コンテンツへスキップ
お問い合わせ
スポンサーリンク
スポンサーリンク
ホーム › 病気ライブラリ › 健康 › 心臓の病気
JHO 病気ペディア

心臓の病気

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

スポンサーリンク
この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
塩分は何グラムまで? 今週34人が確認 記事へ 運動を続けても大丈夫? 記事へ すぐ救急車を呼ぶべき? 記事へ この胸の痛みは心臓病? 記事へ

✦ 結論から言うと

国立循環器病研究センター・日本循環器学会・日本心臓財団の資料によると、心臓病とは、心臓の血管が狭くなる「虚血性心疾患」、脈のリズムが乱れる「不整脈」、心臓のポンプ機能が低下する「心不全」、心臓の弁が壊れる「弁膜症」、生まれつきの構造異常である「先天性心疾患」などの総称です[1][2][3][4]。国立循環器病研究センターによると、虚血性心疾患は動脈硬化や血栓で心臓の血管が狭くなり、運動やストレス時に前胸部の痛みや圧迫感を生じる状態です[1]。厚生労働省の統計では、心疾患(高血圧性を除く)は日本人の死因の第2位で、年間23万2,964人が亡くなっています[5]。

📊 心疾患による死亡者数の内訳(厚生労働省「令和4年人口動態統計」より)

厚生労働省の統計(令和4年人口動態統計)によれば、同年の心疾患(高血圧性を除く)による死亡者数23万2,964人のうち、厚労省の内訳データでは心不全が最多で9万8,671人、その他の虚血性心疾患が4万1,159人、不整脈及び伝導障害が3万6,292人、急性心筋梗塞が3万2,012人となっています[5]。国立循環器病研究センターの説明が示す通り、この内訳からも分かるとおり、心臓病による死亡の中でもっとも多いのは「心不全」であり、それは特定の一つの病気ではなく、様々な心臓病が行き着いた先の状態であることを裏づけています[2]。

🚨 今すぐ119番が必要なサイン

日本循環器学会の資料によれば、急性冠症候群(心筋梗塞・不安定狭心症)が疑われる場合、患者本人が医療機関へ自力で向かうのではなく、ただちに119番通報して救急車を要請する必要があるとされています[6]。次のサインが1つでもあれば、様子を見ずにすぐ119番してください。

  • 20分以上続く突然の強い胸の痛み・締めつけられるような圧迫感
  • 冷や汗を伴う胸の症状
  • 左腕・あご・背中への放散痛(痛みが広がる感覚)
  • 呼吸困難・息苦しさ

日本循環器学会の資料によれば、心筋梗塞の自覚症状には、胸痛のほか頚部・下顎・上腹部・左腕への関連痛、冷汗、悪心、呼吸困難、ショックが含まれるとされ[6]、同学会の説明では「救命には発症から1時間が鍵」ともいわれています[6]。⚠「様子を見る」判断が命取りになります。迷ったら119番してください。

主な分類 虚血性心疾患・不整脈・心不全・弁膜症・先天性心疾患[1][2][3][4]
主な症状 胸痛・動悸・息切れ・むくみ・失神
4大危険因子 高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙[1]
緊急時の対応 強い胸痛が20分以上+冷や汗・放散痛・呼吸困難 → ためらわず119番[6]
受診の目安 循環器内科(症状が軽くても繰り返す場合は早めに)

心臓の病気とは?心臓のしくみと主な5つの分類

心臓は、全身に血液を送り出すポンプです。右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋があり、全身から戻った血液は右心房→右心室→肺へ、肺で酸素を受け取った血液は左心房→左心室→大動脈を通って全身へ送り出されます。左心室の外側には冠動脈という細い血管が這うように走っており、この血管自体に心臓の筋肉(心筋)へ酸素と栄養を届ける役割があります。

国立循環器病研究センターの分類では、心臓病は大きく「心不全、冠動脈疾患(虚血性心疾患)、心臓弁膜症、心筋症、不整脈、先天性心疾患など」に分けられるとされています[2]。このうち、日常でよく相談される代表的な5分類を、下の図と本記事の各章で順番に解説します。

