糖尿病の食事、炭水化物は何%が目安?日本糖尿病学会の基準と実践法
この記事でわかること
目次
- 炭水化物・糖質・食物繊維の違いと、血糖が上がる仕組み
- 糖質摂取量の基準 — 日本糖尿病学会・厚生労働省のガイドライン
- 「糖質制限」は正解なのか — 日本糖尿病学会の立場と、まだ結論が出ていないこと
- 日本と海外の資料を比べて見えてくること
- 「50〜60%」という数字はどこから来たのか — ガイドラインが変わってきた経緯
- お酒(アルコール)と炭水化物 — 見落とされがちな数量
- 実践編 — 皿の組み立て方から始める、無理のない糖質管理
- 1型糖尿病と2型糖尿病で、糖質の考え方は違うのか
- 間食・果物・調味料に隠れた糖質 — 見落としやすいポイント
- 代表的な食品のGI(グリセミック・インデックス)の考え方
- 食後血糖を左右する「食べる速さ」「食べる順番」「食事の間隔」
- 運動と糖質摂取の関係 — 「運動しているから多く食べていい」わけではない理由
- 年代・状態別に考える炭水化物管理 — 高齢者・腎機能低下・妊娠糖尿病の場合
- 外食・中食が多い人のための、炭水化物を意識した選び方
- 食物繊維を無理なく増やす具体的な工夫
- 薬物治療を受けている人が糖質量を変えるときの注意点
- カーボカウントとは — インスリン量を糖質量に合わせて調整する考え方
- 1週間の食事バランスをイメージする — 具体的な組み立て例
- よくある質問
- 参考文献
糖尿病の食事療法において、炭水化物の割合を「何%にすべきか」という唯一の正解は存在しません。日本糖尿病学会は長年、総エネルギー摂取量の50〜60%を糖質から摂ることを目安としてきましたが、これは絶対的な下限や上限を意味する数値ではなく、年齢・体格・薬物治療の内容・腎機能などに応じて個別に調整すべき「出発点」です。(日本糖尿病学会)[1]
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極端に炭水化物を減らす「糖質制限」については、短期的に血糖や体重が改善したとする報告がある一方、長期的な安全性やほかの治療法との優劣は確立していません(日本糖尿病学会)[3]。今日からできることは、「糖質を何%にするか」を1人で決めるのではなく、皿の組み立て方(主食・主菜・副菜の配分)とGI・食物繊維の選び方から見直すことです。
要点まとめ
- 日本糖尿病学会は炭水化物エネルギー比50〜60%を目安としているが、これは個別化を前提とした目安であり、一律の「正解の割合」ではない(日本糖尿病学会)[1]
- 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一般成人(1歳以上)の糖質エネルギー比の目標量は50〜65%とされている(厚生労働省)[2]
- 糖尿病食品交換表では「1単位=80kcal」という単位で栄養バランスを計算する仕組みが使われている(日本糖尿病学会)[4]
- 極端な糖質制限(ケトン食に近いレベル)は長期の安全性が確立しておらず、日本糖尿病学会は慎重な立場を示している(日本糖尿病学会)[3]
- 空腹時血糖値や食後高血糖の急激な悪化を感じるとき(強い口渇・多尿・急激な体重減少など)は、自己判断で食事量を変える前に主治医・管理栄養士に相談する(日本糖尿病学会)[1]
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。
🧮 主食の目安量を「単位」で考える早見表
| 食品 | 1単位(80kcal)の目安量 | 備考 |
|---|---|---|
| ごはん(精白米) | 約50g(茶碗に軽く半分弱) | 普通盛りの茶碗1杯は約2.5〜3単位に相当することが多い(日本糖尿病学会)[4] |
| 食パン(6枚切り) | 約1/2枚 | 菓子パン・調理パンは脂質分が別途加算される(日本糖尿病学会)[4] |
| うどん(ゆで) | 約80g | つゆの糖分・塩分は別に考慮が必要(日本糖尿病学会)[4] |
出典:日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」(日本糖尿病学会)[4]
炭水化物・糖質・食物繊維の違いと、血糖が上がる仕組み
