糖尿病の合併症とは?体への深刻な影響と受診の目安を解説
この記事でわかること
目次
結論から言うと、糖尿病情報センターによれば、糖尿病の合併症は大きく2つに分かれます。細い血管が傷つく「三大合併症」(神経障害・網膜症・腎症)と、太い血管が傷つく「動脈硬化」(脳梗塞・心筋梗塞など)です[1]。糖尿病がある方は、糖尿病のない方と比べて心臓や血管の病気の発症率が約3.5倍高くなるとされています[1]。
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怖いのは、これらの合併症の多くが「自覚症状がないまま進行する」という点です。実際、日本透析医学会の統計では、人工透析を始める原因の第1位は今も糖尿病性腎症です[2]。この記事では、糖尿病が体にもたらす影響を一つずつ、一次資料の数字とともに確認していきます。「怖がらせるため」ではなく、「症状がなくても検査を受ける理由」を具体的な数字で理解してもらうことが、この記事の目的です。糖尿病そのものについて基礎から知りたい方は、糖尿病の総合ガイドもあわせてご覧ください。
要点まとめ
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会が公表する一次資料と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の診断・指導の代わりにはなりません。数値や基準はガイドラインの改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報)。ご自身の症状・検査結果については、必ず主治医に相談してください。
合併症チェックの目安
「最近、足先がしびれる」「視界がかすむ」「尿の泡立ちが気になる」「むくみが取れにくい」といった変化は、三大合併症の初期サインとして参考にされることがあります。糖尿病情報センターの解説によれば、これらは自覚しにくい変化であることが多いため、症状の有無にかかわらず、糖尿病の定期受診では眼底検査・尿検査(アルブミン尿)・神経の検査を継続的に受けることが勧められます。
糖尿病の合併症が体に起こる仕組み — 細い血管と太い血管
糖尿病情報センターによれば、糖尿病で高血糖の状態が続くと、全身の血管が徐々に傷ついていきます[1]。血管の傷つき方には大きく2つのパターンがあります。
糖尿病情報センターの分類によれば、一つは、神経・網膜・腎臓に集まる「細い血管(細小血管)」が傷つくパターンです。これが「神経障害」「網膜症」「腎症」という、糖尿病の三大合併症につながります[1]。もう一つは、脳・心臓・足など全身の「太い血管(大血管)」で動脈硬化が進むパターンで、脳梗塞・心筋梗塞・末梢動脈疾患のリスクを高めます[1]。
細小血管障害は糖尿病に比較的特有の合併症であるのに対し、大血管障害(動脈硬化)は糖尿病のない人にも起こり得るものですが、糖尿病があることでそのスピードが速まり、リスクが大きく高まる点が特徴です。糖尿病情報センターは、境界型(75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が高いタイプ)の方でも、正常型と比較して心血管疾患による死亡が2.2倍多いと報告しており、血糖値の異常は「糖尿病と診断される前」から血管に影響を与え始めていることがわかります[1]。
糖尿病情報センターが報告する「境界型の段階からすでにリスクが上がっている」という事実は、意外と知られていません。「まだ糖尿病と診断されていないから大丈夫」と考えてしまいがちですが、糖尿病情報センターの報告が示すとおり、血管への影響は診断が確定するより前から静かに始まっている可能性があります[1]。健診で「境界型」「糖尿病予備群」と言われた場合も、生活習慣の見直しを先延ばしにしない理由はここにあります。
もう一つ知っておきたいのは、細小血管障害と大血管障害は、まったく別々に進むわけではないという点です。細い血管の障害(特に神経障害)があると、足の血流障害や動脈硬化の影響も重なりやすく、糖尿病足病変のように複数の要因が絡み合って進行する合併症も存在します。糖尿病の合併症を「一つずつ独立した病気」として捉えるより、「高血糖が全身の血管に与える影響の、現れ方の違い」として理解しておくと、なぜ血糖管理がこれほど重視されるのかが見えやすくなります。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
