、どのくらいの高さがどれだけ続くか、他にどんな症状があるかを見ることが大切です[1]。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

「不明熱」の基準——学会・医学書が示す物差し

「微熱が続く」と検索する人の多くが本当に知りたいのは、「これは病院で詳しく調べてもらうべき体温なのか」という線引きだと思います。医学の世界では、この線引きにあたる考え方として「不明熱(fever of unknown origin、FUO)」という分類が使われています。MSDマニュアルは不明熱を「直腸温で38.3℃(101°F)以上の発熱のうち、自然に軽快する一過性の疾患、急速に死に至る疾患、ならびに明確な局所の症候または一般的な検査(胸部X線、尿検査、血液培養など)の異常を示す疾患のいずれにも起因しないもの」と定義しています[3]。

日本内科学会雑誌に掲載された解説論文も、ほぼ同じ考え方を示しています。同学会誌の論文は「不明熱は、1)38.3℃以上の発熱が3週間以上持続、2)3日間の入院精査あるいは3回の外来診療で原因不明と定義される」と述べています[4]。不明熱の症例に出会った場合はまず感染症・悪性腫瘍・膠原病という「3大不明熱疾患」を確認し、それらを否定できた場合に見逃されやすい他の疾患や自己炎症症候群との鑑別を進めると説明されています[4]。同学会誌はまた、臨床検査や画像診断の進歩により、不明熱に占める感染症や悪性腫瘍の比率は減少し、反対に非感染性の炎症性疾患や診断未確定のまま経過する例が増えていると述べています[4]。

不明熱の分類 定義
古典的不明熱 3日間の入院検査または3回以上の外来受診で原因が同定されない、3週間を超える発熱(直腸温38.3℃以上)
医療関連型不明熱 入院時に感染症の発症や潜伏がなかった急性期治療中の入院患者の発熱で、3日間の適切な評価後も診断が確定しない場合
免疫不全関連型不明熱 好中球減少症などの免疫不全がある患者の発熱で、3日間の適切な評価後(48時間後の培養陰性を含む)も原因が確定しない場合
旅行関連型不明熱 渡航関連の感染症のうち、生命を脅かすものや感染性のあるものの可能性を優先して考える必要がある場合

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版「不明熱」[3]/日本内科学会雑誌105巻3号「内科医が診る不明熱の鑑別診断」[4]

ここで大切なのは、「不明熱の基準に当てはまらないから安心」ではなく、「まだ3週間経っていない微熱でも、他に気になる症状が重なれば早めに相談してよい」という点です。不明熱の定義はあくまで、体系立てた精密検査に進むかどうかを判断するための一つの物差しであり、微熱の重症度そのものを測る基準ではないと考えられます。

すぐに受診が必要なサイン——受診の目安

次のいずれかに当てはまる場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。ここでは、微熱が続くときの受診の目安として、MSDマニュアルが発熱の診察で特に注意すべきとする「警戒すべき事項(Red Flag)」を紹介します。同マニュアルは次の9つを挙げています[1]。

  • 精神状態の変化(もうろうとする、いつもと様子が違うなど)
  • 頭痛、項部硬直(首の後ろが硬くなる)、またはその両方
  • 点状出血(皮膚の細かい赤い斑点)
  • 低血圧
  • 呼吸困難
  • 有意な頻脈または頻呼吸
  • 40℃を超える高体温、または35℃未満の低体温
  • マラリアなど重篤な感染症が流行している地域への最近の旅行
  • 免疫抑制薬の最近の使用

これら9項目はMSDマニュアルが発熱の診察で特に注意すべきとしている所見をすべて挙げたものです[1]。加えて、厚生労働省の結核・呼吸器感染症予防週間リーフレットは「せき・たんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう」と呼びかけており、後述する結核などの感染症を念頭に置いた受診が勧められます[9]。

これらのサインがなぜ重要かについて、MSDマニュアルはより具体的な解釈も示しています。同マニュアルによれば「頭痛、項部硬直、および点状出血または紫斑は髄膜炎を示唆する」とされ、続けて「頻脈(発熱時に通常みられる穏やかな上昇を超えるもの)および頻呼吸は、低血圧や精神状態の変化の有無にかかわらず、敗血症を示唆する」と説明されています[1]。つまり、体温そのものの高さよりも、これらの随伴症状が重なっているかどうかが、緊急度を判断するうえで重要な手がかりになります。MSDマニュアルは、重篤な疾患が疑われる場合は「直ちに積極的な検査を行う必要があり、しばしば入院が必要となる」とも述べています[1]。