「炭水化物」は体内で消化・吸収されるとブドウ糖に変わる「糖質」と、消化されずにほぼそのまま大腸まで届く「食物繊維」を合わせた総称です(厚生労働省)[2]。食後に血糖値を上げるのは主に糖質のほうで、食物繊維は血糖値をほとんど上げないだけでなく、糖の吸収速度を緩やかにする働きがあるとされています(日本糖尿病学会)[1]。同じ「炭水化物◯g」という表示でも、精製度の低い穀物や野菜を多く含む食事と、砂糖や精製された小麦粉を多く含む食事とでは、食後の血糖の上がり方(食後高血糖)が異なりやすいことが知られています(日本糖尿病学会)[1]。
食事から摂った糖質はブドウ糖として腸から吸収され、血液中の血糖値を上昇させます。健康な体では、この上昇に応じて膵臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込ませることで血糖値を正常範囲に戻します(厚生労働省)[2]。糖尿病では、インスリンの分泌そのものが不足している場合と、インスリンは出ているのに効きが悪くなっている場合(インスリン抵抗性)があり、どちらの場合も食後の血糖値が下がりにくくなります(厚生労働省)[2]。同じ量の糖質を摂っても、皿全体の組み立て方によって糖質の吸収スピードが変わるため、「量」に加えて「食べ方・組み合わせ方」も血糖管理の重要な要素になります。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
糖質摂取量の基準 — 日本糖尿病学会・厚生労働省のガイドライン
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」では、糖尿病の食事療法における炭水化物の割合について、総エネルギー摂取量の50〜60%を目安とし、残りを蛋白質20%以下、脂質を中心に配分する考え方が長く採用されてきました(日本糖尿病学会)[1]。一方、健康な人も含めた一般的な栄養摂取の基準を定める厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では、1歳以上のすべての年齢層に共通する糖質エネルギー比の目標量として50〜65%という範囲が示されています(厚生労働省)[2]。
| 項目 | 基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 糖尿病の食事療法(目安) | 総エネルギーの50〜60% | 個々の年齢・体格・薬物治療・合併症により調整(日本糖尿病学会)[1] |
| 日本人の食事摂取基準(一般、1歳以上) | 総エネルギーの50〜65% | 糖尿病の有無を問わない一般的な目標量(厚生労働省)[2] |
| 蛋白質 | 総エネルギーの20%以下が目安とされる場合が多い | 腎機能低下がある場合は制限が必要になることがある(日本糖尿病学会)[1] |
出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(日本糖尿病学会)[1](厚生労働省)[2]
この2つの基準の下限(50%)はほぼ同じ数値ですが、上限には差があります。糖尿病の食事療法の目安(〜60%)は、食後血糖の管理という観点を重視した数値である一方、食事摂取基準の目標量(〜65%)は健康な集団全体を対象にした値であるため、単純にどちらか一方が「正しい」と決められるものではありません(日本糖尿病学会)[1](厚生労働省)[2]。
受診の目安 — すぐに医療機関へ相談したいサイン
「糖質制限」は正解なのか — 日本糖尿病学会の立場と、まだ結論が出ていないこと
糖質(炭水化物)の摂取量を大きく減らす「糖質制限食」は、短期的には体重減少や食後血糖の改善につながったとする研究報告があります(日本糖尿病学会)[3]。しかし日本糖尿病学会は、極端な糖質制限について、長期にわたる安全性やほかの食事療法と比較した優位性が十分に確立されていないという立場を示してきました(日本糖尿病学会)[3]。特に、腎機能に問題がある人、成長期の子ども、妊娠中の人などでは、蛋白質や脂質の摂取が相対的に増えることによる影響が懸念されるため、自己判断での極端な糖質制限は推奨されていません(日本糖尿病学会)[3]。
つまり現時点で言えるのは、「炭水化物を減らせば減らすほど良い」という単純な話ではなく、「どの程度まで減らすかは、個人の病状・治療内容・生活背景によって医療者と相談しながら決めるべき」ということです(日本糖尿病学会)[1](日本糖尿病学会)[3]。この点は日本国内でも意見が分かれており、確定的な結論は出ていません。
日本と海外の資料を比べて見えてくること
