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糖尿病 27分で読める 40回

糖尿病のたんぱく質摂取量|腎症時の制限量をJDS基準で解説

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厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、糖尿病の食事でたんぱく質を控えすぎる必要はなく、腎症がない段階では総エネルギーの13〜20%(65歳以上は15〜20%)を目安にとって構いません[6]。ただし日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」では、糖尿病性腎症が顕性アルブミン尿期(第3期)以降に進むと話は変わり、進行リスクが高い一部の患者では0.6〜0.8g/目標体重kg/日を軸にたんぱく質を制限することが検討されるとしています[1]。

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糖尿病の食事でたんぱく質、気になりますよね。腎症がない場合、どのくらい摂っても大丈夫ですか?
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厚生労働省・査読論文などの一次情報源をもとに、あなたの状況に合わせてお答えします

「たんぱく質は筋肉のもとだから多いほど良い」と「腎臓が心配だから減らすべき」という2つの情報が同時に耳に入り、どちらを信じればよいか分からなくなっている方は多いはずです。結論からいえば、答えは「今のあなたの腎機能次第」です。この記事では、腎症がない場合の一般的な目安と、腎症が進行した場合の具体的な制限量の両方を、日本糖尿病学会の最新ガイドラインと厚生労働省の資料に基づいて分けて解説します。

要点まとめ

  • 厚生労働省の基準では、腎症がなければたんぱく質を極端に減らす根拠はなく、総エネルギーの13〜20%が目安[6]。
  • 日本腎臓学会・日本糖尿病学会は、糖尿病性腎症の病期を2023年に「正常アルブミン尿期(第1期)」〜「腎代替療法期(第5期)」の5段階に呼び名を整理した[4]。
  • 日本糖尿病学会のガイドラインでは、顕性アルブミン尿期(第3期)以降で進行リスクが高い場合、0.6〜0.8g/目標体重kg/日のたんぱく質制限が検討の対象になるとしている[1]。
  • 同ガイドラインは、高齢者やフレイル(虚弱)の傾向がある人は、制限を0.8g/目標体重kg/日に緩めるなど個別対応が必要としている[1]。
  • 自己判断でたんぱく質を大きく減らすのは危険。低栄養やサルコペニアのリスクがあるため、必ず主治医・管理栄養士と相談してから始める。

編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・日本糖尿病学会・日本腎臓学会などの公的機関・学会ガイドラインと照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報です)。

🔧 腎症の病期別・たんぱく質摂取量の早見表

状態 たんぱく質摂取量の目安 典拠
腎症なし(健常) 総エネルギーの13〜20%(65歳以上は15〜20%) 食事摂取基準2025[6]
微量アルブミン尿期(第2期) 総エネルギーの20%以下を目安(0.8g/理想体重kg/日とする考え方もある) 糖尿病治療ガイド2016-2017・ADA[2]
顕性アルブミン尿期(第3期) 0.8〜1.0g/標準体重kg/日 糖尿病治療ガイド2016-2017[2]
進行リスクが高い症例(第3期以降) 0.6〜0.8g/目標体重kg/日を基軸(高齢・フレイルは0.8g/目標体重kg/日に緩和) 糖尿病診療ガイドライン2024[1]

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」9章[1]、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」CKDと食事の関係[2]

「目標体重」「標準体重」は主治医・管理栄養士が身長・年齢・体格などから個別に設定する数値です。この表の数値をそのまま自己流で当てはめず、必ず自分の主治医に「私の場合の目標体重は何kgで、g/日にすると何gですか」と確認してください。

糖尿病でたんぱく質の量が問題になる仕組み — 腎臓に何が起きているか

腎臓の中には「糸球体」と呼ばれる、血液をろ過するごく小さなフィルターが片方の腎臓だけで約100万個あります。厚生労働省の資料によれば、高血糖の状態が続くと、この糸球体に負担がかかり、通常より多くの血液を無理にろ過しようとする「過剰濾過」という状態が起こることが知られています[2]。同資料は、たんぱく質を摂取すると、その代謝の過程で腎臓の血流とろ過量が一時的に増える性質があり、すでに過剰濾過の状態にある糸球体にとっては、この増加分がさらなる負担になり得ると考えられていると説明しています[2]。

