乳糖不耐症の症状との付き合い方|牛乳をやめずに続ける工夫
この記事でわかること
目次
- 乳糖不耐症の症状とは?おなかの張り・おなら・下痢が起こるまでの時間
- なぜ日本人に乳糖不耐症が多いのか — ラクターゼの低下は「よくある体質」
- 乳糖不耐症の症状があっても、牛乳をやめなくていいことが多い理由
- ①一度にとる量を減らし、分けて飲む
- ②空腹で飲まず、食事と一緒にとる
- ③冷たいまま一気に飲まず、温めたり時間をかけたりする
- ④少しずつ量を増やしていく
- ⑤乳糖をあらかじめ分解した牛乳を選ぶ
- ヨーグルト・熟成チーズなど乳糖不耐症の症状が出にくい食品
- ヨーグルトが比較的食べやすい理由
- 熟成チーズが比較的食べやすい理由
- カルシウム不足に注意 — 乳製品をやめすぎることのリスク
- 乳製品以外のカルシウム源
- 牛乳以外にも注意 — 加工食品にひそむ乳糖と表示の見方
- ラクターゼ酵素製剤とは — 仕組みと使い方の考え方
- 受診の目安 — こんな症状は乳糖不耐症ではないかもしれません
- 日本と米国、それぞれの資料が示すこと
- 二次性乳糖不耐症 — 感染症や胃腸炎のあとに一時的に起こるタイプ
- ライフステージ別に考える乳糖不耐症の症状との付き合い方
- 妊娠中・授乳中の場合
- 高齢期の場合
- 子どもの場合
- よくある質問
- 今日から始められること — 乳糖不耐症の症状との付き合い方の第一歩
- まとめ — 乳糖不耐症の症状とは「量を調整すれば付き合える体質」
- 参考文献
MSDマニュアル家庭版によると、乳糖不耐症の症状は、牛乳や乳製品を飲食してから数十分〜数時間のうちに、おなかの張り・おなら・腹痛・下痢が重なって現れることを指す[1]。厚生労働省の資料によれば、原因は小腸の消化酵素ラクターゼの働きが弱いことで、免疫が関わる牛乳アレルギーとは仕組みがまったく別であり、命に関わることは基本的にない[9]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
そして、乳糖不耐症だからといって牛乳・乳製品を全部やめる必要はないことが多い。米国NIDDKの資料では、量を減らす、他の食べ物と一緒にとる、ヨーグルトや熟成チーズを選ぶといった工夫で、症状を抑えながら付き合っていける人がほとんどだと紹介されている[11]。自己判断で乳製品を完全にやめてしまうと、今度はカルシウム不足という別の問題につながりかねないため、注意点も後半でまとめる。
要点まとめ
- MSDマニュアル家庭版によると、乳糖不耐症の症状は腹部膨満・おなら・腹痛・下痢の4つが中心で、乳製品を摂取してから30分〜2時間ほどで現れることが多い[1]。
- 日本家政学会誌の解説では、日本人を含む東アジアの成人はラクターゼの働きが生まれつき弱まりやすく、これは「病気」ではなく世界の成人の多数派に共通する体質だとされている[8]。
- 米国NIDDKの資料では、乳糖およそ12g(牛乳コップ1杯程度)までは症状が出ないか、出ても軽いことが多いとされている[11]。日本家政学会誌が紹介する研究では、分けて飲む、食事と一緒にとるといった工夫で量を増やせることもあるとされている[8]。
- NIDDKの資料では、ヨーグルトや熟成チーズは、発酵の過程で乳糖の多くがすでに分解・減少しているため、牛乳より症状が出にくいとされている[11]。
- 日本消化器病学会のガイドラインが挙げる警告徴候によれば、体重減少・血便・発熱・関節痛がある場合は、乳糖不耐症ではなく別の病気の可能性があるため、早めの受診が必要である[6](詳しくは「受診の目安」の章)。
〈編集方針〉JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・日本消化器病学会・MSDマニュアル・NIH(米国国立衛生研究所)などの公的機関・学会・医学文献と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値や分類はガイドラインの改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報です)。
自分の体質を知るための3つの視点(記録の付け方)
乳糖不耐症の症状かどうかは、血液検査より先に「食べたもの」と「症状」の関係を記録するだけでもかなり見えてくる。次の3点をメモしておくと、自分の体質を把握しやすく、受診時にも医師に伝えやすい。
- 量との関係:牛乳をコップ1杯飲んだときと、少量だけのときで症状の強さが変わるか。
- 一緒に食べたものとの関係:空腹で飲んだときと、食事と一緒にとったときで違いがあるか。
- 種類との関係:牛乳では症状が出るのに、ヨーグルトやチーズでは出ない、または軽いということがあるか。
この3つすべてで症状の強さが変わるなら乳糖不耐症の可能性が高く、逆にどれを食べても同じように症状が出るなら、乳糖不耐症以外の原因も考える必要がある。
乳糖不耐症の症状とは?おなかの張り・おなら・下痢が起こるまでの時間
乳糖不耐症の症状としてまず挙げられるのは、腹部膨満感・おなら(放屁)・腹痛・下痢の4つである。MSDマニュアル家庭版によると、これらの症状は乳糖を含む食品を摂取してから30分から2時間ほどで現れるとされている[1]。小児の場合はこれに加えて下痢や体重増加不良がみられることがある[1]。