出典:国立循環器病研究センター「虚血性心疾患」[1]「心不全」[2]「不整脈」[3]、日本心臓財団「弁膜症」[4]をもとにJHO編集部が作図

  • 虚血性心疾患:国立循環器病研究センターの説明では、冠動脈が狭くなる(狭心症)・詰まる(心筋梗塞)ことで心筋に血液が届かなくなる病気です[1]。
  • 不整脈:同センターの整理では、心臓のリズム(調律)が乱れ、脈が速くなる・遅くなる・不規則になる状態です[3]。
  • 心不全:国立循環器病研究センターは、心不全を「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています[2]。つまり心不全そのものが独立した病名ではなく、様々な心臓病が行き着いた先の状態を指します。
  • 弁膜症:日本心臓財団(循環器研究の知見をまとめた解説記事)によると、弁膜症は心臓の弁が硬くなって開きが悪くなる「狭窄症」と、弁が閉まらず血液が逆流する「閉鎖不全症」に分けられます[4]。
  • 先天性心疾患:生まれつき心臓の構造(部屋の壁や血管のつながり方)に異常がある病気です。心室中隔欠損症などが代表例で、成人になってから見つかることもあります。

心臓のリズムを詳しく調べたい場合、日常生活を送りながら記録するホルター心電図(24時間心電図)という検査があります。また生まれつきの心臓病について詳しくは先天性心疾患の原因・症状・治療のページも参考にしてください。

主な心臓病のタイプ別特徴:狭心症・心筋梗塞/不整脈/心不全/弁膜症

代表的な心臓病は、原因の仕組みも症状の出方もまったく異なります。まず全体像を表で比較したうえで、次章以降で症状からの見分け方を掘り下げます。

心臓病タイプ別の特徴と主な症状
病気 仕組み 主な症状
狭心症 冠動脈が狭くなり、一時的に血流が不足する[1] 運動時・ストレス時の前胸部痛、数分〜十数分で治まることが多い
心筋梗塞 冠動脈が完全に詰まり、心筋が酸素不足に陥る[1] 20分以上続く強い胸痛・圧迫感、冷や汗、放散痛[6]
不整脈 洞結節や電気の伝わり方の異常で脈のリズムが乱れる[3] 動悸、息切れ、めまい、失神。多くは無症状[3]
心不全 心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を送れなくなる[2] 坂道・階段での息切れ、足のむくみ、体重増加、起坐呼吸[2]
弁膜症(大動脈弁狭窄症) 弁が硬く・狭くなり血液が通りにくくなる[4] 胸痛、失神、動悸、息切れ[4]
弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症) 弁が閉まりきらず血液が逆流する[4] 息切れ、動悸、倦怠感、むくみ。進行すると心房細動を伴うことも[4]

不安定な胸の症状で夜間にくり返し痛みが出る場合は、日本人に比較的多いとされる冠攣縮性狭心症という病態も知られています。

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)を詳しく

国立循環器病研究センターの解説では、虚血性心疾患は、冠動脈の内側にコレステロールなどがたまって動脈硬化が進み、血管が狭くなったり詰まったりすることで起こります[1]。血管が狭くなるだけで血流がぎりぎり保たれている状態が「狭心症」、血管が完全に詰まって心筋が酸素不足に陥る状態が「心筋梗塞」です。狭心症はさらに、動いたときだけ症状が出る「安定狭心症」、症状の頻度や強さが悪化していく「不安定狭心症」、血管がけいれんして一時的に細くなる「冠攣縮性狭心症」に、同センターの資料は分けています[1]。国立循環器病研究センターは、症状が多様で自覚症状がない場合もあり、歯の痛みとして現れることや、前兆なく突然死を引き起こす可能性もあると説明しています[1]。「典型的な胸痛がないから大丈夫」とは言い切れない点が、この病気の怖さです。

