【高コレステロール】放置して大丈夫?原因・検査・治療と今日からできる対策をわかりやすく解説
この記事でわかること
目次
- Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
- 要点まとめ
- 第1部:高コレステロールの基本と日常生活の見直し
- 1.1. コレステロールとは?体の中での役割と「善玉・悪玉」
- 1.2. 日本で用いられている「脂質異常症」の基準値
- 1.3. 自覚症状がほとんどない「サイレントなリスク」
- 1.4. 悪化させやすい日常のNG習慣
- 第2部:身体の内部要因 — 遺伝・ホルモン・隠れた病気
- 2.1. 家族性高コレステロール血症とは?
- 2.2. 女性ホルモンとコレステロールの関係
- 2.3. 糖尿病・甲状腺機能低下症などの隠れた病気
- 第3部:高コレステロールと関連する病気 — 動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞
- 3.1. 動脈硬化とは?血管の内側で起こっていること
- 3.2. 心筋梗塞・狭心症と高コレステロール
- 3.3. 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)との関係
- 3.4. 受診を検討すべき危険なサイン(レッドフラッグ)
- 第4部:今日から始める高コレステロール改善アクションプラン
- 4.1. 食事の見直し:脂質の「質」と「量」を賢くコントロール
- 4.2. 運動・身体活動:ハードな運動より「こまめに動く」を習慣に
- 4.3. 体重管理・禁煙・お酒との付き合い方
- 第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
- 5.1. 受診を検討すべきタイミングと目安
- 5.2. 診療科の選び方
- 5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- よくある質問
- 結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
- この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
- 参考文献
健康診断で「コレステロールが高いですね」「脂質異常症の疑いがあります」と言われて、どうしたらよいのか不安になっていませんか。数字だけ聞いてもピンと来ず、「今は元気だし、まだ大きな病気じゃないから大丈夫かな」と様子を見てしまう方も少なくありません。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
しかし、高コレステロール(脂質異常症)は、自覚症状がほとんどないまま、時間をかけて血管を傷つけ、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクを高めることが知られています。特に、日本人の死因の上位に心臓病や脳血管疾患が含まれていることを考えると、「今は元気だから」と放置していい問題ではありません。
本記事では、日本の公的機関や専門学会の情報をもとに、高コレステロールとは何か、どの数値から注意が必要なのか、原因・症状・検査・治療の流れ、そして今日からできる生活習慣の見直しポイントを、できるだけ専門用語をかみ砕いて解説します。年齢や性別、家族歴によって注意点が変わる点についても触れます。
「どのくらいの数値ならすぐに病院に行くべき?」「薬を飲むことになったら一生続くの?」「食事でどこまで改善できる?」といった、なかなか聞きづらい疑問にも丁寧にお答えしていきますので、ご自身やご家族の健康管理の参考にしてください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、日本の公的機関である厚生労働省のe-ヘルスネット、高コレステロールや脂質異常症に関する国内学会のガイドライン、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」、および世界保健機関(WHO)や各国の公的機関が発信する資料など、信頼性の高い一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。
- 厚生労働省・公的研究機関:e-ヘルスネットの「脂質異常症」「コレステロール」「脂質異常症の食事」など、日本人向けにまとめられた公式解説や統計資料を優先して参照しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本動脈硬化学会のガイドラインや、その概要解説論文、海外のガイドライン(NICEなど)をもとに、診断基準や治療方針の全体像を整理しています。
