逆流性食道炎の手術とは?腹腔鏡下噴門形成術の適応・効果・合併症
この記事でわかること
目次
結論から言うと、逆流性食道炎の手術は、胸やけを感じる人の多くには必要ありません。まず優先されるのは薬(PPIやP-CAB)による治療で、日本消化器病学会の「GERD診療ガイドライン2021」も、外科的治療を検討するのは薬が効かない場合・長期間ずっと薬を飲み続けなければならない場合・喘息や咳、誤嚥性肺炎など食道の外側の症状がある場合などに限られると述べています[1]。
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手術の中心は腹腔鏡下噴門形成術(Nissen法・Toupet法)で、胃の上部を食道に巻き付けて逆流を防ぐ根本的な方法です[1]。効果が高い一方で、嚥下しづらさやげっぷが出にくいといった特有の合併症もあるため、この記事では手術を考える基準・検査の流れ・術式の違い・合併症・受診の目安までを、ガイドラインの記載に沿って整理します。
要点まとめ
- 逆流性食道炎の手術が検討されるのは、PPI抵抗性・長期の薬物維持療法が必要・食道外症状(喘息・嗄声・咳嗽・胸痛・誤嚥)を伴う場合など[1]。
- 標準術式は腹腔鏡下噴門形成術。Nissen法とToupet法は逆流を防ぐ効果はほぼ同じだが、Toupet法のほうが術後早期の嚥下障害や腹部膨満が少ないと報告されている[1]。
- 手術前には内視鏡検査に加え、食道インピーダンス・pH検査や食道内圧検査で病態を確認する[1]。
- 手術は逆流そのものを防ぐ根本治療だが、げっぷが出にくい・お腹が張る(鼓腸)などの合併症が薬物治療より多いという報告もある[1]。
- 症状が続く・急に悪化した・食事がつかえる・体重が急に減るなどがあれば、自己判断で我慢せず消化器内科・消化器外科を受診する。
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。
逆流性食道炎の手術とは?多くの人には必要ない理由
逆流性食道炎(GERD、胃食道逆流症)は、胃の中の酸性の内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜が傷つく病気です。食道と胃のつなぎ目には「下部食道括約筋(LES)」という筋肉の弁があり、通常はここが締まることで胃の内容物が食道へ逆流しないよう防いでいます。しかし、この弁がゆるんだり、胃の一部が横隔膜の上に飛び出す「食道裂孔ヘルニア」があったりすると、逆流が起こりやすくなります。
治療の中心はPPI(プロトンポンプ阻害薬)やP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)などの薬物治療であり、多くの患者はこれらの薬で胸やけなどの症状がコントロールできます。PPIは胃酸を分泌する細胞のポンプの働きを抑える薬で、逆流性食道炎の治療で長く使われてきました。P-CABはより強力かつ速効性のある酸分泌抑制薬で、日本では2015年2月に発売されています[1]。「PPI抵抗性」とは、このPPIを十分な量・期間服用しても症状や食道の炎症が改善しない状態を指し、この記事で扱う手術適応の判断で繰り返し出てくる重要なキーワードです。薬による治療の詳しい選び方については、当サイトの「逆流性食道炎の薬、完全ガイド」もあわせて参照してください。喉のつかえ感や咳払いが続く場合は「逆流性食道炎による喉のつかえ・違和感」も参考にしてください。この記事のテーマである逆流性食道炎の手術は、これらの薬物治療がうまくいかない一部の人を対象にした選択肢です。
逆流性食道炎の手術(外科的治療)が話題になるのは、この薬物治療がうまくいかない、または長く飲み続けることそのものが負担になる一部のケースです。日本消化器病学会のガイドラインは、外科的治療を検討する対象として「PPI抵抗性GERD」「長期的なPPIの維持投与を要するGERD」「GERを起因とした喘息、嗄声、咳嗽、胸痛、誤嚥などの食道外症状を有するGERD」を挙げています[1]。同ガイドラインはさらに、本邦での実際の適応判断として、PPIを投与してもQOL(生活の質)が障害されている場合、肺炎・咳嗽などの呼吸器症状がある場合、検査でGER(胃食道逆流)が確認され症状との因果関係が証明された場合、PPI抵抗性の逆流性食道炎や巨大な食道裂孔ヘルニアを合併している場合などが挙げられていると紹介しています[1]。これらの条件は、単独でひとつ満たせばすぐに手術という単純な話ではなく、症状の重さ・薬への反応・検査結果・患者本人の希望など複数の要素を、消化器内科と消化器外科の専門医が時間をかけて総合的にすり合わせながら判断していくものです。
