子どもの自閉スペクトラム症(ASD)完全ガイド:初期サイン、診断、日本の公的支援まで
この記事でわかること
目次
- 要点まとめ
- 自閉スペクトラム症(ASD)とは?現代における正しい理解
- 「自閉症の種類」は古い考え方:なぜ「スペクトラム(連続体)」なのか
- ASDの核となる2つの特性(DSM-5-TR基準)
- 原因は親の育て方ではない:研究が示すこと
- 年齢別に見る子どものASDのサイン:いつ、何を観察すべきか
- 診断の基準 — DSM-5-TRの3つの重症度レベル
- 日本におけるASDの診断プロセス:どこへ相談し、何が行われるのか
- 最初のステップ:どこに相談すればよいか
- 専門医による診断:何が評価されるのか
- 学校生活における合理的配慮と支援体制
- ASDへの効果的なアプローチ:「治療」ではなく「療育」と「支援」
- 日本の支援哲学「療育(りょういく)」とは
- 科学的根拠のある主な療育アプローチ
- 薬物療法はいつ必要か
- 日本と国際基準(ICD-11)のとらえ方比較
- 家族にとっての次の一歩:不安との向き合い方
- 日本の公的支援制度を活用する
- 障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の取得
- その他の医療費助成と福祉サービス
- 併存しやすい困りごと(二次障害)への理解
- よくある質問
- 参考文献
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本記事のテーマ:子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の初期サイン・診断プロセス・日本の公的支援制度。厚生労働省・こども家庭庁・学会情報をもとにJHO編集部が作成。
子どもの自閉スペクトラム症(ASD)は、生まれつきの脳機能の違いによる神経発達症であり、DSM-5-TRでは「社会的コミュニケーションの困難」と「限定的・反復的な行動」という2つの特性で診断されます。(DSM-5-TRの規定)[30](JAMA掲載レビューの報告)[8]
親のしつけや愛情不足が原因ではないことは、複数の公的機関・学会が明確に否定しています(日本自閉症協会の説明)[4](国立精神・神経医療研究センターの説明)[3]。心配なサインに気づいたら、乳幼児健診やかかりつけ小児科、発達障害者支援センターにまず相談し、必要に応じて療育・公的支援につなげることが次の一歩です。
要点まとめ
- 自閉スペクトラム症(ASD)は、単一の病気ではなく、多様な特性を持つ「連続体(スペクトラム)」として理解されています。かつてのアスペルガー症候群などの分類は、現在ASDという一つの診断名に統合されています(DSM-5-TRの規定)[30]。
- ASDの主な原因は、親の育て方やしつけではなく、生まれつきの脳機能の違いによるものと結論づけられています(国立精神・神経医療研究センターの説明)[3]。
- 診断はDSM-5-TRに基づき、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「限定された反復的な行動、興味、活動」の2つの特性によって行われます(DSM-5-TRの規定)[30]。
- 日本には「療育(りょういく)」という支援哲学があり、個々の子どもの成長を促し、社会で自立して生活できるスキルを育むことを目指します(日本自閉症協会の解説)[4]。
- 心配な兆候に気づいた場合、かかりつけ医や乳幼児健診、地域の「発達障害者支援センター」が最初の相談窓口です(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。診断後は「精神障害者保健福祉手帳」の取得により、税金の控除や医療費助成などの公的支援が受けられます(厚生労働省の制度資料)[10]。
編集方針:この記事はJHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・こども家庭庁・学会・PubMed収載の査読論文と照合して作成しています。個別の医師による診断・治療の代わりにはなりません。数値や制度はガイドライン改定・法改正により変わることがあるため、最新情報は各公的機関の一次情報でご確認ください(2026年7月18日時点の情報)。
年齢別サインのセルフチェック早見表(下記の「年齢別に見る子どものASDのサイン」の表を参照):気になる項目に複数当てはまる場合は、白黒つけようとせず、まず乳幼児健診・かかりつけ小児科・発達障害者支援センターに相談することが推奨されています(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。
