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心血管疾患 35分で読める 29回

年齢別の血圧基準値と降圧目標|変わらない基準・変わる目標

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「年齢別の血圧基準値」で検索して来た方への結論です。日本高血圧学会が定める血圧の基準値は診察室血圧140/90mmHg以上・家庭血圧135/85mmHg以上で、これは20代でも70代でも同じ数値です。年齢によって変わるのは「基準値」ではなく、治療でどこまで下げるかという「降圧目標」です。[2]

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この2つを混同すると、「歳をとったら血圧は高くても仕方ない」という誤解につながります。降圧目標は日本高血圧学会のガイドライン改訂のたびに見直されており、2025年8月発行の最新ガイドラインでは、糖尿病やCKD(慢性腎臓病)などの持病がなくても、年齢に関わらず130/80mmHg未満を目指す方針に変わりました[3]。ただし高齢の方が目標に近づけすぎると、立ちくらみや転倒につながる場合もあるため、自己判断での急な降圧は避け、かかりつけ医と相談しながら進めることが大切です。

  • 日本高血圧学会の基準値(診断のカットオフ)は診察室140/90mmHg・家庭135/85mmHgで固定。年齢では変わらない[2]
  • 日本高血圧学会の降圧目標(治療のゴール)はJSH2019まで年齢で分かれていたが、2025年改訂で「年齢に関わらず130/80mmHg未満」に統一された[3]
  • 慶應保健研究の解説論文によると、日本の高血圧患者は推計4,300万人、治療を受けているのは57%(2,450万人)、実際に140/90mmHg未満にコントロールできているのはそのうち約50%(1,200万人)にとどまる[2]
  • 厚生労働省の調査によると、日本人の収縮期血圧の平均値は126.4mmHg(男性129.8・女性123.8)だが、平均は「健康な状態」を意味しない[4]
  • 高齢者は目標に向けて急に下げすぎるとふらつき・立ちくらみが出ることがあり、症状の変化があればすぐに受診を

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン」、厚生労働省の統計、学術論文と照合して作成。最終確認は人の目です。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。本記事は基準値と降圧目標の違い、および年齢・持病による降圧目標の違いに焦点をあてており、血圧の測定方法や個別の降圧薬の選び方については、当サイトの関連記事で別途詳しく解説しています。

「基準値」と「降圧目標」はどう違う?年齢別の血圧基準値を混同しないために

「年齢別の血圧基準値」という言葉で検索すると、「年齢が上がるほど正常な血圧の範囲も上がる」という誤解に出会うことがあります。しかし日本高血圧学会が定める高血圧の「基準値」そのものは、年齢によって変わりません[2]。20代でも70代でも、診察室で測った血圧が140/90mmHg以上、または家庭で測った血圧が135/85mmHg以上であれば、同じ「高血圧」という分類になります[1][2]。

一方で、実際に治療を始めたあと「どこまで血圧を下げるか」という数値、つまり「降圧目標」は年齢や持病によって異なります。この2つの数値は名前が似ているために混同されやすいのですが、意味はまったく別です。

図:JHO編集部が作成

上の図の左側が「基準値」、右側が「降圧目標」の違いを表しています。左側では20代の人にも70代の人にも同じ140/90mmHgのラインが当てはまりますが、右側では従来のガイドラインと最新のガイドラインとで目標のラインの引き方が変わっていることがわかります。この記事では、まず基準値の分類表を確認したうえで、年齢・持病別の降圧目標の違い、そして2025年の改訂で何が変わったのかを、日本高血圧学会の一次資料に沿って順番に解説します。

たとえば、35歳の方と70歳の親御さんが、それぞれの健康診断結果表を見比べている場面を想像してみてください。どちらの結果表にも「140/90mmHg以上で要注意」という同じ注記が書かれています。これは偶然ではなく、両者に適用される「基準値」がそもそも同じだからです。一方で、実際に高血圧の治療を始めた場合、35歳の方には「130/80mmHg未満を目指しましょう」と伝えられ、70歳の親御さんには持病の有無によって「130/80未満」か「140/90未満」かが個別に決められる、という違いが生まれます。同じ「140」という数字が、ある場面では「基準値」として、別の場面では「かつての降圧目標の一つ」として使われるため、混乱が生じやすいのです。この記事を読み終える頃には、健診結果表のどの数字が「基準値」で、どの数字が「降圧目標」の話なのかを、迷わず区別できるようになります。

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数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

成人の血圧値分類表 — 正常血圧からIII度高血圧まで

日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室血圧と家庭血圧のそれぞれについて、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の組み合わせから7段階に分類しています[1][2]。この分類は年齢に関係なく、成人であれば誰にでも同じ基準が適用されます。

分類 診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」一般向け解説冊子[1]/畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1), 97-102, 2020、表1[2]

表の一番上「正常血圧」に注目してください。診察室血圧で120/80mmHg未満、家庭血圧で115/75mmHg未満という、かなり厳しめの数値です。これより高く、高血圧の基準(140/90mmHg)より低い「正常高値血圧」「高値血圧」という中間の段階があることもポイントです。日本高血圧学会によると、高値血圧(診察室130-139/80-89mmHg)は高血圧と診断されるわけではありませんが、正常血圧の人に比べて脳心血管病のリスクが高いことが分かっており、糖尿病や慢性腎臓病、喫煙習慣があるとそのリスクはさらに高くなるとされています[1][2]。放置してよい段階ではない、と同学会は位置づけています。