下の図は、健康な糸球体と、糖尿病性腎症が進行して過剰濾過の状態になった糸球体を並べたものです。健康な状態では輸入細動脈から入った血液が糸球体で適切な圧力でろ過され、輸出細動脈から出ていきます。一方、腎症が進行すると糸球体の内部圧力が高まり、フィルター自体にも負担がかかっている状態になります。

今の血圧・脈拍を確かめる

数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

身長と体重からBMIも調べる

これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

腎症がない場合のたんぱく質摂取量の基準

厚生労働省の生活習慣病情報サイト「e-ヘルスネット」によれば、糖尿病があっても腎症の兆候(アルブミン尿など)がない段階では、たんぱく質を極端に減らす医学的な根拠はありません[3]。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上のたんぱく質の目標量を総エネルギーの13〜20%と設定しており、65歳以上ではフレイル(加齢による心身の虚弱)を予防する観点から下限が15%に引き上げられています[6]。同基準では、上限はすべての年齢区分で20%エネルギーとされています[6]。

厚生労働省の生活習慣病情報サイト「e-ヘルスネット」も、たんぱく質について「筋肉や血液などの材料となる大切な栄養素で、魚、肉、大豆、卵などに多く含まれます。健康維持のために過不足なく摂る必要があります」としたうえで、「腎臓に障害がある場合は制限が必要になることがあるため、主治医に相談しましょう」と案内しています[3]。つまり公的な立場は一貫して「腎症がなければ普通に摂る、腎症が出たら主治医と相談」というシンプルな二段構えです。

年齢区分 たんぱく質目標量(%エネルギー)
18〜64歳 13〜20%
65〜74歳 15〜20%
75歳以上 15〜20%

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定ポイント[6]

糖尿病性腎症の病期分類2023 — まず自分がどの段階かを知る

たんぱく質をどの程度意識すべきかは、糖尿病性腎症のどの病期にいるかによって大きく変わります。日本糖尿病学会と日本腎臓学会は2023年に病期の呼び名を改訂し、それまでの「腎症前期」「早期腎症期」といった名称から、より国際的な表記と整合する呼び方に変更しました[4]。

病期 旧名称 判定基準(尿アルブミン・GFR)
第1期:正常アルブミン尿期 腎症前期 UACR 30未満、GFR 30以上[4]
第2期:微量アルブミン尿期 早期腎症期 UACR 30〜299、GFR 30以上[4]
第3期:顕性アルブミン尿期 顕性腎症期 UACR 300以上またはUPCR 0.5以上(GFRは問わない)[4]
第4期:GFR高度低下・末期腎不全期 腎不全期 GFR 30未満(UACRは問わない)[4]
第5期:腎代替療法期 透析療法期 透析療法中あるいは腎移植後[4]

出典:日本腎臓学会・日本糖尿病学会「糖尿病性腎症病期分類2023の策定」[4]

注意したいのは、「糖尿病性腎症は必ずしも第1期から順番に第5期まで進むわけではない」という点です[4]。また、正常アルブミン尿期(第1期)であっても、腎症に特有の組織の変化がすでに起きている場合があるとも説明されています[4]。つまり「尿検査でアルブミンが出ていないから安心」と単純には言い切れないため、定期的な検査を続けることが前提になります。

病期別のたんぱく質摂取量 — 具体的にはどれくらい減らすのか

ここが最も知りたい部分だと思います。結論を先に言うと、病期が進むほど厳しくなる「一直線の階段」ではなく、病期・年齢・栄養状態を総合して個別に判断するのが現在の標準的な考え方です[1]。

微量アルブミン尿期(第2期):この段階でのたんぱく質制限が腎症の進行そのものを防げるという根拠は、必ずしも十分ではないとされています[2]。それでも「糖尿病治療ガイド2016-2017」では、総エネルギーの20%以下を目安とすることが示されており、アメリカ糖尿病学会(ADA)も早期から0.8g/理想体重kg/日程度を目安にする考え方を示しています[2]。この根拠は「たんぱく質摂取量を増やすこと自体が腎症の発症リスクになる」というより、「過剰摂取による耐糖能異常や心血管疾患・脳卒中のリスクを避ける」という考え方に基づいています[2]。