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数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
自閉スペクトラム症(ASD)とは?現代における正しい理解
お子さんの行動や発達について、「他の子と少し違うかもしれない」と感じたとき、多くの情報が飛び交う中で、まず正確な知識を持つことが何よりも大切です。現代の医学では、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)は、かつて考えられていたような単純なものではなく、非常に多様な特性を持つ状態として理解されています。
「自閉症の種類」は古い考え方:なぜ「スペクトラム(連続体)」なのか
かつては、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)など、いくつかの異なる診断名が存在しました。2013年の診断基準改定以降、これらの診断名は「自閉スペクトラム症」という一つの診断名に統合されています(DSM-5-TRの規定)[30]。世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第11版(ICD-11)でも同様の考え方が採用されています(WHOのICD-11)[7]。この変更の背景には、これらの状態が別々の「箱」に入る病気ではなく、知的な遅れや言語発達の程度、特性の強弱などが人それぞれに異なる、一つの連続体(スペクトラム)であるという理解があります(ICD-11に関する研究)[23]。現在でも「アスペルガー」という言葉が非公式に使われることがありますが、正式な医学的診断名ではないことを理解しておくことが重要です。日本自閉スペクトラム学会の学会誌でも、診断名の整理や支援実践に関する研究が継続的に発表されています(日本自閉スペクトラム学会の学会誌)[29]。なお発達障害は自閉スペクトラム症だけでなく複数のタイプを含む総称であり、都道府県の解説でも整理されています(広島県の資料)[28]。全体像を押さえたい場合は、精神・心理疾患全般を俯瞰できる精神・心理疾患の総合ガイドや、知的発達症(知的障害)の解説もあわせて参照すると理解が深まります。
ASDの核となる2つの特性(DSM-5-TR基準)
最新の診断基準であるDSM-5-TR(DSM-5-TRの規定)[30](JAMA掲載レビューの報告)[8]によると、ASDの診断は、以下の2つの領域における持続的な困難さによって定義されます。これらの特性は、幼少期から認められる必要があります。
- 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応の持続的な欠陥:感情の共有ややり取りの困難さ、視線を合わせることや表情・身振り手振りなど非言語的コミュニケーションの困難さ、年齢相応の友人関係を築いたりごっこ遊びに参加したりすることの難しさなどが含まれます(発達障害情報・支援センターの解説)[2]。
- 限定された反復的な様式の行動、興味、または活動:手をひらひらさせる・体を揺らすなどの常同的な動き、同一性への固執、強度が異常に高く内容が限定的な興味、特定の音や感触に対する感覚の過敏さ・鈍感さのうち、少なくとも2つに当てはまる必要があります(厚生労働省の資料)[1]。
これらの特性の現れ方や程度は個人によって大きく異なります。そのため「スペクトラム」という言葉が用いられます。
原因は親の育て方ではない:研究が示すこと
ASDの原因が親の愛情不足や育て方、しつけの問題ではないことは、現在の研究で明確に示されています。日本自閉症協会(日本自閉症協会の説明)[4]や国立精神・神経医療研究センター(国立精神・神経医療研究センターの説明)[3]などの専門機関は、ASDが生まれつきの脳機能の発達の違いによるものであり、心理的な要因や養育環境が直接の原因ではないと説明しています。複雑な遺伝的要因が関与していると考えられていますが、単一の「自閉症遺伝子」があるわけではなく、様々な要因が絡み合って発現するとされています(JAMA掲載レビューの報告)[8]。
年齢別に見る子どものASDのサイン:いつ、何を観察すべきか
ASDの特性は早期から現れることがありますが、そのサインは発達段階によって異なります。以下はあくまで目安であり、当てはまるからといって必ずASDであるとは限らず、逆に当てはまらなくても可能性が否定されるわけではありません(発達障害情報・支援センターの解説)[2]。心配な場合は専門家への相談が第一です。
| 時期 | 主なサイン | 備考 |
|---|---|---|
| 乳児期(0〜2歳) | 名前を呼んでも振り向かない・視線が合いにくい・共同注意(指さし)の乏しさ・言葉の発達がゆっくり | 1歳6か月健診・3歳児健診で相談されることが多い(発達障害情報・支援センターの案内)[6] |
