コンテンツへスキップ
お問い合わせ
スポンサーリンク
心血管疾患 35分で読める 19回

心雑音を指摘された時|原因・心エコーの目安と受診の判断

スポンサーリンク
文字サイズ





結論から言うと、健診や診察で「心雑音」を指摘されても、その大半は治療の要らない無害性(機能性)心雑音です。日本心臓財団は、血流が速い状況や成長期の若い子どもに生理的に生じる雑音を「機能性雑音」と呼び、心臓の間仕切りの欠損や弁の締まり・開きの異常で生じるものと区別しています[1]。

受診の目安チェック・無料

この症状、いつ受診すべきか確認しますか?

回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。

症状はいつから続いていますか?

回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます

スポンサーリンク
この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
この息切れは弁の異常? 記事へ 合併症のリスクが怖い 記事へ 検査中の入浴はできる? 記事へ 失神するのは末期なの? 記事へ
この記事で気になったことを、AIにそのまま聞けます
健康アドバイザーオンライン ・ 24時間対応 無料
心臓の音を指摘されて、ご心配ですよね。いつ頃から気になっていますか?
気になるものを、タップするだけ
厚生労働省・査読論文などの一次情報源をもとに、あなたの状況に合わせてお答えします

子どもは体の成長にともなって血流が相対的に速くなりやすく、無害性の雑音が聞こえやすい時期があります[2]。一方、大人になってから初めて指摘された場合や、失神・胸の痛み・強い息切れを伴う場合は、弁膜症など精密検査が必要な病気が隠れていることがあるため、自己判断で放置せず心エコー検査を受けることが大切です。

要点まとめ

  • 日本心臓財団によれば、心雑音は「病名」ではなく、聴診で拾われる「音の所見」です[1]。
  • 同財団の説明では、血流が速いだけで生じる無害性(機能性)雑音と、弁や心臓の壁の異常で生じる器質性雑音があります[1]。
  • 日本小児循環器学会雑誌の観察研究では、新生児・乳児期に、生後間もない時期の血流の変化にともなって一時的な雑音が出やすい時期があることが報告されています[4]。
  • 日本循環器学会ほかの合同ガイドラインは、大人になって新たに指摘された場合、加齢による大動脈弁狭窄症などの弁膜症を念頭に置く必要があるとしています[5]。
  • 国立成育医療研究センターの基準では、失神・強い胸の痛み・呼吸困難、乳児の哺乳不良や体重増加不良を伴う場合、経過観察にせず速やかに医療機関を受診するべきとされています[3]。

編集方針

JHO編集部がAIツールの支援を受け、日本循環器学会・日本心臓財団・国立循環器病研究センター・国立成育医療研究センターなど公的機関・学会が公開する一次資料と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の診察・診断の代わりにはなりません。数値や基準はガイドラインの改定により変わることがあります(2026年7月時点の公開情報にもとづきます)。

心雑音とは?なぜ音が鳴るのか、仕組みから理解する

MSDマニュアル家庭版によると、心臓は4つの部屋(心房・心室)と4つの弁でできていて、弁は血液を一方向にだけ流す「ドア」の役割をしています[7]。同マニュアルは、心雑音について「血液が異常な弁を通って流れることで発生する音のこと」と説明しています[7]。

ただし、雑音の原因は「弁の異常」だけではありません。日本心臓財団によると、心臓の雑音は血流が狭い個所を通る場合、血流が速い場合、心臓内の間仕切りに欠損がある場合、弁の締まりが悪い場合、弁の開きが十分でない場合などのときにみられるとされています[1]。さらに同財団は、このうち「血流が狭い個所を通る」「血流が速い」の2つは問題がない場合といわれるものであり、機能性雑音といわれると説明しています[1]。

日本心臓財団の説明によれば、弁そのものは正常でも、貧血や発熱・運動などで血液の流れが速くなると、乱流が起こって音として聞こえることがあります[1]。逆に、弁が硬くなったり狭くなったりして血液の通り道そのものが狭くなると、正常な速さの血流でも乱流が生じて雑音になります。下の図は、この2つの状況の違いを示したものです。

この「速い血流」と「狭い通り道」という2つの原因は、年代によってどちらが多いかの傾向が異なります。同財団の説明が示すように、体が成長する途中の子どもや、貧血・発熱で心臓の拍動数が上がりやすい人では、弁自体に問題がなくても血流が相対的に速くなりやすいため、前者の「速い血流」による雑音が比較的多いと考えられます[1]。一方、日本循環器学会ほかの合同ガイドラインによれば、年齢を重ねるにつれて弁そのものが硬くなったり石灰化したりする変化が進みやすくなるため、大人、特に高齢になってから初めて指摘される雑音では、後者の「狭い通り道」を疑う場面が増えてくる、という違いがあります[5]。この記事でも、まず子どもに多い背景を説明したあと、大人・高齢者で注意したい弁膜症について章を分けて解説します。

図:JHO編集部が作成

国立成育医療研究センターの乳幼児健診マニュアルでは、心雑音を聴取した際に医師が確認するポイントとして、雑音を聴取する場所・最も強く聞こえる場所・収縮期か拡張期か連続性かを判定するとされています[3]。同じ「心雑音」でも、いつ・どこで・どんな音として聞こえるかによって、意味合いがまったく違うということです。