- 教育機関・医療機関・公的団体による一次資料:心血管疾患リスク、生活習慣改善の効果に関する説明や図表を参考にしつつ、日本の生活者に合わせて言い回しを調整しています。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、 運営者情報(JapaneseHealth.org) をご覧ください。
要点まとめ
- 「コレステロール」は体に必要な脂質ですが、LDLコレステロール(いわゆる悪玉)が多すぎたり、HDLコレステロール(いわゆる善玉)が少なすぎたりすると、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。
- 日本では、LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪150mg/dL以上(空腹時)などが「脂質異常症」の診断基準として用いられています。数値だけでなく、年齢・性別・喫煙・糖尿病の有無などを合わせて総合的にリスクを評価します。
- 高コレステロール自体にはほとんど自覚症状がありません。健康診断や血液検査で初めて見つかることが多く、「症状がないから大丈夫」と自己判断して放置することが一番危険です。
- 多くの方では、食事・運動・禁煙・体重管理などの生活習慣の見直しで改善が期待できます。一方で、心血管リスクが高い人や家族性高コレステロール血症のような遺伝性の病気が疑われる場合には、生活習慣の改善に加えて薬物治療が重要になります。
- 「LDLが少し高いだけ」「再検査が面倒」と先延ばしにせず、数値とリスクに応じて、かかりつけ医や専門医に相談しながら、数年〜十数年先の心筋梗塞・脳梗塞リスクを減らしていくことが大切です。
- 本文では、今日からできる具体的な生活改善のステップと、「このサインがあれば早めに受診したい」という目安を、チェックリスト形式でわかりやすく整理します。
「コレステロールが高いと言われたけれど、どこから手をつければいいのか分からない」「薬を勧められたが、できれば飲みたくない」といった悩みを抱えている方は少なくありません。まずは、自分のコレステロール値がどの程度なのか、その背景にある生活習慣や体質を整理するところから始めると、次にやるべきことが見えやすくなります。
本記事では、最初に高コレステロールの基礎知識と日本で用いられている基準値を押さえ、そのうえで「食事・運動・体重・たばこ・お酒」といった日常生活の要因を丁寧に振り返ります。それでも改善しない場合や、若いのに非常に数値が高いケースでは、遺伝性の病気や他の内科的な病気が隠れていないかを医療機関で確認する段階です。
必要に応じて、 関連する総合ガイド や、 詳細解説記事 など、Japanese Health(JHO)内の関連記事に自然な文脈で橋渡しを行いながら、「自分の状態をどう理解し、いつ・どこで・誰に相談すべきか」を具体的にイメージできるように構成しています。
この記事を読み進めることで、「すぐに生活を見直した方がよいケース」「早めに医療機関で相談したいケース」「救急車(119番)を検討すべき危険なサイン」の違いが分かり、将来の心臓病・脳卒中リスクを少しずつ減らしていくための道筋が見えてくることを目指します。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
第1部:高コレステロールの基本と日常生活の見直し
最初に、高コレステロールの基本的な仕組みと、日本で用いられている基準値、そして日常生活の中で見直しやすいポイントを整理します。「どこまでが正常で、どこからが要注意なのか」を知ることで、健康診断の結果票の意味がぐっと分かりやすくなります。
1.1. コレステロールとは?体の中での役割と「善玉・悪玉」
コレステロールとは、人間の体に存在する脂質(あぶら)の一種で、細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料となる大切な成分です。食品から取り入れられる分もありますが、多くは肝臓など体の中で作られ、必要な量がうまく調整されています。
血液中では、コレステロールはタンパク質と一緒になって「リポタンパク(リポプロテイン)」という形で運ばれます。代表的なものが次の2つです。
- LDLコレステロール:コレステロールを全身に運ぶ役割を持っており、血液中に多すぎると血管の壁に沈着して動脈硬化を進めてしまうため、一般的に「悪玉」と呼ばれます。
