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脳と神経系の病気 34分で読める 16回

脳腫瘍の頭痛の見分け方|危険なサインと受診科・検査ガイド

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脳腫瘍の頭痛には、早朝に強くなる・横になる姿勢や咳で悪化する・数週間から数ヵ月かけてじわじわ悪化するという3つの性質が重なりやすいとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

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ただし頭痛だけが唯一の症状であるケースはむしろ少なく、手足の麻痺やけいれん、視野の欠け、性格の変化といった神経症状を伴うことが多いと報告されています[1]。逆に言えば、頭痛単独でほかに何の変化もない場合、脳腫瘍である可能性は統計的にかなり低いと考えられます。心配な症状があれば自己判断で様子を見続けず、脳神経外科または神経内科を受診してください[2]

要点まとめ

  • 脳腫瘍による頭痛に「これだけで見分けられる」独自の性状はなく、朝に悪化・嘔吐を伴う・進行性に悪化するという3点が手がかりとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]
  • 脳腫瘍のある患者のうち頭痛を経験する割合は32〜71%、頭痛だけが唯一の症状という人は2〜16%にとどまるとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]
  • がんの既往がある人が新たに頭痛を発症した場合、32.4%で頭蓋内転移が見つかったという報告があります[1]
  • 50歳以降に新しく始まった頭痛、姿勢で変わる頭痛、けいれんを伴う頭痛などは「SNNOOP10」という二次性頭痛の危険信号リストに含まれています[1]
  • 2023年に日本全国で悪性脳腫瘍と診断された人は5,777例で、頭痛を訴える人全体からみればごく一部にすぎません(国立がん研究センターのがん統計)[5]。心配なサインがあれば脳神経外科・神経内科へ

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。

危険信号セルフチェック——1つでも当てはまれば早めの受診を

  • ☐ 50歳を過ぎてから初めて経験するタイプの頭痛が出てきた
  • ☐ 朝起きた直後がいちばん痛く、日中はやや軽くなる
  • ☐ 横になる、前かがみになる、咳やくしゃみをすると頭痛が強まる
  • ☐ ここ数週間〜数ヵ月で、頭痛の頻度や強さがはっきり増している
  • ☐ 頭痛と一緒に、手足の力が入りにくい・しびれる・言葉が出にくいなどの症状がある
  • ☐ 頭痛と一緒に、けいれん発作を起こしたことがある
  • ☐ 視野の一部が欠けて見える、片方の目でものが見えにくい
  • ☐ 周囲から「性格が変わった」「反応が鈍い」「もの忘れが増えた」と言われる
  • ☐ がんの治療中、または過去にがんの診断を受けたことがある

これらの多くは、二次性頭痛の危険信号「SNNOOP10」や脳腫瘍の局所症状として報告されている項目です[1][2]。性格や物忘れの変化については、国立長寿医療研究センターが紹介する症例でも認知症のような症状で脳腫瘍が見つかったケースが報告されています[4]。詳しくは本文で解説します。1つも当てはまらない場合は、脳腫瘍による頭痛である可能性は低いと考えられますが、心配が続くようであれば医療機関で相談することを妨げるものではありません。逆に複数当てはまる場合は、自己判断で様子を見続けず、できるだけ早めに脳神経外科・神経内科を受診してください。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

脳腫瘍による頭痛とは?頭蓋内圧が上がる仕組み

脳は硬い頭蓋骨に囲まれた閉じた空間の中に収まっています。脳腫瘍の頭痛が起こる主なメカニズムとして、①腫瘍そのものが周囲の組織を物理的に押したり引っぱったりする刺激、②腫瘍によって脳脊髄液の流れが妨げられて起こる水頭症や脳のむくみ(脳浮腫)による頭蓋内圧の上昇、③腫瘍の内容物がくも膜下腔などに漏れ出すことによる髄膜への刺激、の3つが考えられています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

国立がん研究センターの解説では、頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間の中で腫瘍が大きくなると頭蓋の中の圧力が高まり、頭痛・吐き気・意識障害などの症状(頭蓋内圧亢進症状)が現れるとされています[2]。さらに、人間の頭蓋内圧は眠っている間にやや高くなる傾向があるため、朝起きたときや昼寝のあとに症状が強く出やすいことも説明されています(国立がん研究センター)[2]

図:JHO編集部が作成

脳腫瘍による頭痛は、小児を含む若い世代・過去に一次性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛など)を経験したことがある人・腫瘍の増大が急速な場合・脳の中に直接できるタイプの腫瘍(髄内腫瘍)・後頭蓋窩や正中線付近に腫瘍がある場合に、より起こりやすい傾向があるとまとめられています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。頭痛が腫瘍と同じ側に出るとは限らず、特に頭蓋内圧が上がっている状態では頭全体に広がる痛みになりやすいとも報告されています[1]

頭痛が起こりやすいとされる要因を整理すると、次のようになります。あくまで「起こりやすい傾向」であり、当てはまらなくても脳腫瘍がないと断定できるわけではない点に注意してください。