また、聴診で聞こえる音は雑音だけではありません。心臓の弁が閉じるときに鳴る通常の音を「I音」「II音」と呼びますが、国立成育医療研究センターのマニュアルは、高肺血流疾患で肺の血圧(肺高血圧)があるとII音の亢進が聴かれると説明しています[3]。医師は雑音の有無だけでなく、この基本の心音のリズムや強さ、余分な音(過剰心音)が混じっていないかもあわせて確認しながら、総合的に判断しています。聴診だけで診断が確定するわけではなく、疑わしい所見があれば心エコー検査などで裏付けを取っていく、という流れになります。

今の血圧・脈拍を確かめる

数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

身長と体重からBMIも調べる

これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

子どもの心雑音 — なぜ多いといわれるのか、いつ消えるのか

子どもの心雑音について、日本心臓財団に寄せられた相談への回答では、成長期の若い子どもには生理的現象として心雑音が聞かれることがあり、以前に貧血があった場合も血流が速くなるため心雑音を生じることがある、と説明されています[2]。学校検診や乳幼児健診で「心雑音があるようだ」と言われても、それ自体は珍しいことではありません。

新生児・乳児期の早い時期に限っては、心雑音が出やすい一時的な期間があることも報告されています。日本小児循環器学会雑誌に掲載された観察研究では、新生児の末梢の肺動脈内を流れる血流の速さが生後増大していく過程で、心雑音は日齢7前後から出現しはじめ、その頻度は月齢1でもっとも高くなったあと、月齢3〜4にかけて低下していったと報告されています[4]。この報告は特定の施設で行われた観察研究であり、すべての新生児に同じ経過が当てはまるとまでは言えませんが、生後間もない時期の心雑音が一時的な血流の変化によって説明できる場合があることを示す一例と考えられます[4]。

もっとも、「心雑音が聞こえる=心配ない」と自己判断してよいわけではありません。国立成育医療研究センターのマニュアルは、心雑音を聴取した場合には、心音の異常音の有無、呼吸のしかたの異常、手足の冷たさ、哺乳不良、体重の増え方、そけい部(脚のつけ根)で大腿動脈の拍動を触れるかなどの所見もあわせて判定するとしています。同マニュアルは、無害性雑音以外は精密検査のために医療機関へ紹介する、という基準を示しています[3]。さらに同マニュアルによれば、経過観察とする場合であっても、必ず1〜2か月後に再診察することになっているとされています[3]。

子ども自身に元気がある、哺乳や体重増加に問題がない、といった「随伴する症状がないこと」が、無害性雑音と判断するうえでの重要な手がかりになっている、と読み取れます。学童期における心雑音の一般的な聴取頻度についての大規模な日本国内データは、今回参照した資料の中には見当たりませんでした。この点は次の章で触れる「編集部として断言を避けている部分」としても記載しています。

気をつけたいのは、「無害性の雑音がよくある」という事実が、「心雑音のある子どもはすべて心配ない」という意味ではない、という点です。国立成育医療研究センターのマニュアルは、心音や雑音に異常を認める場合、保護者に既往歴と家族歴を確認したうえで、先天性心疾患はすでに診断されていることが多いが、健康診査で初めて異常を認めた場合は医療機関を紹介すると述べています[3]。心室中隔欠損症や心房中隔欠損症のように、心臓の壁に生まれつきの小さな欠損がある場合も、乳幼児健診での聴診がきっかけで見つかることがあります。だからこそ、無害性かどうかの見極めを自己判断せず、健診の場で医師に確認してもらうことが重要になります。

また、乳幼児健診は1回だけでなく、1か月健診、3〜4か月健診など、複数回にわたって行われます。国立成育医療研究センターのマニュアルでは、経過観察とする場合、時期によって「必ず1〜2か月後に再診察とする」「必ず約1か月後に再診察とする」といった具体的な間隔が示されています[3]。つまり「今回は様子見」となった場合でも、それで終わりではなく、決められた時期にもう一度確認するところまでが一連の流れだということです。

項目 無害性(機能性)心雑音の傾向 器質性心雑音の傾向
原因 弁や心臓の壁は正常だが、血流が速いために生じる[1] 弁の狭窄・閉鎖不全、心臓の壁(中隔)の欠損など、構造そのものの異常[1]
時期の目安 成長期の子どもや貧血のある人などに聞かれやすいとされる[2] 年齢を問わず起こりうるが、高齢になって新たに指摘される弁膜症も含まれる[5]
随伴する症状 元気があり、哺乳不良・体重増加不良・チアノーゼなどを伴わないことが多い[3] 呼吸の異常、手足の冷感、哺乳不良、体重増加不良、失神、胸痛などを伴うことがある[3]
対応の目安 経過観察となることが多いが、自己判断ではなく医師の判定が前提[3] 精密検査(心エコー検査など)のために医療機関へ紹介される[3]

出典:日本心臓財団「心臓に雑音があるといわれている」[1]/国立成育医療研究センター「改訂版 乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」[3]/日本循環器学会ほか合同「弁膜症治療のガイドライン」(2020年改訂版)[5]

大人になって初めて心雑音を指摘されたら — 弁膜症を念頭に

子どもの無害性雑音とは別に、注意が必要なのが「これまで指摘されたことがないのに、大人になって初めて心雑音を指摘された」というケースです。日本循環器学会ほかの合同ガイドライン「弁膜症治療のガイドライン」(2020年改訂版)は、心臓の弁が十分に開かない、あるいは血液が逆流するといった弁膜症が、心雑音の原因になりうることを示しています[5]。弁膜症全般の早期発見のポイントについては、心臓弁膜症の早期発見と治療の全貌:見逃せない9つの警告症状と未来を選ぶための適切な対策で詳しく解説しています。

