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消化器疾患 27分で読める 433回

B型肝炎検査の完全ガイド:費用、場所、結果の見方から国の助成制度まで徹底解説

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B型肝炎ウイルス(HBV)は自覚症状がほとんどないまま進行するため、厚生労働省は全ての国民に少なくとも一生に一度の検査を推奨しており、国内の持続感染者(キャリア)は推定110万人から120万人とされています[1]。

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基本の検査はHBs抗原・HBs抗体・HBc抗体の3項目の血液検査で、市区町村や保健所では無料で受けられます[14]。陽性でもすぐに治療が必要とは限らず、専門医の精密検査で経過観察か治療かが決まります。検査項目の名前や結果の組み合わせが分かりにくく感じても、この記事を最後まで読めば、ご自身の結果がどの位置にあるのか、次に何をすべきかが具体的にイメージできるようになります。「検査を受けるべきかどうか」「結果をどう受け止めればよいか」という不安に、公的機関の一次資料をもとに答えていきます。

肝炎情報センターおよび厚生労働省の公開情報をもとにJHO編集部が作図。B型肝炎ウイルス検査の基本3項目(HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体)と公費検査の仕組みをまとめています[7][14]。

要点まとめ

  • B型肝炎は「沈黙の感染症」と呼ばれ、症状がなくても一生に一度は検査を受けることが厚生労働省の推奨です[1][14]。
  • 基本検査はHBs抗原・HBs抗体・HBc抗体の3項目。現在の感染・過去の感染・ワクチンによる免疫を区別できます[7]。
  • 保健所や市区町村の検診は無料、職域健診でも受けられます。費用は制度と時期により異なるため本文の記載時点をご確認ください[14]。
  • 陽性でも直ちに治療が必要とは限らず、日本肝臓学会のガイドラインに沿って専門医が経過観察か治療かを判断します[12]。
  • 慢性B型肝炎の治療が必要になった場合、肝炎治療医療費助成制度により自己負担月額の上限が原則1万円(上位所得階層は2万円)に抑えられます(2026年7月時点)[15]。

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・肝炎情報センター・日本肝臓学会・国立感染症研究所などの公的機関・学会の一次資料と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・制度はガイドライン改定や年度により変わることがあります(2026年7月19日時点の公開情報)。

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数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

なぜ、B型肝炎検査が重要なのか?―沈黙のパンデミックと潜在的危険性

B型肝炎ウイルス(HBV)の慢性感染は、多くの場合、無症状か非常に軽微な症状しか示しません[2]。感染者は発熱や倦怠感といった警告サインなしに、何年、時には何十年もウイルスを保有し続けることがあります。厚生労働省はB型肝炎・C型肝炎を合わせて「国内最大級の感染症」と位置づけており、国内にはB型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)が少なくとも約110万人、うち肝炎を発症している患者は約19万人と推定されています[1]。放置すると、自覚のないまま肝硬変や肝がんへ進行するおそれがあります[2]。

厚生労働省の研究班による調査では、肝炎ウイルス検査で陽性と判定された人の中にも、自覚症状がないことを理由に専門医療機関を受診していないケースが一定数あることが報告されています[3]。「症状がない=感染していない」という誤解は危険であり、世界保健機関(WHO)も、検査こそが予防・ケア・治療サービスへの入り口であり、肝炎対策の要であると位置づけています[5]。

肝炎情報センターの解説では、HBVは主に血液や体液を介して感染し、成人期以降に感染した場合の多くは急性肝炎として一過性の経過をたどり、体内から排除されると説明されています[7]。一方で、乳幼児期に感染した場合や、免疫の働きが十分でない状態で感染した場合には、ウイルスが体内に長期間とどまる「持続感染(キャリア)」の状態になりやすいとされています[7]。持続感染の状態でも、多くの期間は肝炎の活動性が低く自覚症状に乏しいため、日本肝臓学会のガイドラインでは、定期的な血液検査や画像検査による経過観察の重要性が強調されています[19]。こうした「症状が乏しいまま数十年が経過する」という経過そのものが、検査を先延ばしにしてしまう最大の落とし穴になっていると考えられます。