脳腫瘍で頭痛が起こりやすいとされる要因
要因 内容
年齢 小児を含む若い世代[1]
頭痛の既往 過去に片頭痛や緊張型頭痛など一次性頭痛を経験したことがある[1]
腫瘍の性質 増大が急速、原発性腫瘍、脳の中に直接できる髄内腫瘍[1]
腫瘍の場所 後頭蓋窩(小脳・脳幹に近い部位)または正中線付近[1]

出典:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(2021年)[1]

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、脳腫瘍による頭痛は7.4「脳腫瘍による頭痛」に分類され、原因によってさらに細かいサブタイプに分けられています[1]。頭痛の診療ガイドライン2021が紹介する分類は次のとおりです。

ICHD-3における「脳腫瘍による頭痛」のサブタイプ
分類番号 名称 内容
7.4.1 脳腫瘍による頭痛 腫瘍そのものによる頭痛[1]
7.4.1.1 第三脳室コロイド囊胞による頭痛 脳脊髄液の通り道が塞がれ、姿勢によって急激な頭痛が生じやすいタイプ[1]
7.4.2 癌性髄膜炎による頭痛 がん細胞が脳や脊髄を包む膜(髄膜)に広がることで起こる頭痛[1]
7.4.3 視床下部あるいは下垂体の分泌過多または分泌不全による頭痛 ホルモンの分泌異常を伴うタイプの頭痛[1]

出典:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(2021年、原典はICHD-3, 日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会訳, 医学書院, 2018)[1]

脳腫瘍と一言でいっても、腫瘍ができる場所や広がり方によって頭痛の起こり方が異なるということが、この分類からもわかります。姿勢を変えたときに急に強くなる頭痛や、がんの治療中に新しく出てきた頭痛など、パターンによって疑うべき原因が変わってくるため、自己判断で決めつけず専門医に経過を伝えることが大切です。

脳腫瘍の頭痛に特徴的な3つの性質——早朝頭痛・体位や咳での悪化・進行性の増悪

頭痛の診療ガイドライン2021では、脳腫瘍による頭痛には他の頭痛と区別できるような固有の性状はないとしたうえで、①強い痛み、②朝に悪化する、③吐き気・嘔吐を伴う、という3つの徴候(三徴)は頭蓋内圧亢進やテント下(小脳・脳幹に近い部位)の病変で生じやすいものの、脳腫瘍による頭痛そのものの典型的な特徴とまでは言えないと解説されています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。つまり「朝に痛ければ脳腫瘍」という単純な図式ではなく、進行性であるかどうか、他の神経症状を伴うかどうかを合わせて見ることが重要だとされています。

同ガイドラインは、脳腫瘍による頭痛の診断基準として、頭痛が脳腫瘍の発見と同じ時期に現れた、あるいは頭痛が脳腫瘍を見つけるきっかけになった場合や、頭痛が脳腫瘍の悪化と並行して強まった場合、腫瘍の治療がうまくいった時期に頭痛も改善した場合を、原因となる証拠として挙げています[1]。逆に言えば、何年も変わらない同じパターンの頭痛が続いているだけであれば、脳腫瘍による頭痛である可能性は低くなります。

脳腫瘍による頭痛に関する数字
項目 割合・数値 備考
頭蓋内腫瘍がある人のうち頭痛を経験する割合 32〜71% 研究によって幅がある[1]
頭痛だけが唯一の症状という割合 2〜16% 多くは神経症状やけいれんを伴う[1]
がんの既往がある人が新規頭痛を発症し、頭蓋内転移が見つかった割合 32.4% 現在・過去にがんの診断歴がある患者が対象[1]

出典:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(2021年)[1]

また、頭蓋内への転移によって起こる頭痛の特徴として、両側性・拍動性・前頭部の痛み・中等度から高度の強さ・8週間以上の持続に加えて、嘔吐や歩行のふらつきを伴うことが多いという報告もまとめられています[1]。がん治療中の方でこうした頭痛が続く場合は、我慢せず主治医に相談することが勧められます。

実際に日本国内で登録された脳腫瘍患者のデータでも、頭痛が診断のきっかけになりやすいことが裏付けられています。脳腫瘍全国統計調査(Brain Tumor Registry of Japan)の第14版報告によると、2005〜2008年に登録された原発性脳腫瘍16,686例のうち、頭痛などの自覚症状が初発症状であった患者は4,135例(25%)で、内訳は悪性脳腫瘍で26%、良性脳腫瘍で24%とされています[7]。けいれん発作が初発症状だった割合は10%、麻痺などの巣症状(局所症状)は23%、頭蓋内圧亢進症状は6%と、頭痛以外の症状で見つかるケースも多いことが、この全国規模の登録データからもわかります[7]

頭蓋内圧亢進症状——嘔吐やうっ血乳頭のサイン

次のような症状が頭痛と一緒に出ている場合は、頭蓋内圧が上がっているサインの可能性があります。

  • 朝方に強い吐き気や噴射するような嘔吐を伴う頭痛(国立がん研究センター)[2]
  • ぼんやりする、反応が鈍い、意識がはっきりしないといった意識障害(国立がん研究センター)[2]
  • 視界がかすむ、一時的に見えにくくなる(うっ血乳頭に伴う視覚症状)
  • 腫瘍が脳脊髄液の流れを妨げて脳室が拡大する水頭症により、急激な頭痛や意識障害が起こることがある(国立がん研究センター)[2]

