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糖尿病 24分で読める 8回

糖尿病と脱毛の関係は?わかっていることといないことを整理

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結論から言うと、糖尿病と脱毛の間には関連が疑われる報告がいくつかあるが、直接的な因果関係は現時点で証明されていない。糖尿病の血管合併症と同じ仕組みが頭皮に及ぶ可能性、糖尿病に合併しやすい甲状腺疾患の影響、GLP-1受容体作動薬(糖尿病治療薬でもある)の副作用報告という3つの経路が確認できる[1][2]。

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急に髪が抜けるようになった場合、自己判断で「糖尿病のせい」と決めつけず、まず基準となる数字(HbA1c・血糖値)を確認しつつ、皮膚科(脱毛外来)を受診して原因を調べることが望ましい。米国皮膚科学会(AAD)によれば、甲状腺疾患のように、原因の病気を治療すれば脱毛が改善するケースもあるとされている[1]。

要点まとめ

  • 糖尿病と脱毛症の直接的な因果関係は、現時点の資料では証明されていない[2]。
  • 米国皮膚科学会(AAD)は、脱毛のある女性は糖尿病など他の病気を併せ持つことがあると報告しているが、詳しい機序までは説明していない[1]。
  • 甲状腺疾患は糖尿病と合併しやすく、脱毛の原因になりうる。甲状腺の治療で脱毛が改善する可能性があるとされている[1]。
  • 糖尿病治療・減量薬として使われるGLP-1受容体作動薬(セマグルチド等)で、脱毛の報告数がFDAの有害事象データベースで1,000件を超えているとする医学論文がある[2]。ただしこれも因果関係が確定したわけではない。
  • 急な脱毛・円形の脱毛斑・かゆみを伴う脱毛などは、自己判断せず早めに皮膚科を受診することが基準になる。

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文データベースの一次資料と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類は研究の進展により変わることがあります(2026年7月時点)。

💡 基準となる考え方:「糖尿病だから仕方ない」で終わらせない
脱毛の原因は、糖尿病単独ではなく、甲状腺疾患・鉄欠乏・薬の副作用・ストレスなど複数の可能性が考えられる[1]。「糖尿病があるから脱毛も仕方ない」と自己判断で片付けず、治療可能な原因が隠れていないか、皮膚科で確認することが基準になる。原因が特定できれば、脱毛そのものへの不安だけでなく、「これ以上悪化するのではないか」という漠然とした心配も軽減されやすい。

糖尿病と脱毛、何がわかっていて何がわかっていないか

「糖尿病だと髪が抜けやすい」という情報はインターネット上でよく見かけるが、この記事で確認した限り、糖尿病と脱毛症の直接的な因果関係を証明した公的なガイドラインや大規模研究は見当たらなかった。米国皮膚科学会(AAD)の発表では、脱毛のある女性を対象にした研究について、脱毛のある女性は糖尿病・にきび・乳がんなど他の病気を併せ持つことがあると紹介されているが[1]、これは「同時に見られることがある」という関連の指摘であり、糖尿病が脱毛を引き起こす詳しい仕組みまでは説明されていない。

つまり現時点で言えるのは、「関連が疑われる報告はあるが、糖尿病そのものが脱毛の直接原因だと確定しているわけではない」ということである。この記事では、この「わかっていること」と「わかっていないこと」の境界線をできるだけはっきりさせながら、考えられる4つの関連経路(血管合併症の仮説・甲状腺疾患の合併・GLP-1受容体作動薬の副作用報告・食事制限による栄養不足)を整理する。断定を避けるのは、情報として頼りないからではなく、むしろ「まだ答えの出ていない問いに、無理やり答えを出さない」という誠実さの表れだと理解してほしい。

上図は米国皮膚科学会(AAD)の発表とNCBI PMC掲載のスコーピングレビューの内容をもとにJHO編集部が作図した模式図である[1][2]。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

考えられる経路① 血管合併症と同じ仕組み(仮説の段階)

糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで全身の血管が傷つく合併症を起こすことが知られており、網膜症・腎症・神経障害はいずれも細い血管(微小血管)の障害が関係すると考えられている。この記事のシリーズで扱った糖尿病網膜症も、この微小血管障害の一例である。頭皮にも細い血管が張り巡らされているため、同じ仕組みが毛髪の成長に影響する可能性はあるという考え方はあるが、この記事で確認した資料の中に、この仮説を直接検証した学会ガイドラインや大規模研究は見当たらなかった。あくまで「理論上あり得る」という段階であり、証明された機序ではない点に注意したい。

