加齢黄斑変性とは|症状・治療とサプリメントの本当のところ
この記事でわかること
目次
結論から言うと、加齢黄斑変性は、ものを見る中心部分である「黄斑」が加齢とともに傷み、中心がゆがんだり暗くなったりして見えにくくなる病気で、公益財団法人日本眼科学会によると、現在は日本人の成人の失明原因の第4位となっています[1]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
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症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
片方の目だけに症状が出ることが多く、利き目でなければ気づかないまま進行することがあります。「ものがゆがんで見える」「真ん中が見えにくい」と感じたら、自己判断で様子を見ず、早めに眼科を受診することが視力を守るための最初の一歩と考えられています[4]。
要点まとめ
- 日本眼科学会によると、加齢黄斑変性は網膜の中心にある「黄斑」が傷んで視力が低下する病気で、主に50歳以上にみられます[1]。
- 同学会は加齢黄斑変性を「新生血管型」と「萎縮型」の2つに分類しており、日本では新生血管型が大部分を占め、萎縮型は1割程度とされています[1]。
- 初期の代表的な症状は、ものがゆがんで見える「変視症」と、視界の中心が暗く欠けて見える「中心暗点」です[1]。
- 新生血管型の治療の中心は、抗VEGF薬を目の中に注射する治療で、通院しながら病状に応じて続けることが大切とされています[1]。
- 片目だけにゆがみや見えにくさを感じたときは「様子を見て大丈夫」と自己判断せず、早めに眼科を受診することが受診の目安になります[4]。
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、日本眼科学会・日本眼科医会・日本網膜硝子体学会などの公的機関・学会が公開する資料と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドラインの改定により変わることがあります(2026年7月時点)。
アムスラー検査で自分の見え方をセルフチェックする
日本眼科学会は、方眼紙のような図を片目ずつ見て、線のゆがみや見えない部分を調べる「アムスラー検査」について、簡便で自宅でも確認でき、早期発見や経過観察に役立つとしています[1]。ただし、これはあくまで見え方の変化に気づくための目安であり、それ自体で病気の有無を決められる診断ではありません。異常を感じたときは自己判断せず、眼科を受診してください。
加齢黄斑変性とは?黄斑と網膜のしくみ
ものを見るしくみは、よくカメラにたとえられます。日本眼科学会によると、外から入った光は瞳(瞳孔)、レンズにあたる水晶体、目の中を満たすゼリー状の組織(硝子体)を通り、目の奥に広がる「網膜」に届きます。網膜はカメラのフィルムにあたる部分で、受け取った光を電気信号に変えて脳に伝えることで、ものが「見える」しくみになっているとされています[1]。
網膜の中心にある直径1.5〜2mmほどの小さな部分が「黄斑」で、その中心を「中心窩」と呼びます。まっすぐ見つめたところの光はこの中心窩に届きます。同学会は、黄斑はとくにものをはっきり見たり細かいものを見分けたりする働きを持ち、文字を読む・人の顔を見分ける・車を運転するといった日常生活の重要な見え方に深く関わっていると説明しています[1]。そのため黄斑はごく小さな部分ですが、ここが傷むと、ほかの網膜に異常がなくても視力が大きく低下します[1]。
網膜のすぐ下には「網膜色素上皮」という一層の細胞があり、さらにその下に血管に富んだ「脈絡膜」があります。加齢黄斑変性は、これらの組織が年齢とともに変化することで起こる病気とされています[1]。年齢を重ねると、網膜やその下の組織に老廃物がたまったり、血管の状態が変わったりします。日本眼科学会は、初期にみられる代表的な変化として「ドルーゼン」と呼ばれる黄色い沈着物を挙げ、こうした変化を背景に黄斑が傷み、視力が低下する病気が加齢黄斑変性であるとしています[1]。