微熱が続く原因——よくあるものから、まれだが重要なものまで

微熱が数日程度で終わる場合、MSDマニュアルは「健常者における発熱の大半は、ウイルス性の呼吸器または消化管感染症によるものである」と述べています[1]。同マニュアルによれば、健常な人に起こる急性発熱(持続期間が4日以内)の原因としては、上気道・下気道感染症、消化管感染症、尿路感染症、皮膚感染症が全体的に最も可能性が高く、気道と消化管の急性感染症の大半はウイルス性であるとされています[1]。この段階では、局所症状(せき・のどの痛み・下痢・排尿時の違和感など)の有無が、原因を絞り込む手がかりになります[1]。

一方で、微熱が数週間単位で続き、はっきりした原因がわからない場合には、視野を広げて考える必要があります。MSDマニュアルは不明熱の原因を大きく4つのカテゴリーに分け、それぞれの成人における割合の目安を示しています[3]。

原因のカテゴリー 成人での割合の目安 代表的な病気の例
感染症 25〜50% 結核、感染性心内膜炎、深部膿瘍、EBウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症など
全身性リウマチ性疾患 10〜20% 成人スチル病、巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど
腫瘍 2〜25% リンパ腫、白血病、腎細胞癌、卵巣がん、肝細胞癌など
その他 15〜25% 薬剤熱、深部静脈血栓症、甲状腺炎、炎症性腸疾患、詐熱など

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版「不明熱」の病因に関する解説より[3]

この4つを足しても100%には届きません。MSDマニュアルは「不明熱の原因で最も頻度が高いのは感染症である」としたうえで[3]、「成人の約10%では、不明熱の原因は同定されない」とも述べています[3]。つまり、精密検査を尽くしても最後まで原因がはっきりしないまま体調が落ち着いていく人も一定数いるということです。腫瘍を心配して検索する人は多いものの、この表からわかるように、腫瘍よりも感染症のほうが不明熱の原因としては頻度が高いと報告されています[3]。ただし、腫瘍が原因になり得ることも事実であり、体重減少や寝汗、リンパ節の腫れなどを伴う微熱が続く場合は、自己判断で様子を見続けず受診することが勧められます。

なお、MSDマニュアルは腫瘍が不明熱の原因として占める割合が近年は減少してきている理由について、「発熱の初期評価に今や広く用いられるようになった超音波検査やCTによってそれらの腫瘍が検出されているため」ではないかと考えられると述べています[3]。検査技術の進歩によって、以前よりも早い段階で原因が見つかりやすくなっている可能性があります。

結核など感染症による微熱——咳や体重減少を伴うとき

「風邪だと思っていたら、実は別の感染症だった」というケースの代表例として、結核が挙げられます。厚生労働省は結核について、「結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多い」と説明しており、風邪と見分けがつきにくいことを指摘しています[5]。厚労省は「結核を発症した場合、無治療でいると50%程度の方が亡くなってしまうといわれています」とも述べており、放置してよい病気ではありません[5]。

結核は過去の病気ではありません。厚生労働省の発生状況によると、「毎年新たに10,000人以上の患者が発生しており、1,400人以上が命を落としています。令和6年は10,051人が結核患者として登録されました」とされています[5]。新登録患者はおよそ6割が60歳以上の高齢者に多い一方、20〜29歳の新登録患者では外国生まれの割合が9割を占めているとも報告されています[5]。厚生労働省は「成人の方については、結核に限らずさまざまな疾患の早期発見のために胸部エックス線検査を1年に1回程度受けておくことが大切です」と呼びかけています[5]。厚生労働省のリーフレットが呼びかけるとおり、せきや痰が2週間以上続く場合や、微熱・体のだるさが続く場合は、風邪薬で様子を見続けず、内科や呼吸器内科を受診することが勧められます[9]。

結核以外にも、MSDマニュアルが不明熱の原因の一つとして挙げる感染性心内膜炎(心臓の弁などに細菌が感染する病気)や深部の膿瘍のように、体の奥深くで進行するために見つかりにくい感染症が、長引く微熱の原因になることがあります[3]。心臓に人工弁が入っている人や、歯周病の治療歴・静脈内カテーテルの使用歴がある人で微熱が続く場合は、こうした感染症も念頭に置いた検査が必要になることがあります[3]。感染症そのものが人にうつるのか、回復後どのくらい注意すればよいのかについては、ウイルス性発熱はうつる?感染経路、潜伏期間、症状回復後の注意点を専門家が徹底解説で詳しく取り上げています。