症状が出るまでの時間には幅があり、MSDマニュアルプロフェッショナル版では、乳製品を摂取したあと症状が消えるまで数日間乳製品を控え、その後再び摂取して同じ症状が現れるかどうかで診断されると説明されている[2]。同じくMSDマニュアルプロフェッショナル版によれば、確定診断には、乳糖50gを飲んだあと2〜4時間かけて呼気中の水素濃度を測る水素呼気試験が使われることもある[2]。
症状が出る理由はシンプルで、小腸で作られる消化酵素ラクターゼが不足していると、乳糖を分解できないまま大腸まで届いてしまう。大腸にいる腸内細菌がこの未消化の乳糖を発酵させ、ガスと水分を増やすことで、腹部膨満・おなら・下痢という形で症状が出てくる。この仕組みをより詳しく知りたい場合は、乳糖不耐症の仕組みそのものを掘り下げた別記事も参考にしてほしい牛乳で下痢になるのはなぜ?乳糖不耐症・アレルギー・IBSの原因から最新対策まですべて。
| 症状 | 現れるまでの目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 腹部膨満感(おなかの張り) | 摂取後30分〜2時間[1] | ガスがたまることで生じる |
| おなら(放屁) | 摂取後30分〜2時間[1] | 腸内細菌による発酵が原因 |
| 腹痛・けいれん痛 | 摂取後30分〜2時間[1] | 大腸の動きが増すことで起こる |
| 水様性の下痢 | 摂取後30分〜2時間[1] | 大腸内の浸透圧が上がることが関係する |
出典:MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」[1]
ここで大切なのは、乳糖不耐症の症状は「消化がうまくいかない」ことによる不快な症状であり、命に関わる緊急事態ではないという点である。厚生労働省の資料によれば、これは、免疫の仕組みが関わり、重症化するとアナフィラキシーショックという生命に関わる状態に至ることもある牛乳アレルギーとは、根本的に別の病気である[9]。同じ厚生労働省の資料では、複数の症状が同時にかつ急激に現れる状態をアナフィラキシーと呼び、血圧が低下して意識レベルが下がるようなケースを特にアナフィラキシーショックと呼び、直ちに対応しないと生命に関わる重篤な状態としている[9]。厚生労働省の資料によれば、牛乳は、保育所などで除去される原因食物として鶏卵に次いで多いとされ、乳製品によるアレルギーは乳糖不耐症よりもまれではあるが、実際に起こりうるものである[9]。
| 比較項目 | 乳糖不耐症 | 牛乳アレルギー |
|---|---|---|
| 仕組み | ラクターゼという消化酵素の不足[1] | 免疫がタンパク質に反応するアレルギー反応[9] |
| 主な症状 | 腹部膨満・おなら・下痢[1] | じんましん・嘔吐・呼吸困難など全身症状もあり得る[9] |
| 命に関わるか | 基本的に関わらない | アナフィラキシーショックに至ることがある[9] |
| 少量の摂取 | 量によっては可能なことが多い[11] | 原因食物を完全に避けるのが基本[9] |
出典:MSDマニュアル家庭版[1]/厚生労働省「食物アレルギー・アナフィラキシー」[9]
アナフィラキシーを疑ったら、まず救急要請を
乳糖不耐症の症状と勘違いしやすいが、牛乳を口にしたあとに、じんましんなどの皮膚症状に加えて、息苦しさ・のどの締めつけ感・繰り返す嘔吐・意識がもうろうとするといった症状が同時に急激に現れた場合は、乳糖不耐症ではなくアナフィラキシーの可能性を考える必要がある。ためらわず119番などで救急要請し、横になって足を高くした姿勢で救急隊の到着を待ってほしい。厚生労働省の資料では、食物による重篤なアナフィラキシーショック症状に対して30分以内にアドレナリンを投与することが患者の生死を分けるとも言われているとされている[9]。同じ厚生労働省の資料によれば、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を医師から処方されている場合は、適切なタイミングでためらわずに使用し、使用したあとも必ず医療機関を受診する必要があるとされている[9]。
症状のパターンや両者の見分け方をさらに詳しく知りたい場合は、乳糖不耐症・牛乳アレルギー・IBS(過敏性腸症候群)を包括的に比較した記事もあわせて読んでほしい牛乳による下痢:日本人における乳糖不耐症と牛乳アレルギーの包括的分析と対処法。この記事では、乳糖不耐症の症状とどう付き合っていくかという、日々の食事の工夫に絞って掘り下げていく。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
なぜ日本人に乳糖不耐症が多いのか — ラクターゼの低下は「よくある体質」
乳糖不耐症の症状に悩む人の多くが気になるのが、「なぜ自分だけこうなるのか」という点だろう。結論から言うと、これは珍しい異常ではなく、人類の多数派に共通する、ごく普通の体質変化である。
