糖尿病の寛解とは|定義と最新データをわかりやすく解説
この記事でわかること
目次
この記事では、糖尿病 寛解の定義と最新データを、国際コンセンサスと日本人研究の両方から解説します。結論から言うと、2型糖尿病は「治癒」はしませんが、「寛解(かんかい)」は一部の人で実際に起こります。国際的な定義では、薬を使わない状態でHbA1cが6.5%未満を3ヶ月以上維持できれば「寛解」と呼びます。[1]
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英国の臨床研究DiRECT試験の報告では、体重を大きく減らした人の46%が1年後、36%が2年後に寛解を達成しました[2]。一方、新潟大学の研究による日本人の実診療データでは寛解を達成した人は100人に1人程度(年間10.5/1,000人)にとどまります[3]。「治った」と「寛解した」は医学的に別の状態であり、寛解後も再発リスクは残ります。
要点まとめ
- 「寛解」の医学的定義:薬なしでHbA1c 6.5%未満を3ヶ月以上維持(2021年ADA/EASD等学会合同コンセンサス研究報告)[1]
- DiRECT試験の研究報告:体重を平均10kg以上減らした群で、1年後46%・2年後36%が寛解[2]
- 新潟大学の調査研究(日本人2型糖尿病患者・約4.8万人の解析)では、寛解の年間発生率は10.5/1,000人(約100人に1人/年)[3]
- 同研究によれば寛解しやすいのは「診断から1年未満」「HbA1c 7.0%未満」「体重を1年で5%以上減らせた」人[3]
- 国際学会コンセンサス報告によれば寛解後も年1回以上の血糖検査と合併症スクリーニングが必須——「治った」ので通院をやめる、は誤り[1]
編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、米国糖尿病学会(ADA)・欧州糖尿病学会(EASD)の合同コンセンサスレポート、英国DiRECT試験の査読論文、新潟大学による日本人対象の実診療データ研究と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断・治療方針の代わりにはなりません。数値・基準はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点の最新公表データに基づく)。
寛解を目指せる可能性が高いタイプか、自分でチェックしてみましょう(新潟大学の日本人対象研究で寛解と関連が確認された7項目[3]。当てはまる数が多いほど、研究上は寛解を達成した人に多い特徴に近いことを意味しますが、診断や見込みを断定するものではありません)
| チェック項目 | 研究での関連 |
|---|---|
| 男性である | 寛解群にやや多い |
| 診断時の年齢が40歳未満だった | 寛解群に多い |
| 糖尿病と診断されてから1年未満 | 最も強い関連因子の一つ |
| 現在のHbA1cが7.0%未満 | 寛解群に多い |
| 診断時のBMI(体格指数)が高め(肥満型) | 寛解群に多い |
| この1年で体重が5%以上減った | 最も強い関連因子の一つ |
| 診断時点でまだ薬物治療を始めていなかった | 寛解群に多い |
出典:Fujihara K, et al. Diabetes, Obesity and Metabolism. 2023(新潟大学、全国の2型糖尿病患者48,320例の解析)[3]
「治癒」と「寛解」は何が違うのか?血糖値が薬なしで保たれる仕組み
「糖尿病が治った」という言葉は、実は医学的にあいまいです。ADA/EASDの学会合同コンセンサス研究報告など多くの専門家は「治癒」(病気の原因が消えて二度と戻らない状態)という言葉を2型糖尿病には使いません[1]。代わりに使われるのが「寛解」という言葉で、同コンセンサス研究報告によれば、これは「症状や検査値が正常範囲に戻っているが、原因(インスリン抵抗性や膵臓の負担)が完全になくなったわけではなく、再発しうる状態」を意味します[1]。がんの「寛解」と同じ考え方だと理解すると分かりやすいでしょう。
学会のガイドラインが示す、2型糖尿病で血糖値が上がる主な仕組みは、①内臓脂肪が増えることで筋肉や肝臓がインスリンに反応しにくくなる「インスリン抵抗性」と、②それを補おうと働き続けた膵臓のβ細胞が疲弊し、インスリンを十分に出せなくなることの2つが重なって起こります[1]。DiRECT試験の研究データでは、体重を大きく減らす(特に内臓脂肪を減らす)と、この2つの歯車が逆回転し、インスリン抵抗性が下がり、膵臓のβ細胞機能の一部が回復することが分かっています[2]。これが「薬なしで血糖値が正常範囲に収まる」状態、つまり寛解が起こる仕組みです。
