コンテンツへスキップ
お問い合わせ
スポンサーリンク
心血管疾患 38分で読める 17回

二次性高血圧の原因|疑うべきサインと治る高血圧の見分け方

スポンサーリンク
文字サイズ





日本内科学会雑誌の総説によると、高血圧の多くは原因不明の本態性高血圧ですが、一部は二次性高血圧といって、二次性高血圧の原因になっている病気を治療すれば血圧が下がるタイプです[1]。同総説では、高血圧患者の10%以上が二次性高血圧にあたると整理されています[1]。

受診の目安チェック・無料

この症状、いつ受診すべきか確認しますか?

回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。

症状はいつから続いていますか?

回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます

スポンサーリンク
この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
手術で高血圧が治る? 記事へ 寝ている間の血圧の測り方 記事へ 基準値を超えたら即治療? 記事へ この症状は副作用? 記事へ
この記事で気になったことを、AIにそのまま聞けます
健康アドバイザーオンライン ・ 24時間対応 無料
高血圧の原因が気になるのですね。いつから血圧が高いと感じていますか?
気になるものを、タップするだけ
厚生労働省・査読論文などの一次情報源をもとに、あなたの状況に合わせてお答えします

日本内分泌学会のガイドラインによれば、2〜3種類の降圧薬を使っても血圧が下がらない人、40歳未満で高血圧になった人、急に血圧が上がった人、血液検査でカリウムが低い人などは、治療で改善が期待できるタイプの高血圧が背景にある可能性があります[2]。この記事では、二次性高血圧の原因になりやすい病気、疑うべきサイン、実際の検査の流れ、そして何科を受診すればよいかを、日本内分泌学会・日本高血圧学会が示す高血圧治療ガイドライン[5]などの公的資料に沿って整理しました。

  • 高血圧の10%以上は二次性高血圧の可能性があり、原因になっている病気を治療すると血圧が下がったり、薬を減らせたりすることがあります[1]。
  • ⚠ 発作的な動悸・頭痛・大量の発汗が同時に起こり、そのときだけ血圧が跳ね上がるのは、褐色細胞腫を疑う緊急性のあるサインです[1]。様子を見ずに早めに医療機関を受診してください(詳しくは本文の警告ボックス)。
  • 二次性高血圧の原因としてもっとも頻度が高いのは原発性アルドステロン症で、高血圧患者の約5〜15%を占めるとされます[3]。
  • 40歳未満での発症、治療抵抗性、低カリウム血症、睡眠時無呼吸症候群の合併などは、その可能性を疑うサインとして日本内分泌学会が示しています[2]。
  • 検査は血液検査・尿検査を中心に、疑う病気に応じて画像検査などが追加されます。
  • 気になるサインがあれば、まず今かかっている医師に相談し、内分泌内科・腎臓内科・高血圧専門外来への紹介を検討してもらうのが受診の目安になります。

〈編集方針〉JHO編集部がAIツールの支援を受け、日本内分泌学会・日本高血圧学会・日本内科学会雑誌などの公的情報源と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の診断の代わりにはなりません。数値や診断基準はガイドラインの改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報です)。

二次性高血圧を疑うサイン セルフチェックリスト

次のうち当てはまるものが1つでもあれば、二次性高血圧の原因を調べる検査を主治医に相談する価値があると考えられます[2]。

  • 40歳未満で高血圧と言われた
  • 3種類以上の降圧薬を使っているのに血圧が下がらない(治療抵抗性)
  • 治療していないときの血圧が150/100mmHg以上ある
  • 血液検査でカリウムが低いと言われたことがある(利尿薬を使っている場合も含む)
  • いびきが大きい、または日中の眠気が強い
  • 健康診断などで副腎に腫瘍(副腎偶発腫)が見つかったことがある
  • 若いうちに脳卒中を起こしたことがある
  • 発作的な動悸・頭痛・大量の発汗を繰り返す
  • 急に血圧が上がった、または急に血圧のコントロールが悪くなった

このリストは日本内分泌学会が原発性アルドステロン症の高有病率群として示す7項目[2]と、全般に共通して注意すべき所見[1]をもとにJHO編集部が整理したものです。当てはまる項目が多いほど疑いが強まるわけではなく、1つでも当てはまれば相談の価値がある、という考え方で使ってください。

二次性高血圧とは?本態性高血圧との違い

高血圧と診断される人の大部分は、これといった単一の原因が見つからない「本態性高血圧」です。遺伝的な体質、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、加齢など、複数の要因が積み重なって血圧が上がっていくタイプで、生涯にわたって生活習慣の管理と薬による治療を続けることが基本になります。

これに対して「二次性高血圧」は、血圧を上げている原因になる病気や要因がはっきりしているタイプの高血圧です[1]。国立循環器病研究センターに所属する河野雄平医師が日本内科学会雑誌に発表した総説によると、この病気は従来考えられていたより高頻度に認められ、高血圧の診療にあたる医師はその可能性をつねに念頭に置くべきだとされています[1]。

このタイプの高血圧が重要視される理由は、原因になっている病気を突き止めて治療することで、血圧が正常に近づいたり、降圧薬の数を減らせたり、場合によっては薬をやめられたりする可能性があるためです[1]。同学会誌の総説は「二次性高血圧は適切な診断と治療により良好な血圧コントロールが得られ、高血圧の治癒が期待できる場合もある」と述べています[1]。つまりその原因になっている病気を見つけることは、一生薬を飲み続けるかどうかを左右する分かれ道になり得るということです。

図:JHO編集部が作成

この病気が見つかるきっかけはさまざまです。健康診断で初めて高血圧を指摘されたときに、血液検査でカリウムが低いことがわかって気づかれる場合もあれば、何年も本態性高血圧として治療を受けていた人が、薬を増やしても血圧が下がらないことをきっかけに、あらためてその可能性を調べてもらう場合もあります[1]。「今まで本態性高血圧だと言われていたから、その可能性はない」というわけではなく、経過の途中で存在に気づくこともあり得ると考えられます[1]。