三大合併症のそれぞれの特徴
三大合併症は「し・め・じ」(神経障害・網膜症・腎症)の順で進行しやすいとされ、覚え方としても広く知られています。それぞれの特徴を見ていきます。
| 合併症 | 何が起こるか | 進行するとどうなるか |
|---|---|---|
| 神経障害 | 神経周囲の血管が傷み、神経の働きが悪くなる。感覚神経では足先のしびれ・痛み・冷感、運動神経では筋力低下 | 足の感覚が鈍くなり、けがや傷に気づきにくくなる[1] |
| 網膜症 | 目の中の網膜の血管が障害を受け、視力が低下する | 進行すると失明に至ることもある[1] |
| 腎症 | 腎臓の非常に細い血管がむしばまれていく | 進行すると腎臓の機能が失われ、透析治療が必要になる[1] |
出典:糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「糖尿病の合併症」[1]
3つの合併症は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが共通しています。しびれや視力低下、むくみなどを感じてから受診したときには、すでにある程度進行していることも少なくありません。だからこそ、症状がなくても定期的な検査を続けることが重要だとされています。
糖尿病情報センターの説明をもとに、神経障害についてもう少し詳しく見ると、最初に現れやすいのは足先や足の裏の左右対称なしびれ・違和感であることが多いとされています。進行すると感覚が鈍くなり、痛みを感じにくくなるため、逆説的に「痛くないから平気」と自己判断してしまう危険もあります。運動神経が障害されると、足の筋力が落ちて歩き方が変わったり、つまずきやすくなったりすることもあります。また、自律神経が影響を受けると、立ちくらみや便通の変化、発汗の異常など、一見糖尿病と結びつきにくい症状が出ることもあります。
糖尿病情報センターによれば、網膜症は初期(単純網膜症)の段階ではほとんど自覚症状がなく、視力低下を感じる頃には中期〜進行期に進んでいることが少なくありません。糖尿病と診断されたら、視力に問題を感じていなくても、眼科で定期的に眼底検査を受けることが強く勧められる理由はここにあります。妊娠を予定している方は、妊娠中に網膜症が急速に進行することがあるため、妊娠前・妊娠中の眼科受診がより重要になるとされています。妊娠を考えている糖尿病のある方は、妊娠前の段階で血糖コントロールと眼科の状態を確認しておくことが、母子ともに安全な妊娠・出産につながる準備の一つです。
糖尿病情報センターの説明では、腎症は初期には尿検査で微量のアルブミン(タンパク質の一種)が検出される「微量アルブミン尿」という段階から始まります。この段階では自覚症状はほとんどなく、健診の尿検査で偶然見つかることが多いとされています。進行すると尿蛋白が明らかに増え、さらに進むと腎臓の機能そのものが低下し、最終的に透析治療が必要になることがあります。早期の微量アルブミン尿の段階で発見し、血糖・血圧管理を強化することで、進行を遅らせられる可能性があるとされています。健診の尿検査で「タンパクが少し出ている」程度の指摘であっても、軽く考えず、次の詳しい検査につなげることが将来の透析リスクを下げる第一歩になります。「一度言われただけだから」と放置せず、再検査の案内が来たら早めに受けることも大切です。
受診の目安 — すぐに医療機関に相談すべきサイン
- 強い口の渇き、多尿、急激な体重減少(糖尿病ケトアシドーシスなど急性合併症のサインである可能性)
- 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
- 足の傷・水ぶくれが治りにくい、色が変わってきた(神経障害・血流障害のサイン)
- 急な視力低下、視界に黒い点や影が増えた(網膜症の進行の可能性)
- むくみが急に強くなった、尿の泡立ちが続く(腎症の進行の可能性)
- 発熱・嘔吐・下痢などで食事がとれないとき(シックデイ)— 自己判断でインスリンや薬を中止しない
透析導入原因の第1位は今も糖尿病性腎症 — 日本透析医学会の統計
日本透析医学会の統計調査によれば、2023年末時点の慢性透析患者数は343,508人、原疾患(透析が必要になった元の病気)で最も多いのは糖尿病性腎症で39.5%を占めます。次いで慢性糸球体腎炎23.4%、腎硬化症14.0%と続きます[2]。