つまり「胸やけがある」だけで手術の対象になるわけではありません。誤嚥性肺炎を繰り返す、咳や声のかすれが長く続く、大きな食道裂孔ヘルニアがある、薬を何年も飲み続けるのが負担になっている——こうした事情が重なったときに、消化器内科・消化器外科の専門医が手術という選択肢を一緒に検討します。東京医科歯科大学病院食道外科のグループが日本消化器病学会雑誌に発表した総説も、内科的治療に抵抗性の症例、狭窄や高度食道炎を生じた症例、巨大な食道裂孔ヘルニアを有する症例、喘息などの非定型的な症状を有する症例などが外科手術の対象になるとまとめており、日本消化器病学会のガイドラインとほぼ同じ基準を独自に整理しています[2]。同総説は、本邦の逆流性食道炎の有病率はおよそ10%程度と推定され、欧米に比べて軽症の症例が多く、外科治療の適応となる症例自体が少ないとも述べています[2]。逆流性食道炎と診断された人のうち、実際に逆流性食道炎の手術まで進むのはごく一部であり、大多数の人は薬物治療と生活習慣の見直し(食後すぐに横にならない、脂肪の多い食事や飲酒・喫煙を控える、就寝時に上半身を少し高くするなど)で日常生活に支障のない状態を維持できます。この記事では、あえて手術という選択肢に絞って、どのような場合に検討され、どのような効果とリスクがあるのかを詳しく整理していきます。
誤嚥性肺炎が繰り返し話題になるのは、逆流した胃の内容物が食道からさらに上にあがり、睡眠中などに気づかないまま気管や肺に入り込んでしまうことがあるためです。高齢の方や、もともと嚥下機能が低下している方では、逆流性食道炎が誤嚥性肺炎の一因になっている可能性が疑われる場合があり、日本消化器病学会のガイドラインも、肺炎・咳嗽などの呼吸器症状を手術適応の判断材料のひとつとして紹介しています[1]。ただし、誤嚥性肺炎の原因は逆流だけとは限らないため、耳鼻咽喉科や呼吸器科とも連携しながら、本当に逆流が原因かどうかを検査で確認する必要があります。
実際に、群馬大学のグループがKitakanto Medical Journalに報告した症例では、84歳の女性が巨大な食道裂孔ヘルニアによる通過障害から誤嚥性肺炎を繰り返し、食事を始めるたびに嘔吐と肺炎の悪化を繰り返して長期の臥床を余儀なくされていました[3]。この患者は腹腔鏡下噴門形成術(Nissen法)を受け、術後経過は良好で、手術翌日から離床を開始し、2日目より食事を再開できたと報告されています[3]。同論文の考察では、逆流関連の呼吸器症状を有する高齢者には手術の奏功率が高いとの報告もあるとして、腹腔鏡による噴門形成術は低侵襲で有用と考えられるとまとめられています[3]。これはあくまで1つの症例報告であり、すべての患者に同じ経過が当てはまるわけではありませんが、薬だけでは食事のたびに誤嚥を繰り返してしまうような重症例で、手術がどのように役立ちうるかを示す具体例といえます。
喘息・嗄声(声のかすれ)・慢性の咳嗽・胸痛といった「食道外症状」も、日本消化器病学会のガイドラインが手術適応の判断材料として挙げている項目です[1]。これらの症状は、胸やけのようなわかりやすい逆流の症状を伴わずに現れることもあり、耳鼻咽喉科や呼吸器内科、循環器内科を先に受診して原因がはっきりしないまま長期間経過してしまうケースも少なくありません。声のかすれや慢性の咳が続く場合に、逆流性食道炎が背景にある可能性を疑い、消化器内科での内視鏡検査や食道インピーダンス・pH検査を検討することも、遠回りに見えて症状の原因にたどり着く近道になることがあります。
また、日本消化器病学会のガイドラインは、腹腔鏡下逆流防止手術の導入によって外科治療は欧米諸国を中心に急速に普及し、今日では手術の安全性と有効性が確立されていると述べる一方で、日本国内では手術件数は右肩上がりに増加しているものの、限られた施設において実施されているのが現状であり、手術適応や長期成績に関してエビデンスレベルの高い報告は本邦からはまだ十分に発信されていないと注記しています[1]。つまり、逆流性食道炎の手術を検討する場合は、この分野の手術に慣れた消化器外科・上部消化管外科のある医療機関を紹介してもらうことが現実的な選択になります。
逆流性食道炎そのものの原因・症状・生活習慣による対策など基本的な内容は、当サイトの逆流性食道炎の総合ガイドにまとめています。また、止まらない咳払いが気になる方は「止まらない咳払いの原因は?」も、逆流性食道炎とチック症など他の原因との見分け方の参考になります。さらに詳しく病気全体を知りたい方は「徹底解説!知っておきたい逆流性食道炎の全て」も参照してください。
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逆流性食道炎の手術を考える基準——ガイドラインの適応
日本消化器病学会のガイドラインは、逆流性食道炎の手術の適応について、海外のガイドラインの考え方もあわせて紹介しています[1]。以下は、同ガイドラインが引用している主な基準を整理した表です。
| 発信元 | 手術を検討する基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 米国消化管内視鏡外科学会(SAGES) | ①内科的に管理がうまくいかない場合(症状のコントロール不良・不十分な酸分泌抑制による激しい逆流・薬の副作用)/②内科的にうまく管理されているものの、QOLの考慮、長期的な内服の必要性や薬の費用などによるもの/③Barrett食道や狭窄などGERDの合併症を有した場合/④喘息・嗄声・咳嗽・胸痛・誤嚥などの食道外症状を有した場合 | 日本消化器病学会のガイドラインが紹介する、SAGESガイドラインの4つの手術適応(原文ママ全4項目)[1] |
