【赤痢(細菌性赤痢・アメーバ赤痢)】原因・症状・治療と日常生活でできる対策
この記事でわかること
目次
- Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
- 要点まとめ
- 第1部:赤痢とは?基本と日常生活でまず見直したいこと
- 1.1. 赤痢の基本的なメカニズム
- 1.2. 赤痢を悪化させやすいNG習慣・環境
- 第2部:赤痢になりやすい人・重症化しやすい背景 ― 免疫・栄養・基礎疾患
- 2.1. 乳幼児・高齢者・基礎疾患のある人
- 2.2. 性的接触・共同生活によるリスク
- 第3部:赤痢の症状・診断・治療 ― 放置するとどうなる?
- 3.1. 主な症状 ― 「ただの下痢」とどこが違う?
- 3.2. 放置した場合に起こりうる合併症
- 3.3. 検査・診断の流れ
- 3.4. 治療の基本方針 ― 水分補給と原因に応じた薬物療法
- 第4部:今日から始めるセルフケアと家でできる感染対策
- 第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?
- 5.1. すぐに受診・救急車を検討すべき危険なサイン
- 5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- よくある質問
- 結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
- この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
- 参考文献
「下痢が止まらない」「血や粘液が混じった便が出る」「お腹が強く痛んでトイレから離れられない」――そんなつらい症状が続くと、誰でも「大きな病気ではないか」「周りの人にうつさないか」と不安になります。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
そのような症状の原因のひとつが、感染症である赤痢(せきり)です。赤痢には、細菌が原因の細菌性赤痢(シゲラ症)と、寄生虫が原因のアメーバ赤痢があり、日本の感染症法でも重要な感染症として位置づけられています12。
本記事では、日本の公的機関や専門学会、世界保健機関(WHO)などの信頼できる情報をもとに、赤痢の種類や原因、症状、検査・治療、日常生活での注意点、周囲へのうつり方や予防まで、できるだけわかりやすく整理して解説します。子どもや高齢の家族がいる方、海外渡航が多い方、持病がある方にとっても役立つように、受診の目安や緊急性の高いサインも詳しく取り上げます。
なお、ここで紹介する内容はあくまで一般的な情報です。強い下痢や血便、発熱などが続く場合は、自己判断で様子を見すぎず、早めに医療機関を受診してください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。日本の生活者が直面しがちな疑問や不安に対し、膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、厚生労働省や国立感染症研究所、海外では世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)などの一次情報を中心に、査読付き論文・各種ガイドラインを参照しながら、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認して作成しています1345。
- 厚生労働省・国立感染症研究所などの公的情報:細菌性赤痢・アメーバ赤痢の定義、感染症法上の位置づけ、国内の発生状況や感染対策などを確認しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:アメーバ赤痢の治療方針やフォローアップ、性感染症としての広がりなどについて、専門家によるレビューを参考にしています。
- WHO・CDCなどの国際機関:世界的な赤痢(シゲラ症)の負担、症状、合併症、抗菌薬耐性の動向など、グローバルな視点の情報を補足として利用しています。
