黒い便が出る原因は?一回だけでも危険なサインと受診の目安
この記事でわかること
目次
結論: 黒い便(タール便・黒色便)は、鉄剤や一部の食品で一時的に起こることもありますが、胃や十二指腸からの出血(消化管出血)のサインである可能性があり、MSDマニュアル家庭版は吐血・血便とあわせて黒色便を緊急事態とみなすべきとしています[2]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
立ちくらみ・失神・脈が速い・冷や汗・強い腹痛のいずれかを伴う場合はただちに119番通報または救急受診が必要です。MSDマニュアルプロフェッショナル版の考え方を踏まえると、これらのサインがなく、鉄剤やビスマス系の薬、色の濃い食品に心当たりがある場合は数日の経過観察でよい可能性もありますが、続くようなら消化器内科を受診してください[4]。
要点まとめ(20秒で確認)
- MSDマニュアル家庭版によれば、吐血・血便・黒色便はいずれも緊急事態とみなす必要があるとされています[2]
- MSDマニュアルプロフェッショナル版によれば、黒色便が出るには約100〜200mLの上部消化管出血が必要とされ、止血後も数日間続くことがあります[4]
- 同プロフェッショナル版は、潜血が認められない黒い便は鉄・ビスマス・種々の食物の摂取に起因すると考えられるとしており、原因は出血だけではありません[4]
- 日本消化器内視鏡学会のガイドラインによれば、黒色便は吐血に比べて内視鏡での止血処置が必要になる割合が低い(黒色便32.2%に対し吐血59.7%)というデータもあります[5]
- 「宿便」は医学の診断名として確立した概念ではなく、腸壁に便がこびりつくという一般的なイメージについては懐疑的な見解もあります[7]。黒い便の原因として持ち出すのは適切ではありません
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。本記事で使用している出典は末尾の参考文献に番号付きで示しており、どの記述がどの資料に基づくかをたどれるようにしています。
受診前のセルフ確認(判断の参考であり、診断ではありません)
以下は、あとの章で説明する内容を先に一覧にしたものです。自分で「大丈夫」と決めつけるためではなく、電話や受診のときに状況を整理して伝えるために使ってください。
- 吐血・コーヒーのかすのような嘔吐物はあるか
- 便または嘔吐物に大量の血液が混じっているか(目安として250mL以上、あるいは「明らかに量が多い」と感じるほど)
- 立ちくらみ・めまい・失神はあるか
- 脈が速い(目安として1分間に100回超)、動悸、冷や汗はあるか
- 強い腹痛はあるか
- ここ数日、鉄剤・ビスマス系の胃腸薬・色の濃い食品(レバー、いか墨、のりなど鉄分や着色の強いもの)をとったか(※この一文はJHO編集部の目安であり、参照資料に個別の食品名が明記されているわけではありません)
- 黒い便が出たのは何回目か、いつからか
上の5つのうち1つでも当てはまる場合は、下の章を読む前にまず119番通報または救急受診を検討してください。
黒い便に気づいたら、まずここを確認してください(受診の目安)
次のサインが1つでもあれば、様子を見ずに、ただちに119番通報するか救急外来を受診してください。
- 吐血、またはコーヒーのかすのような色をした嘔吐物がある — MSDマニュアル家庭版は、吐血について、鮮紅色の場合と、血液が胃酸で一部消化されてコーヒーかすのような見た目になる場合があるとしています[2]
- 便または嘔吐物に大量の血液が混じっている — MSDマニュアル家庭版は、警戒すべき徴候として「便または嘔吐物への250ミリリットル以上の出血」を挙げています[2](何mLかを自分で正確に量るのは難しいはずです。「明らかに量が多い」「便器の水が真っ赤に染まるほど」と感じる場合は、この徴候に該当すると考えて受診してください)
- 立ちくらみ、めまい、失神がある — MSDマニュアル家庭版は、警戒すべき徴候として「失神」を挙げています[2](「立ちくらみ・めまい」は、はっきりした失神には至らない軽い症状も見逃さないよう、JHO編集部が安全側に広げて加えたものです。MSD側の徴候として明記されているのは「失神」です)
- 脈が速い、動悸がある — MSDマニュアル家庭版は「頻脈(身体活動なしで毎分100回を超える)」を警戒すべき徴候の1つとしています[2]
- 重度または長時間の発汗(冷や汗)がある — MSDマニュアル家庭版が挙げる警戒すべき徴候の1つです[2]