不整脈を詳しく

国立循環器病研究センターの整理によれば、不整脈は、脈が1分間に50以下になる「徐脈」と、100以上になる「頻脈」に大きく分けられます[3]。国立循環器病研究センターの整理では、代表的な不整脈として、30歳を超えるとほぼ全員に見られるとされる「期外収縮」、心臓の発電所にあたる洞結節の異常で脈が遅くなる「洞不全症候群」、心房から心室への電気の伝わりが悪くなる「房室ブロック」、心房が不規則に震えるように動く「心房細動」などが、同センターの資料で挙げられています[3]。このうち心房細動は、脈の乱れそのものよりも、心房の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳に飛んで脳梗塞を起こすリスクが問題視される不整脈です。同センターによれば多くの不整脈は無症状で経過するとされますが[3]、動悸・息切れ・めまい・胸痛・失神を伴う場合は検査が必要です。

心不全を詳しく

国立循環器病研究センターの説明では、心不全は病名ではなく状態であり、心筋梗塞、狭心症、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈、先天性心疾患など、あらゆる心臓病が原因になり得ます[2]。特徴的なのは「だんだん悪くなる」という経過をたどる点で、国立循環器病研究センターは心不全を「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています[2]。坂道や階段での息切れ、疲れやすさ、足のむくみ、1週間で2〜3kgの体重増加、横になると呼吸が苦しくなる起坐呼吸、腹部膨満などが主な症状として挙げられています[2]。これらは加齢のせいだと見過ごされやすい症状でもあるため、注意が必要です。

弁膜症を詳しく

心臓には血液の逆流を防ぐ4つの弁があり、加齢による硬化や、生まれつきの構造、感染症の後遺症などによって不具合が生じることがあります。日本心臓財団(循環器研究の知見をまとめた解説記事)によると、大動脈弁狭窄症は左心室と大動脈の間にある大動脈弁が硬くなり、一部が石灰化して開きが悪くなるもので、加齢による動脈硬化が一因といわれています[4]。日本心臓財団の研究解説では、弁が十分に開かなくなると左心室の壁が分厚くなり、酸素不足が生じて胸痛が出たり、脳に十分な血液が送れず失神を起こしたりすることがあります[4]。一方、同財団の研究解説では、僧帽弁閉鎖不全症は弁の閉まりが悪く、左心室から左心房へ血液が逆流する病気で、逆流の程度が進むと心房細動などの不整脈や、肺うっ血、心不全の悪化につながるとされています[4]。

先天性心疾患を詳しく

先天性心疾患は、生まれつき心臓の部屋を仕切る壁や、心臓とつながる血管の構造に異常がある病気の総称です。代表的なものに、右心室と左心室を仕切る壁に穴が開いている「心室中隔欠損症(VSD)」があります。小さな穴であれば自然に閉じることもありますが、大きい場合は心臓に負担がかかり続けるため、手術やカテーテル治療が検討されます。先天性心疾患は子どもの病気というイメージを持たれがちですが、軽症のまま診断されずに成人になってから、健康診断の心雑音の指摘などをきっかけに見つかることもあります(詳しくは前章の関連記事リンクを参照してください)。

症状から考えられる心臓病:胸痛・動悸・息切れ・むくみ・失神

「今の症状が心臓病のサインかどうか」を判断する第一歩は、症状のパターンを整理することです。以下はあくまで目安であり、自己判断で「様子見」を続けるための表ではありません。少しでも不安なときは循環器内科を受診してください。

症状別・考えられる心臓病の傾向
症状 考えられる心臓病 特徴
胸痛・胸の圧迫感 狭心症・心筋梗塞 20分以上続く・安静でも治まらない場合は緊急性が高い[6]
動悸(ドキドキ・脈の乱れ) 不整脈(心房細動など) 脈がバラバラに触れる、突然始まり突然止まる[3]
息切れ(坂道・階段で) 心不全・弁膜症 だんだん悪化する、横になると呼吸が苦しい(起坐呼吸)[2]
足のむくみ・体重増加 心不全 1週間で2〜3kgの急な体重増加は要注意[2]
失神・意識が遠のく 不整脈・大動脈弁狭窄症 特に運動中の失神は緊急性が高いサイン[3][4]

見分けるカギ:「20分以上続く胸痛」は虚血性心疾患を、「脈のバラつき」は不整脈を、「じわじわ進む息切れ・むくみ」は心不全を、それぞれ強く疑う手がかりになります。ただし、これらは同時に起こることも珍しくありません。胸の痛みそのものについては胸の痛み(胸痛)の原因と危険なサインで心臓以外の原因(肺・消化管・ストレスなど)とあわせて解説しています。

