糖尿病患者のインフルエンザ対策|シックデイと血糖管理の注意点
この記事でわかること
目次
- 要点まとめ
- JHO編集部とこの記事の根拠について
- 🔧 今の状態はどれ? シックデイ早見チェック表
- 糖尿病患者がインフルエンザで重症化しやすい仕組み
- 重症化リスクを示す数字 — 厚生労働省・公的機関のデータ
- シックデイ・ルール — 血糖値・インスリン・飲み薬の扱い方
- 薬剤別に見る、なぜその対応が必要なのか
- 血糖値・尿ケトン体の自己測定と、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のサイン
- 血糖値・ケトン体は、どれくらいの頻度で測ればよいか
- 水分・食事がとれないときの具体的な工夫
- インフルエンザワクチン — 定期接種の対象と受け方
- 日本と米国のガイドライン・情報源の比較
- 🖨️ 受診時に持参するメモ(印刷してお使いください)
- 高齢者・腎機能低下・1型と2型の違い
- 子ども・高齢者・妊娠中の方など、対象者別の注意点
- 流行期に備える予防のポイント — ワクチン・手洗い・血糖管理の3本柱
- よくある質問
- 参考文献
【結論】糖尿病がある方は、インフルエンザにかかると血糖コントロールが乱れやすく、肺炎などを合併して重症化するリスクが、糖尿病のない方より高いとされています。厚生労働省のデータでは、季節性インフルエンザの重症化率は60歳未満で0.03%であるのに対し、60歳以上では0.79%と約26倍に上昇します[6]。国立健康危機管理研究機構(感染症情報提供サイト)は、「高齢者や基礎疾患のある者は基礎疾患の悪化や細菌感染症の合併により重症化、死亡することがある」としており、糖尿病情報センターもこの基礎疾患に糖尿病を含めて注意を呼びかけています[7][3]。日本糖尿病学会と糖尿病情報センターが整理する対策の柱は3つです——①毎年のワクチン接種、②発熱・食欲不振時に血糖値と薬の使い方を誤らない「シックデイ・ルール」、③脱水や糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のサインを見逃さず早めに受診することです[1][2]。この記事では、日本糖尿病学会・糖尿病情報センター・厚生労働省・米国糖尿病協会(ADA)の公的資料をもとに、今日から実践できる対策を整理しました。糖尿病そのものの診断基準や治療の基本については糖尿病ハブページもあわせてご覧ください。
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要点まとめ
- ✓ 糖尿病があると、インフルエンザ罹患時の重症化リスクが高まります。血糖コントロールが良好で合併症がなければリスクは比較的低いとされますが、HbA1cが高値で血糖コントロールが不良な方、合併症のある方、高齢の方は注意が必要です[3]。
- ✓ 体調不良で血糖値が乱れやすくなった状態を「シックデイ」と呼びます。インスリン注射は、食事がとれなくても自己判断で完全に中断してはいけません[2]。
- ✓ 経口薬のうちビグアナイド薬(メトホルミン)とSGLT2阻害薬は、発熱・下痢などで脱水のおそれがある場合は原則休薬します[1]。
- ✓ 厚生労働省は、高齢者福祉施設入所者を対象にした研究として、インフルエンザワクチン接種が発病を34〜55%、死亡を82%阻止する効果を報告しています[5]。糖尿病情報センターも、糖尿病がある方に毎年の予防接種を勧めています[3]。
- ✓ 嘔吐・下痢が止まらない、38度以上の高熱が続く、24時間まったく食事がとれない、血糖値が350mg/dL以上続く場合は、様子を見ずに医療機関に相談してください[2]。
JHO編集部とこの記事の根拠について
この記事は、JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省、日本糖尿病学会、糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、米国糖尿病協会(ADA)などの公的・学術情報源と照合、最終確認は人の目という方針のもとで作成しました[1][6]。シックデイ時の薬の増減は、糖尿病の型(1型・2型)、使用中の薬剤、腎機能などによって個人差が大きいため、本記事は一般的な考え方の整理にとどまります。医師による個別の診断・指示の代わりにはなりません。数値やガイドラインは改定されることがあります(2026年7月時点の情報です)。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
🔧 今の状態はどれ? シックデイ早見チェック表
発熱や食欲不振があるとき、まず自分が今どの段階にいるかを確認しましょう。段階によって、血糖測定の頻度や受診のタイミングが変わります。
| 状態 | 確認すべきこと | 目安 |
|---|---|---|
| 🟢 平常時(流行期の予防段階) | ワクチン接種は済んでいるか、手元に体温計・血糖測定器・ケトン試験紙はあるか | 流行前(12月中旬まで)にワクチン接種を終えるのが望ましいとされています[5] |
| 🟡 シックデイ(発熱・下痢・嘔吐・食欲不振) | 血糖値をこまめに測定、水分・炭水化物を少量ずつ摂取、インスリン・飲み薬の量を主治医の指示どおりに調整 | 血糖測定は数時間おき、インスリンは自己判断で中止しない[2] |
| 🔴 危険サイン(受診が必要) | 嘔吐・下痢が止まらない、24時間食事がとれない、血糖値350mg/dL以上、意識がもうろうとする | 様子を見ずに医療機関へ連絡・受診[2] |