とりわけ高齢の人で気をつけたいのが大動脈弁狭窄症(AS)です。同ガイドラインは、平均寿命が長い日本のような先進国では加齢に伴う大動脈弁の変性によるASの占める割合が最も大きいとしたうえで、AS の頻度は加齢とともに上昇し、70歳未満における重症ASは1%未満であるのに対し、80歳以上では報告によりばらつきが大きいがおおむね7%程度になると考えられる、と説明しています[5]。年齢が上がるほど、新しく指摘された心雑音の背景にASのような弁膜症が隠れている可能性が高くなる、と理解しておくとよいでしょう。

ただし、ASは高齢者だけの病気ではありません。同ガイドラインは、加齢性・リウマチ性以外の原因として先天性があり、一尖弁・二尖弁・四尖弁がよく知られているとしたうえで、このうち二尖弁が最も多く、有病率は全人口の0.5〜2%で、男女比は3対1で男性に多いと報告しています[5]。生まれつき弁の枚数が通常と異なる「二尖弁」は、若い頃には症状がなくても、中年以降に弁の変性が進みやすいとされ、比較的若い年代で弁膜症が見つかる場合の背景の一つになりえます[5]。「まだ若いから弁膜症は関係ない」と思い込まず、新たに指摘された雑音は年齢を問わず精密検査で確認する価値がある、といえるでしょう。

同ガイドラインによれば、ASに伴う身体所見としては、頸部(首)に向かって放散する収縮期の雑音を聴取することが特徴的とされています[5]。ただし、ここには注意すべき落とし穴もあります。ASが進行して左心室の機能が低下し、心臓が送り出す血液量(一回拍出量)が低下すると、かえって収縮期の雑音が小さくなることがあるため、雑音の大きさだけで病気の重症度を判断するのは誤りである、とガイドラインは明記しています[5]。「雑音が小さくなった=良くなった」と早合点してはいけない、ということです。

また、AS特異的な自覚症状というものはなく、労作時の息切れなどの心不全症状、胸の痛み、失神などが症状として現れるとされています[5]。同ガイドラインは、自覚症状を聴取する際には「階段を2階まで上った際に息切れを自覚するか」など具体的に問いかける必要があるとも述べています[5]。これは、患者本人が無意識のうちに活動を控えてしまい、「自覚症状無し」と答えてしまう可能性があるためだと説明されています[5]。

ここが、この記事の中でもっとも強く伝えたい数字です。同ガイドラインは、1968年に出された論文をもとに、心不全・失神・胸痛などの自覚症状が出現すると平均余命は2〜3年というデータが有名であるとしています[5]。さらに同ガイドラインは、治療(手術)を受けずに経過した重症AS患者についてのその後の報告として、平均余命は狭心痛(胸痛)出現後が45か月、失神後が27か月、心不全症状出現後が11か月というデータも紹介しています[5]。この数字は、あくまで症状が出ているのに治療を受けなかった重症AS患者についての報告であり、心雑音があるというだけの段階や、症状のない(無症候性の)段階、まして子どもの無害性雑音にそのまま当てはまるものではありません[5]。子どもに多い無害性雑音は治療そのものが不要であり、この数字とは関係がありません[1]。それでも、この数字が示す意味ははっきりしています——大動脈弁狭窄症で胸の痛み・失神・強い息切れといった症状が出はじめたら、経過観察の予定を待たずにすぐ受診することが、命に関わる違いを生みうる、ということです。

なお、無症候性であっても重症のASでは全体として予後が良好とは言えないという報告がある一方、突然死のリスクは年1%程度とされ、無症状のまま人工弁への置換を受けることなく経過をみられた場合の5年生存率は93%だったとする報告もあります[5]。これらの数値は特定の研究における結果であり、個々の患者にそのまま当てはまるとは限らないため、実際の見通しは心エコー検査の結果をもとに担当医と相談することが前提になります。

数字だけを見ると不安になるかもしれませんが、ここで押さえておきたいのは「症状が出る前に見つけて、計画的に経過を追う」ことの意味です。同ガイドラインは、無症状のまま人工弁への置換を受けることなく経過をみることができた重症AS患者の5年生存率が93%だったという報告を紹介する一方で、突然死のリスクは年1%程度とされるとも述べています[5]。この2つの数字は矛盾しているわけではなく、「多くの人はしばらく安定して過ごせるが、ゼロではないリスクがある」という弁膜症の性質を表していると考えられます[5]。だからこそ、症状のない段階でも定期的な心エコー検査を受け、進行のサインを早めにつかむことに意味がある、というのがガイドラインの立場です。

重症度 大動脈弁最大血流速度(Vmax) 平均圧較差(mPG) 弁口面積(AVA)
大動脈弁硬化 2.5m/秒以下 − −
軽症AS 2.6〜2.9m/秒 20mmHg未満 1.5cm2超
中等症AS 3.0〜3.9m/秒 20〜39mmHg 1.0〜1.5cm2
重症AS 4.0m/秒以上 40mmHg以上 1.0cm2未満
超重症AS 5.0m/秒以上 60mmHg以上 0.6cm2未満

出典:日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン「弁膜症治療のガイドライン」(2020年改訂版)表30 心エコー検査によるAS重症度評価[5]。この重症度はあくまで心エコー検査で得られる数値による分類であり、自分の聴診音だけから重症度を推測することはできません。