心臓病と間違えやすい症状

胸の症状があっても、原因が心臓ではないケースも少なくありません。逆流性食道炎では、みぞおちから胸にかけて焼けるような痛みが食後や横になったときに出やすく、肋間神経痛では体をひねったり深呼吸したりすると痛みが強まるという特徴があります。パニック発作でも動悸・息苦しさ・胸の圧迫感が起こり、心臓病と区別がつきにくいことがあります。ただし、これらの特徴だけで心臓病を自己診断で除外することは危険です。「20分以上続く強い胸痛」「冷や汗」「放散痛」「呼吸困難」のいずれかがあれば、原因の見分けを自分で行おうとせず、日本循環器学会の指針どおり119番を優先してください[6]。

受診の前に控えておきたいこと

循環器内科をスムーズに受診するために、次の情報をメモしておくと診断の助けになります。①症状が始まった日時と持続時間、②症状が出るきっかけ(運動時・安静時・食後など)、③これまでの健康診断での指摘(高血圧・脂質異常症・糖尿病の有無)、④服用中の薬、⑤家族に心臓病の人がいるかどうか。特に②の「運動時に出て安静で治まる」か「安静時にも出る」かは、狭心症のタイプを判断するうえで重要な情報になります。

心臓病になりやすい人・予防のポイント・受ける検査

国立循環器病研究センターは、虚血性心疾患の4大危険因子として「高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙」を挙げています[1]。これに加えて肥満、過度なストレス、加齢、遺伝的要因も関わるとされます[1]。国立循環器病研究センターによれば心不全については、心筋梗塞、狭心症、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈、先天性心疾患など、ほとんどの心臓病が最終的な原因になり得るとされています[2]。

主な検査と分かること
検査 分かること
心電図 不整脈の有無、心筋梗塞の痕跡など電気的な異常[2]
心臓超音波検査(心エコー) 心臓の動き、弁の状態、ポンプ機能(心不全の評価)[2]
胸部レントゲン検査 心臓の大きさ、肺のうっ血の有無[2]
採血検査 心不全の指標となるホルモン値など[2]
心臓カテーテル検査 冠動脈の狭窄・詰まりの直接的な確認[2]

心不全と診断された後の生活管理では、国立循環器病研究センターは「内服継続、塩分制限(1日6g未満)、血圧・体重の毎日記録が重要」としています[2]。日々の食事内容も血管の健康に直結します。詳しくは心臓に悪い食べ物と守る食事の選び方を参考にしてください。より詳しい治療の選択肢を知りたい方は心臓カテーテル検査の全貌もあわせてご覧ください。

心不全の進み方については、日本循環器学会・日本心不全学会のガイドラインで、心不全になる前段階から重症段階までをA〜Dの4つのステージに分類する考え方が採用されています[7]。ステージAは高血圧・糖尿病など心不全のリスクがあるだけの段階、ステージBは心臓の構造に異常はあるが症状はない段階、ステージCは息切れやむくみなど症状が出ている段階、ステージDは薬物治療だけでは改善しない重症段階と、同ガイドラインは定めています[7]。つまり、症状がまったくなくても「ステージA・B」に該当する人は少なくないということです。

予防のためにできる生活習慣の見直し

国立循環器病研究センターが挙げる4大危険因子(高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙)はいずれも、生活習慣の見直しで改善が期待できる項目です[1]。禁煙は虚血性心疾患の予防でもっとも効果が大きい対策の一つとされ、喫煙本数を減らすだけでなく完全にやめることが重要です。塩分の摂りすぎは血圧を上げ、心臓に負担をかけます。国立循環器病研究センターの生活管理指導で示されている「1日6g未満」という塩分制限の目安は[2]、心不全と診断されていない人にとっても、血圧管理の参考になる数値です。適度な有酸素運動(ウォーキングなど)、十分な睡眠、ストレスの管理も、危険因子のコントロールに役立つとされています。ただし、すでに心臓病の診断を受けている場合は、運動の強度について自己判断せず、主治医に相談してください。