なお、発症の背景には人種差があると考えられています。同学会によると、欧米ではドルーゼンが重要とされる一方、日本人ではドルーゼンが目立たないまま発症することも多く、網膜の下にある脈絡膜が厚いタイプ(「パキコロイド」と呼ばれます)を背景に発症するケースが多いことがわかってきたとされています[1]。
視覚障害全体でみても、加齢黄斑変性は無視できない位置を占めています。厚生労働科学研究費補助金による研究報告書は、日本の視覚障害の有病者数を164万人(有病率1.3%、2007年時点)と推計し、緑内障・糖尿病網膜症・変性近視・加齢黄斑変性・白内障を含む上位5疾患で全体の75%を占めると報告しています[5]。日本眼科学会も、加齢黄斑変性は欧米では成人の失明原因の第1位を占め、日本でも高齢化や生活習慣の変化により近年著しく増加していると説明しています[1]。日本眼科医会によれば、福岡県久山町で行われた健診結果では、50歳以上における加齢黄斑変性の発生率は0.87%で、男性に多くみられたと報告されています[4]。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
加齢黄斑変性になりやすい人——年齢・性別・喫煙・遺伝などの危険因子
加齢黄斑変性という名前のとおり、もっとも大きな危険因子は加齢そのものです。日本眼科学会は、主に50歳以上にみられ、年齢が上がるほど多くなるとしています[1]。日本眼科医会が紹介する久山町の健診データでも、発生率が調べられたのは50歳以上の集団で、男性に多い傾向がみられたと報告されています[4]。
年齢や性別以外にも、いくつかの要因が発症や進行に関わっていると考えられています。日本眼科医会は、紫外線による暴露や喫煙、遺伝、生活習慣も変性への移行を促進していると考えられているとしています[4]。同会はまた、肥満や高血圧、脂質異常症も危険因子と考えられているとしています[4]。これらの生活習慣病の危険因子は、心臓や血管の病気の危険因子と重なる部分が多く、目だけでなく体全体の健康管理が加齢黄斑変性の予防にもつながると考えられます。
| 危険因子 | 内容 |
|---|---|
| 加齢 | 主に50歳以上にみられ、年齢が上がるほど多くなる[1] |
| 性別 | 久山町の健診データでは男性に多くみられた[4] |
| 喫煙 | 自分で変えられる最も重要な危険因子とされる[1] |
| 紫外線 | 網膜にダメージを与え、なりやすくなるとされる[4] |
| 遺伝・生活習慣 | 変性への移行を促進すると考えられている[4] |
| 肥満・高血圧・脂質異常症 | 危険因子と考えられている[4] |
出典:公益財団法人日本眼科学会「加齢黄斑変性」[1]/公益社団法人日本眼科医会「知っておきたい加齢黄斑変性―治療と予防―」[4]
新生血管型と萎縮型——タイプによって進み方が違う
加齢黄斑変性は、大きく「新生血管型」と「萎縮型」の2つに分けられます。日本眼科学会によれば、新生血管型は以前「滲出型」と呼ばれていたタイプで、網膜や脈絡膜から「黄斑新生血管」と呼ばれるもろい異常な血管が伸びてきます。この血管はもろく、血液の成分がしみ出して網膜がむくんだり、網膜の下に水がたまったりし、血管が破れると出血します。その結果、網膜が正しく働かなくなり視力が低下し、進行が比較的速く急に見えにくくなることもあるとされています[1]。同学会は、日本人を含むアジア人ではこの新生血管型の中に、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)やパキコロイド新生血管症(PNV)など、欧米とは異なる特徴をもつタイプが多くみられるとしています[1]。
一方、萎縮型は、網膜の細胞(網膜色素上皮)とその上の網膜が年単位でゆっくりと萎縮していくタイプです。進行した状態は「地図状萎縮」と呼ばれます。新生血管型に比べて進行はゆるやかですが、萎縮が中心部に及ぶと視力が大きく低下するとされています[1]。日本眼科学会は、日本では新生血管型が大部分を占め、萎縮型は1割程度とされていると説明しています[1]。
| 項目 | 新生血管型(以前は滲出型) | 萎縮型 |
|---|---|---|