「経過観察」とはどういうことか — 様子を見ましょうの中身

心雑音を指摘されたときによく言われる「経過観察」という言葉は、「何もしなくてよい」という意味ではありません。国立成育医療研究センターのマニュアルが示すとおり、乳幼児健診では、経過観察とする場合であっても必ず1〜2か月後、あるいは約1か月後に再診察を行うという間隔が決められています[3]。つまり経過観察とは、「一定の間隔をあけて、専門家がもう一度確認する」という積極的な行為であって、放置とは違います。

大人の弁膜症についても同じ考え方があります。日本循環器学会ほかの合同ガイドラインは、中等症の大動脈弁狭窄症におけるAS進行の評価や、無症候性重症ASにおける手術時期を決定するために、定期的な心エコー検査を行うことを推奨クラスI(強く推奨される)としています[5]。症状がなく、今すぐ治療が必要な段階ではないと判断された場合でも、一定の間隔で心エコー検査を受けながら進み具合を確認していく、というのが弁膜症の経過観察の基本的な考え方です。どのくらいの間隔で再検査を受けるべきかは、弁の狭窄や逆流の程度によって個人差が大きいため、担当医の指示に従ってください。

心雑音の基準 — 医師は聴診で何を判定しているのか

「心雑音がある」と言われても、医師が実際に何を聞いているのかは伝わりにくいものです。国立成育医療研究センターのマニュアルによれば、心音はできるだけ安静な状態で、胸骨右縁第2肋間・胸骨左縁第2肋間・胸骨左縁第4肋間・心尖部の最低4か所で聴取するとされています[3]。同マニュアルは、心雑音を聴取する場合には、聴取する場所、最も強く聞こえる場所(最強点)、収縮期か拡張期か連続性かを判定すると説明しています[3]。

この「収縮期か拡張期か」という区別は、雑音の意味を考えるうえで重要な基準の一つです。一般に、収縮期の雑音は無害性雑音でも起こりうる一方、拡張期の雑音や連続性の雑音は器質的な異常を疑う手がかりになりやすいとされています。加えて国立成育医療研究センターのマニュアルは、高肺血流疾患で肺高血圧があるとII音の亢進が聴かれるとも述べており[3]、雑音そのものだけでなく、心音全体のリズムや強さも判断材料になっていることがわかります。

聴診器を当てる「場所」も基準の一つです。国立成育医療研究センターのマニュアルは、胸骨右縁第2肋間、胸骨左縁第2・第4肋間、心尖部の最低4か所で聴取するとしています[3]。これは、心臓にある4つの弁それぞれの音が最もよく聞こえる位置がおおむね決まっているためです。同じ「大きな音」でも、どの位置で最も強く聞こえるか(最強点)によって、疑われる弁が変わってきます。自分で位置を判断する必要はありませんが、「医師が聴診器をあちこちに当てているのは、場所ごとに違う情報を集めているからだ」と知っておくと、診察を受けるときの納得感が変わってくるはずです。

雑音の「大きさ」にも国際的に使われている基準があります。MSDマニュアルは、心雑音の強度を1から6までのグレードで表す分類を示しており、グレード1は「かろうじて聴取できる」、グレード2は「弱いが容易に聴取できる」、グレード3は音は大きいが触知できる微振動(振戦)は伴わない状態、グレード4は大きく振戦を伴う状態とされています。同マニュアルは、グレード5を「聴診器と胸部の接触が最小限でも大きく聴取できる」、グレード6を「聴診器が胸部に触れていなくても大きく聴取できる」と説明しています[8]。

グレード 説明
1 かろうじて聴取できる
2 弱いが容易に聴取できる
3 大きいが振戦は伴わない(触知可能な微振動の感覚)
4 大きく、振戦を伴う
5 聴診器と胸部の接触が最小限でも大きく聴取できる
6 聴診器が胸部に触れていなくても大きく聴取できる

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版「心雑音の強度」[8]。前の章で触れたとおり、グレードが高い=重症とは限らず、大動脈弁狭窄症のように心臓の機能が低下すると雑音が小さくなる病気もあるため、グレードはあくまで参考情報の一つです[5]。

精密検査は何をするのか — 心エコー検査はどんな検査?

心雑音を指摘されたときの精密検査として基本になるのが心エコー検査(心臓超音波検査)です。国立循環器病研究センターは、心臓は4つの部屋と4つの弁と呼ばれるもので構成されており、心エコー検査ではこれらの部屋の大きさや働き、弁の動きなどについて超音波を用いて詳しく観察することで、様々な心臓病の診断や治療方法の選択と治療効果の判定に役立つと説明しています[6]。

検査の方法について同センターは、超音波の通過をよくするために肌にゼリーをつけ、上半身のみ肌の見える状態でベッドに横になった状態で、探触子(プローブ)と呼ばれる道具を胸に押し当てて観察していくとしています[6]。同センターの案内では、針を刺したり体を切ったりする検査ではないものの、探触子を押し当てたり動かしたりすることによる圧痛を感じる場合があるともされています[6]。同センターによれば、検査時間は通常30分から1時間程度とされていますが、病気の種類や患者の状態などによって異なります[6]。

「子どもや妊娠中でも受けられるのか」という不安を持つ人もいるかもしれませんが、同センターはこの検査について、妊娠中の患者や乳児の患者でも安心して検査を受けていただくことができると案内しています[6]。放射線を使わない検査であることも、この検査が幅広い年齢で行われている理由の一つと考えられます。