ただし、そのすべてが手術ひとつで治るわけではありません。日本内科学会雑誌の総説が示すとおり、原因になっている病気の種類によって、治療で完全に血圧が正常化するもの、薬を減らせる程度にとどまるもの、原因を取り除いても本態性高血圧の要素が残るものなど、経過はさまざまです[1]。「治るかもしれない高血圧がある」ということをまず知ったうえで、次の章から具体的にどんな病気があるのか、どんなサインがあれば疑うべきなのかを見ていきます。

今の血圧・脈拍を確かめる

数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

身長と体重からBMIも調べる

これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

二次性高血圧の原因になる病気を見分ける基準 — 日本内分泌学会・日本内科学会の整理

二次性高血圧にはさまざまな原因疾患がありますが、共通して疑うきっかけになる所見があります。日本内科学会雑誌の総説は、全般に共通する示唆所見として「重症高血圧、治療抵抗性高血圧、急激な高血圧発症、若年発症の高血圧」を挙げています[1]。同学会誌の総説はまた、「重症高血圧や急な発症、若年発症、治療抵抗性の高血圧は二次性高血圧の可能性が高いことから、特に注意を要する」と述べています[1]。

下の表は、同総説が原因疾患ごとに整理している「示唆する所見」と「鑑別に必要な検査」の一部を、JHO編集部が抜粋・整理したものです[1]。それぞれの病気の詳しい内容は、この後の章で順番に解説します。

原因疾患 示唆する所見 鑑別に必要な検査(例)
原発性アルドステロン症 低カリウム血症、副腎偶発腫瘍 PRA・PAC、負荷試験、副腎CT[1]
睡眠時無呼吸症候群 いびき、肥満、昼間の眠気、早朝・夜間高血圧 睡眠ポリグラフィー[1]
腎血管性高血圧 RA系阻害薬投与後の急激な腎機能悪化、腎サイズの左右差、低K血症、腹部血管雑音 腎動脈超音波、腹部CTA・MRA[1]
腎実質性高血圧 血清クレアチニン上昇、蛋白尿、血尿、腎疾患の既往 血液検査、腹部CT・超音波、腎生検[1]
褐色細胞腫 発作性・動揺性高血圧、動悸、頭痛、発汗 血液・尿カテコールアミン、腹部CT、MIBGシンチグラフィー[1]
クッシング症候群 中心性肥満、満月様顔貌、皮膚線状、高血糖 コルチゾール、ACTH、腹部CT・頭部MRI、デキサメタゾン抑制試験[1]
薬剤誘発性高血圧 薬物使用歴、低カリウム血症 薬物使用歴の確認[1]
甲状腺機能低下症・亢進症 徐脈または頻脈、体重の変化、脂質異常など 甲状腺ホルモン、TSH、甲状腺超音波[1]
副甲状腺機能亢進症 高カルシウム血症 副甲状腺ホルモン[1]

出典:河野雄平(日本内科学会雑誌104巻2号、2015年)表1をもとにJHO編集部が抜粋・整理[1]

このように、二次性高血圧の原因を見分ける手がかりは病気ごとに異なりますが、多くは血液検査と尿検査、必要に応じた画像検査で調べられます[1]。まれな病気を1つずつ疑って検査していくのではなく、まず「このサインがあるかどうか」を確認し、当てはまるものがあれば専門の検査に進む、という順序で考えるとわかりやすいと思います。

原発性アルドステロン症(PA)— 二次性高血圧の原因でもっとも頻度が高く、治る可能性がある病気

数ある原因の中でもっとも頻度が高いとされているのが、原発性アルドステロン症(PA)です。日本内科学会雑誌に掲載された解説によると、我が国の高血圧の有病者数は約4,300万人であり、PAはその約5〜15%を占める、治癒可能なタイプとされています[3]。日本内分泌学会の「原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021」では、高血圧患者におけるPAの有病率はプライマリケア施設で3〜12%、専門施設では5〜29%と報告されていると整理されています[2]。

PAは副腎という左右の腎臓の上にある小さな臓器から、アルドステロンというホルモンが必要以上に分泌されることで起こります[3]。アルドステロンは体に塩分と水分をためこませ、カリウムを排出させる働きを持つホルモンです。これが過剰になると、血圧が上がると同時に血液中のカリウムが低下しやすくなります[1]。ただし日本内科学会雑誌の解説は「特徴的な症状や所見を欠くことも少なくない」とも述べており、低カリウム血症がなくてもPAを否定はできないとされています[1]。

PAが臨床的に重要とされる理由について、日本内科学会雑誌に掲載された解説は、①治癒可能な二次性高血圧であること、②高血圧疾患の中でその頻度が従来想定されたより高頻度であること、③治療抵抗性高血圧の原因になること、④脳心血管疾患の頻度が高いことの4点を挙げています[3]。日本内分泌学会のガイドラインはさらに、PAは年齢・性別・血圧が一致した本態性高血圧の人と比べて、脳卒中・心肥大・心房細動・冠動脈疾患・心不全・蛋白尿などの合併症が多いと報告しています[2]。血圧の高さが同じでも、PAがある人のほうが体への負担が大きい可能性がある、ということです。さらに同学会のガイドラインは、PAでは本態性高血圧と比較して、肥満、耐糖能異常(血糖値が上がりやすい状態)、睡眠時無呼吸症候群の合併が多いとも報告しています[2]。前の章で紹介した睡眠時無呼吸症候群とPAは別々の病気ですが、両方が同時に存在していることも少なくないと考えられます[2]。

どんな高血圧でPAを疑うべきか

日本内分泌学会のガイドラインは、PAの有病率が高い高血圧群として次の7項目を示しています[2]。

# PA高有病率の高血圧(日本内分泌学会)
1 低カリウム血症合併(利尿薬投与例を含む)
2 治療抵抗性高血圧
3 40歳未満での高血圧発症
4 未治療時150/100mmHg以上の高血圧
5 副腎腫瘍合併
6 若年での脳卒中発症
7 睡眠時無呼吸症候群合併

出典:日本内分泌学会「原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021」表1[2]