| 項目 | 数字 | 備考 |
|---|---|---|
| 2023年末の慢性透析患者総数 | 343,508人 | 日本透析医学会の施設調査[2] |
| 慢性透析患者の原疾患1位(糖尿病性腎症) | 39.5% | 2位は慢性糸球体腎炎23.4%[2] |
| 2023年新規透析導入患者数 | 38,764人 | 前年より919人減少[2] |
| 新規導入患者の原疾患1位(糖尿病性腎症) | 38.3% | 2位は腎硬化症19.3%(2019年から慢性糸球体腎炎を上回る)[2] |
出典:日本透析医学会統計調査(JRDR)「わが国の慢性透析療法の現況(2023年末)」[2]
糖尿病性腎症の割合は2011年に慢性糸球体腎炎を上回り、それ以来ずっと原疾患の1位を占め続けています[2]。一方で、新規導入患者では近年、腎硬化症(加齢や高血圧による腎機能低下)の割合が増えており、2019年に慢性糸球体腎炎を上回って2位になりました[2]。これは高齢化の影響も大きいと考えられますが、糖尿病性腎症が依然として最大の原因であることに変わりはありません。血糖管理と並行して、血圧管理・塩分管理も腎臓を守るうえで重要になります。
日本透析医学会の統計が示すとおり、透析治療は生活の自由度や通院の負担が大きく変わる治療です。多くの施設で週3回、1回あたり数時間の通院が必要になり、仕事や家庭生活への影響も小さくありません。この現実を知っておくことは、脅すためではなく、「今のうちにできることがある」という前向きな意味を持ちます。糖尿病性腎症は、早期(微量アルブミン尿の段階)で見つかれば、血糖・血圧管理の強化によって透析導入を遅らせられる、あるいは避けられる可能性があるとされているためです。
急性合併症 — 命に関わることもある「シックデイ」の注意点
糖尿病情報センターによれば、糖尿病の合併症には、長い年月をかけて進行する慢性合併症のほかに、短時間で急激に悪化する急性合併症もあります。代表的なものが糖尿病ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖症候群です[1]。
これらは、感染症・発熱・嘔吐・下痢などで体調を崩し、食事や水分がいつも通りとれない「シックデイ」の際に起こりやすいとされています。意識障害に至ることもあるため、糖尿病治療中の方は、体調不良時にインスリンや薬をどう調整するか、あらかじめ主治医から指示を受けておくことが勧められます。自己判断でインスリンを中止したり、逆に量を大きく変えたりすることは危険です。
シックデイの基本的な考え方として、「食事が食べられなくてもインスリンを自己判断で中止しない」「水分はこまめにとる」「血糖値をいつもより頻回に測定する」といった対応がよく紹介されます。特にインスリン注射を行っている方は、食事量が減っても体内で作られる糖(肝臓からのブドウ糖放出など)によって血糖値が上がることがあるため、「食べていないからインスリンも要らない」という判断が思わぬ高血糖やケトアシドーシスを招くことがあります。これは見落とされがちな落とし穴であり、体調不良のときほど自己判断より事前の取り決めが頼りになります。体調不良時の具体的な対応(インスリンの減量幅や中止の可否)は治療内容によって異なるため、あらかじめ主治医と「シックデイのときはどうするか」を話し合っておくことが、いざというときの安心につながります。
認知機能・歯周病との関係 — あまり知られていない影響
三大合併症・大血管障害ほど広く知られていませんが、厚生労働省 e-ヘルスネットも「失明や透析のほか、壊疽、認知症など、大きな障害につながります」と、認知症を糖尿病の影響の一つとして挙げています[3]。高血糖や血管障害が脳の血流に影響することで、認知機能の低下と糖尿病との関連が指摘されており、血糖コントロールの不安定さ(高血糖・低血糖の繰り返し)も脳への負担になり得ると考えられています。
歯周病についても、糖尿病がある方はそうでない方に比べて歯周病にかかりやすく、また歯周病が悪化すると血糖コントロールにも悪影響を及ぼすという、双方向の関係が知られています。歯茎の腫れ・出血・口臭といった症状に心当たりがある場合は、歯科でのケアも血糖管理の一部として位置づけて考えることが勧められます。毎日の歯磨きに加え、定期的な歯科でのクリーニングを取り入れることは、口の健康だけでなく血糖コントロール全体にとってもプラスに働く可能性があります。定期的な歯科受診は、糖尿病の合併症対策としても意味のある習慣です。歯科を受診する際は、糖尿病治療中であることをあらかじめ伝えておくと、治療のタイミングや麻酔の使用などについて、より安全な計画を立ててもらいやすくなります。