表の中に出てくる「かつ/または」という表記も、正確に読み取っておきたいポイントです。日本高血圧学会の分類表にある「140-159 かつ/または 90-99」というI度高血圧の欄は、上の血圧(収縮期血圧)が140-159mmHgの範囲に入るか、下の血圧(拡張期血圧)が90-99mmHgの範囲に入るか、そのどちらか一方でも当てはまればI度高血圧に分類される、という意味です[1][2]。上の血圧だけが高くても、下の血圧だけが高くても、どちらか一方が基準を超えていれば同じ分類になります。逆に「正常血圧」の欄にある「かつ」は、上の血圧・下の血圧の両方が基準を満たして初めてその分類に入るという意味です。「上は正常だけど下がやや高い」という場合、正常血圧ではなく高値血圧以上に分類されることがある、という点は見落とされがちなので注意してください。

また表の一番下にある「(孤立性)収縮期高血圧」は、日本高血圧学会の分類上、下の血圧(拡張期血圧)は正常範囲なのに、上の血圧(収縮期血圧)だけが140mmHg以上になっているタイプを指します。動脈の硬さが増す高齢者に多く見られる形で、これも治療対象となる高血圧に含まれます[1][2]。

実はこの分類の名前は、2019年の改訂で大きく整理された経緯があります。慶應義塾大学保健管理センターの解説論文によると、2014年版のガイドライン(JSH2014)では診察室血圧140/90mmHg未満を「正常域血圧」と呼び、その中を「至適血圧」「正常血圧」「正常高値血圧」に細かく分けていました[2]。しかし2017年に米国、2018年に欧州のガイドラインが相次いで改訂され、120/80mmHg以上でも血圧の水準と脳心血管病の発症リスクとの間に段階的な正の相関があるという知見が広がったことを受け、JSH2019では「正常域血圧」という総称そのものをやめ、名称を1段階ずつ引き上げる形に整理しました。旧分類の「正常血圧」は「正常高値血圧」に、「正常高値血圧」は「高値血圧」にそれぞれ改称され、現在の日本高血圧学会の7段階の表になっています[2]。つまり同じ「正常高値血圧」という言葉でも、2014年版の資料と2019年以降の資料では指している血圧の範囲が異なるため、古いパンフレットや書籍を参照する際は発行年に注意してください。

「高値血圧」「高血圧」と診断されたら — リスクの高さはどう決まる?

基準値の分類がわかったところで、次に気になるのは「自分はどのくらい急いで対応すべきなのか」という点でしょう。日本高血圧学会は、血圧の分類だけでなく、年齢や他の危険因子の有無を組み合わせて脳心血管病のリスクを3段階に層別化する表を示しています[2]。

リスク層 該当する人 高値血圧(130-139/80-89) I度高血圧(140-159/90-99) II度高血圧(160-179/100-109) III度高血圧(180/110以上)
リスク第一層 予後影響因子がない 低リスク 低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第二層 年齢(65歳以上)・男性・脂質異常症・喫煙のいずれかがある 中等リスク 中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第三層 脳心血管病の既往・非弁膜症性心房細動・糖尿病・蛋白尿のあるCKDのいずれか、またはリスク第二層の危険因子が3つ以上ある 高リスク 高リスク 高リスク 高リスク

出典:畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1), 97-102, 2020、表2(日本高血圧学会ガイドラインより引用)[2]

この表の見方のポイントは、「同じ血圧の数値でも、年齢や他の病気の有無によってリスクの重さが変わる」という点です。慶應保健研究の解説論文が引用する日本高血圧学会の表によれば、例えば同じ「高値血圧(130-139/80-89mmHg)」でも、65歳未満で他に危険因子がなければ「低リスク」ですが、65歳以上であれば「中等リスク」に、さらに脳卒中の既往や糖尿病があれば「高リスク」に引き上げられます[2]。これも「年齢別の基準値が変わる」わけではなく、「同じ基準値の中でどれだけ急いで対応すべきか」という優先度が年齢や持病によって変わる、という話です。

実際の初診時の対応も、このリスク層によって流れが変わります。同論文が紹介する日本高血圧学会の管理計画では、高値血圧・高血圧のいずれであっても、まずは生活習慣の修正が基本となりますが、低・中等リスクであればおおむね3か月後に再評価するのに対し、高リスクの場合はおおむね1か月後の再評価、さらに血圧がII度・III度高血圧で高リスクに該当する場合は、生活習慣の修正と同時に、ただちに薬物療法の開始が検討されます[2]。「様子を見てよい期間」も、リスクの高さによって数か月単位で変わってくるということです。

ここでもう一つ注意したいのが、リスク第三層の条件です。日本高血圧学会の表では、脳心血管病の既往、非弁膜症性心房細動、糖尿病、蛋白尿のあるCKDのいずれか一つがあれば高リスクになりますが、それらが一つもなくても、リスク第二層に挙げられている「65歳以上・男性・脂質異常症・喫煙」という4つの危険因子のうち3つ以上が重なった場合も、同じく高リスクに引き上げられます[2]。例えば「68歳・男性・喫煙習慣がある」という方は、それだけで3つの危険因子が重なっていることになり、脳卒中や心臓病の既往がなくても高リスクに分類されうるということです。数値としての血圧が同じでも、生活習慣や年齢・性別の組み合わせ次第でリスクの評価が大きく変わる、という点は意外と知られていません。