また、国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)の報告によれば、近年は母子感染以外の経路、とりわけ若年層における性的接触を介した急性B型肝炎の届出が増加傾向にあることが課題として挙げられています[18]。かつては「B型肝炎は主に母子感染で起こるもの」という認識が広く共有されていましたが、この認識だけでは現在の感染状況を正確に捉えられない可能性があります[18]。年齢や性別にかかわらず、一生に一度は検査を受けておく意義は、この点からも裏付けられます。

HBVと戦ううえでの最大の課題の一つは、人々の認識と臨床的な現実との間のギャップです。多くの人が、自覚症状がないことを理由に検査の必要性を感じていません。しかし厚生労働省の研究班による調査は、検診で陽性と判定された人の中にも、専門医療機関でのフォローアップを受けていない人が一定数存在するという実態を示しています[3]。これは、健康だと感じている間にも、ウイルスが肝臓に少しずつダメージを与えている可能性があるという、見過ごされがちなリスクを物語っています。私たちが伝えたいのは、単に「検査を受けましょう」ということだけでなく、「健康だと感じていても、なぜ検査が必要なのか」という理由そのものです。世界保健機関(WHO)といった国際的な保健機関も、検査こそが予防・ケア・治療サービスへの唯一の入り口であり、肝炎対策の中心に据えるべき要素だと位置づけています[5]。「健康だと感じる」ことと「ウイルスがいない」ことはイコールではない、という認識の転換が、検査を先延ばしにしない第一歩になります。

検査項目とその意味 ― B型肝炎検査の解読

B型肝炎の診断では、血液中のウイルス関連マーカーを組み合わせて評価します。肝炎情報センターによれば、基本となるのは次の項目です[7]。

基本の3項目

  • HBs抗原:陽性であればB型肝炎ウイルス(HBV)に感染していることを示します[7]。日本の公衆衛生プログラムや職域健診で最初に行われる、最も一般的なスクリーニング検査です[6]。
  • HBs抗体:陽性であれば過去に感染してその後治癒したか、ワクチン接種により免疫を得たことを示します[7]。
  • HBc抗体:陽性であればHBVに感染したことがあることを示します。ワクチン接種のみでは陽性になりません[7]。そのため、ワクチンによる免疫(HBs抗体陽性・HBc抗体陰性)と、自然感染からの回復による免疫(両方陽性)を区別する手がかりになります。

日本の標準的アプローチと国際的な動きの比較

肝炎情報センターの説明では、日本ではまずHBs抗原の有無を調べ、陽性が確認された場合に追加の検査へ進む流れが一般的です[7]。一方、NCBI Bookshelfに収載されているWHOの検査ガイドラインでは、地域の疫学状況に応じて、HBs抗原単独の検査だけでなく、より広い項目を組み合わせた検査戦略を検討する重要性が示されています[4]。こうした国際的な議論の背景には、HBs抗原だけを調べるスクリーニングでは、ワクチン接種が必要な「感受性者(未免疫者)」や、将来免疫抑制状態になった場合にウイルスが再活性化する危険性がある「既感染者」を見逃す可能性があるという指摘があります。裏を返せば、HBs抗体・HBc抗体まで一度に調べておくことは、単に「今の感染の有無」だけでなく、「将来リスクが変わる可能性のある立場かどうか」まで含めて把握できるという利点につながります。国や制度によって初期スクリーニングの組み方は異なるため、日本の現行制度のもとで自分がどの検査項目を受けたのかを正確に把握しておくことが、検査を受ける際の判断材料になります。

診断を深める追加検査

HBs抗原が陽性と確認された場合、肝炎情報センターおよび日本肝臓学会のガイドラインでは、病状とウイルスの活動性を評価するための追加検査が行われるとされています[7][12]。