- 強い腹痛を伴う — 日本消化器病学会の患者向けガイドは、潰瘍がさらに深くなって穿孔すると激しい腹痛を感じ、緊急入院が必要になるとしています[1]
上記のうち、250mL以上の出血・失神・頻脈・発汗過多の4項目は、MSDマニュアル家庭版が「警戒すべき徴候」として挙げているものそのものです。「吐血・コーヒーかすのような嘔吐物」は、同じ資料が消化管出血のサインとして緊急事態とみなすべきだとしている内容です[2]。「立ちくらみ・めまい」と「強い腹痛」は、この公式リストにはない項目ですが、それぞれ貧血の初期症状・穿孔の徴候として他の資料が示しているため、JHO編集部の判断で安全側に追加しています[1]。
MSDマニュアル家庭版は、消化管出血がある場合は直ちに医師の診察を受ける必要があるとしつつ、唯一の例外として、出血の徴候が排便後にトイレットペーパーに血が付着している程度で、上記のような警戒すべき徴候がなく体調にほかの異常もなければ、1〜2日程度の受診の遅れは問題にならないとしています[2]。ただし、これは「トイレットペーパーへの血の付着」に限った話であり、便自体が黒くタール状になっている場合にそのままあてはめてよい基準ではない点には注意してください。MSDマニュアル家庭版は別の箇所で、吐血・血便・黒色便そのものは緊急事態とみなす必要があると述べています[2]。
日本消化器病学会の患者向けガイドも、消化性潰瘍から多量に出血すると、吐血や下血(黒色便)のほかに、めまいや動悸といった貧血症状があらわれるとし、こうした症状が出たときは緊急入院が必要なので昼夜を問わずすぐに受診するよう呼びかけています[1]。自己判断で様子を見てよいといえるのは、これらのサインがなく、後の章で説明する鉄剤・ビスマス系の薬・食品など原因にはっきり心当たりがある場合に限られます。それ以外は、自己判断で様子を見続けず医療機関に相談することが大切です。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
黒い便(タール便)とは? 体の中で何が起きているのか
黒い便は、医学的には黒色便、あるいはコールタールのような見た目からタール便とも呼ばれます。MSDマニュアル家庭版は、黒色便について、出血部位が食道、胃、小腸にある場合に多くみられ、血液が胃酸や酵素、大腸に生息している細菌に数時間にわたりさらされて黒くなるためだと説明しています[2]。MSDマニュアル家庭版はさらに、黒色便は出血が止まった後も数日間続くことがあるとしています[2]。
MSDマニュアルプロフェッショナル版は、この黒色便という症状についてもう少し詳しく踏み込み、典型的には上部消化管出血を示唆するが、小腸または右側結腸が出血源である場合もあるとしています[4]。上部消化管とは、食道・胃・十二指腸を指す言葉です。MSDマニュアルの同版はまた、黒色便には約100〜200mLの上部消化管出血が必要だとも述べています[4]。これは、ごく少量の出血では黒色便として自覚されるまでには至らないことがある、ということでもあります。逆にいえば、便が黒く変化して気づく時点で、すでにある程度の量の出血が起きている可能性を考える必要があります。
一方で、便に含まれる血液がわずかな場合には、見た目ではまったく気づかれないこともあります。MSDマニュアル家庭版「消化性潰瘍」の解説では、便中の血液が少量の場合は気づかれないこともあるが、それでも出血が続けば貧血になる可能性があるとされています[3]。つまり、目に見える黒い便がないからといって、消化管からの出血が完全に否定されるわけではありません。原因不明の貧血や倦怠感が続く場合には、この点もあわせて考える必要があります。なお、立ちくらみの原因が今回のような急な出血ではなく、慢性的な鉄不足によるものと考えられる場合は、思春期の貧血による立ちくらみの記事もあわせて参考にしてください。
出血の起こり方によって、体に出る症状の種類も変わってきます。MSDマニュアル家庭版は、重篤な失血が突然に起こると、それに伴い脈拍が速まり血圧が低下し尿量が減少することがあり、手足が冷たく湿ることもあるとしています[2]。同マニュアル家庭版によれば、重度の出血によって脳への血流量が減少すると、錯乱、見当識障害、眠気、極度の低血圧(ショック状態)が起こることがあるとされ、これが本記事の警戒すべきサインの根拠になっています[2]。一方で、同マニュアル家庭版は、失血が緩慢で慢性的な場合には、貧血(赤血球の減少)の症状や徴候として、筋力低下、疲れやすさ、蒼白、胸痛、めまいなどを起こすことがあるとも述べています[2]。つまり、急な大量出血では「今すぐ危険」というサインが強く出やすいのに対し、少量の出血がじわじわ続く場合は、貧血の症状としてゆっくり自覚されることもある、という違いがあります。どちらのパターンであっても、自己判断で放置してよいわけではありません。