- HDLコレステロール:余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す「掃除役」のような働きをするため、「善玉」と呼ばれます。
大切なのは、「コレステロール=悪」ではなく、バランスが崩れた状態が問題という点です。LDLが多すぎる、HDLが少なすぎる、中性脂肪(トリグリセライド)が多すぎる、といった状態が長く続くと、少しずつ血管の内側にコレステロールの塊(プラーク)がたまり、動脈硬化が進んでいきます。
1.2. 日本で用いられている「脂質異常症」の基準値
日本では、厚生労働省のe-ヘルスネットや日本動脈硬化学会のガイドラインなどをもとに、次のような血液検査の値が「脂質異常症」の診断基準として用いられています(多くは空腹時採血での値です)。
- LDLコレステロール:140mg/dL以上 → 高LDLコレステロール血症
- HDLコレステロール:40mg/dL未満 → 低HDLコレステロール血症
- 中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dL以上(空腹時) → 高トリグリセライド血症
- ノンHDLコレステロール(総コレステロール − HDL):170mg/dL以上 → 高non-HDLコレステロール血症
健康診断の結果票に「要経過観察」「要再検査」「要受診」などと書かれている場合は、これらの基準と、年齢やその他のリスク要因(高血圧・糖尿病・喫煙など)を総合的に見て判断されています。数値そのものの高さだけでなく、「その人が将来心筋梗塞や脳梗塞をどのくらい起こしやすいか」という総合的なリスク評価が重要だと考えられています。
1.3. 自覚症状がほとんどない「サイレントなリスク」
高コレステロールや脂質異常症には、明らかな痛みや息切れといった自覚症状はほとんどありません。多くの場合、健康診断や人間ドックの血液検査で初めて見つかります。「特に不調はないし、忙しいからそのままにしておこう」と考えがちですが、これは非常に危険なポイントです。
コレステロールが高い状態は、「今すぐ何かが起こる」わけではなく、「数年〜十数年かけて血管をじわじわ傷つける」タイプのリスクです。将来の心筋梗塞や脳梗塞、末梢動脈疾患(足の血管の病気)などの発症リスクを上げるため、「今は元気だから大丈夫」と先延ばしにせず、早めに対応を始めることが自分の将来のためになります。
1.4. 悪化させやすい日常のNG習慣
高コレステロールには遺伝的な要因もありますが、多くの人では生活習慣が大きく関わっています。次のような習慣が重なっている場合、知らず知らずのうちに悪化させている可能性があります。
- 肉類や揚げ物、バター・生クリーム・チーズなど、飽和脂肪酸の多い食品を頻繁に・大量に食べている
- 菓子パンやスナック菓子、洋菓子など、バターやショートニング、マーガリンの多い食品をよく食べる
- 外食・コンビニ食が中心で、野菜や海藻、豆類が圧倒的に少ない
- 通勤以外ほとんど歩かず、休日も座っている時間が長い
- 喫煙習慣がある(タバコはHDLコレステロールを下げ、動脈硬化を進めます)
- お酒をついつい飲みすぎてしまう(中性脂肪が上がりやすくなります)
これらは「悪いと分かっていても、なかなかやめられない」習慣でもあります。本記事では、第4部で、無理なく続けやすい改善ステップを「今夜から・今週から・長期的に」の3つのレベルに分けて紹介します。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 健康診断で「LDLコレステロールが140mg/dL以上」と指摘されたが、そのまま何年も放置している | 脂質異常症の可能性、動脈硬化リスクの増加 |
| 若い頃からずっとコレステロールが高く、親や兄弟にも心筋梗塞や脳梗塞になった人がいる | 家族性高コレステロール血症など、遺伝的要因 |
| ここ数年で体重(特にお腹まわり)が増え、血圧や血糖も「境界域」と言われている | メタボリックシンドローム、生活習慣の影響 |
| たばこを吸う・運動不足・脂っこいものやお酒が多い生活が長く続いている | 喫煙と生活習慣による動脈硬化リスクの増加 |
| 更年期以降の女性で、コレステロール値が急に高くなってきた | 女性ホルモンの変化、加齢による代謝の変化 |
第2部:身体の内部要因 — 遺伝・ホルモン・隠れた病気
生活習慣を見直すことは非常に重要ですが、それだけでは説明しきれない高コレステロールも存在します。若いのに数値が極端に高い、生活をかなり気をつけているのに下がらない、といった場合には、遺伝性の病気やホルモンバランス、他の慢性疾患が関わっている可能性があります。
2.1. 家族性高コレステロール血症とは?