検査を受けるときの姿勢にも理由があります。国立循環器病研究センターは、心臓をより観察しやすくするために体を左横向きにしたり、肺の空気の影響で心臓が観察しづらい場合に息を止めてもらったりすることがあると説明しています[6]。検査中に技師や医師から声をかけられたときは、遠慮せず協力してよいということです。同センターは、子どもの場合は発育の過程における評価として、検査直前の体格と心臓の大きさを比較するため、検査前に身長と体重を測定することもあるとしています[6]。

検査結果の受け取り方についても触れておきます。心エコー検査の結果は、大きく分けて「異常なし・無害性の範囲」「経過観察が必要」「精密検査や専門医への紹介が必要」のいずれかとして伝えられることが一般的です。数値や画像の細かい意味は専門的で分かりにくいことが多いため、結果の説明を受ける際には、遠慮せず「次はいつ、何のために受診すればよいか」を具体的に確認しておくと安心です。

心エコー検査で弁の異常が疑わしいのに画像がはっきりしない場合には、心臓カテーテル検査の全貌:安全性と効果を徹底解説で紹介しているような、より詳しい検査に進むことがあります。また、心雑音とあわせて動悸や脈の乱れが気になる場合は、日常生活の中で心臓の動きを長時間記録するホルター心電図とは?日常生活のパートナーとして心臓を見守る24時間検査のすべてが行われることもあります。心雑音そのものではなく脈のリズムの異常が疑われる場合は、房室ブロック|心臓の電気信号が途切れる病気とは?原因・症状・検査・治療と日常生活のポイントのように、雑音とは別の仕組みで起こる心臓病についても知っておくと理解が深まります。心臓病全般の基礎知識は心臓の病気にまとめています。

受診の目安

この記事の中でくり返し触れてきたとおり、指摘そのものより、次のような随伴症状があるかどうかが、緊急性を判断するうえで重要とされています。子ども・大人のいずれであっても、下記のようなサインを伴わない場合は、慌てて救急外来に駆け込む必要はなく、通常の外来予約の範囲で対応できることがほとんどです。一方で、下記に当てはまる場合は、経過観察の期間を待たずに医療機関へ連絡してください。前の章で触れたとおり、日本循環器学会ほかの合同ガイドラインは、大動脈弁狭窄症で心不全・失神・胸痛などの症状が出てから治療を受けなかった場合の平均余命を、症状の種類ごとに11か月〜45か月程度としたデータを紹介しています[5]。だからこそ、下記のサインは「様子を見る」対象ではありません。

大人・高齢者で、すぐに医療機関(循環器内科)を受診したほうがよいとされるサイン(日本循環器学会ほかの合同ガイドラインを参考に作成)

  • 突然の失神、あるいは意識が遠のくような感覚を伴う[5]
  • ガイドラインが心不全症状として挙げる、階段や坂道での息切れが以前よりはっきりした、あるいは安静にしていても息苦しい[5]
  • 同ガイドラインが症状の一つとして挙げる、胸の痛みや締めつけられるような感じがある[5]
  • これまで指摘されたことのない心雑音を、健診や診察で初めて指摘された

乳児・子どもで、経過観察にせず医療機関を受診したほうがよいとされるサイン(国立成育医療研究センターの乳幼児健診マニュアルを参考に作成)

  • 同マニュアルが挙げる、呼吸のしかたがいつもと違う(多呼吸、努力呼吸など)というサイン[3]
  • 同マニュアルが挙げる、手足が冷たい、顔色や唇の色が青みがかっている(チアノーゼ)というサイン[3]
  • 同マニュアルが挙げる、おっぱいやミルクの飲みが悪い、体重の増え方が悪いというサイン[3]
  • 同マニュアルが挙げる、そけい部(脚のつけ根)で脈(大腿動脈の拍動)が弱く感じられる、あるいは触れにくいというサイン[3]

これらの症状がなく、元気に過ごせている場合は、多くが経過観察や予約での外来受診の範囲におさまります。国立成育医療研究センターのマニュアルが示す基準にもあるとおり、判断は自己流にせず、指摘を受けた医療機関の指示(次回受診の時期など)に従うことが基本です[3]。日本心臓財団の説明によれば、失神は、脳に原因がある場合、心臓に原因がある場合、神経が反射的に働いて起こる場合など、原因がいくつも考えられるため、循環器を専門とする医師による精密検査が必要になるとされています[11]。

乳幼児健診や学校の心臓検診自体は、多くの自治体で公費によってまかなわれていますが、そこで指摘を受けたあとの精密検査(心エコー検査など)は、通常の保険診療として扱われます。医療費の目安や、高額になった場合の制度については、最新の適用時期にあわせて下記でご確認ください。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

学校健診・乳幼児健診で心雑音が見つかったとき — 部活動や生活はどうなる

日本の学校心臓検診は心電図検査が柱になっていますが、それだけで行われているわけではありません。日本循環器学会・日本小児循環器学会・日本不整脈心電学会の合同ガイドライン(2025年フォーカスアップデート版)がもとにした全国調査によると、1次検診で実施された心電図以外の検査項目は、心臓検診調査票が91%、校医による聴診が79%、心音図が25%だったと報告されています[9]。つまり、多くの学校で、心電図とあわせて聴診による確認も行われているということです。同調査では、2次検診以降の精密検査が必要となった生徒の割合は全体で3.3%、精密検査の結果として経過観察や管理が必要と判定された生徒の割合は全体で0.99%だったとも報告されています[9]。これは心電図所見も含めた学校心臓検診全体の数字であり、心雑音だけを取り出した割合ではありませんが、学校の場でも一定数の子どもが精密検査に進んでいる、という規模感の参考にはなります。