| 何が起きるか | 異常な血管(黄斑新生血管)が伸び、出血やむくみを起こす[1] | 網膜の細胞が年単位でゆっくり萎縮する[1] |
| 進み方 | 比較的速く、急に見えにくくなることもある[1] | 比較的ゆるやか[1] |
| 日本での割合 | 大部分を占める[1] | 1割程度とされる[1] |
| 日本・アジア人に多いタイプ | PCV・PNVなどパキコロイド関連のタイプが多い[1] | とくに記載なし |
出典:公益財団法人日本眼科学会「加齢黄斑変性」[1]
どんな症状が出るのか——ゆがみ・中心が暗いと感じたら
加齢黄斑変性の症状は、障害される部位が黄斑(網膜の中心部分)であるという特徴と深く結びついています。
変視症(ものがゆがんで見える)
日本眼科学会によれば、網膜がむくんだり網膜の下に水がたまったりすると網膜の表面がゆがみ、ゆがんだ網膜でものを見ると対象がゆがんで見えます。障害されるのは黄斑(中心部)なので、中心はゆがんで見えても周辺は正しく見えるのが特徴だとされています[1]。
視力低下・中心暗点(中心が見えない)
黄斑の障害が進むと、見ているものの中心が暗く欠けて見える「中心暗点」が起こり、視力が低下します。同学会によると、進行すると文字を読む・運転免許を更新するといった生活動作が難しくなり、多くは徐々に進みますが、網膜の下に大きな出血が起こると突然大きく視力が下がることもあるとされています[1]。
色覚の変化
症状が進むと、色がわかりにくくなることもあると報告されています[1]。
日本眼科医会も、初期はものがゆがんで見える、中心が見づらい、視界の真ん中がグレーになってかすむなどの症状が多いとしており、進行すると真ん中が真っ暗になって見えなくなる可能性があると説明しています[4]。目は左右2つあるため、片方の目にだけ症状が出た場合、その目が利き目でなければ発見が遅れたり、生活に支障がないという理由で放置されたりすることがあります。同会は、日頃から片目をふさいで左右それぞれの見え方を自分で確認するよう呼びかけています[4]。
受診の目安——こんな見え方の変化に気づいたら、早めに眼科を受診してください
- 片目で見たときに、まっすぐな線がゆがんで見える(変視症)[1]
- 見ているものの中心が暗く欠けて見える(中心暗点)[1]
- 視界の真ん中がグレーになってかすむ[4]
- 急に大きく視力が下がった(網膜の下に大きな出血が起きている可能性があります)[1]
日本眼科医会は、加齢黄斑変性は障害を受けた網膜を再生させる治療が現時点ではない病気であるものの、早期に発見できれば、ある程度進行をくいとめ被害を最低限度にすることができるとしています[4]。様子を見て自然によくなることを期待するより、早めの受診が視力を守る近道になると考えられています。急に見え方が悪くなる目の病気は加齢黄斑変性だけではありません。たとえば目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)のように、原因はまったく異なっても「早めの受診」が視力を守る鍵になる目の病気はほかにもあります。自分で原因を見分けようとせず、見え方の異変に気づいた時点で眼科を受診することが、どの病気であっても安全側の行動になると考えられます。
どんな検査を受けるのか
加齢黄斑変性が疑われるとき、または経過をみていくときには、いくつかの検査を組み合わせて行います。日本眼科学会は、正しく診断し病気の活動性(勢い)を評価するために、以下のような検査を行うとしています[1]。
| 検査 | 何がわかるか |
|---|---|
| 視力検査 | 視力低下の程度を調べる基本の検査[1] |
| アムスラー検査 | 方眼紙のような図を片目ずつ見て、線のゆがみや見えない部分を調べる。自宅でも確認できる[1] |
| 眼底検査 | 網膜を直接観察し、ドルーゼンや出血、新生血管の有無を調べる[1] |
| 光干渉断層計(OCT) | 網膜の断面を立体的に撮影し、むくみや新生血管、萎縮の状態を詳しく評価する[1] |
| OCTアンギオグラフィー(OCTA) | 造影剤を使わずに網膜や脈絡膜の血管・新生血管を映し出す[1] |
| 眼底自発蛍光(FAF) | 造影剤を使わずに網膜の傷みや萎縮の範囲を調べる[1] |