顕性アルブミン尿期(第3期):この時期のたんぱく質制限の主な目的は、腎機能低下の抑制と考えられています[2]。13件のランダム化比較試験(RCT)を対象にしたメタ解析では、たんぱく質摂取制限によるeGFR低下の抑制効果が、特に顕性アルブミン尿がある群で確認されました[2]。この結果を受けて「糖尿病治療ガイド2016-2017」では、腎症3期において0.8〜1.0g/標準体重kg/日のたんぱく質制限が推奨されています[2]。

進行リスクが高い症例(第3期以降):ここが最新のガイドラインで最も丁寧に説明が加えられた部分です。「糖尿病診療ガイドライン2024」のCQ9-2では、顕性アルブミン尿期以降において、栄養障害のリスクがないたんぱく質制限は進行抑制に有効である可能性があるとしながらも、「臨床的エビデンスは十分ではない」とはっきり明記しています(推奨グレードU=行うことも行わないことも推奨しない)[1]。そのうえで、腎機能低下の速度が速い症例(目安として年間3〜5mL/分/1.73m²以上の低下)、顕性アルブミン尿や持続的なたんぱく尿がある症例、腎不全期の症例については、年齢・サルコペニアやフレイルを含む栄養状態・アドヒアランス(実行できるかどうか)・生活の質(QOL)を総合的に判断したうえで、たんぱく質制限の実施を検討するとしています[1]。実施する場合の摂取量は、0.6〜0.8g/目標体重kg/日を基軸としつつ、高齢あるいはサルコペニア・フレイルの症例では0.8g/目標体重kg/日に緩和するなど、個別に対応するとされています[1]。

この「0.6〜0.8g/目標体重kg/日」という最新の数字は、2016-2017年版の「腎症3期は0.8〜1.0g/標準体重kg/日」という従来の数字よりも幅が広く、より個別化を重視した表現になっています。数字だけを見て「前の情報は間違っていた」と考える必要はありません。あくまで医学的エビデンスの蓄積を受けて、「画一的な制限は不適切」という考え方が強まった結果の変化です[1]。

自己判断でのたんぱく質制限が危険な理由

  • 栄養障害のリスクがある状態でたんぱく質制限を行うと、かえって死亡率が上昇したとする後ろ向きコホート研究の報告がある[1]。
  • 高齢者では、末期腎不全に進むリスクよりも、低栄養やフレイルによる死亡リスクの方が高くなる場合があるとされている[2]。
  • たんぱく質の必要量は年齢や個々の栄養状態によって異なり、「腎臓を守るためだけ」を目的にした画一的な制限は不適切とされている[1]。
  • 体重減少、疲れやすさ、筋力の低下を感じたら、たんぱく質を減らしすぎているサインかもしれません。自己判断で続けず、必ず主治医・管理栄養士に相談してください。

研究では何がわかっているのか — 数字の裏付けをもう少し詳しく

「0.6〜0.8g/目標体重kg/日」や「0.8〜1.0g/標準体重kg/日」といった数字が、単なる目安ではなく、どのような研究をもとに示されているのかを知っておくと、数字への納得感が変わります。

日本人の腎症2期(微量アルブミン尿期)を対象にした介入研究では、たんぱく質摂取量が1.2g/kg標準体重/日の群と比較して、0.8g/kg標準体重/日の群で尿中微量アルブミンの有意な減少が認められました[2]。ただしこの研究は1週間というごく短期間のものであり、長期的な効果は確認されていません[2]。海外で行われた腎症1期・2期を対象にしたランダム化比較試験でも、たんぱく質制限食(0.8g/kg理想体重/日)で尿中微量アルブミンの減少が確認されましたが、28か月の追跡調査では、この微量アルブミン減少効果は消失し、GFR(腎機能)の低下抑制効果も認められませんでした[2]。正常アルブミン尿と顕性アルブミン尿の症例を含む13件のランダム化比較試験のメタ解析では、たんぱく質摂取制限によるeGFR低下の抑制効果は認められたものの、尿たんぱくの減少ははっきりしませんでした[2]。これらの結果から、厚生労働省の資料は「たんぱく質制限は尿中微量アルブミンを減少させる可能性はあるが、腎症2期から3期への進展を予防できるという根拠は必ずしも十分とはいえない」とまとめています[2]。

