コンテンツへスキップ
お問い合わせ
ホーム › 病気ライブラリ › 心臓・血液 › 高血圧
JHO 病気ペディア

高血圧こうけつあつ / Hypertension

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
脳卒中のリスクが怖い 記事へ 薬を飲んでも血圧が下がらない3つの根本原因と全対策 記事へ 夕方の高血圧は危険? 記事へ 病院で推奨されるのは? 記事へ

✦ 結論から言うと

高血圧とは、診察室で測った血圧の上(収縮期血圧)が140mmHg以上、または下(拡張期血圧)が90mmHg以上のいずれかにあてはまるときに診断される状態です[2]。自覚症状がほとんどないまま脳卒中・心筋梗塞・腎臓病のリスクを高めることから「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれ[1]、国内の患者数は約4,300万人と推計されています[1]。日本高血圧学会は2025年8月29日に指針を6年ぶりに改訂し[7]、これまで年齢や合併症によって分かれていた降圧目標を、多くの成人で年齢を問わず上130mmHg未満・下80mmHg未満に統一しました[3]。

原因 食塩の摂り過ぎ・肥満・運動不足・飲酒・遺伝的体質などが組み合わさって起こる「本態性高血圧」が大部分。甲状腺や副腎の病気、睡眠時無呼吸症候群が原因の「二次性高血圧」もある[2]
主な症状 ほとんどの人に自覚症状はない。進行すると早朝の頭痛、夜間の頻尿、呼吸困難、めまい、ふらつき、下肢の冷えなどが現れることがある[1]
受診の目安 意識がもうろうとする・手足が片方だけ動かしにくい・急な胸や背中の痛みなどがあれば、血圧の数値にかかわらず直ちに救急要請。症状がなくても血圧が180/120mmHg以上あれば早めに医療機関を受診[5]

高血圧とは?原因と血管が傷む仕組み

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。心臓が収縮して血液を押し出すときに最も強い圧力がかかる値が収縮期血圧(systolic blood pressure、いわゆる「上の血圧」)、心臓が拡張しているときの値が拡張期血圧(diastolic blood pressure、いわゆる「下の血圧」)です[1]。

厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、日本人の高血圧の原因の大部分を占めるのは「本態性高血圧」で、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。なかでも日本人にとって重要なのは食塩の過剰摂取です[2]。甲状腺や副腎の病気、睡眠時無呼吸症候群などが原因で起こる高血圧は「二次性高血圧(secondary hypertension)」と呼ばれ、原因のない本態性高血圧とは区別されます[2]。また、若年〜中年の男性を中心に、肥満とくに内臓肥満を伴う高血圧の割合が増えていると指摘されています[2]。そのほかの生活・環境要因として、運動不足、睡眠不足、過重労働、過剰な飲酒、寒冷、ストレスなども高血圧の原因として挙げられています。高血圧は自覚症状がほとんどなく自分では気づきにくいため、毎年の健診で血圧を確認することが重要だとされています[2]。

血圧が高い状態が続くと、血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化が進みます。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」は、血圧が高い状態が続くと全身の血管が障害され、脳出血、脳梗塞、心不全、心筋梗塞、腎臓病などさまざまな臓器障害が引き起こされるとしています[5]。高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行することから「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれ、日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、高血圧が完全に予防できれば年間10万人以上の人が死亡せずに済むと推計されると説明しています[1]。一方、日本高血圧学会が2025年に公表した「高血圧の10のファクト」では、2022年のLancet誌のデータをもとに、高血圧が原因となる病気(脳卒中や心臓病)で1年間に17万人が死亡していると紹介されています[3]。使われている研究や年によって推計値には幅がある点に注意してください。

高血圧は単独でも動脈硬化を進めますが、厚生労働省のe-ヘルスネットは、腹部肥満に血圧高値・血糖高値・脂質異常のうち複数が重なる「メタボリックシンドローム」の状態では、たとえ高血圧の診断基準や高値血圧の基準に満たなくても動脈硬化がさらに進みやすいため注意が必要だとしています。高血圧が進んで動脈硬化になると、心臓では狭心症や心筋梗塞・心不全、脳では脳梗塞・脳出血などの脳血管障害(脳卒中)や認知症になりやすくなるとも説明されています[2]。