⚠️ この表はあくまで一般的な目安です。具体的な薬の増減・中止の判断は、必ず主治医の事前の指示に従ってください。日本糖尿病学会によれば、シックデイの対応は糖尿病の型や使用中の薬剤によって個人差が大きく、自己判断は危険です[1]。
糖尿病患者がインフルエンザで重症化しやすい仕組み
インフルエンザにかかると、体は感染と戦うためにストレスホルモン(アドレナリンやコルチゾールなど)を分泌します。このストレス反応は、肝臓からのブドウ糖放出を増やし、同時にインスリンの効きを悪くする(インスリン抵抗性を高める)方向に働きます。糖尿病情報センターによれば、その結果、ふだん血糖コントロールが良好な方でも、感染症にかかっている間は血糖値が急に上がりやすくなります[2]。
一方で、発熱や下痢、食欲不振によって食事や水分がとれなくなると、今度は血糖値が下がりすぎる「低血糖」のリスクも同時に高まります。「感染症でブドウ糖の需要は上がっているのに、食事からの糖の供給は減っている」——この高血糖と低血糖が同時に起こりうる不安定な状態が、糖尿病患者のインフルエンザ罹患時の血糖管理を難しくしている根本的な理由です。日本糖尿病学会と糖尿病情報センターは、この状態を「シックデイ(体調の悪い日)」と呼び、通常時とは異なる対応が必要だとしています[1][2]。
さらに、糖尿病があると高血糖そのものが免疫細胞(白血球)の働きを弱め、感染症に対する体の防御力を下げる方向に影響するとされています。この「感染しやすさ」と「感染すると血糖が乱れやすい」という悪循環が、糖尿病情報センターが紹介する米国CDCの整理でも指摘されている、糖尿病患者がインフルエンザで肺炎などを合併しやすい背景です[3]。ただし、リスクの程度は一律ではありません。糖尿病情報センターは「糖尿病があっても血糖コントロールが良好で、心血管疾患や腎疾患などの合併症がない方のリスクは比較的低い」と紹介する一方、「HbA1cが高値で血糖コントロールがよくない方、合併症のある方、高齢の方は重症化する可能性があり、注意が必要」としています[3]。
重症化リスクを示す数字 — 厚生労働省・公的機関のデータ
「実際にどれくらいリスクが高いのか」を、公的機関が公表している数字で確認しましょう。
| 年齢層 | 重症化率 | 致死率(参考) |
|---|---|---|
| 60歳未満 | 0.03% | 0.01% |
| 60歳以上 | 0.79% | 0.55% |
出典:厚生労働省「新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの重症化率等について」(2017年9月〜2020年8月のNDBデータに基づく)[6]
この数字は年齢による区分ですが、糖尿病はしばしば高齢の方に多く、かつ高齢であること自体が重症化率を押し上げる要因の一つです。日本糖尿病学会・糖尿病情報センターは、「糖尿病があっても血糖コントロールが良好で、心血管疾患や腎疾患などの合併症がない方のリスクは比較的低い」と紹介する一方、「HbA1cが高値で血糖コントロールがよくない方、合併症のある方、高齢の方は重症化する可能性があり、注意が必要」と整理しています[3]。国立健康危機管理研究機構(感染症情報提供サイト)も、「高齢者や基礎疾患のある者は基礎疾患の悪化や細菌感染症の合併により重症化、死亡することがある」と、糖尿病を含む基礎疾患を一般的なリスク因子として位置づけています[7]。
| 対象 | 報告されている効果 | 出典 |
|---|---|---|
| 高齢者福祉施設入所者 | 発病を34〜55%、死亡を82%阻止 | 厚生労働省[5] |
| 糖尿病がある人(一般的な位置づけ) | 基礎疾患として重症化リスク因子に含まれ、毎年の接種が予防対策の柱の一つとされる | 糖尿病情報センター[3] |
これらの数字が示すのは、「ワクチンを打てば絶対にかからない」ということではなく、「かかった場合の重症化・入院・死亡を減らす効果が、高齢者や基礎疾患のある方を含めて報告されている」ということです。厚生労働省は定期接種の対象者について「毎年1回接種ができます」としています[4]。糖尿病そのものの診断基準(空腹時血糖値・HbA1cなど)を確認したい方は糖尿病と予備群の診断基準の解説記事もご参照ください。
シックデイ・ルール — 血糖値・インスリン・飲み薬の扱い方
糖尿病情報センターは、シックデイの基本的な自宅対応として、次の5点を紹介しています[2]。
- ①安静にして体を温める
- ②スープなど塩分を含む水分をこまめに補給する
- ③お粥やうどんなど、消化のよい炭水化物を少量ずつ摂る
- ④インスリン製剤を自己判断で中止しない
- ⑤血糖値をこまめに測定する
インスリンと飲み薬の具体的な扱いは、薬の種類によって考え方が異なります。以下は糖尿病情報センターの整理をもとにした一般的な目安であり、実際の増減は必ず主治医の事前の指示に従ってください[2]。
| 薬剤の種類 | シックデイでの扱い(一般的な目安) |
|---|---|
| 持効型インスリン製剤 | 中止厳禁。食事がとれない場合も5〜8割程度に減量して継続[2] |
| 超速効型・速効型インスリン | 食事がとれない場合は食前注射を中止することがある一方、発熱で血糖値が上がっている場合は増量が検討されることもある[2] |
| ビグアナイド薬(メトホルミン等) | 脱水のおそれがある場合は原則休薬[1][2] |
| SGLT2阻害薬 | 脱水のおそれがある場合は原則休薬[1][2] |
| 速効型インスリン分泌促進薬・α-GI薬 | 食事量が減っている場合は原則休薬の対象となることがある[2] |
| SU薬 | 血糖値が上昇していない場合は減量・中止が必要になることがある(低血糖予防)[2] |