参考として、糖尿病の血管合併症は、罹病期間・血糖コントロール(HbA1c)・血圧といった要因と関連することが、網膜症に関するガイドラインのデータで示されている(本記事シリーズの「糖尿病が引き起こす視力低下」の記事で詳しく解説した)。仮に頭皮の血流にも同じような要因が関わるとすれば、罹病期間が長く、血糖・血圧のコントロールが難しい人ほど、理論上はリスクが高くなる可能性があるが、これはあくまで類推であり、脱毛について同様のデータが確認されているわけではない。今後、このテーマを対象にした研究が進めば、より明確な答えが得られる可能性がある。

考えられる経路② 糖尿病に合併しやすい甲状腺疾患

2つ目に考えられるのは、糖尿病そのものではなく、糖尿病と合併しやすい別の病気が脱毛を起こしているケースである。代表例が甲状腺疾患である。米国皮膚科学会(AAD)は、甲状腺に問題があると髪が薄くなることがあり、ブラッシングの際に髪が塊になって抜けることに気づく人もいると説明している[1]。そして、甲状腺疾患を治療することで脱毛が改善する可能性があるとも述べている[1]。

また、出産後や病気からの回復期、あるいは離婚や身近な人の死といった強いストレスを受けた後、数ヵ月してから急に抜け毛が増えることがあるともAADは説明している[1]。これは医学的に「休止期脱毛症」と呼ばれる状態に近い経過で、ストレスの原因が落ち着けば、体が立て直されて過剰な抜け毛は収まるとされている[1]。糖尿病の診断自体が本人にとって大きなストレスになることもあり、こうした間接的な経路で一時的に抜け毛が増える可能性も考えられる。

考えられる経路③ GLP-1受容体作動薬の副作用報告

3つ目は、糖尿病そのものではなく、糖尿病治療に使われる薬の影響である。セマグルチド・チルゼパチドなどのGLP-1受容体作動薬(日本でも糖尿病治療薬・一部は肥満症治療薬として使用)について、脱毛の報告が増えていることを示す医学論文がある。NCBI(米国立生物工学情報センター)のPMCに掲載されたスコーピングレビューによれば、米国FDAの有害事象報告データベース(FAERS)には、GLP-1受容体作動薬に関連する脱毛の報告が2016年から2025年の間に1,929件、1,941件の事象として記録されており、米国内だけで1,000件を超える自発報告があるとされている[2]。報告された脱毛のタイプは、休止期脱毛症と男性型・女性型脱毛症(androgenetic alopecia)が最も多いとされている[2]。

ただし、この論文自体が「因果関係は確認できないが、多様な状況で症例が繰り返し報告されていることは、臨床的な注意を要する潜在的な安全性の懸念を示している」と結論づけている[2]。つまり、「関連が疑われる報告が増えている」段階であり、「この薬が脱毛を引き起こす」と確定した情報ではない。GLP-1受容体作動薬を使用中に脱毛が気になる場合は、自己判断で中止せず、処方医に相談することが基準になる。

なぜGLP-1受容体作動薬で脱毛の報告が増えているのか、その仕組みも完全には解明されていない。考えられる説明の一つとして、これらの薬は体重減少効果が大きいため、急激な体重減少そのものが、出産後や大きな病気の後と同じように、体にとってのストレス・変化として働き、一時的な休止期脱毛症を誘発している可能性が指摘されている。つまり、薬の成分そのものが直接毛根を攻撃しているというより、「短期間で大きく体が変化すること」自体が引き金になっている可能性があるという見方であり、これも仮説の域を出ていない点には注意が必要である。

考えられる経路④ 食事制限による栄養不足(見落とされやすい経路)