| 欧州内視鏡外科学会(EAES) | QOLが継続的に低下している患者、不快な症状が続いている患者、適切なPPI治療下でも病気の進行が認められる患者 | 同上[1] |
| 日本消化器病学会(本邦の実際の適応) | PPI投与下でもQOLが障害/肺炎・咳嗽など呼吸器症状/検査でGERと症状の因果関係が証明/PPI抵抗性逆流性食道炎や巨大食道裂孔ヘルニアの合併 | 本邦の判断基準[1] |
出典:日本消化器病学会「GERD診療ガイドライン2021(改訂第3版)」BQ5-1[1]
ガイドラインはまた、韓国で2018年に発表されたGERDの外科治療に対するガイドラインのステートメントとして、「PPI治療に反応が乏しい患者の多くは逆流防止手術の適応を考慮できる」「食道外症状を認めるGERD患者に対して逆流防止手術を推奨する」という立場を紹介しています[1]。これとは別に、Asia-Pacific consensusのクリニカルクエスチョン17「難治性のGERD症状を認める患者に手術は治療の選択肢か?」に対するステートメントとして、「薬物療法に難治性のGERD症状を認める患者に対して熟練医による手術は治療選択肢であり、客観的にGERが証明された患者に対してのみ推奨する」という、韓国のものとは別のより限定的な立場も紹介されています[1]。日本消化器病学会は、2015年2月に発売されたP-CAB(ボノプラザン)の存在により、今後は手術適応となる患者層が変わっていく可能性があるとも述べています[1]。
上の表にある「Barrett食道」とは、逆流を繰り返すことで食道の粘膜が胃や腸の粘膜に似た性質に変化してしまう状態のことです。米国消化管内視鏡外科学会(SAGES)の基準では、Barrett食道や食道の狭窄といったGERDの合併症を有する場合も手術適応のひとつとして挙げられていると、日本消化器病学会のガイドラインは紹介しています[1]。Barrett食道そのものは多くの場合すぐに命に関わるものではありませんが、経過観察や治療方針について専門医とよく相談することが勧められています。
手術を決める前に行う検査——内視鏡・食道内圧検査・pHモニタリング
逆流性食道炎の手術に進む前には、症状が本当に胃酸の逆流によるものか、逆流を防ぐ手術で改善が見込めるかを確認するための検査が必要です。ガイドラインが示す治療の流れでは、薬物治療に反応しない場合の次の段階として「食道インピーダンス・pH検査」と「食道内圧検査」による病態評価が位置づけられています[1]。
| 検査 | 何をみるか | 手術判断での役割 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡検査 | 食道粘膜の傷害の程度、食道裂孔ヘルニアの有無、Barrett食道など他の病態 | 逆流性食道炎の重症度と合併症の確認[1] |
| 食道インピーダンス・pH検査 | 酸の逆流だけでなく、酸性度の低い「非酸逆流」や逆流の方向・性状も検出できる、現時点で逆流を捉える感度が最も高い検査[1] | 症状と逆流の因果関係を客観的に確認する |
| 食道内圧検査(食道マノメトリー) | 食道の運動機能、下部食道括約筋の状態 | 噴門形成術が適した状態かどうかの評価 |
出典:日本消化器病学会「GERD診療ガイドライン2021(改訂第3版)」フローチャート・BQ3-10[1]
日本消化器病学会のガイドラインによると、食道インピーダンス・pH検査は2013年に日本でも薬事承認され、臨床の場で使用できるようになりました[1]。従来の食道pHモニタリングだけでは、倍量のPPIを服用している抵抗性の患者の96%で「異常な酸逆流なし」と判定されてしまい、酸以外の逆流の関与を見落とす弱点があったとガイドラインは説明しています[1]。食道インピーダンス・pH検査を使った検討では、倍量PPI抵抗性のGERD患者のうち48%で逆流と症状の関連がみられ、その内訳は酸逆流との関連が11%、酸性度の低い非酸逆流との関連が37%であり、残りの52%は逆流と症状の関連そのものが認められなかったと報告されています[1]。この検査により、PPIが効きにくい状態を「酸抑制不良(真のGERD)」「過敏性食道」「機能性胸やけ」の3つに分けて考えられるようになったこともガイドラインは紹介しています[1]。
食道インピーダンス・pH検査は、鼻から細いチューブ状のプローブを挿入し、食道の中に24時間ほど留置して行う検査です。プローブには複数の電極が並んでおり、そこを通過する内容物の電気抵抗値(インピーダンス)を測定することで、逆流してきたものが液体か気体か、あるいはその混合かを判定でき、さらにpHの情報を合わせることで、酸性の強い逆流だけでなく、酸性度の低い「弱酸逆流」までとらえることができます[1]。検査中は普段どおりの食事や生活を送りながら、胸やけなどの症状が出た時刻をメモし、後で逆流が起きた時刻と症状が出た時刻が重なっているかどうかを照らし合わせます。