ヒトは誰でも赤ちゃんのときはラクターゼを十分に持っており、母乳や育児用ミルクの乳糖を問題なく消化できる。日本家政学会誌の解説によれば、離乳が進むにつれてラクターゼの量は徐々に減っていくのが、哺乳類としてもともと備わっている性質である[8]。日本家政学会誌の同じ解説では、成人になってもラクターゼを作り続けられる体質(ラクターゼ持続性)を持つ人がいるのは、家畜の乳を日常的に利用してきた一部の地域で起きた遺伝的な変化によるものとされている[8]。日本家政学会誌の解説では、世界の成人人口の約90%がラクターゼの働きが弱い低ラクターゼ症の状態にあり、生涯を通じて高いラクターゼ活性を保ち、乳糖不耐の症状を出さずに多量の牛乳を飲める人(ラクターゼ持続症)はむしろ少数派だと述べられている[8]。つまり、世界的にみれば「ラクターゼが少ない」ほうが標準的な体質であり、日本人だけが特別というわけではない。
日本人についても、古くから弘前大学医学部のグループが日本消化器病学会雑誌に発表した研究で、健康な日本人成人の小腸ラクターゼ活性は欧米白人の約4分の1にとどまると報告されている[7]。同じ研究では、この活性低下の主な原因は、日本人の食生活で乳糖の摂取量そのものが少なかったことにあると結論づけられている[7]。つまり、体質だけでなく、それまでの食習慣も関係していると考えられている。
ここで誤解してほしくないのは、「ラクターゼが少ない=乳糖不耐症の症状が必ず出る」わけではないという点である。日本家政学会誌に掲載された解説では、ラクターゼを持たない体質(ラクターゼ非持続性)の比率が高い民族であっても、実際に乳糖不耐の症状が高い頻度で起こる場合と、そうでない場合があると指摘されている[8]。ラクターゼの量だけでなく、飲む量、飲み方、腸内細菌の状態など複数の要因が症状の出方に関わっていると考えられており、「ラクターゼが少ない体質だから一生牛乳を飲めない」と思い込む必要はない。
「体質」であって「病気」ではないという意味
乳糖不耐症の症状があっても、牛乳をやめなくていいことが多い理由
乳糖不耐症の症状が出るとわかると、「もう牛乳や乳製品を一切口にできない」と考えてしまいがちだが、それは必ずしも正しくない。米国国立衛生研究所(NIH)傘下のNIDDK(米国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所)は、多くの人が一度に乳糖およそ12g(牛乳コップ1杯に相当する量)までなら、症状が出ないか、出ても軽い程度で済むとする研究があると紹介している[11]。
つまり、乳糖不耐症の症状が出やすいかどうかは「乳糖をとるか、とらないか」の二択ではなく、「どれだけの量を、どんな飲み方でとるか」というグラデーションの問題である。ここでは、症状を抑えながら乳製品と付き合うための具体的な工夫を、根拠となる研究とあわせて紹介する。
①一度にとる量を減らし、分けて飲む
日本家政学会誌の解説によると、乳糖不耐症と診断されたメキシコ人成人121人を対象にした研究で、飲む牛乳の量を増やしていくと症状が出る人の割合も増えていく一方、同じ総量でも1回で飲まずに朝と夕方の2回に分けて飲んだ場合には、症状が出る人の割合が大きく下がったと報告されている[8]。分割して飲むことで、一度に小腸へ送り込まれる乳糖の量が減り、残っているラクターゼでも処理しきれる範囲に収まりやすくなるためと考えられている[8]。
| 飲乳量 | 1回で飲んだ場合に症状が出た割合 | 朝・夕の2回に分けた場合に症状が出た割合 |
|---|---|---|
| 25mL | 5.3% | 0% |
| 500mL | 28.2% | 8.1% |
| 750mL | 26.0% | 9.1% |
| 1,000mL | 15.3% | 15.0% |
出典:日本家政学会誌「乳糖不耐症と牛乳の飲み方」足立達(1987)が紹介する乳糖負荷試験の結果[8]。対象はメキシコ人成人121人で、日本人集団での数値ではない点に注意。1,000mLのような多い量ではこの研究では分割の効果がほとんど見られておらず、量が多いほど工夫の効果には限界があることもうかがえる。
②空腹で飲まず、食事と一緒にとる
NIDDKは、乳糖不耐症の症状を抑える工夫として、牛乳を少量ずつ、食事と一緒にとることを勧めている[11]。他の食べ物と一緒に胃に入ることで胃から腸へ送られる速度がゆるやかになり、乳糖が急に大量に小腸へ流れ込むのを防げると考えられている。
③冷たいまま一気に飲まず、温めたり時間をかけたりする
日本家政学会誌の解説では、冷やした牛乳を飲んだときに乳糖不耐の症状が現れやすく、温めた状態で飲んだときや、口の中に十分含んでから飲み込んだときには症状が軽くなる例が紹介されている[8]。日本家政学会誌の同じ解説によれば、胃の中でできる牛乳の凝固物(カード)の状態が変わり、胃から腸へ乳糖が出ていく速さが変わることが関係していると考えられている[8]。
④少しずつ量を増やしていく
NIDDKは、乳製品を少しずつ食生活に加えながら体調の変化を見ていくという方法も紹介している[11]。日本家政学会誌の解説でも、短期間で急に増やすのではなく、長い時間をかけて量を少しずつ増やしていくことで、症状を抑えながら摂取量を増やせる場合があるとされている[8]。ただし、日本家政学会誌の同解説は、これは全員に効果があると保証されたものではなく、体質や腸内細菌の状態によって効果には個人差があると考えられるとも述べている[8]。