出典:Riddle MC, et al. Diabetes Care. 2021;44(10):2438-2444[1]をもとにJHO編集部が作図。
ただし、β細胞の回復には限界があります。糖尿病の罹病期間が長く、β細胞のダメージが進んでしまってからでは、体重を減らしても寛解に至らないケースが多いことも研究で示されています[3]。「早い段階での体重管理」が寛解のカギを握っている理由がここにあります。
もう一つ理解しておきたいのは、「体重が減れば誰でも同じように寛解する」わけではないという点です。同じだけ体重を減らしても、もともと膵臓のβ細胞にどれだけ予備能力が残っているかは人によって異なります。新潟大学の研究では、診断されたばかりで、まだβ細胞の疲弊がそれほど進んでいない人ほど、体重減少による回復の余地が大きいと考えられています[3]。逆に、罹病期間が長く、すでにインスリン注射が必要になっている人では、体重を減らしてもβ細胞の機能自体が戻らないため、寛解には至りにくい傾向があります。この「時間との勝負」という側面が、糖尿病の寛解を考えるうえで最も見落とされやすいポイントです。
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糖尿病 寛解の基準——2021年ADA/EASD国際コンセンサスの数値
2021年、米国糖尿病学会(ADA)・欧州糖尿病学会(EASD)・米国内分泌学会・Diabetes UKが合同で発表したコンセンサスレポートは、それまで研究者ごとにばらばらだった「寛解」の定義を統一しました[1]。現在、国際的にはこの基準が標準として扱われています。
| 項目 | 基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 血糖の指標 | HbA1c 6.5%未満(48mmol/mol未満) | 血糖自己測定が中心の場合はeA1C 6.5%未満で代用可[1] |
| 薬の使用 | 血糖降下薬を一切使っていない | インスリン・経口薬・GLP-1受容体作動薬など全て中止した状態[1] |
| 維持期間 | 3ヶ月以上 | 薬をやめた直後の一時的な改善は含まない[1] |
| 判定のタイミング | 薬物療法中止から少なくとも3ヶ月後にHbA1cを測定 | それより早い測定では「寛解」と判定しない[1] |
| その後の経過観察 | 寛解と判定された後も少なくとも年1回のHbA1c測定と合併症検査を継続 | 寛解=治療終了ではない[1] |
出典:Riddle MC, Cefalu WT, Evans PH, et al. Consensus Report: Definition and Interpretation of Remission in Type 2 Diabetes. Diabetes Care. 2021;44(10):2438-2444[1]
このレポートはさらに、寛解を3段階に分けて整理しています。同学会コンセンサス報告は①「部分寛解」=薬なしで糖尿病の診断基準未満の血糖値を1年以上維持、②「完全寛解」=薬なしで正常範囲の血糖値を1年以上維持、③「長期寛解」=完全寛解が5年以上続いた状態、の3つに整理しています[1]。一般に報道や患者向け情報で単に「寛解」と呼ぶ場合は、①の基準(HbA1c 6.5%未満・薬なし・3ヶ月以上)を指していることが多く、本記事の数値もこの基準に基づいています。
受診の目安——すぐに受診・相談が必要なサイン
DiRECT試験——体重を減らすと糖尿病 寛解は本当に起こるのか、実際のデータ
「体重を減らせば寛解する」という主張の根拠として最も引用されるのが、英国で行われた臨床研究DiRECT試験(Diabetes Remission Clinical Trial)です[2]。この試験は、診断から6年以内の2型糖尿病患者を対象に、まず1日825〜853kcalの低カロリー食(総置換食)を12〜20週間続け、その後段階的に通常の食事に戻しながら体重を維持する支援プログラムを行ったグループと、通常の糖尿病診療を受けたグループを比較した研究デザイン(クラスターランダム化比較試験)です[2]。
出典:Lean MEJ, et al. Lancet. 2018;Lean MEJ, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019(DiRECT試験)[2]