乳幼児健診や学校の心臓検診の中で、聴診によって心雑音が見つかることがあります。子どもに心疾患があり生活の管理が必要と判断された場合、日本では公益財団法人日本学校保健会が定める「学校生活管理指導表」が、運動の可否を決めるものさしとして使われています。同会の資料によれば、指導区分はAからEまでの5段階とされ、Aは在宅医療・入院が必要、Bは登校はできるが運動は不可とされています。同資料はさらに、Cは同年齢の平均的な児童生徒にとっての軽い運動には参加可、Dは中等度の運動まで参加可、Eは強い運動にも参加可、という基本的な考え方を示しています[10]。

ここで大切なのは、これらの区分は「心雑音があるかどうか」だけで決まるのではなく、心臓病の種類や重症度を診察・検査したうえで、学校医・主治医が個別に判断するという点です。無害性の雑音だけであれば運動制限の対象にならないことがほとんどですが、それも自己判断ではなく、健診結果をふまえた医師の判定によって決まります。

指導区分 基本的な考え方
A 在宅医療または入院が必要
B 登校はできるが運動は不可
C 同年齢の平均的な児童生徒にとっての「軽い運動」には参加可
D 同年齢の平均的な児童生徒にとっての「中等度の運動」まで参加可
E 同年齢の平均的な児童生徒にとっての「強い運動」にも参加可

出典:公益財団法人日本学校保健会「心疾患児 新・学校生活管理指導のしおり」[10]。指導区分の細かい判定基準や様式は改訂されることがあるため、実際の適用にあたっては学校・主治医が使用している最新の管理指導表を確認してください。

ここでいう「軽い運動」「中等度の運動」「強い運動」にも、それぞれ目安になる定義があります。日本学校保健会の資料では、軽い運動は「ほとんど息がはずまない程度の運動」、中等度の運動は「少し息がはずむが、息苦しくはない程度の運動でパートナーがいれば楽に会話ができる程度のもの」と説明されています。同会の資料は、強い運動を「息がはずみ息苦しさを感じるほどの運動」と説明しています[10]。同資料はまた、この運動強度区分はあくまで同年齢の平均的な児童生徒にとっての取り組み方によって分類されたものであり、一人ひとりの自覚的な運動強度とは必ずしも一致しない、とも注意を促しています[10]。「うちの子はC判定だから何をしてよいのか分かりにくい」と感じたときは、具体的な種目に置き換えて学校医・主治医に確認するとよいでしょう。

受診の前に準備しておくとよいこと

健診や診察で心雑音を指摘されたときは、次のような情報を整理してから受診すると、医師とのやり取りがスムーズになりやすいとされています。

  • いつ、どこで(学校健診・乳幼児健診・人間ドックなど)指摘されたか
  • 日本心臓財団の相談事例でも聞かれている、過去に貧血や発熱、心臓の病気を指摘されたことがあるか[2]
  • 息切れ・動悸・胸の痛み・失神など、気になる症状がいつからあるか
  • 国立成育医療研究センターのマニュアルが確認項目に挙げる、子どもの場合は哺乳や体重増加の様子、運動時の様子[3]
  • 家族に心臓病の人がいるか

この記事で断言を避けている部分

学童期における無害性心雑音のおおよその聴取頻度(何割の子どもに聞かれるか)について、日本国内の大規模な公的統計は、今回参照した資料の中には見当たりませんでした。新生児期・乳児期早期の一過性の雑音については単一施設の観察研究の数値を紹介していますが、これがすべての子どもに当てはまる頻度であるとまでは言えません[4]。

また、心雑音の既往が生命保険の加入や就職時の健康診断でどう扱われるかについては、無害性か器質性か、保険会社や企業の基準によって判断が分かれると考えられ、一律の基準を示す一次資料は今回確認できませんでした。心配な場合は、指摘を受けた医療機関で診断書を用意してもらったうえで、保険会社や産業医に直接確認することをおすすめします。

妊娠中の生理的な変化がどの程度この所見に影響するか(たとえば血液量の増加がどの程度の頻度で聴診上の所見につながるか)についても、日本国内の産科・循環器の合同資料にもとづく具体的な割合は、今回のリサーチでは確認できていません。妊娠中に指摘を受けた場合の対応は、産科と連携できる循環器の医師の判断に従ってください。

さらに、日本国内での学童期・成人期を通じた心雑音全体の有病率(器質性・無害性を合わせて、日本人の何%が何らかの心雑音を持つか)を示す最新の全国規模の疫学調査についても、今回のリサーチでは特定できませんでした。本記事で紹介した数値の多くは、特定の年代・特定の疾患(新生児期の一過性雑音、大動脈弁狭窄症など)を対象にした個別の報告であり、「心雑音全体」を網羅する一つの数字ではない、という点をあらためて記しておきます。

受診時に医師に伝えるとよいこと(印刷してお使いください)

  • この所見をいつ・どこで(学校健診/乳幼児健診/人間ドック/別の病院など)指摘されたか
  • これまでに心臓や血圧、貧血について指摘されたことがあるか
  • 現在飲んでいる薬やサプリメント
  • 息切れ・動悸・胸の痛み・失神の有無と、いつからか
  • 階段や坂道での息切れが、以前と比べて変わったと感じるか
  • 子どもの場合:哺乳・体重増加・運動時の様子、母子健康手帳
  • 家族に心臓病や若くして突然死した人がいるか
  • 過去に受けた心電図・心エコー検査の結果(あれば持参)
  • 医師に聞きたいこと(精密検査の内容、次回受診の時期、運動制限の有無など)
この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
この息切れは弁の異常? 記事へ 合併症のリスクが怖い 記事へ 検査中の入浴はできる? 記事へ 失神するのは末期なの? 記事へ