米国国立医学図書館(NLM)が公開しているStatPearlsの糖尿病に関する解説でも、食事療法は「糖質・総カロリーの管理」と「定期的な運動」を組み合わせることが治療成績を左右する要素として位置づけられており、栄養士や糖尿病療養指導士と連携した個別対応が基本とされています(StatPearls)[6]。日本糖尿病学会が炭水化物エネルギー比50〜60%という具体的な範囲を目安として示しているのに対し、この海外資料は特定の割合(%)を前面に出すのではなく、「糖質・カロリー管理+運動+専門職との連携」という枠組みを重視している点で、数値の示し方に違いがあります(日本糖尿病学会)[1](StatPearls)[6]。
| 項目 | 日本(日本糖尿病学会) | 海外の代表的資料(StatPearls) |
|---|---|---|
| 炭水化物の割合の示し方 | 総エネルギーの50〜60%を目安として提示(日本糖尿病学会)[1] | 具体的な割合よりも「糖質・総カロリーの管理」という枠組みを重視(StatPearls)[6] |
| 低炭水化物食への立場 | 長期的安全性が未確立として慎重(日本糖尿病学会)[3] | 個々の割合よりも運動療法・専門職連携とのセットを強調(StatPearls)[6] |
この違いを知っておくべき理由は、海外の情報(特に英語圏のSNSやブログ)で断片的な数値だけが紹介されているのを見たとき、日本の学会の立場と単純比較して混乱しないためです。どちらが絶対的に正しいという話ではなく、「糖質量を含む食事全体を、専門職と連携しながら個別に管理する」という方向性そのものは共通しています(日本糖尿病学会)[1](StatPearls)[6]。
「50〜60%」という数字はどこから来たのか — ガイドラインが変わってきた経緯
日本糖尿病学会が炭水化物エネルギー比の目安として50〜60%という範囲を示す考え方は、一度に決まったものではなく、複数回のガイドライン改定を経て現在の形になっています(日本糖尿病学会)[1]。学会は2013年に、糖質制限食に関する社会的な関心の高まりを受けて、極端な糖質制限の長期的な安全性・有効性についての見解を提言としてまとめ、根拠が十分でないことを明確にしました(日本糖尿病学会)[3]。その後のガイドライン改定でも、糖質の割合について一律の「唯一の正解」を新たに設定するのではなく、個々の患者の病態・嗜好・アドヒアランス(治療継続のしやすさ)に応じて調整するという個別化の考え方が、版を重ねるごとに強調されるようになってきました(日本糖尿病学会)[1]。
この経緯を知っておく意味は、「昔の基準」と「今の基準」がSNSやまとめサイトで混在して紹介されていることが少なくないためです。特に、数値だけを切り取った情報(「50%」「60%」「40%以下」など)が独り歩きしていることがあり、その数値がいつの時点の、どの学会の、どのような対象者向けの目安なのかを確認しないまま実践すると、自分の状態に合わない可能性があります。数値そのものより、「個別化」という考え方の変化を理解しておくことが実践的です(日本糖尿病学会)[1]。
お酒(アルコール)と炭水化物 — 見落とされがちな数量
アルコール飲料の中でも、日本酒・ビール・甘いカクテル・梅酒などは糖質を多く含み、糖質量の計算に含める必要があります(日本糖尿病学会)[4]。一方、蒸留酒(焼酎・ウイスキー・ウォッカなど)は糖質をほとんど含みませんが、アルコールそのものが肝臓での糖の代謝に影響を与え、特に空腹時の飲酒や、インスリン・SU薬使用中の飲酒は低血糖のリスクを高めることが知られています。「糖質ゼロ」の表示があるお酒でも、飲酒量が多くなればアルコール由来のエネルギー摂取は増えるため、炭水化物量だけを見て安心するのは適切ではありません。飲酒の可否・適量については、合併症の有無なども踏まえて主治医に確認することが望ましいとされています。
実践編 — 皿の組み立て方から始める、無理のない糖質管理
「炭水化物を何グラムに減らすか」を最初から数値で管理しようとすると、多くの人が挫折します。まず取り組みやすいのは、1食の皿全体の中で、副菜(野菜・海藻・きのこ)をおよそ半分、主菜(魚・肉・卵・大豆製品)を四分の一、主食(ごはん・パン・麺などの糖質源)を四分の一程度に配分する考え方です(厚生労働省)[2](日本糖尿病学会)[1]。この配分にすると、炭水化物の絶対量を大きく変えなくても、食物繊維や蛋白質を先に・一緒に摂ることで、食後血糖の急上昇(グルコーススパイク)を緩やかにしやすいとされています(日本糖尿病学会)[1]。