心臓病と高齢化:他人事ではない理由

厚生労働省の統計では、心疾患(高血圧性を除く)による死亡は日本人の死因の第2位を占め、死因別死亡者数全体の14.8%にのぼります[5]。これは、がんに次いで多い数字です[5]。国立循環器病研究センターの解説通り、心臓病は加齢とともにリスクが高まる病気が多く、高血圧・脂質異常症・糖尿病といった危険因子も年齢を重ねるほど増える傾向があります[1]。「まだ若いから大丈夫」と考えず、40歳を過ぎたら定期的な健康診断で血圧・血液検査・心電図の結果を確認する習慣が、早期発見の第一歩になります。

治療後の心臓リハビリテーション

心筋梗塞やカテーテル治療、心臓手術のあとには、医師・看護師・理学療法士などが関わる「心臓リハビリテーション」が行われることがあります。運動療法、食事指導、禁煙指導、服薬管理などを組み合わせ、再発の予防と体力の回復を目指すプログラムです。「手術をしたから安静第一」というイメージを持たれがちですが、医師の管理のもとで段階的に体を動かしていくことが、長期的な予後の改善につながるとされています。具体的な運動量や開始時期は、心臓の状態によって大きく異なるため、必ず担当医の指示に従ってください。

🚨 今すぐ119番か、様子を見てよいか:心筋梗塞・急性冠症候群の見分け方

ここが本記事でもっとも重要な章です。心臓病の中でも心筋梗塞・急性冠症候群は、対応の遅れが命に直結します。次の3段階で判断してください。

受診の緊急度:3段階の目安
段階 症状 対応
🔴 今すぐ119番 20分以上続く強い胸痛・圧迫感/冷や汗/左腕・あご・背中への放散痛/呼吸困難[6] ただちに119番。自分で車を運転して病院へ向かわない
🟡 早めに循環器内科 運動時だけ数分〜十数分続く胸の圧迫感がくり返される/動悸が頻繁に起こる/坂道での息切れが増えてきた 数日以内に循環器内科を受診
🟢 経過観察でよいことが多い 一瞬だけのチクッとした痛み(安静時・体動と無関係)で、他に症状がない 心配なら次の健診・かかりつけ医で相談

日本循環器学会の資料は、急性冠症候群が疑われる症状が出た場合、患者自身が医療機関を受診するのではなく、ただちに119番通報して救急車を要請する必要があるとしています[6]。「少し休めば治まるかもしれない」という自己判断で様子を見てしまうことが、最も危険な選択になり得ます。急性冠症候群そのものについては急性冠症候群:心臓を守るための最新知識と対策で詳しく解説しています。

119番してから救急車が来るまでにできること

119番通報をしたら、電話を切らずに、オペレーターの質問(住所、症状、意識の有無など)に落ち着いて答えてください。可能であれば次の対応を行います。①その場で楽な姿勢(座る・もたれかかるなど)をとり、安静にする。②衣服の締めつけ(ネクタイ・ベルトなど)をゆるめる。③普段服用している薬やお薬手帳が近くにあれば準備しておく。④意識を失った場合や呼吸が止まった場合は、周囲の人が救急隊の指示に従って心肺蘇生やAEDの使用を行う。自分で車を運転して病院に向かう、家族の車で搬送するといった行動は、症状が急変した際に対応できないため避けるべきとされています。

何科を受診すればいい?循環器内科を受診する目安

心臓病が疑われる症状は、基本的に「循環器内科」が窓口です。緊急性が高い症状(🔴の段階)は救急外来・119番、それ以外の相談は循環器内科の外来を受診するのが目安になります。

  • 健康診断の心電図で「異常あり」と指摘された
  • 動悸・息切れ・むくみが2週間以上続いている
  • 階段や坂道での息切れが、以前より明らかに悪化した
  • 脈がバラバラに乱れる感覚が繰り返し起こる

