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糖尿病でも妊娠可能?HbA1c目標と安全な出産への道

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糖尿病があっても妊娠・出産は可能だと知り、安心されたことと思います。いつ頃から妊娠をご希望されていますか?
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糖尿病があっても、妊娠・出産は十分に可能です[1]。ただし「妊娠してから頑張る」のでは遅く、糖尿病情報センターによれば、母体の高血糖は妊娠のごく初期からおなかの赤ちゃんに伝わり、心臓や神経などの重要な器官が作られる時期に高血糖が続くと、先天異常のリスクが高まることが知られています[1]。日本糖尿病学会の基準では、妊娠を計画する時点でHbA1cを6.5%未満にしておくことが望ましいとされ[1]、これは米国糖尿病学会(ADA)が示す妊娠前目標「A1C 6.5%未満」ともほぼ一致します[5]。この記事では、糖尿病がある女性が安全に妊娠・出産するために「妊娠する前」「妊娠中」「産後」の各段階で具体的に何をすればよいかを、日本糖尿病学会・日本産科婦人科学会・糖尿病情報センターなど公的機関の資料に基づいて解説します。

結論 糖尿病があっても妊娠・出産は可能。ただし「計画的な妊娠」が前提[1]
妊娠前の目標 HbA1c 6.5%未満にしてから妊娠する(プレコンセプションケア)[1]
妊娠中の目標 空腹時血糖95mg/dL未満、食後1時間値140mg/dL未満(または2時間値120mg/dL未満)[1]
受診の目安 妊娠を考え始めた時点で、産婦人科と糖尿病専門医(内科)の両方に早めに相談を[1]

✓ 要点まとめ

  • 糖尿病があっても、計画的な血糖管理で妊娠・出産は可能[1]
  • 妊娠を計画する時点でHbA1c 6.5%未満が目標[1]
  • 妊娠中は空腹時血糖95mg/dL未満・食後1時間値140mg/dL未満が目安[1]
  • 飲み薬は原則インスリンへ切り替え、自己血糖測定を頻回に行う[1]
  • 妊娠を考え始めた時点で、糖尿病内科と産婦人科の両方に早めに相談を[1]

図:糖尿病情報センター「妊娠と糖尿病」の数値をもとにJHO編集部が作成した、妊娠前・妊娠中の血糖コントロール目標値[1]

糖尿病があっても妊娠できる?まず知っておきたいこと

「糖尿病と診断されたら、もう妊娠は難しいのでは」と不安になる方は少なくありません。しかし糖尿病情報センターの説明にある通り、糖尿病があっても計画的に血糖を管理すれば、多くの人が健康な赤ちゃんを産んでいます[1]。糖尿病情報センターは、糖尿病がある女性が妊娠を希望する場合について「事前に血糖を十分に管理した上で計画的に妊娠することが望ましい」と説明しています[1]。ポイントは「妊娠が分かってから」ではなく「妊娠する前」から準備を始めることです。

なぜ妊娠前からの準備が重要なのでしょうか。赤ちゃんの心臓・脳・脊髄などの重要な器官は、多くの女性がまだ妊娠に気づいていない妊娠4〜10週ごろに作られます。糖尿病情報センターによれば、この時期に母体の血糖値が高い状態が続くと、赤ちゃんの先天異常のリスクが高まることが知られています[1]。逆に言えば、この最も重要な時期に血糖が良好にコントロールされていれば、リスクは大きく下げられるということです。糖尿病情報センターは、血糖コントロールが不良な場合に起こりうる母体・胎児の併発症として、母体側は網膜症や腎症の悪化・妊娠高血圧症候群・早産など、胎児側は先天異常・形成異常・巨大児・新生児低血糖症などを挙げており、日ごろから血糖を適切な値にコントロールすることが大切だとしています[1]

ここで整理しておきたいのが用語の違いです。糖尿病情報センターの分類では、もともと糖尿病と診断されている人が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」と呼ばれ、妊娠前から診断されている糖尿病、または確実な糖尿病網膜症がある場合が該当します[1]。一方、妊娠をきっかけに初めて血糖の異常が見つかった場合は「妊娠糖尿病」と呼ばれ、こちらは妊婦の7〜9%に見られる、より頻度の高い状態です[2]。この記事は主に、妊娠前からすでに1型・2型糖尿病と診断されている方(糖尿病合併妊娠)を対象に解説します。妊娠中に初めて指摘された血糖異常について詳しく知りたい方は、妊娠糖尿病の検査・全解説も参考にしてください。