診断を進める際、医療機関ではしばしば血液培養検査が行われます。血液の中に細菌が入り込んでいないかを確認するこの検査は、感染性心内膜炎や敗血症が疑われる場合の中心的な検査の一つです。検査の方法や結果の読み方については血液培養検査のすべて|敗血症・感染症診断のゴールドスタンダードにまとめています。

ストレスで熱が続くことがある——心因性発熱・機能性高体温症

「検査をしても異常がないのに微熱が続く」というとき、見落とされがちなのが心理的なストレスによる体温上昇です。日本小児心身医学会は、これを「機能性高体温症(心因性発熱)」と呼び、「心理社会的ストレスの影響で体温調節機構が不調をきたし体温が高い状態となっているもの」と定義しています[2]。同学会は、感染症のような発熱とは異なり、これは厳密には「高体温」であり、「高体温:体温の調節が上手くできないために体温が上昇することです」と説明したうえで、一般に理解しやすいよう「発熱」という言葉を使って説明していると補足しています[2]。

この体温上昇のしくみは、成人でも研究が進んでいます。名古屋大学大学院の研究者による日本心身医学会雑誌の総説は、「心理ストレスが慢性的になり、ストレス性交感神経反応が持続するようになると…心因性発熱(psychogenic fever)と呼ばれる持続的なストレス性体温上昇を引き起こすことがあり、これは日常生活に支障をきたすことの多いストレス症状の1つである」と述べています[6]。日本心身医学会雑誌の同総説によれば、心理ストレスによる体温上昇と感染による発熱は、どちらも交感神経系を介して褐色脂肪組織での熱産生を高めるという共通の経路を持ちますが、脳の中でその経路のスイッチを入れるきっかけが異なり、感染による発熱は視索前野でのプロスタグランジンE2の作用を介して起こる一方、ストレス性の体温上昇は大脳皮質・辺縁系からのストレス信号が直接引き金になっていると考えられています[6]。

日本小児心身医学会は診断の進め方についても具体的に説明しており、まず発熱の原因となる他の病気や詐熱(自ら熱を作り出そうとする詐病の一種)がないかを確認します。同学会は「解熱薬を投与し、投与時と非投与時の熱型を比較して差がなければ、炎症が原因ではない高体温であるため機能性高体温症を考えます」としています[2]。さらに「発症前3〜6ヵ月間にストレスとなり得る心理社会的要因(家庭、職場、学校での葛藤、過重労働)があれば積極的に機能性高体温症を考えます」とも述べられています[2]。治療については、「生活指導、疾病教育、環境調整が主になります」とされ、規則正しい生活リズムを整えること、十分な睡眠をとること、屋外で汗をかく程度の運動を続けることなどが挙げられています[2]。

ここで注意したいのは、心因性発熱は検査で「異常なし」と言われるからといって軽んじてよいものではないという点です。日本小児心身医学会は、発熱そのものが疲労の原因になるため過労に注意が必要だと述べており、子どもの場合は「通常の検査で異常がなくても発熱することがある、風邪などの発熱とは異なり発熱以外の症状は少ないが仮病ではない」ことを本人や家族に伝えることが症状の改善に役立つと説明しています[2]。また、機能性高体温症は起立性調節障害との併存が報告されており、いずれも自律神経系の調節がうまくいかなくなっている点が共通していると考えられています[2]。大人・子どもを問わず、検査で異常がないまま微熱が続き、強い倦怠感や睡眠の乱れを伴う場合は、内科に加えて心療内科への相談も選択肢になります。

なお、機能性高体温症(心因性発熱)は、体温計そのものを操作したり意図的に発熱を装ったりする「詐熱」とはまったく別のものです。MSDマニュアルは詐熱について、「劇的で非定型の臨床像、詳細が曖昧で一貫しない、教科書の記載に基づく知識、心因性または習慣性の虚言」を伴う、除外診断によって判断されるものと説明しています[3]。一方、機能性高体温症はストレスへの生理的な反応として本人の意図とは関係なく体温調節機構が乱れる状態であり、日本小児心身医学会も「仮病ではない」ことを本人や家族に伝えることが治療の一部だとしています[2]。周囲の人が「気のせい」「サボりたいだけ」と決めつけないことが、回復への近道になると考えられます。