ここで重要なのは、黒い便がすべて出血によるものとは限らないという点です。MSDマニュアルプロフェッショナル版は、潜血が認められない黒い便は、鉄、ビスマス、種々の食物の摂取に起因すると考えられ、(出血による)黒色便と間違えてはならないと注意を促しています[4]。この「原因を2つに分けて考える」という視点を、次の章で詳しく整理します。
原因を2つに分けて考える — 心配の少ないものと、急いで調べるべきもの
黒い便の原因は、大きく分けて「薬や食品による見かけ上の黒さ」と「消化管からの出血による黒さ」の2つに分けて考えることができます。どちらであるかを自分だけで確実に見分けることはできないため、下の表はあくまで整理のための目安とし、迷う場合や警戒すべきサインがある場合は必ず医療機関に相談してください。
| 分類 | 主な原因 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 薬・食品による黒さ(出血以外) | 鉄剤(貧血治療薬) | 医薬品インタビューフォームは、鉄剤の投与により便が黒色を呈することがあり、便の黒色化は未吸収の鉄によるものでこのこと自体は有害ではないとしています[6] |
| ビスマス製剤、色の濃い食品など | MSDマニュアルプロフェッショナル版は、潜血が認められない黒い便は鉄・ビスマス・種々の食物の摂取に起因すると考えられるとしています[4](個別の食品名は、この資料には明記されていません) | |
| 消化管からの出血による黒さ | 消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)からの出血 | 日本消化器病学会は、潰瘍から出血すると血液が混じった黒い便が出たり、出血が大量の場合には吐血をしたりするとしています[1] |
| 食道静脈瘤からの出血 | MSDマニュアル家庭版は、上部消化管出血の一般的な原因の1つとして食道にある静脈の拡張(食道静脈瘤)を挙げています[2] | |
| そのほかの上部消化管出血、小腸・右側結腸からの出血 | MSDマニュアルプロフェッショナル版は、黒色便は小腸または右側結腸が出血源である場合もあるとしています[4] |
出典:日本消化器病学会「患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド2023」[1]/MSDマニュアル家庭版「消化管出血」[2]/MSDマニュアル プロフェッショナル版「消化管出血の概要」[4]/医薬品インタビューフォーム(フェロミア錠)[6]
消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)そのものについて、日本消化器病学会の患者向けガイドは、胃酸や消化酵素が胃や十二指腸の壁を深く傷つけることによって起こる病気で、原因の多くはヘリコバクター・ピロリ菌の感染によるもので、次に多いのが痛み止めの薬(非ステロイド性抗炎症薬)によるものだとしています[1]。日本消化器病学会の同ガイドはさらに、消化性潰瘍が進行すると潰瘍から出血をきたすことがあり、出血をきたすと黒色便が出たり吐血するような症状が出現するとしたうえで、高度の出血をきたした場合には内視鏡で止血治療を行うと説明しています[1]。同ガイドによれば、胃潰瘍はおよそ2万人、十二指腸潰瘍はおよそ3,300人と推定されており(厚生労働省の2017年度調査)、いずれも年々減少してきているとされています[1]。この減少の背景として、日本消化器病学会は、消化性潰瘍の主な原因であるピロリ菌の感染者数が減ってきたことと、ピロリ菌の除菌治療が普及したことを挙げています[1]。同ガイドはまた、ピロリ菌に感染すると胃や十二指腸の粘膜に炎症を起こしたり、粘膜を守る粘液が減ることで粘膜が胃酸によって傷つきやすくなり、そこから潰瘍ができるとしています[1]。
MSDマニュアル家庭版「消化性潰瘍」も同様に、出血は潰瘍で最もよくみられる合併症で、痛みがなくても出血していることがあるとしています。MSDマニュアルの同解説によれば、鮮紅色の血液や、血液が一部消化されてコーヒーかすのように見える赤褐色のかたまりの嘔吐(吐血)、黒いタール状の便(黒色便)、はっきりと分かる血が付着した便(血便)は、出血している潰瘍の症状である可能性があるとされています[3]。MSDマニュアル家庭版は、失血すると筋力低下、立ち上がったときの血圧低下、発汗、のどの渇き、失神を生じることもあるとも述べています[3]。また、MSDマニュアル家庭版によれば、ヘリコバクター・ピロリによる潰瘍がある人では、後に胃がんを発症する可能性が3〜6倍高くなるともされており[3]、繰り返す潰瘍や治りにくい潰瘍では、この点を含めた精密な検査が必要になることもあります。