丼もの・麺類だけの単品食は、主食が皿の7〜8割を占めやすく、同じ糖質量でも野菜や主菜が少ない分、食後血糖が急に上がりやすい傾向があります(日本糖尿病学会)[1]。外食や中食(コンビニ・惣菜)が続く人は、単品ではなく「主食・主菜・副菜」がそろう定食形式を選ぶ、あるいは野菜の小鉢やサラダを一品追加するだけでも、皿全体のバランスは変わります。
食べる順番についても、野菜や汁物から先に箸をつけ、主食を最後に近い順で食べる「食べる順番」を意識する人がいますが、これは血糖の上がり方を緩やかにする一つの工夫として紹介されることがある一方、これだけで炭水化物量自体の管理が不要になるわけではない点には注意が必要です(日本糖尿病学会)[1]。
1型糖尿病と2型糖尿病で、糖質の考え方は違うのか
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを分泌する細胞が壊れてしまい、インスリンがほとんど、あるいはまったく分泌されなくなる病気です。2型糖尿病は、インスリンの分泌不足とインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)の両方、あるいはどちらかが主な原因となって血糖値が上がる病気です(厚生労働省)[2]。原因が異なるため、治療の中心となる薬も異なりますが、炭水化物エネルギー比の目安(50〜60%)自体は、どちらのタイプの糖尿病にも共通する出発点として扱われることが多いです(日本糖尿病学会)[1]。
違いが出やすいのは「糖質量とインスリン量の関係の把握のしかた」です。1型糖尿病でインスリン強化療法を行っている場合、前述のカーボカウントのように、炭水化物量とインスリン量を細かく対応づけて管理することが治療の中心的な要素になります。一方、2型糖尿病で内服薬のみ、あるいは食事療法・運動療法が中心の場合は、糖質量を厳密に数値化するよりも、皿全体のバランスや食べる順番・タイミングといった実践しやすい工夫が優先されることが多い傾向があります。どちらのタイプであっても、炭水化物量の方針を大きく変える場合は、治療内容に応じた主治医への相談が前提になる点は共通しています。
間食・果物・調味料に隠れた糖質 — 見落としやすいポイント
炭水化物の管理でつまずきやすいのが、主食以外の「見えにくい糖質」です。市販の惣菜やタレ・ドレッシングには砂糖や水あめが使われていることが多く、果物にも果糖という糖質が含まれます(日本糖尿病学会)[4]。糖尿病食品交換表では、果物も1単位(80kcal)あたりの目安量が示されており、「体に良いから」と量を意識せずに食べ続けると、主食の分を減らしていても総摂取量が想定より増えてしまうことがあります(日本糖尿病学会)[4]。
清涼飲料水やスポーツドリンク、加糖されたヨーグルト・乳酸菌飲料なども、液体・半固形であるために「食べた実感」が薄く、炭水化物量を見落としやすい典型例です。特に体調不良時(シックデイ)に経口補水液やスポーツドリンクを大量に摂る場合は、糖分量も踏まえて主治医の指示に従うことが大切です。
加工食品のパッケージに記載されている「栄養成分表示」を見る習慣も、見えない糖質への対策として有効です。日本の栄養成分表示では「炭水化物」の内訳として「糖質」と「食物繊維」が別に記載されていることがあり、同じ「糖質◯g」でも、食物繊維の割合が高い商品と、ほぼすべてが糖質の商品とでは、血糖への影響が異なる可能性があります(厚生労働省)[2]。表示を見る際は、炭水化物の総量だけでなく、糖質と食物繊維の内訳にも目を向けると、より実態に近い判断がしやすくなります。
代表的な食品のGI(グリセミック・インデックス)の考え方
GI(グリセミック・インデックス)は、同じ量の糖質を含む食品を食べたときの、食後血糖の上がりやすさを相対的に示す指標として研究で使われてきた概念です(日本糖尿病学会)[1]。一般に、精製度の低い穀物(玄米・全粒粉パンなど)や、食物繊維を多く含む野菜・豆類は、精製された白米・食パン・砂糖を多く含む菓子類と比べて、食後血糖の上昇が緩やかになりやすい傾向があるとされています(日本糖尿病学会)[1]。
ただし、GIはあくまで「同じ炭水化物量の食品同士を比較したときの相対的な指標」であり、実際に食べる量(ポーション)や、一緒に食べる他の食品との組み合わせによって、実際の血糖への影響(グリセミック・ロード)は変わります。GIの数値だけを覚えて「低GI食品なら量を気にせず食べてよい」と考えるのは誤解であり、量の管理と組み合わせて考える必要があります(日本糖尿病学会)[1]。