女性は体温が変わりやすい——月経周期と基礎体温

「女性は微熱が続きやすいのでは」と感じる背景には、月経周期にともなうホルモンの変化があります。排卵後の体温変化について、「排卵後、卵巣に残った卵胞は黄体となって黄体ホルモンを分泌します。黄体ホルモンには体温を上昇させ、子宮内膜を着床しやすい状態にするはたらきがあります。高温期はだいたい14日間つづき、この間に妊娠が成立しないと、子宮内膜がはがれ落ちて月経がはじまり体温が下がって、次の排卵がおこるまで低温期がつづきます」と、公益社団法人日本産婦人科医会は説明しています[7]。この体温の動きが、基礎体温表に低温期・高温期の二相性として現れます[7]。

この体温を上げるホルモンの働きについて、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、東京医科歯科大学・国立成育医療研究センターとの共同研究の解説として、「基礎体温は排卵が行われた後に分泌される女性ホルモンであるプロゲステロンの作用を受けて上昇するため、基礎体温を毎日測定することで排卵しているかどうかを推測できます」と述べています[8]。同機構はプロゲステロンについて、「排卵後に形成された黄体から産生され、視床下部の体温中枢に作用することで基礎体温を0.3から0.5度上昇させるといわれています」と解説しています[8]。つまり、月経周期の後半(黄体期)に体温がふだんより0.3〜0.5℃ほど高くなること自体は、多くの女性に起こる自然な変化であり、それだけで病気を意味するわけではないと考えられます。

日本人女性を対象にした大規模なデータでも、この変化が確認されています。AMEDが発表した、日本人女性31万人・600万月経周期分のビッグデータを解析した研究によると、卵胞期(低温期)の平均体温は年齢による変化がなく36.4度でほぼ一定であった一方、黄体期(高温期)の平均体温は10代から20代後半にかけて徐々に上昇し、29歳で36.7度まで上昇した後30代では安定し、42歳を過ぎると下降することが分かったと報告されています[8]。同じ研究では、基礎体温は卵胞期・黄体期ともに季節による変動も示し、「夏に高く、冬に低くなることが明らかになりました」とも報告されています[8]。体温が季節や周期によって変化する傾向があること自体は珍しくないため、「先月より少し体温が高い」というだけで慌てず、他の症状の有無と合わせて確認することが大切です。

もっとも、月経周期による説明で片づけてよいのは、あくまで0.3〜0.5℃程度の緩やかな体温上昇であり、38℃を超えるような発熱や、いつもの高温期よりも明らかに高い体温が続く場合は、婦人科系の感染症や別の病気が隠れている可能性も考えられます。基礎体温表をつけている人は、記録を持参して受診すると、体温のパターンから原因を絞り込む助けになります。

子どもの微熱・免疫力が下がっているときの微熱

子どもは大人よりも感染症にかかりやすく、繰り返し微熱を出すこと自体は珍しくありません。ただし、厚生労働省が指摘するように、結核は「特に、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です」とされており、子どもの微熱が長引く場合は大人以上に慎重な経過観察が必要です[5]。同省は生後1歳までのBCGワクチン接種によって、「小児の結核の発症を52〜74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64〜78%程度罹患リスクを減らすことができると報告されています」とも説明しています[5]。MSDマニュアルはまた、「発熱は健康な小児で熱性痙攣の誘因となることがある」とも述べており、幼い子どもの発熱では体温そのものだけでなく、けいれんの有無にも注意が必要です[1]。

子どもの発熱に市販薬を使うときの注意——アスピリンは使わない

子どもの発熱に家庭にある解熱薬を使おうとする前に、必ず確認してほしいことがあります。MSDマニュアルは、「サリチル酸系薬剤は、ライ症候群との関連が報告されているため、ウイルス性疾患の小児患者における発熱の治療に使用してはならない」と明確に述べています[1]。アスピリンはサリチル酸系薬剤の代表であり、水痘(水ぼうそう)やインフルエンザなどウイルス性の病気で発熱している子どもに使うと、まれに命に関わるライ症候群を引き起こす可能性があるとされています[1]。子どもの発熱に市販薬を使う場合は、成分にアスピリンやサリチル酸系の物質が含まれていないかを必ず確認し、迷ったときは自己判断で使わず、医師・薬剤師に相談してください。