  • HBe抗原・HBe抗体:HBe抗原が陽性であれば、一般にウイルスの増殖力が強いことを示します。HBe抗体が陽性であれば、増殖力が低下していることを示すとされています[7]。
  • HBV-DNA定量:血液中のウイルス量を測定する検査です。日本肝臓学会の「B型肝炎治療ガイドライン」では、抗ウイルス薬による治療開始の時期を判断するための重要な指標の一つとされています[19]。
  • 肝機能検査(ALTなど):ウイルス量そのものではなく、肝臓の炎症の程度を反映する指標です。HBV-DNA量とALT値を組み合わせて評価することで、「ウイルスは存在するが肝臓へのダメージは軽微な段階」なのか、「炎症が進んでおり治療を検討すべき段階」なのかを見分ける手がかりになるとされています[19]。

これらの追加検査の結果は、単独ではなく組み合わせて評価されます。日本肝臓学会のガイドラインの改訂点を解説した学会誌の報告でも、HBV-DNA量・ALT値・年齢などを総合した治療開始基準の考え方が示されています[20]。検査結果の数値だけを見て自己判断するのではなく、専門医による総合的な評価を受けることが重要です。特に、HBV-DNA量が高いにもかかわらずALT値が正常範囲内にとどまっている場合など、判断が分かれやすいケースでは、複数回の検査結果の推移を踏まえて経過観察の間隔や治療開始のタイミングが検討されます。詳しい治療の選択肢や長期管理の全体像は、JapaneseHealth.orgの肝炎治療の包括的ガイドで詳しく解説しています。

検査結果の組み合わせと解釈 ― あなたの結果を理解する

複数の陽性(+)と陰性(-)が混在する検査報告書は、患者にとって混乱と不安の原因となり得ます。以下の表は、肝炎情報センターの解説をもとに、一般的な検査結果の組み合わせを整理したものです[7]。NCBI Bookshelfが公開している検査推奨のまとめ表でも、同様の考え方に沿った結果解釈の枠組みが示されています[21]。

表1:主なB型肝炎検査結果の組み合わせと臨床的な考え方
HBs抗原 HBs抗体 HBc抗体 考えられる状態 次にすべきこと
– + – ワクチンによる免疫があると考えられます[7]。 特段の対応は不要とされています。
– – – 感染歴・ワクチンともになく、感受性がある状態と考えられます。 ワクチン接種について医師に相談してください[7]。
+ – + 現在HBVに感染している可能性が高い状態です[7]。 肝臓専門医の受診を。HBe抗原/抗体、HBV-DNA定量、ALT等の追加検査が推奨されます[12]。
– + + 過去に感染し、その後治癒した状態と考えられます[7]。 通常は追加対応不要とされますが、今後、免疫を抑制する治療を受ける予定がある場合は、この結果を医師に伝えてください。
– – + 複数の可能性がある、判断が難しい結果です。遠い過去の感染で抗体価が下がった場合や、偽陽性などが考えられます。 専門医への相談と、必要に応じた再検査・追加検査が推奨されます。

出典:肝炎情報センター「B型肝炎ウイルス検査について」[7]

結果の解釈で特に迷いやすいのが、HBs抗原・HBs抗体がいずれも陰性でHBc抗体のみ陽性というパターンです。肝炎情報センターの解説によれば、このパターンには複数の可能性があり、遠い過去に感染して自然に治癒し、HBs抗体の値が検出感度未満まで下がってしまった場合や、検査の偽陽性、あるいはHBs抗原が検出されないレベルでウイルスが肝臓内にごく低レベルで残っている場合などが考えられるとされています[7]。いずれの場合も、自己判断で「陰性が多いから大丈夫」と結論づけず、再検査や追加のHBV-DNA定量検査について専門医に相談することが推奨されます[7]。特に、これから免疫を抑制する治療を受ける予定がある方にとっては、このパターンの見落としが後の再活性化リスクに直結するため、慎重な評価が重要だと考えられています。健康診断の結果表にこの組み合わせだけが記載されていて、医師からの説明がない場合は、次回受診時に自分から質問してみることをお勧めします。数値や記号だけでは判断がつかない場合でも、遠慮せずに専門医へ質問することが、結果を正しく理解する近道になります。