日本糖尿病学会は、1型糖尿病では「食事が取れなくてもインスリン注射を完全に中断してはいけない」と明記しています。中断すると、インスリンの絶対的な不足から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という重篤な状態に至る危険があるためです。一方、日本糖尿病学会は2型糖尿病では「食事量が半分以下であれば投薬を減量する」のが一般的な考え方とし、発熱や下痢で脱水のおそれがある場合はメトホルミンやSGLT2阻害薬を休薬するという整理を示しています[1]。いずれの場合も、日本糖尿病学会は「シックデイでは個別の対応が必要」だとし、体調を崩す前に、あらかじめかかりつけ医からシックデイ時の対応方法について指示を受けておくことを強く勧めています[1]。
薬剤別に見る、なぜその対応が必要なのか
メトホルミン(ビグアナイド薬):脱水のおそれがある場合に休薬する理由は、まれではあるものの「乳酸アシドーシス」という重篤な副作用があるためです。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公表した適正使用情報では、「脱水状態が懸念される下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者への投与は禁忌」とされ、報告された重篤な乳酸アシドーシス症例では、発症前に「経口摂取不良、食欲不振や嘔吐等による脱水症状」が認められていたことが紹介されています。PMDAの資料によれば、腎機能障害は乳酸アシドーシスのもっとも注意が必要な危険因子ともされています[10]。インフルエンザで下痢・嘔吐・食欲不振があるときにメトホルミンを休薬するのは、この乳酸アシドーシスのリスクを避けるためです。
SGLT2阻害薬:尿から糖を排出する仕組み上、体液量が減りやすく(浸透圧利尿)、脱水やDKAのリスクを高める可能性があるとされています。日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024では、SGLT2阻害薬投与中のDKAは高血糖を伴わないこともあり得るとされ、「シックデイや術前に休薬の必要がある」と明記されています[11]。日本糖尿病学会のガイドラインによれば、極端な糖質制限を同時に行っている場合、血糖値が正常範囲でもDKA(正常血糖ケトアシドーシス)を起こす可能性がある点にも注意が必要です[11]。
SU薬(スルホニル尿素薬):インスリンの分泌を強制的に促す薬のため、食事が摂れず血糖値が上がっていない状態で通常どおり服用すると、低血糖を招く危険があります。糖尿病情報センターは「食事が摂れず血糖値が上がらない場合は原則減量や中止が必要」としています[2]。
インスリン製剤:①でも触れたとおり、⛔自己判断での完全な中止は絶対にしてはいけません。持効型(基礎)インスリンは食事の有無にかかわらず継続が原則で、食事がとれない場合も通常量の5〜8割程度に減量して打ち続けます。糖尿病情報センターによれば、むしろ発熱による高血糖に対しては、超速効型・速効型インスリンを普段より多めに注射する対応が検討されることもあります[2]。「体調が悪いから今日はやめておこう」という判断がもっとも危険なパターンです。
DPP-4阻害薬:血糖値に依存してインスリン分泌を促す仕組みのため、単独投与では低血糖のリスクが少ないとされています。日本糖尿病学会の診療ガイドライン2024でも、単独投与時の低血糖リスクの低さが特徴として挙げられています[11]。ただし、SU薬やインスリン製剤と併用している場合は、これらの薬の減量が必要になることがあります。とくに高齢者・腎機能低下者ではSU薬にDPP-4阻害薬を追加した際に重症低血糖が報告されており、日本糖尿病学会の委員会は、そうした患者ではSU薬を減量したうえでDPP-4阻害薬を使うことを必須としています[13]。
GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬:日本糖尿病学会のガイドラインによれば、血糖依存的にインスリン分泌を促す一方、消化器症状(吐き気など)が副作用として知られています[11]。シックデイで嘔吐・下痢などの消化器症状がすでにある場合、これらの薬の副作用によって症状がさらに悪化する可能性があるため、続けてよいかどうかを主治医に確認しておくことが望まれます。具体的な休薬基準は個々の病状によって異なるため、本記事で参照した資料の範囲では、一律の数値基準は示されていません。
- もし熱はあるが軽度で、食事量が普段の半分以上とれているなら → 表1の🟡を参考に、水分・炭水化物を少量ずつ摂りながら数時間おきに血糖測定を続け、インスリンは中止しない。
- もし食事量が普段の半分以下になっているなら → あらかじめ主治医から受けている指示に沿って、飲み薬・インスリンの量を調整する(自己流の判断はしない)。
- もし嘔吐・下痢が止まらない、または24時間まったく食事がとれないなら → 様子を見ずに医療機関へ連絡・受診する[2]。
- もし血糖値が350mg/dL以上続いている、または尿ケトン体が強陽性なら → 糖尿病性ケトアシドーシスの可能性があるため、早急に医療機関へ連絡する[2][9]。
- もしインスリンを使っていて「食欲がないから今日は打たなくていいか」と迷っているなら → 迷わず主治医・薬剤師に電話で確認する。自己判断でのインスリン中断は危険です[3]。
血糖値・尿ケトン体の自己測定と、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のサイン