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数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

妊娠前カウンセリング:何をどこまで準備すればいいか

糖尿病がある女性が妊娠を考え始めたら、まず行うべきは「妊娠前カウンセリング」です。これは、妊娠する前に糖尿病専門医(内科)と産婦人科医の両方に相談し、体の状態を確認したうえで血糖コントロールを整えるプロセスを指します。具体的には次のような準備が挙げられます。

準備すること 内容
血糖コントロールの確認 HbA1cを6.5%未満に安定させる[1]。数値が高い場合は、妊娠を急がず、まず血糖の立て直しを優先する
合併症のチェック(網膜症) 糖尿病と診断されたら妊娠の有無にかかわらず定期的な眼底検査が必要とされ、妊娠が関わる場合は妊娠確定後早い時期に初回診察を受けます。日本糖尿病眼学会のガイドラインでは、その後の受診間隔を網膜症の程度に応じて、網膜所見なしなら1回/6〜12か月、軽症〜中等症の非増殖網膜症なら1回/3〜6か月、重症の非増殖網膜症以上なら1回/1〜3か月程度が推奨されています(実際の間隔は担当医の指導に従ってください)。妊娠中は網膜症が進行しやすいため、内科・産婦人科と眼科の連携が重要です[4]
合併症のチェック(腎症) 糖尿病腎症の有無・程度を確認する(腎機能が妊娠経過や治療方針に影響するため)
飲み薬からインスリンへの切り替え 経口血糖降下薬(飲み薬)は胎盤を通過したり母乳に含まれたりすることで赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、原則インスリン治療への切り替えが必要です[1]
合併する持病の見直し 高血圧治療薬など、妊娠中は使用を避けるべき薬を服用している場合は、妊娠前に主治医と薬の変更を相談する

出典:糖尿病情報センター「妊娠と糖尿病」[1]/日本糖尿病眼学会「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)」[4]

今すぐできる行動:「妊娠したいかもしれない」と思った時点で、次の通院日に主治医(糖尿病内科)へその意思を伝えてください。自己判断で薬を止めたり、逆に「妊娠するまで様子を見よう」と受診を先延ばしにしたりせず、まずは相談することが最初の一歩です。飲み薬を使っている方が自己判断でインスリンに切り替えたり、逆に薬を中断したりするのは危険です。切り替えは必ず医師の指導のもとで行ってください。

妊娠前・妊娠中の血糖コントロール目標値

「具体的に何%・何mg/dLを目指せばいいのか」という数値の目安は、日本糖尿病学会の基準(2019年)に基づき、糖尿病情報センターが次のようにまとめています[1]

糖尿病患者の妊娠前・妊娠中の血糖コントロール目標
時期 目標値
妊娠を計画する前 HbA1c 6.5%未満[1]
妊娠中の空腹時血糖値 95mg/dL未満[1]
妊娠中の食後血糖値 食後1時間値 140mg/dL未満 または 食後2時間値 120mg/dL未満[1]
妊娠中のHbA1c 6.0〜6.5%未満[1]

出典:糖尿病情報センター「妊娠と糖尿病」(日本糖尿病学会2019年基準)[1]

米国糖尿病学会(ADA)の2026年版診療基準(Standards of Care in Diabetes)でも、妊娠前から糖尿病がある人(pregestational diabetes)の妊娠前A1C目標を「6.5%未満」としており[5]、日本の基準とほぼ同じ水準です。ADAは同時に、妊娠前の準備(プレコンセプションケア)が「A1Cの低下と、先天異常・早産・周産期死亡・出生時体重過小(small-for-gestational-age)・新生児集中治療室(NICU)入室のリスク低下と関連する」と説明しており[5]、日本で重視されている、妊娠前からの血糖コントロールでリスクを下げるという考え方[1]と重なります。なお、GLP-1受容体作動薬など一部の新しい糖尿病治療薬を使っている場合、ADAは妊娠を目指す前に休薬したうえで血糖目標を達成することを推奨しています[5]。こうした薬剤の休薬・切り替えは自己判断で行わず、必ず主治医に相談してください。

糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病・妊娠中の明らかな糖尿病の違い

「糖尿病がある人の妊娠」とひとくちに言っても、日本産科婦人科学会は妊娠中の血糖異常を3つのカテゴリーに分類しています。数値の基準を混同すると不安が余計に大きくなりやすいため、ここで整理しておきます。

分類 定義・診断基準
糖尿病合併妊娠 ①妊娠前にすでに診断されている糖尿病、②確実な糖尿病網膜症があるもの[1]
妊娠糖尿病(GDM) 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で、空腹時血糖値92mg/dL以上・1時間値180mg/dL以上・2時間値153mg/dL以上のいずれか1つを満たす場合[1][2]
妊娠中の明らかな糖尿病 空腹時血糖値126mg/dL以上、またはHbA1c値6.5%以上のいずれかを満たす場合[1]

出典:糖尿病情報センター「妊娠と糖尿病」[1]/日本産科婦人科学会「妊娠糖尿病」[2]

見分けるカギ:「診断されたのが妊娠前か、妊娠してから初めてか」が最大の分かれ目です。妊娠前にすでに糖尿病と診断されている方(この記事の主な対象)は、妊娠の判定を受けたその日から、すでに「糖尿病合併妊娠」として妊娠前からの血糖コントロールの延長線上で管理が続きます。一方、妊娠糖尿病は妊婦の7〜9%に見られる、妊娠中特有の血糖の変化で[2]、多くは出産後に血糖値が正常に戻りますが、糖尿病情報センターによれば妊娠糖尿病になった人は将来糖尿病を発症するリスクが約7倍高いとされ[2]、出産後も生活習慣の見直しが勧められます。

妊娠中の血糖管理:インスリン治療と頻回測定

妊娠が確定したら、多くの場合、血糖管理はより厳密になります。前述の通り、糖尿病情報センターの説明の通り、経口血糖降下薬は胎盤通過性や母乳への移行の懸念からほとんどの場合使用できず、インスリン治療への切り替えが基本方針となります[1]。インスリンは胎盤を通過しないため、赤ちゃんへの直接的な影響が少なく、妊娠中の血糖治療の中心となる薬剤です。インスリンの種類や自己注射の具体的な方法についてはインスリン注入ペンの種類と選び方・正しい使い方で詳しく解説しています。

妊娠が進むにつれて、胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が強まり、インスリンの必要量が増えていくことが知られています。日本糖尿病学会誌に掲載された糖代謝異常合併妊娠の管理に関する総説でも、食事・運動療法で目標血糖値に達しない場合はインスリン治療を導入し、空腹時血糖値も高い場合は基礎インスリンの補充を追加するといった治療内容の調整が説明されています[3]。そのため、妊娠中は自己血糖測定(SMBG)を1日に複数回行い、空腹時・食後の血糖値をこまめに確認しながらインスリン量を調整していく必要があります。血糖を測るタイミングによって数値の意味が変わるため、血糖値の正しい測定タイミングも確認しておくと管理がしやすくなります。

一方で、血糖を厳格に下げようとするあまり、低血糖を起こしてしまうことにも注意が必要です。低血糖は妊婦自身のふらつき・意識障害のリスクになるだけでなく、繰り返すことで生活の質にも影響します。妊娠中に起こりやすい低血糖の症状や対処法については妊娠中の低血糖症で解説しています。血糖を「下げすぎない・上げすぎない」バランスを、主治医と相談しながら細かく調整していくのが、妊娠中の血糖管理の基本です。

母体・赤ちゃんに起こりうる合併症と、そのために何をするか

血糖コントロールが不十分な状態が続くと、母体・赤ちゃんの双方にリスクが生じます。糖尿病情報センターは、血糖コントロールが悪いときに起こりうる合併症として次のものを挙げています[1]

対象 起こりうる合併症
お母さん側 糖尿病網膜症・腎症・ケトアシドーシスの悪化、低血糖、流産、早産、妊娠高血圧症候群、羊水過多症[1]
赤ちゃん側 胎児死亡、先天異常、巨大児、新生児低血糖症、新生児呼吸窮迫症候群[1]

出典:糖尿病情報センター「妊娠と糖尿病」[1]