⑤乳糖をあらかじめ分解した牛乳を選ぶ
国内の乳業メーカーからは、乳糖をあらかじめ酵素で分解した「ラクトースフリー」タイプの牛乳・乳飲料も販売されている。乳糖そのものが少ないため、同じ量の牛乳・乳製品でも乳糖不耐症の症状が出にくいという選択肢のひとつになる。栄養成分や価格は商品によって異なるため、パッケージの表示を確認して選ぶとよい。
ヨーグルト・熟成チーズなど乳糖不耐症の症状が出にくい食品
乳糖不耐症の症状が牛乳では出るのに、ヨーグルトやチーズでは出ない、または軽いという経験がある人は多いのではないだろうか。これは気のせいではなく、乳製品ごとに乳糖の量や状態が違うことによる、理にかなった現象である。
ヨーグルトが比較的食べやすい理由
ヨーグルトは、乳酸菌が乳を発酵させて作られる。この発酵の過程で、乳酸菌自身が乳糖を分解する酵素(β-ガラクトシダーゼ)を作り出し、乳糖の一部をあらかじめ分解してしまう。そのため、同じ量の牛乳と比べて、実際に大腸まで届く未消化の乳糖の量が少なくなると考えられている。NIDDKも、乳糖不耐症の症状を抑える工夫のひとつとして、ヨーグルトや後述する熟成チーズなど、他の乳製品より乳糖が少ない食品を試すことを挙げている[11]。
熟成チーズが比較的食べやすい理由
チーズも、種類や熟成期間によって乳糖の量が大きく変わる。チーズを作る過程では、乳のタンパク質と脂肪を固めて(凝乳)水分(ホエー)を分離するが、乳糖の多くはこのホエーとともに取り除かれる。さらに、チェダーやスイスチーズのように長期間熟成させるタイプでは、熟成中の発酵によって残った乳糖もさらに分解されていくため、乳糖の量はごくわずかになる。NIDDKは、チェダーやスイスのような熟成した硬質チーズを、乳糖の少ない選択肢として具体的に挙げている[11]。
一方で、フレッシュタイプのチーズ(カッテージチーズなど)は熟成期間が短いため乳糖が比較的残りやすく、熟成チーズと同じようには考えにくい。「チーズだから大丈夫」と一括りにせず、熟成の度合いで判断する視点を持つとよい。
| 食品 | 乳糖が少ない理由 | 選ぶときの視点 |
|---|---|---|
| ヨーグルト | 乳酸菌が発酵の過程で乳糖の一部を分解する[11] | 無糖・プレーンタイプを少量から試す |
| 熟成した硬質チーズ(チェダー・スイスなど) | 製造時にホエーとして乳糖の多くが除かれ、熟成でさらに減る[11] | 熟成期間が長いものほど乳糖が少ない傾向 |
| フレッシュチーズ(カッテージチーズなど) | 熟成期間が短く乳糖が残りやすい | 熟成チーズと同列に考えず、少量から試す |
| 乳糖分解済みの牛乳・乳飲料 | 製造段階で酵素により乳糖があらかじめ分解されている | パッケージの「ラクトースフリー」等の表示を確認 |
出典:NIDDK「Eating, Diet, & Nutrition for Lactose Intolerance」[11]
カルシウム不足に注意 — 乳製品をやめすぎることのリスク
ここからは、乳糖不耐症の症状を避けようとするあまり見落とされがちな、もうひとつの問題を取り上げる。それは、自己判断で乳製品を完全にやめてしまうことで起こりうる、カルシウム不足である。
牛乳・乳製品は、日本人の食生活の中でカルシウムを効率よくとれる代表的な食品である。乳糖不耐症の症状を理由に乳製品を大きく減らす、あるいは完全にやめてしまうと、意識してカルシウムを補わない限り、カルシウムの摂取量が不足しやすくなる。e-ヘルスネット(厚生労働省)によれば、カルシウム不足が長期間続くと、骨の中のカルシウムが少なくなり骨が弱くなる骨粗鬆症のリスクが高まることが知られており、特に閉経後の女性や高齢者で注意が必要とされている[4]。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、カルシウムの1日あたりの推奨量として、成人男性で750mg(18〜29歳は800mg)、成人女性で650mg(75歳以上は600mg)という数値が示されている[5]。これは牛乳をまったく飲まない人でも意識してとるべき量であり、乳糖不耐症の症状がある人にとってはなおさら重要な数字になる。
乳製品以外のカルシウム源
幸い、カルシウムは乳製品だけに含まれる栄養素ではない。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、骨粗鬆症予防のための食生活として、小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻、豆腐などの大豆製品を取り入れることが勧められている[4]。また、カルシウムは牛乳・乳製品のほか、小魚などにも多く含まれるとされている[5]。日本の食卓になじみのある小魚・大豆製品・青菜・海藻をうまく組み合わせれば、乳製品を減らしても必要なカルシウムに近づけることは十分に可能である。