シックデイでは、通常時よりも頻回に血糖値を測定することが基本です。米国糖尿病協会(ADA)は、血糖値が200mg/dLを超える場合、4〜6時間ごとに血糖値とケトン体をチェックするよう案内しています[12]。ケトン体の測定キットは薬局などで市販されており、自宅でも確認できます。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、体内のインスリンが不足し、血液中にブドウ糖を取り込めなくなることで起こります。ADAは「体に十分な量のインスリンがないと、体がケトン体を作りすぎるリスクがあり、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という重篤な状態になる危険がある」としています[9]。ケトン体が急激に増えすぎると、血液が酸性に傾き、命に関わる状態になることがあります。糖尿病情報センターは、1型糖尿病など内因性インスリンの分泌が少ない方がインスリン注射を中断すると、ケトアシドーシスになる可能性があるとしており[2]、DKAは1型糖尿病でとくに起こりやすいとされます。糖尿病情報センターとADAによれば、感染症(インフルエンザを含む)や、インスリン注射を自己判断で中断・不足させることは、DKAの代表的な引き金です[2][9]。
| 出典 | サイン(いずれかがあればすぐに主治医に連絡) |
|---|---|
| ADA[9] | 血糖値が高い、ケトン値が高い、強い喉の渇き・口の渇き、普段より明らかに多い尿の回数、強い眠気、皮膚の乾燥・紅潮、吐き気・嘔吐・腹痛、呼吸のしづらさ、果物のような匂いの息、混乱(意識がはっきりしない) |
出典:米国糖尿病協会(ADA)「Diabetes and Planning for Sick Days」——「これらのいずれかがあれば、すぐに主治医に連絡してください」[9]
血糖値・ケトン体は、どれくらいの頻度で測ればよいか
「こまめに測定する」だけでは目安がつかみにくいため、公的機関が示す具体的な数値を整理しました。ADA(米国糖尿病協会)が示す「シックデイ・チェックリスト」では、一般的な目標として、空腹時血糖値80〜130mg/dL、食後2時間の血糖値180mg/dL未満(または主治医の指示による)を目安とし、血糖値が70mg/dL未満の低血糖には「15-15ルール」で対応するとされています[12]。日本の資料では、具体的な測定間隔の数値は示されていませんが、糖尿病情報センターは「こまめに血糖自己測定をして、血糖値と病気の状態を確認しましょう」としています[2]。
| 項目 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 空腹時血糖値の目標 | 80〜130mg/dL | ADA[12] |
| 食後2時間の血糖値の目標 | 180mg/dL未満 | ADA[12] |
| 低血糖とみなす血糖値 | 70mg/dL未満(15-15ルールで対応) | ADA[12] |
| 血糖値の測定頻度 | こまめに(具体的な間隔は主治医の指示に従う) | 糖尿病情報センター[2] |
| ケトン体の測定頻度 | 血糖値が200mg/dLを超える場合、4〜6時間ごと | ADA[12] |
ADAが示す「15-15ルール」とは、ブドウ糖などの吸収の早い糖質を15g摂取し、15分待ってから血糖値を再測定し、目標に届いていなければくり返すという低血糖時の対応方法です[9]。糖尿病情報センターが示す数値(血糖値350mg/dL以上が続く場合に受診[2])と、米国の資料が示す数値(血糖値300mg/dLが是正後も2回続けて高い場合に受診[12])は、数値そのものは異なりますが、「かなり高い血糖値が是正されずに続く状態」を受診の目安としている点では共通しています。どちらの数値を基準にするかも含め、あらかじめ主治医と確認しておくと安心です。
水分・食事がとれないときの具体的な工夫
食欲がないときに無理に普段どおりの食事をとる必要はありません。糖尿病情報センターは、シックデイの基本対応として「スープなどで十分に水分を摂り、お粥やうどんなどで炭水化物をとりましょう」としています[2]。ADA(米国糖尿病協会)は、水と経口補水液(電解質を含む飲料)を交互に飲むことを勧めています[12]。
| 状況 | 工夫 |
|---|---|
| 吐き気が強く、飲み物もつらい | 一度に大量に飲まず、スプーン1杯程度から数分おきに少量ずつ試す。水と経口補水液(電解質飲料)を交互に |
| 食事はまったく喉を通らないが、水分は摂れる | お粥・うどんなど消化にやさしい炭水化物を少量ずつ、こまめに[2]。低血糖の兆候があれば、ブドウ糖などを15g摂って15分待つ「15-15ルール」で対応する[9] |
| 固形物なら少し食べられる | お粥・うどんなど消化にやさしい炭水化物を少量ずつ[2] |
| 高血糖が続いている | 無糖・カロリーゼロの水分を優先し、糖分の多い飲み物は避ける(主治医の指示があればそちらを優先) |
米国糖尿病協会(ADA)は、シックデイのDKA警告サインとして、高血糖・高ケトン値に加えて、喉の渇きや口の渇き、頻尿、強い眠気、皮膚の乾燥・紅潮、吐き気・嘔吐・腹痛、呼吸のしづらさ、果物のような息の匂い、混乱を挙げ、これらのいずれかがあれば「すぐに主治医に連絡してください」としています[9]。ADAはまた、体調を崩す前に主治医と「シックデイ・アクションプラン」を決めておくことを勧めており、その内容として、①どんなときに医師に連絡するか(目安として、嘔吐や下痢が24時間で3回を超える、または38.3℃を超える発熱が24時間続く場合など)、②血糖値をどのくらいの頻度で測るか、③体調不良時に何を食べ・飲むか、④インスリンや飲み薬をどう調整するか、⑤いつケトン体を確認するか、⑥風邪薬・解熱薬など市販薬のうちどれを使ってよいか(血糖値や普段の薬に影響する成分があるため)、をあらかじめ話し合っておくことを挙げています[9]。