薬・食品による黒さの代表例として、鉄剤(貧血の治療に使われる薬)があります。PMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開している医薬品インタビューフォームには、鉄剤の投与により便が黒色を呈することがあると明記されています[6]。同インタビューフォーム(PMDA公開)によれば、便の黒色化は体に吸収されなかった鉄によるもので、このこと自体は有害ではないが、患者にはあらかじめよく説明しておく必要があるとされています[6]。貧血の治療で鉄剤を処方されている人が便の黒さに気づいた場合、多くはこの機序によるものと考えられますが、それでも警戒すべきサインを伴う場合や、鉄剤をやめても黒さが続く場合は、念のため受診することをおすすめします。思春期の鉄欠乏性貧血で鉄剤を服用している場合の注意点は、思春期の鉄欠乏性貧血の記事もあわせてご覧ください。
血をさらさらにする薬・痛み止めを使っている場合の注意
ふだんから血をさらさらにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)や、痛み止めとして非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を服用している人は、黒い便が出血によるものである可能性がより高く、また出血が起きたときに重くなりやすいので、とくに注意が必要です。MSDマニュアル家庭版は、出血の原因または悪化の可能性がある薬剤として、抗凝固薬(ヘパリン、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバンなど)と、血小板機能に影響を及ぼす薬剤(アスピリン、その他の特定のNSAID、クロピドグレルなど)を挙げています[2]。同マニュアル家庭版は、胃酸に対する防御バリアに影響を及ぼす薬剤(NSAIDなど)や、気分・精神状態に影響を及ぼす薬剤(選択的セロトニン再取り込み阻害薬など)も出血の原因や悪化に関わりうるとしています[2]。
日本消化器病学会の患者向けガイドは、脳卒中や心筋梗塞になった人、あるいはその危険性がある人は、再発予防のためにアスピリンを処方されることがあり、アスピリンも非ステロイド性抗炎症薬の1種なので、潰瘍のある人や潰瘍になったことのある人では注意が必要だとしています[1]。同ガイドは、当てはまる人は主治医に相談することをすすめています[1]。
| 薬の種類 | 代表的な薬 | 出血との関わり |
|---|---|---|
| 抗凝固薬 | ヘパリン、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバンなど | MSDマニュアル家庭版が、出血の原因または悪化の可能性がある薬剤として挙げています[2] |
| 血小板機能に影響する薬 | アスピリン、その他の特定のNSAID、クロピドグレルなど | 同上[2]。日本消化器病学会は、とくにアスピリンについて、潰瘍のある人・既往がある人は注意が必要としています[1] |
| 胃酸への防御バリアに影響する薬 | NSAID全般など | MSDマニュアル家庭版が挙げています[2] |
出典:MSDマニュアル家庭版「消化管出血」[2]/日本消化器病学会「患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド2023」[1](具体的な用量は本記事では扱いません。服薬の継続・中止は必ず処方医の判断に従ってください)
⛔ 黒い便に気づいても、血をさらさらにする薬や痛み止めを自己判断で中止しないでください。これらの薬は、脳卒中・心筋梗塞などを防ぐために処方されていることが多く、自己判断でやめるとかえって別の重大な病気のリスクが上がることがあります。黒い便に気づいたら、薬を飲み続けたまま、警戒すべきサイン(吐血、立ちくらみ・めまい・失神、頻脈、冷や汗、強い腹痛)の有無を確認し、受診時に、今飲んでいる薬として必ず医師に伝えてください。薬を中止するかどうかは医師が判断します。
「宿便」という言葉について — 医学的にはどう考えられているか
黒い便を調べていると、「宿便」という言葉を目にすることがあります。宿便は、腸壁に古い便がこびりついて長期間たまっているというイメージで語られることが多い言葉ですが、これは医学の診断名として確立した概念ではありません。