この7項目のうち1つでも当てはまれば、積極的にスクリーニング検査を受ける価値があると考えられています[2]。特に③の「睡眠時無呼吸症候群合併」が入っている点は見落とされがちです。いびきや日中の眠気で受診している人が、実はPAも背景に持っている、というケースがあり得るということです。

スクリーニング検査はどう判定されるか

日本内分泌学会のガイドラインでは、血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)を測定し、その比であるアルドステロン・レニン比(ARR)を計算します[2]。同学会のガイドラインは、PAC/PRA比(ARR)が200以上、かつPACが60pg/mL以上の場合に陽性と判定するとしています[2]。ただし同学会のガイドラインでは、ARRが100〜200の場合は「境界域」と位置づけたうえで、PACが60pg/mL以上であれば暫定的に陽性として扱い、低カリウム血症や副腎腫瘍の有無、年齢などを考慮して個別に判断するとされています[2]。

日本内科学会雑誌の解説によれば、スクリーニングが陽性、または境界域だった場合は、アルドステロンの自律的な分泌を確認する「機能確認検査」に進みます[3]。同学会誌の解説では、ここで陽性が確認され、なおかつ本人が手術を希望する場合は、片側性か両側性かを区別するための画像検査や、専門施設での副腎静脈サンプリングという検査に進むことになるとされています[3]。日本内分泌学会のガイドラインによれば、片側性のPAでは手術(副腎摘出)が原則として選択され、両側性の場合や手術を希望しない場合は、アルドステロンの働きを抑える薬を中心とした薬物治療が行われるとされています[2]。腫瘍を摘出すると血圧は下がる傾向がありますが、日本内科学会雑誌の解説は「腫瘍の摘出により血圧は低下するが、正常化するとは限らない」とも述べており、手術をすれば必ず薬がゼロになると決まっているわけではありません[1]。また、日本内分泌学会のガイドラインによれば、副腎摘出術のあとは手術前とは逆に高カリウム血症が現れることがあり、長期に持続する場合もあるため、定期的な経過観察と必要に応じた薬物治療が必要とされています[2]。手術を検討する際は、こうした術後の経過観察についても医師に確認しておくとよいでしょう。

アルドステロンの働きを抑える薬(MR拮抗薬)にはスピロノラクトン・エプレレノン・エサキセレノン・フィネレノンなど複数の種類があり、日本内科学会雑誌の解説によれば、薬によって副作用や使える条件が異なるとされています[3]。同解説によれば、女性化乳房や月経不順といったホルモン関連の副作用は、これらの薬の中でも比較的古くからあるスピロノラクトンでみられることがあり、ほかの薬ではまれとされています[3]。また同解説では、これらの薬は急性腎不全がある場合や、治療を始める時点で血液中のカリウムがすでに高い場合には使えない、あるいは慎重な使用が必要とされており[3]、医師は治療の前後で腎機能とカリウム値を確認しながら薬を選び、量を調整します。

なお、原発性アルドステロン症の中には、副腎の腫瘍がコルチゾールというホルモンも同時に多く分泌しているケース(クッシング症候群の合併)があります。日本内分泌学会のガイドラインによれば、そうしたケースで手術を受けた場合、術後に一時的なグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)の補充療法が必要になることがあるとされています[2]。手術を検討する際は、コルチゾールの分泌状態もあわせて調べてもらうとよいでしょう。

PAについては、JHOではすでに原発性アルドステロン症そのものをテーマにした記事で、症状や検査、治療の流れをより詳しく解説しています。気になる方は「原発性アルドステロン症:高血圧と低カリウム血症の隠れた原因とその完全対策ガイド」もあわせて読んでみてください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)— 見逃されやすい二次性高血圧の原因

厚生労働省のe-ヘルスネットは、睡眠時無呼吸症候群を「眠り出すと呼吸が止まってしまうため、過眠や高血圧などを引き起こす病気」と説明しています[4]。前の章で見たとおり、SASは原発性アルドステロン症のスクリーニング対象にも入っている、二次性高血圧の代表的な原因の1つです[2]。

厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、夜間の頻回の呼吸停止によって「低酸素血症と交感神経の緊張(血管収縮)」などの生活習慣病の準備状態が進み、その結果として5〜10年後には高血圧などに罹りやすくなるとされています[7]。日本内科学会雑誌の解説は「睡眠時無呼吸症候群はかなりの頻度でみられ、治療抵抗性高血圧の原因としても頻度が高い」と述べています[1]。同解説によれば、SASによる高血圧は夜間も血圧が下がりきらない「ノンディッパー型」を示すことが多いとされています[1]。つまり、日中の血圧だけを測っていると正常に見えても、夜間や早朝の血圧が高いままになっているケースがあるということです。

診断の手がかりになるのは、いびきや昼間の強い眠気です[1]。肥満のある人に多いとされますが、日本内科学会雑誌の解説は「肥満者が多いが、非肥満例も少なくない」とも述べており、痩せているからといってSASの可能性がなくなるわけではありません[1]。診断には睡眠ポリグラフィーという検査を用いて、重症度も含めて評価するとされています[1]。

治療については、持続陽圧呼吸療法(CPAP)が勧められるとされていますが、同学会誌の解説は「これのみで血圧が正常化することは少ない」と述べており、CPAPだけで降圧薬が不要になると決まっているわけではありません[1]。減量や減塩といった生活習慣の見直しも、あわせて重要とされています[1]。SASと高血圧・夜間高血圧の関係についてさらに詳しく知りたい方は「夜間高血圧:睡眠中の「見えないリスク」を解明。専門医が解説する原因と科学的改善法」の記事もご覧ください。

腎臓が原因の二次性高血圧 — 腎血管性高血圧と腎実質性高血圧

腎臓は血圧の調整に深く関わる臓器であり、腎臓そのものの異常が原因になる高血圧も少なくありません。日本内科学会雑誌の解説によれば、これには大きく分けて「腎血管性高血圧」と「腎実質性高血圧」の2種類があります[1]。