低血糖(食事が減っているのに薬の量が変わらないことなどで起こる)への備えとしては、ADAは常温保存できる普通の炭酸飲料やゼリー、アイスキャンディーなど、すぐに口にできる糖分を手元に用意しておき、血糖値が下がったときは「15-15ルール」(ブドウ糖などを15g摂り、15分待ってから再測定し、必要ならくり返す)で対応する方法を紹介しています[9]。シックデイでは高血糖と低血糖のどちらも起こりうるため、症状だけで判断せず、可能な限り血糖値を実測することが基本です。
🟢 様子を見てよいことが多い:発熱があっても軽度で、食事・水分が普段の半分以上とれており、血糖値も安定して測定できている場合。表1・表4を参考に、シックデイ・ルールに沿って自宅で経過を見てよいことが多いとされます。
🟡 早めに主治医へ連絡:食事量が普段の半分以下、血糖値の変動が大きい、インスリンや飲み薬の量に迷いがある場合。糖尿病情報センターは、感染疑いの症状がみられた場合は、早めにかかりつけの主治医に相談することを勧めています[3]。
🔴 様子を見ずに、今すぐ医療機関を受診:糖尿病情報センターによれば、嘔吐・下痢が止まらない、38度以上の高熱が続く、24時間まったく食事がとれない、血糖値が350mg/dL以上続く、意識がもうろうとしている場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください[2]。ADA(米国糖尿病協会)は、是正しても血糖値300mg/dL以上が2回続く場合、中〜大量のケトン体や果物のような息の匂いがある場合を、救急受診(日本の場合は救急外来・119番)が必要な緊急事態としています[12]。
何科を受診すればよいか:ふだんの血糖コントロールを担当している内科(糖尿病内科・内分泌代謝内科)が基本の窓口です。夜間や休日で意識障害・強い脱水など緊急性が高い場合は、救急外来を受診してください。
費用の考え方:通常の外来受診・検査・治療薬は、公的医療保険の範囲内(多くの場合3割負担)で行われます。インフルエンザの迅速検査や抗インフルエンザ薬には別途費用がかかることがあります。正確な金額は受診する医療機関にご確認ください。
| 段階 | サイン | 出典 |
|---|---|---|
| 🟢 自宅対応でよいことが多い | 食事・水分が普段の半分以上とれ、血糖値も測定できて安定。シックデイ・ルールを継続 | [2] |
| 🟡 電話で主治医に相談 | 食事量が半分以下に低下/血糖値の変動が大きい/薬の調整に迷いがある/消化器症状のある薬(メトホルミン・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬等)を使用中 | [1][2] |
| 🔴 様子を見ずにすぐ受診 | 嘔吐・下痢が止まらない/38度以上の高熱が続く/24時間食事がとれない/血糖値350mg/dL以上が続く/意識がもうろうとする | [2] |
| 🔴 米国の基準(参考) | 嘔吐・下痢が4時間以上続く/中〜大量のケトン体、または果物のような息の匂い/38.3度を超える発熱が24時間以上/是正しても血糖値300mg/dL以上が2回続く/めまい・濃い尿など脱水のサイン/薬の量に確信が持てない | ADA[12] |
日本と米国の資料で、受診を検討する高熱の基準(38度前後)や血糖値の基準(300〜350mg/dL台)は近い水準にありますが、完全に同じ数値ではありません。数値の細かな違いに気を取られるよりも、「自分の血糖値がふだんの管理目標から大きく外れて是正されない」「症状が改善しない」という変化そのものに注目し、迷ったら電話で相談することが実務的です。
インフルエンザワクチン — 定期接種の対象と受け方
厚生労働省は、季節性インフルエンザワクチンの定期接種(B類疾病)の対象者を、「65歳以上の方」および「60〜64歳で、心臓・腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、またはHIV感染による免疫機能障害で日常生活がほとんど不可能な方」としています[4]。糖尿病そのものは定期接種のこの区分には直接含まれていませんが、糖尿病情報センターは「毎年予防接種を受けるなどの十分なインフルエンザの予防対策をとることが重要」と、糖尿病のある方全般に接種を勧めています[3]。60〜64歳未満で定期接種の対象に当てはまらない糖尿病患者の方は、任意接種(多くの場合、費用は自己負担)として主治医に相談するのが一般的です。
接種時期について厚生労働省は、「日本ではインフルエンザが例年12月〜3月に流行することから、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」としています[5]。厚生労働省によれば、接種は年に1回です[4]。費用について厚生労働省は、「接種費用は健康保険適用外であり原則的に全額自己負担」だが、定期接種の対象者については多くの市区町村で公費負担制度があるとしており、お住まいの自治体への確認が必要です[5]。
米国糖尿病協会(ADA)は、糖尿病がある人に向けて「毎年のインフルエンザワクチン接種を受けて、インフルエンザにかかる可能性を減らしましょう」と勧めています[9]。日本の定期接種(B類疾病)は年齢や特定の重い基礎疾患を基準に対象を絞っているのに対し[4]、ADAは糖尿病がある人全般に毎年の接種を一律に勧めている点が異なります。日本で定期接種の対象年齢・基礎疾患基準に当てはまらない糖尿病患者の方も、任意接種として毎年の接種を検討する価値があります。
日本と米国のガイドライン・情報源の比較