食道内圧検査(食道マノメトリー)は、同じく細いカテーテルを食道内に挿入し、飲み込む動作のときに食道の壁がどのように収縮しているか、下部食道括約筋の圧力がどの程度かを調べる検査です。噴門形成術は食道の周りに胃の一部を巻き付ける手術であるため、もともと食道の運動機能が低下している場合は、手術後に食べ物の通過がさらに悪くなるリスクが高まります。そのため、術前に食道の動きを確認しておくことは、Nissen法とToupet法のどちらが適しているかを判断するうえでも重要な情報になります。
つまり、手術は「胸やけが治らないから」という理由だけで決まるのではなく、これらの検査で逆流と症状の関係、そして食道そのものの動きを確認したうえで判断されるということです。
腹腔鏡下噴門形成術とは——Nissen法・Toupet法の違い
逆流性食道炎の外科的治療として現在の標準は、お腹に小さな穴をいくつか開けて器具を挿入する腹腔鏡下噴門形成術です。日本消化器病学会のガイドラインは、開腹手術に比べて腹腔鏡下手術のほうが有用であるとし、手術侵襲の軽減による疼痛の緩和、入院日数の短縮と早期社会復帰、総合的なコストの削減、手術における視野の共有や安全性の向上といった利点が示されていると述べています[1]。日本ではまだ体系的な比較試験の成績は報告されていないものの、欧米のエビデンスはおおむね日本にも通用すると考えられるとガイドラインは記しています[1]。
噴門形成術には、胃の上部(胃底部)を食道の周囲360度に巻き付けるNissen法と、後方の一部だけを巻き付ける非全周性のToupet法があります。日本消化器病学会のガイドラインによれば、逆流を防ぐ効果についてNissen法とToupet法は同等と考えられており、術後早期の嚥下障害を回避するには非全周性のToupet法が適しているとされています[1]。
腹腔鏡下噴門形成術は、全身麻酔のもとお腹に数か所の小さな穴(ポート)を開け、そこから細長いカメラと手術器具を挿入して行われます。おなかの中の様子はモニター画面に映し出され、執刀医はその映像を見ながら、緩んだ食道裂孔を縫い縮め、胃の上部(胃底部)を食道の下部に巻き付けて逆流防止機構を再建します。開腹手術のようにお腹を大きく切り開かないため、体への負担が比較的少なく、日本消化器病学会のガイドラインが述べるとおり、入院日数の短縮や早期の社会復帰につながりやすいという特徴があります[1]。
| 項目 | Nissen法(全周性360度) | Toupet法(非全周性・後方) |
|---|---|---|
| 逆流を防ぐ効果 | 同等[1] | 同等[1] |
| 術後早期の嚥下障害・腹部膨満 | Toupet法より多い[1] | 有意に少ない[1] |
| 5年以上の長期成績 | 両者で差はない[1] | 両者で差はない[1] |
| ガイドライン上の位置づけ | 従来の標準術式 | 今後の標準術式として提案[1] |
出典:日本消化器病学会「GERD診療ガイドライン2021(改訂第3版)」BQ5-5[1]
ガイドラインは、腹腔鏡下手術における2つのメタアナリシスで、Nissen法とToupet法の治療効果および安全性に差はなく、術後の嚥下障害や腹部膨満といった合併症は有意にToupet法で少ないことが示されたと紹介しています[1]。さらに5年以上の長期成績においても両者で治療効果に差はないと報告されており、今後は外科的治療の標準術式として腹腔鏡下Toupet法が提案されるとガイドラインは述べています[1]。
また、外科医の経験や技能が手術成績に影響するかについては、差はないとする報告も、経験と技能に左右されるという報告も両方あり、ガイドラインはエビデンスレベルの高い結論はまだ出ていないとしています[1]。
東京医科歯科大学病院食道外科のグループによる総説は、Nissen法とToupet法を比較した13件のRCTのメタ解析(Nissen法814例・Toupet法750例)を紹介しており、手術時間・周術期合併症・術後満足度・再発および再発による投薬再開・再手術の割合は両群で差がなかった一方、嚥下困難・gas-bloat syndrome・ゲップができない症状・重度の嚥下障害による再手術はNissen法で有意に高く、腹腔鏡下Toupet噴門形成術が優れていると結論づけられたと報告しています[2]。同総説はまた、Nissen法の主な合併症である腹部膨満と嚥下困難を防ぐ工夫として、胃底部を巻き付ける「ラップ」の長さを2cm程度にとどめ、食道内に太いブジー(拡張器具)を入れながら緩めに巻く「floppy Nissen」という技術や、横隔膜を縫い縮める際に食道との間に約1cmの隙間を残すこと(隙間が広すぎるとヘルニアの再発、狭すぎると嚥下障害の原因になる)を紹介しています[2]。こうした技術的な工夫の積み重ねが、合併症の頻度を左右するということです。
内視鏡的治療の位置づけ——保険診療としてはまだ認められていない
お腹を切らずに、口から入れた内視鏡の器具だけで逆流を防ごうとする「経口内視鏡的治療」も海外を中心に研究されています。日本消化器病学会のガイドラインは、これらを大きく3つに分類しています。噴門部にひだ(皺襞)を作る方法(EsophyX法など)、下部食道括約筋領域の筋層を変性させる方法(Stretta法など)、下部食道括約筋領域に異物を挿入する方法(Enteryx法、Gatekeeper法など)です[1]。最近では、粘膜切除の瘢痕を利用して逆流を防ぐARMSやESD-Gという方法も報告されているとガイドラインは述べています[1]。