家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia)は、生まれつきLDLコレステロールが非常に高くなりやすい遺伝性の病気です。親から子どもへと遺伝し、一般的な高コレステロールよりもはるかに若い年齢から動脈硬化が進みやすいことが知られています。
例えば、小児期・青年期からLDLコレステロールが180〜200mg/dL以上と非常に高い、親や兄弟に若い頃(40〜50代)で心筋梗塞を起こした人がいる、アキレス腱や手の甲などに黄色いコブのような「黄色腫(おうしょ)」がみられる、といった特徴がある場合には、この病気が疑われます。
家族性高コレステロール血症が疑われる場合、生活習慣の見直しだけで十分にコレステロールを下げることは難しく、早期からの専門的な診断と薬物治療が重要になります。ご自身やご家族で心血管イベントが若い年齢で起きた方がいる場合は、健康診断結果だけで自己判断せず、医療機関で詳しく相談しましょう。
2.2. 女性ホルモンとコレステロールの関係
女性は、閉経前と閉経後でコレステロール値の傾向が大きく変わることがあります。閉経前は女性ホルモン(エストロゲン)の影響で、LDLコレステロールが抑えられ、HDLコレステロールが比較的高めに保たれやすいと言われています。
一方、閉経前後の時期になるとエストロゲンが急激に減少し、LDLコレステロールが上がりやすく、HDLコレステロールが下がりやすくなる傾向があります。同じ生活習慣でも、年齢とともに数値が変化していくことがあるため、「以前と同じ生活なのに急に高くなった」と感じる方も少なくありません。
更年期前後の女性では、血圧や血糖、体重の変化も同時に起こりやすく、総合的な心血管リスクが上がりやすい時期です。女性特有のホルモンの変化を考慮しつつ、定期的な健診と生活習慣の見直しを行うことが大切です。
2.3. 糖尿病・甲状腺機能低下症などの隠れた病気
高コレステロールの背景には、糖尿病やメタボリックシンドローム、甲状腺機能低下症、腎臓病など、他の慢性疾患が隠れていることもあります。例えば、糖尿病があると中性脂肪が高くなりやすく、HDLコレステロールが低くなりやすいことが知られています。
甲状腺の働きが弱くなる甲状腺機能低下症では、体の代謝が落ち、LDLコレステロールが上がりやすくなります。疲れやすさ・寒がり・体重増加などの症状と、高コレステロールが同時に見られる場合には、甲状腺ホルモンの検査が行われることもあります。
このように、高コレステロールは単独の問題ではなく、全身の代謝やホルモン、他の病気と密接に関連していることが多いため、単に「数値だけ」を見て判断するのではなく、かかりつけ医と一緒に全体像を整理していくことが重要です。
第3部:高コレステロールと関連する病気 — 動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞
高コレステロールそのものは自覚症状に乏しいものの、その先にある「動脈硬化性疾患」は命や生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。この部では、高コレステロールと関連の深い代表的な病気と、その兆候について整理します。
3.1. 動脈硬化とは?血管の内側で起こっていること
動脈硬化とは、簡単にいうと動脈という血管の壁が、長年のダメージで硬く・厚く・もろくなっていく状態です。血液中に余分なLDLコレステロールが多い状態が続くと、その一部が血管の内側に入り込み、白血球などと一緒に「プラーク」と呼ばれるコブのようなものを作っていきます。
初めのうちはプラークは小さく、血液の流れをほとんど邪魔しませんが、少しずつ大きくなると血管の内腔が狭くなり、血液の通り道が細くなっていきます。さらに、プラークの表面が破れて血栓(血の塊)ができると、一気に血管が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞といった急性の病気を引き起こします。
3.2. 心筋梗塞・狭心症と高コレステロール
心臓は冠動脈という血管から酸素や栄養を受け取っています。高コレステロール状態が続くと、この冠動脈の内側で動脈硬化が進み、血管が狭くなったり、詰まりやすくなったりします。その結果として起こる代表的な病気が「狭心症」と「心筋梗塞」です。