また、子どもの場合もストレスによる機能性高体温症が起こり得ます。日本小児心身医学会は「小児の機能性高体温症では体温が40℃以上の高温になることがあるなど、成人と異なった特徴があります。また、子ども自身が心理社会的ストレスに自覚のない場合や発達途上でうまく言語化できない場合があり、心因がはっきりしないこともあります」と説明しています[2]。学校を休みたい・行きたくないという気持ちを本人がうまく言葉にできないまま、体温という形で表れることがあるという点は、大人が知っておきたい視点です。

一方、抗がん剤治療中や免疫抑制薬を使用中など、もともと免疫の働きが弱っている人では、通常なら軽い感染症でも重症化しやすく、発熱がより重要なサインになります。血液中の白血球(特に好中球)が少ない状態で発熱すると、感染症が急速に進行する危険があるとされており、こうした患者さんの発熱は自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関へ連絡することが強く勧められています。好中球減少と発熱のリスクについては好中球減少症のすべて:原因、発熱性(FN)のリスク、最新治療、感染予防策を徹底解説で詳しく解説しています。

高齢者の微熱は見た目より重いことがある

高齢の家族の体調変化を見るときは、体温計の数字だけに頼らないことが大切です。MSDマニュアルは高齢者の発熱について、「フレイルの高齢者では、感染が生じても発熱が起きる可能性が低く、たとえ感染により体温が上昇した場合でも、標準的な発熱の定義より体温が低いことがある」と述べています[1]。MSDマニュアルはさらに「局所の疼痛など他の炎症性症状もあまり著明とならないことがある」とし、「しばしば、肺炎や尿路感染症の発症初期にほかに精神状態の変化や日常生活機能の低下しかみられないこともある」と説明しています[1]。つまり、高齢の家族が「はっきりした熱は出ていないのに、なんとなく元気がない」「急にぼんやりしている」といった様子を見せたときは、微熱程度に見えても感染症の可能性を考えて受診を検討することが大切です。

MSDマニュアルは、「疾患の臨床像があまり重症ではないにもかかわらず発熱がみられる高齢者では、発熱がみられる若年成人と比べて、重篤な細菌感染症が生じる可能性が著しく高い」とも指摘しています[1]。高齢者では呼吸器感染症や尿路感染症に加えて皮膚・軟部組織感染症が原因の上位を占めているとされ、インフルエンザやCOVID-19、RSウイルス感染症などウイルス性の呼吸器感染症でも重篤な症状が現れやすいと報告されています[1]。高齢の家族の「なんとなくいつもと違う」という変化は、若い世代以上に注意して見る必要があると考えられます。

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のどの痛みを伴う微熱・発疹を伴う微熱に注意

微熱に喉の痛みが重なる場合、多くはウイルス性の風邪ですが、溶連菌感染症のように治療が必要な細菌感染症が隠れていることもあります。喉の痛みが強い、飲み込みにくい、発疹を伴うといった場合は、自己判断で市販薬だけに頼らず、耳鼻咽喉科や内科で検査を受けることが安心につながります。扁桃炎と溶連菌感染症の見分け方については扁桃炎と溶連菌感染症の違いとは?症状・検査・治療法を専門家が徹底解説で詳しく取り上げています。

また、微熱と一緒に発疹が出た場合も注意が必要です。MSDマニュアルは「発熱と発疹には、感染および薬剤に由来する原因が数多く存在する。点状出血または紫斑を主体とする発疹は特に注意が必要」と述べています[1]。薬を新しく飲み始めた後に微熱と発疹が同時に出た場合は、薬剤による発熱(薬剤熱)の可能性も考えられるため、自己判断で薬をやめたり続けたりせず、処方した医療機関に相談してください。大人の発熱を伴う発疹の見分け方は大人の発熱を伴う発疹:感染の有無、症状、原因、治療の完全ガイドでも解説しています。

日本の考え方と国際的な分類を比べる——不明熱のとらえ方

不明熱の考え方は、日本と海外の医学書とで大きく対立しているわけではありませんが、整理の仕方に違いがあります。両者を並べて見ることで、微熱が続くときにどのような視点で調べられているのかが見えてきます。