日本東洋医学会の学術誌に掲載された、漢方医と消化器内科医とのやりとりでは、消化器内科の専門医の立場から、前処置なしの大腸内視鏡検査も数多く行われているが、腸管に便が長期間固着したとする事例は報告されていないと思うという指摘がなされています[7]。同学会誌に掲載された同じ手紙の中で、この消化器内科医は、ある症例の症候が「宿便」であるとしても、その本態は腸管にこびりついた便によって種々の症状を来すということではなく、消化管運動異常の結果として便が腸の一部に滞留することだろうと推察するとも述べています[7]。さらに同じ手紙の中でこの消化器内科医は、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの機能性消化管障害でこのような「宿便」を証明した報告は現在のところないとしつつ、適切な検査方法がないだけで「宿便」の病態解明はこれからの大きな研究課題であるとも述べています[7]。これらはすべて、疑問を呈した消化器内科医、洲崎文男氏(横浜南共済病院消化器内科)自身の言葉です。
これに対し、この症例を最初に報告した漢方医(寺澤捷年氏、和漢診療科)は、同じ学術誌への返信の中でこの指摘に反論しています。腸管壁にバリウムが数日間(該当の症例では3日間)付着し続けていたという画像所見について、「これは一つの宿便の形を捕らえたものと考えて誤りが無いものと私共は考えております」と述べ、消化管運動異常による便の滞留という代替の説明については「これは本論文を全否定するご見解で納得できません」として同意していません[7]。つまり、この論争は、疑問を呈した消化器内科医・宿便の実在を主張する漢方医のどちらも自説を撤回しないまま終わっており、専門家の間でも見解が分かれた、決着していない話だというのが正確なところです。
この記事で確実にいえるのは、①腸壁にこびりついた古い便を出すとうたう市販の健康食品や施術と、黒い便・タール便が示す消化管出血の可能性とは、まったく別の話であること、②宿便が出ただけだと自己判断して、前の章で説明した警戒すべきサインを見過ごすのは危険だということです。実際、今回この記事で参照した日本消化器病学会やMSDマニュアルなど、消化管出血を専門に扱う資料には「宿便」という言葉自体が登場しません。黒い便に気づいたときは、「宿便」という言葉で片づけず、まずはこの記事の受診の目安を確認してください。
「一回だけ」出た場合はどうする? 下痢・便秘との関係
黒い便が一回だけ出て、その後は普通の便に戻った、という場合にどう考えればよいかは、多くの人が気にする点です。まず大前提として、警戒すべきサイン(吐血、立ちくらみ・めまい・失神、頻脈、冷や汗、強い腹痛)がある場合は、たとえ一回だけであっても様子を見ずにただちに受診してください。MSDマニュアル家庭版は、吐血、血便、黒色便を緊急事態とみなすべきとしており[2]、この基準に「何回出たか」は含まれていません。
そのうえで、こうしたサインがなく、鉄剤やビスマス系の薬、色の濃い食品に心当たりがある場合は、それらの影響による一時的な変化である可能性があります。MSDマニュアルプロフェッショナル版が、潜血が認められない黒い便は鉄・ビスマス・種々の食物の摂取に起因すると考えられるとしている点は前述のとおりです[4]。原因となりうるものの摂取をやめたあとに便の色が数日で普通に戻るようであれば、その可能性が高いと考えられますが、それでも心配な場合や、黒さが続く場合、繰り返す場合は消化器内科に相談することをおすすめします。
一方で、警戒すべきサインはないものの、薬や食品にも心当たりがない、という場合は注意が必要です。日本消化器内視鏡学会のガイドラインは、黒色便(下血)は上部消化管出血を疑う症状の1つであるとしたうえで、吐血と比べると内視鏡での止血処置が必要になった割合は低い(黒色便32.2%に対して吐血59.7%)というデータを紹介しています[5]。つまり、同ガイドラインが示すデータを見る限り、黒色便が出たからといって必ずしも大がかりな緊急処置が必要になるわけではありませんが、上部消化管出血を疑う症状であること自体は変わりません[5]。1回で治まったからと自己判断するのではなく、早めに消化器内科を受診して原因を確認することをおすすめします。