正常血圧と高血圧で血管の壁の厚さ・内腔の広さがどう変わるかをもとにJHO編集部が作図(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」/厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧」)

血圧が良好な場合と高血圧を放置した場合の脳・心臓・腎臓への影響をもとにJHO編集部が作図(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」/厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧」)

診断の目安となる数値・基準

日本高血圧学会の基準では、上の血圧・下の血圧のどちらか一方でもこの基準を超えれば高血圧と判定され、診察室血圧よりも家庭血圧の値が優先して用いられます[1]。厚生労働省のe-ヘルスネットは、今なお20歳以上の国民のおよそ2人に1人が高血圧に該当すると説明しています[2]。

分類 診察室血圧(収縮期/拡張期、mmHg) 家庭血圧(収縮期/拡張期、mmHg)
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
Ⅰ度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
Ⅱ度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
Ⅲ度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」(最終更新日:2024年11月13日)[2]/畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1)、表1(日本高血圧学会ガイドライン2019の分類を引用)[4]

この診断基準の数値(140/90mmHg)は、2025年8月に発行された最新版ガイドラインでも変更されていません。日本高血圧学会が同時に示したのは「降圧目標」の見直しであり、「診断基準」の変更ではない点に注意が必要です(詳しくは後述の日米比較を参照)[3][7]。

高血圧と診断されると、血圧の数値だけでなく、臓器への影響や合併症の有無を調べる検査が行われることがあります。心電図では高血圧合併症である心肥大(心臓の筋肉が厚くなること)・心臓の虚血・不整脈の有無を、胸部レントゲンや心エコーでは心肥大や心不全、弁膜症の有無を調べます。尿検査や血液検査では、腎臓への負担、脂質異常症や糖尿病の有無、高血圧の原因となりうるホルモン異常を調べます。そのほか、脈波伝播速度(PWV)や足関節上腕血圧比(ABI)で動脈の硬さを、頸部の超音波検査で脳に向かう動脈の状態を評価することもあります[1]。

白衣高血圧・仮面高血圧との見分け方

血圧は測る場所や状況によって変動します。日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、診察室でだけ血圧が高くなる「白衣高血圧(white-coat hypertension)」と、診察室では正常なのに家庭や職場では血圧が高い「仮面高血圧(masked hypertension)」という2つのパターンを説明しています[1]。

項目 持続性高血圧 白衣高血圧 仮面高血圧
診察室血圧 140/90mmHg以上[1] 140/90mmHg以上[1] 135/85mmHg未満(正常)[1]
家庭血圧 135/85mmHg以上[1] 135/85mmHg未満(正常)[1] 135/85mmHg以上[1]
治療の必要性 必要 家庭血圧が本当に正常なら降圧薬治療は当面不要(ただし定期測定を継続)[1] 持続性高血圧と同程度に脳心血管病を起こしやすく、治療が必要[1]

診察室血圧と家庭血圧の高低パターンをもとにJHO編集部が作図(出典:日本高血圧学会・日本高血圧協会・COML「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」)

見分けるカギ:診察室だけでなく、自宅で測る家庭血圧を確認することです。仮面高血圧は診察室血圧だけでは見逃されるため、日本高血圧学会のガイドラインは家庭血圧の測定を優先して用いています[1]。

日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、家庭血圧の正しい測り方として、朝(起床後1時間以内・排尿後・朝食や服薬の前に1〜2分安静にしてから)と夜(就寝前に1〜2分安静にしてから)の1日2回、座った姿勢で測ることを勧めています。上腕にカフを巻くタイプの血圧計を使い、イスに脚を組まずに腰かけ、カフの高さを心臓の高さに合わせます。測定前はたばこ・飲酒・カフェインを避け、測定中は話をしたり力を入れたりせず、原則として2回測ってすべてを血圧手帳に記録することが推奨されています[1]。