自分がどのリスク層に近いか、あてはまる項目を数えてみましょう(日本高血圧学会の表2の危険因子をもとにした簡易チェックです。正式な診断は必ず医師が行います)[2]

  • 65歳以上である
  • 男性である
  • 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)を指摘されたことがある
  • 喫煙している、または最近まで喫煙していた

上記に3つ以上あてはまる方、または脳心血管病の既往・非弁膜症性心房細動・糖尿病・蛋白尿のあるCKDのいずれか一つでもある方は、日本高血圧学会の表では、血圧の分類がまだ「高値血圧」の段階であっても「高リスク」に位置づけられる可能性があります[2]。該当する項目が多い方は、次の健診結果を待たずにかかりつけ医へ相談することをおすすめします。

ここで使われている用語も簡単に補足しておきます。「非弁膜症性心房細動」とは、心臓の弁自体には大きな異常がないタイプの心房細動(脈が不規則になる不整脈)のことで、脳梗塞のリスクを高めることが知られています。「蛋白尿のあるCKD(慢性腎臓病)」は、健診の尿検査で蛋白(たんぱく質)が漏れ出ていることが確認されている腎臓病の状態を指し、日本高血圧学会の資料では、蛋白尿がない場合よりも将来の腎機能悪化や脳心血管病のリスクが高いと位置づけられています[2]。ご自身の健診結果や診療情報提供書にこうした言葉が出てきた場合は、単なる数値以上に注意が必要なサインとして受け止めてください。

「降圧目標」は年齢・持病でこう変わる — JSH2019の考え方

ここからが「年齢別の血圧基準値」という検索キーワードの核心です。「基準値」は変わらないのに対し、実際の治療でどこまで血圧を下げるかという「降圧目標」は、患者さんの年齢や合併している病気によって異なります。日本高血圧学会の解説冊子では、「一般的な治療の目標として、75歳未満は診察室血圧で130/80 mmHg未満を、75歳以上でも140/90 mmHg未満を目指します」と説明されています[1]。家庭血圧の目標は、診察室血圧より5mmHg低い値を目安にするともされています[1]。基準値の表でも家庭血圧の数値が診察室血圧より低めに設定されていたのと同じ理屈で、緊張などにより医療機関では血圧が上がりやすい「白衣効果」を織り込んで、家庭血圧の目標はやや厳しめの数値になっています。

この「75歳」という区切りだけでなく、どんな病気を合併しているかによっても目標は変わります。慶應義塾大学保健管理センターの解説論文がまとめた表では、次のように整理されています[2]。

対象となる人 診察室血圧の目標 家庭血圧の目標
75歳未満の成人/脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)/冠動脈疾患患者/CKD患者(蛋白尿陽性)/糖尿病患者/抗血栓薬内服中 <130/80mmHg <125/75mmHg
75歳以上の高齢者/脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)/CKD患者(蛋白尿陰性) <140/90mmHg <135/85mmHg

出典:畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1), 97-102, 2020、表3[2]

この表からわかる通り、単純に「若いか高齢か」だけで目標が決まるわけではありません。慶應保健研究の解説論文によれば、75歳以上であっても、脳血管障害があって血管の狭窄が確認されていない場合や、CKD(慢性腎臓病)で蛋白尿が陽性の場合には、75歳未満と同じ130/80mmHg未満という厳しめの目標が設定されます[2]。逆に、蛋白尿が陰性のCKD患者は75歳以上と同じ緩やかな目標になります。これは「歳の数え方」ではなく「血管や腎臓へのダメージの蓄積度合い」で目標を分けている、という考え方の表れです。

日本高血圧学会の表に出てくる「冠動脈疾患患者」とは、狭心症や心筋梗塞など、心臓を養う血管(冠動脈)に問題が起きたことがある方を指し、「抗血栓薬内服中」とは血液を固まりにくくする薬(血をサラサラにする薬)を服用中の方を指します[2]。いずれも脳心血管病の再発・悪化を防ぐ観点から、75歳未満のグループと同じ厳しめの降圧目標が設定されていることがわかります。

慶應保健研究の同論文はさらに、65-74歳では130/80mmHg未満、75歳以上では140/90mmHgに変更されたこと、そして75歳以上でも他の疾患・病態を合併していて本人の忍容性(体が耐えられるかどうか)があれば、130/80mmHg未満を目指す方針であることも解説しています[2]。つまり「75歳を超えたから緩めてよい」と一律に決まるのではなく、個々の体の状態を見ながら慎重に判断するというのがJSH2019の立場です。