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)「骨粗鬆症の予防のための食生活」[4]/同「カルシウム」[5]
e-ヘルスネットでは、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKなど、カルシウム以外の栄養素もあわせて必要になると説明されている[4]。カルシウムだけを単独で増やそうとするのではなく、日々の食事全体のバランスの中で考えることが大切である。
自己判断での「乳製品ゼロ」は避けたい
- 乳糖不耐症の症状がつらいからといって、医師に相談せず乳製品を完全に断つのは避けたほうがよい。
- 乳製品を減らす場合は、小魚・大豆製品・青菜・海藻など、他のカルシウム源を意識して増やす。
- e-ヘルスネット(厚生労働省)の資料によれば、特に成長期の子ども、妊娠中・授乳中の人、高齢者は、カルシウム不足の影響を受けやすいため注意が必要である[4]。
牛乳以外にも注意 — 加工食品にひそむ乳糖と表示の見方
乳糖不耐症の症状というと牛乳やヨーグルトを思い浮かべやすいが、乳糖は牛乳そのものだけでなく、さまざまな加工食品にも使われている。菓子パン、洋菓子、カレーやシチューのルウ、インスタントスープ、一部のハムやソーセージなど、牛乳を主役として使っていない食品にも、原材料として乳成分(脱脂粉乳など)が使われていることがある。
症状の記録をつけていても、「牛乳もヨーグルトも控えているのに、なぜか症状が出る日がある」という場合は、こうした加工食品に含まれる乳糖が原因になっている可能性がある。日本国内で販売される加工食品には原材料表示があり、乳成分を含む場合は「乳成分を含む」といった表示や、原材料名の欄に乳製品由来の成分が記載される。乳糖不耐症の症状が強く出やすい人は、購入前に原材料表示を確認する習慣をつけておくと、思わぬ症状を避けやすくなる。
一方で、乳糖はあくまで乳製品由来の糖であり、乳製品を使っていない食品にまで神経質になりすぎる必要はない。「症状が出た日に何を食べたか」を振り返り、パターンが見えてきたら、その食品を意識的にチェックするという順番で十分である。
ラクターゼ酵素製剤とは — 仕組みと使い方の考え方
乳糖不耐症の症状を抑えるもうひとつの選択肢が、不足しているラクターゼを外から補うラクターゼ酵素製剤である。MSDマニュアル家庭版によれば、牛乳やチーズなど乳糖を含む飲食物を口にする前にこの酵素をとることで、体内のラクターゼが足りない分を補い、乳糖をあらかじめ分解しておくという考え方に基づいている[1]。
MSDマニュアル家庭版では、ラクターゼ酵素のサプリメントは、乳糖を含む飲食物を摂取する際にあわせてとることで症状を抑える選択肢として紹介されている[1]。また、小児慢性特定疾病情報センターの解説でも、β-ガラクトシダーゼ製剤によってラクターゼの働きを補うという考え方が示されている[3]。ただし、これはもともと生まれつきラクターゼをほとんど作れない、まれな先天性のタイプについての説明であり、効果の程度は個人差があるとされている[3]。
日本国内での実際の入手方法は、医薬品としての扱いか、健康食品・サプリメントとしての扱いかによって異なり、店舗や通販サイトによっても取り扱いに差がある。自己判断で長期間使い続けるのではなく、症状が続く場合や量の目安に迷う場合は、薬剤師や医師に相談しながら使うのが望ましい。なお、用量や組み合わせは製品や個人の状態によって異なるため、この記事では具体的な量には触れない。パッケージの表示や医療者の指示に従ってほしい。
ラクターゼ酵素製剤は、あくまで乳糖を分解する手助けをする食品・医薬品であり、飲めば体質そのものが変わって将来的にラクターゼが増えるというものではない。乳製品をとるたびに、その都度あわせて利用するという位置づけで考えるとよい。外食や旅行など、食事の内容を自分でコントロールしにくい場面で乳製品を口にする可能性があるときに、あらかじめ持っておくと安心という人もいる。効果の感じ方には個人差があり、少量から試してみて自分に合うかどうかを確かめるのが現実的である。
受診の目安 — こんな症状は乳糖不耐症ではないかもしれません
乳糖不耐症の症状は不快ではあるが、命に関わることは基本的にない。しかし、「乳製品を飲食したあとにおなかの調子が悪くなる」という症状だけで自己判断してしまうと、本当は別の病気が隠れているケースを見逃してしまう危険がある。
日本消化器病学会がまとめた機能性消化管疾患診療ガイドライン2020(過敏性腸症候群)では、腹痛や便通異常のある患者を診るときに、器質的な病気を疑うべき「警告症状・徴候」として、発熱、関節痛、血便、6か月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少、腹部にしこりが触れるといった異常な身体所見を挙げている[6]。日本消化器病学会の同ガイドラインでは、これらの警告症状・徴候がひとつでもあれば、大腸内視鏡検査などの精密検査を行うことが、診療を進めるうえでの基準とされている[6]。乳糖不耐症の症状だと思っていても、次のようなサインがあれば、乳糖不耐症以外の病気を疑って医療機関を受診してほしい。
乳糖不耐症ではなく、受診が必要なサイン(日本消化器病学会のガイドラインが挙げる警告症状・徴候をもとに作成)