経過と治療:時期別のケア

慶應保健研究に掲載された解説論文によれば、高血圧と診断された後は、まず脳心血管病のリスクを評価したうえで治療方針が決まります。生活習慣の修正の効果を確認する期間の目安は、血圧の分類とリスクの組み合わせによって異なります。高値血圧(130-139/80-89mmHg)で低・中等リスクの場合は、おおむね3か月後に十分な降圧が得られたかを再評価し、得られなければ生活習慣の修正・非薬物療法をさらに強化します。高値血圧で高リスクの場合は、おおむね1か月後に再評価し、得られなければその強化とあわせて薬物療法が開始されます。すでに高血圧(140/90mmHg以上)になると、低・中等リスクでもおおむね1か月後の再評価を目安に薬物療法の要否を判断し、高リスクの場合は生活習慣の修正とあわせてただちに薬物療法が開始されます[4]。高齢者については、2019年版ガイドラインの時点で65〜74歳は130/80mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg未満を目安としつつ、脳血管障害や慢性腎臓病など降圧目標が異なる病気を合併している場合は、忍容性があれば75歳以上でも130/80mmHg未満をめざす方針とされていました[4]。2025年8月の改訂により、この年齢による区別は解消され、75歳以上の高齢者を含めて130/80mmHg未満が基本方針となっています[3]。ただし、副作用や有害事象に注意しながら個々の状態に応じて慎重に降圧することが前提であり、フレイル(心身が老い衰えた状態)の高齢者や要介護状態、終末期にある高齢者については、一律の降圧目標は設けられていません(詳しくは記事末尾を参照)。

持病がある人では、降圧目標がさらに細かく分かれます。慶應保健研究に掲載された解説論文によれば、2019年版ガイドラインの時点で、脳血管障害の患者は両側頸動脈狭窄や脳の主幹動脈閉塞がない場合は130/80mmHg未満、ある場合は140/90mmHg未満が目標とされていました。蛋白尿が陽性の慢性腎臓病(CKD)患者や糖尿病患者、抗血栓薬を内服中の患者も130/80mmHg未満が目標とされる一方、蛋白尿が陰性のCKD患者は140/90mmHg未満とされ、腎臓の状態によって目標が異なっていました[4]。こうした持病ごとの細かい目標は、必ず主治医とともに確認してください。

日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、薬を使わない生活習慣の修正として、次のような具体的な目標を示しています[1]。

修正項目 具体的な目標
減塩 食塩摂取量6g/日未満[1]
体重管理 体格指数(BMI)25.0kg/m²未満[1]
節酒 アルコール量で男性1日20〜30mL以下、女性1日10〜20mL以下[1]
運動 毎日30分以上、または週180分以上の運動[1]
食事パターン 野菜・果物や多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取し、飽和脂肪酸・コレステロールは控える(DASH食=Dietary Approaches to Stop Hypertension)[1][6]

出典:日本高血圧学会・日本高血圧協会・COML「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」[1]/厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」[6]

減塩は最も効果が期待できる生活習慣の修正のひとつです。厚生労働省のe-ヘルスネットは、日常の食行動でできる「減塩のコツ」として次の工夫を紹介しています[2]。

コツ 具体例
漬け物は控える 自家製浅漬けにして、少量に[2]
麺類の汁は残す 全部残せば2〜3g減塩できる[2]
新鮮な食材を用いる 食材の持ち味で薄味の調理[2]
具だくさんのみそ汁にする 同じ味付けでも減塩できる[2]
むやみに調味料を使わない 味付けを確かめてから使う[2]
低ナトリウムの調味料をつかう 酢・ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングを上手に利用する[2]
香辛料・香味野菜や果物の酸味を利用する こしょう・七味・しょうが・かんきつ類の酸味を組み合わせる[2]
外食や加工食品を控える 目に見えない食塩が多く含まれている。塩干物にも注意する[2]

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」表2「減塩のコツ」[2]

日本人の食塩摂取量の現状と高血圧の人の減塩目標をもとにJHO編集部が作図(出典:日本高血圧学会「高血圧の10のファクト」/JSH2019解説冊子)