AIツールは、文献の整理や構成案の下書きなど「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述・数値・URLの妥当性を確認しています。運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- 赤痢は、血や粘液を含む激しい下痢や腹痛を起こす感染症で、主に細菌性赤痢(シゲラ菌)とアメーバ赤痢(赤痢アメーバ)に分けられます12。
- いずれも便に含まれる病原体が口に入ることで感染し、水や食べ物、手指、性行為(特に口と肛門が関わる行為)などを介して広がります46。
- 症状は、血便を伴う下痢、強い腹痛(しぶり腹)、発熱、吐き気などで、特に乳幼児・高齢者・基礎疾患のある人では脱水などの重症化に注意が必要です56。
- 治療の柱は水分・電解質の補正と、必要に応じた抗菌薬・抗原虫薬です。薬の種類や使うタイミングは、原因(細菌かアメーバか)や重症度、耐性状況などにより医師が判断します57。
- 手洗い、トイレやキッチンの衛生管理、飲食物の加熱・清潔な水の使用、性行為時のコンドームや口腔と肛門が接触する行為への注意などが、赤痢の予防にとても重要です126。
- 強い腹痛や血便、高い熱が続く場合、海外渡航後に下痢が長引く場合、または症状のある人と接触歴がある場合は、自己判断で市販薬だけに頼らず、早めに医療機関を受診しましょう。
「食あたりだと思っていたら、実は感染症だったらどうしよう」「家族や職場の人にうつしてしまわないか心配」という不安から、症状を誰にも相談できず、一人で悩んでいる方も少なくありません。
この記事では、まず赤痢とはどのような病気かという基本から、感染する仕組み、代表的な症状、検査や治療の流れを丁寧に整理します。そのうえで、家庭でできるセルフケアと、早めに医療機関に相談すべきサインを段階的に解説します。
また、日常生活での食事やトイレ・手洗いの工夫、家族やパートナーがいる場合の配慮、海外渡航前後の注意点など、日本で生活する人が実際に直面しやすいシーンを想定しながら説明していきます。
必要に応じて、感染症や消化器症状の総合ガイドや、下痢・血便に関する詳細解説記事など、JHO内の関連記事にも自然な流れで橋渡しできるよう構成しています。
読み進めていただくことで、「自分や家族の症状はどの程度のものなのか」「今できる対策は何か」「いつ・どの診療科に相談すればよいか」を具体的にイメージできることを目指します。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
第1部:赤痢とは?基本と日常生活でまず見直したいこと
まずは、赤痢という病気の基本的な仕組みと、日常生活の中で感染リスクを高めやすいポイントについて整理します。難しい専門用語を避けながら、「自分や家族の生活のどこを見直せばよいか」がイメージしやすいように説明します。
1.1. 赤痢の基本的なメカニズム
赤痢(せきり)とは、主に大腸などの腸の粘膜が強く炎症を起こし、粘液や血液を含んだ便(粘血便)と強い腹痛を伴う下痢を起こす病気の総称です。原因の多くは感染症で、代表的なものが以下の2つです。
- 細菌性赤痢(シゲラ症):シゲラ属(Shigella)の細菌による感染症で、世界中で見られます。わずかな菌量でも感染しやすく、下痢による死亡原因の大きな一つとされています45。
- アメーバ赤痢:赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性原虫による感染症で、多くは腸の症状を起こしますが、重症になると肝臓など他の臓器にも病変をつくることがあります26。
日本では、細菌性赤痢は感染症法の三類感染症、アメーバ赤痢は五類感染症として指定されており、診断した医師は保健所への届出が義務づけられています123。
イメージとしては、腸の内側を覆っている柔らかい粘膜が、細菌やアメーバによって傷つけられ、「ただれ」や「小さな潰瘍」のような状態になることで、血液や粘液が混じった便が出たり、排便のたびに強い痛みや残便感(しぶり腹)が生じる、という流れです。
1.2. 赤痢を悪化させやすいNG習慣・環境
赤痢は感染症ですので、「生活習慣が悪いから必ず赤痢になる」というものではありません。しかし、次のような習慣や環境は、感染しやすくしたり、症状を悪化させたりする原因になります。
- トイレ後や調理前の手洗いが不十分:便に含まれる病原体が手についたまま、ドアノブや調理器具、食べ物に移ると、家族や同僚へも広がるリスクが高くなります。