国立がん研究センターの解説では、脳の中に腫瘍ができて頭蓋の中の圧力が高くなると、頭痛・吐き気・意識障害などの頭蓋内圧亢進症状が現れるとされています[2]。さらに腫瘍が大きくなって脳脊髄液の流れが悪くなると水頭症を起こし、急激な頭痛や意識障害という緊急性の高い状態につながることがあると説明されています(国立がん研究センター)[2]。頭痛の診療ガイドライン2021でも、急性の水頭症や頭蓋内圧亢進が疑われる場合には、速やかに脳神経外科医へ相談することが強く推奨されています[1]

うっ血乳頭とは、頭蓋内圧の上昇が視神経の付け根(視神経乳頭)に伝わり、眼底検査でその部分がむくんで見える所見のことです。自分では見えを直接確認できないため、頭痛のほかに視界の異常やかすみを感じる場合は、眼科または脳神経外科での眼底検査が判断材料になります。

頭蓋内圧亢進症状は、腫瘍のある場所そのものよりも「脳全体の圧力が上がっているかどうか」を反映するため、腫瘍が小さくても水頭症を伴えば急激に症状が出ることがあり、逆に腫瘍がある程度大きくても頭蓋内圧が保たれていれば、頭痛以外の症状がしばらく出ないこともあります。頭痛の強さだけで緊急性を判断せず、嘔吐・意識の変化・視界の異常といった随伴症状の有無を合わせて確認することが重要です(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

併発しやすい神経症状——麻痺・けいれん・視野障害・性格変化

脳腫瘍では、腫瘍ができた場所によってさまざまな「局所症状」が現れるとされています。国立がん研究センターの解説をもとに、代表的な部位ごとの症状を整理すると次のようになります[2]

腫瘍のできた部位と現れやすい局所症状
部位 現れやすい症状
前頭葉 運動麻痺(片麻痺)、言葉は理解できてもうまく話せなくなる運動性失語[2]
側頭葉 けいれん発作(意識消失や、変なにおいを感じる幻嗅を伴うことがある)[2]
後頭葉 腫瘍と反対側の視野が両目とも欠ける同名半盲[2]

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉」[2]

性格の変化や物忘れの悪化については、国立長寿医療研究センターが紹介する症例が参考になります。同センターの報告では、認知症のような症状で見つかった脳腫瘍の一例として、70歳代の男性が物忘れなどの認知症症状とけいれん発作で発症し、左前頭葉に膠芽腫(悪性脳腫瘍の一種)が見つかったケースが挙げられています[4]。これは1例の症例報告であり、すべての前頭葉腫瘍で同じ症状が出るとは限りませんが、高齢者の脳腫瘍では頭痛よりも認知症のような症状が先に目立つことがある、という点は参考になります。同センターは、高齢者の脳腫瘍や水頭症、慢性硬膜下血腫は認知機能の低下を主訴に受診される方が多いとも指摘しており、進行がゆっくりな脳腫瘍では認知症との見分けが難しい例もあると説明しています[4]。原発性脳腫瘍の60%は50代以降に発症するとされ、年齢を重ねてからの急な性格変化やもの忘れの悪化は、加齢だけで片づけず一度相談する価値があります(国立長寿医療研究センター)[4]

けいれん発作については、側頭葉に腫瘍ができた場合に起こりやすいとされ、意識を失うタイプだけでなく、変なにおいを感じる幻嗅のような、周囲からは気づかれにくい症状として現れることもあるとされています(国立がん研究センター)[2]。「ぼーっとする時間が増えた」「一瞬記憶が飛ぶ」といった変化も、けいれん発作の一種であることがあるため、頭痛と合わせて出てきた場合は見過ごさないようにしてください。

視野の異常についても、後頭葉に腫瘍ができた場合に起こる同名半盲のように、本人が気づきにくいタイプの症状があります(国立がん研究センター)[2]。片方の目を交互に隠して見え方を確認する、運転中に片側から急に物が現れるように感じる、といった変化があれば、視野の異常のサインである可能性があります。

まとめると、脳腫瘍の頭痛を疑うきっかけになりやすいのは、頭痛「単体」よりも、頭痛に加えて手足の麻痺やしびれ、けいれん、視野の欠け、性格や記憶の変化が新しく出てきた、あるいは悪化してきたという「組み合わせ」です。どれか一つだけでも新しく出てきた変化があれば、様子を見続けるのではなく、脳神経外科・神経内科への相談を検討してください。

二次性頭痛の危険信号「SNNOOP10」——脳腫瘍以外の怖い頭痛も含めて

頭痛の診療ガイドライン2021は、新しく出てきた頭痛を診断する最初のステップとして、命に関わる病気が原因の「二次性頭痛」をまず除外することの重要性を挙げ、そのための代表的なチェックリストとして「SNNOOP10」という15項目のレッドフラッグ(危険信号)を紹介しています[1]。これは脳腫瘍だけでなく、くも膜下出血や髄膜炎など命に関わる頭痛全般を見逃さないためのリストです。