減塩とあわせて、野菜や果物に多く含まれるカリウムを積極的に摂ることも有効です。厚生労働省のe-ヘルスネットは、カリウムにはナトリウムの排出を促す作用があり血圧を低下させることが報告されているとし、生活習慣病の発症予防を目的としたカリウム摂取の目標量を18歳以上で男性3,000mg/日以上・女性2,600mg/日以上としています[6]。ただし、腎臓病がある人はカリウム摂取の制限が必要な場合があるため、主治医と相談してください[2]。

薬物療法が始まる場合、主な降圧薬にはカルシウム拮抗薬、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)、利尿薬、β遮断薬などがあり、それぞれ動悸・むくみ(カルシウム拮抗薬)、高カリウム血症(ARB)、せき・血管浮腫(ACE阻害薬)、高尿酸血症・低カリウム血症(利尿薬)、呼吸器疾患の悪化(β遮断薬)などの副作用が知られています[1]。日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、Ⅰ度の高血圧(140〜159/90〜99mmHg)で1剤を低用量で服用している場合、生活習慣の改善によって20〜30%の患者で降圧薬をやめることができ、2剤以上服用している場合でも薬の減量が可能なことがあるとしています[1]。ただし自己判断でやめず、必ずかかりつけ医に相談することが前提です。

服薬を忘れた場合の対応は薬の種類によって異なりますが、日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は目安として、1日1回服用の薬は寝るまでに気づけばその時点で服薬、1日2回服用の薬は朝食後分を昼から夕方までに気づけば服薬(夕食後の分は就寝前に)、1日3回服用の薬は昼食後分を夕食までに気づけば服薬するといった対処を紹介しています。いずれの場合も、決して2回分をまとめて一度に服用してはいけないとされ、対応に迷う場合は事前に医師や薬剤師に相談しておくことが勧められています[1]。

慶應保健研究に掲載された解説論文は、国内の高血圧患者数が約4,300万人にのぼる一方、実際に治療を受けている患者は57%(2,450万人)にとどまり、治療を受けている患者のうちでも血圧が140/90mmHg未満にコントロールされているのはわずか50%程度(1,200万人)にすぎないと指摘しています[4]。この背景として、JSH2019では「クリニカルイナーシャ(clinical inertia、臨床イナーシャ)」という用語が新たに紹介されました。医療提供者が治療目標を達成できていないにもかかわらず、原因を検索せず、あるいは治療を強化せずにそのまま様子を見てしまうことを指す概念です[4]。

日本高血圧学会は「高血圧の10のファクト」で、「上の血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げると脳卒中・心臓病が約2割減少します」としており[3]、「高血圧の人では,年齢に関わらず,上の血圧を130 mmHg未満,下の血圧を80mmHg未満まで下げると,それ以上の血圧に比べて,脳卒中や心臓病が少なくなります」と説明しています[3]。これが2025年の改訂で降圧目標が年齢を問わず統一された根拠です。

受診の目安:今すぐ救急要請か、自宅で様子見か

厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧」は、血圧が上がっただけで出てくる特徴的な症状はないとしつつ、危険な症状が突然現れた場合の対応を3段階で整理しています[5][2]。

状況 目安 対応
今すぐ救急要請 意識がぼーっとしておかしい、目が見えにくい、手足が片方だけ動きにくい、しゃべるのがおかしい、息が苦しい、急に胸や背中が痛くなった、のいずれか 放置せず、救急車の要請も含め、ただちに医療機関を受診する[5]
早めに医療機関を受診 血圧が180/120mmHg以上あるが、上記のような明らかな症状は特にない 直ちに救急車を呼ぶ必要は必ずしもないが、早めに医療機関を受診する[5]
かかりつけ医に相談・経過観察 家庭血圧が以前より高くなってきた、処方薬・市販薬・サプリメントを変更した後に血圧が上がった 服用している薬の種類と量、症状の内容、家庭血圧の記録を持って受診・相談する[5]