- 生水・生野菜・十分に加熱されていない肉や魚を口にする機会が多い:特に衛生環境が十分でない地域への渡航中は、生水や氷、生野菜、加熱不十分な肉・魚が感染源になりやすいとされています6。
- トイレと調理スペースが近く、清掃や消毒が十分でない:家庭内や職場で、トイレの換気・清掃が不十分な場合、手すりや蛇口、タオルなどを介した間接的な感染のリスクが高まります。
- 性行為で口と肛門が接触する行為があり、感染症対策が不十分:アメーバ赤痢は、男性間性交渉(MSM)などを通じて国内で増加傾向にあることが指摘されています37。
こうした習慣や環境を見直すことは、すでに赤痢にかかっている場合にも、家族や周囲への二次感染を防ぐうえで重要です。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 1日に何度も水っぽい下痢が出て、そのうち血や粘液が混じるようになった | 腸の粘膜の強い炎症(細菌性赤痢・アメーバ赤痢などの可能性) |
| 排便のたびに強い腹痛や「まだ出し切れていない感じ(しぶり腹)」が続く | 大腸に潰瘍や炎症を起こすタイプの感染症や炎症性腸疾患 など |
| 最近、海外旅行・出張で衛生環境のあまり良くない地域に滞在していた | 旅行者下痢症、赤痢アメーバ症、細菌性赤痢などのリスク |
| 職場や家庭で、同じ時期に複数人が下痢や発熱を訴えている | 集団感染(食品・水・施設内環境・共同生活空間が感染源の可能性) |
| 口と肛門が接触する性行為を行ったパートナーが下痢や血便を訴えている | アメーバ赤痢や細菌性赤痢を含む腸管感染症の性感染リスク |
第2部:赤痢になりやすい人・重症化しやすい背景 ― 免疫・栄養・基礎疾患
同じ病原体にさらされても、「すぐ重症化してしまう人」と「比較的軽く済む人」がいます。この違いには、免疫の状態や年齢、栄養状態、持病の有無など、身体の内部要因が大きく関わっています。
2.1. 乳幼児・高齢者・基礎疾患のある人
赤痢そのものは、どの年代でもかかる可能性がありますが、特に注意が必要とされるのが以下のような方です。
- 乳幼児(特に5歳未満):体内の水分量が少なく、短時間で脱水に陥りやすいため、繰り返す下痢や嘔吐がある場合は早めの受診が重要です45。
- 高齢者:腎機能や心機能が低下していることが多く、脱水や電解質異常が命にかかわる状態を引き起こしやすくなります。
- 糖尿病などの慢性疾患がある人:免疫機能が低下していると、感染が重症化しやすく、回復にも時間がかかる傾向があります。
- 免疫抑制状態にある人:ステロイドや免疫抑制薬の内服、がん治療中、HIV感染症などがある場合、腸以外の臓器へ病変が広がるリスクも高くなります26。
これらの方に赤痢が疑われる症状が出た場合、「もう少し様子を見よう」と無理に我慢せず、早めに医療機関に相談することが大切です。
2.2. 性的接触・共同生活によるリスク
赤痢は、汚染された水や食べ物だけでなく、人から人への接触で広がることもあります。特にアメーバ赤痢では、日本国内でも次のような傾向が報告されています37。
- 男性どうしの性行為(MSM)を行う集団での感染例が多く、報告数の約9割が男性。
- 福祉施設や共同生活の場での集団感染例も報告されている。
- 便に含まれるアメーバが、手指や性行為・口と肛門が接触する行為を通じて口に入ることで感染する。
細菌性赤痢(シゲラ症)についても、世界的に、保育施設・軍隊・刑務所・避難所など、多くの人が密集して生活する場で集団発生が起こりやすいことが知られています45。
「家族やパートナーに迷惑をかけたくない」「性行為の話題を医療機関で出すのは恥ずかしい」と感じる方も多いかもしれません。しかし感染経路を正しく伝えることで、適切な検査や周囲への感染対策が取りやすくなります。医療従事者は、プライバシーに配慮しながら診療や説明を行う義務がありますので、安心して相談してください。
第3部:赤痢の症状・診断・治療 ― 放置するとどうなる?
ここでは、赤痢の代表的な症状、検査の流れ、治療の基本方針、放置した場合に起こりうる合併症について詳しく見ていきます。症状をイメージしやすいように、日常生活のシーンを交えながら説明します。
3.1. 主な症状 ― 「ただの下痢」とどこが違う?