具体的にイメージできるよう、日本高血圧学会JSH2019の考え方に沿った3つの例で確認してみましょう。①持病のない68歳・健康診断以外は通院していない人であれば、75歳未満の一般的な目安として診察室血圧130/80mmHg未満を目指します[1]。同学会の詳細な表でも、この場合は家庭血圧125/75mmHg未満というグループに入ります[1][2]。②同じ68歳でも糖尿病がある場合、同学会の表の「糖尿病患者」の欄に該当するため、やはり130/80mmHg未満という同じ厳しめの目標グループに入ります[2]。③78歳で脳血管障害の既往があり、蛋白尿陰性のCKDも合併している場合は、同学会の表の「75歳以上の高齢者」「CKD患者(蛋白尿陰性)」のどちらの欄からも140/90mmHg未満というグループに該当します[2]。このように、年齢だけでなく「どの欄に当てはまるか」を一つずつ照らし合わせる必要があるため、最終的な数値は自己判断せず、診察の際に主治医と一緒に確認するのが確実です。

【2025年改訂】最新ガイドラインは「年齢に関わらず130/80未満」に変更

ここが多くの既存の解説記事がまだ反映できていない、もっとも重要な更新点です。日本高血圧学会は2025年8月29日に新しいガイドライン「高血圧管理・治療ガイドライン2025」を発行しました[3]。名称も「高血圧治療ガイドライン」から「高血圧管理・治療ガイドライン」に変わり、治療だけでなく予防・生活習慣改善を含めた包括的な血圧管理を重視する姿勢が明確にされています[3]。実地医家向けの本編(A4変形判・本文304頁)に続いて、要点を絞ったダイジェスト版や、患者さん向けの解説冊子「高血圧の話」の改訂版も、2025年から2026年にかけて順次発行されており、学会側も新しい降圧目標を医療現場と国民の双方に広めようとしている最中であることがうかがえます[3]。

学会はこの改訂にあたり、国民向けに正しい知識を伝えるための「高血圧の10のファクト」という資料を公表しました[3]。同資料は、高血圧の人では年齢に関わらず上の血圧を130mmHg未満・下の血圧を80mmHg未満まで下げると、それ以上の血圧の場合に比べて脳卒中や心臓病が少なくなるという知見を示したうえで、この知見に基づいて高血圧管理・治療ガイドライン2025では上の血圧130mmHg未満・下の血圧80mmHg未満を降圧目標としたことを明らかにしています[3]。

つまりJSH2019まであった「75歳未満は130/80未満、75歳以上は140/90未満」という年齢による目標の分け方が、2025年の改訂で「年齢に関わらず130/80未満」という一本化された目標に変わったということです。これは非常に大きな方針転換であり、この記事を書いている2026年7月時点でも、まだ多くのウェブサイトや解説記事が旧版(JSH2019)の「75歳」区切りのまま情報を止めています。かかりつけ医と降圧目標について話すときは、「今のガイドラインでは何歳でも130/80未満が目安になっていると聞きましたが、私の場合はどうですか」と尋ねてみるとよいでしょう。

なお同学会の資料では、日本人の食塩摂取量が1日あたり10gと世界的に見ても多いこと、高血圧の人は6g未満にすることが勧められていること、高血圧が原因となる病気(脳卒中や心臓病)で日本では年間17万人が亡くなっていると推計されていることも示されています[3]。さらに、上の血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げると脳卒中・心臓病が約2割減少するという知見も紹介されており[3]、130/80未満という目標がなぜここまで重視されるようになったのか、その根拠がうかがえます。目標に向けて生活習慣を見直す価値がどれだけ大きいかを裏付けるデータといえます。

もう一つ押さえておきたいのは、高血圧という病気そのものが将来のどんな病気につながるのかという点です。同学会は、高血圧が将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高める病気であると明記しています[3]。降圧目標の数値だけを見ていると忘れがちですが、目標を達成することの意味は「脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症になりにくい体を保つこと」そのものです。数値はあくまで、その目的を測るための目安にすぎません。

高齢者が急に下げすぎると危険な理由 — ふらつき・立ちくらみに注意

「年齢に関わらず130/80未満」という新しい目標を聞くと、「高齢の親にもすぐにそこまで下げてもらおう」と考えたくなるかもしれません。しかし日本高血圧学会自身が、降圧目標に向かう過程での注意点を明確に述べています。解説冊子には、「合併している病気の状態などによって、より厳格に下げたほうがよい場合や、逆に慎重に下げたほうがよい場合があります。また、下がりすぎによって血圧を下げる利益よりも副作用など不利益(有害事象と呼ばれています)が大きくなってしまうことがあります。」と記されています[1]。

そのうえで、「めまいやふらつきなどの自覚症状の変化に気をつけ、家庭血圧(降圧目標は診察室血圧より5 mmHg低い値を目指します)を測り、かかりつけ医と相談しながら、目標に向けてがんばりましょう。」と呼びかけています[1]。めまいやふらつきは、血圧を下げる薬の効果が強く出すぎたときや、座った姿勢・寝た姿勢から急に立ち上がったときに血圧が一時的に下がりすぎる「起立性低血圧」でも起こりうる症状です。高齢になるほど血管の調節機能が低下しやすく、転倒によるケガのリスクも高まるため、目標の数値だけを追いかけて薬を自己判断で増やす、といった対応は避ける必要があります。