個々の食品ごとの詳細な糖質量の一覧や、特定の調味料・加工食品ブランドごとの糖質含有量については、今回参照した資料には網羅的な記載が見当たりませんでした。日本食品標準成分表など、より詳細なデータベースを個別に参照することをおすすめします。
食後血糖を左右する「食べる速さ」「食べる順番」「食事の間隔」
糖質の総量が同じでも、食べ方によって食後血糖の上がり方(血糖曲線の形)が変わることは、複数の観点から指摘されています。早食いは満腹感を得る前に大量の糖質を摂取してしまいやすく、食後血糖の急上昇につながりやすいとされます(日本糖尿病学会)[1]。よく噛んでゆっくり食べることは、単純な習慣の話に見えて、実際には血糖管理の一部として意味を持つ行動です。
また、食事の間隔が極端に空いてしまう(例えば朝食を抜いて、昼食で一気にまとめて炭水化物を摂る)と、次の食事での血糖上昇が大きくなりやすいことも知られています(厚生労働省)[2]。1日の総糖質量を管理するあまり、1回の食事に偏って摂取してしまうと、かえって血糖値の振れ幅が大きくなる場合があるため、「1日の中でどう配分するか」も炭水化物量そのものと同じくらい重要な視点です。
間食についても、「甘いものを一切食べない」という極端な我慢よりも、1回あたりの量とタイミング(食後すぐではなく、次の食事まで時間が空くタイミングなど)を工夫するほうが、長期的に継続しやすいという考え方があります。食品交換表の単位計算に、間食分もあらかじめ組み込んでおくと、無理な我慢を減らしながら総量を管理しやすくなります(日本糖尿病学会)[4]。
運動と糖質摂取の関係 — 「運動しているから多く食べていい」わけではない理由
運動療法は糖尿病治療の基本の一つであり、筋肉がブドウ糖を取り込む力(インスリンの効きやすさ)を高める効果が期待できます(厚生労働省)[2]。ただし、「運動をしているから炭水化物を多く食べても大丈夫」という考え方には注意が必要です。運動によって消費されるエネルギー量は、想像しているよりも少ないことが多く、運動後に糖質を摂りすぎると、消費分を上回ってしまうことがあります。
一方で、インスリンや一部の血糖降下薬を使用している人が運動を行う場合は、運動によって血糖値が下がりすぎる(低血糖)リスクもあるため、運動の強度・時間帯に応じて、炭水化物の摂取タイミングや量を主治医・管理栄養士と相談しながら調整することが望ましいとされています。運動と糖質摂取は、どちらか一方だけを増減させるのではなく、セットで考える必要がある組み合わせです。
年代・状態別に考える炭水化物管理 — 高齢者・腎機能低下・妊娠糖尿病の場合
高齢の糖尿病患者では、極端な糖質制限がかえって低栄養やフレイル(心身の虚弱)のリスクを高める可能性があるため、若年〜中年層と同じ基準をそのまま当てはめることは適切ではない場合があります(日本糖尿病学会)[1]。高齢者では、血糖コントロールの厳格さよりも、筋肉量の維持や食事摂取量そのものの確保が優先される場面もあり、炭水化物を含めた総エネルギー摂取量を安易に減らしすぎないことが重要になります。
慢性腎臓病を合併している場合は、蛋白質の摂取制限が必要になることがあり、その結果として相対的に糖質や脂質からのエネルギー摂取割合が変わることがあります(日本糖尿病学会)[1]。この場合の炭水化物の目安は、腎臓の状態を踏まえて医師・管理栄養士が個別に設定するものであり、一般的な糖尿病の食事療法の目安(50〜60%)をそのまま適用できるとは限りません。
妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠では、母体の血糖コントロールに加えて、胎児の発育に必要なエネルギー・栄養を確保する必要があるため、糖質量を通常の糖尿病の食事療法と同じ考え方で一律に制限することは推奨されていません。妊娠中の食事療法は、産科医・糖尿病専門医・管理栄養士が連携して個別に設計する必要がある領域です。
外食・中食が多い人のための、炭水化物を意識した選び方
自炊が難しく、外食やコンビニの中食が中心になる人にとって、「主食・主菜・副菜」の理想的な配分を毎食実現するのは簡単ではありません。それでも工夫できるポイントはあります。例えば、丼ものやカレーライスなど主食が皿の大部分を占めるメニューを選ぶときは、サラダや野菜の小鉢、味噌汁(具だくさんのもの)を一品追加するだけで、皿全体に占める副菜の割合を増やすことができます(日本糖尿病学会)[1]。