受診の目安 — こんなときは検査・受診を

  • これまで一度もB型肝炎ウイルス検査を受けたことがない方。厚生労働省は全ての国民に少なくとも一生に一度の受検を呼びかけています[1]。
  • 肝炎ウイルス検査で陽性と判定されたのに、自覚症状がないことを理由に医療機関を受診していない方。厚生労働科学研究の調査でも、こうしたケースが課題として指摘されています[3]。
  • これから免疫を抑制する治療(がん化学療法や免疫抑制薬など)を受ける予定がある方。過去の感染歴(HBc抗体陽性)がある場合、ウイルスが再活性化する可能性があるため、事前に主治医へ伝えることが重要です。
  • 妊娠中の方。妊婦健診でB型・C型肝炎ウイルス検査が行われますが、母子健康手帳の記録欄で受検歴を確認しておくことが勧められています[17]。

日本国内での次のステップ ― 現実的な行動指針

日本に住む人にとって、どこで、どのように検査を受けられるのかは切実な疑問です。厚生労働省は、肝炎ウイルス検査を受けられる主な窓口として、保健所・市区町村・医療機関を挙げています[14]。B型・C型肝炎を含むウイルス性肝炎全体の基礎知識を先に押さえたい方は、JapaneseHealth.orgのウイルス性肝炎の解説も参考になります。

  • 保健所・自治体が委託する医療機関:厚生労働省の方針では、保健所および各自治体が委託する医療機関での無料検査の実施が引き続き推進されています(2026年7月時点の公開情報)[14]。日程・場所・手続は自治体ごとに異なるため、お住まいの保健所や市区町村への確認が必要です[14]。
  • 市区町村の肝炎ウイルス検診(健康増進事業):特定の年齢層を対象にした個別勧奨による検診が実施されています[14]。
  • 特定感染症検査等事業:厚生労働省が毎年度、都道府県・保健所設置市等における肝炎ウイルス検査の実施状況を「特定感染症検査等事業」として公表しています[14]。この事業は、保健所等での無料検査の実施を支える国の枠組みの一つです。
  • 妊婦健診:B型・C型肝炎ウイルス検査は妊婦健診の項目に含まれ、母子健康手帳に検査年月日を記録する欄があります[17]。
  • 職域の健康診断:厚生労働省は、事業者や保険者に対し、労働者への肝炎ウイルス検査の受検勧奨への協力を要請しています[14]。全国健康保険協会(協会けんぽ)でも、健診・保健指導のメニューの中で肝炎ウイルス検査を案内しています[6]。実施の有無や自己負担の要否は、加入する健康保険組合や勤務先の制度によって異なります。東京都保健医療局も、都民向けにB型・C型肝炎の基礎知識と検査に関する案内をまとめています[8]。
  • 医療機関(内科・消化器内科など):症状があり保険診療で検査する場合と、無症状で自らの希望により検査を受ける場合とでは、保険適用の可否が異なります。詳細は受診先の医療機関にご確認ください。

肝炎ウイルス検査ができる医療機関は、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が運営する肝炎医療ナビゲーションシステム「肝ナビ」で検索できます[23]。B型肝炎について症状・原因・予防まで幅広く知りたい方は、JapaneseHealth.orgのB型肝炎まとめページも参考にしてください。