糖尿病の食事療法では、炭水化物やエネルギー摂取量を意識するあまり、鉄・たんぱく質などの摂取量が不足してしまうケースがある。米国皮膚科学会(AAD)は、鉄やたんぱく質などの栄養が不足すると脱毛につながることがあり、毎日の摂取カロリーが少なすぎることも著しい脱毛の原因になりうると説明している[1]。AADによれば、たんぱく質が不足すると、体は限られたたんぱく質を他の働きに優先的に使うようになり、髪の成長に回される分が減ると説明されている[1]。同学会はまた、鉄は毛包に酸素を運ぶ役割を担っており、血液検査で鉄欠乏が確認された場合は、鉄剤の補充が勧められることがあるとしている[1]。

この記事のシリーズで扱った糖尿病の食事療法に関する記事でも触れたとおり、日本糖尿病学会のガイドラインは、総エネルギー摂取量を制限せずに特定の栄養素だけを極端に制限することには慎重な立場を示している[3]。自己流の厳しすぎる糖質制限やカロリー制限が、意図せず脱毛の一因になっている可能性も否定できず、食事療法の内容に心当たりがある場合は、管理栄養士に食事内容を見直してもらうことも選択肢になる。なお、AADはセレン・ビタミンA・ビタミンEなど特定の栄養素の摂りすぎも脱毛と関連するとしており[1]、自己判断でのサプリメント大量摂取にも注意が必要である。

逆方向の関連 — 男性型脱毛症が糖尿病のサインになる可能性

ここまでは「糖尿病が脱毛の原因になりうるか」という方向で見てきたが、医学研究では逆方向の関連、つまり「脱毛が糖尿病のリスクを示すサインになりうるか」という視点からの報告もある。台湾のコホートを対象にした研究(JAMA Dermatology誌、2013年)では、男性型脱毛症(AGA)が中等度〜重度の人は、正常または軽度の人と比べて、糖尿病による死亡リスクが約3倍(調整ハザード比2.97)高かったと報告されている[4]。この研究は「男性型脱毛症は、男女とも糖尿病・心疾患による死亡の独立した予測因子である」と結論づけている[4]。

研究 対象 主な結果
台湾コホート研究(2013年) 男女の男性型脱毛症(AGA)の程度 中等度〜重度AGAで糖尿病による死亡リスクが約3倍(HR 2.97)[4]

出典:Su LH, et al. Association of androgenetic alopecia with mortality from diabetes mellitus and heart disease. JAMA Dermatol. 2013[4]

これは「脱毛を放置すると糖尿病になる」という意味ではなく、「早期から進行する男性型脱毛症のある人は、糖尿病や心血管疾患のリスクも併せて確認しておいたほうがよい可能性がある」という関連の指摘である。すでに糖尿病と診断されている人にとっては直接関係しない情報だが、家族に若くして進行した男性型脱毛症の人がいる場合、生活習慣病のリスクという観点から、健康診断を定期的に受けておくことの参考になる。

脱毛のタイプを見分ける — 自己判断が難しい理由

「脱毛」とひとことで言っても、医学的にはいくつかのタイプに分かれる。この記事でこれまで触れた休止期脱毛症(一時的なストレスや病気、栄養不足による全体的な抜け毛の増加)や男性型・女性型脱毛症(髪の分け目や生え際から徐々に薄くなるタイプ)のほかに、円形脱毛症(自己免疫が関わり、円形・楕円形に脱毛斑ができるタイプ)など、原因も見た目も異なるタイプが存在する。

これらは、見た目だけで正確に区別することが難しい場合があり、血液検査・頭皮の診察・場合によっては頭皮の一部を採取する検査などを組み合わせて診断されることが多い。「糖尿病があるから、自分の脱毛もきっと糖尿病のせいだろう」と自己判断してしまうと、実際には栄養不足や甲状腺疾患、あるいは加齢による自然な変化など、他の治療可能な原因を見逃してしまう可能性がある。この記事で紹介した4つの経路は、あくまで「関連が疑われる要因の候補」であり、実際に自分の脱毛がどれに該当するかは、皮膚科での診察を通じてでなければ判断できない。また、これらの経路は互いに排他的ではなく、複数が同時に関わっているケースも十分考えられる。例えば、糖尿病の食事療法による軽度の栄養不足と、加齢に伴う男性型脱毛症が同時に進行している、といった具合である。この場合、栄養面を改善しても、加齢による部分は改善しないため、「対策したのに効果がない」と感じてしまうことがある。原因が一つとは限らないという前提を持っておくことも、過度な期待や失望を避けるうえで役立つと考えられる。