SNNOOP10リスト——二次性頭痛のレッドフラッグ
頭文字 項目
S 発熱を含む全身症状(項部硬直、意識レベルの低下、神経脱落症状を伴う場合)
N がん(新生物)の既往がある
N 神経脱落症状または機能不全(意識レベルの低下を含む)
O 急にまたは突然に発症する頭痛
O 50歳以降ではじめて経験する頭痛
P 頭痛のパターンが変わった、または最近になって新しく始まった頭痛
P 姿勢によって強さが変わる頭痛
P くしゃみ、咳、運動によって誘発される頭痛
P うっ血乳頭(眼底検査で見つかる視神経のむくみ)
P 進行性の頭痛、典型的でない経過をとる頭痛
P 妊娠中または産後まもない時期の頭痛
P 自律神経症状(涙・充血など)を伴う目の痛み
P 頭部のけがのあとに始まった頭痛
P HIV感染など免疫の働きが弱い状態での頭痛
P 鎮痛薬の使いすぎ、または新しい薬を使い始めた時期と重なる頭痛

出典:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(2021年、原著はDo TP, et al. Neurology 2019)[1]

この中で脳腫瘍による頭痛と特に関係が深いのは、「がんの既往」「神経脱落症状」「50歳以降ではじめての頭痛」「頭痛パターンの変化・新規発症」「姿勢による変化」「うっ血乳頭」「進行性・非典型的」の項目です。ガイドラインは、これらのレッドフラッグがある場合には画像診断の重要性が指摘されているとし、発熱などの随伴症状の種類によっては血液検査や眼科的診察、耳鼻科的な精査も行われるとしています[1]。それぞれの項目が脳腫瘍とどう関係するのか、代表的なものを詳しく見ていきます。

神経脱落症状(意識レベルの低下を含む)——手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、意識がぼんやりするといった症状です。頭痛と同時にこうした症状が新しく出てきた場合、脳・神経そのものに何らかの異常が起きている可能性を考える必要があるとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

50歳以降ではじめての頭痛——高年齢になってから初めて経験するタイプの頭痛は、特に高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある場合、二次性頭痛を発症しやすい傾向にあるとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。原発性脳腫瘍の60%が50代以降の発症であることとも重なります(国立長寿医療研究センター)[4]

頭痛パターンの変化・最近発症した新しい頭痛——長年頭痛持ちの人でも、いつもとパターンが変わった場合や、これまでにない頭痛が新しく出てきた場合は、別の病気が加わった可能性を考えるとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

姿勢によって変化する頭痛——立ち上がると悪化する、横になると悪化するなど、姿勢で強さが変わる頭痛は、頭蓋内圧の変化を反映していることがあるとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

うっ血乳頭——自分では自覚しにくい所見ですが、眼底検査で見つかる視神経のむくみで、頭蓋内圧が上がっているサインの一つとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

進行性の頭痛・非典型的な経過——数週間から数ヵ月かけてじわじわ悪化し続ける頭痛や、これまでの頭痛のパターンに当てはまらない頭痛は、脳腫瘍による頭痛を含む二次性頭痛を疑う根拠の一つとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

脳腫瘍以外にも――頭痛を起こす二次性頭痛にはどんな病気があるか

頭痛の診療ガイドライン2021は、救急外来を受診する急性頭痛の原因となりうる二次性頭痛の代表例を一覧にまとめています[1]。脳腫瘍(頭蓋内腫瘤)はこの中の一つにすぎず、他にも命に関わる病気が数多く含まれています。

急性頭痛の二次的原因の例
分類 代表的な原因
脳血管・出血性 頭蓋内出血・くも膜下出血、脳静脈血栓症、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)、頸動脈または椎骨動脈解離[1]
頭蓋内圧・構造の異常 水頭症、頭蓋内腫瘤(脳腫瘍)[1]
感染症 髄膜炎、脳炎、急性副鼻腔炎、全身感染症[1]
その他 急性外傷後頭痛、急性閉塞隅角緑内障、薬剤により起こる頭痛[1]

出典:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(2021年、原著はLevin M. Semin Neurol 2015より翻訳して転載)[1]

このように、危険な頭痛の原因は脳腫瘍だけではありません。ガイドラインは、急性頭痛の問診で注意すべき点として、発症の仕方が急か緩やかか、発症前後に体を動かしていたか、痛みの部位、同じような頭痛の経験があるか、局所性の神経症状の有無、現在の治療や薬、家族歴、既往歴の8点を挙げています[1]。脳神経外科や神経内科を受診する際は、これらの点をあらかじめ整理しておくと診察がスムーズになります。

検査の流れ——MRIとCTの使い分け

脳腫瘍が疑われる場合、まず神経学的検査(脳や神経に異常がないかを調べる専門的な診察)を行ったうえで、CT検査やMRI検査といった画像検査に進むのが一般的な流れです(国立がん研究センター)[3]。CT検査はX線を、MRI検査は磁気を使った検査で、いずれも頭蓋骨の内部を描き出し、腫瘍があるかどうかを調べるものです(国立がん研究センター)[3]

CT検査とMRI検査の主な違い
項目 CT検査 MRI検査
使う原理 X線[3] 磁気[3]
強み 短時間で撮影でき、脳出血・くも膜下出血のような出血性の病気の判断に向く 脳の軟らかい組織のコントラストに優れ、腫瘍の早期発見に役立つとされる
造影剤の役割 病巣をより鮮明に描き出すために必要に応じて使用。腫瘍の広がりや悪性度の手術前の推定に役立つ[3]