日本と米国では、糖尿病患者のインフルエンザ対策について、伝える切り口に違いがあります。この違いを知っておくと、日本語の情報と英語の情報のどちらを見ても混乱しにくくなります。
| 項目 | 日本(厚労省・JDS・糖尿病情報センター) | 米国(ADA) |
|---|---|---|
| 糖尿病単独でのワクチン定期接種の位置づけ | 定期接種(B類)の対象は年齢・特定の重い基礎疾患が基準。糖尿病単独では定期接種の直接対象ではない[4] | 糖尿病がある人全般に、年齢や重症度を問わず毎年の接種を一律に推奨[9] |
| シックデイの薬剤別対応 | 持効型インスリン・ビグアナイド薬・SGLT2阻害薬など、薬剤ごとに詳細な休薬・減量の目安を提示[2] | 「主治医とシックデイ・アクションプランを事前に決めておく」という原則を示し、薬剤ごとの詳細は主治医との相談に委ねる記載が中心[9] |
| 血糖値・ケトン体の数値目標 | 受診の目安として血糖値350mg/dL以上を提示[2] | 空腹時80〜130mg/dL・食後180mg/dL未満を平時の目標とし、ケトン体は血糖値200mg/dL超で測定を案内する数値目標型の整理[12] |
この比較からわかるのは、日本の情報源はシックデイ時の薬剤対応の実務的な整理に厚みがあり、米国ADAの情報は血糖値・ケトン体の具体的な数値目標や、接種を全員に一律に勧める明快さに厚みがあるという点です。どちらも「糖尿病があるとインフルエンザ罹患時の血糖管理が難しくなる」という基本認識は共通していますが、日本語の資料だけを見ていると、糖尿病がある人全般への年1回接種の推奨が、年齢を問わず一律であるという点は前面に出ていない場合があります。両方の視点を持つことで、より実践的な判断がしやすくなります。
🖨️ 受診時に持参するメモ(印刷してお使いください)
- 症状が始まった日時:( 月 日 時ごろから)
- 直近の血糖値の推移(測定できた分だけでも):
- 尿ケトン体を測定したか/結果:
- ここ24時間で食事・水分をどれくらい摂れたか:
- インスリン・飲み薬を、いつ・どれだけ使ったか(中止した薬があれば明記):
- 体温の推移:
- 医師に確認したいこと:(例)今使っている薬をこのまま続けてよいか/インスリンの量を増やすべきか
高齢者・腎機能低下・1型と2型の違い
糖尿病患者のインフルエンザ対策は、年齢・腎機能・糖尿病の型によって注意点が変わります。ここでは3つの切り口で整理します。
高齢の糖尿病患者:加齢により脱水や低栄養に自分で気づきにくく、症状の訴えがはっきりしないことがあります。また、日本糖尿病学会の委員会は、高齢者や腎機能低下者(軽度の腎機能低下を含む)でSU薬にDPP-4阻害薬を追加した場合に重症低血糖が散見されたと報告しており、こうした患者ではSU薬をあらかじめ減量したうえでDPP-4阻害薬を使うことを必須としています[13]。シックデイで食事量が減っている高齢の方は、通常時以上に低血糖のリスクが高まる可能性があるため、家族など周囲が「いつもと様子が違う」変化に早めに気づくことが重要です。
腎機能が低下している方:PMDAの資料では、腎機能障害はメトホルミンによる乳酸アシドーシスの「もっとも注意が必要な危険因子」とされています[10]。また、SGLT2阻害薬は浸透圧利尿による体液量減少から急性腎障害を起こすことがあり、とくに75歳以上や利尿薬併用中の方でこうした事象の頻度が増加するという市販後調査の結果が、日本糖尿病学会のガイドラインで紹介されています[11]。腎機能に不安がある方は、シックデイに入る前から、これらの薬の休薬基準について主治医に確認しておくことがとくに重要です。
1型糖尿病と2型糖尿病の違い:もっとも重要な違いは、インスリンの「自己分泌が残っているかどうか」です。日本糖尿病学会によれば、1型糖尿病では体内のインスリン分泌がほぼない、または非常に少ないため、インスリン注射を中断すると短時間で糖尿病性ケトアシドーシスに至る危険があり、「食事が取れなくてもインスリン注射を完全に中断してはいけない」とされています[1]。同学会によれば、2型糖尿病では体内にインスリンを分泌する力がある程度残っている方が多く、「食事量が半分以下であれば投薬を減量する」という食事量に応じた調整が基本になります[1]。ただし糖尿病情報センターによれば、2型糖尿病でもインスリン製剤を使用している場合や、内因性インスリンの分泌が少ない場合は、1型に準じた慎重な対応が必要です[2]。
子ども・高齢者・妊娠中の方など、対象者別の注意点
同じ「糖尿病患者のインフルエンザ対策」でも、対象者によって気をつけたい点は変わります。
| 対象 | 気をつけたいこと |
|---|---|
| 1型糖尿病の子ども | 食事がとれなくてもインスリンを完全に中断しない。家族が血糖値・尿ケトン体を代わりに確認し、対応に迷ったら早めに主治医(小児科・小児糖尿病専門医)へ連絡する[1] |
| 高齢の糖尿病患者 | 加齢に伴い脱水や低栄養に気づきにくく、症状の訴えがはっきりしないことがある。周囲の家族が「いつもと様子が違う」変化に早めに気づくことが重要。60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器機能に重い障害がある場合は定期接種の対象になりうる[4] |
| 妊娠糖尿病・妊娠中に糖尿病がある方 | インフルエンザワクチンの接種可否・時期は必ず産婦人科医・かかりつけ医に相談する。シックデイの薬剤調整も自己判断は避ける |
| インスリンポンプを使用中の方 | シックデイキットにポンプ用の予備品を含めておくことが勧められており、発熱時はとくに血糖値・ケトン体をこまめに確認する[9] |