糖尿病足病変 — 見過ごされやすい合併症
神経障害による感覚の鈍化と、動脈硬化による血流の低下が重なると、足に傷ができても気づきにくく、治りにくくなることがあります。これが糖尿病足病変です[1]。厚生労働省 e-ヘルスネットも、糖尿病の影響として「壊疽(足に血液が行き渡らず、切断する必要が生じる病気)」を挙げています[3]。小さな傷や靴擦れでも、悪化すると潰瘍や壊疽に進み、場合によっては足の切断が必要になることもあります。糖尿病足病変は、神経障害(感覚の低下で傷に気づけない)と血流障害(末梢動脈疾患で傷が治りにくい)という2つの要因が重なって起こることが多く、三大合併症と大血管障害がともに関わる、いわば「合併症の合併症」ともいえる状態です。
足病変を防ぐために大切なのは、毎日の「フットケア」です。入浴時に足の裏や指の間まで傷・変色がないか目で確認する、爪を切りすぎない、靴下や靴で足を保護するといった習慣が、合併症予防の基本として勧められています。素足での歩行を避ける、熱いお湯や暖房器具を足に直接当てない(感覚が鈍いとやけどに気づきにくいため)といった工夫も、フットケアの一環として紹介されることがあります。爪切りの際に深爪をすると、そこから細菌が入り感染を起こしやすくなるため、爪の角は残しつつまっすぐ切る「スクエアカット」が勧められることもあります。自分で足のケアをするのが難しい場合は、フットケア外来など専門的なサポートを利用できる医療機関もあるため、通院先で相談してみるとよいでしょう。しびれで感覚が鈍くなっていると、小さな傷に自分で気づけないことがあるため、目で見て確認する習慣がとりわけ重要です。日々の血糖管理と間食の付き合い方については、日本の糖尿病患者向け間食完全ガイドも参考になります。
動脈硬化のリスクを高める要因 — 血糖値だけではない
糖尿病情報センターの説明によれば、大血管障害(動脈硬化)は、血糖値の高さだけで決まるものではありません。糖尿病に高血圧・脂質異常症・肥満・喫煙などが重なると、血管への負担がさらに大きくなり、動脈硬化が進みやすくなります。
| 要因 | 血管への影響 |
|---|---|
| 高血糖(糖尿病) | 血管内皮を傷つけ、動脈硬化の土台をつくる[1] |
| 高血圧 | 血管壁に持続的な負荷をかけ、動脈硬化を進める |
| 脂質異常症 | 血管壁にコレステロールなどが蓄積しやすくなる |
| 喫煙 | 血管を収縮させ、血管内皮の働きをさらに低下させる |
| 肥満・運動不足 | インスリン抵抗性を強め、血糖・血圧・脂質すべてに悪影響を及ぼす |
糖尿病情報センターが示す考え方によれば、これらの要因が重なるほど、脳梗塞・心筋梗塞・末梢動脈疾患のリスクは掛け算的に高まっていきます。逆に言えば、血糖値だけにこだわらず、血圧・脂質・体重・喫煙のうち取り組みやすいものから少しずつ改善していくことが、動脈硬化全体のリスクを下げるうえで現実的なアプローチになります。
厚生労働省 e-ヘルスネットが動脈硬化の一部として挙げる末梢動脈疾患は、脳梗塞・心筋梗塞に比べると知名度が低いものの、糖尿病がある方では見過ごせない合併症です。足の血管が狭くなることで、歩行時にふくらはぎがだるくなる・痛むといった症状(間欠性跛行)が現れることがあります。この症状は神経障害によるしびれと混同されやすいため、「歩くと足が痛くなる」という変化に気づいたら、自己判断で様子を見るのではなく、血流の検査も含めて医療機関に相談することが勧められます。足の血流低下は、前述の糖尿病足病変の悪化にもつながる要因です。
合併症を防ぐために — 血糖管理と定期検査の両輪
合併症の予防で中心になるのは、やはり血糖・血圧・脂質の管理です。炭水化物量の目安や食事の組み立て方について具体的に知りたい方は、別記事(糖尿病管理 完全ガイド)で詳しく解説しています。糖尿病そのものの診断基準や、健診結果で「糖尿病予備群」と言われた場合の考え方は、別記事(糖尿病と予備群の診断基準)もあわせてご覧ください。無理なく血糖・体重管理を続ける工夫は、糖尿病でも楽しく健康に生きるためのヘルシーダイエットガイドで紹介しています。