まとめ — 指摘されたら、まず何をすればいいか

ここまでの内容を、実際に指摘を受けた人が次にとる行動として整理すると、次のようになります。まず、指摘してくれた医療機関や健診機関の指示(経過観察か、精密検査への紹介か)を確認します。次に、国立成育医療研究センターの基準が挙げる、失神・強い息切れ・胸の痛み、子どもであれば哺乳不良や体重増加不良、チアノーゼといった随伴症状がないかを振り返ります[3]。随伴症状があれば、経過観察の予定を待たずに早めに受診してください。随伴症状がなければ、指示された時期に心エコー検査を受け、結果の説明を聞く際に「次はいつ、何を確認するか」を具体的に確認しておくと安心です。

大人になって初めて指摘された場合は、日本循環器学会ほかの合同ガイドラインが示すとおり、特に高齢になるほど大動脈弁狭窄症のような弁膜症の可能性を念頭に置き[5]、自己判断で放置しないことが大切です。子どもの場合は、日本心臓財団の説明にあるように、成長にともなって自然に聞こえなくなっていくことが多いとはいえ、それを判断するのは保護者ではなく医師である、という原則を忘れないようにしましょう[2]。

よくある質問

健診で心雑音と言われました。放置してもいいですか?
自己判断で放置するのはおすすめできません。日本心臓財団によれば、心雑音の多くは無害性(機能性)ですが、それを見分けるのは医師の診察と、必要に応じた心エコー検査です[1]。国立成育医療研究センターのマニュアルでも、心雑音を聴取した場合は随伴する所見とあわせて判定し、無害性雑音以外は精密検査のために医療機関へ紹介するとされています[3]。まずは指摘してくれた医療機関の指示(経過観察か、精密検査か)に従いましょう。
子どもの心雑音は自然に消えますか?
日本小児循環器学会雑誌の観察研究では、新生児期・乳児期早期に一時的に聞かれる心雑音について、月齢が進むにつれて頻度が下がっていったと報告されています[4]。また、成長期の子どもに聞かれる機能性の雑音も、体の成長とともに聞こえなくなっていくことがあるといわれています。ただし、これは無害性と判定された場合の一般的な経過であり、すべての子どもに当てはまるとは限らないため、国立成育医療研究センターのマニュアルが示すとおり、経過観察の時期や再診のタイミングは医師の指示に従ってください[3]。
心雑音があると、保険や就職に影響しますか?
無害性か器質性か、保険会社や企業の健康診断の基準によって扱いが異なると考えられますが、一律の基準を示す公的な一次資料は今回確認できませんでした。心配な場合は、医療機関で診断内容を確認したうえで、保険会社の告知基準や勤務先の産業医に直接相談することをおすすめします。
心雑音があると、運動や部活動は制限されますか?
この所見だけであれば、運動制限の対象にならないことがほとんどです。学校で管理が必要と判断された場合は、日本学校保健会の「学校生活管理指導表」にもとづき、A(在宅医療・入院が必要)からE(強い運動も可)までの区分で、学校医・主治医が個別に判断します[10]。指摘の有無だけでなく、心臓病の種類や重症度によって区分が決まる点に注意してください。判定に納得がいかない場合や、部活動の内容について具体的に相談したい場合は、指導表を発行した学校医または主治医に、種目名を挙げて直接確認するのがもっとも確実です。
心雑音を指摘されたら、何科を受診すればいいですか?
大人は循環器内科、子どもは小児科(または小児循環器を専門とする医療機関)が基本です。すでにかかりつけの内科・小児科があれば、まずそこで相談し、必要に応じて心エコー検査ができる医療機関や専門医を紹介してもらう流れが一般的です。健診で「要精密検査」の紹介状を渡された場合は、その紹介状に指定された診療科・医療機関を受診するのがもっとも確実です。どこを受診すればよいか迷ったときは、健診を実施した機関や、住んでいる自治体の保健センターに問い合わせても案内してもらえることがあります。
心エコー検査は痛いですか?時間はどれくらいかかりますか?
国立循環器病研究センターの案内では、針を刺したり体を切ったりする検査ではないものの、探触子(プローブ)を胸に押し当てたり動かしたりすることで圧痛を感じる場合があるとされています[6]。同センターによれば、検査時間は通常30分から1時間程度で、病気の種類や患者の状態によって異なるとされています[6]。放射線は使わないため、同センターは妊娠中の人や乳児でも安心して受けられる検査だと案内しています[6]。
心雑音と不整脈(脈が飛ぶ感じ)は同じものですか?
違います。心雑音は聴診器で聞こえる「音の異常」で、血流の乱れによって生じます[1]。一方、不整脈は心臓の電気的な信号のリズムの乱れによって起こるもので、心電図で調べます。日本心臓財団の相談事例でも、心雑音があるかどうかは心電図ではなく心エコー検査で確認する必要があると説明されています[2]。動悸や脈が飛ぶ感じがある場合は、ホルター心電図など別の検査が必要になることがあります。
妊娠中に心雑音を指摘されました。心配ですか?
妊娠中は血液の量や流れが変化しやすい時期であり、これまで指摘されたことのない所見が新たに聞かれることがあります。国立循環器病研究センターの案内によれば、心エコー検査は放射線を使わないため、妊娠中でも安心して受けられる検査とされています[6]。とはいえ自己判断はせず、産科と連携できる循環器の医師の診察を受けることが大切です。もともと先天性の心臓病があった人が妊娠した場合は、妊娠・出産にともなう心臓への負担についても事前に相談しておくと安心です。
動悸があるとき、心雑音も一緒に疑うべきですか?
動悸(脈が速い・強く感じるなど)と心雑音(聴診で聞こえる音)は、それぞれ別の所見として評価されます。動悸だけで心雑音があるとは限りませんが、両方が同時にみられる場合は、弁膜症や不整脈など、心臓そのものに原因がある可能性を考えて検査が進められることがあります。動悸が主な症状の場合は、心電図やホルター心電図での評価が中心になります。なお、食後の動悸や眠気が続く場合は、心臓ではなく血糖の変動が背景にあることもあり、反応性低血糖(食後低血糖)とは|糖尿病でない動悸・眠気の原因のような別の原因が隠れているケースもあります。
大人になって急に心雑音を指摘されました。何を疑いますか?
これまで指摘のなかった心雑音を大人になって初めて指摘された場合、日本循環器学会ほかの合同ガイドラインは、加齢による大動脈弁の変性などを背景とした弁膜症、特に大動脈弁狭窄症を念頭に置く必要があるとしています[5]。頸部に放散する収縮期の雑音が特徴のひとつとされていますが、心臓の機能が低下すると雑音がかえって小さくなることもあるため[5]、雑音の大きさだけで自己判断せず、心エコー検査を受けることが勧められます。
心雑音があると、必ず手術が必要になりますか?
いいえ、そうとは限りません。無害性(機能性)の雑音であれば治療そのものが不要です。日本循環器学会ほかの合同ガイドラインによれば、器質性の場合でも、弁の狭窄や逆流がごく軽度であれば、すぐに手術を検討する段階ではなく、定期的な心エコー検査で経過を見ていくことが一般的です[5]。MSDマニュアル家庭版の説明では、手術(弁形成術や弁置換術など)が検討されるのは、心不全症状や失神などの自覚症状が出てきた場合や、心エコー検査で重症と判定され、心臓への負担が大きいと判断された場合です[7]。同マニュアルは、弁の開きが悪い場合には、カテーテルの先につけた風船をふくらませて弁を押し開く弁形成術が行われることがあり、弁が大きく傷つけられている場合には、機械式の弁や生体弁に交換する手術が行われることがあると説明しています[7]。どの治療法が向いているかは、弁の種類・重症度・年齢などによって医師が総合的に判断します。
去年までの健康診断では何も言われなかったのに、今年急に心雑音を指摘されました。見落としでしょうか?
見落としとは限りません。日本循環器学会ほかの合同ガイドラインが示すとおり、弁の変性による大動脈弁狭窄症のように、加齢とともに少しずつ進行し、ある時点から聴診で分かるくらいの音として現れてくる病気もあります[5]。また、体重の変化や体調、聴診時の姿勢によって聞こえ方が変わることもあります。心配な場合は、以前の健康診断の結果(心電図・血液検査・可能であれば心エコー検査歴)を持参して受診すると、以前との変化の有無を医師が確認しやすくなります。「前は何も言われなかったのに」という戸惑いは自然な感情ですが、多くの場合、それを責めるより今後どう向き合うかを一緒に考えることのほうが大切です。