ガイドラインは、これらの内視鏡的治療のうち特にEsophyX法などの「transoral incisionless fundoplication」について、海外のメタアナリシスで治療効果や安全性が認められたとしつつも、長期的な治療効果の報告はまだなく、今後さらなる経過観察と検討が必要と結論づけています[1]。そして最も重要な点として、これらの経口内視鏡的治療は、いずれの方法も現時点ではわが国での保険診療としては認められていないと明記されています[1]。
これらの方法のうち、噴門部に皺襞(ひだ)を作るタイプ(EndoCinch法、EsophyX法など)は、内視鏡を使って胃の入り口付近の粘膜をつまみ寄せ、糸や器具で縫い縮めることで、逆流を防ぐ構造を作ろうとするものです[1]。下部食道括約筋の領域の筋層を高周波エネルギーで変性させるStretta法や、その領域に異物を挿入するEnteryx法・Gatekeeper法といった方法も報告されていますが、これらもガイドラインが紹介する海外文献にとどまっています[1]。最近では、粘膜切除の際にできる瘢痕(傷あと)が硬くなることを利用して逆流を防ぐARMSやESD-Gという方法も報告されているとガイドラインは述べています[1]。
つまり、日本で逆流性食道炎に対して保険診療として受けられる外科的治療の中心は、現時点では腹腔鏡下噴門形成術であるということです。内視鏡的治療は「お腹を切らずに済む」という魅力はあるものの、2026年7月時点では研究段階の位置づけが強く、保険診療の外科的治療としては確立していないという点を理解しておく必要があります。
薬物治療抵抗性の逆流性食道炎に手術は効果があるのか——エビデンス
逆流性食道炎の手術が本当に効果を発揮するのはどのような場合か、日本消化器病学会のガイドラインは複数の臨床研究をもとに整理しています。海外における逆流防止手術の術後10年以上の長期成績では、施設間で差はあるものの、胸やけや逆流などGERDの主な症状の制御率はおおむね70~90%と良好であるとガイドラインは紹介しています[1]。
一方で、薬物治療と手術のどちらが優れているかについては、単純な結論が出ているわけではありません。ガイドラインが紹介するLOTUSトライアルでは、エソメプラゾール(PPIの一種)投与群と腹腔鏡下逆流防止手術(LARS)施行群の5年後の成績を比較したところ、胸やけ症状はそれぞれ16%対8%で有意差はなく、酸逆流は13%対2%でLARSが有意に抑制していたものの、逆につかえ感・膨満感・鼓腸の出現率はLARSのほうが高頻度で、最終的な寛解維持率は92%対85%でPPIのほうが優れていたと報告されています[1]。
PPI抵抗性の逆流性食道炎に限定した研究としては、食道インピーダンス・pH検査で逆流に関連する胸やけだけを厳密に選んだ多施設ランダム化比較試験があり、外科的治療(腹腔鏡下Nissen噴門形成術)の1年時点の奏効率は67%だったのに対し、オメプラゾール+バクロフェン+デシプラミン併用群では28%、オメプラゾール+プラセボ群では12%だったと報告されています[1]。この結果をふまえ、日本消化器病学会は「PPI抵抗性逆流性食道炎に対する逆流防止手術は効果の期待できる治療法として提案する」という推奨を示しており、推奨の強さは「弱」、合意率は100%、エビデンスレベルはBと評価されています[1]。
ここでいうNERD(非びらん性胃食道逆流症)とは、胸やけなどの逆流症状はあるものの、内視鏡検査では食道の粘膜にびらん(ただれ)が確認できないタイプの胃食道逆流症のことです。日本人のGERD患者では、内視鏡でびらんが確認できる「逆流性食道炎」よりも、このNERDの割合のほうが多いことが知られており、ガイドラインもこの点にふれています[1]。びらんが見えないぶん「たいしたことはない」と思われがちですが、症状のつらさ自体は逆流性食道炎と変わらないことも多く、治療方針を考えるうえでは内視鏡の見た目だけでなく、症状と逆流の関係を検査で確認することが重要になります。
薬物治療抵抗性のNERDに対しても、食道インピーダンス・pH検査などで逆流と症状の因果関係が証明されれば、外科的治療は効果の期待できる治療法のひとつとして提案されていますが、こちらの推奨の強さも「弱」、合意率93%、エビデンスレベルCと、逆流性食道炎に対する推奨よりも根拠がやや弱いとガイドラインは位置づけています[1]。NERDに対する噴門形成術の症状改善効果は80%以上と、びらんを伴う逆流性食道炎への効果と遜色ないとする報告が多いともガイドラインは紹介しています[1]。
なお、P-CAB(ボノプラザン)に抵抗性の逆流性食道炎やNERDに対する外科的治療については、日本消化器病学会が文献を検索した時点で報告そのものが見当たらなかったとされています[1]。ガイドラインは、外科的治療が逆流防止機構そのものを再建する方法である以上、理論的には効果がある可能性はあるとしつつも、実際の報告が出るのを待ちたいと結んでいます[1]。