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉検査」[3]

造影剤にアレルギーがある人や喘息がある人は、検査前に必ずその旨を医師に伝える必要があるとされています[3]。また、画像検査だけでは最終的な診断は確定できず、生検(腫瘍生検術)または手術(腫瘍摘出術)によって組織を採取し、遺伝子変異を調べる検査や、病理医が顕微鏡で細胞を観察する病理検査を経て、初めて診断が確定するとされています(国立がん研究センター)[3]。手術中に10〜30分程度で暫定的な結果を出す術中迅速病理診断が行われることもあります(国立がん研究センター)[3]

実際に受診してから診断がつくまでの大まかな流れは、①問診・神経学的検査で麻痺やしびれ、視野、反射などを確認、②CTまたはMRIによる画像検査で腫瘍の有無・場所・大きさを確認、③腫瘍が疑われた場合は必要に応じて造影剤を使った追加のMRI検査、④生検または手術による組織採取と病理検査、という順番になることが多いとされています(国立がん研究センター)[3]。画像検査の予約から結果説明までに数日かかる施設が多いため、症状が急激に悪化している場合は、外来予約を待たず救急外来の利用も検討してください。

原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍——良性・悪性で頭痛の出方も変わる

ひとくちに脳腫瘍といっても、大きく分けて「原発性脳腫瘍」と「転移性脳腫瘍」の2種類があります。原発性脳腫瘍は、脳や脳を包む膜(髄膜)、脳神経など頭蓋内の細胞そのものから発生した腫瘍とされています(国立がん研究センター)[6]。一方、転移性脳腫瘍は、肺や乳房など他の臓器で生じたがんが血液の流れによって脳に運ばれ、そこで増えることによって発生したものとされ、がん患者の約10〜30%に発生するとされています(国立がん研究センター)[6]。がんの既往がある人の新しい頭痛でとくに注意が必要とされる背景には、この転移性脳腫瘍の頻度の高さがあります。

良性・悪性の違いについては、悪性腫瘍は増殖が速く周辺の組織に浸潤して正常組織との境界がはっきりしないのに対し、良性腫瘍は増殖が遅く正常組織との境界が明瞭とされています(国立がん研究センター)[6]。代表的な原発性脳腫瘍として、原発性脳腫瘍の中で最も多く大部分が良性とされる髄膜腫、髄膜腫に次いで多くみられる悪性脳腫瘍である神経膠腫、主に良性でホルモン分泌の異常を伴うことがある下垂体の腫瘍が挙げられています(国立がん研究センター)[6]。良性腫瘍でも、できた場所や大きさによっては頭蓋内圧を上げて頭痛の原因になることがあるため、「良性=心配ない」とは限らない点に注意が必要です。

何科を受診すればいい?——脳神経外科と神経内科

国立がん研究センターの解説では、脳腫瘍が疑われるような頭痛や神経症状がある場合、脳神経外科や神経内科(神経内科)を受診するようにすすめられています[2]。ふだんの頭痛と明らかに違うパターンの頭痛や、手足の麻痺・しびれ・けいれん・視野の異常・性格の変化といった症状を伴う場合は、内科や頭痛外来だけで様子を見るのではなく、脳神経外科もしくは神経内科での画像検査を早めに相談してください。

頭痛の診療ガイドライン2021でも、急性の水頭症や頭蓋内圧亢進が疑われる場合には速やかに脳神経外科医へコンサルテーションを行うことが強い推奨・エビデンスの確実性Aとして示されています[1]。すでにがんの治療歴がある方が新しい頭痛や症状の変化を感じた場合は、頭痛外来ではなく、まず主治医またはがん治療を受けている診療科に相談するのが近道です。

「脳神経外科」と「神経内科」のどちらに行けばよいか迷う方も多いですが、一般的には、手術が必要になる可能性がある場合や画像検査で腫瘍が疑われる場合は脳神経外科、しびれや麻痺の原因をまず内科的に調べたい場合は神経内科が窓口になることが多いとされます。どちらを受診しても、必要に応じて院内で紹介し合う体制が取られていることがほとんどなので、まずは近くの脳神経外科・神経内科・頭痛外来のいずれかに相談することから始めて問題ありません。

治療そのものは、脳腫瘍の性質、できた場所、患者さんの状態などに応じて、手術による摘出、化学療法、放射線治療を組み合わせた集学的な治療が行われるとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。頭蓋内圧亢進に対してはD-マンニトールやグリセオールといった薬による治療、水頭症に対しては脳室ドレナージやシャント手術が行われることもあると説明されています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。頭痛そのものへの対症療法だけでなく、原因となっている腫瘍・水頭症・脳浮腫に対する治療を行うことで、結果的に頭痛も軽くなることが期待されます。

治療がひととおり終わったあとも、経過観察として定期的な通院とCT・MRIなどの画像検査が続けられるとされています(国立がん研究センター)[2]。治療後に再び頭痛が出てきた場合や、これまでなかった症状が新しく加わった場合は、再発や治療の影響を確認するためにも、次の予約を待たずに早めに相談することが勧められます。