| 造影検査(フルオレセイン造影・インドシアニングリーン造影) | 腕の血管から蛍光色素を注射し、新生血管の位置やタイプ、広がりを詳しく調べる。ごくまれにアレルギーが起こることがある[1] |
出典:公益財団法人日本眼科学会「加齢黄斑変性」[1]
OCTは造影剤を使わず短時間でできて体への負担が少ないため、繰り返し行える検査です。日本眼科学会は、現在は病気の活動性の判定にもっとも重要な検査になっていると説明しています[1]。ドライアイや近視でもかすみやぼやけを感じることがあり、見え方の違和感が加齢黄斑変性によるものかどうかは、こうした検査を受けて初めてわかります。かすみの原因を広く知っておきたい方は、ドライアイ(乾き目)の原因と対策や近視についての解説も参考になります。ただし、片目だけの変視症や中心暗点は、これらとは違い加齢黄斑変性を疑う手がかりになるため、自己判断せず眼科で調べてもらうことが大切と考えられます。
新生血管型の治療——抗VEGF療法を中心に
新生血管型と診断された場合、治療の目的は異常な血管(黄斑新生血管)の活動を抑え、視力を保つ・改善することです。日本眼科学会は、視力が良くなることもあるが、完全に元どおりになることはまれだとしています[1]。
抗VEGF療法(薬物治療)
異常な血管の発生には「血管内皮増殖因子(VEGF)」という物質が関わっていると考えられています。日本眼科学会によると、これを抑える薬を目の中(硝子体)に注射する抗VEGF療法が、新生血管型の第一選択(中心となる治療)です[1]。同学会は別ページで、抗VEGF治療はVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより黄斑浮腫を改善させ、病気の進行を抑制する治療法だと説明しています[2]。
治療は硝子体注射という方法で、外来通院で行われます。日本眼科学会によれば、まず麻酔薬を点眼して目の周囲と表面を消毒したうえで、注射針を用いて薬剤を眼内に注入する、短時間で終わる処置です[2]。初回の治療後は、病気の状態を見ながら追加の注射を継続していくことが多いとされています[2]。どのくらいの間隔・回数で注射が必要かは病状によって個人差が大きく、検査結果をもとに主治医が判断するため、ここでは一律の投与スケジュールには触れません。同学会は、病状が落ち着いていても再発しやすいため、自己判断で中断せず通院と治療を続けることが大切だとしています[1]。効果が十分でない場合は、別の抗VEGF薬への切り替えを検討することもあるとされています[1]。
リスク
硝子体注射はおおむね安全に行われていますが、まれに合併症が起こることも報告されています。日本眼科学会は、硝子体注射の傷口から細菌が入り眼内炎という感染症を起こすことが報告されており、頻度は極めて稀であるものの、いったん発症すると重篤な視力障害を引き起こす可能性があると説明しています[2]。そのため、注射の前後に消毒や抗生剤点眼などの感染予防が行われるとされています[2]。
光線力学的療法(PDT)
ベルテポルフィンという光に反応する薬を点滴したうえで、弱い専用レーザーを病変に当てて異常な血管を選択的に閉じる治療です。日本眼科学会によると、現在は抗VEGF療法と組み合わせて行うのが基本で、とくにポリープ状脈絡膜血管症(PCV)で選択肢となるとされています。治療後48時間は強い光を避ける必要があるとされています[1]。
レーザー光凝固
新生血管が黄斑の中心から離れた場所にある場合に、レーザーで病変を焼き固めることがあります。ただし病変が中心にかかる場合は黄斑も傷めてしまうため行われないとされています[1]。
大量の出血への対応(手術)
網膜の下に大量の出血が起こると急に大きく視力が低下することがあります。日本眼科学会は、発症から間もない場合には目の中にガスを注入する方法や硝子体手術によって、黄斑の下にたまった出血を移動させる治療を行うことがあるとしています[1]。なお、白目の表面が赤くなる「結膜下出血」は、この網膜の下の出血とはまったく別のもので、多くは自然に吸収されます。両者の見分け方は目の出血(結膜下出血)についての解説記事で詳しく説明しています。
萎縮型の治療と、進行を抑えるためにできる生活習慣