| 幼児期(3〜5歳) | ごっこ遊びが苦手・会話のキャッチボールが難しい・強いこだわり・感覚過敏 | 集団生活(園)で気づかれることが多い(発達障害情報・支援センターの解説)[2] |
| 学童期(小学生以上) | 場の空気を読むのが難しい・比喩表現を字義通り受け取る・学習面の得意不得意の差が大きい | 臨機応変な対応が必要な場面で困難が目立つ(発達障害情報・支援センターの案内)[6] |
出典:発達障害情報・支援センター(厚生労働省委託)(発達障害情報・支援センターの案内)[6]/国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センターの説明)[3]
診断の基準 — DSM-5-TRの3つの重症度レベル
DSM-5-TRでは、ASDの特性によって日常生活でどの程度の支援が必要かを示すために、3つの重症度レベルが設けられています。これは「優劣」ではなく、必要なサポートの量を明確にするためのものです(DSM-5-TRの規定)[30]。
| レベル | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| レベル1「支援が必要」 | 社会的状況で困難があり、支援がなければ対人関係に支障をきたす | こだわりや反復行動が生活の一部で妨げになる(DSM-5-TRの規定)[30] |
| レベル2「実質的な支援が必要」 | 言語的・非言語的コミュニケーションに著しい困難がある | こだわりや反復行動が様々な場面で妨げになる(DSM-5-TRの規定)[30] |
| レベル3「非常に実質的な支援が必要」 | 対人関係を自分から開始することがほとんどない | こだわりや反復行動が生活のあらゆる機能を著しく妨げる(DSM-5-TRの規定)[30] |
出典:DSM-5-TR診断基準にもとづく整理(DSM-5-TRの規定)[30](JAMA掲載レビューの報告)[8]
日本におけるASDの診断プロセス:どこへ相談し、何が行われるのか
最初のステップ:どこに相談すればよいか
一人で抱え込まず、まずは身近な専門窓口に相談することが重要です。
- 乳幼児健診:市区町村が実施する1歳6か月健診・3歳児健診は、発達に関する懸念を相談する最初の機会です(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。
- かかりつけの小児科医:日頃から様子を見ているかかりつけ医も信頼できる相談相手です。
- 市区町村の担当窓口:子育て支援課や福祉課など、自治体の窓口で相談を受け付けています。
- 児童相談所:発達に関する専門的な相談や判定を行う機関です。
- 発達障害者支援センター:各都道府県・指定都市に設置され、相談から支援計画の作成、医療機関・福祉サービスの紹介まで包括的なサポートを提供します。どこに相談してよいか分からない場合、まずこちらに連絡するのが確実な方法の一つです(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。
専門医による診断:何が評価されるのか
相談機関を通じて、あるいは直接、児童精神科や発達を専門とする小児科などの医療機関を受診し、診断プロセスが始まります。診断は特定の血液検査や画像検査でわかるものではなく、専門医が様々な情報を統合して行います(JAMA掲載レビューの報告)[8]。
- 問診(保護者からの聞き取り):お子さんの発達の様子、家庭や園・学校での具体的な行動、保護者が心配に思っている点などを詳しく聞き取ります。
- 行動観察:医師や心理士が、診察室での遊び方・親との関わり方・コミュニケーションの取り方を直接観察します。
- 心理検査・発達検査:必要に応じて知能検査(WISCなど)や発達検査(新版K式発達検査など)を行い、認知的な得意・不得意のパターンを客観的に評価します。
これらの情報をもとに、医師はDSM-5-TRなどの国際的な診断基準に照らし合わせて、総合的にASDの診断を下します(DSM-5-TRの規定)[30]。
受診の目安(すぐに相談・受診を検討したいサイン)
- 1歳6か月健診・3歳児健診で発達の遅れや偏りを指摘された(発達障害情報・支援センターの案内)[6]
- 名前を呼んでも反応が薄い状態が続く、言葉の発達が明らかに遅れている
- 集団生活(保育園・幼稚園・学校)で強い困りごとが続き、本人が苦しんでいる様子がある
これらに当てはまる場合は、様子を見すぎず、乳幼児健診の場や発達障害者支援センターに早めに相談することが勧められています(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。