厚生労働省は、高血圧の状態が続くと全身の血管が障害され、急激な頭痛、めまい、ふらつき、呼吸困難、むくみ、夜間の頻尿などの症状が出現するとも説明しており[5]、これらが強く出た場合も早めの受診が必要です。受診の際は、症状の内容・服用薬の種類と量・服薬からの経過時間・家庭血圧の記録をあわせて医師に伝えることが勧められています[5]。

日本とACC/AHA(米国)のガイドライン比較

項目 日本(日本高血圧学会 JSH2019/2025) 米国(ACC/AHA 2017)
高血圧の診断基準(収縮期/拡張期) 140/90mmHg以上[2][4] 130/80mmHg以上[4]
基準を決めた考え方 ACC/AHAが根拠としたメタ解析に日本人を対象としたランダム化比較試験がほとんど含まれておらず、130/80mmHgを診断基準とするだけのエビデンスは本邦では不十分と判断された[4] 収縮期血圧・拡張期血圧が120/80mmHg以上になると血圧水準と脳心血管病の発症リスクの間に段階的な相関があるとするメタ解析等を根拠に基準を引き下げた[4]
多くの成人の降圧目標 2025年8月の改訂で、年齢を問わず診察室血圧130/80mmHg未満に統一[3] 130/80mmHg未満[4]

診断基準の数値そのものは、日本140/90mmHg・米国130/80mmHgのままで異なりますが、実際に治療で目指す降圧目標は、日本が2025年の改訂で年齢を問わず130/80mmHg未満に統一したことで、結果的に米国の基準値に近づいています[3][4]。日本の医師が日本高血圧学会のガイドラインに従っている場合でも、「診断基準」と「降圧目標」が別の数値である点は見落とされやすく、2019年版の解説冊子だけを参照すると、この2025年の降圧目標の変更に気づかない可能性があります。

日本高血圧学会は、降圧目標を統一した背景として、日本の血圧コントロール状況が主要経済国の中で最下位レベルにあることも指摘しています。同学会が「高血圧の10のファクト」で引用するデータでは、血圧がコントロールされている人の割合は、女性で日本29%・カナダ50%・ドイツ58%・米国54%・韓国53%、男性で日本24%・カナダ69%・ドイツ48%・米国49%・韓国46%とされています[3]。診断基準の数値では日本のほうが米国より緩やかに見えても、実際の血圧管理の成果では日本が国際的に見劣りしているというのが、日本高血圧学会自身が示す現状です。

医療費の目安

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

よくある質問(FAQ)