表2:検査を受けられる主な窓口と費用・保険の考え方(概要)
窓口 費用の考え方 健康保険の適用 出典
保健所・自治体委託の医療機関 厚生労働省の方針のもと、無料での実施が推進されている(自治体により異なる) 対象外(無料のため) [14]
市区町村の肝炎ウイルス検診(健康増進事業) 特定年齢層への個別勧奨による検診。詳細は自治体に確認 自治体の事業として実施 [14]
妊婦健診 妊婦健診の検査項目に含まれる 各自治体の妊婦健診公費補助の枠内 [17]
職域の健康診断 事業者・保険者の制度により異なる。詳細は勤務先・健保組合に確認 健診メニューにより異なる [6]
医療機関(症状あり・臨床的疑いあり) 保険診療の枠内で実施 あり(保険適用) —
医療機関(無症状・任意希望) 自由診療となる場合がある。金額は医療機関ごとに異なるため、受診先に直接確認が必要 適用外の場合がある —

出典:厚生労働省「肝炎ウイルス検査について」[14]/厚生労働省資料3-5「B型肝炎ワクチンに関するファクトシート」[17](2026年7月時点の公開情報。無症状での任意検査の金額は医療機関ごとに異なるため本記事では特定の金額を記載していません)

慢性B型肝炎と診断され、抗ウイルス薬による治療が必要になった場合には、「肝炎治療医療費助成制度」があります。この制度を利用すると、患者の毎月の自己負担限度額は原則1万円(住民税課税年額に応じた上位所得階層は2万円)に軽減されます(2026年7月時点の制度内容、出典:厚生労働省)[15]。対象は保険適用となっているインターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療などで、初診料・再診料・検査料・入院料等が助成対象に含まれます。入院時の食費や、治療中止後の検査・副作用治療費用は対象外です[15]。申請や助成期間の詳細は、居住する都道府県の肝炎・肝疾患担当窓口への確認が必要です[15]。申請には肝炎治療受給者証交付申請書、医師の診断書、健康保険証の写し、住民票の写し、市町村民税課税年額を証明する書類などが必要とされており、事前に主治医や自治体窓口へ相談しておくと手続きがスムーズです[15]。助成対象となる治療の種類や助成期間は治療法によって異なるため、対象医療の詳細も含めて都道府県の担当窓口へ確認することが確実です[15]。制度の詳細は年度や都道府県によって運用が異なる場合があるため、実際に申請を検討する際は、最新の案内を都道府県の窓口で直接確認することをお勧めします。

日本と海外(CDC・WHO)のガイドライン比較

表3:B型肝炎スクリーニングの考え方の比較
項目 日本(肝炎情報センター/JSH) CDC(米国、2023年改定) WHO(国際)
基本アプローチ まずHBs抗原を確認する流れが一般的[7] 成人層への広いスクリーニングを重視する方向性が国際的に議論されています[4] 罹患率など各地域の状況に応じた検査戦略を提示[5]
初期検査の組み合わせ HBs抗原中心[7] HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体を組み合わせる考え方も国際的に見られます[4] HBs抗原検査を基本としつつ状況に応じ調整[4]
制度上の位置づけ 保健所・自治体・職域等での実施を国が推進[14] 臨床現場向けの技術文書として整理される形式が一般的です[4] 加盟国向けの技術的ガイドラインとして提示[5]

肝炎情報センターは、日本肝臓学会など複数学会の診療ガイドラインへのリンクを一覧としてまとめています[24]。これらの日本の肝炎情報センターおよび日本肝臓学会のガイドラインは、CDCが2023年に採用したユニバーサルスクリーニングのような全国民一律の初回トリプルパネル検査を、一般向けの公的検診の標準として明示してはいません[7][19]。この違いが、将来の検査戦略の見直しにおいてどう扱われるかは、今後の国の議論の対象になり得ると考えられます。読者にとって重要なのは、どちらの制度が優れているかを判断することではなく、「自分は日本の制度のもとで、いつ・どの検査項目を受けたのか」を正確に把握しておくことです。過去に職場健診でHBs抗原のみを受けた方が、それを「トリプルパネル相当の検査を済ませた」と誤解しないよう注意が必要です。