ただし、血糖管理だけで合併症のすべてを防げるわけではありません。血糖コントロールが良好でも、血圧や脂質の管理が不十分だと動脈硬化は進みますし、罹病期間が長くなるほど合併症のリスクは高まります。だからこそ、症状がなくても定期的に眼底検査・尿検査・神経の検査・血管の検査を受け、「今、自分の合併症はどの段階にあるか」を把握しておくことが、血糖管理と並ぶもう一つの柱になります。
厚生労働省 e-ヘルスネットが示すとおり、禁煙も合併症予防の観点で軽視できない要素です。厚生労働省 e-ヘルスネットも、糖尿病の予防・進行抑制のために「たばこを吸わないこと」を挙げています[3]。喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を進めるだけでなく、神経障害や腎症の進行にも悪影響を及ぼすと考えられています。糖尿病があり喫煙している方にとって、禁煙は数ある生活習慣の改善の中でも優先度が高いものの一つとして位置づけられることが多く、自己流での禁煙が難しい場合は、禁煙外来など専門的なサポートを利用することも選択肢になります。「もう長年吸っているから今さらやめても遅い」と考える方もいますが、禁煙を始めた時点から血管への負担は減っていくとされており、何歳から始めても遅すぎるということはないと考えられています。長年の習慣を変えるのは簡単ではありませんが、糖尿病の合併症対策の中でも、生活習慣の見直しで比較的大きな効果が期待できる項目の一つです。
糖尿病情報センターの一般的な説明に加えて、睡眠の質も見過ごされがちな要素です。睡眠不足や睡眠の質の低下は、血糖コントロールを乱す一因になり得るとされ、糖尿病がある方の中には睡眠時無呼吸症候群を合併している方も少なくありません。いびきが大きい、日中の強い眠気があるといった心当たりがある場合は、血糖管理と合わせて相談してみる価値があります。家族から「呼吸が止まっているように見える」と指摘されたことがある方は、次の通院時に伝えておくとよいでしょう。睡眠時無呼吸は血圧にも悪影響を及ぼすため、動脈硬化のリスク管理という観点からも見逃せない要素です。適切な治療を受けることで、血糖コントロールが改善したという報告もあり、単なる「いびき」として軽視しないことが大切です。
定期検査で何がわかるか — 三大合併症のチェック項目
糖尿病情報センターの説明によれば、三大合併症は自覚症状が出にくいため、定期検査によって「今どの段階にあるか」を把握することが、合併症対策の柱の一つになります。代表的な検査項目は次のとおりです。
| 検査 | 何をみているか |
|---|---|
| 眼底検査 | 網膜の血管の状態を確認し、糖尿病網膜症の有無・進行度を調べる |
| 尿検査(アルブミン尿・尿蛋白) | 腎臓の血管がどの程度傷んでいるか、腎症の早期兆候を調べる |
| 神経学的検査(アキレス腱反射・振動覚など) | 神経障害の有無・程度を調べる |
| 血圧・血液検査(脂質・腎機能など) | 動脈硬化・腎機能低下のリスクを総合的に把握する |
これらの検査は、症状がまったくない段階でも異常を見つけられることがあるのが特徴です。「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、糖尿病の通院の中で定期的に受けることが、進行を早期に食い止めるための現実的な方法とされています。検査の頻度や組み合わせは、罹病期間や血糖コントロールの状態によって医師が個別に判断するため、次回の通院時に自分のスケジュールを確認しておくとよいでしょう。
よくある誤解と注意点
糖尿病情報センター・日本透析医学会の一次資料をふまえ、糖尿病の合併症について特に混同されやすい誤解を整理します。
「症状がないから合併症は進んでいない」とは限りません。 糖尿病情報センターによれば、三大合併症の多くは、進行するまで自覚症状がほとんど出ないことが知られています[1]。定期検査を受けていない期間が長いほど、気づかないうちに進行しているリスクが高まります。
「HbA1cが下がったから合併症の心配はもうない」わけでもありません。 血糖コントロールの改善は合併症の進行を抑える重要な要素ですが、すでに進んだ神経・網膜・腎臓のダメージがすぐに元に戻るとは限りません。血糖管理に加えて、定期検査で経過を追い続けることが必要です。
「太い血管の病気(心筋梗塞・脳梗塞)は糖尿病と関係ない」というのも誤解です。 糖尿病があると、心臓や血管の病気の発症率が糖尿病のない人と比べて約3.5倍に上昇するとされています[1]。血糖値だけでなく、血圧・脂質・体重・喫煙の管理も合わせて行うことが、動脈硬化の進行を抑えるために重要です。
