ゾリンジャー・エリソン症候群とは?症状・診断・治療
この記事でわかること
目次
- ゾリンジャー・エリソン症候群とは
- どのような症状が起こる?
- 腹痛、胸やけ、吐き気
- 下痢が唯一の症状になることもある
- 出血・穿孔・狭窄は緊急事態
- 「普通の胃潰瘍」との違い
- 原因となるガストリノーマとMEN1
- 診断の流れ
- 1.症状、潰瘍歴、薬、家族歴を整理する
- 2.空腹時血清ガストリンと胃内pHを組み合わせる
- 3.必要に応じてセクレチン負荷試験などを行う
- 4.内視鏡で酸による障害と合併症を確認する
- 5.腫瘍の場所と広がりを調べる
- 治療は胃酸と腫瘍を分けて考える
- 胃酸を抑えるPPI治療
- 散発性ガストリノーマの手術
- MEN1関連例では方針が異なる
- 転移・切除不能のNET治療
- 日常生活で大切なこと
- 治療後・経過観察で確認すること
- 受診時に準備したい情報
- 医師へ確認したい質問
- よくある質問
- まとめ
- 参考文献
ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)は、ガストリンというホルモンを過剰に分泌する腫瘍「ガストリノーマ」により、胃酸が異常に多くなる病気です。胃・十二指腸潰瘍を繰り返す、一般的な治療で治りにくい、胸やけと水のような下痢が同時に続く、といったときに検討されます。診断には空腹時血清ガストリンだけでなく、胃内の酸性度、服用薬、胃粘膜の状態、画像検査を組み合わせる必要があります。[1][3]
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
黒くタール状の便、吐血・コーヒーかす状の嘔吐、突然の強く持続する腹痛、失神・強いふらつき、息苦しさがある場合は、急性の消化管出血や穿孔などの可能性があります。ZESかどうかの検査を待たず、速やかに救急医療を受けてください。[1][7]
- ZESの原因は、主に十二指腸または膵臓にできるガストリノーマです。胃そのものに腫瘍があるとは限りません。
- 腹痛・胸やけだけでなく、下痢が主症状になることがあります。難治性・再発性・多発性の潰瘍が手がかりです。
- 血中ガストリン高値だけでは確定できません。PPI、萎縮性胃炎、腎機能低下などでもガストリンは上がり得ます。
- PPIは診断値へ影響しますが、ZESが疑われる人の中断では重い酸関連合併症が報告されています。自己中止せず、検査前の調整は専門医の指示で行います。[6]
- 治療は「胃酸を抑える治療」と「腫瘍を評価・治療すること」の二本立てです。手術方針は単発例とMEN1関連例で異なります。
- 家族に副甲状腺・下垂体・膵十二指腸の内分泌腫瘍がある場合は、多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)の評価を相談します。
本稿は、米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)、国立がん研究センターがん情報サービス、日本内分泌外科学会誌、PubMed収載論文および米国国立がん研究所(NCI)の公開資料を基に、2026年9月6日時点で編集しています。元のドラフトは題材の選定にのみ使い、医学的根拠には用いていません。薬の変更、負荷試験、画像検査、手術や遺伝学的検査は、消化器・内分泌・腫瘍の専門チームが個別に判断します。
ゾリンジャー・エリソン症候群とは
ZESは、ガストリノーマが大量のガストリンを分泌し、その刺激で胃酸が過剰に作られる症候群です。ガストリンは本来、食事に反応して胃酸分泌を促す生理的なホルモンです。しかし腫瘍から調節を外れて分泌されると、胃・十二指腸の粘膜が強い酸へ長時間さらされ、潰瘍、逆流性食道炎、狭窄、出血などが起こりやすくなります。強い酸が小腸へ流れ込むことは、消化酵素の働きや水分吸収を乱し、下痢の一因にもなります。[1]
ガストリノーマは神経内分泌腫瘍(NET)の一種で、主に十二指腸または膵臓に発生します。したがって、「胃酸が多い病気」ではあっても、原因腫瘍の主な場所は胃ではありません。国立がん研究センターは、機能性の膵・消化管NETの一つとしてガストリノーマを挙げ、腹痛、胸やけ、治りにくい消化性潰瘍、食道炎、下痢などを説明しています。[2]
ZESはまれです。NIDDKは年間100万人あたり0.5~3人が診断されると説明しています。この数字は米国資料に基づくおおよその頻度で、日本の個人が症状から確率を計算するための値ではありません。一般的な腹痛や胸やけの多くは別の原因ですが、特徴的な組み合わせと経過がある人を見逃さないことが大切です。[1]
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
どのような症状が起こる?