腎血管性高血圧

同学会誌の解説によると、腎血管性高血圧は、腎臓に血液を送る腎動脈が狭くなったり詰まったりすることで起こる高血圧です[1]。同解説は、腎血管性高血圧は高血圧患者の約1%に認められ、動脈硬化性の病気を伴う場合はより高頻度になるとしています[1]。同解説によれば、中高年では動脈硬化によるもの、若年者では線維筋性異形成という血管の病気によるものが多いとされ、高安動脈炎という血管の炎症性疾患が原因になることも少なくないと説明されています[1]。

同学会誌の解説によれば、疑うきっかけになるのは、レニン・アンジオテンシン系阻害薬という種類の降圧薬を使い始めた後に急に腎機能が悪化した場合、左右の腎臓の大きさに差がある場合、カリウムが低い場合、おなかで血管の雑音が聞こえる場合などです[1]。同学会誌の解説は「特徴的な症状を欠くことも多い」とも述べており、症状だけで見分けるのは難しい病気です[1]。同解説では、スクリーニングには腎動脈の超音波検査が推奨され、疑いが強まればCTやMRIによる血管の検査で確定診断に進むとされています[1]。

「ARB・ACE阻害薬を使い始めてから腎機能が悪化した」というサインには、診断の手がかりであると同時に、安全に関わる重要な意味もあります。日本内科学会雑誌の同じ解説によれば、片側だけの腎動脈狭窄ではARB・ACE阻害薬などのレニン・アンジオテンシン系阻害薬が効果的である一方、両側の腎動脈が狭くなっている場合は、これらの薬は腎機能を悪化させやすいため、原則として使用を避けるべき(禁忌)とされています[1]。同解説は、両側性の場合の選択肢としてβ遮断薬が使えるほか、レニン・アンジオテンシン系への影響が少ないカルシウム拮抗薬やα遮断薬も使ってよいとしています[1]。つまり、この薬を使い始めてから腎機能の数値が悪化した場合は、単なる「見分けるための手がかり」以上に、その薬を続けてよいかどうかにも関わるサインだということです。薬を変えるかどうかは必ず医師が判断します。数値の変化に気づいたら、自己判断で薬をやめたり変えたりせず、すぐに主治医に伝えてください。

腎実質性高血圧

同学会誌の解説によれば、腎実質性高血圧は、慢性糸球体腎炎などの腎臓そのものの病気に伴って起こる高血圧で、原因のある高血圧の中では比較的頻度が高いとされています[1]。同解説では、腎機能が低下すると体にナトリウムがたまりやすくなり、これが血圧を上げる仕組みの1つと考えられています[1]。日本内科学会雑誌の解説は、「腎障害が高血圧の原因か結果かについては鑑別が難しい場合が少なくない」とも述べており、高血圧と腎臓の悪化がどちらが先かを見分けるのは、専門医にとっても簡単ではないことがうかがえます[1]。

同学会誌の解説によれば、手がかりになるのは、血液検査でのクレアチニン上昇、尿検査での蛋白尿や血尿、腎臓の病気の既往歴などです[1]。同解説では、腎実質性高血圧は塩分の影響を受けやすい(食塩感受性が強い)とされ、治療では減塩が重要になるとされています[1]。

内分泌の病気が原因の高血圧 — 褐色細胞腫・クッシング症候群・甲状腺・副甲状腺

ここまで見てきた原発性アルドステロン症のほかにも、ホルモンの異常(内分泌の病気)が原因で高血圧が起こることがあります。中には、見逃すと命に関わる病気も含まれています。

褐色細胞腫 — 発作的な動悸・頭痛・発汗に注意

すぐに医療機関を受診したほうがよいサイン(日本内科学会雑誌の解説より)

  • 発作的に強い動悸・頭痛・大量の発汗が同時に起こり、そのときだけ血圧が跳ね上がる[1]
  • 同学会誌の解説が挙げる所見として、顔面が急に青白くなる、体重が理由なく減っていく[1]
  • ふだんは正常なのに、ある瞬間だけ血圧が非常に高くなる(動揺性高血圧)[1]

これらは褐色細胞腫という副腎(またはその周辺)にできる腫瘍を疑うサインです。日本内科学会雑誌の解説によれば、頻度は比較的まれであるが、その診断と治療は重要とされています[1]。発作のときには血圧が急激に上昇し、心臓や血管に負担がかかることがあると考えられており、思い当たる場合は早めに医療機関で相談してください。

日本内科学会雑誌の解説は、褐色細胞腫について「頭痛・動悸・発汗・顔面蒼白・体重減少・発汗性高血圧といった特徴的な症状があるが、無症状の場合もある」と述べています[1]。一方で同学会誌の解説は、「これらの症状を呈しても褐色細胞腫ではないこと(不安反応やパニック発作など)が多い」とも述べています[1]。つまり、動悸や発汗があるからといって褐色細胞腫と決まるわけではなく、逆に「たぶん違うだろう」と自己判断してよいわけでもありません。診断には血液や尿でのカテコールアミンという物質の測定と、腫瘍の場所を特定する画像検査の両方が必要とされています[1]。治療は腫瘍を手術で摘出することが第一に選ばれるとされています[1]。

クッシング症候群

クッシング症候群は、副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になることで起こる病気です[1]。特徴的な所見として、中心性肥満(おなか周りだけが太る)、満月様顔貌(顔が丸く腫れたようになる)、皮膚線状、高血糖などが挙げられています[1]。ただし同学会誌の解説は「臨床的特徴が明らかでない場合もあり、サブクリニカルクッシング症候群と呼ばれる」とも述べており、見た目の変化がはっきりしないケースもあることがわかります[1]。スクリーニングには血中コルチゾールの測定や少量デキサメタゾン抑制試験が用いられ、画像検査で病巣の場所(副腎、下垂体など)を確認するとされています[1]。治療は外科手術が第一選択とされています[1]。

甲状腺・副甲状腺の異常

甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症は、いずれも高血圧の原因になり得るとされています[1]。日本内科学会雑誌の解説によると、機能低下症では収縮期と拡張期の両方の血圧が上がり脈が遅くなる傾向があり、機能亢進症では収縮期の血圧が上がり脈が速くなる傾向があるとされています[1]。同解説によれば、原因になっている甲状腺の病気を治療すれば、血圧も下がる傾向があるとされています[1]。同学会誌の一覧表では、副甲状腺機能亢進症では血液中のカルシウムが高くなる(高カルシウム血症)ことが手がかりになるとされています[1]。