萎縮型については、これまで有効な治療法がありませんでした。日本眼科学会によると、2025年に、進行した萎縮(地図状萎縮)が広がる速さを遅らせることを目的とした注射薬が国内で初めて使えるようになりました。補体という体内のしくみ(炎症などに関わる反応)のはたらきを抑える薬で、これは失われた視力を回復させる薬ではなく、進行をゆるやかにする治療だと同学会は説明しています[1]。日本眼科学会によれば、この薬は、はじめは短い間隔で注射を始め、一定の期間がたつと間隔を延ばしていく、あらかじめ定められたスケジュールで投与される治療です[1]。新生血管型の抗VEGF療法の維持期のように病状をみながらそのつど間隔を決めるタイプとは違う点に注意してください。具体的な間隔の数字はここでは触れませんが、決められたスケジュールに沿って通院を続けることが大切だと考えられます。対象となるかどうかは検査をもとに眼科医が判断するとされています[1]。
禁煙
日本眼科学会は、喫煙は自分で変えられる最も重要な危険因子であり、日本国内の研究でも喫煙者は進行した加齢黄斑変性になる危険が数倍高いと報告されているとして、予防のためにも禁煙を強くすすめています[1]。日本眼科医会も、喫煙は加齢黄斑変性の最大の危険因子であり、たばこがやめられない場合は禁煙外来などにかかり速やかに禁煙するよう呼びかけています[4]。
食事
日本眼科学会は、魚(オメガ3脂肪酸)や、緑黄色野菜・果物(ビタミンC・E、ルテイン・ゼアキサンチンなどの抗酸化物質)を多くとり、肉類や揚げ物などに偏った脂肪の多い食事を控えるバランスのよい食生活が、発症や進行を抑えるのに役立つと考えられているとしています[1]。日本眼科医会も同様に、抗酸化ビタミンや亜鉛を含む食品、黄斑を保護する色素ルテインを含む緑黄色野菜、オメガ3脂肪酸を含む魚などを積極的にとるよう勧めています[4]。
紫外線対策
日本眼科医会は、太陽光などの紫外線は網膜にダメージを与え加齢黄斑変性になりやすくなるとして、サングラスで日頃から眼を保護するよう呼びかけています[4]。
そのほかの危険因子
同会は、肥満や高血圧、脂質異常症も危険因子と考えられているとしています[4]。
なお、目の体操や眼精疲労のセルフケアは、疲れ目対策としては役立つ場合がありますが、加齢黄斑変性によって傷んだ黄斑そのものを元どおりにする方法ではありません。目の体操で何がどこまで期待できるかは目の体操と視力に関する解説記事もあわせてご覧ください。
長期的な経過観察がなぜ必要か——付き合い方を考える
加齢黄斑変性は、治療をすればそこで終わりになる病気ではありません。日本眼科学会は、現在のところ、いったん傷んだ黄斑の組織をもとどおりにする治療法はまだないとしています。治療で症状が落ち着いても再発することや、もう一方の目にも起こりやすいことが知られているため、症状がないときも定期的に通院して経過をみて、必要に応じて治療を続けることが大切だと説明しています[1]。
片方の目が加齢黄斑変性になった人にとって、もう一方の目(僚眼)の状態は大きな関心事です。日本眼科医会は、すでに加齢黄斑変性になっている方は、反対の眼を守るためにも医師と相談してサプリメントの服用を検討するのもよいと述べており[4]、これは裏を返せば、僚眼への進行が起こりうるという前提に立った助言だと考えられます。自己判断で通院をやめず、症状がない時期こそ定期検査を続けることが、将来の見え方を守ることにつながると考えられます。
視力が大きく低下した場合には、拡大鏡や明るい照明などを活用する「ロービジョンケア」が、読み書きなど日常生活の助けになるとされています[1]。見えにくさが残っても、道具や環境の工夫によって生活の質を保てる場合があるという点は、あまり知られていないかもしれませんが、覚えておく価値があると考えられます。
サプリメントは効果があるのか——AREDS2からわかっていること
「サプリメントを飲めば加齢黄斑変性を防げるのでは」と考える方は少なくありません。ここでは、海外の大規模研究と日本のガイドラインが実際に何を示しているかを、できるだけ正確にお伝えします。
AREDS・AREDS2という研究