一方、より進行した段階を対象にした研究では、違う結果も出ています。ステージG4〜G5(進行した腎不全)を中心とした集団を対象にしたメタ解析では、厳格な低たんぱく質食(0.2〜0.4g/kg/日、通常はアミノ酸製剤などで補いながら実施)が、通常のたんぱく質制限(0.6g/kg/日程度)と比較して腎死率を32%低減したとする報告があります[2]。ただし、これほど厳格な制限は栄養障害のリスクも大きいため、専門医の管理のもとでのみ検討される特殊な方法であり、自己判断で真似できるものではありません。腎機能低下がすでに進行しているMDRD Study A(eGFR25〜55mL/分/1.73m²が対象)という有名な研究では、たんぱく質摂取量1.3g/kg体重/日の群と0.58g/kg体重/日の群の間で、腎機能低下速度に有意差は認められませんでした[2]。ただし2次解析では、0.58g/kg体重/日の群の腎機能低下は、開始から4か月までは速いものの、4か月から36か月までは有意に抑制されたとも報告されています[2]。

こうした研究結果が「一定していない」こと自体が、「糖尿病診療ガイドライン2024」がたんぱく質制限を推奨グレードU(行うことも行わないことも推奨しない)と位置づけている理由です[1]。介入期間、制限量、対象患者の腎症病期、実際に制限を守れたかどうかがそれぞれの研究で異なっており、一律の結論を出すことが難しいと説明されています[1]。「エビデンスが弱い=制限しても意味がない」ということではなく、「効果がありそうな兆候はあるが、万人に同じ数字を当てはめられるほど確立してはいない」というのが、現時点で最も正確な理解です。

この記事と「糖尿病の食事療法」全般の記事との違い

糖尿病の食事療法というと、エネルギー摂取量の計算方法や食品交換表の使い方、炭水化物・脂質とのバランスなど、扱うべき範囲は非常に広いテーマです。1型糖尿病・2型糖尿病いずれについても、血糖コントロールのために食事療法そのものが推奨されており(推奨グレードA)[5]、たんぱく質はその食事療法を構成する三大栄養素の一つです。本記事はその中でも「たんぱく質摂取量」、特に「糖尿病性腎症が進行した場合にたんぱく質をどう考えるか」という一点に絞って、病期別の具体的な数値とその根拠を詳しく解説しました。エネルギー摂取量全体の計算方法や、炭水化物・脂質を含めた食事療法の基本方針について詳しく知りたい場合は、糖尿病の食事療法全般を扱った別記事もあわせてご参照ください。両方を読むことで、「全体のバランス」と「たんぱく質だけの注意点」の両方を押さえることができます。

日本とアメリカ(ADA)のガイドライン比較 — どこが違うのか

糖尿病性腎症の食事療法は、日本とアメリカで大枠は近いものの、強調点にわずかな違いがあります。この違いを知っておくと、海外の情報サイトを見たときに混乱せずに済みます。

項目 日本(糖尿病治療ガイド/糖尿病診療ガイドライン2024) アメリカ(ADA)
腎症早期(第2期)の目安 総エネルギーの20%以下[2] 早期から0.8g/理想体重kg/日程度[2]
進行例(第3期以降)の目安 0.6〜0.8g/目標体重kg/日を基軸に個別対応(推奨グレードU)[1] 個々の症例に応じて調整する考え方が共有されている[2]
エビデンスの強さの表現 「臨床的エビデンスは十分ではない」と明記したうえで条件付きで検討[1] 本記事で参照した資料の範囲では、日本側資料の引用にとどまり、ADA一次資料そのものでの表現までは確認できていません

両者に共通しているのは、「たんぱく質を極端に減らせば減らすほど良い」という単純な話ではなく、栄養状態やアドヒアランスを含めて総合的に判断するという姿勢です。この慎重さこそが、最新のガイドラインが最も強調している点だといえます。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