慶應義塾大学の解説論文も、高齢者の生活指導について、以前は心拍数110拍/分程度の速歩が推奨されていたのに対し、JSH2019では転倒リスクや関節・心への負荷を考慮して通常の速さでの歩行が推奨されるようになったなど、高齢者個々人の状況を勘案した慎重な対策が求められていると述べており、降圧そのものだけでなく運動指導の場面でも転倒への配慮が明記されていることがわかります[2]。降圧目標はあくまで「目指す方向」であり、そこに至る速度やペースは主治医と相談しながら決めるべきものです。

高齢の方は、複数の持病でそれぞれ薬を処方されているケースも少なくありません。降圧目標に近づけようとして薬の種類や量が増えていくときほど、体調の変化に敏感である必要があります。日本高血圧学会の解説冊子が「めまいやふらつきなどの自覚症状の変化に気をつけ」るよう呼びかけているのは[1]、まさにこうした場面を想定してのことです。ご本人が症状をうまく言葉にできない場合は、ご家族が「最近立ち上がるときにふらついていないか」「食欲や活気に変化はないか」を日常的に観察し、変化があれば早めに受診につなげることが、急な降圧によるトラブルを防ぐ現実的な備えになります。

こんな症状が出たらすぐにかかりつけ医に相談してください

  • 降圧薬を飲み始めてから、または増量してから、立ち上がったときのふらつき・立ちくらみが強くなった
  • めまいや気が遠くなる感じ、意識が遠のくような感覚がある
  • 血圧を下げる治療を始めてから転倒した、またはヒヤリとする場面が増えた
  • 家庭血圧の値が普段よりも大きく低い日が続いている

日本人の血圧「平均値」は年齢でどう変わる? — 平均は「健康」ではない

「自分の血圧は同年代と比べて高いのか低いのか」、つまり「年齢別の血圧基準値」ならぬ「年齢別の血圧の実態」を気にする方も多いでしょう。厚生労働省の「令和6年国民健康・栄養調査」によると、20歳以上における収縮期血圧(上の血圧)の平均値は126.4mmHgで、男女別では男性129.8mmHg、女性123.8mmHgとなっています[4]。40歳以上に限ると平均値は129.3mmHg(年齢調整値127.3mmHg)です[4]。

集計対象 収縮期血圧の平均値
20歳以上・全体 126.4mmHg
20歳以上・男性 129.8mmHg
20歳以上・女性 123.8mmHg
40歳以上・全体(年齢調整値) 129.3mmHg(127.3mmHg)

出典:厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査結果の概要」2025[4]

同調査には20-29歳・30-39歳・40-49歳・50-59歳・60-69歳・70歳以上という年齢階級別のグラフも掲載されており、若い年代ほど収縮期血圧の平均値が低く(グラフ中の最小値は102.9mmHg)、年齢が上がるにつれて平均値が高くなる傾向(グラフ中の最大値は135.3mmHg)が読み取れます[4]。ここで大切な注意点があります。「同年代の平均値がこれくらいだから自分も同じくらいでよい」という考え方は誤りです。この記事の前半で確認した通り、高血圧の「基準値」は年齢に関係なく140/90mmHg(家庭血圧135/85mmHg)であり、40代・50代で平均値が130mmHg前後まで上がっているという事実は、「多くの日本人が正常高値血圧・高値血圧の段階に入っている」ことを示しているにすぎません。平均値は集団の実態を表す数字であって、目指すべき健康な状態を示す数字ではないのです。

この調査は厚生労働省が全国から無作為に抽出した世帯を対象に実施している「国民健康・栄養調査」の令和6年(2024年)分にあたり、20歳以上の男性3,629人・女性4,683人の実測値をもとに集計されています[4]。国が毎年継続して行っている調査であるため、単年の数字だけでなく「健康日本21(第三次)」という国の目標とも比較できるようになっています。同目標では、40歳以上(内服加療中の人を含む)の収縮期血圧の平均値(年齢調整値)について、基準となる年の値から5mmHg低下させることを目指すとされています[4]。国全体で見ても、平均値を「今のまま」ではなく「下げる方向」に動かそうとしていることが、この目標設定からも読み取れます。なお同調査は水銀を使用しない血圧計で測定されたことが注記されており[4]、測定機器の変更は過去の年度の数値と単純比較する際の留意点にもなります。

この点は日本高血圧学会も強く意識しており、「高血圧の10のファクト」では、日本の血圧コントロール状況が主要経済国の中で最下位レベルであることが明記されています[3]。同学会の資料が示す血圧コントロールされている割合の国際比較では、女性では日本29%に対しカナダ50%・ドイツ58%・米国54%・韓国53%、男性では日本24%に対しカナダ69%・ドイツ48%・米国49%・韓国46%と、日本の数値の低さが際立っています[3]。「平均的な日本人の血圧」は、目標とする姿からはむしろ遠いところにある、というのが実情です。

子ども・思春期の血圧基準値について

「子どもの血圧は何歳からどんな基準値になるのか」についても調べましたが、今回参照した日本高血圧学会の一般向け解説資料および学会公式サイトの範囲では、小児・思春期に特化した年齢別の血圧基準値(パーセンタイル基準など)を具体的な数値で示した箇所は見当たりませんでした。学会のガイドライン目次には「小児領域の高血圧」という章が含まれていることは確認できましたが、その本文にあたる一般公開資料は本記事の執筆時点で確認できていません。お子さんの血圧について健診などで指摘を受けた場合は、自己判断で数値を当てはめず、必ず小児科医にご相談ください。