赤痢の症状は原因によって多少異なりますが、代表的なものは次の通りです56。
- 頻回の下痢:1日に何度も便意があり、少量ずつでも何度もトイレに行く状態が続きます。
- 血便・粘血便:便に鮮やかな血や、ピンク色〜赤褐色のゼリー状の粘液が混じることがあります(アメーバ赤痢では「イチゴゼリー状の便」と表現されることもあります)。
- しぶり腹(テネスムス):トイレに行っても「まだ残っている感じ」が強く、何度もトイレに駆け込む状態です。
- 腹痛・腹部のけいれん:下腹部を中心にギューっと締め付けられるような痛みが繰り返し起こります。
- 発熱・悪寒・だるさ:細菌性赤痢では、高熱と全身のだるさを伴うこともあります。
- 吐き気・嘔吐・食欲低下:飲んだり食べたりするのがつらくなり、脱水のリスクが高まります。
細菌性赤痢(シゲラ症)では、通常、感染から1〜2日程度で症状が現れ、5〜7日ほどで落ち着くことが多いとされています。一方、アメーバ赤痢は、感染から2〜4週間ほど経ってから症状が出ることがあり、悪化と軽快を繰り返しながら慢性的に続くケースもあります56。
3.2. 放置した場合に起こりうる合併症
軽症で自然に回復するケースもありますが、特に乳幼児や高齢者、免疫力が落ちている人では、赤痢を放置すると次のような合併症が生じるおそれがあります256。
- 重度の脱水・電解質異常:水分や塩分が大量に失われることで、意識がもうろうとしたり、血圧低下・ショックを起こしたりする危険があります。
- 大腸の重い炎症(中毒性巨大結腸など):まれに大腸が極端に膨らみ、腸の動きが止まってしまう状態になることがあります。
- 腸穿孔・腹膜炎:腸に深い潰瘍ができて穴があき、腹腔内に便や菌が漏れ出すと、命にかかわる腹膜炎を起こします。
- アメーバ肝膿瘍:アメーバ赤痢では、病原体が血流に乗って肝臓に達し、膿(うみ)がたまる「肝膿瘍」をつくることがあります。右のわき腹の強い痛み、高熱、体重減少などが特徴です。
- 慢性的な栄養障害・体重減少:長引く下痢や食欲不振により、特に高齢者や小児で栄養状態が悪化します。
こうした合併症は、早期に診断・治療を始めることで多くが回避できます。「単なるお腹の風邪」と自己判断せず、血便や激しい腹痛があれば早めに医療機関に相談することが重要です。
3.3. 検査・診断の流れ
医療機関では、次のようなステップで赤痢かどうかを判断していきます125。
- 問診:いつからどのような下痢が続いているか、血や粘液の有無、発熱や腹痛の程度、最近の食事内容、海外渡航歴、周囲で似た症状の人がいるか、性行為の状況などを詳しく確認します。
- 身体診察:お腹の張りや痛みの場所、脱水の有無(口の渇き、皮膚の状態、脈拍、血圧など)をチェックします。
- 便検査:便を採取して、細菌培養や毒素検査、顕微鏡による赤痢アメーバの確認、必要に応じてPCR検査などを行います。
- 血液検査:炎症反応の程度、電解質バランス、腎機能、貧血の有無などを調べます。
- 画像検査:肝膿瘍などが疑われる場合には、腹部超音波検査やCT検査などが行われることがあります。
- 内視鏡検査(大腸内視鏡など):必要に応じて、大腸の粘膜を直接観察し、潰瘍の有無や他の病気(炎症性腸疾患など)との鑑別を行うことがあります。
便検査の結果が出るまでに時間がかかる場合もありますが、臨床症状が強いときには、結果を待たずに治療を開始することもあります。
3.4. 治療の基本方針 ― 水分補給と原因に応じた薬物療法