検査値の見方 — eGFRとアルブミン尿を自分で追いかける

病期を判断する基本になるのは、eGFR(推算糸球体濾過量)と尿アルブミン/尿たんぱくの2つの数値です。eGFRは腎臓がどれだけ血液をろ過できているかを示す指標で、単位はmL/分/1.73m²、数値が低いほど腎機能が低下していることを意味します。尿アルブミンは、UACR(尿中アルブミン・クレアチニン比、単位mg/gCr)またはUPCR(尿中蛋白・クレアチニン比、単位g/gCr)で評価され、数値が高いほど腎臓のフィルターから漏れているたんぱく質が多いことを示します[4]。

糖尿病性腎症病期分類2023では、正常アルブミン尿期(第1期)はUACR30未満かつeGFR30以上、微量アルブミン尿期(第2期)はUACR30〜299かつeGFR30以上、顕性アルブミン尿期(第3期)はUACR300以上またはUPCR0.5以上でeGFRは問わない、GFR高度低下・末期腎不全期(第4期)はUACRを問わずeGFR30未満、腎代替療法期(第5期)は透析療法中あるいは腎移植後、と定義されています[4]。健康診断や糖尿病の定期通院の血液・尿検査結果に、この2つの数値が記載されていないか確認してみてください。数値の推移(前回よりも悪化しているか、横ばいか)を追うことが、たんぱく質制限の要否を判断する材料になります。

また、腎症の病期とは別に、日本腎臓学会が定めるCKD(慢性腎臓病)の重症度分類(G1〜G5、ステージが進むほど数字が大きくなる)も併記されることが望ましいとされています[4]。厚生労働省の資料では、CKDステージG3a(eGFR45〜59が目安)では0.8〜1.0g/標準体重kg/日のたんぱく質摂取が、「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」と「CKD診療ガイドライン2018」の両方で推奨されています[2]。一方でステージG1〜G2(軽度の腎機能低下)については、たんぱく質制限の有効性を示した日本の大規模研究はこれまでなく、画一的な指導ではなく個々の患者の病態やリスクを総合的に判断することが推奨されています[2]。海外の指針として、KDIGO(国際的な腎臓病診療ガイドライン機構)の2012年版では、CKD患者は1.3g/kg体重/日を超えるたんぱく質を摂取しないことが推奨されています[2]。

たんぱく質制限を続けるための実践的な工夫

たんぱく質制限で最も難しいのは、数値を知ることよりも「続けること」だとされています。厚生労働省の資料が引用する研究では、たんぱく質制限を指示された患者の実際の摂取量は、指示量よりも0.10〜0.30g/kg体重/日ほど多くなる傾向があったと報告されています[2]。別の観察研究では、たんぱく質摂取量1.0g/kg体重/日を基準として、1.3g/kg体重/日以上の「アドヒアランス不良」の症例の頻度が20%と高かったことも示されています[2]。つまり、多くの人にとって「指示された量を守り続けること」自体が難しい課題だということです。

この課題に対して有効とされているのが、管理栄養士による頻回の栄養指導です。研究では、頻回の栄養指導を受けた群でたんぱく質制限のアドヒアランスが向上し、アドヒアランスが良い群では3年後に腎機能の改善がみられた一方、悪い群では改善がみられなかったと報告されています[2]。つまり「制限量を紙に書いてもらって終わり」ではなく、定期的に食事内容を確認してもらいながら進めることが、制限の効果を左右する重要な要素だといえます。

実務的な工夫としては、次のような点が一般に挙げられます(いずれも自己流ではなく、管理栄養士と相談しながら進めることが前提です)。

工夫の方向性 ねらい
たんぱく質を減らした分、脂質や炭水化物でエネルギーを補う エネルギー不足による体重減少・筋力低下を防ぐ
治療用の低たんぱく質特殊食品(ごはん・麺・パンなど)を活用する 主食のたんぱく質量を抑えつつ、必要なエネルギー・満足感を確保する
1食に偏らせず、1日の中でたんぱく質摂取量を分散させる 過剰摂取のタイミングを避け、指示量の範囲に収めやすくする
体重・食欲・疲労感の変化を記録し、定期的に管理栄養士に共有する 制限のしすぎ(低栄養)を早期に把握する
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この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
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薬物療法との関係 — 食事療法だけがすべてではない