参考文献

  1. 公益財団法人日本心臓財団「心臓に雑音があるといわれている」 https://www.jhf.or.jp/check/opinion/10/2257j.html
  2. 公益財団法人日本心臓財団「小児の心雑音」 https://www.jhf.or.jp/check/opinion/10/2602s.html
  3. 国立成育医療研究センター「改訂版 乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」 https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/shinsatsu_manual.pdf
  4. 日本小児循環器学会雑誌「新生児期・乳児期早期における末梢肺動脈の変化と一過性心雑音」8巻2号 https://jspccs.jp/wp-content/uploads/j0802_244.pdf
  5. 日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン「弁膜症治療のガイドライン」2020年改訂版 https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf
  6. 国立循環器病研究センター「心エコー検査」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/treatment/laboratorymedicine/physiofunction/detail08/
  7. MSDマニュアル家庭版「心臓弁膜症の大まかな説明」 MSDマニュアル家庭版「心臓弁膜症の大まかな説明」
  8. MSDマニュアル プロフェッショナル版「心雑音の強度」 MSDマニュアル プロフェッショナル版「心雑音の強度」
  9. 日本循環器学会/日本小児循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン「2025年JCS/JSPCCSガイドライン フォーカスアップデート版 学校心臓検診」 https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Iwamoto.pdf
  10. 公益財団法人日本学校保健会「心疾患児 新・学校生活管理指導のしおり」 https://www.gakkohoken.jp/book/ebook/ebook_H130030/H130030.pdf
  11. 公益財団法人日本心臓財団「失神発作の原因」 https://www.jhf.or.jp/check/opinion/10/6853.html

更新日:2026年7月25日。本記事の内容に誤りや古い情報にお気づきの際は、お問い合わせフォームよりお知らせください。事実関係を確認のうえ訂正いたします。

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ

この記事をシェア

LINE 𝕏
この記事について(運営者情報・免責事項) タップで表示

医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

運営者情報を見る →