こうしたリスクの一覧を見ると不安になるかもしれませんが、これらは「血糖コントロールが悪いとき」に起こりうるものとして示されているという点が重要です。逆に言えば、妊娠前からのHbA1c 6.5%未満の達成と、妊娠中の目標血糖値の維持、そして定期的な眼科・産婦人科・糖尿病内科での経過観察を続けることが、これらのリスクを下げる最も具体的な方法になります[1]。特に巨大児(赤ちゃんが大きくなりすぎること)は、母体の血糖が高い状態が続くことで赤ちゃんの体内でインスリンが過剰に分泌され、脂肪や体組織が過剰に成長することで起こると考えられています。巨大児は難産や出産時の肩甲難産(肩が引っかかる状態)のリスクにつながるため、妊娠後期の血糖コントロールと、超音波検査による赤ちゃんの推定体重のチェックが重要になります。

また、糖尿病情報センターの資料によれば、羊水過多症(羊水の量が多くなりすぎる状態)も、母体の高血糖が続くことで赤ちゃんの尿量が増え、羊水量が増加することが背景にあると考えられています[1]。羊水過多症は早産や前期破水のリスクを高めるため、妊婦健診での定期的な羊水量チェックも、糖尿病合併妊娠の管理では通常の妊娠より重視される項目のひとつです。こうした一つひとつの合併症は、単独の症状だけで判断するのではなく、血糖値・体重増加・超音波所見といった複数の指標を組み合わせて、産婦人科医が総合的に経過を評価していきます。

出産の方法・時期はどう決まるか

糖尿病合併妊娠だからといって、必ず帝王切開になるわけではありません。血糖コントロールが良好で、赤ちゃんの発育や母体の状態に問題がなければ、経腟分娩を目指すことも可能です。ただし、次のような場合には分娩方法や時期の調整が検討されます。

  • 超音波検査で赤ちゃんが大きく育っている(巨大児が疑われる)場合
  • 妊娠高血圧症候群など、母体側の合併症が進んでいる場合
  • 糖尿病網膜症が進行し、いきむこと(努責)が眼への負担になると判断される場合
  • 血糖コントロールが不安定で、より厳密な管理が必要な場合

これらに該当する場合、計画的な分娩誘発や、状況によっては帝王切開が選択されることがあります。分娩方法・時期は、妊娠経過や血糖コントロールの状態を総合的に見て、産婦人科医と糖尿病内科医が連携して個別に判断するため、「糖尿病があるから必ずこうなる」という一律の答えはありません。妊娠後期に入ったら、担当の産婦人科医から分娩方針についての説明を受け、疑問点は遠慮せず質問することが大切です。

里帰り出産を考えている場合に気をつけたいこと

糖尿病情報センターは、妊娠中の高血糖により、母体側には網膜症・腎症の悪化や妊娠高血圧症候群、胎児側には先天異常や巨大児など、内科的な管理と産科的な管理の両方が関わる併発症が起こりうるとしています[1]。このように糖尿病合併妊娠では産婦人科と糖尿病内科の両方への通院が前提となるため、実家近くでの「里帰り出産」を考えている方は、出産直前になって慌てないよう、早めに現在の主治医(糖尿病内科)に相談しておくことをおすすめします。

里帰り先の産婦人科・内科の紹介状の書き方や、施設ごとの受け入れ体制の違いについての具体的な手順は、今回参照した公的資料には記載が見当たりませんでした。里帰り出産を検討する場合は、現在の主治医と、里帰り先の医療機関に直接お問い合わせください。里帰り出産をせず、妊娠から出産まで現在の主治医のもとで一貫して管理してもらうことも、糖尿病合併妊娠では現実的な選択肢の一つです。

出産後の管理:インスリン量の急減と授乳

出産が終わると、血糖管理の状況は大きく変わります。糖尿病情報センターは「出産後は、ホルモンを分泌していた胎盤がお母さんのからだからなくなるため、インスリンの必要量はすみやかに減ります」と説明しています[1]。妊娠中と同じ量のインスリンを打ち続けると低血糖を起こす危険があるため、出産直後は主治医の指示のもとでインスリン量をこまめに調整する必要があります。自己判断で妊娠中と同じ量を続けたり、逆に急に大幅へ減らしたりせず、必ず産後の診察・指示に従ってください。