この結果から分かる重要な点は2つあります。1つは、寛解率が「どれだけ体重を減らせたか」とほぼ比例していること——同研究では15kg以上減量できた人では約70%が2年後も寛解を維持していました[2]。もう1つは、時間の経過とともに寛解率が下がっていること(46%→36%)です。研究チームの報告では、体重が徐々に戻る人がいることや、β細胞機能の回復に限界があることを示しています[2]。なお、DiRECT試験の5年間追跡データでも、継続的な支援を受けた人の一部は長期にわたり寛解を維持できることが確認されていますが、多くの人で体重が徐々に戻り、寛解率も低下する傾向が報告されています[2]。
糖尿病 寛解を目指せる人・目指しにくい人——日本人データからみた特徴
DiRECT試験は英国人(欧米人)を対象にしたものです。体格や糖尿病の成り立ちが異なる日本人でも同じように寛解が起こるのか、という疑問に答えたのが新潟大学のグループが2023年に発表した研究です[3]。全国の糖尿病専門施設に通院する2型糖尿病患者48,320例を対象に、寛解の発生率と関連する因子を調べました。
結果、日本人2型糖尿病患者における寛解の年間発生率は10.5/1,000人年、つまり年間で見るとおよそ100人に1人という頻度でした[3]。DiRECT試験のような厳格な減量プログラムに参加した人ではなく、通常の外来診療を受けている人たちの集団を対象にした数字である点に注意が必要です。研究では、以下の7つの因子が寛解と関連していることが示されました:①男性であること、②診断時年齢40歳未満、③罹病期間1年未満、④HbA1c 7.0%未満、⑤BMI(体格指数)が高いこと、⑥1年間でBMIが5%以上低下したこと、⑦診断時点で薬物治療を受けていなかったこと[3]。特に、1年間でBMIが10%以上低下した群では、寛解の発生率が48.2/1,000人年(約20人に1人)まで上昇しており、新潟大学の研究チームは体重減少の幅が寛解の可能性を大きく左右すると報告しています[3]。
同じ研究では、寛解を達成した3,677人のうち、約3分の2にあたる2,490人が1年以内に再び糖尿病の基準に戻ってしまった(再発した)ことも報告されています[3]。罹病期間が長い人・体重減少の幅が小さかった人ほど再発しやすい傾向があり、寛解は「達成したら終わり」ではなく、その後の体重維持が何より重要であることを裏付けるデータです[3]。
この結果は、DiRECT試験の「大きく減量すれば寛解率は上がる」という結論と一致する一方、日本人の通常診療における寛解率は、厳格な減量プログラムを行った欧米の臨床試験の数字よりもかなり低いことも示しています。「体重を減らせば必ず寛解する」わけではなく、罹病期間の短さや体重減少の幅が大きく影響することを、数字として理解しておくことが重要です。
日本の臨床現場と国際コンセンサスの違い——何が一致し、何がズレているか
ここまで紹介した「HbA1c 6.5%未満・薬なし・3ヶ月以上」という基準は、2021年にADA・EASDなど欧米の学会が合同で示した国際コンセンサスです[1]。日本国内では、日本糖尿病学会(JDS)が発行する糖尿病治療ガイド[4]において、この国際基準に相当する「寛解」の概念そのものは臨床現場でも共有されていますが、学会として独自に異なる数値基準を新たに定めているわけではなく、この国際コンセンサスのHbA1c基準がそのまま参照される形で実務に使われているのが現状です[1]。つまり「数値の基準」自体は日米で対立していません。
| 項目 | 国際コンセンサス(ADA/EASD等 2021) | 日本の実診療でよく参照される研究 |
|---|---|---|
| 寛解のHbA1c基準 | 6.5%未満・薬なし・3ヶ月以上[1] | 同じ基準を採用(6.5%未満・薬なし・3ヶ月以上)[3] |
| 寛解率の実データ | DiRECT試験(英国):厳格な減量プログラム参加者で1年46%・2年36%[2] | 新潟大学の全国データ:通常診療下で年間10.5/1,000人(約100人に1人/年)[3] |
| 対象集団の違い | 研究参加に同意し、専門の減量プログラムを受けた選抜集団 | 全国の専門施設に通院する一般的な2型糖尿病患者集団[3] |
| 体重と寛解の関係 | 15kg以上の減量で約70%が2年後も寛解維持[2] | 1年でBMIが10%以上低下した群で寛解率48.2/1,000人年に上昇[3] |