赤痢の治療は、大きく分けて支持療法(症状を支える治療)と原因に対する治療の2本柱です57。
- 水分・電解質の補正(最も重要):下痢や嘔吐で失われた水分や塩分を補うため、経口補水液(ORS)やスポーツドリンクなどでこまめな水分補給を行います。飲めない場合や脱水が強い場合は、点滴による補液が必要です。
- 抗菌薬(細菌性赤痢):シゲラ菌による細菌性赤痢では、症状の重さや全身状態、耐性菌の状況などを考慮して、医師が適切な抗菌薬を選択します。近年は耐性菌も問題になっているため、自己判断で手持ちの抗菌薬を服用するのは避けましょう。
- 抗原虫薬(アメーバ赤痢):メトロニダゾールなどのニトロイミダゾール系薬を用いて、腸の病変や肝膿瘍などを治療したうえで、シスト(嚢子)を排除する薬を追加するのが一般的な方針とされています7。
- 解熱鎮痛薬:発熱や腹痛が強い場合、医師の判断で解熱鎮痛薬が使われることがあります。ただし、腸の動きを止めるタイプの市販の下痢止め薬は、赤痢ではかえって病状を悪化させることがあるため、自己判断での使用は避けましょう。
治療中は、「いつ・どの薬を飲んだか」「下痢や腹痛の回数」「食事や水分がどれくらい取れているか」をメモしておくと、再診時に経過を説明しやすくなり、治療の調整に役立ちます。
第4部:今日から始めるセルフケアと家でできる感染対策
赤痢が疑われる場合や治療中は、医師の指示に従うことが最優先ですが、家庭での過ごし方や食事、トイレ・洗濯の工夫なども、症状の軽減や周囲への感染予防にとても役立ちます。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今からできること(数時間〜1日以内) | 水分と電解質をこまめに補給する | 常温の経口補水液やスポーツドリンクを少量ずつ頻回に飲む。冷たすぎる飲み物や一気飲みは避ける。 |
| 消化にやさしい食事を選ぶ | おかゆ、うどん、柔らかく煮た野菜、バナナなど。脂っこい揚げ物や刺激物、乳製品、アルコールは控える。 | |
| Level 2:数日単位で行うこと | トイレ・洗面所の衛生管理を徹底する | 使用後はフタを閉めて流し、便座・レバー・ドアノブをアルコールや希釈した塩素系漂白剤で拭く。タオルは共有せず、ペーパータオルや個人専用タオルを使用する。 |
| 家族内の「感染しやすい人」を守る | 乳幼児・高齢者・持病のある家族には、できるだけ別のトイレを使ってもらう・おむつ替え後は念入りに手洗いするなど、接触の機会を減らす工夫をする。 | |
| Level 3:回復期〜今後の予防として | 手洗い・食品衛生の習慣を見直す | トイレの後・調理前・食事前・おむつ交換後など、タイミングを決めて15〜30秒以上の石けん手洗いを習慣化する。肉・魚・卵は十分に加熱し、生野菜はよく洗う。 |
| 性行為における感染対策 | 症状が続く間は、性行為を控える。回復後もしばらくはコンドームの使用を徹底し、口と肛門が接触する行為を控えるなど、感染症対策を意識する。 |
特に、便やおむつに触れた後の手洗いと、トイレ・洗面所・風呂場など水回りの清掃は、家庭内での二次感染予防に非常に重要です。「なんとなく面倒だから今度にしよう」と思うタイミングこそ、少しだけ時間をかけて手洗いや拭き取りを徹底してみてください。
第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?