そのほかのまれな原因

頻度は高くありませんが、二次性高血圧の原因として、大動脈縮窄症や脳幹部の血管による神経の圧迫も知られています[1]。日本内科学会雑誌の一覧表によると、大動脈縮窄症では「血圧上下肢差、血管雑音」が手がかりになるとされ、胸腹部のCTやMRI・MRA、血管造影で確認するとされています[1]。生まれつき大動脈の一部が狭くなっている病気で、腕と脚で測った血圧に差がある場合に疑われます。同じ一覧表によると、脳幹部の血管が神経を圧迫することで血圧が上がるケースもあるとされ、「顔面けいれん、三叉神経痛」が手がかりとして挙げられ、頭部のMRI・MRAで確認するとされています[1]。これらは今回参照した一覧の中でも頻度としてはまれな部類に入ると考えられますが、思い当たる症状がある場合は、ほかの原因と同じように医師に伝えておく価値があります。

薬や生活習慣が血圧を上げていることもある — 薬剤性・生活性の二次性高血圧

二次性高血圧の原因は病気だけではありません。日本内科学会雑誌の解説によれば、ふだん使っている薬や、市販薬・健康食品・生活習慣が血圧を押し上げていることがあり、これは「薬剤誘発性高血圧」と呼ばれます[1]。同学会誌の解説は「診断には病歴が重要で、他の医療施設からの治療薬を含めて確認する必要がある」と述べています[1]。つまり、いろいろな科でもらった薬や、自分で購入した市販薬・サプリメントまで含めて、医師にすべて伝えることが診断の第一歩になるということです。

原因になり得るもの 血圧が上がると考えられる仕組み(要点)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 腎臓でのプロスタグランジン産生を抑えることによる水・ナトリウムの貯留と血管拡張の抑制[1]
カンゾウ(甘草)を含む漢方薬・健康食品 グリチルリチンの作用によるコルチゾール様の水・ナトリウム貯留とカリウム低下[1]
グルココルチコイド(ステロイド薬) レニン基質の産生増加など、複数の仕組みが関わると考えられている[1]
経口避妊薬・ホルモン補充療法(エストロゲン) レニン基質の産生増加[1]
交感神経刺激作用を持つ薬(一部の風邪薬・抗うつ薬など) 血管を収縮させる受容体の刺激、カテコラミンの再取り込み抑制[1]
アルコールの多量摂取 交感神経の緊張や血管への直接的な影響が関わると考えられている[1]

出典:河野雄平(日本内科学会雑誌104巻2号、2015年)表2をもとにJHO編集部が抜粋・整理[1]

特に見落とされやすいのが、市販の鎮痛薬(NSAIDs)と、カンゾウ(甘草)を含む漢方薬・健康食品・化粧品です。同学会誌の解説は、カンゾウを含む製品について、肝疾患治療薬や消化器疾患治療薬、漢方薬、健康補助食品、化粧品などに幅広く含まれていると指摘しています[1]。「漢方薬だから体にやさしい」というイメージだけで摂り続けていると、知らないうちに血圧を押し上げている可能性があります。対処としては、原因と考えられる薬を中止または減量することが望ましいとされていますが、同学会誌の解説は「それができない場合は降圧薬により血圧をコントロールする」とも述べています[1]。持病の治療のために処方されている薬を、自己判断で中止したり減らしたりするのは危険です。市販薬やサプリメントも含めて、必ず処方している医師・薬剤師に相談してください。

治療抵抗性高血圧 — 二次性高血圧のほかにも「隠れた原因」がある

ここまで見てきた病気だけが、薬が効きにくい高血圧の原因ではありません。日本内科学会雑誌の解説は、治療抵抗性高血圧を「3剤のクラスの異なる降圧薬を用いても血圧がコントロールされないもの」と定義したうえで[1]、その要因は多岐にわたると述べています[1]。同学会誌の解説によれば、二次性高血圧はそのうちの1つの原因にすぎず、ほかにもいくつかの「隠れた原因」があるとされています[1]。

同学会誌の解説が挙げる主な要因は次のとおりです[1]。

分類 要因の例
血圧測定の問題 カフ(腕帯)が小さすぎる、高度な動脈硬化による偽性高血圧[1]
白衣高血圧・白衣現象 診察室でだけ血圧が上がる現象。家庭血圧や24時間血圧測定で確認する[1]
服薬アドヒアランス不良 副作用への不安、経済的な理由、生活スケジュールとの不一致など[1]
生活習慣 食塩の摂りすぎ、肥満、過度の飲酒[1]
睡眠時無呼吸症候群 適切な治療(CPAPなど)で改善が期待される[1]
体液量過多 利尿薬の使い方が適切でない、腎障害の進行[1]
降圧薬の組み合わせ・用量 作用の仕組みが異なる薬を組み合わせているか、量が十分かなど[1]
血圧を上げる薬物・食品 前の章で紹介したNSAIDsや甘草などが併用されていないか[1]
二次性高血圧 この記事のテーマである、原因になる病気そのもの[1]

出典:河野雄平(日本内科学会雑誌104巻2号、2015年)表3をもとにJHO編集部が抜粋・整理[1]

同学会誌の解説は、これらの要因のうち「白衣現象、アドヒアランス不良、睡眠時無呼吸症候群を含む二次性高血圧の頻度が高い」と述べています[1]。つまり、薬が効かないように見える高血圧の背景には、病気そのものだけでなく、測り方や飲み方、生活習慣が関わっていることも多いということです。また同学会誌の解説は、白衣現象による見かけ上の治療抵抗性高血圧の場合は「降圧治療の強化は不要であろう」とも述べています[1]。血圧が下がらないからといって、むやみに薬を増やす前に、まずこうした要因を1つずつ確認することが大切だと考えられます[1]。

予後の面では、同学会誌の解説は治療抵抗性高血圧の患者は心血管イベントが多いとの報告があるとする一方で[1]、「白衣高血圧型の患者は持続性高血圧の患者より心血管予後は良好であることが示されている」とも紹介しています[1]。同じように「血圧が下がりにくい」ように見えても、その中身によってリスクの大きさは違う可能性がある、ということです。