コンビニで食事を選ぶ場合も、おにぎり・パンだけで済ませるのではなく、蒸し鶏やゆで卵、サラダチキン、カット野菜などを組み合わせることで、単品の糖質過多を避けやすくなります。麺類を選ぶ場合は、つゆを残す・具の多いものを選ぶといった工夫も、炭水化物量そのものというより「皿全体のバランス」を整える工夫として有効です。
飲み会や外食が続く時期には、あらかじめ「今日は主食を控えめにする代わりに、野菜のあるメニューを選ぶ」など、1日単位・1週間単位で調整する視点を持つと、毎回の食事で完璧を目指すよりも継続しやすくなります。
食物繊維を無理なく増やす具体的な工夫
食物繊維は血糖値をほとんど上げず、糖の吸収を緩やかにする働きが期待できる栄養素ですが(日本糖尿病学会)[1]、意識しないと不足しがちです。具体的な工夫としては、白米の一部を胚芽米や雑穀・もち麦に置き換える、味噌汁やスープの具を野菜・きのこ・海藻中心にする、食事の最初に野菜や海藻の小鉢に箸をつける、といった小さな変更の積み重ねが実践しやすい方法です。極端に「食物繊維を◯g摂らなければならない」と数値目標だけを追いかけるより、日々の献立に「あと一品、野菜かきのこか海藻を足す」という習慣を作るほうが、多くの人にとって継続しやすい工夫になります。
ただし、食物繊維を極端に一度に増やすと、お腹の張りや下痢などの消化器症状が出る場合があるため、少しずつ量を増やしていくことも大切です。持病(腸の疾患など)がある場合は、食物繊維を増やす前に主治医に相談することが望ましいとされています。
薬物治療を受けている人が糖質量を変えるときの注意点
インスリン注射やSU薬(スルホニル尿素薬)などの血糖降下薬を使用している人が、自己判断で急に炭水化物量を大きく減らすと、薬の効き目に対して食事からの糖質供給が少なくなりすぎ、低血糖(動悸・冷や汗・強い空腹感・意識がぼんやりするなど)を起こすリスクがあります(日本糖尿病学会)[1]。逆に糖質量を大きく増やす場合も、食後高血糖や体重増加につながる可能性があります。
炭水化物の摂取量を継続的に変える場合は、自己判断で進めるのではなく、主治医や管理栄養士と相談しながら、必要であれば薬の量やタイミングも合わせて見直すことが望ましいとされています(日本糖尿病学会)[1]。特にインスリンポンプやカーボカウント(糖質量に応じてインスリン量を調整する方法)を行っている人は、炭水化物量の変更がそのままインスリン量の計算に直結するため、自己流での大幅な変更は避けるべきです。
カーボカウントとは — インスリン量を糖質量に合わせて調整する考え方
「カーボカウント」とは、食事に含まれる炭水化物量を数値として把握し、それに応じてインスリンの投与量を調整する方法です。主に1型糖尿病でインスリン強化療法(頻回注射やインスリンポンプ)を行っている人に用いられる考え方ですが、2型糖尿病でインスリンを使用している人にも応用されることがあります。基礎になる考え方は、「同じ量の糖質であれば、食後血糖への影響がある程度予測できる」という前提のもとに、炭水化物量とインスリン量の対応関係(インスリン・カーボ比)を個別に設定するというものです。
カーボカウントを行っている場合、糖質量を大きく変える(減らす・増やす)ことは、そのままインスリン量の計算のずれにつながります。「今日は糖質を控えめにしよう」と食事内容だけを変えて、インスリン量を従来通りにしてしまうと、低血糖を起こすリスクが高まります。逆に、炭水化物量を増やしたのにインスリン量を据え置くと、食後高血糖につながります。カーボカウントを実践している人が糖質量の方針を変える場合は、必ずインスリン・カーボ比の見直しも含めて主治医・糖尿病療養指導士と相談する必要があります。
なお、カーボカウントは「炭水化物さえ数えていれば蛋白質・脂質は気にしなくてよい」という意味ではありません。蛋白質や脂質の摂取量が多い食事(脂質の多い揚げ物など)では、消化・吸収の速度が変わり、食後血糖のピークが遅れて現れることがあるため、糖質量だけでなく食事全体の内容を踏まえた調整が必要になる場合があります。
1週間の食事バランスをイメージする — 具体的な組み立て例
数値や理屈だけでは実践しにくいという人のために、1食ごとの皿の組み立て方を、朝食・昼食・夕食の3パターンで具体的にイメージした例を紹介します。あくまで一例であり、必要なエネルギー量・炭水化物量は体格や治療内容によって個人差があるため、実際の量は主治医・管理栄養士と相談して決めてください。