MSDマニュアルプロフェッショナル版によれば、黒い便に下痢を伴う場合は、出血量が比較的多いか、腸の中を血液が速く通過している可能性を考える必要があります[4]。MSDマニュアルの同版は、血便(下部消化管出血で多くみられる、肉眼で赤く見える出血)について、出血量が多い場合には上部消化管出血でも鮮血便を呈することがあるともしています[4]。黒い便に下痢を伴う場合や、便の色が黒から赤みを帯びた色に変化していくような場合は、自己判断で様子を見ず、早めに受診してください。逆に、便秘が続いたあとにかたく黒っぽい便が出た、という場合は、便が長く腸内にとどまることで色や性状が変化して見えることもありますが、これが出血によるものか、便秘に伴う変化なのかを自分で見分けることはできません。前の章で説明したとおり「宿便」という言葉で自己判断せず、警戒すべきサインがないかを確認したうえで、心配なら消化器内科に相談してください。
何科を受診する? 受診の流れと検査でわかること
黒い便で受診する場合、窓口となるのは消化器内科(消化器内視鏡を扱う医療機関)です。前の章までで説明した警戒すべきサイン(吐血、立ちくらみ・めまい・失神、頻脈、冷や汗、強い腹痛)がある場合は、消化器内科の外来を待たずに救急外来を受診するか、119番通報してください。
日本消化器病学会の患者向けガイドによれば、胃痛や腹痛などの症状から消化性潰瘍が疑われた場合、まず内視鏡検査やバリウム検査(X線造影検査)で潰瘍の有無を確認します。最近は内視鏡検査を行うことが多く、とくに出血が疑われる場合は緊急に内視鏡検査を行い、必要に応じて止血処置を行うとされています[1]。日本消化器病学会の患者向けガイドによれば、内視鏡検査には口から入れる経口内視鏡と、鼻から入れる経鼻内視鏡があり、経鼻内視鏡は経口内視鏡に比べてのどの奥に触れることが少ないため嘔吐反射が少なく、患者の負担は軽いといわれていますが、経鼻内視鏡では止血処置はできないとされています[1]。日本消化器病学会の同ガイドによれば、通常の内視鏡検査では検査前12時間以上の絶食(水・お茶は可とされる場合があります)が必要で、問診のあとにのどまたは鼻の局所麻酔をしてから内視鏡を挿入するとされています[1]。ただし、出血が疑われて緊急に行う場合は、通常の検査ほど準備に時間をかけられないこともあり、実際の手順は状況や医療機関によって異なります。事前の食事・水分について不安がある場合は、来院時に確認してください。
日本消化器内視鏡学会のガイドラインは、上部消化管出血を疑う高リスク患者には、血行動態を安定させたうえで24時間以内に上部消化管内視鏡を行うことを強く推奨するとしています[5]。「24時間以内」という表現からもわかるとおり、多くの場合は救急搬送されてすぐに手術室に運ばれるような話ではなく、まずバイタルサイン(脈拍・血圧など)を安定させたうえで、計画的に内視鏡検査が行われるのが基本的な流れです。ただし、同ガイドラインは、動脈性出血などで止血しない限りショックから離脱できないような場合には、輸血やモニタリングによる厳重な全身管理を行いながら緊急内視鏡に踏み切るという考え方もあるとも紹介しています[5]。どちらの対応になるかは、来院時のバイタルサインや出血の状況によって医師が判断します。
| 段階 | 行われること | 出典 |
|---|---|---|
| ①受付・問診 | 出血の場所・速度・量、服用中の薬などを確認 | MSDマニュアル家庭版[2] |
| ②身体診察 | バイタルサイン(脈拍・血圧など)、貧血やショックの所見、直腸診で便の色を確認 | MSDマニュアル家庭版[2] |
| ③全身状態の安定化 | 必要に応じて点滴・輸血(ヘモグロビン8g/dLを目標とし、過剰な輸血は避ける) | 日本消化器内視鏡学会ガイドライン[5] |
| ④内視鏡検査 | 高リスクの場合、血行動態を安定させたうえで24時間以内に実施が強く推奨される。動脈性出血で不安定な場合はより緊急に行うこともある | 日本消化器内視鏡学会ガイドライン[5] |
| ⑤止血・治療 | 内視鏡による焼灼・薬剤注射などで止血。止められない場合や穿孔を伴う場合は手術 | MSDマニュアル家庭版[2]/日本消化器病学会[1] |
出典:MSDマニュアル家庭版「消化管出血」[2]/日本消化器内視鏡学会「非静脈瘤性上部消化管出血における内視鏡診療ガイドライン(第2版)」[5]/日本消化器病学会「患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド2023」[1](実際の流れは施設や状態により異なります)