数値の「定義」そのものは日米で同じ基準が使われている一方、実際に報告されている「寛解率」には大きな開きがあります。この違いを、日本のガイドラインが甘い・厳しいという話だと誤解しないことが重要です。DiRECT試験は「減量プログラムに参加し、大幅な体重減少を達成できた人」という選ばれた集団のデータであるのに対し、新潟大学の研究は「通常の外来通院を続けている、日本全国の一般的な患者集団」のデータだからです[2][3]。自分がどちらの集団に近い状況にあるかによって、参考にすべき数字は変わってきます。
寛解を達成した後、何が変わり、何が変わらないのか
寛解を達成すると、細小血管合併症(網膜症・腎症・神経障害)や大血管合併症(心筋梗塞・脳卒中)のリスクが、寛解しなかった人と比べて低くなることが複数の研究で示唆されています[1]。また、薬を使わなくなることで、薬の副作用や医療費、日々の服薬の負担からも解放されます。
一方で、変わらないことも重要です。ADA/EASDの学会コンセンサス報告は、寛解後も少なくとも年1回のHbA1c検査と、糖尿病網膜症・腎症などの合併症スクリーニングを継続するよう明確に推奨しています[1]。理由は単純で、寛解は「治癒」ではなく「一時的に病状が抑えられている状態」であり、DiRECT試験の研究データが示すように、体重が戻る、加齢によって膵臓の機能がさらに低下するなどの理由で、再び糖尿病の基準を超えることがあるためです[2]。DiRECT試験でも、2年間で寛解を維持できなかった人の多くは体重が部分的に戻っていました[2]。「寛解=糖尿病というレッテルが完全になくなること」ではなく、「今は薬なしで良好な状態を保てているが、体重管理を続ける必要がある状態」と理解するのが正確です。
薬物治療・減量手術は寛解に関係するのか
DiRECT試験は食事療法(総置換食)による減量プログラムを検証したものですが、寛解を目指すアプローチはそれだけではありません。近年注目されているのが、GLP-1受容体作動薬など体重減少効果を持つ薬剤の役割です。これらの薬剤は本来「血糖降下薬」学会コンセンサス報告の定義として承認されているため、これらを使用している間は、たとえHbA1cが正常範囲であっても、定義上は「寛解」とは呼びません[1]。あくまで「薬を使わない状態」が寛解の条件だからです。ただし、これらの薬剤を使って大きく体重を減らした後、薬を中止してもなお血糖値が正常範囲を維持できるかどうかについては、現在も研究が進められている段階です。
肥満症治療として行われる減量・代謝改善手術(胃バイパス手術やスリーブ状胃切除術など)についても、術後に薬なしで血糖値が正常化する例が報告されています。ただし、これは体格や適応基準が日本人と欧米人で異なり、日本国内で手術の対象となるのは主に高度肥満を伴う一部の患者に限られます。手術によって短期間で大きな体重減少が得られることから、寛解率も高くなる傾向が示されていますが、手術特有のリスク(栄養吸収の問題など)も伴うため、適応の判断は専門の医療機関で慎重に行う必要があります。
いずれの方法であっても、「薬や手術によって体重を減らすこと自体」と、「その結果として薬なしで血糖値が保たれる寛解の状態に至ること」は別の話である点を押さえておく必要があります。今回参照した資料の範囲では、どの減量方法(食事療法・薬物療法・手術)が長期的な寛解の維持において最も優れているかを直接比較したデータの記載は見当たりませんでした。
糖尿病 寛解判定までの実際の流れ——何ヶ月かけて、何を測るのか
ここまで紹介した基準を、実際の診療の流れに沿って整理します。まず、主治医と「寛解を目指す」方針を決めた場合、多くのケースでは食事療法・運動療法による体重減少がスタート地点になります。DiRECT試験のような総置換食を用いるプログラムもあれば、通常の食事療法で緩やかに体重を減らしていくアプローチもあり、どちらを選ぶかは体重・合併症の有無・生活状況によって主治医が判断します[2]。
体重減少とともに血糖値が改善してきた段階で、主治医は薬の量を少しずつ減らしていきます。この減薬は自己判断では行わず、必ず定期的な血糖測定(自己測定または通院時の採血)の結果を見ながら段階的に行われます[1]。ここで急に薬をゼロにすると、血糖値が急上昇するリスクがあるため、時間をかけた調整が必要です。