まとめ — 基準値は変わらない、降圧目標はあなたの状態で決まる

ここまでの内容を整理すると、伝えたいことは大きく3つに集約されます。第一に、高血圧の「基準値」(診察室140/90mmHg・家庭135/85mmHg)は20代でも70代でも同じであり、「歳をとったから高くても正常」という考え方は誤りだということ[1][2]。第二に、実際の治療でどこまで下げるかという「降圧目標」は年齢・持病によって異なり、2025年8月の最新ガイドラインでは「年齢に関わらず130/80mmHg未満」という、これまでより踏み込んだ目標に統一されたということ[3]。第三に、目標に向かう過程では、特に高齢の方はふらつきや立ちくらみといった自覚症状の変化に注意しながら、かかりつけ医と二人三脚で進める必要があるということです[1]。数字だけを一人で追いかけるのではなく、この記事の内容を手がかりに、次の診察で「私の場合の降圧目標は何mmHgですか」と主治医に尋ねてみることから始めてみてください。

最後にもう一度、この記事の出発点に戻ります。「年齢別の血圧基準値」という検索キーワードの裏には、「歳をとったら血圧は高めでも仕方ない」という不安や、「うちの親は何歳だから、この数値で大丈夫なのか」という疑問が隠れていることが多いはずです。答えは、「基準値そのものは年齢で変わらないが、治療でどこまで下げるかという目標は年齢・持病・そして時代(ガイドラインの改訂)によって変わる」という、少し込み入ったものになります。しかしこの整理さえ押さえておけば、健診結果を見るときも、家族の血圧について医師と話すときも、数字に振り回されることなく、必要な質問を的確に投げかけられるようになるはずです。

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受診の目安 — すぐに受診が必要なサイン

ここまで「基準値」と「降圧目標」という2つの数値の違いを見てきましたが、どちらの数値であっても、次のようなサインがあれば、数値の解釈にこだわる前にまず医療機関を受診することが優先されます。特にIII度高血圧の範囲や、急激な症状を伴う場合は、リスク層別化の議論を待たずに救急性を判断すべき状況です。III度高血圧(診察室血圧180/110mmHg以上)は、この記事で紹介した7段階の分類の中でもっとも重い区分です[2]。そこに症状を伴う場合は、生活習慣の見直しや外来での経過観察ではなく、速やかな医療機関へのアクセスを優先してください。

次のような場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください

  • 診察室血圧でIII度高血圧(180/110mmHg以上)に該当する数値が出た[2]
  • 激しい頭痛、胸の痛み、息苦しさ、片側の手足のしびれや脱力、ろれつが回らないなど、脳卒中や心筋梗塞を疑う症状を伴う血圧上昇
  • 家庭血圧を測るたびに135/85mmHg以上が何日も続いている(仮面高血圧の可能性)
  • 健診で指摘された高値血圧・高血圧を、これまで一度も医療機関で相談したことがない
  • 降圧治療中に、ふらつき・立ちくらみ・意識が遠のく感じが新たに出てきた、または悪化した

JSH2019・JSH2025・海外ガイドラインの降圧目標比較

「基準値」の考え方は国によっても異なります。診断の基準値そのものを比べると、日本高血圧学会は140/90mmHgを維持し続けていますが、米国のACC/AHAガイドラインは2017年に130/80mmHgへと基準値自体を引き下げました[2]。日本がこれに追随しなかったのは、130/80mmHgを診断基準とする根拠となったメタ解析に日本人を対象としたランダム化比較試験がほとんど含まれておらず、日本人においてそのエビデンスが十分ではないと判断されたためです[2]。

ガイドライン 診断の基準値 一般的な降圧目標
日本高血圧学会 JSH2019 140/90mmHg以上 75歳未満<130/80、75歳以上<140/90(疾患により変動)[1]
日本高血圧学会 JSH2025(最新) 140/90mmHg以上(変更なし) 年齢に関わらず<130/80[3]
米国 ACC/AHA(2017年) 130/80mmHg以上 130/80mmHg未満[2]

出典:畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1), 97-102, 2020[2]/日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」出版物案内[3]

「年齢別の血圧基準値」と各国のガイドラインを合わせて見ると、この比較表からわかる大切な点は、「診断基準値」と「治療のゴールである降圧目標」は別の議論だということです。日本は診断基準値こそ140/90mmHgのまま維持していますが、実際に治療を始めた人が目指す降圧目標については、2025年の改訂でむしろ米国基準に近い「年齢に関わらず130/80未満」という、より踏み込んだ目標へと変化しました[3]。「日本は基準が甘い」という単純な比較はできない、ということがこの一枚の表から見えてきます。

なぜ日本は米国のように診断基準値そのものを130/80mmHgへ引き下げなかったのでしょうか。慶應義塾大学の解説論文は、その理由を次のように説明しています。米国のACC/AHAガイドラインが基準値引き下げの根拠としたメタ解析には、日本人を対象としたランダム化比較試験がほとんど含まれていなかったため、日本人においても130/80mmHgを診断基準とするだけの十分なエビデンスがあるとは言えない、というのが日本高血圧学会の判断でした[2]。海外で基準が変わったからといってそのまま輸入するのではなく、日本人を対象にした研究データ(論文中では大迫研究や鶴ケ谷研究などが挙げられています)に基づいて判断するという姿勢は、日本のガイドラインが家庭血圧の重視を打ち出してきた経緯にも共通しています[2]。