- 狭心症:階段を上がったときなど、心臓に負担がかかったときに、胸の痛みや締めつけ感が一時的に出る状態
- 心筋梗塞:冠動脈が急に詰まり、心臓の一部に酸素が届かなくなってしまう状態。強い胸の痛みや冷や汗などを伴い、命にかかわることもあります。
高コレステロールに加えて、高血圧・糖尿病・喫煙・家族歴などが重なると、これらのリスクがさらに高まります。突然の強い胸の痛み・締め付け感・呼吸のしづらさなどが出現した場合は、迷わず救急車(119番)を検討してください。
3.3. 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)との関係
脳に酸素と栄養を届ける頸動脈や脳の動脈も、心臓の血管と同じように動脈硬化の影響を受けます。高コレステロールの状態が長く続くと、これらの血管でもプラークが形成され、血栓が詰まることで脳梗塞が起こるリスクが高まります。
一過性脳虚血発作(TIA)は、一時的に脳の血管の流れが悪くなり、「片側の手足が動かしにくい」「うまく話せない」「片目が急に見えにくくなる」などの症状が短時間で良くなる状態です。症状が数分〜数十分で自然に良くなることもありますが、TIAは本格的な脳梗塞の「警告サイン」と考えられています。
これらの症状が出た場合は、「すぐに良くなったから大丈夫」ではなく、できるだけ早く医療機関を受診し、必要に応じて救急要請を検討してください。
3.4. 受診を検討すべき危険なサイン(レッドフラッグ)
- 突然の強い胸の痛み・締め付け感・圧迫感(数分以上続く、冷や汗や吐き気を伴う)
- 片側の手足の脱力・しびれ、ろれつが回らない、顔のゆがみ、視野の一部が急に見えにくくなる
- 安静にしていても続く息切れ、呼吸困難、突然の強い動悸
- これらの症状が短時間で良くなっても、繰り返し起こる場合
こうした症状は、高コレステロールに限らず危険な病気のサインである可能性があります。「いつもと明らかに違う」強い症状を感じたら、迷わず119番通報や救急外来の受診を検討してください。
第4部:今日から始める高コレステロール改善アクションプラン
高コレステロールと聞くと、「いきなり厳しい食事制限をしなければならない」「激しい運動を毎日続けないといけない」と身構えてしまう方もいるかもしれません。しかし、実際には、無理のない小さな改善を積み重ねることが長続きのコツです。この部では、「今夜から・今週から・長期的に」の3つのレベルに分けて、実践しやすい対策を整理します。
4.1. 食事の見直し:脂質の「質」と「量」を賢くコントロール
食事は高コレステロール対策の土台です。特に、飽和脂肪酸とコレステロールの多い食品を少しずつ減らし、代わりに魚や大豆、野菜、海藻、全粒穀物などを増やしていくことが推奨されています。
- 飽和脂肪酸の多い食品を控えめに:脂身の多い肉、ベーコン・ソーセージなどの加工肉、バター・生クリーム・ラード、菓子パンや洋菓子などは頻度と量を意識して減らしていきます。
- コレステロールの多い食品は「食べすぎない」:卵黄やレバー、魚の卵などはコレステロールが多く含まれます。体質や病状によりますが、「毎日大量に」食べるよりも、回数と量を調整することが重要です。
- 魚・植物性脂肪をうまく取り入れる:青魚(サバ・サンマ・イワシなど)に含まれる脂質や、オリーブオイル・キャノーラ油などの植物油は、量を守れば血中脂質に良い影響を与えるとされています。
- 野菜・海藻・きのこ・豆類を毎食意識する:食物繊維はコレステロールの排泄を助ける働きがあります。主菜(肉・魚)より先に野菜を食べる「ベジファースト」も一つの工夫です。
4.2. 運動・身体活動:ハードな運動より「こまめに動く」を習慣に
激しい運動でなくても、「座りっぱなしの時間を減らし、こまめに体を動かす」ことが、HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減らすのに役立つとされています。いきなりジムに通う必要はありません。
- エレベーターより階段を使う、職場で1時間に1回は立ち上がって歩く
- 通勤時に一駅分多く歩く、昼休みに10〜15分の散歩をする
- 週に3〜5回、やや息が弾む程度の速歩を20〜30分続けることを目標にする
- テレビを見ながらストレッチや軽い筋トレを取り入れる