いずれの対象者にも共通するのは、「体調を崩してから対応を考える」のではなく、元気なうちに、かかりつけ医からシックデイ時の具体的な対応方法(薬の減量基準・受診の目安・緊急連絡先)を確認しておくことです。日本糖尿病学会も、シックデイでは個別の対応が必要であることを繰り返し強調しています[1]。インスリン注射のデバイスそのものの種類や扱い方について詳しく知りたい方はインスリンペンの解説記事を、日ごとの血糖コントロールの目標設定については患者中心の糖尿病ケアプランニングの解説記事もあわせてご覧ください。
流行期に備える予防のポイント — ワクチン・手洗い・血糖管理の3本柱
糖尿病情報センターが紹介する予防対策は、糖尿病のない方への一般的な対策と大きくは変わりませんが、「対策を確実に行う」ことの重要性がより高くなります。糖尿病情報センターは具体的に、①手洗い・うがいの励行、②人混みへの外出をできるだけ避ける、③マスクの着用、④毎年の予防接種、を基本として挙げています[3]。加えて糖尿病情報センターは、日ごろから血糖コントロールを良好に保っておくこと自体が、感染症にかかった際の重症化リスクを下げる方向に働くと考えられるとしています[3]。
①ワクチン接種のタイミングと血糖値への影響:厚生労働省によれば、接種時期は「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」とされています[5]。ワクチン接種自体が血糖値を大きく変動させるという報告は、今回参照した公的資料の範囲では見当たりませんでしたが、接種後に注射部位の痛みや軽い発熱などの一般的な副反応が出ることがあり、体調が万全でないときは接種を無理に急がず、体調が落ち着いてからの接種についてかかりつけ医に相談するのが実務的です。糖尿病がある方への接種そのものは、糖尿病情報センターも米国糖尿病協会(ADA)も推奨しています[3][9]。
②手洗い・換気などの基本対策:糖尿病情報センターによれば、手洗い・うがい、人混みを避けること、室内の適度な湿度や十分な休養、バランスのとれた栄養は、糖尿病の有無にかかわらずインフルエンザ予防の基本とされています[3]。糖尿病がある方にとっては、これらの基本対策を「確実に行う」ことが、感染そのものを避けることで、シックデイという不安定な血糖状態そのものを避ける最も確実な方法になります。
③日ごろの血糖コントロールを保つ意味:糖尿病情報センターは「血糖コントロールが良好で、心血管疾患や腎疾患などの合併症がない方のリスクは比較的低い」と紹介しています[3]。これは、流行期だけ対策をとるのではなく、平常時からの血糖コントロールの積み重ねそのものが、感染症にかかったときの重症化予防につながるという考え方です。高血糖の状態が続くと免疫細胞の働きが弱まる方向に影響するとされ、日ごろの血糖管理は「今日の対策」であると同時に「流行期に向けた備え」でもあります。
また、シックデイになったときに慌てないよう、平常時から次の3点を準備しておくことが実務的に役立ちます。①血糖測定器・ケトン体試験紙・体温計をすぐに使える場所に置いておく、②かかりつけ医・薬局の連絡先と診療時間外の相談方法を確認しておく、③シックデイ時の薬剤調整について、あらかじめ具体的な指示(何をどれだけ減らすか、どうなったら受診するか)を主治医から文書やメモでもらっておく——この3点です。ADAが勧める「シックデイキット」も同様の考え方で、血糖測定用品と予備電池、7日分の糖尿病薬、ブドウ糖タブレット、体温計、主治医の連絡先などをまとめておくことを提案しています[12]。
糖尿病の型・使用中の薬剤の組み合わせによる、より詳細なシックデイ対応の個別基準(例:SGLT2阻害薬とインスリンを併用している場合の具体的な休薬期間など)については、今回参照した公的資料には一般的な考え方の提示にとどまり、すべてのケースを網羅する記載は見当たりませんでした。実際の対応は、必ずかかりつけ医・薬剤師にご確認ください。
よくある質問
Q1: 糖尿病があると、インフルエンザにかかったときに必ず重症化しますか?
A1: 必ず重症化するわけではありません。糖尿病情報センターは、血糖コントロールが良好で合併症がない場合のリスクは比較的低いとする一方、HbA1cが高値で血糖コントロールがよくない方、合併症のある方、高齢の方は重症化する可能性があり注意が必要としています[3]。日ごろの血糖コントロールと、かかった際の早めの対応が重要です。
Q2: インフルエンザで熱が出て食欲がないとき、インスリンはやめてもいいですか?
A2: いいえ。インスリンを自己判断で完全に中止してはいけません。日本糖尿病学会は、1型糖尿病では食事が取れなくてもインスリン注射を完全に中断してはいけないと明記しています[1]。食事量に応じた減量が必要な場合もありますが、量の調整は必ず主治医の指示に従ってください。
Q3: どんなときに救急受診を考えるべきですか?
Q4: 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とはどんな状態ですか?
Q5: インフルエンザワクチンは糖尿病があると定期接種の対象になりますか?
Q6: シックデイのとき、血糖値はどれくらいの頻度で測ればいいですか?
A6: 米国糖尿病協会(ADA)は、血糖値が200mg/dLを超える場合、4〜6時間ごとに血糖値とケトン体を確認するよう案内しています[12]。糖尿病情報センターの資料でも「こまめな血糖測定」が基本の対応として挙げられています[2]。具体的な頻度は主治医の指示に従ってください。夜間の血糖変動が気になる方は夜間高血糖の完全ガイドもご参照ください。
Q7: メトホルミンやSGLT2阻害薬を飲んでいますが、発熱したらどうすればいいですか?