これらのサインは、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、小麦のタンパク質に対する免疫反応であるセリアック病、感染症、まれには大腸がんなど、乳糖不耐症とはまったく別の病気の可能性を示していることがある。特に血便や原因不明の体重減少は、乳糖不耐症だけでは説明がつきにくい症状であり、消化器内科など専門の医療機関での相談が望ましい。
それぞれのサインが重要視される理由も知っておくと、症状を軽く見過ごさずに済む。日本消化器病学会のガイドラインの考え方に沿っていえば、体重減少は、乳糖不耐症だけでは通常説明できない栄養の吸収不良や、炎症・腫瘍性の病気が背景にある可能性を示す[6]。同様に、血便は、大腸の粘膜に炎症やびらん、あるいは腫瘍性の変化が起きているサインになりうる[6]。日本消化器病学会のガイドラインでは、発熱を伴う場合は、単なる消化不良ではなく、感染や炎症が体全体に広がっている可能性を考える必要があるとされている[6]。日本消化器病学会の同ガイドラインが関節痛を警告症状・徴候のひとつとして挙げているのも、消化器だけでなく全身に及ぶ炎症性の病気が背景にある可能性を考えるためである[6]。
ここからはJHO編集部の考え方になるが、夜中に目が覚めるほどの下痢や腹痛は、乳糖不耐症の典型的なパターンとは考えにくい。乳糖不耐症の症状は、通常、乳製品を摂取したことをきっかけに起こるため、乳製品をとっていない睡眠中に悪化し続けるとしたら、乳糖不耐症以外の原因も含めて考えたほうがよい、というのがJHO編集部の見立てである。
逆に言えば、これらのサインがなく、乳製品をとったときだけ症状が現れ、控えれば落ち着くというパターンがはっきりしているなら、乳糖不耐症の症状として説明がつく可能性が高い。すべての下痢や腹痛を心配しすぎる必要はないが、「いつもと違う」「乳製品と関係なく続く」と感じたときは、遠慮せずに医療機関を頼ってほしい。
実際に、こうした症状を伴う大腸の病気について詳しく知りたい場合は、潰瘍性大腸炎の解説記事も参考にしてほしい潰瘍性大腸炎。
また、乳糖不耐症の症状は、便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)の症状と重なる部分もある。日本消化器病学会のガイドラインでは、ミルクや乳製品の摂取によって下痢が誘発される乳糖不耐症の患者がIBSと診断されているケースについて、乳糖を制限する食事療法で症状が有意に改善したとする報告が紹介されている[6]。つまり、乳糖不耐症とIBSは併存することもあり、どちらか一方だけが原因とは限らない。両者の見分け方についてさらに詳しく知りたい場合は、IBSの警告サインをまとめた記事も参考になる【過敏性腸症候群(IBS)の8つのサイン】腹痛・下痢・便秘をくり返すときの原因と受診の目安。
日本と米国、それぞれの資料が示すこと
受診の目安について、日本消化器病学会のガイドラインは、体重減少・血便・発熱などの警告症状・徴候があれば、大腸内視鏡検査などの精密検査を優先すべきだとしている[6]。米国NIDDKの資料は、この警告症状・徴候そのものを一覧で挙げてはいないが、小腸を傷つける感染症や病気が原因の続発性乳糖不耐症について、原因となる病気を治療すれば乳糖を再びとれるようになる可能性があるとしている[10]。乳製品の扱いについては、日本消化器病学会のガイドラインが乳糖制限の食事療法によってIBSの症状が改善したとする報告を紹介している一方[6]、NIDDKの資料は、完全に除去するのではなく量を調整する工夫を優先する考え方を示している[11]。それぞれの資料が何を挙げ、何を挙げていないかを読み比べて、判断の材料にしてほしい。
二次性乳糖不耐症 — 感染症や胃腸炎のあとに一時的に起こるタイプ
乳糖不耐症には、実はいくつかのタイプがある。ここまで説明してきたのは、離乳後にラクターゼが徐々に減っていく、成人でもっとも多いタイプ(原発性)である。これとは別に、感染症や炎症によって小腸の粘膜が傷つくことで、一時的にラクターゼの働きが落ちる「二次性(続発性)乳糖不耐症」というタイプがある。
MSDマニュアルプロフェッショナル版では、続発性のラクターゼ欠乏症は、セリアック病や急性の腸管感染症など、小腸粘膜を傷つける病気によって起こるとされている[2]。同じMSDマニュアルによれば、原発性のタイプと違い、続発性の場合は原因となっている病気から回復すれば、ラクターゼの働きも回復していくとされている点が大きな特徴である[2]。米国NIDDKの資料では、小腸を傷つける感染症や病気が原因を治療されれば、再び乳糖をとれるようになる可能性があると説明されている[10]。
つまり、胃腸炎などで下痢が続いたあと、しばらく牛乳を飲むとおなかの調子が悪くなるという場合、それは一生続く体質の変化ではなく、腸が回復するまでの一時的な変化である可能性がある。数週間から数か月かけて、少しずつ乳製品を試しながら回復の様子をみていくのが現実的な対応になる。