受診時に持参したいメモ(チェックリスト):①これまでに肝炎ウイルス検査を受けたことがあるか、あれば時期と結果 ②現在治療中の病気・服用中の薬 ③今後、免疫を抑制する治療(抗がん剤・免疫抑制薬など)の予定があるか ④妊娠の可能性・妊娠中かどうか ⑤家族にB型肝炎の既往歴がある人がいるか ⑥検査結果でわからない点・医師に聞きたいこと

公的支援と今後の展望 ― 利用可能な制度と未来への視点

B型肝炎対策は、日本の公衆衛生における重要な柱の一つです。厚生労働省は肝炎対策推進協議会を設置し、専門家や患者代表とともに肝炎対策の基本指針を検討しています[16]。政策の中心的なメッセージは、「全ての国民が少なくとも一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けること」です[14]。この戦略を支える柱の一つが、1986年から続く母子感染防止事業です。厚生労働省の資料によれば、妊婦全員のスクリーニングと、感染している母親から生まれた新生児への免疫グロブリン(HBIG)およびワクチン投与により、若い世代のHBVキャリア率は大きく減少したとされています[17]。この母子感染防止事業は、公衆衛生介入の成果として国内外でしばしば紹介されています。なお、成人になってからのB型肝炎ワクチン接種を検討している方向けの費用やスケジュールについては、別記事で詳しく扱っていますので、あわせてご確認ください。

検査でHBs抗原が陰性、HBs抗体も陰性、つまりこれまでに感染したこともなくワクチンによる免疫もない「感受性」の状態だった場合は、今後の感染を防ぐための積極的な一歩として、ワクチン接種を検討するのも一つの選択肢です。検査結果を「異常なし」と読み替えて終わりにするのではなく、次にとるべき行動の起点として捉え直すことが、この記事全体を通じて伝えたい視点です。逆に「これまで一度も検査を受けたことがない」という方は、まずこの一歩を踏み出すことが最優先です。日本では母子感染対策によって若い世代のキャリア率は大きく減少した一方で、成人期以降の性的接触や医療行為等を通じた新たな感染が課題として指摘されています[18]。「検査で陰性だったから安心」で終わらせず、「陰性だからこそワクチンで守りを固める」という発想への切り替えも、将来の不安を減らす一つの方法だと考えられます。

一方、国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)の報告では、若年層における性的接触を主な感染経路とする急性B型肝炎の届出が課題として挙げられています[18]。国のこうした取り組みは、感染経路の変化に応じて重点が見直されていくものであり、今後、公的検診の対象年齢や検査方法が調整される可能性も考えられます。厚生労働省の肝炎対策推進協議会では、こうした疫学データの変化を踏まえた基本指針の見直しが継続的に議論されています[16]。読者としては、行政の方針が固まるのを待つのではなく、まずご自身が一生に一度の検査を済ませているかどうかを確認することが、最も確実にできる行動だといえます。制度や指針がどう変わっても、「自分が検査を受けたかどうか」という事実だけは、後から変わることのない土台になります。急性B型肝炎は、感染経路を問わず、倦怠感や食欲不振、まれに黄疸などの症状が出ることがある一方で、症状の出方には個人差が大きく、気づかないまま経過することも少なくないとされています[18]。過去に感染リスクのある行為の心当たりがある方は、症状の有無にかかわらず検査を受けておくことが望ましいと考えられます。

なお、1988年以前の集団予防接種における注射器の連続使用に関連してHBVに感染したとされる方を対象とした、国の法律に基づく給付金制度が別途存在します。これは特定の歴史的経緯に基づく給付制度であり、本記事で解説した「肝炎治療医療費助成制度」(治療中の医療費負担を軽減する制度)とは目的・対象・手続きが異なります。今回参照した資料の範囲では、この給付金制度の詳細な支給要件・金額を示す一次資料URLを確認できなかったため、正確な情報は最寄りの都道府県・弁護士会またはお住まいの自治体の相談窓口にご確認ください。混同を避けるため、この記事で扱っている「肝炎治療医療費助成制度」はあくまで、現在治療を受けている患者の毎月の医療費負担を軽減するための制度であり、過去の集団予防接種に起因する感染に対する賠償的な性格の給付金とは、根拠となる法律も申請の窓口も異なる点を重ねて確認しておきます。