なお、日本内科学会雑誌の解説によれば、薬物治療を尽くしても血圧が下がらない一部のケースに向けて、腎動脈にカテーテルを通して行う腎神経焼灼術や、頸動脈の受容体を電気刺激する治療法が海外では開発され、有効性が示されつつあるとされています[1]。ただし同学会誌の解説は、これらは日本ではまだ認可されていないと明記しており[1]、現時点で国内の一般診療で選べる治療法ではありません。今後の位置づけについては、まだ十分な根拠はまだ確立していないと考えるのが妥当です。

高血圧そのものの原因・症状・合併症・治療の全体像を最初から整理し直したい方は、JHOの「高血圧」の総合ページもあわせてご覧ください。降圧薬の種類や開始の目安について詳しく知りたい方は「高血圧の薬物治療ガイド:日本の最新ガイドライン(JSH2019)に基づく開始基準・種類・副作用の完全解説」も参考になります。

検査は実際どのように行われるのか

「もしかしたら」と思っても、いきなり大がかりな検査になるわけではありません。下にまとめたとおり、多くはまず血液検査と尿検査から始まり、疑う病気に応じて必要な検査が追加されていきます。

まず行われる検査

  • 血液検査:日本内分泌学会のガイドラインによれば、カリウム値、腎機能(クレアチニンなど)、原発性アルドステロン症を疑う場合はアルドステロン濃度とレニン活性(またはレニン濃度)などを調べます[2]。
  • 尿検査:日本内科学会雑誌の解説によれば、蛋白尿や血尿の有無を調べ、腎実質性高血圧の手がかりにします[1]。
  • 画像検査:同学会誌の解説では、疑う病気に応じて、腎動脈の超音波、副腎のCT、頭部のMRIなどが選ばれるとされています[1]。
  • 負荷試験:日本内科学会雑誌の解説によれば、原発性アルドステロン症が疑われる場合、カプトプリル試験や生理食塩水負荷試験といった、体に一時的な負荷をかけてホルモンの反応を見る検査が行われることがあります[3]。

⚠ 検査結果は今飲んでいる薬の影響を受けることがある

ここは見落とされやすいポイントです。日本内分泌学会のガイドラインは、降圧薬の種類によってアルドステロン・レニン比(ARR)が偽陽性や偽陰性になる可能性があると指摘しています[2]。同ガイドラインは、カルシウム拮抗薬やα遮断薬に変更したうえでのスクリーニング実施が推奨されるとしています[2]。

ただし同学会のガイドラインは、「血圧や低カリウム血症の管理を第一優先として、適切な薬物治療下でスクリーニング検査を実施する」ことも重視しています[2]。つまり、検査の精度のために血圧のコントロールを犠牲にしてよいわけではない、ということです。薬の種類を検査のために一時的に変更するかどうかは、必ず主治医が医学的な判断のもとで決めることであり、患者さん自身の判断で降圧薬を中止したり変更したりしてはいけません。同学会のガイドラインが示すとおり、今の薬を続けたままでも検査自体は可能で、結果の解釈のときに薬の影響を考慮する、という進め方が取られることもあります[2]。

降圧薬そのものの種類や副作用について詳しく知りたい方は「【高血圧治療薬の副作用】よくある症状と受診の目安・安全に続けるためのポイント」も参考になります。また、そもそも自宅での血圧の測り方に自信がない方は「血圧の正しい測り方:日本高血圧学会ガイドラインに基づく完全ガイド」もあわせてご覧ください。この病気を疑う前に、まず測定方法そのものが正確かどうかを見直すことも大切です。診察室だけ血圧が高くなる「白衣高血圧」との違いが気になる方は「白衣高血圧のすべて:そのリスクの真実と専門医が解説する最新対策ガイド」も参考にしてください。

この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
手術で高血圧が治る? 記事へ 寝ている間の血圧の測り方 記事へ 基準値を超えたら即治療? 記事へ この症状は副作用? 記事へ

日本と米国のガイドラインの違い — 原発性アルドステロン症のスクリーニング対象

PAのスクリーニングをどんな人に行うべきかについては、国によって示し方に違いがあります。ここでは日本内分泌学会のガイドラインと、米国内分泌学会(Endocrine Society)のガイドラインを比較してみます[6]。

スクリーニング対象 日本(日本内分泌学会2021) 米国(Endocrine Society 2016)
血圧の高さ 未治療時150/100mmHg以上[2] 別の日の測定で3回とも150/100mmHg以上[6]
治療抵抗性 治療抵抗性高血圧[2] 3種類の薬(利尿薬を含む)でコントロール不良、または4種類以上で降圧できている場合も対象[6]
発症年齢 40歳未満での高血圧発症[2] 40歳未満での高血圧または脳卒中の家族歴[6]
カリウム 低カリウム血症合併(利尿薬投与例を含む)[2] 自然に、または利尿薬使用時の低カリウム血症[6]
副腎腫瘍 副腎腫瘍合併[2] 副腎偶発腫合併[6]
睡眠時無呼吸 睡眠時無呼吸症候群合併[2] 高血圧と睡眠時無呼吸の合併[6]
家族歴 7項目の中には独立した項目として明記されていません[2] PAと診断された人の、高血圧のある第一度近親者は対象[6]

上の表のとおり、日本内分泌学会のガイドラインは低カリウム血症・治療抵抗性・若年発症・副腎腫瘍・睡眠時無呼吸症候群を高有病率群の項目として挙げており[2]、米国内分泌学会のガイドラインもこれらと同じ項目をスクリーニング対象として挙げています[6]。一方で、米国内分泌学会のガイドラインは「PAと診断された人の、高血圧のある血のつながった家族(第一度近親者)は全員スクリーニング対象に含める」という項目を独立して明記しています[6]。今回参照した日本内分泌学会の7項目の一覧には、これと同じ形の「家族歴」という項目は独立しては挙げられていません[2]。ご家族に原発性アルドステロン症と診断された方がいる場合は、この違いも踏まえて、一度医師に相談してみる価値があると考えられます。