血圧140/90と140/80、どちらが高血圧の基準に当てはまりますか?
日本高血圧学会の基準では、診察室血圧で上(収縮期血圧)が140mmHg以上、または下(拡張期血圧)が90mmHg以上のいずれかがあれば高血圧と判定されます[2]。上140・下80mmHgの場合、下の数値は正常範囲でも、上の数値だけで基準を満たすため高血圧に分類されます。
血圧160/90mmHgは危険な数値ですか?
分類表に当てはめると、収縮期血圧160mmHgは「Ⅱ度高血圧」(160-179mmHg)の範囲に入ります[2][4]。自己判断で放置せず、生活習慣の見直しや医療機関への相談が勧められます。
血圧150/100mmHgはどの分類になりますか?
分類表に当てはめると、収縮期血圧150mmHgは「Ⅰ度高血圧」(140-159mmHg)の範囲に、拡張期血圧100mmHgは「Ⅱ度高血圧」(100-109mmHg)の範囲に、それぞれ該当します[2][4]。上下の数値で分類が異なる場合にどちらの分類に属するかは、今回参照した資料には明記されていません。自己判断で放置せず、医療機関に相談することが勧められます。
白衣高血圧と言われました。治療は必要ですか?
家庭血圧が本当に正常であれば、降圧薬による治療の必要は当面ないことがわかってきています。ただし白衣高血圧は将来、治療が必要な高血圧になる可能性が高いため、定期的な血圧測定が勧められます[1]。
仮面高血圧とはどんな状態ですか?なぜ怖いのですか?
診察室では正常なのに、家庭や職場では血圧が高い状態です。日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、仮面高血圧の人は診察室血圧・家庭血圧の両方が高い持続性高血圧の人と同じくらい脳心血管病を発症しやすいとしており、治療が必要とされています[1]。
降圧薬は一度始めたら一生やめられませんか?
必ずしもそうとは限りません。日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子によれば、Ⅰ度の高血圧(140〜159/90〜99mmHg)で1剤を低用量で服用している場合、生活習慣の改善によって20〜30%の患者で降圧薬をやめることができるとされています[1]。ただし自己判断でやめず、必ずかかりつけ医に相談してください。
減塩のコツを教えてください。
厚生労働省のe-ヘルスネットは、麺類の汁を残す、漬け物を控える、新鮮な食材で薄味にする、低ナトリウムの調味料を使う、香辛料や柑橘類の酸味を活用するなどの「減塩のコツ」を紹介しています[2]。高血圧の人の減塩目標は1日6g未満です[1][3]。
高血圧にはどのくらいの運動が必要ですか?
日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、毎日30分以上、または週180分以上の運動を目安としています。ウォーキングなどの有酸素運動が推奨される一方、強すぎる運動はかえって血圧を上げる可能性があるため、軽め・短めから少しずつ始めることが勧められています[1]。
家庭血圧はいつ、どうやって測ればよいですか?
日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の判定において診察室血圧よりも家庭血圧が優先して用いられます。診断時も治療中も、5〜7日間以上測定し、その平均値で判断することが基本です[1]。
薬を飲んでいるのに、病院で測ると血圧が高く出ます。なぜですか?
診察室では緊張などから血圧が高めに測定される「白衣効果」が起こることがあります。日本高血圧学会・日本高血圧協会・COMLの解説冊子は、白衣効果によって降圧薬の量が必要以上に多く調整されてしまうことがあるため、家庭血圧をしっかり測定して普段の血圧を把握することが、そうした行き過ぎた調整を防ぐことにつながるとしています[1]。
高血圧緊急症とはどんな状態で、何mmHgから危険ですか?
厚生労働省の資料は、血圧が180/120mmHg以上など非常に高いときは注意が必要としつつ、症状が特になければ必ずしも直ちに救急要請は不要としています。ただし、意識がもうろうとする・手足が片方だけ動かしにくい・急な胸や背中の痛みなど明らかな症状がある場合は、放置せず救急車の要請も含めただちに医療機関を受診すべきとしています[5]。

高血圧に関する記事一覧

記事一覧 70件

基礎知識・原因 2

症状・見分け方 2

検査・数値 5

食事・生活 7

治療・薬 28

合併症・リスク 11

その他 15

フレイル(心身が老い衰えた状態)の高齢者や要介護状態、終末期にある高齢者に対する降圧目標について、2020年発表の解説論文の時点では、エビデンスの集積が十分でないため一律の基準は設けられておらず、個別に判断することが提案されていました[4]。また、妊娠中の高血圧(妊娠高血圧症候群)は今回参照した資料の対象範囲外で、日本高血圧学会の最新ガイドラインでも周産期女性の高血圧として独立した章で扱われています[7]。これらの詳しい数値基準について、今回参照した一般向け資料には記載が見当たりませんでした。持病がある方や妊娠中の方は、この記事の一般的な目安をそのまま当てはめず、必ず主治医に相談してください。

参考文献

  1. 特定非営利活動法人日本高血圧学会・特定非営利活動法人日本高血圧協会・認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」2019年 jpnsh.jp(PDF)↗
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」(最終更新日:2024年11月13日) kennet.mhlw.go.jp ↗
  3. 日本高血圧学会「高血圧の10のファクト~国民の皆さんへ~」(高血圧管理・治療ガイドライン2025に基づく) jpnsh.jp ↗
  4. 畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1)、097-102、2020年 hcc.keio.ac.jp(PDF)↗
  5. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧」令和5年9月 mhlw.go.jp(PDF)↗
  6. 厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」 kennet.mhlw.go.jp ↗
  7. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」出版物案内(『高血圧管理・治療ガイドライン2025』2025年8月29日発行) jpnsh.jp ↗