循環器内科は、施設によって「循環器科」「心臓血管内科」といった名称になっていることもあります。総合病院であれば、まず内科・循環器内科を掲げている診療科を確認してください。かかりつけ医がいる場合は、そこで心電図などの初期検査を受けたうえで、必要に応じて専門施設(国立循環器病研究センターなどの循環器専門病院)を紹介してもらう流れが一般的です。狭心症や心筋梗塞のリスクが高い、あるいは症状がすでに強い場合は、紹介を待たずに救急外来を受診する判断も重要です[6]。

不整脈が疑われる場合、電気の通り道の異常が原因となる房室ブロックのように、徐脈(脈が遅くなる)タイプの不整脈が背景にあることもあります。診察では、いつから・どんな時に・どのくらいの時間続くか、という情報が診断の助けになります。

日本と欧米のガイドライン比較:心房細動の抗凝固療法を例に

心臓病の診療方針は、国によって使われている評価方法が異なることがあります。ここでは代表的な不整脈である心房細動を例に、日本と欧米の考え方の違いを紹介します。これは、日本の医師が必ずしも把握しているとは限らない情報でもあります。

項目 日本(JCS/JHRSガイドライン) 欧米(ESC/ACC・AHAガイドライン)
主に使う脳梗塞リスク評価スコア CHADS2スコア[8] CHA2DS2-VAScスコア[9]
抗凝固療法を検討する目安 CHADS2スコア1点以上でDOAC(直接経口抗凝固薬)を推奨[8] CHA2DS2-VAScスコアで男性2点以上・女性3点以上を目安とする枠組みが広く用いられる[9]

日本循環器学会・日本不整脈心電学会のガイドラインはCHADS2スコアを基準としているのに対し[8]、欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓病学会・米国心臓協会(ACC/AHA)のガイドラインではCHA2DS2-VAScスコアがより広く使われているとされています[9]。どちらが優れているという単純な優劣の話ではなく、リスク評価の枠組みが地域によって異なるという点が重要です。※本項目は日本側・欧米側それぞれのガイドラインの枠組みの違いを紹介するものであり、個々の薬剤の保険適用や具体的な投与判断は、必ず主治医とご相談ください。

もう一つ、日本と欧米で歩みが揃ってきた分野もあります。心不全のステージ分類(A〜D)は、もともと米国のACC/AHAガイドラインで採用された考え方で[9]、日本循環器学会・日本心不全学会も改訂を重ねる中でA〜Dのステージ分類を取り入れています[7]。つまりこの分野では、日本と欧米の考え方が近づいてきているということです。ガイドラインは数年おきに改訂されるため、「以前に聞いた基準」が最新版と異なっている可能性がある点にも注意してください。

医療費の目安

心臓病の治療は、カテーテル治療や手術、ペースメーカー植え込みなど高額になりやすい処置が含まれることがあります。日本の公的医療保険には、1か月の医療費の自己負担額に上限を設ける「高額療養費制度」があり、所得区分に応じた上限額を超えた分は払い戻されます。具体的な金額と最新の制度改定については、下記の自動更新ブロックをご覧ください。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16


よくある質問(FAQ)