授乳については、糖尿病があること自体が母乳育児の妨げにはなりません。ただし、授乳はエネルギーを消費するため低血糖を起こしやすくなることがあり、授乳前後の血糖測定や捕食(軽い間食)のタイミングについて、主治医・助産師と相談しておくと安心です。飲み薬を再開する場合も、母乳への影響を考慮した薬剤選択が必要になるため、自己判断での薬の再開は避けてください。

もともと糖尿病合併妊娠だった方は、産後も糖尿病そのものの管理が生涯にわたって続きます。産後の血糖コントロールや治療の見直しについては、産婦人科での経過観察が終わった後も、糖尿病内科への通院を継続することが基本方針です。糖尿病全体の管理方法について改めて確認したい場合は糖尿病の完全ガイド糖尿病に関する記事一覧も参考にしてください。

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妊娠中の食事・運動:血糖管理の日常的な工夫

妊娠中の食事療法は、糖尿病がない妊婦の食事とは考え方が少し異なります。極端な糖質制限やカロリー制限は、赤ちゃんに十分な栄養が届かなくなる恐れがあるため避けるべきです。一方で、1回の食事量が多いと食後高血糖が起こりやすくなるため、妊娠糖尿病の管理でも取り入れられる「分割食」(1日3回の食事を4〜6回に分けて少量ずつ摂る方法)が、糖尿病合併妊娠の食事管理でも参考にされることがあります。日本産科婦人科学会も、妊娠糖尿病の食事療法として1日の食事を4〜6回に分けて食べる方法を挙げており、食事療法は単なる食事制限ではなく赤ちゃんのために必要な栄養をきちんと摂ることが大切だとしています[2]。同学会は、食事療法だけで血糖値がうまくコントロールできない場合はインスリン注射による治療を行うこと、インスリンは赤ちゃんに影響しないことも説明しています[2]。具体的な食事量・タイミングは、体重増加のペースや血糖値の推移を見ながら、管理栄養士・主治医が個別に設計するため、自己流の極端な食事制限は避け、必ず栄養指導を受けてください。

運動については、主治医から特別な制限(切迫早産の兆候がある、網膜症が進行しているなど)を指示されていない限り、ウォーキングなどの軽い有酸素運動が血糖コントロールの助けになることがあります。ただし、インスリン治療中は運動による低血糖にも注意が必要です。外出前の補食や、低血糖時にすぐ糖分を摂れるものを携帯しておくといった工夫は、日常生活の中で「今日からできる」具体的な対策です。運動の可否・強度についても、必ず妊娠経過に応じて主治医に確認してください。ウォーキング以外にも、マタニティスイミングや妊婦向けのストレッチなど、体への負担が少ない運動を組み合わせている方もいますが、いずれの場合も自己判断で新しい運動を始める前に、主治医に相談することが安全です。体調の変化(お腹の張り、出血、めまいなど)を感じたときは、運動を中止し、すぐに主治医または産婦人科に連絡してください。

受診の目安:何科に、いつ相談すればいいか

状況 目安
🟢 妊娠を考え始めた(まだ妊娠していない) 次の通院で糖尿病内科の主治医に意思を伝え、妊娠前カウンセリングを開始する[1]
🟡 HbA1cが6.5%以上で妊娠を希望している 妊娠を急がず、まず糖尿病内科で血糖コントロールを立て直す。眼科での網膜症チェックも並行して受ける[1][4]
🔴 妊娠が判明した(すでに糖尿病と診断されている) できるだけ早く産婦人科と糖尿病内科の両方を受診し、インスリンへの切り替えなど治療方針を確認する[1]

糖尿病があることを理由に妊娠・出産をあきらめる必要はありません。大切なのは「妊娠してから相談する」のではなく「妊娠を考え始めた時点で相談する」ことです。自己負担については通常の妊婦健診・保険診療の枠組みに準じますが、インスリン導入のための入院や合併症治療が必要になった場合は高額療養費制度の対象になることがあるため、費用面が心配な場合は医療機関の医療相談窓口や自治体の窓口に相談してください。