最後に、「どのタイミングで」「どの診療科を受診すべきか」「診察時に何を伝えるとよいか」についてまとめます。迷ったときの判断材料として活用してください。
5.1. すぐに受診・救急車を検討すべき危険なサイン
- 血の混じった下痢が何度も続き、トイレから離れられないほどの腹痛がある
- 高い熱(おおむね38℃以上)が続き、解熱剤を使っても改善しない
- 水分がほとんど取れない、1日中ほとんど尿が出ない・濃い茶色の尿しか出ない
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しにくい、ぐったりしている(特に乳幼児や高齢者)
- 海外渡航後に下痢・血便・発熱が続いており、マラリアなど他の熱性疾患も疑われる
これらの症状がある場合は、救急外来や地域の救急相談窓口に早めに連絡し、医師や看護師の指示に従ってください。倒れそうなほどの脱水や意識障害がある場合には、ためらわずに119番通報を検討しましょう。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 発熱を伴う下痢・腹痛がある場合:まずは内科、消化器内科などが一般的です。
- 性行為との関連が疑われる場合:性感染症外来、泌尿器科、婦人科、感染症内科などで相談できることがあります。
- 海外渡航歴がある場合:渡航医学外来、トラベルクリニック、感染症科など、海外旅行者の診療に慣れた医療機関が役立ちます。
- 子どもの症状:小児科で、脱水の程度や他の感染症との鑑別を含めて評価してもらいましょう。
受診前には、医療機関のホームページなどで診療体制や診療科目を確認し、必要に応じて電話で問い合わせると安心です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- お薬手帳:普段飲んでいる薬や、これまでかかった病気の情報がわかると、薬の相互作用や治療方針の検討に役立ちます。
- 症状のメモ:「いつから」「1日何回くらい」「どのような便か(色・形・血や粘液の有無)」を書きとめておくと、限られた診察時間でも状況を伝えやすくなります。
- 体温や体重の記録:特に子どもや高齢者では、体重変化や熱型が治療方針に影響することがあります。
- 海外渡航の情報:渡航先、期間、滞在中の食事・飲水状況などがわかるもの(メモや旅程表など)。
検査や治療の費用は、受ける検査の種類や入院の有無によって大きく変わります。一般的な外来受診と血液検査・便検査のみの場合、健康保険3割負担で数千円〜1万円程度となることが多いですが、入院やCT検査、点滴治療が必要になれば、それ以上かかる可能性があります。費用が心配な場合は、受診時に受付や医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
よくある質問
Q1: 赤痢と「普通の下痢」はどう違うのですか?
A1: いわゆる「お腹の風邪」や一時的な下痢では、水っぽい便が数回出るだけで、半日〜数日で自然に落ち着くことが多く、血が混じることはあまりありません。一方、赤痢では、少量の便でも何度もトイレに行きたくなり、粘液や血が混じった便(粘血便)が特徴的です。さらに、強い腹痛(しぶり腹)や高熱、だるさを伴うことが多く、症状が続くと脱水や合併症の危険もあります。
血便や粘血便がある場合は、「普通の下痢だから大丈夫」と自己判断せず、早めに医療機関で相談することをおすすめします。
Q2: 赤痢はどのくらいで治りますか?
A2: 細菌性赤痢(シゲラ症)では、多くの場合、適切な水分補給と治療により、数日〜1週間ほどで症状が改善するとされています。一方、アメーバ赤痢は、症状が出るまでの潜伏期間が長く、悪くなったりよくなったりを繰り返しながら、数週間以上続くこともあります56。
ただし、病原体の種類や個人の体力・免疫力、治療開始のタイミングによって経過は大きく異なります。「思ったより長引いている」「一度よくなったのに再び悪化した」と感じる場合は、再度医療機関に相談しましょう。
Q3: 赤痢は人から人にうつりますか?家族にどのように気をつければよいでしょうか?
A3: 赤痢はいずれも便に含まれる病原体が口に入ることでうつる感染症です。トイレ後の手洗いが不十分だったり、汚れた手で触れたドアノブや蛇口、スマートフォンなどを介して、家族や同居人に広がることがあります14。
家庭内での感染を防ぐためには、トイレの後・おむつ替えの後・調理や食事の前の丁寧な手洗い、トイレや洗面所の定期的な清掃、タオルやコップを共有しないことが重要です。症状が強い間は、できるだけ別のトイレを使う、洗濯物を分けて洗うなどの工夫も役立ちます。
Q4: 性行為で赤痢に感染することはありますか?