学校生活における合理的配慮と支援体制
就学後は、医療機関での診断だけでなく、学校との連携が重要になります。日本の公教育には、通常学級に在籍しながら一部の時間だけ特別な指導を受ける「通級指導教室」、より手厚い指導を行う「特別支援学級」、専門性の高い教育を行う「特別支援学校」など、子どもの特性や困りごとの程度に応じた複数の選択肢があります。就学先や支援内容は、保護者・学校・教育委員会が話し合いながら決めていく仕組みになっています(こども家庭庁の施策資料)[11]。
学校では、一人ひとりの特性に応じた「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」が作成されることがあり、座席の配置、指示の出し方、テストの形式などについて配慮(合理的配慮)を求めることができます。就学時健診や入学前の相談で気になる点を伝えておくと、入学後の支援がスムーズに始まりやすくなります(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。困りごとが変化した場合は、学期の途中でも担任やスクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーターに相談することが可能です。進学や進級のタイミングで支援の引き継ぎがうまくいかないと感じたときは、保護者から教育委員会や発達障害者支援センターに相談することも選択肢の一つです。
ASDへの効果的なアプローチ:「治療」ではなく「療育」と「支援」
ASDは病気ではなく、発達の特性です。目指すのは薬で「治す」ことではなく、本人が社会の中で自分らしく生きていけるように「支援」することです。その中心的な考え方が、日本で発展してきた「療育」です。
日本の支援哲学「療育(りょういく)」とは
「療育」とは「治療」と「教育」を組み合わせた言葉で、ASDやその他の発達障害のある子どもたちに対し、個々の発達段階や特性に合わせて自立した生活を送るためのスキルを育み、社会参加を促すための支援アプローチ全体を指します(日本自閉症協会の解説)[4]。児童発達支援センターや放課後等デイサービスなど、療育を担う施設・事業所の質の確保については、こども家庭庁が指針や基準の整備を進めています(こども家庭庁の施策資料)[11]。
科学的根拠のある主な療育アプローチ
療育には様々なプログラムがありますが、科学的な根拠が示されている代表的なものとして、望ましい行動を強化する応用行動分析(ABA)、視覚的な構造化で見通しを持たせるTEACCHプログラム、対人スキルを練習するソーシャルスキルトレーニング(SST)、保護者が関わり方を学ぶペアレント・トレーニングなどが挙げられます(薬理学レビュー論文の報告)[9]。
薬物療法はいつ必要か
ASDの中核症状(コミュニケーションの困難やこだわり)そのものを改善する薬は存在しません。薬物療法が検討されるのは、本人や周囲の生活に著しい支障をきたす周辺症状がある場合に限られます(薬理学レビュー論文の報告)[9]。強いかんしゃくや攻撃性・自傷行為に対して非定型抗精神病薬が慎重に使用されることや、併存するADHD症状に治療薬が用いられることがあります。詳しい薬剤選択や副作用については、ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬と治療法の解説も参照してください。これらの薬物療法は必ず専門医の厳密な診断と監督のもとで行われる、あくまで補助的な役割であり、療育や環境調整に置き換わるものではありません(日本児童青年精神医学会のガイドライン)[12]。
日本と国際基準(ICD-11)のとらえ方比較
| 項目 | DSM-5-TR(米国精神医学会) | ICD-11(WHO) |
|---|---|---|
| 診断名の統合 | アスペルガー症候群等をASDに統合(2013年〜)(DSM-5-TRの規定)[30] | 同様に単一カテゴリ「6A02 自閉スペクトラム症」に整理(WHOのICD-11)[5] |
| 重症度の表現 | 3段階の重症度レベルで支援必要度を明示(DSM-5-TRの規定)[30] | 知的発達の障害・言語障害の有無等の特定用語(specifier)で表現(ICD-11に関する研究)[23] |
いずれも「単一の病気」ではなく「連続体」としてASDをとらえる点は共通していますが、重症度・併存特性の記述方法に違いがあり、日本の臨床現場ではDSM-5-TRが広く用いられています(DSM-5-TRの規定)[30]。国際的な診断基準が改定された場合でも、すでに受けている療育や支援がすぐに変わるわけではなく、主治医と相談しながら必要に応じて評価を見直していく形になります(ICD-11に関する研究)[23]。