薬を完全に中止できた後、国際コンセンサスの基準に従えば、そこから少なくとも3ヶ月は経過を見る必要があります[1]。3ヶ月後のHbA1c検査で6.5%未満であれば、その時点で初めて「寛解」と判定されます。つまり、体重減少を始めてから寛解と判定されるまでには、減量にかかる期間(数ヶ月〜1年程度)+減薬にかかる期間+判定のための3ヶ月が必要で、トータルでは半年〜1年半程度かかることが一般的です。「今週から食事を変えたから来月には寛解」というような急いだ話ではないことを理解しておくと、途中で挫折しにくくなります。
寛解と判定された後も、通院の頻度が「治療中」の頃と全く同じというわけではありませんが、少なくとも年1回のHbA1c測定と、糖尿病網膜症・腎症などの合併症スクリーニングは継続する必要があります[1]。多くの医療機関では、寛解直後の1〜2年は3〜6ヶ月に1回程度の経過観察を行い、安定が確認できてから間隔を延ばしていく運用が取られています。
糖尿病 寛解を目指すために、今日から何をすればいいか
寛解を目指す場合も、目指さず薬でのコントロールを続ける場合も、まず主治医との相談が出発点です。以下は、寛解に関するエビデンスから導かれる、実際に行動に移せるステップです。
- 診断から日が浅いほど有利——迷ったら早めに相談する。罹病期間1年未満は寛解と関連する最も強い因子の一つです[3]。診断されたばかりの人は、生活習慣の見直しについて早い段階で主治医・管理栄養士に相談する価値があります。
- 体重減少の目標を主治医と具体的に決める。DiRECT試験では15kg以上、新潟大学の研究では1年でBMI10%以上の減少が、高い寛解率と関連していました[2][3]。無理な自己流ダイエットではなく、医師・管理栄養士と一緒に安全な減量計画を立てることが推奨されます。
- 薬の中止・減量は自己判断で絶対に行わない。寛解の判定はHbA1cだけでなく、薬をやめても安全かどうかの医学的判断が必要です[1]。
- 寛解を達成した後も定期受診をやめない。年1回以上のHbA1c測定と合併症検査は、寛解後も継続すべき項目です[1]。
- 体重が増え始めたら早めに相談する。体重の再増加は寛解が終わる最も一般的な理由です[2]。数値の変化を主治医と共有することで、早期に対応できます。
- 「寛解しなかった=失敗」ではないと理解しておく。体重を減らしても寛解に至らない場合でも、体重減少そのものが血圧・脂質・心血管リスクの改善につながることは、多くの研究で確認されています。寛解だけを唯一のゴールにすると、達成できなかったときに治療への意欲を失いかねません。血糖コントロールの改善や薬の減量など、寛解以外の目標も並行して評価することが大切です。
- 職場や家族の理解・協力を得る。総置換食や大幅な食事変更は、一人だけで続けるより、家族が食事内容を理解し協力してくれる方が挫折しにくいことが知られています。可能であれば、通院や食事療法の方針について家族にも共有しておくと、日々の継続がしやすくなります。
最後に強調しておきたいのは、寛解を目指すかどうかは、患者本人と主治医が話し合って決める選択肢の一つであるという点です。罹病期間が長い、合併症がすでに進んでいる、体重を大きく減らすことが体力的・生活面で難しいといった事情がある場合、無理に寛解を目指すことが最善とは限りません。国際コンセンサスレポート自体も、寛解を「全ての患者が目指すべき目標」としてではなく、「一部の患者にとって現実的な選択肢の一つ」として位置づけている点は、実際に主治医と相談する際に押さえておきたい前提です[1]。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
体重管理は「一度達成して終わり」ではなく、継続が前提の取り組みです。DiRECT試験の長期追跡データでも、支援プログラムが終了した後に体重が徐々に戻り、それに伴って血糖値が再び上がっていく例が報告されています[2]。逆に言えば、体重維持のための支援(栄養指導・運動指導・定期的なフォローアップ)を継続的に受けられる環境を整えることが、寛解を長く維持するための現実的な鍵だと言えます。
次の診察に持っていくメモ(印刷してお使いください)
- 糖尿病と診断されたのはいつか(年月)
- 現在使っている薬の名前・量(お薬手帳を持参)
- 直近1年間の体重の変化(増えた/減った/変わらない、具体的な数値)
- 直近のHbA1c・空腹時血糖値の数値(分かる範囲で)
- 医師に聞きたいこと:「私の場合、寛解を目指すことは現実的か」「目標体重・目標HbA1cはどのくらいか」「薬をどのタイミングで見直せるか」
寛解に関するデータの前提として押さえておきたい基本情報や、関連する状況について、あわせて以下の記事もご覧ください。