皮膚科では何を調べるのか

「皮膚科を受診する」と言われても、具体的に何をするのか分からず不安に思う人もいるだろう。脱毛の原因を調べる際、一般的に行われる検査には次のようなものがある。

検査 何がわかるか 備考
問診 脱毛が始まった時期、進み方、家族歴、既往歴、使用中の薬 糖尿病の罹病期間・服薬内容もここで確認される
頭皮の視診・ダーモスコピー 脱毛のパターン(円形か、びまん性か)、毛穴の状態 タイプの見分けに役立つ
血液検査 甲状腺機能、鉄(フェリチン)、亜鉛など 甲状腺疾患や鉄欠乏は、治療で改善が期待できる原因の代表例[1]
引っ張りテスト(プルテスト) 毛髪が抜けやすい状態かどうかの簡易的な確認 休止期脱毛症の評価に使われることがある

これらの検査を組み合わせることで、脱毛の原因が甲状腺疾患なのか、鉄欠乏なのか、男性型・女性型脱毛症なのか、あるいは複数が重なっているのかを、ある程度絞り込むことができる。糖尿病の主治医が把握しているHbA1cや血糖コントロールの状況を、皮膚科受診時に伝えておくと、より的確な評価につながりやすい。

糖尿病の他の皮膚トラブルとの関係

糖尿病は、脱毛以外にも皮膚のトラブルを起こしやすいことが知られている。血糖コントロールが乱れると、皮膚が乾燥しやすくなったり、傷が治りにくくなったり、感染症にかかりやすくなったりすることがある。脱毛も含めて、皮膚・毛髪のトラブルが複数同時に出ている場合は、糖尿病の全身管理そのものを見直すきっかけとして捉えることもできる。糖尿病患者の皮膚ケア全般については、本サイトの別記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

日本で使われているGLP-1受容体作動薬にはどんなものがあるか

日本国内でも、セマグルチド(注射薬・経口薬)、デュラグルチド、リラグルチドなどのGLP-1受容体作動薬が、2型糖尿病の治療薬として使われている。近年は、体重管理を目的とした製剤も承認されており、糖尿病の有無にかかわらず、これらの薬を使用する人は増えている。NCBIのスコーピングレビューで脱毛の報告が指摘されているのは、セマグルチド・チルゼパチド・リラグルチド・デュラグルチドといった、GLP-1受容体作動薬というカテゴリー全体にわたっており[2]、特定の1つの薬だけの問題というより、この種類の薬全体で注目されている安全性シグナルだと理解しておくとよい。

糖尿病治療のためにこれらの薬を使っている人が、脱毛を理由に自己判断で服薬を中断すると、血糖コントロールが悪化し、かえって他の合併症のリスクを高めてしまう可能性がある。脱毛が気になる場合でも、まずは処方医に相談し、必要であれば薬の種類の変更や休止期脱毛症としての経過観察など、医師の判断のもとで対応を検討することが基準になる。

受診の目安 — この症状は皮膚科を受診すること

受診の目安:早めに皮膚科(可能であれば脱毛外来)を受診したほうがよいサイン

  • 数週間〜数ヵ月で急激に抜け毛が増えた。
  • 円形・楕円形の脱毛斑がある。
  • 頭皮のかゆみ・赤み・フケの異常な増加を伴う脱毛。
  • 髪だけでなく、まゆ毛・まつ毛・体毛にも脱毛が広がっている。
  • GLP-1受容体作動薬など、新しく使い始めた薬と脱毛の時期が重なっている。

これらは、単なる加齢による薄毛ではなく、治療可能な原因が隠れている可能性があるサインと考えられる。皮膚科では、血液検査(甲状腺機能・鉄・亜鉛など)や頭皮の診察を通じて、原因を絞り込むことができる。

年齢・性別による違い — 加齢や更年期との重なりに注意

脱毛の相談で難しいのは、糖尿病・加齢・更年期によるホルモン変化・遺伝的な薄毛の要因が、同じ時期に重なって現れることが少なくない点である。特に40代〜50代以降は、女性であれば更年期によるホルモンバランスの変化、男女とも加齢に伴う男性型・女性型脱毛症の進行が、糖尿病の罹病期間の長さとちょうど重なる時期でもある。