手術による合併症・術後に起こりうること
受診の目安:逆流性食道炎の手術を受けた後、次のような症状が急に強く出た場合は早めに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
- 食べ物や水分がまったく通らない、繰り返し嘔吐する(縫合部の締めすぎ・むくみの可能性)
- 強い腹痛や発熱が続く
- 吐血や黒い便が出る
逆流性食道炎の外科的治療の目標は、確実に逆流を防ぐと同時に、嚥下障害や腹部膨満といった合併症を最小限にすることだと日本消化器病学会のガイドラインは述べています[1]。手術によって胃の上部を食道に巻き付けるため、巻き付けがきつすぎたり、むくみが残っていたりすると、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害が起こることがあります。これは特に手術直後の時期に多く、非全周性のToupet法のほうがNissen法より頻度が低いとされています[1]。
また、胃の入り口の締まりが強くなることで、げっぷやおならが出にくくなり、お腹にガスが溜まって張る「鼓腸」の症状が出ることがあります。前述のLOTUSトライアルでも、酸の逆流はLARS(腹腔鏡下逆流防止手術)のほうが薬物治療より有意に抑えられていた一方で、つかえ感・膨満感・鼓腸の出現率はLARSのほうが高い頻度でみられたと報告されています[1]。手術は逆流という「原因」を根本から断つ一方で、げっぷで胃のガスを逃がす機能まである程度制限してしまうため、こうしたトレードオフが生じると理解しておくとよいでしょう。術後にお腹の張りが気になる場合は、炭酸飲料や豆類・芋類などガスを発生させやすい食品を控える、一度に大量に食べず回数を分ける、よく噛んでゆっくり食べるといった工夫が一般的に勧められますが、症状が強い場合は自己判断で我慢せず、手術を受けた医療機関に相談してください。
再発についても、ガイドラインは腹腔鏡下Toupet噴門形成術の再発に着目した症例対照研究を文献として挙げています[1]。手術によって逆流防止機構を再建しても、時間の経過とともに巻き付けが緩んだり、ヘルニアが再発したりして症状がぶり返す可能性はゼロではなく、その場合は再手術が選択肢になることもあります。ただし、日本国内における長期的な再発率や再手術率についてエビデンスレベルの高いまとまった報告は、今回参照したガイドラインの範囲では見当たりませんでした。
なお、腹腔鏡下噴門形成術は、他の腹部の腹腔鏡下手術と同様に、出血・感染・周辺の臓器の損傷・開腹手術への移行が必要になることがあるといった、手術一般に共通するリスクも当然伴います。こうした合併症の起こりやすさは、ヘルニアの大きさや過去の腹部手術歴、患者ごとの体格や併存疾患によって変わるため、担当医から手術前に個別の説明を受けることが重要です。逆流性食道炎の手術そのものが特別に危険な手術というわけではありませんが、「絶対に安全」と言い切れる手術も存在しないという前提のうえで、メリットとリスクを比較する必要があります。
費用対効果の面では、長期的にPPI治療が必要な場合は費用対効果の観点から外科的治療を考慮する必要があるとしつつも、費用対効果が良好であるとまでは言及できないとガイドラインは結論づけています[1]。欧米に比べて日本は医療コストの構造が異なるうえ、日本国内での十分な費用対効果の検討はまだ行われていないのが現状ともガイドラインは述べています[1]。なお、現在日本において高用量PPIそのものの逆流性食道炎に対する保険適用はないとガイドラインは注記しています[1]。
巨大食道裂孔ヘルニアと手術の関係
手術の適応としてしばしば挙がる「巨大食道裂孔ヘルニア」とは、胃の一部が横隔膜にある食道の通り道(食道裂孔)を通って、胸の中に大きく飛び出してしまっている状態を指します。日本消化器病学会のガイドラインは、本邦での外科的治療の適応対象として、PPI抵抗性逆流性食道炎とともに巨大食道裂孔ヘルニアの合併を挙げています[1]。ヘルニアが大きいと、下部食道括約筋がもともとの位置からずれてしまい、薬だけでは逆流をコントロールしきれないことがあるためです。
腹腔鏡下噴門形成術では、逆流を防ぐための胃の巻き付けとあわせて、緩んだ食道裂孔を縫い縮めてヘルニアを整復する手技も同時に行われます。前のセクションの図で示したように、ヘルニアが整復されて横隔膜の隙間が狭くなることも、逆流を防ぐしくみの一部です。ヘルニアが非常に大きい場合や、胃の大部分が胸の中に入り込んでしまっている場合は、手術の難易度が上がることもあるため、術前の内視鏡検査や画像検査でヘルニアの大きさを正確に把握しておくことが重要になります。
手術後の生活と再手術——退院してからの過ごし方
逆流性食道炎の手術を受けた後の生活で特に注意が必要なのは、食事の摂り方です。胃の上部を食道に巻き付ける噴門形成術の性質上、術後しばらくは食べ物の通り道がむくみで狭くなっていることが多く、一般的には液体や柔らかい食事から少しずつ普通の食事へ戻していく、よく噛んでゆっくり食べる、一度に大量に食べない、炭酸飲料や早食いを避けるといった配慮が必要になります。げっぷが出にくくなる術式の特性上、炭酸飲料でお腹が張りやすくなる人もいるため、担当医や管理栄養士から具体的な指導を受けることが望ましいでしょう。