腹痛、胸やけ、吐き気
みぞおちの焼けるような痛み、鈍い痛み、胸やけ、酸っぱいものが上がる感じ、吐き気、嘔吐などは、一般的な消化性潰瘍や胃食道逆流症と似ています。症状だけでZESを区別することはできません。大切なのは、一度治療しても短期間で再発する、複数の潰瘍がある、十二指腸の通常より先まで病変がある、十分な酸分泌抑制治療でも治りにくい、という経過です。[1][3]
潰瘍の一般的な原因はピロリ菌感染やNSAIDsですが、それらが確認できないのに重い潰瘍を繰り返す場合も手がかりになります。ただし、ピロリ菌陰性やNSAIDsを使っていないという理由だけでZESと決まるわけではありません。服薬歴、内視鏡所見、酸分泌とホルモン検査を整理します。
下痢が唯一の症状になることもある
NIDDKは、下痢がZESの唯一の症状となる場合があると説明しています。強い胃酸が小腸へ入ると、膵酵素や胆汁酸の働きが乱れ、脂肪などの消化・吸収がうまくいかなくなることがあります。また、酸と分泌液の量が増えること自体も水様便につながります。食事と関係なく続く下痢、夜間にも起こる下痢、体重減少を伴う場合は、単なる体質や食べ過ぎと決めつけないでください。[1]
下痢には感染症、薬剤、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、甲状腺疾患、吸収不良など多くの原因があります。ZESを疑うのは、潰瘍や強い胸やけと同時に続く、酸分泌抑制薬で便も改善する、MEN1を疑う家族歴がある、といった情報が重なるときです。
出血・穿孔・狭窄は緊急事態
速やかに救急医療を受けるサイン:吐血、コーヒーかすのような嘔吐、黒くタール状の便、突然始まって治まらない鋭い腹痛、失神・強いふらつき、息苦しさです。急性の消化管出血や潰瘍の穿孔などを除外する必要があります。[1][7]
便の色を判断するときは、鉄剤や食品による黒色との区別も必要です。しかし、原因を自宅で確定することはできません。JHOの黒い便の原因と危険なサインも受診判断の整理に利用できます。
「普通の胃潰瘍」との違い
| 確認する点 | 一般的な消化性潰瘍で多い状況 | ZESを考える手がかり |
|---|---|---|
| 原因 | ピロリ菌、NSAIDsなどが多い | ガストリノーマによるガストリン過剰と胃酸過多 |
| 経過 | 原因治療と酸分泌抑制で治癒することが多い | 治りにくい、短期間に再発する、多発することがある |
| 部位 | 胃または十二指腸球部が中心 | 通常より遠位の十二指腸・空腸に潰瘍がみられることがある |
| 下痢 | 主症状ではないことが多い | 水様性下痢が目立ち、唯一の症状となることもある |
| 検査 | 内視鏡、ピロリ菌、服薬歴など | これらに加え、空腹時ガストリン、胃内pH、必要時の負荷試験と腫瘍局在検査 |
| 長期管理 | 原因に応じて治療期間を決める | 強力な酸分泌抑制を長期、場合により生涯必要とする |
これは典型像の比較で、自己診断表ではありません。一般的な潰瘍とZESが同時に考慮されることもあります。胃潰瘍全般はJHOの胃潰瘍ハブでも整理しています。[1][3]
原因となるガストリノーマとMEN1
ガストリノーマは、一つだけ見つかる散発例と、遺伝性疾患のMEN1に伴う例に大きく分けて考えます。NIDDKはZESの約20~25%がMEN1の人に起こると説明しています。MEN1では、副甲状腺、下垂体、膵・十二指腸など複数の内分泌臓器に腫瘍が生じる可能性があり、ガストリノーマも多発しやすいため、散発性の単発腫瘍とは手術戦略が同じではありません。[1]
ガストリノーマがある、腫瘍が複数ある、副甲状腺機能亢進症や下垂体腫瘍の既往がある、血縁者にMEN1関連病変がある場合は、MEN1を含む遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を相談します。家族歴がないからMEN1を完全に否定できるわけでも、ガストリンが高いだけでMEN1と診断できるわけでもありません。[4]
遺伝学的検査の結果は、本人の関連臓器の検査だけでなく、血縁者のリスク評価にも関係します。検査前に、結果で何が変わるか、家族へどう共有するか、心理面への影響を遺伝カウンセリングで確認します。[4]
診断の流れ
1.症状、潰瘍歴、薬、家族歴を整理する