【重要】頭痛の多くは脳腫瘍ではありません——数字で見る現実

ここまで脳腫瘍による頭痛の特徴を詳しく見てきましたが、統計的には、頭痛を感じている人のうち脳腫瘍が原因である人はごくわずかだということも、同じくらい大切な事実です。頭痛の診療ガイドライン2021によると、日本国内で一次性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛など、命に関わらない頭痛)にあてはまる人は15歳以上の39.6%にのぼるとされています[1]。つまり日本だけで数千万人規模の人が、脳腫瘍とは関係のない一次性頭痛を経験している計算になります。

一方で、国立がん研究センターのがん統計によれば、2023年に日本全国で悪性の脳腫瘍と診断されたのは小児を含めて5,777例(人)です[5]。頭痛を経験する人の数と比べると、脳腫瘍と診断される人の数はきわめて限られていることがわかります。頭痛があるからといって過度に不安になる必要はありませんが、前述のSNNOOP10のような危険信号や、麻痺・けいれん・視野障害・性格変化といった神経症状を伴う場合は、脳腫瘍を含めた二次性頭痛の可能性を確認するために受診することが勧められます(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。「心配しすぎない」ことと「危険信号は放置しない」ことは両立します。

不安が強くてインターネットで症状を調べ続けてしまう、いわゆる「サイバーコンドリア」的な状態になると、かえって睡眠不足やストレスから頭痛そのものが悪化することもあります。本記事のセルフチェックやSNNOOP10に当てはまる項目がなければ、過度に検索を繰り返すよりも、決めた受診の目安に沿って行動し、それ以外の時間は普段どおり過ごすことをおすすめします。逆に、当てはまる項目が一つでもあれば、インターネットで結論を出そうとせず、実際に医療機関で画像検査を受けることが、不安を解消する最も確実な方法です。

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「雷鳴頭痛」「慢性頭痛」との違い——似ているようで注目点が異なる

脳腫瘍の頭痛と混同されやすい頭痛として、「雷鳴頭痛」と「慢性頭痛」があります。雷鳴頭痛は、1分以内に痛みの強さが最大に達する非常に急激な頭痛で、くも膜下出血をはじめとする脳血管の病気で起こることが多いとされ、脳腫瘍による頭痛のようにじわじわ進行するタイプとは経過が異なります(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。頭痛の診療ガイドライン2021は、雷鳴頭痛の原因の例として、くも膜下出血やそのマイナーリーク、高血圧性頭蓋内出血、下垂体卒中、脳静脈血栓症、頸動脈または椎骨動脈解離、特発性低頭蓋内圧性頭痛、脳血管炎、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などを挙げています[1]。当サイトの雷鳴頭痛に関する解説記事もあわせてご覧ください。

また、長年にわたって繰り返す「慢性頭痛」の多くは片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛であり、脳腫瘍による頭痛のように数週間〜数ヵ月単位で悪化し続けるパターンとは区別されます。何年も同じような頻度・強さで繰り返している頭痛であれば、脳腫瘍が新たな原因である可能性は下がります。詳しくは慢性頭痛についてまとめた記事も参考にしてください。

逆に、これまで頭痛持ちだった人の頭痛パターンが最近になって明らかに変わった場合や、いつもと違う頭痛が新しく出てきた場合は、前述のとおりSNNOOP10のレッドフラッグの一つに該当します(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。「いつもの頭痛だから」と自己判断せず、変化に気づいた時点で相談することが大切です。3つの頭痛のおおまかな違いを整理すると、次のようになります。

脳腫瘍の頭痛・雷鳴頭痛・慢性頭痛の違い(目安)
タイプ 発症の仕方 経過 代表的な原因
脳腫瘍の頭痛 数週間〜数ヵ月かけて始まることが多い 進行性に悪化しやすい[1] 脳腫瘍[1]
雷鳴頭痛 1分以内に痛みがピークに達する 突然発症[1] くも膜下出血など脳血管の病気[1]
慢性頭痛(一次性) 何年も前から同じパターンで繰り返す 基本的に安定している 片頭痛、緊張型頭痛など[1]

出典:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」(2021年)[1]をもとにJHO編集部が整理

脳腫瘍の頭痛の受診の目安——今すぐ・今週中・様子見の3段階

すぐに受診が必要なサイン(救急受診・当日受診を検討)

  • これまで経験したことのない、突然の激しい頭痛[1]
  • 頭痛と一緒に意識がぼんやりする、反応が鈍い[2]
  • 頭痛と一緒に手足の麻痺・しびれ・けいれんが新しく出た(国立がん研究センター)[2]
  • 噴射するような激しい嘔吐を伴う頭痛(国立がん研究センター)[2]

今週中に脳神経外科・神経内科の受診を検討したいサイン——50歳を過ぎて初めて経験するタイプの頭痛、姿勢や咳で悪化する頭痛、ここ数週間で明らかに悪化してきた頭痛、視野の一部が欠ける、周囲から性格の変化を指摘された、といった場合です(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

様子を見てよいことが多いサイン——何年も変わらない同じパターンの頭痛で、神経症状を伴わず、市販の鎮痛薬で改善する場合は、多くは一次性頭痛と考えられます(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。ただし、頭痛の頻度が増えてきた、鎮痛薬の効きが悪くなってきたと感じたら、その時点で相談してください。