項目 日本内科学会雑誌の解説(2016年) MSDマニュアル プロフェッショナル版(国際的な分類)
基本の定義 38.3℃以上の発熱が3週間以上持続し、3日間の入院精査または3回の外来診療で原因不明[4] 直腸温38.3℃以上で、明確な局所症候や一般検査の異常のいずれにも起因しないもの(古典的不明熱の定義とほぼ同じ)[3]
整理の視点 症例に出会った場合の鑑別の「進め方」を重視。まず3大不明熱疾患(感染症・悪性腫瘍・膠原病)を確認し、次に見逃されやすい疾患、自己炎症症候群へと進む[4] 発症した「状況」による分類を重視。古典的・医療関連型・免疫不全関連型・旅行関連型の4つに分けて考える[3]
近年の傾向 感染症や悪性腫瘍の比率が減少し、非感染性炎症疾患や診断未確定例が増加していると指摘[4] 超音波検査やCTの普及により、腫瘍が原因として検出されやすくなり、不明熱の原因としての頻度は相対的に低下していると考えられている[3]

出典:日本内科学会雑誌105巻3号[4]/MSDマニュアル プロフェッショナル版「不明熱」[3]

この比較からわかるのは、日本内科学会雑誌の解説は「診察室でどの順番に疑っていくか」という実践的な手順に重点を置いている点です[4]。一方、MSDマニュアルの国際的な分類は「発熱がどんな状況で起きたか」によって最初から4つの型に分けることに重点を置いています[3]。日本内科学会雑誌は3大不明熱疾患として感染症・悪性腫瘍・膠原病を挙げ、MSDマニュアルも不明熱の原因の上位に感染症・全身性リウマチ性疾患・腫瘍を挙げていますが、これは二つの資料が「同じ結論に達している」ということではなく、それぞれ別の目的(鑑別の手順/発症状況による分類)で書かれた資料を並べたときに、重なって見える部分があるというのが正確な捉え方だと考えられます。

日本内科学会雑誌の解説は、実際の診察の進め方についても具体的に述べています。同学会誌によれば、不明熱の症例に出会った場合、「まず、3大不明熱疾患(感染症,悪性腫瘍,膠原病)を確認する。これらを否定できた場合,見逃されやすいその他の疾患,広義の自己炎症症候群,そして狭義の自己炎症症候群と鑑別を行い,診断する」という順序が示されています[4]。感染症の中でも「古くから不明熱として診断が難しい感染性心内膜炎は,頻回の血液培養と早期の心エコー検査が重要である」とされ、結核についても「肺内結核,肺外結核,粟粒結核の全てにおいて,念頭に置くべき疾患である」と述べられています[4]。3週間という期間の目安は、この順序立てた鑑別を進めるための区切りであり、それより短い期間の微熱であっても、随伴症状の内容によっては同じ順序で考えを進めていくことになります。

受診すると何を聞かれる?どんな検査をする?

微熱が続いて医療機関を受診すると、まず問診が丁寧に行われます。MSDマニュアルは、現病歴の聴取について「発熱の程度および持続期間と体温の測定方法を対象に含めるべきである」としています[1]。同マニュアルによれば、耳痛・頭痛・頸部痛・歯痛・咽頭痛・胸痛・腹痛・側腹部痛・関節痛の有無や、鼻閉・咳嗽・下痢・排尿症状、発疹やリンパ節の腫れの有無を確認することが手がかりになるとされています[1]。既往歴については、HIV感染症・糖尿病・がん・臓器移植・心臓弁膜症(特に人工弁)といった感染の素因となる病気や、全身性リウマチ性疾患・痛風・サルコイドーシス・甲状腺機能亢進症など発熱の素因となる病気の有無を確認するとされています[1]。最近の海外渡航歴、動物との接触、性交渉歴、職業上の曝露なども質問の対象になります[1]。

身体診察では、MSDマニュアルによると「発熱は直腸温を測定することで最も正確に診断される」とされ、皮膚の発疹やリンパ節の腫れ、心臓の雑音の有無などを全身にわたって確認します[1]。局所の症状がない場合は「あらゆる器官系で診断の手がかりが得られる可能性があるため、全身の診察が必要である」とされており、頭頸部・肺・腹部・関節・皮膚など幅広い範囲を診察することになります[1]。

検査については、局所症状の有無によって内容が変わります。局所の症状がなく、他は健康で重篤感もない場合、MSDマニュアルは「通常は検査を行わずに自宅で経過観察とすることが可能である」場合が多いとしています[1]。一方、重篤な疾患が疑われる場合や不明熱の基準に近づいている場合は、血算・白血球分画、赤沈やCRP、肝機能検査、尿検査、複数回の血液培養、HIV検査、ツベルクリン反応検査またはインターフェロンγ遊離試験などが行われ、必要に応じてCTやMRIなどの画像検査が追加されます[1]。検査の数が多く感じられても、それは原因をひとつずつ除外しながら絞り込んでいく過程であり、通常の手順であることを知っておくと、受診への不安が和らぐかもしれません。