最初に、潰瘍の回数・場所・合併症、下痢の期間、体重変化、ピロリ菌検査、NSAIDs使用、酸分泌抑制薬の種類と用量を確認します。内視鏡写真や病理結果が別の医療機関にある場合は持参します。副甲状腺、腎結石、骨、下垂体、膵腫瘍に関する本人・家族の病歴も診断の手がかりです。
「PPIを飲んでいると検査できない」と聞いても、勝手に止めないでください。ZESが疑われる人では、診断評価のためのPPI中断後に重い酸関連合併症を生じた症例が報告されています。どの薬をどう調整するか、保護的治療を続けながら何を測定するかは専門医が決めます。[6]
2.空腹時血清ガストリンと胃内pHを組み合わせる
空腹時血清ガストリンは重要な入口ですが、高値だけでZESとは言えません。PPIなどの酸分泌抑制薬、萎縮性胃炎、ピロリ菌感染、腎機能低下などでも上昇するためです。日本の専門家レビューも、長期の制酸薬、ピロリ菌、慢性腎不全、萎縮性胃炎などとの鑑別を重視しています。[3]
胃酸が強く出ている状態でガストリンが不適切に高いことを確かめるため、胃液のpHを調べます。胃内が十分に酸性でなければ、ガストリン高値は胃酸が少ないことへの正常な反応である可能性があります。検査値は測定法や薬の影響を受けるため、インターネット上の一つの基準値だけで結果を判定しないでください。
3.必要に応じてセクレチン負荷試験などを行う
基礎値と胃内pHだけで判断が難しい場合、セクレチンを静脈から投与し、その後のガストリン反応を見る検査が用いられることがあります。ガストリノーマでは特徴的にガストリンが上昇します。ただし、実施できる施設、薬剤、判定法には条件があり、誰にでも必要な検査ではありません。[1][3]
4.内視鏡で酸による障害と合併症を確認する
上部消化管内視鏡では、食道炎、胃・十二指腸潰瘍、出血、狭窄などを確認します。腫瘍が小さい場合、通常の胃カメラでガストリノーマ自体が見えないこともあります。内視鏡は「腫瘍が見えなければZESではない」と結論づける検査ではなく、酸による障害を評価し、必要な止血・生検につなげる役割も持ちます。
5.腫瘍の場所と広がりを調べる
生化学的にZESが疑われたら、CT、MRI、超音波内視鏡、ソマトスタチン受容体を利用した核医学検査などを組み合わせて、腫瘍の場所、個数、リンパ節や肝臓などへの広がりを評価します。小さな十二指腸ガストリノーマは見つけにくく、一つの画像が陰性でも直ちに否定できない場合があります。[1][3]
検査にはそれぞれ得意分野があります。造影CT・MRIは臓器と転移の全体像、超音波内視鏡は膵周辺の小病変、受容体画像はNETの全身分布や治療選択を考える材料になります。実際の順序は腎機能、造影剤アレルギー、妊娠可能性、地域で利用できる検査によって調整します。
治療は胃酸と腫瘍を分けて考える
胃酸を抑えるPPI治療
PPIは胃酸分泌を強く抑え、痛み、潰瘍、逆流、下痢を改善し、出血や穿孔などを防ぐ治療の中心です。ZESでは一般的な逆流性食道炎より多い用量から始めることがあり、状態に応じて調整します。NIDDKは、多くの人で長期または生涯のPPI治療が必要になると説明しています。自己判断で減らす、中断する、別の市販薬へ置き換えることは避けてください。[1][6]
長期治療では、症状だけでなく内視鏡所見、必要な酸分泌抑制の強さ、栄養状態や合併症を定期的に見直します。NIDDKは長期・高用量PPIでビタミンB12低下が起こる可能性を挙げていますが、だからといって必要な薬を中止する理由にはなりません。利益とリスクを個別に評価し、必要な検査だけを選びます。
散発性ガストリノーマの手術
MEN1を伴わず、切除可能なガストリノーマが見つかった場合は、根治と転移予防を目指して手術を検討します。腫瘍の位置、大きさ、数、リンパ節、肝転移、全身状態によって術式が変わります。十二指腸の小病変と膵実質内の病変では探し方も手術範囲も同じではありません。[1][5]
「小さいから安全」「画像で一つだから必ず一つ」「悪性なら手術できない」と単純化できません。NETでは病理学的な分化度・増殖能、原発部位、転移の分布、ホルモン症状を合わせて治療方針を組み立てます。手術後もガストリン、酸分泌、画像を用いた経過観察が必要で、酸分泌抑制薬が残る場合があります。
MEN1関連例では方針が異なる
MEN1では小さなガストリノーマが複数存在しやすく、すべてを安全に取り切ることが難しい場合があります。NIDDKは、MEN1関連例、特に比較的小さい腫瘍では、散発性と同じように一律の腫瘍摘出を行わないことがあると説明しています。これは「治療しない」という意味ではなく、酸分泌を確実に抑えながら、腫瘍の大きさ・増殖・転移リスクと手術負担を専門チームで比較するという意味です。[1]