Q8: 高齢の親が糖尿病でインフルエンザにかかったか心配です。何を確認すればいいですか?
A8: 表1・表7を参考に、①食事・水分がどれくらいとれているか、②血糖値を測定できているか、③意識がはっきりしているか、④脱水のサイン(口の渇き、尿量の変化)がないかを電話で確認してください。糖尿病情報センターによれば、高齢の方は症状の訴えがはっきりしないことがあるため、「いつもと様子が違う」と感じたら、様子を見ずに早めに医療機関へ相談することが勧められます[3]。
Q9: 市販の風邪薬や解熱薬は、糖尿病があっても普通に使ってよいですか?
A9: 米国糖尿病協会(ADA)は、シックデイ・アクションプランの一項目として「風邪・インフルエンザなどに使う市販薬のうち、どれを使ってよいかを主治医とあらかじめ話し合っておく」ことを挙げています。ADAによれば、これは成分によっては血糖値や普段使用中の薬に影響するものがあるためです[9]。市販薬を選ぶ際は自己判断せず、薬剤師や主治医に確認してください。
Q10: シックデイで低血糖になったら、どう対応すればいいですか?
A10: ADAは、常温保存できる炭酸飲料やゼリーなど、すぐに口にできる糖分をあらかじめ用意しておき、低血糖時は「15-15ルール」(ブドウ糖などを15g摂取し、15分待ってから血糖値を再測定し、必要ならくり返す)で対応する方法を紹介しています[9]。意識がもうろうとするなど自分で対応できない場合は、周囲の人がすぐに救急要請してください。
Q11: 抗インフルエンザ薬(タミフルなど)を飲むと、血糖値に影響しますか?
A11: 抗インフルエンザ薬そのものが血糖値に大きな影響を与えるという明確な記載は、今回確認した資料の範囲では見当たりませんでした。ただし糖尿病情報センターによれば、インフルエンザにかかっている間は、感染そのものによるストレスホルモンの影響で血糖値が変動しやすくなっています[2]。抗インフルエンザ薬を服用する場合も、シックデイ・ルールに沿った血糖測定と水分・炭水化物の補給は並行して続けてください。持病の薬との飲み合わせは薬剤師に確認すると安心です。
Q12: 糖尿病があり、インフルエンザに伴う症状でステロイド薬を使うことになりました。何に注意すべきですか?
A12: 日本内分泌学会は、ステロイド薬(グルココルチコイド)について「PEPCK遺伝子発現を上昇させることで糖新生を促進」し、筋肉や脂肪組織での糖の取り込みを抑制し、インスリンの分泌能も低下させるとして、血糖値を上げる方向に働くしくみを説明しています[8]。同学会は、ステロイド薬による血糖上昇は「早朝空腹時の血糖値が低く食後の血糖が高い」という特徴的なパターンを示すことがあり、早朝の採血だけでは見逃されやすいため、食後血糖値も含めた検査が必要だと説明しています[8]。使用する場合は血糖測定をより頻回に行い、値の変化を主治医・薬剤師に伝えてください。自己判断でステロイド薬の使用や中止を決めないことが基本です。
Q13: 市販の解熱剤はどれを選べばいいですか?糖尿病があると使えない成分はありますか?
A13: ADAはシックデイ・アクションプランの一項目として、風邪・インフルエンザ等に使う市販薬のうち、どれを使ってよいかをあらかじめ主治医と話し合っておくことを勧めています。これはADAが指摘するとおり、市販薬の成分によっては血糖値や普段使用中の薬に影響するものがあるためです[9]。特定の解熱剤の成分ごとの可否について、本記事で確認した公的資料の範囲では詳細な一覧は見当たらなかったため、薬局で購入する際は必ず薬剤師に糖尿病があることと使用中の薬を伝え、確認してください。
Q14: 1型糖尿病と2型糖尿病で、シックデイの対応はどう違いますか?
最終更新日:2026年7月17日。本記事は公的機関・学会の公開資料をもとに編集部が作成しています。内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、お手数ですがお問い合わせフォームよりご指摘いただけますと幸いです。順次確認し訂正いたします。
参考文献
- 一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病患者の皆様へ:今一度シックデイ対策を」 https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=242
- 糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「シックデイ」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/060/06.html
- 糖尿病情報センター「糖尿病のある方の新型インフルエンザ対策」 https://dmic.jihs.go.jp/general/infomation/010/010/influenza_01.html
- 厚生労働省「65歳以上に実施している予防接種」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/years-65.html
- 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html
- 厚生労働省「新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの重症化率等について」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000964409.pdf
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「インフルエンザ」 https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/influenza/
- 一般社団法人日本内分泌学会「ステロイド糖尿病|一般の皆様へ」 https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=99
- 米国糖尿病協会(ADA)「Diabetes and Planning for Sick Days」 https://diabetes.org/living-with-diabetes/sick-days
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「メトグルコ錠250mg 適正使用のお願い」 https://www.pmda.go.jp/files/000145854.pdf
- 一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024 第5章 血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/05.pdf
- 米国糖尿病協会(ADA)「Sick Day Guide for People with Diabetes」(Standards of Care in Diabetes—2025に基づくインフォグラフィック) https://diabetes.org/sites/default/files/2025-09/SickDayGuide_Final.pdf
- 一般社団法人日本糖尿病学会 薬剤の安全使用に関する委員会「インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版」(2024年5月18日) https://www.jds.or.jp/uploads/files/recommendation/incretin.pdf
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