- 糖尿病について——基礎知識のまとめ
- 糖尿病と予備群の診断基準——日本の基準と国際基準の違い
- 日本の糖尿病患者向け間食完全ガイド
- 妊娠糖尿病の検査——費用から診断基準まで(妊娠糖尿病の寛解の考え方は本記事とは異なります)
- 2型糖尿病の診断・治療の全体像(本記事は「寛解」の定義とデータに絞って詳しく解説しています)
寛解を達成した後、何年間維持できるかを予測する個別の計算式(何年後に何%の確率で再発するか等)については、今回参照した資料には確立された基準の記載が見当たりませんでした。DiRECT試験の5年データなど長期追跡の研究は増えつつありますが、個人ごとの見通しは主治医による経過観察を通じて判断されるべき事項です。
よくある質問
糖尿病 寛解とは何ですか?糖尿病は治りますか?
寛解と「血糖値が下がった」はどう違いますか?
糖尿病と診断されてから何年も経っていますが、寛解は目指せませんか?
寛解したら、もう糖尿病外来に通わなくていいですか?
寛解した後、また糖尿病になることはありますか?
低カロリー食(1日800kcal程度)は自己流で試しても安全ですか?
1型糖尿病でも寛解はありますか?
妊娠糖尿病の「寛解」もこの基準と同じですか?
糖質制限や運動だけでも寛解できますか?低カロリー食でなければダメですか?
薬(インスリンや飲み薬)を使ったままでも寛解と呼べますか?
更新日:2026年7月19日(引用データの公表状況を確認済み)。本記事の内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご指摘いただけますようお願いいたします。
参考文献
- Riddle MC, Cefalu WT, Evans PH, et al. Consensus Report: Definition and Interpretation of Remission in Type 2 Diabetes(米国糖尿病学会ADA・欧州糖尿病学会EASDほか合同). Diabetes Care. 2021;44(10):2438-2444(PMC8929179). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8929179/
- Lean MEJ, Leslie WS, Barnes AC, et al. Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial. Lancet. 2018;391(10120):541-551(PMID: 29221645). https://europepmc.org/article/MED/29221645/Lean MEJ, et al. Durability of a primary care-led weight-management intervention for remission of type 2 diabetes: 2-year results of the DiRECT open-label, cluster-randomised trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019;7(5):344-355(PMID: 30852132). https://europepmc.org/article/MED/30852132
- Fujihara K, et al. Incidence and predictors of remission and relapse of type 2 diabetes mellitus in Japan: Analysis of a nationwide patient registry (JDDM73). Diabetes, Obesity and Metabolism. 2023;25(8):2227-2235(新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科学分野). 新潟大学公式発表:https://www.niigata-u.ac.jp/en/news/14485/
- 一般社団法人日本糖尿病学会(JDS). 糖尿病治療ガイド. https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=10
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