| 食事 | 主食(1/4程度) | 主菜(1/4程度) | 副菜(1/2程度) |
|---|---|---|---|
| 朝食の例 | 食パン1枚 または ごはん軽く1杯 | ゆで卵・納豆・焼き魚など | 野菜サラダ・味噌汁(具だくさん) |
| 昼食の例 | ごはん1膳(普通盛りより少なめ) | 焼き魚・鶏肉のソテーなど | おひたし・きんぴら・味噌汁など2品程度 |
| 夕食の例 | ごはん1膳(普通盛りより少なめ) | 刺身・豆腐・肉料理など | 野菜の煮物・サラダ・海藻類など2品程度 |
出典:日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」の考え方をもとにJHO編集部が作成(日本糖尿病学会)[4]
このように毎食「主食を四分の一程度」に抑えつつ、副菜を意識的に多く取り入れることで、糖質の総量を大きく変えなくても、食後血糖の急上昇を避けやすい食事の形に近づけることができます。丼ものや麺類だけの単品食が続く週は、意識的に副菜を1品追加する日を増やすなど、1週間単位で調整する視点も実践しやすい方法です。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
次の診察で医師・管理栄養士に伝えるためのメモ
- 直近1〜2週間で、主食(ごはん・パン・麺)を1日にどのくらいの量・回数摂っているか
- 間食・果物・加糖飲料をどのくらいの頻度・量摂っているか
- 「炭水化物を減らしたい」と思ったきっかけ(体重・HbA1c・SNSの情報など)
- 現在使用している薬(インスリン・血糖降下薬)の種類とタイミング
- 低血糖症状(動悸・冷や汗・強い空腹感)を経験したことがあるか
よくある質問
糖尿病でも白米を食べていいですか?
炭水化物を1日何グラムまでに抑えればいいですか?
糖質制限ダイエットは糖尿病の治療として推奨されていますか?
果物は糖質制限の対象になりますか?
食物繊維をたくさん摂れば糖質の割合を気にしなくていいですか?
丼ものやラーメンなど単品の食事はどのくらい控えるべきですか?
インスリンを使っていますが、炭水化物量を自分の判断で減らしてもいいですか?
血糖値が下がりにくいのは糖質の割合だけが原因ですか?
GI値が低い食品なら、量を気にせず食べても大丈夫ですか?
高齢の家族が糖尿病です。糖質を厳しく制限したほうがいいですか?
本記事で紹介した糖質エネルギー比の目安(50〜60%、50〜65%)は、2026年7月時点で参照可能な情報にもとづいています。日本糖尿病学会・厚生労働省のガイドラインは今後改定される可能性があり、数値そのものが変わることがあります。また、極端な糖質制限に関する研究は現在も国内外で継続中であり、本記事の内容がその分野の最終的な結論を示すものではない点にご留意ください。
更新日:2026年7月19日。本記事の内容に誤りや古い情報の記載がございましたら、お手数ですがお問い合わせフォームよりご連絡ください。お気づきの点やご指摘は、記事の改善のためにすべて確認させていただいております。
参考文献
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第3章 食事療法(Mindsガイドラインライブラリ掲載) https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00864/
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
- 日本糖尿病学会 提言「糖尿病における食事療法の現状と課題」 https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=48
- 日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」(文光堂) https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4
- NCBI StatPearls「Diabetes」(National Library of Medicine) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK551501/
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