米国で行われたAREDS(Age-Related Eye Disease Study)という大規模な臨床試験があります。日本網膜硝子体学会がまとめたガイドラインによれば、AREDS分類の中期AMD(中型のドルーゼンが多数あるか、大型のドルーゼンが1個以上ある状態など)、または片方の目にすでに後期の加齢黄斑変性を発症している場合において、抗酸化ビタミン・βカロテン・亜鉛を含むサプリメントの摂取によって、より進行した状態への移行を抑えられたと報告されています[3]。その後行われたAREDS2では、喫煙者・元喫煙者で肺がんのリスクを高めることがわかったβカロテンをルテイン・ゼアキサンチンに置き換えた配合が検証されました[3]。
| 成分 | AREDS2臨床試験での1日あたりの配合 |
|---|---|
| ビタミンC | 500mg |
| ビタミンE | 400IU |
| ルテイン/ゼアキサンチン | 10mg/2mg |
| 酸化亜鉛 | 25mg |
| 酸化銅 | 2mg |
出典:日本網膜硝子体学会「新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン」表3[3]/これは臨床試験で使われた研究上の配合であり、特定の市販商品をすすめるものではありません。
この配合をそのまま試してよいかは自分では判断できません。とくに他の薬を服用中の方や持病のある方は、飲み始める前に必ず医師に相談してください。
誰に効果が示されているか——ここが一番大事な点です
日本眼科学会は、サプリメントの効果について次のように説明しています。ビタミンC・ビタミンE・ルテイン・ゼアキサンチン・亜鉛・銅などを含むサプリメントが進行を抑えるのに役立つことが海外の大規模研究で示されており、とくに、ある程度進行した方や、片方の目がすでに進行した加齢黄斑変性になっている方にすすめられるとしています。一方で、ごく初期の方や発症していない方での予防効果は確立していないと明記されています[1]。日本網膜硝子体学会のガイドラインも同様の立場をとっており、サプリメントの内服による早期AMDから中期AMDへの進行抑制効果は示されていないとしています[3]。つまり、「発症していない人が予防のために飲む」効果と、「すでにある程度進行した人が、それ以上進むのを遅らせる」効果とは、別の話だと考えられます。
日本人での検証は限られている
同ガイドラインは、サプリメントに関するこれらの研究は海外におけるものであり、日本人で検証されているわけではないと明記しています。ただし、日本人を対象にした小規模な研究では、新生血管型AMDへの進行リスクは、サプリメント摂取者よりサプリメント非摂取者のほうが高かったとも報告されています[3]。とはいえ研究の規模が小さいため、この結果だけで効果を断定することはできないと考えられます。
過剰摂取のリスク
同ガイドラインは、ビタミンや亜鉛の過剰摂取には副作用もあるため、他のサプリメントと同時に服用する際は注意が必要だとしています[3]。日本眼科学会も、ビタミンや亜鉛のとりすぎには注意が必要で、日本人を対象とした検証はまだ限られていると述べています[1]。
ここでお伝えしたいこと
JHO編集部は特定の商品名を挙げません。上の表で紹介した配合は、あくまで海外の臨床試験で使われた研究上の組み合わせであり、購入をすすめるものではありません。サプリメントは薬ではなく、飲んだからといって進行が止まると保証されているわけでもありません。自分がAREDS2の対象になる段階かどうかは自分では判断できないため、サプリメントの利用を考える場合は、まず眼科で自分の病期を確認したうえで医師に相談することが大切だと考えられます。
家族や周囲の人が気づけること
加齢黄斑変性は、片方の目だけに症状が出ることが多く、本人が気づかないまま進行することがあります。日本眼科医会は、片方の目にのみ症状が出た場合、その目が利き目でないと発見が遅れる、あるいは生活に支障がないという理由で放置されることがあると注意をうながしています[4]。離れて暮らす親や高齢の家族がいる場合、本人からの自己申告だけに頼らず、次のような変化に周囲が気づくことも早期発見の助けになると考えられます。
- 新聞や本を読むときに、以前より紙を近づけたり離したりするようになった