日本消化器病学会のガイドラインは、腹腔鏡下手術は開腹手術に比べて入院日数の短縮と早期の社会復帰につながるとしています[1]。とはいえ、具体的な入院日数や職場復帰の時期は、手術を受ける施設の方針や患者ごとの回復状況によって幅があります。退院後の生活で気をつけたい点を医師に確認しておくと安心です。
運動や重い荷物を持つ作業についても、傷や体の回復状況を見ながら段階的に元に戻していくのが一般的です。デスクワーク中心の仕事であれば比較的早く復帰できる人が多い一方、体力を使う仕事や力を入れてお腹に力む作業がある場合は、担当医と復帰時期を相談する必要があります。長時間の座位や旅行、飛行機での移動についても、手術直後は無理をせず、担当医に相談してから予定を立てることをおすすめします。いずれも「絶対にこうしなければならない」という一律の決まりではなく、個々の回復状況に応じて調整されるものです。
再手術については、前述のとおり巻き付けが緩んだり食道裂孔ヘルニアが再発したりして症状がぶり返すことがあり、日本消化器病学会のガイドラインも腹腔鏡下Toupet噴門形成術の再発に着目した研究を文献として挙げています[1]。再手術が必要かどうかは、症状の程度や内視鏡検査・食道インピーダンス・pH検査などの再評価をもとに判断されます。手術を受けたからといって一生逆流性食道炎と無縁になるとは限らず、術後も定期的な受診と、必要に応じた薬物治療の再開が組み合わされることがあるという点は、手術を検討する段階であらかじめ理解しておきたいポイントです。
日本と欧米のガイドライン比較——手術適応の考え方の違い
逆流性食道炎の手術適応をめぐっては、国や学会によって強調点が異なります。日本消化器病学会のガイドラインが紹介している内容を整理すると、以下のような違いがみえてきます。
| 項目 | 発信元 | 手術を検討する主な条件 |
|---|---|---|
| 手術適応 | 日本(日本消化器病学会 2021) | PPI抵抗性、長期のPPI維持投与、食道外症状、巨大食道裂孔ヘルニアの合併[1] |
| 手術適応 | 米国(SAGES) | 内科的管理不良、Barrett食道・狭窄などの合併症、食道外症状(QOLの考慮・長期内服・薬剤費によるものも含む)[1] |
| 患者の希望 | 欧州(EAES) | 適切なPPI治療でQOLが保たれている場合でも、患者が望めば手術を考慮するとしている[1](日本のガイドラインには本邦でのこの点についての明確な記載はなく、今後の検討課題とされている) |
| 標準術式 | 日本(日本消化器病学会 2021) | 今後の標準として腹腔鏡下Toupet法を提案[1] |
| 標準術式 | 欧米(メタアナリシス各種) | Nissen法・Toupet法とも広く行われ、メタアナリシスでToupet法の合併症の少なさが示されている[1] |
出典:日本消化器病学会「GERD診療ガイドライン2021(改訂第3版)」BQ5-1・BQ5-5[1]
特に注目したいのは、日本消化器病学会のガイドラインがEAES(欧州内視鏡外科学会)の考え方として紹介している「適切なPPI投与によりQOLが保たれている症例に対しても、患者が望めば手術を考慮する」という記述です(EAESの原著論文そのものではなく、あくまでJSGEガイドラインが紹介している内容です)[1]。これは、薬でコントロールできていても、長期間薬を飲み続けたくないという患者自身の希望も手術適応の一因になりうるという考え方です。一方、日本消化器病学会のガイドラインでは、本邦での適応として挙げられているのはQOL障害・呼吸器症状・GERとの因果関係の証明・巨大ヘルニアの合併など、より客観的な病態評価に基づく項目が中心です[1]。同じ「手術を検討してよい」という結論でも、何を重視するかという力点は日本と欧米で完全に同じというわけではなく、この違いを知っておくと、担当医と手術について話し合うときの参考になります。
薬物治療と手術、どちらを選ぶか——考え方の整理
ここまでの内容を踏まえて、逆流性食道炎の手術を検討するかどうかを考えるときの整理の仕方をまとめます。まず前提として、日本消化器病学会のガイドラインが示す海外データでは、5年後の胸やけ症状そのものの改善度は薬物治療(PPI)と手術(LARS)で有意差がなく、最終的な症状の寛解維持率はむしろPPIのほうが高かったと報告されています[1]。この事実だけを見ると、「手術のほうが薬より効く」と単純に言い切ることはできません。
一方で、酸の逆流そのものを客観的に抑える力は手術のほうが強く、PPI抵抗性の逆流性食道炎という「薬が効きにくい」ケースに限定すると、手術の奏効率のほうが薬物治療の追加より明らかに高かったという報告もあります[1]。つまり、手術が向いているかどうかは「胸やけの強さ」ではなく、「薬でコントロールできているかどうか」「食道外症状や誤嚥性肺炎など薬では対応しにくい問題があるかどうか」「巨大な食道裂孔ヘルニアがあるかどうか」といった、より具体的な病態によって変わってくるということです。