糖尿病性腎症の進行抑制は、たんぱく質制限を含む食事療法だけでなく、薬物療法と組み合わせて総合的に取り組むことが「糖尿病診療ガイドライン2024」でも示されています。日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」は、アルブミン尿を有する腎症の進行抑制に対しては、ACE阻害薬・ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)が有効であるとして推奨しています[1]。また、同ガイドラインは、アルブミン尿を有する2型糖尿病患者の腎症進行抑制にはSGLT2阻害薬が推奨されており[1]、GLP-1受容体作動薬についても、複数の大規模臨床試験のメタ解析で腎症進行の予防効果が示され、有効であると位置づけていると説明しています[1]。

これらの薬物療法は、いずれも主治医の判断のもとで開始・調整されるものであり、本記事はその使用を推奨したり、自己判断での開始・中止を勧めたりするものではありません。ここで伝えたいのは、「たんぱく質制限さえ頑張れば腎症が防げる」という単純な図式ではなく、食事療法と薬物療法を組み合わせた包括的な治療の中に、たんぱく質制限が「エビデンスは十分ではないが条件付きで検討する一つの選択肢」として位置づけられているという全体像です[1]。

高齢者・フレイルとの兼ね合い — 「減らせば安心」ではない理由

糖尿病性腎症の患者は高齢の方も多く、たんぱく質制限を考えるときには必ず「フレイル(加齢による筋力・活力の低下)」との兼ね合いを考える必要があります。アメリカの大規模なコホート研究では、慢性腎臓病のステージG3〜G5にある約20万人を平均3.2年観察した結果、すべての年齢層で観察開始時のeGFRが低いほどその後の総死亡・末期腎不全のリスクが高い一方、高齢者は若年者と比べて死亡のリスクの方が高く、末期腎不全のリスクは相対的に低いという結果が示されています[2]。特に85歳以上では、常に死亡リスクの方が末期腎不全のリスクよりも高かったと報告されています[2]。

この結果を踏まえ、厚生労働省の資料は「高齢軽症CKDにおけるたんぱく質摂取量の目標値を一律に示すことは適切ではない」としたうえで、腎機能低下・末期腎不全のリスクと死亡のリスクを個々に比較評価し、前者が高いと判断される症例であればたんぱく質の過剰な摂取を避け、CKD重症化予防としては0.8〜1.0g/標準体重kg/日のたんぱく質を推奨することが標準的な食事療法だとしています[2]。管理栄養士による頻回の栄養指導が、たんぱく質制限のアドヒアランス(実行の継続しやすさ)を高めるという報告もあり[2]、独りで数字だけを見て制限するのではなく、専門職の伴走を受けながら進めることが重要だとわかります。

🖨️ 診察で聞くべきことチェックリスト(印刷して持参できます)

  • 今の私の糖尿病性腎症の病期(第何期)と、直近のeGFR・尿アルブミン値の数字
  • 私の場合の「目標体重」または「標準体重」は何kgか
  • たんぱく質制限を今すぐ始めるべきか、それとも様子を見てよいか
  • 制限する場合、1日に何gを目安にすればよいか(g/kgではなく実際のg数で)
  • 体重減少・疲労感・筋力低下を感じたときの連絡・相談方法
  • 管理栄養士による栄養指導を受けられるか(頻度・予約方法)

実践編 — 食事で何を意識すればよいか

具体的な数値は必ず主治医・管理栄養士から示されるべきものですが、ここでは一般的に語られている工夫の方向性を整理します。

腎症がない・軽い場合:厚生労働省の「e-ヘルスネット」によれば、たんぱく質を「減らす」ことよりも、食事全体のバランス(主食・主菜・副菜をそろえる)、食物繊維を多くとる、脂質と食塩を控えるといった、糖尿病の食事療法全般の基本を優先することが推奨されています[3]。たんぱく質だけを特別に減らす必要はありません。

たんぱく質制限が指示された場合:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品といった「主菜」に多く含まれるたんぱく質を、指示された量に収める工夫が中心になります。この際、たんぱく質を減らした分だけ総エネルギー量まで減ってしまうと、体重減少や筋力低下につながりかねません。エネルギー摂取量は保ちながらたんぱく質だけを調整するには、脂質や、たんぱく質を含まない炭水化物(治療用特殊食品など)でエネルギーを補う工夫が必要になる場合があり、管理栄養士による個別の指導が欠かせません。