そのため、「糖尿病があるから脱毛した」と単純に結びつけるのではなく、年齢・性別・家族歴(遺伝的な薄毛の傾向があるか)・閉経の有無なども含めて、皮膚科医に総合的に評価してもらうことが、遠回りに見えて実は一番確実な方法だと考えられる。高齢者の場合は、脱毛以外にも複数の慢性疾患や薬を併用していることが多く、原因が単純ではないことも念頭に置いておきたい。糖尿病の薬に限らず、降圧薬・脂質異常症治療薬・抗うつ薬など、他の慢性疾患の治療薬の中にも、まれに脱毛が報告されているものがある。服用中の薬をすべて皮膚科医に伝えることで、薬剤性の脱毛の可能性も含めて評価してもらいやすくなる。

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日本と海外、脱毛の考え方はどう違うか

脱毛症そのものは世界共通の悩みだが、糖尿病との関連について、日本と海外(米国)で強調点にやや違いがある。

項目 日本の糖尿病診療ガイドライン 米国皮膚科学会(AAD)系の情報
糖尿病と脱毛の直接的な関連 日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024(食事療法の章など、本記事シリーズで参照した範囲)には、脱毛症を糖尿病の合併症として直接扱う記載は見当たらなかった 脱毛のある女性が糖尿病など他の病気を併せ持つことがあると報告されているが、詳しい機序の証明はまだないとされる[1]
薬剤性の脱毛 国内では、糖尿病治療薬との関連を専門に扱った大規模な公的資料は、この記事の調査時点では見当たらなかった GLP-1受容体作動薬とアロペシアの関連について、FAERSデータを用いた医学論文が複数報告されている[2]

この比較から見えてくるのは、「糖尿病と脱毛」というテーマ自体が、まだ研究の途上にあるということである。断定的な答えを急がず、「今分かっている範囲」と「まだ分かっていない範囲」を分けて理解することが、この記事全体を通じて大切にしたい姿勢である。日本国内でも今後、糖尿病治療薬と脱毛の関連を検証する研究や、糖尿病患者を対象にした脱毛の実態調査が進めば、より確度の高い情報が得られる可能性がある。この記事の内容も、そうした研究の進展に応じて更新していく必要がある性質のものである。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

📋 皮膚科受診時にチェックしておくメモ
・脱毛に気づいた時期、抜け方(徐々にか、急激にか)
・直近のHbA1c値・血糖コントロールの状態
・使用中の薬(糖尿病治療薬を含むすべての薬・サプリメント)
・最近の体調変化(大きなストレス・病気・出産など)
・家族に脱毛症の人がいるかどうか

糖尿病と脱毛の直接的な因果関係、および具体的な発生率(糖尿病患者のうち何%に脱毛がみられるかなど)については、今回参照した資料には明確な記載は見当たりませんでした。この記事で紹介した3つの経路(血管合併症の仮説・甲状腺疾患の合併・GLP-1受容体作動薬の副作用報告)は、いずれも「関連が疑われる」段階の情報であり、糖尿病そのものが脱毛の直接原因であると断定するものではありません。脱毛の原因は個人によって大きく異なるため、この記事の一般論だけで自己診断せず、皮膚科での検査を受けることをおすすめします。また、この記事で紹介した割合や件数(GLP-1受容体作動薬の報告件数など)は、あくまで海外のデータベースに基づくものであり、日本人における発生頻度を直接示すものではない点にもご留意ください。

更新日:2026年7月19日。医学研究は日々更新されるため、最新の情報は必ず皮膚科専門医にご確認ください。本記事の内容に誤り・古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご指摘いただければ確認のうえ速やかに修正いたします。

生活習慣全体を見直すという視点

脱毛の直接原因が特定できない場合でも、生活習慣全体を整えることは、糖尿病の管理という意味でも、髪や皮膚の健康という意味でも無駄にはならない。血糖・血圧・脂質の管理、十分な睡眠、過度なストレスを溜め込みすぎない工夫、バランスの取れた食事は、いずれも糖尿病の合併症予防の基本であり、間接的に髪の健康にも関わっている可能性がある。「脱毛だけを個別に治そう」とするより、糖尿病全体の管理を見直す中で、結果的に脱毛の改善にもつながるケースがあると考えられる。