心臓病の初期症状にはどんなものがありますか?
国立循環器病研究センターの解説によれば、代表的なものは胸痛・動悸・息切れ・むくみ・失神です[1][2][3]。ただし同センターが指摘するとおり、不整脈のように自覚症状がほとんどないまま進行するケースもあるため[3]、健康診断の心電図異常を軽視しないことが大切です。
胸が痛いとき、何分くらい様子を見ていいですか?
日本循環器学会の資料によれば、急性冠症候群が疑われる症状では、様子を見るのではなく直ちに119番通報が必要とされています[6]。20分以上続く強い胸痛・冷や汗・放散痛・呼吸困難があれば、時間を計って待つのではなく、すぐに救急車を呼んでください。
動悸がよくありますが、不整脈でしょうか?
国立循環器病研究センターによれば、動悸は不整脈の代表的な症状の一つですが[3]、同センターの解説では、期外収縮のように「30歳を超えるとほぼ全員に認められる」とされる、比較的心配の少ないタイプの不整脈も存在します[3]。頻度や持続時間、失神を伴うかどうかによって緊急性が変わるため、循環器内科での心電図検査をおすすめします。
心不全と診断されたら治りますか?
国立循環器病研究センターは、心不全を「だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と説明しています[2]。完治というより、薬物治療・生活習慣の改善(塩分制限など)によって進行を抑え、症状をコントロールしていく病気と捉えるのが実情に近いといえます[2]。
足のむくみは心臓病のサインですか?
国立循環器病研究センターによれば、足のむくみは心不全でよくみられる症状の一つです[2]。同センターの解説では、特に1週間で2〜3kgの急な体重増加を伴う場合は、体に水分がたまっているサインとされ[2]、早めの受診が勧められます。
健康診断で心電図の異常を指摘されました。すぐ受診すべきですか?
国立循環器病研究センターによれば、心電図は不整脈や心筋梗塞の痕跡などを調べる基本的な検査です[2]。無症状でも異常所見があれば、放置せずに循環器内科で心エコーなどの追加検査を受けることが勧められます。
心臓病になりやすい生活習慣はありますか?
国立循環器病研究センターは、虚血性心疾患の4大危険因子として高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙を挙げています[1]。これに肥満、過度なストレス、加齢、遺伝的要因も関わるとされています[1]。
弁膜症は手術しないと治りませんか?
弁膜症は狭窄症(開きが悪い)と閉鎖不全症(逆流する)に分けられ[4]、進行の程度によって薬物治療で経過を見る場合と、カテーテル治療や手術が検討される場合があります。症状や心臓超音波検査の結果をもとに、循環器内科・心臓血管外科で総合的に判断されます。
心臓病の薬は一生飲み続けないといけませんか?
国立循環器病研究センターの生活管理指導では、「内服継続」が重要な柱の一つとされています[2]。自己判断で服薬を中断すると症状が悪化することがあるため、薬の量や継続期間については必ず主治医の指示に従ってください。
循環器内科では具体的にどんな医師が診てくれますか?
循環器内科は、心臓・血管の病気を専門とする内科です。国立循環器病研究センターが扱う虚血性心疾患・心不全・不整脈・弁膜症は[1][2][3]、いずれも循環器内科(施設によっては循環器科・心臓血管内科と呼ばれることもあります)が窓口です。緊急性が高い症状の場合は、循環器内科の外来予約を待たず、救急外来を受診してください。
ペースメーカーを入れたら普通の生活に戻れますか?
国立循環器病研究センターは、心不全の治療の一つとしてペースメーカー治療を挙げています[2]。徐脈性の不整脈に対しても、ペースメーカーは脈が遅くなりすぎるのを防ぐ標準的な治療法です[3]。日常生活の制限は植え込み後の経過や原因疾患によって異なるため、運動や電化製品の使用範囲については、必ず担当医の説明を確認してください。

心臓の病気に関する記事一覧

記事一覧 40件

基礎知識・原因 4

症状・見分け方 1

検査・数値 3

食事・生活 7

治療・薬 8

合併症・リスク 13

その他 4


心房細動の抗凝固療法における個々の薬剤選択や、各国ガイドラインの最新改訂の細部については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。具体的な治療方針は、必ず主治医にご確認ください。

参考文献

  1. 国立循環器病研究センター「虚血性心疾患|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 ncvc.go.jp ↩
  2. 国立循環器病研究センター「心不全|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 ncvc.go.jp ↩
  3. 国立循環器病研究センター「不整脈|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 ncvc.go.jp ↩
  4. 日本心臓財団「弁膜症|疾患別解説|心臓病の知識」 jhf.or.jp ↩
  5. 厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」 mhlw.go.jp ↩
  6. 日本循環器学会「心筋梗塞から1時間以内の救急処置が転帰を左右する」 j-circ.or.jp ↩
  7. 日本循環器学会/日本心不全学会「急性・慢性心不全診療ガイドライン」ステージ分類(A〜D) j-circ.or.jp ↩
  8. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会(JCS/JHRS)不整脈薬物治療ガイドライン(CHADS2スコアによる抗凝固療法の目安) j-circ.or.jp ↩
  9. 欧州心臓病学会(ESC)/米国心臓病学会・米国心臓協会(ACC/AHA)心房細動ガイドライン(CHA2DS2-VAScスコアによるリスク評価の枠組み) escardio.org ↩