ガイドラインの比較:日本と海外(米国ADA)の考え方の違い

項目 日本(日本糖尿病学会 2019年基準) 米国(ADA Standards of Care 2026)
妊娠前HbA1c/A1C目標 6.5%未満[1] 6.5%未満[5]
妊娠前カウンセリングの位置づけ 妊娠前からの血糖コントロールで先天異常・巨大児などの併発症リスクを下げることを重視[1] プレコンセプションケアはA1C低下、先天異常・早産・周産期死亡・NICU入室リスクの低下と関連[5]
新しい治療薬への言及 経口薬は原則インスリンへ切り替え[1] GLP-1受容体作動薬などは妊娠を目指す前に休薬したうえで血糖目標を達成することを推奨[5]

日本と米国のガイドラインで、妊娠前のHbA1c目標(6.5%未満)という中核部分はほぼ同じ水準です[1][5]。異なるのは強調点で、日本の資料は網膜症・腎症など既存の合併症の評価と、飲み薬からインスリンへの切り替えを中心に説明しているのに対し[1]、米国ADAの2026年版はGLP-1受容体作動薬など近年使用が広がった新しい薬剤について、妊娠を目指す前の休薬と血糖目標達成を明記している点が目立ちます[5]。日本国内でこうした薬剤を使用している場合の対応は、薬剤の種類や個々の状態によって異なるため、必ず主治医に相談してください。

🖨️ 受診時に持っていくメモ(印刷・スクリーンショット可)

  • 現在の糖尿病の種類(1型/2型)と診断された時期
  • 直近のHbA1c値と測定日
  • 現在使用中の薬(飲み薬/インスリンの種類・量)
  • 網膜症・腎症など合併症の有無・最終検査日
  • 妊娠を希望する時期(すでに妊娠中か、これから考えているか)
  • 主治医に聞きたいこと(例:いつからインスリンに切り替えるべきか/今の血糖値で妊娠を計画してよいか)

妊娠中の食事療法・運動療法の具体的な回数やカロリー配分など、個々の体格・体重増加ペースに応じた細かい数値については、今回参照した公的資料には一律の記載が見当たりませんでした。これらは管理栄養士・主治医が個別に設計する内容のため、この記事では一般的な考え方の紹介にとどめています。

よくある質問(FAQ)