MSDマニュアルプロフェッショナル版によれば、どのくらいの期間で回復するかは、もとになっている病気の重さや種類によって差が大きく、一律の目安を示すことは難しいと考えられている[2]。感染性の胃腸炎のあとであれば数週間程度で落ち着くこともあれば、腸の炎症が長引く病気が背景にある場合はもっと時間がかかることもある。焦って牛乳の量を元に戻そうとせず、体調を見ながら少しずつ試していくことが大切である。二次性かどうかの見極めも含めて、症状が長引く場合は自己判断せず医師に相談してほしい。
| タイプ | 主な原因 | ラクターゼの回復 |
|---|---|---|
| 原発性(成人でもっとも多いタイプ) | 離乳後にラクターゼが自然に減っていく[8] | 基本的に元の水準には戻らないと考えられている |
| 二次性(続発性) | 感染性腸炎・セリアック病など小腸粘膜を傷つける病気[2] | 原因となる病気が治れば回復することが多い[2][10] |
| 先天性(きわめてまれ) | ラクターゼを作る遺伝子(LCT遺伝子)の異常[3] | 回復は期待しにくいとされる[3] |
出典:MSDマニュアルプロフェッショナル版[2]/NIDDK[10]/小児慢性特定疾病情報センター[3]
なお、先天性乳糖不耐症は、新生児期や乳児早期からごく少量の乳糖でも著しい下痢を起こす、極めてまれな遺伝性の病気であり、厚生労働省が指定する小児慢性特定疾病の対象にもなっている[3]。成人になってから初めて症状が出てきた場合の多くは、この先天性タイプではなく、原発性または二次性のいずれかと考えられる。
ライフステージ別に考える乳糖不耐症の症状との付き合い方
乳糖不耐症の症状との付き合い方は、年齢やそのときの体の状態によっても変わってくる。ここでは、特に相談が多い3つの場面について触れておく。
妊娠中・授乳中の場合
妊娠中・授乳中はカルシウムの需要が高まる時期であり、乳糖不耐症の症状を理由に乳製品を大きく減らすと、カルシウム不足の影響がより出やすくなる。前述のとおり、小魚・大豆製品・青菜・海藻などでカルシウムを補いながら、乳製品は少量ずつ・食事と一緒にとるといった工夫を組み合わせるとよい。体調や症状の程度は個人差が大きいため、心配な場合は産婦人科や栄養の専門家に相談してほしい。
高齢期の場合
e-ヘルスネット(厚生労働省)によれば、高齢になるとカルシウムの推奨量自体は下がる一方で、骨粗鬆症のリスクはむしろ高まっていく[4]。乳糖不耐症の症状があるからといって乳製品を避け続けると、カルシウム不足のリスクと症状のつらさの両方を抱えることになりかねない。ヨーグルトや熟成チーズ、乳糖分解済みの牛乳などを使い分けながら、無理のない範囲でカルシウム源を確保する視点が大切である。
子どもの場合
MSDマニュアルプロフェッショナル版によれば、子どもでも乳糖不耐症の症状が起こることはあり、特に胃腸炎のあとに一時的な二次性のタイプとして現れることが比較的多い[2]。子どもは大人以上に乳製品からのカルシウムや栄養に頼っている割合が高いため、自己判断で長期間乳製品を除去し続けるのではなく、小児科医に相談しながら進めることが望ましい。
保育園や学校給食で毎日牛乳が出る家庭では、「乳糖不耐症の症状が心配だから飲ませたくない」と考える保護者もいるだろう。自己判断で給食の牛乳を止めるのではなく、まずは小児科医に相談し、必要であれば診断や対応方針について園・学校側と共有できる形にしておくと、現場でも対応しやすくなる。量を減らす、乳糖分解済みの牛乳に替えるなど、対応の選択肢は状況によって異なるため、家庭だけで抱え込まず、医療者と教育・保育の現場の両方と相談しながら進めるのが望ましい。
乳糖不耐症の症状のように、特定の食品をとると腸の調子が崩れるという経験は、腸内環境そのものへの関心にもつながりやすい。腸の状態が全身の健康や気分にどう関わっているかについては、腸と脳の関係を扱った記事でも詳しく取り上げているので、あわせて参考にしてほしい腸脳相関とは?食事と腸内環境でメンタルヘルスを整える科学。また、牛乳の代わりに何を選ぶかで迷ったときは、豆乳など牛乳以外のミルクの選び方を比較した記事も参考になる糖尿病のミルクの選び方|牛乳・豆乳の比較と目安量。
受診のときに持っていくメモ(チェックリスト)
- 症状が始まったのはいつ頃か(急に始まった/少しずつ悪化した)
- どんな食品をとった後に症状が出やすいか(牛乳/ヨーグルト/チーズなど)
- 症状が出るまでの時間はどれくらいか
- 体重の変化、血便、発熱の有無
- 乳製品をとっていないときにも同じ症状が出るか
- 今使っている薬やサプリメント
- 医師に聞きたいこと(検査は必要か、どのくらい乳製品を控えればよいかなど)
乳糖不耐症の症状の重さと、実際に測定した小腸のラクターゼ活性の低さが、必ずしも比例するとは限らないという点については、今回参照した資料の中でも踏み込んだ数値までは記載が見当たりませんでした。また、乳糖不耐症の症状と腸内細菌の種類や状態との関係についても、研究が進みつつある分野であり、今回の記事では確立した結論としては扱っていません。特定の乳酸菌サプリメントが症状をどの程度改善するかについても、製品ごとの効果を比較できるだけの確かな根拠は、今回参照した資料からは十分に確認できませんでした。
よくある質問
ヨーグルトなら乳糖不耐症の症状は出ませんか?