「透析になるのは特別に悪い人だけ」というのも正確ではありません。 日本透析医学会の統計が示すとおり、透析導入原因の第1位は今も糖尿病性腎症です[2]。特別な例外ではなく、血糖・血圧管理が不十分な状態が続けば、誰にでも起こり得るプロセスとして理解しておく必要があります。
「一度診断されたら、あとは悪くなる一方」というのも正確ではありません。 糖尿病情報センター・日本透析医学会の資料が示すとおり、 血糖・血圧・脂質の管理を続けることで、合併症の進行を遅らせたり、悪化のペースを抑えたりできる可能性があるとされています。診断された時点をゴールと捉えるのではなく、そこからの管理の積み重ねが、将来の合併症の程度を左右するという理解のほうが実態に近いといえます。
「若いうちは合併症の心配はない」とも限りません。 糖尿病情報センターの説明によれば、 特に2型糖尿病を若年で発症した場合、罹病期間が長くなる分、合併症が現れる年齢も早まる可能性があります。年齢だけを理由に検査を先延ばしにせず、罹病期間に応じた検査スケジュールを主治医と確認しておくことが勧められます。若いうちに合併症の芽を早期発見できれば、その後何十年という長い期間、良い状態を保ちやすくなるという意味でも、若年発症の方こそ定期検査の価値は大きいといえます。周囲に同世代の糖尿病患者が少なく孤独を感じやすい点も、若年発症ならではの悩みとして知られています。
通院時に、合併症の検査状況を整理して伝えられると、診察がスムーズに進みます。
通院時に確認しておきたいメモ(コピーして使えます)
- 直近のHbA1c・空腹時血糖値
- 眼底検査を受けた時期と結果
- 尿検査(アルブミン尿・尿蛋白)を受けた時期と結果
- 足のしびれ・傷・むくみなど、気になる症状の有無
- 血圧・脂質の管理状況、服用中の薬
本記事で参照した資料には、合併症ごとの発症までの平均年数や、年齢層別の詳細なリスク数値までは記載が見当たりませんでした。罹病期間・血糖コントロールの状態・遺伝的要因などによって進行のスピードには個人差が大きいとされているため、ご自身の状態については主治医に直接確認してください。
更新日:2026年7月19日。本記事は公的機関・学会の統計をもとに作成していますが、内容に誤りや古い情報が含まれている場合は、コメント欄またはお問い合わせフォームからお知らせいただけますと幸いです。いただいたご指摘は確認のうえ、必要に応じて記事を修正します。
よくある質問
糖尿病の合併症で、最初に気をつけるべきものは何ですか?
糖尿病でどのくらいの人が透析になるのですか?
糖尿病網膜症は必ず失明につながりますか?
足のしびれは糖尿病の合併症のサインですか?
動脈硬化を防ぐには血糖値だけ管理すればいいですか?
糖尿病ケトアシドーシスとはどんな状態ですか?
足に傷ができたとき、何に注意すればいいですか?
合併症の検査はどのくらいの頻度で受ければいいですか?
糖尿病予備群でも合併症のリスクはありますか?
合併症が心配で夜も眠れません。どうすればいいですか?
合併症が一つでも見つかったら、他の合併症も疑ったほうがいいですか?
合併症の進行を完全に止めることはできますか?
参考文献
- 糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「糖尿病の合併症」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/010/010/03.html
- 日本透析医学会統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況(2023年12月31日現在)」 https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2023/pdf/2023all.pdf
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-002.html
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医療情報に関する重要なお知らせ
本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