受診先に迷ったときの考え方として、頭痛の診療ガイドライン2021は、急性の水頭症や頭蓋内圧亢進が疑われる場合には速やかに脳神経外科医へコンサルテーションを行うことを強く推奨しています[1]。一方で、慢性的に続く頭痛のパターンを整理したい場合は、まず頭痛外来やかかりつけ医で相談し、レッドフラッグがあれば脳神経外科・神経内科に紹介してもらう流れでも問題ありません。「様子を見る」を選んだ場合も、症状日記をつけておくと、パターンの変化に自分で気づきやすくなります。

受診までの間にできるセルフケアとしては、睡眠不足やストレス、脱水を避ける、鎮痛薬は用法用量を守り漫然と使い続けない、といった一般的な頭痛対策が挙げられます。ただし、進行性に悪化する頭痛や神経症状を伴う頭痛は、セルフケアで様子を見るのではなく、画像検査による原因の確認を優先してください(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

受診時に持っていくメモ(コピーして使ってください)

  • 頭痛がいつから始まったか、この1〜2ヵ月で頻度や強さが変わったか
  • 朝に強いか、日中はどうか、横になると悪化するか
  • 咳・くしゃみ・排便でいきんだときに悪化するか
  • 吐き気・嘔吐の有無とタイミング
  • 手足の麻痺・しびれ・けいれん・視野の異常・言葉の出にくさの有無
  • 周囲から性格や物忘れの変化を指摘されたことがあるか
  • 現在飲んでいる薬(鎮痛薬の使用頻度も含めて)
  • がんの治療歴・既往歴の有無
  • 医師に聞きたいこと(MRIは必要か、緊急性はあるか、など)

頭痛ダイアリーのつけ方——脳腫瘍の頭痛かどうか見極める記録

脳腫瘍による頭痛かどうかを見極めるうえで、医師にとって最も参考になる情報の一つが「頭痛がどう変化してきたか」という経過です。前述のとおり、頭痛の診療ガイドライン2021も、二次性頭痛を疑うポイントとして頭痛パターンの変化や進行性の悪化を重視しています[1]。スマートフォンのメモやカレンダーアプリでよいので、次のような項目を1〜2週間記録しておくと、診察時に役立ちます。

頭痛ダイアリーに記録しておきたい項目
項目 記録のポイント
日時と持続時間 何時から何時まで痛かったか
強さ 10段階で自己評価(普段の生活ができたか)
悪化・軽快の条件 朝・夜、横になる、咳・くしゃみ、運動など
随伴症状 吐き気・嘔吐、しびれ、視野の異常、けいれんの有無
薬の使用 使った薬の名前・量・効果の有無

数週間分の記録がそろっていると、医師は「進行性かどうか」「レッドフラッグに当てはまるかどうか」を短時間で判断しやすくなります。特に、これまでと違うパターンに変わった時期がはっきりしていると、原因を絞り込む大きな手がかりになります(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

脳腫瘍の頭痛と偏頭痛・緊張型頭痛を自宅で確実に見分ける方法については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。画像検査を受けない限り確定的な判断はできないという点が、複数の資料に共通する立場です(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]