費用対効果の観点でも、日本消化器病学会のガイドラインは、長期的にPPI治療が必要な場合は外科的治療を考慮する価値があるとしつつも、費用対効果が良好であると断言できる段階ではないとしています[1]。また、外科医の経験や技能が手術成績に影響するかどうかについても、影響しないとする報告と、経験によって成績が左右されるとする報告の両方があり、エビデンスレベルの高い結論はまだ出ていません[1]。こうした不確実性が残っている領域だからこそ、自己判断で「手術のほうが良さそうだから」と決めるのではなく、専門施設で検査を受けたうえで、担当医と一緒にメリットとデメリットを具体的に比較することが大切です。
最後に、この記事の冒頭でも述べたとおり、逆流性食道炎の手術はあくまで一部の人のための選択肢であり、大多数の患者にとっては薬物治療と生活習慣の見直しが引き続き治療の中心です。手術を受けるかどうかで迷っている場合は、まず現在の薬の種類や量が本当に十分か、食道インピーダンス・pH検査などの精密検査をまだ受けていないなら受けてみる、という段階を踏むことをおすすめします。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
・症状はいつから続いているか(胸やけ・咳・声のかすれ・誤嚥性肺炎の回数など)
・現在飲んでいる薬(PPI・P-CABの種類と量、いつからか)
・薬を飲んでも改善しない症状は具体的に何か
・これまでに内視鏡検査、食道内圧検査、食道インピーダンス・pH検査を受けたことがあるか
・食道裂孔ヘルニアの大きさを指摘されたことがあるか
・手術を受けた場合、入院期間や仕事に戻れる時期の目安
・Nissen法とToupet法のどちらを勧められるか、その理由
・手術後に想定される合併症(嚥下障害・げっぷが出にくい・鼓腸など)とその対処法
・再発した場合、再手術になるのか、また薬物治療に戻るのか
・自分の場合、薬物治療を続ける選択肢と手術を受ける選択肢のそれぞれのメリット・デメリット
手術後の日本国内における長期的な再発率・再手術率のまとまったデータ、および日本人を対象とした外科的治療とPPI治療の費用対効果を直接比較したデータについては、今回参照した日本消化器病学会のガイドラインの範囲では明確な記載が見当たりませんでした[1]。今回紹介した入院日数(第10病日退院)は、あくまで1つの症例報告における実例であり[3]、日本全体の平均的な入院日数や職場復帰までの標準的な期間を示す統計データではありません。施設ごとの方針や患者ごとの回復状況によって幅があるため、一律の数値は今回参照した資料の範囲では示されていませんでした。今後の国内からの報告の蓄積が期待されます。
よくある質問
逆流性食道炎の手術はどんな人が対象になりますか?
逆流性食道炎の手術は腹腔鏡下噴門形成術以外にもありますか?
Nissen法とToupet法はどちらが良いのですか?
手術後、げっぷが出にくくなるというのは本当ですか?
手術を受ける前にどんな検査が必要ですか?
P-CAB(ボノプラザン)が効かない場合でも手術で治りますか?
手術は開腹ですか、それともお腹に小さな穴を開けるだけですか?
非びらん性胃食道逆流症(NERD)でも手術の対象になりますか?
手術を受ければ薬をやめられますか?
大きな食道裂孔ヘルニアがあると言われました。必ず手術が必要ですか?
逆流性食道炎の手術を受けられる病院はどう探せばよいですか?
手術を受けたら二度と胸やけは起きませんか?
咳や声のかすれだけで、胸やけがないのですが手術の対象になりますか?
更新日:2026年7月21日。本記事の記載内容について、古い情報や誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご指摘・ご連絡いただけますと幸いです。ガイドラインの改定に応じて内容を見直します。
参考文献
- 日本消化器病学会「GERD診療ガイドライン2021(改訂第3版)」2021 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/gerd2021r_.pdf(第5章 外科的治療、第3章 診断/BQ3-10)
- 川田研郎、藤原尚志、春木茂男「GERD外科治療 up to date」日本消化器病学会雑誌 2023;120(2):145-152 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/120/2/120_145/_pdf/-char/ja
- 平井圭太郎、吉成大介、小松恵、他「高齢者で誤嚥性肺炎を繰り返す食道裂孔ヘルニアに対し腹腔鏡下噴門形成術が有用であった1例」Kitakanto Medical Journal 2011;61(2):193-197 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kmj/61/2/61_2_193/_pdf/-char/ja
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