本記事で参照した資料の範囲では、集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染者への給付金制度の具体的な支給金額・要件についての一次資料は確認できませんでした。また、肝炎医療費助成制度における2026年8月以降の改定予定の有無についても、本記事執筆時点で公表されている情報の範囲を超える記載は行っていません。無症状での任意の検査を医療機関で受ける場合の具体的な金額についても、医療機関ごとに設定が異なり、本記事が特定の一次資料で確認できる範囲を超えるため、あえて金額を記載していません。正確な金額は、受診を予定している医療機関に直接お問い合わせください。

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よくある質問

陽性と診断されたら、すぐに治療が必要になりますか?
必ずしもそうとは限りません。HBs抗原が陽性でも、肝機能(ALT値)が正常でウイルス量(HBV-DNA)が低い場合は、治療を行わず定期的な経過観察となることがあります[19]。治療を開始するかどうかは、年齢・ALT値・HBV-DNA量などを踏まえて専門医が判断します[12]。
B型肝炎の治療費は高額になりますか?
治療自体は高額になり得ますが、厚生労働省の「肝炎治療医療費助成制度」を利用すると、毎月の自己負担限度額は原則1万円(上位所得階層は2万円)に軽減されます(2026年7月時点の制度内容)[15]。
ワクチンでHBs抗体が陽性になった場合、もう心配はいりませんか?
ワクチン接種によりHBs抗体が陽性となった場合、HBV感染から保護されている状態と考えられています[7]。ただし、免疫機能が著しく低下する治療を受ける場合には、あらためて専門医に相談することが勧められます。
過去に感染して治った場合でも、注意点はありますか?
HBs抗原が陰性でHBs抗体とHBc抗体が陽性の場合、過去に感染し治癒したと考えられます。ただし、肝細胞にごくわずかにウイルスが残っている可能性があるため、将来、免疫抑制剤や抗がん剤などの治療を受ける際には、この既往歴を必ず医師に伝えることが重要です。健康診断の結果表にこの組み合わせが記載されていた場合は、自己判断で放置せず、一度は結果の意味を医師に確認しておくと安心です。
検査はどこで受けるのが一番費用を抑えられますか?
お住まいの保健所や、自治体が委託する医療機関での検査は、厚生労働省の方針のもと無料で実施されている場合があります[14]。詳しい日程・条件は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村・保健所へ直接お問い合わせください[14]。
HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体の違いが覚えられません。
HBs抗原は「今ウイルスがいるか」、HBs抗体は「ウイルスから守られているか(ワクチンまたは既往感染による)」、HBc抗体は「過去または現在、ウイルスに感染したことがあるか」を示すマーカーです[7]。
妊娠中の検査で陽性だった場合はどうなりますか?
妊婦健診でHBs抗原が陽性だった場合はB型肝炎ウイルスに感染していることを意味します。母子感染を防ぐため、必ず受診し、精密検査を受けることが推奨されています[17]。
日本の検査方針と海外の方針は何が違いますか?
諸外国では、HBs抗原に加えてHBs抗体・HBc抗体まで含めた広い検査項目を初回スクリーニングとして重視する動きが見られます[4]。日本の公的検診では、まずHBs抗原を確認する流れが一般的とされています[7]。どちらが優れているかを一概に判断することはできませんが、自分がこれまでにどの検査項目を受けたのかを把握しておくことは、国や地域の制度によらず共通して重要です。
会社の健康診断でHBs抗原の検査をすでに受けています。それで十分ですか?
HBs抗原のみの検査は、現在ウイルスに感染しているかどうかを確認する上では有用な検査です[7]。ただし、この検査だけでは、ワクチンによる免疫の有無や、過去に感染して治癒したかどうかまでは分かりません。より詳しく自分の状態を把握したい場合は、HBs抗体・HBc抗体も含めた検査について、医療機関や自治体の窓口に相談するとよいでしょう[7]。
家族にB型肝炎の人がいます。感染する可能性はありますか?
HBVは主に血液や体液を介して感染するとされています[7]。日常生活での接触(食器の共有、握手、会話など)だけで容易に感染するものではないとされていますが、カミソリや歯ブラシの共用は避けることが望ましいとされます。ご家族に感染者がいる場合は、ご自身の感染状況とワクチンによる免疫の有無を確認するためにも、一度検査を受けておくことが勧められます[7]。