塩分・カリウムとの関係:たんぱく質制限を行うことは、結果としてナトリウム・カリウム・リンの摂取制限にもつながる場合があるとされています[2]。腎機能が低下すると高カリウム血症(血清カリウム値5.5mEq/L以上)を起こす頻度が上がり、7mEq/L以上になると不整脈による突然死の原因になりうる極めて危険な状態です[2]。カリウム制限が必要かどうかも含めて、血液検査の結果をもとに主治医と相談してください。

本記事で参照した資料の範囲では、腎症2期における具体的な「1日あたりの実グラム数」の全国共通の推奨値までは確認できませんでした。目標体重・実際の摂取エネルギーによって計算が変わるため、この点は主治医・管理栄養士による個別計算が必要な情報として、あえて数値を断定していません。また、アメリカ糖尿病学会(ADA)の一次資料(英語)そのものを本記事執筆時点で直接確認できておらず、ADAに関する記述は日本側の資料が引用した内容にもとづいています。この点は今後、一次資料での確認を進めます。

🚦 受診の目安 — すぐに医療機関へ相談すべきサイン

  • むくみ(特に足のむくみが急に強くなった)、体重の急な増加
  • 尿の泡立ちが続く、尿の色が濃い、尿量が急に減った
  • 強い倦怠感、食欲不振、吐き気が続く
  • たんぱく質制限を始めてから体重減少・筋力低下・疲れやすさを感じる
  • 健康診断で尿たんぱく・尿アルブミンの数値が急に悪化した

何科・どれくらい急ぐか:何科を受診すべきか迷う場合は、まず糖尿病の主治医(内科・糖尿病内科)に相談してください。腎機能の低下が進んでいる場合は、腎臓内科への紹介が検討されます。むくみの急激な悪化や尿量の急な減少がある場合は、次回の定期通院を待たず早めに連絡してください。強い息苦しさ・意識がもうろうとする等の症状を伴う場合は救急受診(119番)を検討してください。