一方で、「治療の目標をどこまで厳しくするか」という降圧目標の議論では、日本も海外の研究成果を柔軟に取り入れています。2025年改訂で「年齢に関わらず130/80未満」という、より厳格な方向に舵を切ったことは、その表れといえるでしょう[3]。「診断基準は自国のデータで慎重に検証し、治療目標は最新のエビデンスに応じて機動的に見直す」という、2つの異なる判断基準が使い分けられている点は、この記事のテーマである「基準値と降圧目標は別物」という整理そのものを、ガイドラインの改訂の歴史が裏付けているとも言えます。

実務的に言えば、この違いを知っておくことで得られるメリットは2つあります。1つは、海外のニュースで「アメリカでは基準が130/80に変わった」という情報を見ても、それが日本の診断基準そのものの変更を意味するわけではないと落ち着いて判断できることです。もう1つは、「降圧目標」については日本国内でも数年おきに見直しが行われているという前提を持てることです。今回のように2019年から2025年の間に「年齢に関わらず130/80未満」へと更新されたように、今後も新しい研究成果に応じて数値が変わる可能性があります。数年前に主治医から聞いた目標値を、そのまま今も正しいものだと思い込まず、通院のたびに最新の目標値を確認する習慣をつけておくと安心です。

〈通院時に医師へ見せるためのメモ〉今日測った家庭血圧の値(朝・夜それぞれ)/診察室で測った血圧の値/血圧を下げる薬を飲み始めた時期と種類/めまい・立ちくらみ・ふらつきが出たかどうかとその時期/糖尿病・CKD(慢性腎臓病)・脳血管障害・冠動脈疾患など持病の有無/医師に聞きたいこと:「私の年齢と持病の場合、目標とすべき降圧目標は何mmHgですか」