転移・切除不能のNET治療
肝臓やリンパ節などへ広がっている場合でも、胃酸過多はPPIで別に管理します。そのうえで、手術、ソマトスタチンアナログ、分子標的薬、抗がん薬、放射性核種を用いる治療、肝病変への局所治療などから、腫瘍の性質と広がりに合う方法を検討します。すべてのガストリノーマに同じ順序で行う治療ではありません。NCIは、膵神経内分泌腫瘍の病状に応じた複数の治療選択を示しています。[5]
日常生活で大切なこと
- 薬を切らさない:PPIの残量と次回処方日を確認し、旅行や災害時にも薬名・用量が分かるようにします。
- 症状を記録する:腹痛、胸やけ、便回数、夜間の下痢、体重、黒色便、嘔吐を簡潔に記録します。
- NSAIDsを自己追加しない:市販の鎮痛薬を含め、潰瘍や出血へ影響する薬を医師・薬剤師に確認します。
- 極端な食事療法をしない:食事だけでガストリノーマや胃酸過多を治すことはできません。症状を悪化させる食品は個別に調整し、栄養不足を避けます。
- 喫煙と多量飲酒を避ける:潰瘍・逆流症状や治療全体に悪影響を与える可能性があるため、支援を使って減らします。
- 家族歴を更新する:副甲状腺、下垂体、膵・十二指腸NETに関する新しい診断が家族に出たら主治医へ伝えます。
食事では「胃酸を中和する食品」を探すより、薬を正しく使い、脱水と体重減少を防ぐことが優先です。少量ずつ食べると楽な人、脂肪の多い食事で下痢が増える人など個人差があります。食べられるものが減る、体重が落ちる、夜間も下痢が続く場合は、管理栄養士を含む医療チームへ相談してください。
治療後・経過観察で確認すること
経過観察では、酸関連症状が抑えられているか、潰瘍が治っているか、薬の副作用・相互作用がないか、腫瘍が増大・転移していないかを分けて確認します。症状が消えても腫瘍が消えたとは限らず、画像が安定していてもPPIを急に中止できるとは限りません。
| 観察領域 | 確認する例 | 患者が伝えるとよい情報 |
|---|---|---|
| 酸のコントロール | 腹痛、胸やけ、下痢、内視鏡、必要時の酸評価 | 薬を飲む時刻、飲み忘れ、夜間症状 |
| 腫瘍 | CT・MRI・受容体画像などを病状に応じ実施 | 体重減少、新しい痛み、黄疸、食欲低下 |
| 薬の安全性 | 併用薬、栄養状態、必要時の血液検査 | 市販薬・サプリメント、下痢やしびれなどの変化 |
| MEN1関連臓器 | 副甲状腺、下垂体、ほかの膵十二指腸NET | 腎結石、骨折、頭痛、視野・月経などの変化と家族歴 |
検査の種類と間隔は、散発性かMEN1関連か、手術後か、転移があるか、薬で安定しているかで異なります。固定した「全員年1回」などの間隔を自己設定しないでください。
受診時に準備したい情報
- 過去の胃・十二指腸潰瘍の時期、場所、出血・穿孔・入院の有無
- ピロリ菌の検査法・結果・除菌歴と、除菌後の確認結果
- PPI、P-CAB、H2受容体拮抗薬、NSAIDs、アスピリンを含む全服薬
- 下痢の開始時期、1日の回数、夜間症状、脂肪便、体重変化
- 過去のガストリン値と、採血時に飲んでいた薬
- 内視鏡、CT、MRI、超音波内視鏡、病理の報告書と画像データ
- 本人・血縁者の副甲状腺、下垂体、膵・十二指腸腫瘍の病歴
検査値は数字だけをメモするより、単位、基準範囲、採血日時、絶食時間、服薬状況が分かる原本を用意すると解釈しやすくなります。紹介先は消化器内科、内分泌内科、肝胆膵外科、NETを扱う腫瘍内科などが連携できる施設が候補です。
医師へ確認したい質問
- 私のガストリン高値は、胃酸が多い状態で確認されていますか。薬や萎縮性胃炎の影響はどう評価しましたか。
- PPIを検査前に調整する必要がありますか。安全な方法と悪化時の連絡先は何ですか。
- 腫瘍はどこに、いくつあり、リンパ節・肝臓などへの広がりはありますか。
- 散発性とMEN1関連のどちらが考えられますか。遺伝カウンセリングは必要ですか。
- 手術の目的は根治、腫瘍量の低下、合併症予防のどれですか。薬物治療と比較した利点・不利益は何ですか。
- 治療効果を何で判断し、次の内視鏡・画像・採血はいつ行いますか。
- 出血、穿孔、脱水を疑うとき、通常連絡と救急受診をどう分けますか。
よくある質問
ガストリンが高ければZESですか?