結論

B型肝炎は、自覚症状のない「沈黙の感染症」でありながら、放置すれば肝硬変や肝がんという深刻な事態を招きかねない、日本の重大な公衆衛生上の課題です[1]。しかし、本記事で見てきたとおり、HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体という基本の3項目を軸にした血液検査で、ご自身の状態は正確に把握できます[7]。日本国内には、市区町村や保健所が提供する無料の検査から、医療機関でのより詳しい検査まで、アクセスしやすい環境が整っています[14]。万が一陽性と診断されても、専門医による管理体制と、自己負担を大きく軽減する肝炎治療医療費助成制度という支えがあります[15]。症状がないからと先延ばしにせず、一生に一度の検査という具体的な一歩を踏み出すことをお勧めします。慢性肝炎そのものについてさらに詳しく知りたい方は、慢性肝炎の解説記事もあわせてご覧ください。

参考文献

  1. B型肝炎. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/210616-01.pdf
  2. 肝炎とは. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/hepatitis_about.html
  3. 全国規模の肝炎ウイルス感染状況の把握及びウイルス性肝炎eliminationに向けた方策の確立に資する研究. 厚生労働科学研究成果データベース. https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202320002A-sokatsu_0.pdf
  4. WHO Guidelines on Hepatitis B and C Testing. NCBI Bookshelf. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK442272/
  5. Guidelines on hepatitis B and C testing. World Health Organization. https://www.who.int/publications/i/item/9789241549981
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  8. B・C型肝炎とは|とうきょう健康ステーション. 東京都保健医療局. https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/etc/kanen/gata_n.html
  9. B型肝炎治療ガイドライン. 日本肝臓学会. https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html
  10. 肝炎ウイルス検査について. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kanen/kangan/hepatitis_kensa.html
  11. 医療費助成について|肝炎治療特別促進事業. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kanen/kangan/iryouhijyosei.html
  12. 肝炎対策推進協議会. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kanen_128247.html
  13. 資料3-5 B型肝炎ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版). 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqf.pdf
  14. IASR Vol.44, No.3(No.517)急性B型肝炎 2016~2022年. 国立健康危機管理研究機構(感染症情報提供サイト). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/44/517/517t.html
  15. B型肝炎治療ガイドライン(第4版). 日本肝臓学会. https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/B_v4.pdf
  16. ウイルス肝炎治療ガイドラインの改訂点. 肝臓(日本肝臓学会機関誌), J-Stage. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/63/12/63_509/_article/-char/ja/
  17. Table 1, Summary of Recommendations on Testing for Chronic Hepatitis B and C Virus Infection. NCBI Bookshelf. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK442292/table/fm.t1/
  18. 肝炎医療ナビゲーションシステム(肝ナビ). 国立健康危機管理研究機構. https://kan-navi.jihs.go.jp/
  19. 肝炎診療ガイドライン一覧. 肝炎情報センター. https://www.kanen.jihs.go.jp/guidelines/index.html

更新日:2026年7月19日|本記事の内容に誤りやお気づきの点がございましたら、サイト内のお問い合わせ窓口よりご指摘・ご報告いただけますと幸いです。

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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