家族にとっての次の一歩:不安との向き合い方
お子さんの発達や行動について「もしかして自閉スペクトラム症かもしれない」と感じたとき、多くの保護者は強い不安や、「自分の育て方が悪かったのではないか」という罪悪感に包まれます。インターネット上には膨大な情報があふれていますが、何が信頼できるのか分からず、読み進めるほど混乱してしまうこともあります。まず押さえておきたいのは、ASDは「親の愛情不足」や「しつけの問題」で起こるものではなく、生まれつきの脳機能の違いによって生じる神経発達症である、という点です(国立精神・神経医療研究センターの説明)[3](JAMA掲載レビューの報告)[8]。ASDは単独の問題ではなく、広い意味での精神・心理の健康の中に位置づけられる「神経発達症」の一つとして理解すると、偏見や誤解が少しずつほどけていきます。
大切なのは、「うちの子はASDかどうか」を性急に白黒つけることではなく、「どの場面で、どのような困りごとがあり、どのくらいの支援が必要なのか」を丁寧に言語化していくことです。乳幼児健診やかかりつけ小児科、市区町村の窓口、発達障害者支援センターなどの相談先では、発達全体の様子を見ながら、必要に応じて児童精神科や専門外来につないでくれます(発達障害情報・支援センターの案内)[6]。相談の場では、日常のエピソードを遠慮なく具体的に伝えることが、適切な評価につながります。
きょうだいがいる家庭では、きょうだい児がさびしさや戸惑いを感じることもあります。発達障害者支援センターや自治体の家族支援プログラムでは、保護者だけでなくきょうだいを含めた家族全体への相談を受け付けている場合があるため、必要に応じて活用を検討してください(発達障害情報・支援センターの解説)[2]。また、高額な「治療プログラム」や即効性をうたう情報に出会ったときには、一度立ち止まり、公的機関や専門家の情報と照らし合わせることが大切です。診断は「レッテル貼り」ではなく、お子さんの可能性を引き出すための支援のスタートラインとして位置づけられています(日本自閉症協会の説明)[4]。「診断がつくと将来が閉ざされるのでは」と心配して受診を先延ばしにしてしまうと、本来なら学校や地域で早期に受けられたはずの支援につながるタイミングを逃してしまうこともあります。焦って結論を出す必要はありませんが、迷いや不安を一人で抱え込みすぎないことが、結果として家族全体の負担を軽くすることにつながります。
日本の公的支援制度を活用する
診断を受けることは、適切な支援を受けるための始まりです。その根幹となるのが2005年に施行された「発達障害者支援法」です(日本自閉症協会の説明)[4]。制度を所管する体制も変化しており、2023年からは厚生労働省に加えてこども家庭庁が障害児支援・児童発達支援施策を担っています(こども家庭庁の施策資料)[11]。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の取得
ASDの診断を受けると「精神障害者保健福祉手帳」を取得できる場合があります。主治医が診断書を作成し、初診日から6か月以上経過後、市区町村の窓口に申請します。取得により、税金の控除、公共料金の割引、公営住宅への優先入居、医療費の助成、将来の「障害者雇用枠」の利用などのメリットがあります(厚生労働省の制度資料)[10]。手帳を持つことによるデメリットは基本的になく、利用は本人の自由です。
その他の医療費助成と福祉サービス
- 自立支援医療(精神通院医療):継続通院が必要な場合、医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。所得に応じて月額上限があります(厚生労働省の制度資料)[10]。
- 児童発達支援・放課後等デイサービス:療育を提供する事業所を利用する費用が国と自治体によって補助される福祉サービスです。利用者負担は1割で、所得に応じた上限額があります(こども家庭庁の施策資料)[11]。利用には市区町村への申請と「障害児通所受給者証」の取得が必要で、窓口では利用したい事業所の希望や、家庭での困りごとを具体的に伝えると調整がスムーズになります。
- 特別児童扶養手当:一定程度以上の障害がある20歳未満の子どもを養育している場合に支給される手当で、所得制限があります。手続きは市区町村の窓口で行います(厚生労働省の制度資料)[10]。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
制度の詳細は、お住まいの市区町村の福祉担当窓口や発達障害者支援センターで確認できます。
受診・相談に持っていくメモ(チェックリスト)
- 気になり始めた時期・場面(家庭/園/学校)
- 1歳6か月健診・3歳児健診での指摘の有無
- 現在困っていること・本人が苦しんでいること(具体的なエピソード)