受診時に持っていくメモ(コピーして使えます)

  • 体温の記録:いつから続いているか、朝・昼・夜でどう変化するか、最高で何℃まで上がったか
  • 体温以外の症状:咳・のどの痛み・関節痛・発疹・体重の変化・寝汗・リンパ節の腫れなど
  • 最近の海外渡航歴、動物との接触、周囲で流行している感染症の有無
  • 現在服用中の薬(サプリメントを含む)、新しく始めた薬があればその開始日
  • 女性の場合:直近の月経周期、基礎体温の記録(つけている場合)
  • 医師に聞きたいこと:不明熱の基準に該当するか、追加の検査が必要か、何科に紹介が必要か

「微熱」という言葉そのものに全員へ一律に当てはまる体温の数値基準は、今回参照した資料の中には見当たりませんでした。今回参照した日本小児心身医学会やMSDマニュアルが示しているのは、あくまで「発熱」の目安(一般に37.5℃以上、または測定部位ごとの基準)と、「不明熱」という3週間以上続く原因不明の高い発熱に対する基準であり、その中間にある「微熱」という言葉の使われ方には、施設や資料によって幅があると考えられます[2][1]。また、心因性発熱がどのくらいの割合の人に起こるのかについても、成人を対象にした信頼できる全国規模のデータは今回確認できませんでした。体温の感じ方や心配の度合いには個人差が大きいため、数字だけで安心・不安を決めず、続く期間や他の症状と合わせて医療機関に相談することをおすすめします。