受診すると、まず問診と診察が行われます。MSDマニュアル家庭版によれば、医師は出血が起きている場所、出血の速度、出血の原因を正確に特定することに重点を置き、どれだけの血液が失われたか、どのくらいの頻度で出血しているかを確認します[2]。MSDマニュアル家庭版によれば、身体診察ではバイタルサイン(脈拍、呼吸数、血圧、体温など)や、貧血・大量の血液量減少・ショックを示す他の所見(心拍数増加、呼吸数増加、蒼白、発汗、尿量減少、錯乱)が重点的に確認され、直腸診によって便の色や血液の有無も調べられるとされています[2]。
上部消化管内視鏡検査や大腸内視鏡検査を行っても出血の原因が判明しないこともあります。MSDマニュアル家庭版によれば、その場合には小腸内視鏡検査が行われることや、出血が速いか重度の場合は血管造影検査が行われることがあり、放射性マーカーで標識した赤血球を注射して出血のおおよその位置を調べる核医学検査が行われることもあるとされています[2]。同マニュアル家庭版は、ほかの選択肢として、小さなカメラを飲み込んで腸内を通過する間に画像を撮影するビデオカプセル内視鏡検査もあるとし、これは特に小腸で有用だが、消化管を通過するのに時間がかかるため出血が速い人には向かないとしています[2]。原因がすぐに分からないからといって心配しすぎる必要はありませんが、こうした追加の検査が提案された場合は、医師の説明に沿って受けることをおすすめします。
受診するとどんな治療が行われるのか
MSDマニュアル家庭版は、消化管出血に対する治療には、静脈内に水分や、ときに輸血を行うことで失われた血液を補充することと、進行中の出血があれば止血することの2つの目標があるとしています[2]。MSDマニュアル家庭版によれば、重度の消化管出血がある場合は、集中治療室(ICU)など厳重なモニタリングが可能な環境で、消化器専門医と外科医による診察を受ける必要があるとされています[2]。輸血については、日本消化器内視鏡学会のガイドラインが、心血管疾患のない上部消化管出血の患者には濃厚赤血球輸血はヘモグロビン8g/dLを目標に行い、過剰な輸血は避けることを強く推奨するとしています[5]。輸血は多ければ多いほどよいわけではなく、必要な範囲にとどめる考え方がとられていることがわかります。
止血そのものについて、MSDマニュアル家庭版は、ほとんどの出血は治療しなくても止まるが、ときに止まらないことがあり、医師は出血の種類と場所から使用する治療法を判断するとしています。MSDマニュアル家庭版は例として、内視鏡を挿入し、電流で熱を発生させる器具(電気焼灼術)やヒータープローブ、ある種の製剤を注射する方法などで消化性潰瘍出血を止められることがよくあると説明しています[2]。日本消化器病学会の患者向けガイドも、消化性潰瘍が進行して出血をきたし、高度の出血をきたした場合には内視鏡で止血治療を行うとしています[1]。
内視鏡で出血が止められない場合や、穿孔(胃や十二指腸の壁に穴があくこと)を伴う場合は手術が必要になることもあります。日本消化器病学会のガイドによれば、消化性潰瘍による傷が深くなって穿孔すると、激しい痛みとともに腹膜炎を発症し、手術などの緊急処置が必要になるとされています[1]。原因がヘリコバクター・ピロリ菌の感染による場合は、出血が落ち着いたあとに除菌治療が行われることもあります。日本消化器病学会のガイドによれば、ピロリ菌の除菌に成功すると潰瘍の再発が防止されるとされています[1](除菌治療で使う薬の具体的な量は、患者ごとに医師が判断する内容のため、本記事では説明していません)。
受診・入院にかかる費用の目安
緊急の内視鏡検査や入院が必要になった場合、医療費が心配になる人も多いはずです。日本には、医療費の自己負担が一定額を超えた場合に払い戻しを受けられる高額療養費制度があります。年齢や所得によって自己負担の上限額は異なるため、下のツールで目安を確認できます。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
受診時に伝えるためのメモ(印刷してお使いください)
黒い便に気づいたときは、次の項目を紙やスマートフォンのメモに書き出しておくと、受診時に医師へ正確に伝えることができます。
- 黒い便に気づいた日時、何回出たか
- 便の様子(コールタールのように真っ黒でベタつく/黒っぽいが形はふつう など)
- 吐血・コーヒーのかすのような嘔吐物の有無
- 立ちくらみ・めまい・失神の有無
- 脈が速い・動悸・冷や汗の有無
- 腹痛の有無、あればどのあたりがどんな痛みか
- ここ数日に服用した薬(鉄剤・痛み止め・血をさらさらにする薬など)
- 最近食べたもの(色の濃い食品に心当たりがあれば)
- もともとの持病(胃潰瘍・肝臓の病気・出血しやすい体質など)