- テレビや人の顔を見るときに、少し横から見ようとするしぐさが増えた
- 片目を隠すと見えにくいと本人が話す、あるいは片目をよくこするようになった
- 段差や物にぶつかりやすくなった(中心が見えにくいことで生じる場合があります)
こうした変化があっても、それだけで加齢黄斑変性と決めつけることはできません。老眼や白内障などほかの目の変化でも似たような様子がみられることがあり、原因を判断できるのは眼科での検査だけです。気になる変化があれば、本人に無理強いするのではなく、一緒に眼科を受診することを提案してみるのも一つの方法と考えられます。日本眼科学会が紹介するアムスラー検査は、家族が本人の見え方をいっしょに確認する際にも使いやすい方法です[1]。
見えにくさが残っても——日常生活でできる工夫
治療を受けても、見えにくさがある程度残ることはあります。日本眼科学会は、視力が大きく低下した場合には、拡大鏡や明るい照明などを活用する「ロービジョンケア」が、読み書きなど日常生活の助けになるとしています[1]。同学会によれば、進行すると文字を読む・運転免許を更新するなどが難しくなるとされており[1]、車の運転に不安を感じる場合は自己判断で継続や中止を決めず、視力検査の結果をもとに主治医や運転免許の更新窓口に相談することが安全につながると考えられます。
身のまわりでできる工夫としては、次のようなものが挙げられます。
- 手元の照明を明るくする、読書灯の角度を調整する
- 文字の大きい時計や電話機、拡大鏡(ルーペ)を活用する
- コントラストをつける(白い食器より色つきの食器、白い壁より濃い色の取っ手など)
- 段差や家具の配置を変えない(中心が見えにくいと周辺の物にはぶつかりやすくなります)
- スマートフォンやタブレットの文字拡大・音声読み上げ機能を活用する
これらはあくまで生活上の工夫であり、病気そのものへの治療ではありません。見え方の変化に応じて、眼科やロービジョンケアの相談窓口で、自分に合った工夫を相談することがすすめられます。片目だけが進行していても、健康な側の目でカバーできている間は生活に大きな支障を感じにくいことがあるため、「困っていないから大丈夫」と思わず、定期的な検査を続けることが結果的に生活の質を守ることにつながると考えられます。
日本の分類の土台と、米国発の基準とのちがい
加齢黄斑変性の病期をどう分類するかは、国や学会によって細部が異なります。日本網膜硝子体学会のガイドラインは、Beckman分類および2019年に発表された米国眼科学会のガイドラインを参考に、加齢黄斑変性を早期・中期・後期・末期の4段階に分類したと説明しています[3]。つまり、分類のわく組みそのものは米国の枠組みを土台にしています。
一方で、実際にみられるタイプの分布は日本と欧米で異なると報告されています。日本眼科学会によれば、欧米ではドルーゼンを背景にする新生血管型が中心とされる一方、日本人を含むアジア人では、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)やパキコロイド新生血管症(PNV)といった、欧米とは異なる特徴をもつタイプが多くみられるとされています[1]。また、日本では萎縮型は全体の1割程度とされ、新生血管型が大部分を占めると説明されています[1]。
| 項目 | 米国発の枠組み | 日本・アジア人でよくみられる特徴 |
|---|---|---|
| 病期分類の土台 | Beckman分類・米国眼科学会2019年ガイドライン[3] | 日本のガイドラインもこれらを参考に分類[3] |
| 新生血管型の中心的な特徴 | ドルーゼンを背景にするタイプが中心とされる[1] | PCV・PNVなどパキコロイド関連タイプが多い[1] |
| 萎縮型と新生血管型の割合 | 今回参照した資料に日本と並べた割合の記載はありません | 新生血管型が大部分、萎縮型は1割程度[1] |
このように、分類の枠組みは米国のものを参考にしていても、実際に日本の患者さんに多くみられるタイプは欧米とは異なる場合があります。そのため、海外の研究結果をそのまま日本人にあてはめられるとは限らないと考えられ、日本眼科学会も日本人を対象にしたAMDの栄養疫学研究が少ない点に注意をうながしています[1]。