よくある質問

朝だけ頭痛がひどいのですが、脳腫瘍を疑うべきですか?
朝に悪化する頭痛は頭蓋内圧亢進やテント下病変で起こりやすいとされていますが、脳腫瘍による頭痛に固有の特徴とまでは言えないとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。ほかに嘔吐やしびれ、けいれんなどの症状がなく、何年も同じパターンが続いているだけであれば、睡眠時無呼吸や首こりなど別の原因であることも多いです。心配であれば脳神経外科での相談をおすすめします。
頭痛だけで脳腫瘍とわかることはありますか?
頭痛だけが唯一の症状であるケースは2〜16%にとどまるとされ、多くの場合は麻痺やけいれん、視野障害などの神経症状を伴うと報告されています[1]。脳腫瘍の頭痛だけで確定することはできず、MRIなどの画像検査が必要です。
咳やくしゃみで頭が痛くなるのは危険信号ですか?
くしゃみ、咳、運動によって誘発される頭痛は、二次性頭痛のレッドフラッグ「SNNOOP10」の一項目とされています[1]。ただし多くは良性の一次性頭痛のこともあるため、頻度や他の症状とあわせて脳神経外科で相談することが勧められます。
脳腫瘍の頭痛は左右どちらに出ますか?
頭痛は必ずしも腫瘍と同じ側に出るとは限らず、特に頭蓋内圧が上がっている状態では頭全体に広がる頭痛になりやすいとされています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。片側だけか両側かだけで判断することはできません。
がんの治療を受けたことがあります。頭痛が出たらすぐ相談すべきですか?
現在または過去にがんの診断歴がある人が新しく頭痛を発症した場合、32.4%で頭蓋内転移が見つかったという報告があります[1]。がんの既往がある方の新しい頭痛は「SNNOOP10」の危険信号の一つでもあるため、様子を見ずに主治医へ相談することをおすすめします。
性格が変わったように見えるのですが、脳腫瘍の可能性はありますか?
国立長寿医療研究センターが紹介する症例では、左前頭葉の膠芽腫が認知症のような症状(物忘れなど)とけいれん発作で見つかったケースが報告されています[4]。これは1例の報告であり全員に当てはまるわけではありませんが、高齢者では認知症と見分けにくい例もあるとされているため、急な性格や物忘れの変化があれば脳神経外科や神経内科での相談が勧められます(国立長寿医療研究センター)[4]
MRIとCT、どちらを受ければいいですか?
CT検査はX線、MRI検査は磁気を使う検査で、いずれも頭蓋骨の内部を描き出して腫瘍の有無を調べます(国立がん研究センター)[3]。どちらを受けるべきかは症状や緊急性によって医師が判断するため、まずは脳神経外科・神経内科を受診してください。
脳腫瘍による頭痛は市販の鎮痛薬で治まりますか?
一時的に軽くなることはあっても、腫瘍そのものによる頭蓋内圧の上昇は鎮痛薬では解消されません。進行性に悪化する頭痛や神経症状を伴う頭痛が続く場合は、鎮痛薬でしのぐのではなく画像検査による原因の確認が必要です(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]
脳腫瘍はどのくらいの人がなる病気ですか?
2023年に日本全国で悪性の脳腫瘍と診断されたのは、小児を含めて5,777例(人)とされています(国立がん研究センターのがん統計)[5]。一次性頭痛にあてはまる人が15歳以上の39.6%にのぼるとされていることと比べると、頭痛の原因として脳腫瘍が占める割合はごくわずかです(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]
良性の脳腫瘍でも頭痛は起こりますか?
はい、起こることがあります。良性腫瘍は増殖が遅く正常組織との境界が明瞭とされていますが(国立がん研究センター)[6]、できた場所や大きさによっては頭蓋内圧を上げて頭痛の原因になることがあります。「良性だから頭痛は心配ない」とは言い切れません。
子どもの頭痛でも脳腫瘍を心配すべきですか?
小児を含む若い世代は、脳腫瘍による頭痛が起こりやすい要因の一つとして挙げられています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。朝の嘔吐を伴う頭痛や、成長とともに悪化する頭痛、歩き方がおかしくなったなどの変化があれば、様子を見ずに小児科または脳神経外科に相談してください。本記事は主に成人の脳腫瘍による頭痛を対象にしています。
頭痛のほかに、視野が欠けて見えるのですが関係がありますか?
後頭葉に腫瘍ができた場合、腫瘍と反対側の視野が両目とも欠ける同名半盲という症状が現れることがあるとされています(国立がん研究センター)[2]。頭痛と視野の異常が同時に出てきた場合は、早めに眼科と脳神経外科の両方で相談することをおすすめします。
検査でMRIを受けるときの造影剤は必ず必要ですか?
造影剤は病巣をより鮮明に描き出すために必要に応じて使用され、腫瘍の広がりや悪性度を手術前に推定するのに役立つとされています(国立がん研究センター)[3]。ただし造影剤アレルギーや喘息がある場合は使えないこともあるため、事前に必ず医師に伝えてください(国立がん研究センター)[3]
頭痛と一緒に「性格が変わった」と言われました。認知症とは違うのですか?
高齢者の脳腫瘍や水頭症は認知機能の低下を主訴に受診される方が多く、進行がゆっくりな脳腫瘍では認知症との見分けが難しい例もあるとされています(国立長寿医療研究センター)[4]。自己判断で「年のせい」と決めつけず、頭痛や性格変化が新しく出てきた場合は、脳神経外科・神経内科で画像検査を受けることが勧められます。
脳ドック(人間ドックの脳検査)で脳腫瘍は見つかりますか?
脳ドックのMRI検査で偶然、無症状の脳腫瘍が見つかることはあります。ただし本記事で紹介した内容は、すでに頭痛などの症状がある方を対象にした診断・受診の考え方であり、脳ドックの受診間隔や適応については、検査を提供する医療機関にご確認ください。
頭痛外来と脳神経外科、どちらを先に受診すればいいですか?
SNNOOP10のような危険信号がなく、慢性的な頭痛のパターンを相談したい場合は頭痛外来でもかまいません(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。一方、急性の水頭症や頭蓋内圧亢進が疑われるような症状がある場合は、速やかな脳神経外科医への相談が強く推奨されています(頭痛の診療ガイドライン2021)[1]。迷った場合は、まず近くの脳神経外科に相談するのが確実です。

参考文献

  1. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」2021年 https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉」 https://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/print.html
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉 検査」 https://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/diagnosis.html
  4. 国立長寿医療研究センター 病院レター第82号「認知症の原因となる脳腫瘍」(百田洋之・鷲見幸彦、2019年) https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/letter/082.html
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉 患者数(がん統計)」 https://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/patients.html
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉について」 https://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/about.html
  7. Committee of Brain Tumor Registry of Japan「Report of Brain Tumor Registry of Japan (2005-2008) 14th Edition」Neurologia Medico-Chirurgica (Tokyo) 2017;57(Suppl.1):9-102 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nmc/57/Supplement-1/57_sup.2017-0001/_pdf

更新日:2026年7月21日。本記事の内容に誤りや古い情報がございましたら、お問い合わせフォームよりご指摘いただけますと幸いです。

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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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