- 医師・専門家に聞きたいこと(療育の始め方・手帳の要否など)
- 家族の病歴(発達に特性のある近親者がいるか)、妊娠・出産時の経過で気になる点
- 普段服用している薬やサプリメント、これまでに受けた検査・相談の記録
このメモは、初診時の限られた診察時間を有効に使うためのものです。すべての項目を埋める必要はなく、分かる範囲で記入し、当日は遠慮せず具体的なエピソードを伝えることが、より正確な評価につながります。
ASDの発症頻度における性差・地域差の詳細な最新統計については、今回参照した資料には具体的な記載が見当たりませんでした。最新の統計は厚生労働省・こども家庭庁の公表資料でご確認ください。
お子さんの発達に不安を感じることは、親として自然なことです。大切なのは、その不安を一人で抱え込まず、正しい情報に基づいて相談・受診の行動を起こすことです。ASDは生涯にわたる特性であり、大人になってからも環境調整や支援が必要になる場合があります(厚生労働省こころの耳の解説)[24]。子どもの頃の特性がどう変化しうるかを知りたい場合は、大人の発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)完全ガイドも参考になります。最初の一歩として、お近くの発達障害者支援センターや、日本自閉症協会の相談窓口(電話:03-3545-3382)に連絡することが勧められています(日本自閉症協会の案内)[16]。
併存しやすい困りごと(二次障害)への理解
ASDそのものとは別に、周囲の環境とのミスマッチや繰り返しの失敗経験から、不安症状、抑うつ気分、不登校・登園しぶり、強い自己否定感などの「二次障害」につながることがあります。これは本人の性格の問題ではなく、特性に合わない環境が続くことで生じやすい状態と理解されています(国立精神・神経医療研究センターの説明)[3]。早期に特性に気づき、療育や合理的配慮などで環境を調整することは、こうした二次的な困難を予防・軽減する意味でも重要とされています(薬理学レビュー論文の報告)[9]。逆に、特性への理解が周囲になく叱責や失敗体験が積み重なると、二次障害のリスクが高まりやすいとも指摘されています。
すでに学校に行きづらい、家庭で強いかんしゃくが続く、自分を責める言葉が増えたといった様子がみられる場合は、ASDの診断の有無にかかわらず、かかりつけ医やスクールカウンセラー、児童精神科への相談を検討してください。保護者自身が一人で抱え込まず、家族会や専門家に悩みを共有することも、長期的な支援を続けていくうえで大切です(日本自閉症協会の説明)[4]。
よくある質問
Q1:ASDと知的障害は同じですか?
Q2:ワクチンがASDの原因というのは本当ですか?
Q3:ASDは大人になったら「治る」のですか?
Q5:療育はどこで受けられますか?
Q6:手帳を取ると学校や仕事で不利になりませんか?
Q7:きょうだいや親戚にもASDが遺伝しますか?
Q8:ASDとADHDは同時に診断されますか?
Q9:診断がつくまでどのくらいの期間がかかりますか?
参考文献
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- 発達障害情報・支援センター.発達障害を理解する[インターネット].厚生労働省委託.[2026年7月18日引用].https://www.rehab.go.jp/ddis/
- 国立精神・神経医療研究センター.発達障害(神経発達症)|こころの情報サイト[インターネット].[2026年7月18日引用].https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MbkmLbVbTEhSpxyE
- 日本自閉症協会.自閉スペクトラム症とは[インターネット].[2026年7月18日引用].https://www.autism.or.jp/about-autism-adhd/
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- American Psychiatric Association.Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision(DSM-5-TR)[インターネット].2022.[2026年7月18日引用].https://www.psychiatry.org/psychiatrists/practice/dsm
更新日:2026年7月18日。内容に誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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