一方で、生活習慣の改善だけで解決しない脱毛も多く存在する。数ヵ月生活習慣を整えても改善が見られない場合や、脱毛の進行が早い場合は、生活習慣の工夫だけに頼らず、早めに皮膚科を受診することが望ましい。

今日からできること — 3つのポイントに整理する

糖尿病と脱毛の関係はまだ研究の途上にあるが、だからといって何もできないわけではない。現時点で確認できる情報から、実践できることを3つに整理する。

  1. 自己判断で「糖尿病のせい」と決めつけず、皮膚科で原因を調べる — 甲状腺疾患や鉄欠乏など、治療可能な原因が隠れている可能性がある[1]。
  2. 極端な食事制限をしていないか振り返る — AADによれば鉄・たんぱく質の不足やカロリー不足は、それ自体が脱毛の原因になりうる[1]。日本糖尿病学会のガイドラインによれば、糖尿病の食事療法は特定の栄養素だけを極端に削るのではなく、全体のバランスを意識することが基本になるとされる[3]。
  3. 薬を使用中に脱毛が始まった場合は、時期を記録して処方医に伝える — GLP-1受容体作動薬など、脱毛との関連が報告されている薬を使っている場合、自己判断で中止せず、いつから抜け毛が増えたかを記録し、次の診察で伝えることが基準になる[2]。

「糖尿病と脱毛」というテーマは、断定的な答えを出せる段階にまだ至っていない分野である。この記事で紹介した情報も、今後の研究によって更新される可能性がある。だからこそ、インターネット上の断定的な情報を鵜呑みにせず、「今分かっていること」と「まだ分かっていないこと」を区別しながら、気になる症状があれば専門医に相談するという基本姿勢が、この記事全体を通じて最も伝えたいことである。