持病や膝・腰の痛みがある場合は、無理をせず、かかりつけ医と相談しながら自分に合った運動量を決めるようにしましょう。
4.3. 体重管理・禁煙・お酒との付き合い方
お腹まわりの脂肪(内臓脂肪)が増えると、LDLコレステロールや中性脂肪が上がりやすく、HDLコレステロールが下がりやすくなります。「標準体重」を目指すことが難しい場合でも、今より2〜3kg体重を減らすだけで、血液検査の値が改善することもあります。
また、喫煙はHDLコレステロールを下げるだけでなく、血管そのものを痛める大きなリスクです。禁煙外来やニコチンパッチなども活用しながら、「コレステロールのため」にも禁煙を検討してみてください。
お酒については、「全くダメ」というわけではありませんが、飲み過ぎは中性脂肪上昇や体重増加につながります。休肝日を作る、1回あたりの量を見直すなど、少しずつ調整していきましょう。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 夕食の脂質を少し軽くし、野菜を先に食べる | 揚げ物を煮物や焼き魚に変える/最初にサラダやおひたしを1皿食べる |
| Level 2:今週から試したいこと | 週3回の速歩きと、エレベーターより階段を選ぶ習慣 | 通勤の行きか帰りのどちらかを1駅分歩く/職場で1時間に1回立ち上がる |
| Level 3:長期的に続けたいこと | 体重・腹囲・血圧・血液検査を定期的にチェックし、無理のない範囲で減量と生活習慣の改善を続ける | 年1回の健診結果を記録しておき、かかりつけ医と一緒に変化を振り返る/禁煙やお酒の量の見直しにチャレンジする |
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
高コレステロールは、自分だけで完璧に管理しようとすると不安やプレッシャーが大きくなりがちです。数値やリスクを客観的に評価し、無理のない改善計画を立てるためには、医療機関との連携が重要です。この部では、受診の目安や診療科の選び方、診察時に役立つ情報のまとめ方などを紹介します。
5.1. 受診を検討すべきタイミングと目安
- 健康診断でLDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪150mg/dL以上などを指摘された
- 「要再検査」や「要精密検査」「要受診」とコメントされているのに、まだ医療機関を受診していない
- 若いのにコレステロールが非常に高い、または親・兄弟に若くして心筋梗塞・脳梗塞になった人がいる
- 糖尿病・高血圧・慢性腎臓病など、他の生活習慣病も指摘されている
こうした場合は、「まだ症状がないから」と放置せず、まずはかかりつけ医や内科を受診し、自分のリスクを一度しっかり評価してもらうことをおすすめします。
5.2. 診療科の選び方
- まず相談しやすいのは「内科」「総合診療科」:健康診断の結果を持参し、血圧や血糖、体重、家族歴なども含めて総合的に見てもらうことができます。
- リスクが高い場合や、治療が難しい場合:循環器内科(心臓・血管の専門)、糖尿病内科・内分泌代謝内科(糖尿病や甲状腺、脂質代謝の専門)などへの紹介が検討されることがあります。
- 家族性高コレステロール血症が疑われる場合:専門性の高い施設での診断・治療が必要になることもあるため、紹介状を通じて専門医に相談する流れになることがあります。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 最新の健康診断結果や過去数年分の結果(LDL・HDL・中性脂肪・血糖・血圧・体重など)
- 現在飲んでいる薬の一覧(お薬手帳があれば持参)
- 家族の病歴(特に心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病などの有無と発症年齢)
- 普段の食事・運動・喫煙・飲酒状況のメモ(簡単で構いません)
日本では、多くの場合、健康保険が適用されます。初診料や血液検査費用は医療機関や検査項目によって異なりますが、3割負担の場合、数千円〜1万円前後になることが多いとされています。費用が心配な場合は、予約時や受付時に目安を確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1: コレステロールが少し高いだけなら、様子を見ても大丈夫ですか?