よくある質問

糖尿病でたんぱく質を摂りすぎると腎症になりますか?
厚生労働省の資料によれば、たんぱく質摂取量を増やすこと自体が腎症の発症リスクになるという明確な根拠は、本記事で参照した資料の範囲では示されていません[2]。ただし過剰摂取は耐糖能異常や心血管疾患のリスクと関連する可能性が指摘されており、厚生労働省の食事摂取基準では上限として総エネルギーの20%を超えない範囲が目安とされています[6]。
プロテインサプリメントを飲んでも大丈夫ですか?
腎症がなければ、たんぱく質の総摂取量が目安の範囲(総エネルギーの13〜20%)を超えないことが前提になります。腎症がある場合は、プロテインサプリメントの摂取量もたんぱく質の総量に含めて主治医・管理栄養士と相談する必要があります。自己判断での追加摂取は避けてください。
たんぱく質を減らすと筋肉が落ちませんか?
その懸念は医学的にも重視されています。栄養障害のリスクがある状態でのたんぱく質制限はかえって死亡率の上昇と関連する可能性が報告されており[1]、特に高齢者やフレイルの傾向がある人では、制限の程度を0.8g/目標体重kg/日に緩めるなど、個別に対応することが推奨されています[1]。
腎症の病期はどうやって調べればわかりますか?
日本腎臓学会・日本糖尿病学会の病期分類によれば、尿検査(尿アルブミン/クレアチニン比、または尿たんぱく/クレアチニン比)と血液検査(eGFR)の結果から判定されます[4]。健康診断や糖尿病の定期通院で行われる検査項目に含まれていることが多いため、直近の結果を主治医に確認してみてください。
植物性たんぱく質(大豆など)なら制限しなくてもよいですか?
本記事で参照した資料の範囲では、植物性たんぱく質だけを特別扱いする明確な記載は確認できませんでした。指示された制限量は、動物性・植物性を問わずたんぱく質の総摂取量として管理するのが基本的な考え方です。この点についても具体的な食品構成は管理栄養士との相談が推奨されます。
腎症2期(微量アルブミン尿期)と診断されました。すぐにたんぱく質を制限すべきですか?
厚生労働省の資料によれば、この段階でのたんぱく質制限が腎症の進行そのものを防げるという臨床的な根拠は十分ではないとされています[2]。一方で、同資料には総エネルギーの20%以下を目安にする考え方も示されており[2]、「今すぐ厳しく制限すべきか」は病状によって異なります。自己判断せず、主治医の判断を確認してください。
たんぱく質制限中に体重が減ってきました。どうすればいいですか?
体重減少はたんぱく質・総エネルギーの不足サインである可能性があります。放置せず、できるだけ早く主治医・管理栄養士に相談してください。栄養障害のリスクがある状態での過度な制限は、かえって健康上のリスクを高める可能性が報告されています[1]。
透析が始まったら、たんぱく質の考え方はどう変わりますか?
腎代替療法期(第5期・透析療法中あるいは腎移植後)では、それ以前の病期とは食事療法の考え方が大きく異なります[4]。本記事は透析導入前の段階を中心に解説しており、透析後の食事管理については、透析施設の医師・管理栄養士による専用の指導に従ってください。
このガイドラインの数字は今後また変わりますか?
可能性はあります。実際に、たんぱく質制限の目安量は「糖尿病治療ガイド2016-2017」時点の数字と、「糖尿病診療ガイドライン2024」で示された数字とで幅の設定が異なっています[1][2]。医学的エビデンスは日々更新されるため、本記事の数字も定期的に見直しが必要です。最新の指示は必ず主治医から直接確認してください。
eGFRやUACRの数値は、健康診断の結果のどこを見ればわかりますか?
血液検査の項目に「eGFR」、尿検査の項目に「尿アルブミン」「尿蛋白」「UACR」「尿蛋白/クレアチニン比」などの表記があれば、それが該当する数値です[4]。表記が見当たらない場合や数値の見方がわからない場合は、次回の通院時に主治医に直接尋ねるのが確実です。
SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を使っていれば、たんぱく質制限をしなくてもよいですか?
いいえ。これらの薬剤は腎症の進行抑制に有効であることが示されていますが[1]、たんぱく質制限の要否とは別の判断軸です。薬物療法と食事療法は組み合わせて検討されるものであり、薬を使っているからたんぱく質制限が不要になるという単純な関係にはありません。制限の要否は主治医が病状全体を見て判断します。
治療用の低たんぱく質食品(低たんぱく質ごはんなど)は必ず使わないといけませんか?
必須ではありません。あくまで、たんぱく質量を抑えながら必要なエネルギーを確保するための選択肢の一つです[2]。通常の食品の組み合わせだけで指示量を満たせる場合は使わなくてもよく、使うかどうかは食生活の実情に応じて管理栄養士と相談して決めるものです。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」9章 糖尿病性腎症 CQ9-2(2024年) https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/09.pdf
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」CKD(慢性腎臓病)と食事の関係 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586595.pdf
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病の食事」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-004.html
  4. 日本腎臓学会・日本糖尿病学会「糖尿病性腎症病期分類2023の策定」 https://cdn.jsn.or.jp/data/DKD2023.pdf
  5. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」3章 食事療法(2024年) https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/03_1.pdf
  6. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定ポイント https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf

本記事は厚生労働省・日本糖尿病学会・日本腎臓学会などの公的情報源をもとにJHO編集部が作成したものであり、医師による診断・治療方針の指示に代わるものではありません。たんぱく質の摂取量・制限量は、年齢・体格・腎機能・栄養状態によって一人ひとり異なります。必ず主治医・管理栄養士の指示に従ってください。記事内容に誤りや古い情報にお気づきの際は、編集部までお知らせください。事実を確認のうえ訂正いたします。

この記事について

更新日:2026年7月18日。作成方法:JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・日本糖尿病学会・日本腎臓学会の公的資料と照合して作成し、最終確認を人の目で行いました。本記事は糖尿病性腎症のうち透析導入前の段階(第1期〜第4期)を中心に解説しており、透析療法期(第5期)の食事管理は対象外です。制度・ガイドラインは改定されることがあるため、実際の食事療法は必ず最新の主治医の指示を優先してください。誤りや古い情報を見つけた場合は、事実確認のうえ訂正します。

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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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