よくある質問

糖尿病になると必ず脱毛しますか?
いいえ。糖尿病があるからといって、必ず脱毛が起こるという証拠はない。関連が疑われる報告はあるものの、直接的な因果関係は現時点で証明されていない[2]。脱毛が気になる場合は、糖尿病以外の原因(甲状腺疾患・鉄欠乏・ストレスなど)も含めて皮膚科で調べることが望ましい。
血糖コントロールを良くすれば、脱毛は治りますか?
血糖コントロールの改善が脱毛に直接効果があるという証拠は、今回参照した資料には見当たらなかった。ただし、AADによれば、脱毛の原因が甲状腺疾患など糖尿病に合併しやすい別の病気である場合、その病気を治療することで脱毛が改善する可能性があるとされている[1]。まずは原因を特定することが優先される。
糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)を使い始めてから抜け毛が増えました。薬をやめるべきですか?
自己判断で薬を中止するのは避けるべきである。GLP-1受容体作動薬と脱毛の関連を示す報告はあるが、因果関係は確定していない[2]。薬を中止することで血糖コントロールが悪化するリスクもあるため、脱毛が気になる場合は、まず処方した医師に相談し、必要に応じて皮膚科も受診することが基準になる。
円形脱毛症も糖尿病と関係がありますか?
円形脱毛症は自己免疫が関わる脱毛症の一種とされ、この記事で扱った「休止期脱毛症」や「男性型・女性型脱毛症」とは異なるタイプの脱毛である。糖尿病との直接的な関連について、今回参照した資料には明確な記載は見当たらなかった。円形の脱毛斑に気づいた場合は、タイプを見分けるためにも皮膚科の受診が望ましい。
何科を受診すればいいですか?
脱毛の原因を調べるという意味では、皮膚科(可能であれば脱毛外来のある施設)が基本になる。甲状腺疾患が疑われる場合は内科・内分泌内科と連携することもある。糖尿病の主治医がいる場合は、脱毛について相談し、必要な科への紹介を受けるとスムーズである。どこから受診してよいか分からない場合は、まず糖尿病の主治医に「最近抜け毛が気になる」と伝えるところから始めるとよい。
女性と男性で、糖尿病と脱毛の関係に違いはありますか?
米国皮膚科学会の報告は女性の脱毛症を対象にしたものが中心で、糖尿病など他の病気との関連が指摘されている[1]。男性における同様の関連については、今回参照した資料には詳細な記載は見当たらなかった。男女とも、脱毛のパターンや原因は個人差が大きいため、性別にかかわらず気になる場合は皮膚科での相談が望ましい。
ストレスで一時的に髪が抜けることはありますか?
ある。AADによれば、出産後、病気からの回復期、あるいは大きな精神的ストレスを受けた数ヵ月後に、抜け毛が急に増えることがあるとされている[1]。同学会は、ストレスの原因が落ち着けば体が立て直されて過剰な抜け毛は自然に収まることが多いとしている[1]。糖尿病の診断そのものがストレス要因になることもあり、間接的な経路として考えられる。
サプリメントや育毛剤で対策してもいいですか?
原因が特定できていない段階で市販のサプリメントや育毛剤に頼るのは、根本原因の発見を遅らせる可能性がある。まず皮膚科で原因を調べ、甲状腺疾患や鉄欠乏など治療可能な原因があればそれを優先して治療し、そのうえで必要な対策を専門医と相談することが望ましい。米国皮膚科学会は、セレン・ビタミンA・ビタミンEなど特定の栄養素を摂りすぎることも脱毛と関連すると指摘しており[1]、自己判断での大量摂取は避けるべきである。
糖質制限や極端なカロリー制限も脱毛の原因になりますか?
なりうると考えられる。米国皮膚科学会は、毎日の摂取カロリーが少なすぎることが著しい脱毛の原因になることがあると説明している[1]。糖尿病の食事療法で自己流の厳しい制限を続けている場合、それ自体が脱毛の一因になっている可能性があり、管理栄養士と相談しながら、極端すぎない範囲での食事療法に見直すことも検討したい。
鉄欠乏性貧血がある場合、脱毛のリスクは高くなりますか?
AADによれば、鉄は毛包に酸素を運ぶ役割を担っており、血液検査で鉄欠乏が確認された場合、脱毛との関連で鉄剤の補充が勧められることがあるとされている[1]。糖尿病の食事療法で肉類や特定の食品を大きく制限している場合、意図せず鉄不足になっていることもあるため、貧血の症状(だるさ・立ちくらみなど)と脱毛が同時にある場合は、血液検査を受けることをおすすめする。
更年期の症状と糖尿病による脱毛は見分けられますか?
自己判断での見分けは難しい。更年期によるホルモンバランスの変化、加齢に伴う男性型・女性型脱毛症、糖尿病に関連する要因は、同じ時期に重なって起こることが多く、症状だけで原因を特定するのは専門医でも簡単ではない。婦人科的な要因が疑われる場合は婦人科、脱毛そのものの評価は皮膚科というように、複数の科と連携しながら調べることが現実的である。
脱毛の検査では何がわかりますか?
問診、頭皮の視診・ダーモスコピー、血液検査(甲状腺機能・鉄・亜鉛など)、引っ張りテストなどを組み合わせて、脱毛のタイプと考えられる原因を絞り込む。糖尿病の罹病期間やHbA1cの状況を合わせて伝えることで、より的確な評価につながりやすい。
脱毛以外にも糖尿病で皮膚のトラブルは起こりますか?
起こりうる。血糖コントロールが乱れると、皮膚の乾燥・傷の治りにくさ・感染症のリスク上昇など、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすくなるとされている。脱毛だけでなく皮膚全体のトラブルが重なっている場合は、皮膚の症状だけでなく糖尿病の全身管理そのものを見直すきっかけとして捉えることも大切である。

あわせて読みたい — 糖尿病の合併症について、さらに詳しく

この記事は脱毛というテーマに絞って、現時点で分かっていることといないことを整理した。糖尿病の他の合併症については、以下の記事もあわせて参考にしてほしい。

参考文献

  1. American Academy of Dermatology「Research suggests connection between hair loss in women and other diseases」/「Causes of hair loss」 https://www.aad.org/news/hair-loss-in-women-tied-diseases
  2. NCBI PMC「Alopecia as an Emerging Adverse Effect Associated With Glucagon-Like Peptide-1 (GLP-1) Receptor Agonists for Weight Loss: A Scoping Review」 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12431796/
  3. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第3章 食事療法(2024年5月30日発行) https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/03_1.pdf
  4. Su LH, Chen LS, Lin SC, Chen HH. 「Association of androgenetic alopecia with mortality from diabetes mellitus and heart disease」JAMA Dermatology, 2013 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23677087/
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医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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