いいえ。PPIなどの薬、萎縮性胃炎、ピロリ菌感染、腎機能低下などでもガストリンは上がり得ます。空腹時採血の条件、胃内pH、内視鏡所見を組み合わせ、必要に応じてセクレチン負荷試験と腫瘍画像を行います。[1][3]
PPIをやめてから採血したほうが正確ですか?
PPIはガストリン値へ影響しますが、ZESが疑われる人の自己中止は危険です。中断後に重い酸関連合併症を生じた報告があるため、中止・減量・別薬への変更を行うかは専門医が決めます。[6]
ZESは胃がんですか?
同じものではありません。ZESはガストリノーマによるホルモン過剰の症候群で、原因腫瘍は主に十二指腸または膵臓の神経内分泌腫瘍です。腫瘍には転移するものがあるため、胃酸症状の治療と腫瘍の病期評価の両方が必要です。[2]
下痢だけでもZESはありますか?
あります。NIDDKは下痢が唯一の症状になる場合があると説明しています。ただし下痢の原因は非常に多いため、ZESだけを前提にせず、潰瘍・逆流症状、薬、体重減少、家族歴を含めて消化器内科で評価します。[1]
手術をすればPPIは不要になりますか?
根治的に切除できれば酸分泌が正常化する可能性がありますが、手術後もPPIが必要な人がいます。腫瘍の残存・再発、酸分泌、潰瘍の治癒を確認してから調整します。自己判断で中止しないでください。
家族も検査を受けるべきですか?
すべての家族が直ちにガストリン検査を受けるわけではありません。MEN1が疑われる病歴や遺伝学的所見がある場合、遺伝カウンセリングで本人と血縁者の検査対象・時期を相談します。結果が家族へ与える意味も検査前に確認します。[4]
まとめ
ゾリンジャー・エリソン症候群は、ガストリノーマが分泌するガストリンによって胃酸が過剰になり、難治性・再発性の潰瘍、逆流、下痢などを起こすまれな病気です。空腹時ガストリンが高いだけでは確定できず、胃内pH、薬や萎縮性胃炎の影響、内視鏡、負荷試験、腫瘍画像を組み合わせて診断します。
治療では、PPIで酸を確実に抑えることと、ガストリノーマの位置・広がり・MEN1との関係を評価して腫瘍治療を選ぶことが必要です。PPIを検査目的で自己中止せず、黒くタール状の便、吐血、突然の強く持続する腹痛、失神・強いふらつきがあれば、病名の確定を待たず速やかに救急医療を受けてください。[6][7]
参考文献
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, Zollinger-Ellison Syndrome(2026年9月6日閲覧)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「膵・消化管神経内分泌腫瘍」(2026年4月22日更新、2026年9月6日閲覧)
- 日本内分泌外科学会雑誌「ガイドラインからみたガストリノーマの診断と治療」(2016年、2026年9月6日閲覧)
- National Cancer Institute, Genetics of Endocrine and Neuroendocrine Neoplasias (PDQ)(MEN1、遺伝カウンセリング・検査、2026年9月6日閲覧)
- National Cancer Institute, Pancreatic Neuroendocrine Tumors Treatment (PDQ), Health Professional Version(2026年9月6日閲覧)
- Poitras P, et al. The Zollinger-Ellison syndrome: dangers and consequences of interrupting antisecretory treatment. Clin Gastroenterol Hepatol. 2012;10(2):199-202.(2026年9月6日閲覧)
- NIDDK, Symptoms & Causes of GI Bleeding(2026年9月6日閲覧)
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