治療にかかる費用の目安
抗VEGF療法をはじめとする加齢黄斑変性の治療は、公的医療保険の対象として受けられます。ただし、実際の自己負担額は、使用する薬剤の種類、注射の回数、通院の頻度によって変わり、高額療養費制度の対象になるかどうかも所得や年齢によって異なります。おおよその目安は下記でご確認ください。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
費用の心配から受診や治療の継続をためらう方もいますが、日本眼科学会が説明するとおり、抗VEGF療法は自己判断で中断すると再発し、治療前の状態に戻ることもしばしばあるとされています[1]。費用面で不安があるときこそ、通院先の医療機関の窓口や、お住まいの自治体の医療費助成の相談窓口に早めに相談することが、治療を続けるうえで役立つと考えられます。
眼科の診察に行く前に、準備しておきたいこと
- いつから、どちらの目に、どんな見え方の変化を感じたか(ゆがみ・かすみ・暗く見える部分など)
- 症状は片目だけか、両目か
- 急に悪くなったのか、少しずつ進んだのか
- 現在治療中の病気、服用中の薬(糖尿病・高血圧などを含む)
- 喫煙歴の有無
- 家族に同じような目の病気の人がいるか
- アムスラー検査で気づいた変化(いつから、どちら側か)
- 医師に聞きたいこと(タイプは新生血管型か萎縮型か、今後の見通し、サプリメントは自分に必要かなど)
加齢黄斑変性になった際の心理的な影響への具体的な対処法や、ロービジョンケアで使える福祉制度の詳しい申請手続きについては、今回参照した資料には詳細な記載が見当たりませんでした。お住まいの自治体の障害福祉窓口や、通院先の眼科でご確認いただくことをおすすめします。また、萎縮型に対する新しい注射薬の対象範囲や効果の程度については、今後の臨床データの積み重ねによって変わっていく可能性があります[1]。
よくある質問
加齢黄斑変性はどんな検査でわかりますか?
加齢黄斑変性の治療にはどんな方法がありますか?
サプリメントを飲めば加齢黄斑変性を防げますか?
抗VEGF注射とはどんな治療ですか?痛みはありますか?
加齢黄斑変性は手術で治せますか?
加齢黄斑変性の最新の治療法にはどんなものがありますか?
片目だけ症状が出ている場合、様子を見てもいいですか?
アムスラー検査はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
参考文献
- 公益財団法人日本眼科学会「加齢黄斑変性」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=52
- 公益財団法人日本眼科学会「抗VEGF治療」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item03.html
- 日本網膜硝子体学会新生血管型加齢黄斑変性診療ガイドライン作成ワーキンググループ「新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン」日本眼科学会雑誌128巻9号(2024年) https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/nvAMD.pdf
- 公益社団法人日本眼科医会「知っておきたい加齢黄斑変性―治療と予防―」(大越貴志子) https://www.gankaikai.or.jp/health/51/index.html
- 厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 山田昌和ほか「成人眼科検診の有用性、実施可能性に関する研究」平成29年度総括・分担研究報告書 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2017/201709006A.pdf
更新日:2026年7月26日。本記事の内容に誤りやお気づきの点がありましたら、編集部までお知らせください。事実を確認のうえ訂正します。
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