1型糖尿病でも妊娠できますか?
はい、1型糖尿病でも計画的な血糖管理により妊娠・出産は可能です。糖尿病情報センターは、糖尿病がある女性が妊娠を希望する場合「事前に血糖を十分に管理した上で計画的に妊娠することが望ましい」としており、これは1型・2型を問わない共通の考え方です[1]。1型の場合はインスリンでの管理がもともと基本のため、妊娠前からの血糖コントロールの精度をさらに高めていくイメージになります。
妊娠を考える前に、まず何のHbA1c値を目指せばいいですか?
日本糖尿病学会の基準では、妊娠を計画する時点でHbA1c 6.5%未満にしておくことが目安とされています[1]。この数値に届いていない場合は、妊娠を急がず、まず主治医と相談しながら血糖コントロールを立て直すことが優先されます。
飲み薬(経口血糖降下薬)で治療していますが、妊娠したらどうなりますか?
糖尿病情報センターによれば、経口血糖降下薬は胎盤を通過したり母乳に含まれたりすることで赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、妊娠を考える段階、または妊娠が判明した段階で、原則インスリン治療への切り替えが必要になります[1]。切り替えは必ず医師の指導のもとで行い、自己判断で薬を中断したり継続したりしないでください。
妊娠中に血糖が高いと、赤ちゃんにどんな影響がありますか?
糖尿病情報センターの説明では、妊娠のごく初期(多くの人が妊娠に気づく前)に高血糖が続くと、赤ちゃんの心臓や神経などの重要な器官が形成される時期と重なるため、先天異常のリスクが高まるとされています[1]。妊娠中期以降に血糖コントロールが悪いと、巨大児や新生児低血糖症などのリスクも指摘されています[1]。妊娠前からの血糖管理が、これらのリスクを下げる最も具体的な方法です。
妊娠糖尿病と、もともとの糖尿病(糖尿病合併妊娠)はどう違いますか?
もともと糖尿病と診断されていた人が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」、妊娠をきっかけに初めて血糖の異常が見つかった場合は「妊娠糖尿病」と呼ばれ、日本産科婦人科学会が診断基準を分けて示しています[1][2]。妊娠糖尿病は妊婦の7〜9%に見られる、より頻度の高い状態です[2]
糖尿病網膜症があっても妊娠できますか?
網膜症がある場合でも、眼科での定期的な経過観察を続けながら妊娠・出産に臨むことは可能です。ただし妊娠中は網膜症が進行しやすいとされているため、妊娠確定後早い時期に眼底検査を受け、その後は網膜症の程度に応じて日本糖尿病眼学会が推奨する間隔(網膜所見なし1回/6〜12か月・軽症〜中等症1回/3〜6か月・重症以上1回/1〜3か月程度)で眼科のチェックを受けることが推奨されています[4]。網膜症の程度によっては、分娩方法(いきみ方)にも配慮が必要になる場合があるため、産婦人科・糖尿病内科・眼科で情報を共有しながら管理することが大切です。
妊娠中、血糖はどのくらいの頻度で測ればいいですか?
妊娠中は自己血糖測定(SMBG)を1日に複数回(食前・食後など)行い、空腹時95mg/dL未満、食後1時間値140mg/dL未満(または2時間値120mg/dL未満)の目標値と照らし合わせながらインスリン量を調整していくのが基本です[1]。具体的な測定回数やタイミングは、妊娠週数や治療内容によって主治医が個別に指示します。
出産後、インスリンの量はどうなりますか?
糖尿病情報センターが説明する通り、出産後は胎盤がなくなることでインスリンの必要量がすみやかに減ります[1]。妊娠中と同じ量を続けると低血糖のリスクがあるため、産後は主治医の指示のもとでインスリン量をこまめに見直す必要があります。
妊娠糖尿病だった場合、出産後に検査は必要ですか?
糖尿病情報センターによれば、妊娠糖尿病と診断された方は、産後6〜12週の間に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受けることが推奨されています[1]。妊娠糖尿病になった人は将来糖尿病を発症するリスクが約7倍高いとされており[2]、出産後も定期的な血糖チェックと生活習慣の見直しが勧められます。
糖尿病があると必ず帝王切開になりますか?
必ずしもそうではありません。血糖コントロールが良好で、赤ちゃんの発育や母体の状態に問題がなければ経腟分娩を目指すことも可能です。巨大児が疑われる場合や、母体の合併症・網膜症の状態によっては、計画的な分娩誘発や帝王切開が検討されることがあり、産婦人科医と糖尿病内科医が連携して個別に判断します。

この記事について(編集方針)

この記事はJHO編集部がAIツールの支援を受けながら、糖尿病情報センター・日本産科婦人科学会・日本糖尿病眼学会・米国糖尿病学会(ADA)など公的機関・学会の一次資料と照合して作成し、最終確認は人の目で行っています。当サイトに医師による監修体制はありません。そのぶん、記事内のすべての数値・記述について出典を明記し、読者ご自身が一次資料を確認できるようにしています。妊娠・出産に関する医学的判断は、必ず主治医(産婦人科・糖尿病内科)にご相談のうえ行ってください。糖尿病合併妊娠における最適な治療の個別化(薬剤選択・分娩方法など)については、患者ごとの状態により大きく異なるため、この記事の内容だけで自己判断せず、必ず担当医の指示に従ってください。制度・数値は改定されることがあります。内容の誤りや古い情報にお気づきの際は、サイトのお問い合わせよりお知らせください。事実を確認のうえ訂正します。更新日:2026年7月18日。

参考文献

  1. 糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「妊娠と糖尿病」 dmic.jihs.go.jp
  2. 公益社団法人 日本産科婦人科学会「妊娠糖尿病」 jsog.or.jp
  3. 山田貴穂・曽根博仁「糖代謝異常合併妊娠の診断と管理:3.妊娠糖尿病の管理」糖尿病 67巻3号(日本糖尿病学会) jstage.jst.go.jp/article/%e7%b3%96%e5%b0%bf%e7%97%85/67/3/67_139
  4. 日本糖尿病眼学会診療ガイドライン委員会「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)」 nichigan.or.jp
  5. American Diabetes Association「15. Management of Diabetes in Pregnancy: Standards of Care in Diabetes—2026」Diabetes Care.(原本サイトはボット遮断のためアーカイブ版を掲載) web.archive.org(diabetesjournals.org原文)
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医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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