A4: はい、特にアメーバ赤痢では、男性どうしの性行為(MSM)などで、口と肛門が接触する行為を通じた感染が国内でも報告されています37。
便に含まれる病原体が手や性器、口に付着し、そのまま口から取り込まれることで感染する可能性があります。赤痢が疑われる症状があるときは性行為を控え、回復後もしばらくの間はコンドームを使用する、口と肛門が直接接触する行為を避けるなど、性感染症対策を意識することが大切です。気になる場合は、性感染症外来や感染症内科などで相談してみてください。
Q5: 市販の下痢止め薬を飲んでも大丈夫ですか?
A5: 赤痢が疑われる場合、腸の動きを止めるタイプの市販の下痢止め薬は、かえって病原体や毒素が腸内にとどまる時間を延ばし、症状を悪化させる可能性があると指摘されています5。
特に、血便や高熱、激しい腹痛を伴う場合は、市販薬で対処しようとせず、早めに医療機関を受診して原因を調べてもらうことをおすすめします。医師の判断で適切な薬が処方されるまで、水分補給や安静を優先しましょう。
Q6: 海外旅行から帰ってきて下痢が続いています。赤痢の可能性はありますか?
A6: 衛生環境が十分でない地域への渡航歴があり、帰国後に下痢や血便、発熱が続いている場合、赤痢を含むさまざまな腸管感染症の可能性があります46。
渡航先で、生水や氷、生野菜、屋台での加熱不十分な肉・魚などを口にした記憶がある場合は、その情報も含めて医師に伝えてください。帰国後しばらく経ってから症状が出るアメーバ赤痢のような病気もあるため、「もう旅行から時間が経っているから関係ない」と考えずに、渡航歴をきちんと伝えることが大切です。
Q7: 赤痢になった場合、仕事や学校はどのくらい休むべきですか?
A7: 細菌性赤痢は感染力が強く、感染症法上も職場や学校などでの集団発生を防ぐべき感染症とされています14。
出勤・登校の再開時期は、症状の状態や便検査の結果、職場・学校のルールによって異なります。食品を扱う仕事や介護・保育など、感染リスクが高い現場では、特に慎重な対応が求められます。必ず主治医や産業医、学校医の指示に従い、自分の判断だけで「もう大丈夫だろう」と復帰を決めないようにしましょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
赤痢は、血や粘液を含む下痢や強い腹痛、発熱などを引き起こす感染症であり、放置すると脱水や腸穿孔、肝膿瘍などの重い合併症につながる可能性もあります。一方で、早期に気づいて適切な治療と水分補給、日常生活での感染対策を行うことで、多くの場合は回復が期待できる病気でもあります。
「ただの食あたり」や「お腹の風邪」と思い込まず、血便やしぶり腹、高熱が続くときは、早めに医療機関へ。家庭では手洗いやトイレ・キッチンの衛生、洗濯・性行為の工夫などを通じて、自分自身だけでなく、大切な家族やパートナーを守る行動を心がけましょう。
不安な気持ちを一人で抱え込まず、必要なときには医療の専門家や公的機関の情報、そして信頼できる身近な人の支えを借りながら、少しずつ状況を整えていけると良いですね。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。赤痢に関する本記事も、厚生労働省や国立感染症研究所、世界保健機関(WHO)、米国疾病予防管理センター(CDC)などの一次情報をもとに作成しました1345。
原稿の作成にあたっては、最新のAI技術を活用して下調べや構成案の整理を行い、その後、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断と更新は、すべてJHO編集部の責任で行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更・中止を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
記事内容に誤りや古い情報が含まれている可能性にお気づきの場合は、お手数ですが運営者情報ページ記載の連絡先までお知らせください。事実関係を確認のうえ、必要な訂正・更新を行います。
参考文献
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厚生労働省. 細菌性赤痢. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-03-02.html(最終アクセス日:2025-11-26)
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厚生労働省. アメーバ赤痢. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-01.html(最終アクセス日:2025-11-26)
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国立感染症研究所 実地疫学研究センターほか. 感染症法に基づくアメーバ赤痢の届出状況、2019年第1週~2024年第46週. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/article/entamoeba/010/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)
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医療情報に関する重要なお知らせ
本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