黒い便の原因となる食品の具体的な一覧(どの食品がどの程度、便を黒く見せるか)については、今回参照した医学系の一次資料には数値を伴う詳しい記載が見当たりませんでした。一般に知られている例を記事内で挙げている部分は、JHO編集部の目安であり、参照資料に明記された記載ではないことをお断りしておきます。同様に、「宿便」という概念そのものの医学的な決着についても、専門家の間で見解が分かれている段階であり、本記事はどちらか一方の立場を断定するものではありません。
まとめ — 黒い便に気づいたときの考え方
ここまでの内容を振り返ると、黒い便への向き合い方は次のように整理できます。まず、警戒すべきサイン(吐血、立ちくらみ・めまい・失神、頻脈、冷や汗、強い腹痛)があるかどうかを確認し、1つでもあればためらわず119番通報または救急受診をすることが最優先です。こうしたサインがなければ、次に鉄剤・ビスマス系の薬・色の濃い食品への心当たりを振り返り、心当たりがあって数日で普通の便に戻るようなら、その影響である可能性が高いと考えられます。それでも心当たりがない場合や、黒さが続く・繰り返す場合は、たとえ症状が軽くても自己判断で放置せず、消化器内科を受診して原因を確かめることが遠回りに見えて一番の近道です。
宿便や、一回だけだから大丈夫という考え方に頼りたくなる気持ちは自然なものですが、黒い便の背後に消化管出血が隠れている可能性がある以上、それだけで安心材料にすることは避けてください。この記事で紹介した危険なサイン・原因の見分け方・受診の流れが、判断に迷ったときの助けになれば幸いです。
よくある質問
黒い便が一回だけ出て、その後は普通に戻りました。様子を見てもいいですか?
便秘が続いたあとに黒い便が出ました。「宿便」が出たということですか?
黒い便に下痢を伴う場合、便秘に伴う場合で、意味は違いますか?
黒い便の写真や画像で、心配ないものと危険なものを見分けられますか?
何科を受診すればいいですか?
鉄剤を飲んでいますが、いつまで便が黒いままだと心配すべきですか?
子どもや高齢者の黒い便でも、同じように考えていいですか?
血をさらさらにする薬(ワルファリンなど)を飲んでいます。黒い便に気づいたらすぐ自己判断でやめるべきですか?
内視鏡検査の前に、食事や水分はどうすればいいですか?
参考文献
- 日本消化器病学会「患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド2023」2023年 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/kaiyou_2023.pdf
- MSDマニュアル家庭版「消化管出血」2025年8月最終更新 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/消化器系の病気/消化管出血/消化管出血
- MSDマニュアル家庭版「消化性潰瘍」2025年1月最終更新 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/消化器系の病気/胃炎と消化性潰瘍/消化性潰瘍
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「消化管出血の概要」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/消化管疾患/消化管出血/消化管出血の概要
- 日本消化器内視鏡学会「非静脈瘤性上部消化管出血における内視鏡診療ガイドライン(第2版)」Gastroenterological Endoscopy 66巻7号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/66/7/66_1515/_pdf/-char/ja
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)医薬品インタビューフォーム「フェロミア錠50mg・フェロミア顆粒8.3%」2025年2月改訂(第12版) https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/3/530258_3222013D1059_3_003_1F.pdf
- 日本東洋医学会「日本東洋医学雑誌」66巻2号 読者からの手紙「宿便についての一考察.について」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/66/2/66_173/_pdf/-char/ja
更新日:2026年7月26日
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