よくある質問

血圧の基準値は年齢とともに上がっていくのですか?
いいえ、上がりません。「年齢別の血圧基準値」という言葉のイメージとは異なり、日本高血圧学会が定める高血圧の「基準値」(診察室140/90mmHg・家庭135/85mmHg)は成人であれば年齢に関係なく同じです[1][2]。年齢によって変わるのは治療の目標である「降圧目標」であり、基準値そのものではありません。厚生労働省の調査でも、年代が上がるほど平均血圧が高くなる傾向は示されていますが[4]、これは「基準値が年代ごとに動く」ことを意味するのではなく、「年代が上がるほど基準値を超える人の割合が増える」という実態を表しているにすぎません。
130/80と140/90、結局どちらを目安にすればいいですか?
140/90mmHg以上は「診断」のための基準値で、これは変わりません。130/80mmHgは主に「治療の目標(降圧目標)」に関わる数値で、2025年改訂の最新ガイドラインでは年齢に関わらずこの130/80未満を目指す方針になっています[3]。ちなみに130-139/80-89mmHgという範囲そのものは「高値血圧」という診断上の分類名でもあるため[2]、「130/80は診断名でもあり、降圧目標でもある」という二重の意味を持つ数値になっている点が、混乱の一因になっています。すでに治療中の方は、ご自身の降圧目標について必ず主治医に確認してください。
上の血圧だけ高い場合(収縮期高血圧)も治療が必要ですか?
はい。日本高血圧学会の分類では、下の血圧(拡張期血圧)が正常範囲でも、上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上であれば「(孤立性)収縮期高血圧」という高血圧の一分類にあたります[1][2]。動脈が硬くなる高齢者に多いタイプで、治療の対象になります。同学会の表で「下は正常だから大丈夫」と自己判断せず、上の血圧も含めて基準値の表全体で確認することが大切です[2]。
家庭血圧と診察室血圧、どちらを信じればいいですか?
日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の判定において診察室血圧よりも家庭血圧を優先するとされています[1]。緊張などで診察室でだけ高くなる「白衣高血圧」や、逆に診察室では正常でも自宅では高い「仮面高血圧」を見分けるためにも、家庭血圧を朝・夜の1日2回、決まった条件で測って記録することが勧められています[1]。
血圧を下げすぎるとどんな症状が出ますか?
めまいや立ちくらみ(ふらつき)が代表的な症状です。日本高血圧学会の解説冊子も、降圧目標を目指す過程でこうした自覚症状の変化に気をつけるよう明記しています[1]。同冊子は「下がりすぎによって血圧を下げる利益よりも副作用など不利益(有害事象と呼ばれています)が大きくなってしまうことがあります。」とも述べており[1]、降圧目標はあくまで平均的な目安であって、全員が同じペースで到達すべきゴールではないことがわかります。特に高齢の方は転倒のリスクにもつながるため、症状が出たら自己判断で薬を調整せず、必ずかかりつけ医に相談してください。
高齢の親の血圧はどこまで下げてもらうべきですか?
最新のJSH2025では年齢に関わらず130/80mmHg未満が降圧目標とされていますが[3]、JSH2019の考え方では75歳以上かつ脳血管障害や蛋白尿陰性のCKDがある場合など、140/90mmHg未満というやや緩やかな目標が設定される場合もあります[2]。持病の内容や体力(忍容性)によって個別に判断すべき部分が大きいため、ご本人の主治医に具体的な目標値を確認することをおすすめします。
子供の血圧が高いと言われました。何が基準ですか?
今回参照した資料の範囲では、小児・思春期に特化した年齢別の血圧基準値を具体的な数値で確認することができませんでした。この記事でご紹介している基準値・降圧目標はいずれも成人向けのものです。お子さんの血圧については自己判断をせず、小児科医にご相談ください。
白衣高血圧・仮面高血圧とは何ですか?
日本高血圧学会の解説冊子によると、白衣高血圧は、家庭や職場では135/85mmHg未満なのに、診察室でだけ140/90mmHgを超える状態です。仮面高血圧はその逆で、診察室では正常なのに家庭や職場での血圧が高い状態を指します[1]。同冊子は、仮面高血圧は、診察室・家庭ともに高い「持続性高血圧」と同じくらい脳心血管病を発症しやすいとされ、治療が必要とされていると説明しています[1]。
糖尿病があると血圧の目標は変わりますか?
日本高血圧学会JSH2019の整理では、糖尿病患者は75歳未満の成人と同じく、診察室血圧130/80mmHg未満・家庭血圧125/75mmHg未満という、やや厳しめの降圧目標のグループに含まれていました[1][2]。同学会が2025年に改訂したガイドラインではそもそも年齢に関わらず130/80mmHg未満が目標とされているため[3]、糖尿病の有無にかかわらず同じ水準を目指す形に整理されています。降圧薬の選び方は持病によって異なるため、必ず主治医と相談してください。
健康診断の血圧が「要注意」でした。何をすればいいですか?
「要注意」は多くの場合、高値血圧(診察室130-139/80-89mmHg)や高血圧の初期段階を指します。日本高血圧学会は、高血圧でなくても高値血圧の段階であれば脳心血管病のリスクが正常血圧の人より高いとしており、「放置してはいけない病態」と位置づけています[2]。まずは家庭用血圧計を用意して朝・夜の家庭血圧を記録し、その結果を持ってかかりつけ医に相談することから始めてください。
血圧が高いままだと、具体的にどんな病気につながりますか?
日本高血圧学会は、高血圧が将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高める病気であると明記しています[3]。また、高血圧が原因となる病気で日本では年間17万人が亡くなっていると推計されており[3]、自覚症状がないからといって軽く見てよい数値ではないことがわかります。
降圧目標に近づいたら、薬をやめてもいいですか?
自己判断で薬を減らしたり中止したりするのは避けてください。日本高血圧学会の資料では、生活習慣が改善して正常血圧を維持できるようになれば薬を徐々に減量してみることもあると述べられていますが、これはあくまで医師の判断のもとで行うプロセスです[1]。降圧目標を達成した状態は「薬をやめてよい合図」ではなく、「治療がうまくいっている状態を維持すべき合図」と捉え、必ず主治医と相談のうえで方針を決めてください。
健康診断の「年代別の平均血圧」の表と、この記事の基準値表はどう違いますか?
健康診断などで目にする「年代別の平均血圧」は、厚生労働省の国民健康・栄養調査のように、実際にその年代の人たちを測定した結果の集計値です[4]。一方、この記事で紹介している「基準値」(140/90mmHgなど)は、日本高血圧学会が脳心血管病のリスクをもとに定めた診断のための線引きです[2]。平均値はあくまで「実態」、基準値は「健康を守るための目安」であり、両者が近い数値になっている年代があるからといって、それが安全という意味にはなりません。
妊娠中や産後の血圧にも、この記事の基準値・降圧目標は当てはまりますか?
当てはまりません。今回参照した日本高血圧学会の一般向け解説資料には、妊娠中の血圧管理について項目別の詳細な記載は見当たりませんでした。妊娠中に血圧が上がる状態は「妊娠高血圧症候群」と呼ばれ、母体だけでなく赤ちゃんの健康にも関わるため、この記事で説明した成人向けの基準値や降圧目標とは異なる基準・管理が必要です。妊娠中または妊娠を予定している方は、自己判断をせず、必ず産科医または産婦人科の医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」一般向け解説冊子「高血圧の話」 2019 jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
  2. 畔上達彦・武田彩乃「高血圧治療ガイドライン2019の改訂ポイント」慶應保健研究38(1), 97-102, 2020 hcc.keio.ac.jp(PDF)
  3. 日本高血圧学会「高血圧の10のファクト~国民の皆さんへ~」(高血圧管理・治療ガイドライン2025に基づく提言) 2025 jpnsh.jp/10_facts.html
  4. 厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査結果の概要」 2025 mhlw.go.jp(PDF)

更新日:2026年7月21日。この記事は日本高血圧学会・厚生労働省などの公的資料をもとに作成していますが、誤りや古い情報にお気づきの際は、お問い合わせフォームよりお知らせください。事実を確認のうえ訂正いたします。

血圧の全体像については「高血圧」のハブページ、より広い血圧の知識は「血圧」のハブページをご覧ください。具体的な数値の見方は「血圧140/100 mmHgの完全ガイド」、薬に頼る前にできる生活習慣の改善は「薬に頼らない血圧管理の完全ガイド」もあわせてご覧ください。

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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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