よくある質問

微熱は何度からを指しますか?
「微熱」という言葉自体に、学会が定めた共通の数値基準はありません。日本小児心身医学会は、発熱について「正常な日内変動の範囲を超えて上昇することです。一般に37.5℃以上とされています」と説明しており[2]、これより低いものの、いつもの自分の平熱より高い状態が続くことを指して「微熱」と表現することが多いと考えられます。体温は測定部位によっても変わるため[1]、自分の平熱を複数の場面で知っておくことが判断の助けになります。
微熱が続くのは風邪ですか、それとも他の病気ですか?
数日程度の微熱であれば、MSDマニュアルが述べるとおり「健常者における発熱の大半は、ウイルス性の呼吸器または消化管感染症によるもの」であり、風邪の可能性が高いといえます[1]。一方で、MSDマニュアルによれば、3週間を超えて38.3℃以上の発熱が原因不明のまま続く場合は「不明熱」に分類され、感染症以外にリウマチ性疾患や腫瘍が背景にあることもあるため[3]、長引く場合は医療機関での検査が勧められます。
微熱とがんは関係がありますか?
まったく無関係とは言えませんが、不明熱(3週間以上続く原因不明の発熱)の原因として腫瘍が占める割合は限定的です。MSDマニュアルによると、不明熱の原因のうち腫瘍は成人の2〜25%程度とされ、感染症(25〜50%)のほうが頻度が高いと報告されています[3]。体重減少や寝汗、リンパ節の腫れなどを伴わない微熱だけで過度に心配する必要はありませんが、こうした症状を伴って長引く場合は、念のため受診して調べてもらうと安心です。
女性は生理前後に微熱が続くことがありますか?
あり得ます。日本産婦人科医会は、排卵後に黄体ホルモンが分泌され「体温を上昇させ」、高温期がおよそ14日間続くと説明しています[7]。AMEDが紹介する研究でも、プロゲステロンの作用で基礎体温が0.3〜0.5℃程度上昇するといわれています[8]。この範囲の緩やかな体温上昇は自然な変化と考えられますが、38℃を超えるような発熱や、いつもの高温期より明らかに高い体温が続く場合は、別の原因も考えて受診してください。
子どもが微熱を繰り返すのはなぜですか?
子どもは大人より感染症にかかりやすいため、微熱を繰り返すこと自体は珍しくありません。ただし、厚生労働省は結核について「特に、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です」と述べており[5]、長引く微熱は慎重に見る必要があります。また、日本小児心身医学会は、子どものストレスが体温という形で表れる「機能性高体温症」もあり、体温が40℃以上になることもあると説明しています[2]。気になる場合は小児科に相談してください。
喉の痛みと微熱が一緒に続くときは何を疑いますか?
多くはウイルス性の風邪ですが、溶連菌感染症のように抗菌薬による治療が必要な細菌感染症のこともあります。飲み込みにくいほどの強い喉の痛みや、発疹を伴う場合は、市販薬だけで様子を見ず、内科や耳鼻咽喉科で検査を受けることをおすすめします。詳しい見分け方は本文中で紹介した扁桃炎と溶連菌感染症についての記事もあわせてご覧ください。
微熱が続くとき何科を受診すればいいですか?
まずは内科(一般内科・総合診療科)で問診と血液検査を受けるのが基本です。せきや痰が目立てば呼吸器内科、関節の痛みが目立てば膠原病内科、検査で異常がなく強いストレスに心当たりがあれば心療内科への相談も選択肢になります。厚生労働省が呼びかけるとおり、成人は年に1回程度の胸部エックス線検査を健診で受けておくことも、原因の早期発見につながります[5]。
ストレスだけで熱が出ることはありますか?
あります。これは医学的には「機能性高体温症(心因性発熱)」と呼ばれ、日本小児心身医学会は「心理社会的ストレスの影響で体温調節機構が不調をきたし体温が高い状態となっているもの」と説明しています[2]。名古屋大学大学院の研究者による総説でも、慢性的な心理ストレスが持続的な体温上昇を引き起こすことがあると報告されています[6]。ただし、これは他の病気がないことを確認したうえで考えるべき診断であり、自己判断で決めつけず医療機関に相談してください。
不明熱と診断されたらどんな検査をしますか?
MSDマニュアルによれば、不明熱の評価では病歴の聴取(発熱の持続期間・海外渡航歴・既往歴・薬歴など)と身体診察を丁寧に行ったうえで、血算、赤沈やCRP、肝機能検査、尿検査、複数回の血液培養、画像検査(CTやMRIなど)を組み合わせて原因を絞り込んでいきます[1]。MSDマニュアルによれば、局所の症状が見つかった場合は、その部位に応じた検査が追加されます[1]。検査には時間がかかることもありますが、焦らず医師の説明を聞きながら進めることが大切です。
微熱くらいなら、水分をとって様子を見ていて大丈夫ですか?
局所の症状がなく、他は健康で重篤感がない場合、MSDマニュアルは「通常は検査を行わずに自宅で経過観察とすることが可能である」場合が多いと述べています[1]。水分をこまめにとり、無理をせず休養することは、多くのウイルス性の微熱で理にかなった対応と考えられます。ただし、MSDマニュアルが警戒すべき事項として挙げる40℃を超える高熱、呼吸困難、意識の変化などが一つでも当てはまる場合や、微熱が1週間以上ずるずると続く場合、体重減少や強い倦怠感を伴う場合は、様子を見続けず医療機関に相談してください[1]。

参考文献

  1. MSDマニュアル プロフェッショナル版「発熱」(最終更新日:2024年7月) msdmanuals.com/ja-jp/professional
  2. 一般社団法人日本小児心身医学会「機能性高体温症(心因性発熱)」(岡山大学病院ダイバーシティ推進センター・小児医療センター 藤井智香子) jisinsin.jp
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版「不明熱」(最終更新日:2024年7月) msdmanuals.com/ja-jp/professional
  4. 井田弘明「内科医が診る不明熱の鑑別診断」日本内科学会雑誌105巻3号(2016年) jstage.jst.go.jp/article/naika/105/3/105_457
  5. 厚生労働省「結核」 mhlw.go.jp
  6. 中村和弘「ストレス性体温上昇の神経機序―感染性発熱との比較から―」日本心身医学会雑誌60巻3号(2020年)名古屋大学大学院医学系研究科統合生理学分野 jstage.jst.go.jp/article/jjpm/60/3/60_203
  7. 公益社団法人日本産婦人科医会「排卵があると、なぜ基礎体温が低温期と高温期の二相性を示すのですか?」(2018年3月7日作成) jaog.or.jp
  8. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「ビッグデータの解析により日本人女性の月経周期と基礎体温に新知見」(令和2年9月11日、東京医科歯科大学・国立成育医療研究センターとの共同発表) amed.go.jp
  9. 厚生労働省「結核・呼吸器感染症予防週間リーフレット」(令和7年度版) mhlw.go.jp/content/001556413.pdf

更新日:2026年7月26日。本記事の内容に誤りや古い情報にお気づきの際は、お知らせください。事実を確認のうえ訂正いたします。

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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