また、PAの有病率についても、日本内科学会雑誌の解説は高血圧患者の約5〜15%としている一方[3]、日本内分泌学会のガイドラインはプライマリケア施設で3〜12%、専門施設で5〜29%という、より幅の広い数字を示しています[2]。米国の解説は「高血圧患者の5%超、場合によっては10%超」「一般人口の1.1〜2.2%」という数字を示しています[6]。日本内分泌学会のガイドラインが指摘するとおり、数字の幅には調査対象となった施設の種類(一般診療所か専門施設か)や測定方法の違いが影響していると考えられ[2]、どちらか一方だけが正しいと単純に決められるものではなさそうです。米国内分泌学会のガイドラインは、一般人口の1.1〜2.2%、高血圧患者の5%超という独自の数字を示しています[6]。それぞれの数字の細かい比較や解釈は、読者ご自身で両方の資料を読み比べてみてください。

疑いから診断までの流れをまとめて確認する

ここまでの内容を、二次性高血圧の原因を調べる一連の流れとして整理し直します。実際の順序や内容は病院や疑われる病気によって変わりますが、大まかな考え方の目安としてください[1]。

  1. 気づく・疑う:日本内分泌学会のガイドラインが示す、健康診断や通院中に気づきやすいサイン(40歳未満での発症、治療抵抗性、低カリウム血症、いびき、発作的な動悸など)に気づく[2]。
  2. 問診と身体診察:日本内科学会雑誌の解説が重視する、これまでの薬の使用歴(市販薬・漢方薬・サプリメントを含む)、家族歴、症状の起こり方を医師が確認する[1]。
  3. まず外来でできる検査:同学会誌の解説によれば、血液検査(カリウム、腎機能、必要に応じてアルドステロンとレニン)、尿検査を行う[1]。
  4. 疑いが強まった場合の専門検査:同学会誌の解説では、原発性アルドステロン症であれば機能確認検査、腎血管性であれば腎動脈の画像検査、褐色細胞腫であればカテコールアミンの測定というように、疑う病気に応じた検査に進むとされています[1]。
  5. 診断確定と治療方針の決定:同学会誌の解説によれば、手術で治療できるタイプか、薬物治療が中心になるタイプかを判断し、必要であれば専門施設や高血圧専門医への紹介が検討されるとされています[1]。

この流れの中で大切なのは、①でサインに気づくこと、②で使っている薬をすべて正直に伝えることです。日本内科学会雑誌の解説が「診断には病歴が重要」と繰り返し強調しているように[1]、市販薬やサプリメントの申告をためらう必要はありません。むしろ、それが原因の特定を早める最大の手がかりになることがあります。

〈受診のときに持っていくメモ〉次の項目をメモにして持っていくと、診察がスムーズになります。①血圧が高いと言われた年齢と、そのときの数値 ②今使っている降圧薬の種類と、いつから効きにくくなったか ③自分で購入した市販薬・漢方薬・サプリメント・健康食品(カンゾウ、甘草を含むものは特に) ④健康診断でのカリウム値の異常や、副腎の腫瘍を指摘されたことがあるか ⑤いびき・日中の眠気の有無 ⑥発作的な動悸・頭痛・発汗を経験したことがあるか ⑦血のつながった家族に若くして高血圧・脳卒中になった人がいるか

受診の目安 — どんな人が、何科を受診すべきか

まず大前提として、二次性高血圧が疑われるかどうかは、自己判断ではなく医師の診察と検査によって判断されるべきものです。ここまで紹介してきたサインは、あくまで「相談する価値があるかどうか」の目安として活用してください。サインが1つも当てはまらないからといってその可能性がゼロになるわけではありませんし、逆に複数当てはまったからといって必ずそれがあると決まるわけでもありません[1]。最終的な判断は、実際に診察し検査結果を見た医師にしかできません。

  • すでに高血圧の治療を受けている方:まずは今かかっている内科・循環器内科の主治医に相談してください。日本内科学会雑誌の解説によれば、二次性高血圧の原因を見分ける血液検査の多くは、通常の外来で追加できます[1]。必要に応じて、原発性アルドステロン症などのホルモンの病気を専門とする内分泌内科、腎臓の病気を専門とする腎臓内科、あるいは高血圧を専門的に診る高血圧専門外来を紹介してもらう、という流れが一般的です。
  • 発作的な動悸・頭痛・大量の発汗が同時に起こる方:同学会誌の解説によれば、褐色細胞腫の可能性があるサインです[1]。様子を見ずに、早めに医療機関を受診してください。
  • いびきが大きい、日中の眠気が強い方:同学会誌の解説によれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります[1]。呼吸器内科や睡眠を専門に扱う外来(睡眠時無呼吸外来)での検査が選択肢になります。
  • 健康診断で高血圧と低カリウム血症を同時に指摘された方:日本内分泌学会のガイドラインによれば、原発性アルドステロン症を含めた、原因のある高血圧の可能性があるサインです[2]。健診結果を持って、まずはかかりつけ医に相談してください。
  • 血のつながった家族が原発性アルドステロン症と診断されている方で、ご自身にも高血圧がある方:米国内分泌学会のガイドラインでは、PAと診断された人の第一度近親者のうち高血圧がある人は、全員スクリーニングの対象とされています[6]。この項目は日本内分泌学会が示す7項目の一覧には独立した形では明記されていませんが[2]、高血圧があり家族歴もある場合は一度医師に相談してみる価値があると考えられます。

すでに述べたとおり、背景に薬剤や健康食品が関わっている可能性がある場合でも、自己判断で薬をやめることは避け、必ず処方医または薬剤師に相談してください[1]。

この記事で扱った疾患ごとの正確な頻度(有病率)は、調査対象となった集団や測定方法によって幅があり、今回参照した資料の中でも数値には一定のばらつきが見られます[2][3]。また、原発性アルドステロン症のスクリーニングを高血圧患者全員に一律で行うべきかどうかについては、費用対効果の観点から意見が分かれており、結論は出ていません[2]。個々の患者さんにとってどの検査がどこまで必要かは、症状や背景によって大きく変わるため、この記事の内容だけで「自分は検査不要」「自分は絶対に検査が必要」と判断せず、実際の医師の診察のもとで検討してください。