チーズは食べても大丈夫ですか?
子どもでも乳糖不耐症になりますか?
乳糖不耐症とIBS(過敏性腸症候群)はどう違いますか?
ラクターゼのサプリメントはどこでも使えますか?
ヨーグルトなどの乳酸菌サプリメントを飲めば乳糖不耐症の症状は治りますか?
今日から始められること — 乳糖不耐症の症状との付き合い方の第一歩
ここまで紹介してきた工夫は、どれも今日から始められるものばかりである。最後に、優先順位をつけてまとめておく。
- まずは記録から:何を食べたら、どのくらい時間がたって、どんな症状が出たかを1〜2週間メモしてみる。
- 量を調整する:牛乳を一気に飲まず、少量ずつ、食事と一緒にとってみる。
- 食品を選び分ける:牛乳で症状が出るなら、まずはヨーグルトや熟成チーズを試してみる。
- カルシウム源を見直す:e-ヘルスネット(厚生労働省)が勧めるとおり、乳製品を減らす分、小魚・大豆製品・青菜・海藻を意識してとる[4]。
- 危険なサインを覚えておく:日本消化器病学会のガイドラインが示す警告徴候である、体重減少・血便・発熱・関節痛があれば、迷わず受診する[6]。
乳糖不耐症の症状は、多くの場合、工夫次第で十分にコントロールできるものである。「牛乳が飲めない自分」を責めるのではなく、自分の体質にあった付き合い方を見つけていくという視点で向き合ってほしい。
まとめ — 乳糖不耐症の症状とは「量を調整すれば付き合える体質」
MSDマニュアル家庭版によれば、乳糖不耐症の症状は、腹部膨満・おなら・腹痛・下痢という不快な症状ではあるが[1]、厚生労働省の資料が示すとおり、免疫が関わり命に関わることもある牛乳アレルギーとは違い、基本的には命に関わるものではない[9]。日本家政学会誌の解説によれば、日本人を含む東アジアの成人にラクターゼの働きが弱い人が多いのは、珍しい異常ではなく、世界の成人の多数派に共通する体質の変化だと考えられている[8]。
大切なのは、「乳糖不耐症=乳製品を一切とれない」と思い込まないことである。米国NIDDKの資料が示すように、一度にとる量を減らす、食事と一緒にとる、ヨーグルトや熟成チーズなど乳糖の少ない食品を選ぶ、乳糖分解済みの牛乳を使う、必要に応じてラクターゼ酵素製剤を利用するといった工夫を組み合わせれば、症状を抑えながら乳製品と付き合っていける人が多い[11]。一方で、乳製品をやめすぎることによるカルシウム不足のリスクにも目を向け、e-ヘルスネット(厚生労働省)が挙げる小魚・大豆製品・青菜・海藻など乳製品以外のカルシウム源も意識してほしい[4]。
そして、体重減少・血便・発熱・関節痛といった、乳糖不耐症だけでは説明のつかないサインがあるときは、日本消化器病学会のガイドラインが示すとおり、自己判断で「乳糖不耐症だから」と片づけず、消化器内科など医療機関を受診してほしい[6]。
参考文献
- MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/03-消化器系の病気/吸収不良/乳糖不耐症
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「炭水化物不耐症」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/01-消化管疾患/吸収不良症候群/炭水化物不耐症
- 小児慢性特定疾病情報センター「乳糖不耐症 概要」https://www.shouman.jp/disease/details/12_01_001/
- e-ヘルスネット(厚生労働省)「骨粗鬆症の予防のための食生活」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-007.html
- e-ヘルスネット(厚生労働省)「カルシウム」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-042.html
- 日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)」https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/IBSGL2020_.pdf
- 日本消化器病学会雑誌「日本人(成人)の乳糖不耐症」佐々木義楼(1971年)https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi1964/68/1/68_1_37/_pdf
- 日本家政学会誌「乳糖不耐症と牛乳の飲み方」足立達(1987年)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/38/1/38_1_77/_pdf
- 厚生労働省「食物アレルギー・アナフィラキシー」(保育所等における対応に関する検討資料)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zj6g-att/2r9852000000zjan.pdf
- NIDDK(米国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所)「Symptoms & Causes of Lactose Intolerance」https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/lactose-intolerance/symptoms-causes
- NIDDK(米国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所)「Eating, Diet, & Nutrition for Lactose Intolerance」https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/lactose-intolerance/eating-diet-nutrition
更新日:2026年7月25日。この記事の内容に誤りや古い情報を見つけた場合は、編集部までご連絡ください。いただいたご指摘は内容の見直しに役立てます。
この記事について(運営者情報・免責事項) タップで表示
医療情報に関する重要なお知らせ
本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