A1: 一度の検査でわずかな上昇が見られただけなら、すぐに大きな病気につながるとは限りません。ただし、高コレステロールは自覚症状がほとんどないまま、年単位で血管を傷つけていく「サイレントなリスク」です。まずは医療機関で再検査を受け、過去の結果や他のリスク(血圧・血糖・喫煙・家族歴など)とあわせて評価してもらうことをおすすめします。
生活習慣の見直しだけで対応できるケースも多いですが、「どこまでなら様子を見てもよいか」は年齢やリスクにより異なるため、自己判断せず一度相談してみましょう。
Q2: 卵は高コレステロールだと食べてはいけませんか?
A2: 卵黄にはコレステロールが多く含まれていますが、最近の研究では、卵の摂取と心血管疾患リスクの関係は人によって異なることが示されています。一般的には、「絶対に食べてはいけない」というよりも、「1日に何個も食べ続けない」「他のコレステロールの多い食品や飽和脂肪酸の多い食品と組み合わせ過ぎない」といったバランスが大切です。
糖尿病や家族性高コレステロール血症など、リスクが高い方ではより慎重な調整が必要になることもあるため、主治医や栄養の専門職と相談しながら、自分に合った目安を確認すると安心です。
Q3: 食事と運動だけでコレステロールを十分に下げることはできますか?
A3: 多くの方では、食事や運動、体重管理、禁煙などの生活習慣の改善により、LDLコレステロールや中性脂肪がある程度改善することが期待できます。一方で、遺伝的な要因が強い場合や、すでに心血管疾患がある方、糖尿病などの合併症がある方では、生活習慣改善だけでは目標値まで下がらないことも少なくありません。
日本動脈硬化学会のガイドラインなどでは、将来の心筋梗塞・脳梗塞リスクを見積もり、そのリスクに応じて「どの程度までコレステロールを下げるべきか」が示されています。生活習慣でできることはしっかり行いつつ、必要に応じて薬物治療も組み合わせる、と考えると良いでしょう。
Q4: コレステロールの薬(スタチンなど)は、一度飲み始めたら一生やめられませんか?
A4: コレステロールを下げる薬は、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを減らす目的で長期的に使用されることが多く、「一定期間飲めば治る」という性質の薬ではありません。そのため、「一生飲み続けるのでは」と不安に感じる方もいます。
ただし、実際にどのくらいの期間続けるかは、年齢・他の病気・生活習慣・家族歴などを踏まえた総合的な判断になります。医師と相談しながら、定期的に効果や副作用を確認し、必要に応じて薬の種類や量を調整していきます。自己判断で中止したり、飲む頻度を勝手に変えたりすることは危険なので、必ず主治医に相談してください。
Q5: 若い20〜30代でも、高コレステロールを気にした方がよいのでしょうか?
A5: 心筋梗塞や脳梗塞は中高年の病気というイメージがありますが、動脈硬化の始まりはずっと若い頃からだと考えられています。特に、若いのにLDLコレステロールが非常に高い場合や、家族に若くして心血管疾患になった人がいる場合は、家族性高コレステロール血症などが隠れている可能性もあり、早めのチェックが重要です。
また、20〜30代での生活習慣(食事・運動・喫煙など)は、その後の数十年のリスクに大きく影響します。若いうちから「少しだけ気をつける」習慣を身につけておくことは、将来の自分への大きなプレゼントになります。
Q6: 高コレステロールでも妊娠・出産・授乳はできますか?