よくある質問

二次性高血圧は治りますか?
原因になっている病気の種類によります。原発性アルドステロン症で片側性の場合は手術によって血圧が正常に近づくことが期待できますが、日本内科学会雑誌の解説は「腫瘍の摘出により血圧は低下するが、正常化するとは限らない」とも述べており[1]、必ずしもすべての人が薬を完全にやめられるとは限りません。原因によって見通しは異なるため、担当医と相談しながら経過を見ていくことになります。
二次性高血圧の原因で一番多いのは何ですか?
日本内科学会雑誌に掲載された解説によれば、原発性アルドステロン症が高血圧患者の約5〜15%を占め、二次性高血圧の原因の中でもっとも頻度が高いとされています[3]。次いで睡眠時無呼吸症候群もかなりの頻度でみられるとされています[1]。
健康診断で「二次性高血圧の疑い」と言われました。何科に行けばいいですか?
まずはかかりつけの内科、または健診結果を見た医師の紹介に従ってください。原発性アルドステロン症など内分泌の病気が疑われる場合は内分泌内科、腎臓の病気が疑われる場合は腎臓内科、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は呼吸器内科や睡眠外来が候補になります。
治療抵抗性高血圧とはどういう状態ですか?
日本内科学会雑誌の解説では、治療抵抗性高血圧は「3剤のクラスの異なる降圧薬を用いても血圧がコントロールされないもの」と定義されています[1]。同学会誌の解説は、広い意味での治療抵抗性高血圧は降圧治療中の患者の10%以上にのぼると報告されているとも述べています[1]。この状態はその可能性を疑う重要なサインの1つとされています[2]。
原発性アルドステロン症の検査は痛いですか?
日本内分泌学会のガイドラインによれば、スクリーニング検査自体は通常の採血と同じです[2]。ただし、片側性か両側性かを詳しく調べる副腎静脈サンプリングという検査は、カテーテルを使う専門的な検査であり、日本内科学会雑誌の解説では、専門施設で標準化された方法により実施するとされています[3]。どのような検査が必要になるかは、それまでの検査結果や手術を希望するかどうかによって変わります。
低カリウム血症がなければ原発性アルドステロン症の可能性はありませんか?
そうとは言い切れません。日本内科学会雑誌の解説は、原発性アルドステロン症について「特徴的な症状や所見を欠くことも少なくない」と述べています[1]。低カリウム血症は代表的なサインの1つですが、日本内分泌学会のガイドラインが示すとおり、これがないから可能性がゼロというわけではなく、他のサイン(治療抵抗性、若年発症など)と合わせて総合的に判断されると考えられます[2]。
薬をやめれば血圧を上げている原因を取り除けますか?
日本内科学会雑誌の解説によれば、薬剤誘発性高血圧が疑われる場合、原因と考えられる薬を中止・減量することが対策の1つとされています[1]。しかし、その薬が別の持病のために必要な薬である場合や、市販薬・健康食品であっても体質によって影響の大きさは異なります。自己判断で中止・減量せず、必ず処方医または薬剤師に相談してください[1]。
睡眠時無呼吸症候群の治療をすれば降圧薬をやめられますか?
日本内科学会雑誌の解説は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)について「これのみで血圧が正常化することは少ない」と述べています[1]。睡眠時無呼吸症候群の治療は血圧の改善に役立つ可能性がありますが、降圧薬が不要になるかどうかは個人差が大きく、担当医との相談のうえで判断されることになります。
二次性高血圧のスクリーニングは高血圧患者全員が受けるべきですか?
この点については意見が分かれています。日本内分泌学会のガイドラインは、全高血圧患者でのスクリーニングが望ましいとしつつも、費用対効果が未確立なため、実際にはPAが疑われる高血圧患者を対象に積極的にスクリーニングを行うという考え方を示しています[2]。すべての人に一律で行うべきかどうかについて、結論は出ていません[2]。
二次性高血圧は何歳から疑うべきですか?
特定の年齢から急に疑うというより、40歳未満での発症は日本内分泌学会が原発性アルドステロン症の高有病率群の1項目として挙げているサインの1つです[2]。ただし40歳以上でも、治療抵抗性高血圧や急な発症などがあれば疑う対象になるとされています[1]。年齢だけで判断せず、複数のサインを組み合わせて考えることが大切です。
妊娠中の高血圧も二次性高血圧に含まれますか?
今回この記事で参照した資料は、主に妊娠していない成人を対象にしたものであり、妊娠中に発症する高血圧については扱っていません。妊娠中に血圧が高いと言われた場合は、自己判断でこの病気を疑うのではなく、必ず産婦人科の主治医に相談してください。
二次性高血圧の原因を調べる検査には、健康保険が使えますか?
血液検査・尿検査・画像検査など、医学的に必要と判断されて行われる検査は、通常は保険診療の対象になります。ただし検査の組み合わせや医療機関によって自己負担額は変わるため、詳しくは実際に受診する医療機関で確認してください。

参考文献

  1. 河野雄平「二次性高血圧,治療抵抗性高血圧の診断治療のポイント」日本内科学会雑誌104巻2号、260-267頁、2015年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/2/104_260/_pdf
  2. 日本内分泌学会「原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021」 https://www.j-endo.jp/uploads/files/news/20210823.pdf
  3. 柴田洋孝「原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021」日本内科学会雑誌114巻7号、1276-1281頁 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/114/7/114_1276/_pdf/-char/en
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/sleep-apnea-syndrome.html
  5. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」 https://www.jpnsh.jp/guideline.html
  6. Endocrine Society Clinical Practice Guideline for primary aldosteronism(2016年版の要点解説、PMC掲載) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5175479/
  7. 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html

更新日:2026年7月25日。この記事の内容に誤りや古い情報があるとお気づきの際は、JHO編集部までお知らせください。事実を確認のうえ、訂正いたします。

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ

この記事をシェア

LINE 𝕏
この記事について(運営者情報・免責事項) タップで表示

医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

運営者情報を見る →