A6: 妊娠や授乳中は、ホルモンや体の状態が大きく変化するため、コレステロール値も一時的に変動しやすくなります。多くの場合、一時的な変化であり、出産・授乳終了後に落ち着いてくることもありますが、背景に遺伝的な要因や他の病気がないかどうかの確認は重要です。
一部のコレステロール低下薬は、妊娠中・授乳中の使用が推奨されないものもあります。妊娠を希望している方や、妊娠した可能性がある方は、薬を自己判断で中止するのではなく、必ず主治医に相談し、妊娠中・授乳中の管理方法について一緒に検討してもらいましょう。
Q7: 高齢の親のコレステロールが高いとき、家族としてできることはありますか?
A7: 高齢の方では、コレステロールだけでなく、体力や食欲、他の病気とのバランスも考える必要があります。家族としては、まず「健診の結果票を一緒に確認し、かかりつけ医に相談する場を作る」ことが大きなサポートになります。
また、無理な食事制限は栄養不足につながることもあるため、「揚げ物を少し煮物に変えてみる」「散歩に付き合う」「禁煙やお酒の量の見直しを一緒に考える」といった、小さな改善を一緒に続けていくことが現実的です。本人の気持ちや生活の楽しみも大切にしながら、医療者と一緒に方針を決めていきましょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
高コレステロール(脂質異常症)は、自覚症状がほとんどないため、つい後回しにしてしまいがちな問題です。しかし、放置すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気のリスクを静かに高めていきます。「今は元気だから大丈夫」と決めつけず、健康診断の結果をきっかけに、数年・数十年先の自分と家族の健康を守る一歩を踏み出してみてください。
まずは、自分のコレステロール値や他のリスク(血圧・血糖・喫煙・家族歴など)を知ること。そして、食事・運動・体重管理・禁煙など、できる範囲から生活習慣の改善に取り組むこと。必要に応じて医療機関で専門家の意見を聞きながら、薬物治療も含めて最適なバランスを一緒に考えていくことが大切です。
一人で不安を抱え込む必要はありません。かかりつけ医や看護職、管理栄養士、薬剤師など、さまざまな専門職があなたの健康づくりのパートナーになってくれます。Japanese Health(JHO)も、信頼できる公的情報源に基づいた解説を通じて、みなさんの「知る・選ぶ・相談する」を支える存在でありたいと考えています。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、厚生労働省のe-ヘルスネット、日本動脈硬化学会のガイドライン、その概要解説論文、海外の公的機関による高コレステロールや心血管疾患リスクに関する資料などを中心に内容を構成しました。
原稿作成にあたっては、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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厚生労働省 e-ヘルスネット. 脂質異常症. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-004.html (最終アクセス日:2025-11-26)
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厚生労働省 e-ヘルスネット. コレステロール. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-012.html (最終アクセス日:2025-11-26)
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厚生労働省 e-ヘルスネット. 脂質異常症の食事. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-012.html (最終アクセス日:2025-11-26)
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/ (最終アクセス日:2025-11-26)
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塚本和久. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の概要と、健診現場での使い方. 日本健康教育学会誌 2025. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhep/52/2/52_353/_article/-char/ja/ (最終アクセス日:2025-11-26)
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Centers for Disease Control and Prevention (CDC). High Cholesterol Facts. https://www.cdc.gov/cholesterol/data-research/facts-stats/index.html (最終アクセス日:2025-11-26)
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American Heart Association. Life’s Essential 8 – How to Control Cholesterol. https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-lifestyle/lifes-essential-8/how-to-control-cholesterol-fact-sheet (最終アクセス日:2025-11-26)
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National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Cardiovascular disease: risk assessment and reduction, including lipid modification (NG238). https://www.nice.org.uk/guidance/ng238 (最終アクセス日:2025-11-26)
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