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糖尿病 26分で読める 7回

糖尿病患者必見!見逃せない運動法5選【2024年ガイドライン準拠】

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日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」は、2型糖尿病の血糖コントロールに有酸素運動とレジスタンス運動を推奨グレードA(合意率100%)としています。[1]目安は「有酸素運動は中強度で週に150分かそれ以上、週に3回以上」「レジスタンス運動は連続しない日程で週に2〜3回」[1]ですが、この記事で伝えたいのはその先です。多くの人が知らないまま損をしている、5つの「見逃せない運動法」を、公的資料の数字とともに整理します。

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①座りっぱなしを30分ごとに断つ ②レジスタンス運動を「本気で」やる基準 ③運動する時間帯の使い分け ④短時間で済む高強度インターバル ⑤合併症別の危険サイン——このどれか1つでも知らないと、せっかくの運動が半分の効果しか出ていない可能性があります。

要点まとめ

  • 座位を30分以上続けない——3分歩くだけで食後血糖・インスリン値の上昇が抑えられたという報告があります[1]
  • レジスタンス運動は「週2〜3日・5種類以上・8〜12回で限界がくる負荷」が目安[1]
  • 食後の運動は血糖上昇を抑え、インスリン・SU薬使用中は空腹時の運動で低血糖に注意[1]
  • 体力のある人は週75分の高強度インターバルでも同様の効果が得られる可能性がある[1]
  • 増殖網膜症・重い腎症・進行した神経障害があると一部の運動が禁忌になり得るため、事前のメディカルチェックが必須[1]

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(更新日:2026年7月18日)。記載内容に誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご指摘いただけますと幸いです。

糖尿病に運動療法が効く仕組み——なぜ「頑張った分だけ」ではないのか

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、運動療法とは運動を行うことで障害や疾患の治療を行うことを指すとされています[3]。運動が血糖値を下げるのは、根性論ではなく仕組みの話です。運動で使われた筋肉は、血液中のブドウ糖や遊離脂肪酸を優先的に取り込みます。この働きにより血糖コントロールの改善・インスリン抵抗性の改善・脂質代謝の改善が得られ、さらに血圧低下や心肺機能の改善までつながることがe-ヘルスネットで報告されています[2]。日本糖尿病学会のガイドラインでも、有酸素運動は肥満・内臓脂肪の蓄積・インスリン抵抗性・脂質異常症・高血圧症・慢性炎症を改善し、QOLやうつ状態の改善、認知機能障害の改善効果まで報告されているとしています[1]。同ガイドラインが引用する8週間以上の運動療法に関するメタ解析(平均3.4回/週、18週間)では、有意な体重減少は見られなかったものの、HbA1cは有意に平均0.66%改善したと報告されています[1]。つまり「体重が減らないから運動は意味がない」という判断は早計だということです。なお、この記事の内容は、食事療法や薬物療法まで扱う糖尿病 完全ガイドとあわせて読むと、治療全体における運動療法の位置づけがより明確になります。

ここで見落とされがちなのは、運動には「その場で消費するエネルギー」以外にも効果があるという点です。ガイドラインによれば、運動によるインスリン感受性の増加は、運動している間だけでなく運動後24〜48時間程度持続するとされています[1]。だからこそガイドラインは「運動をしない日が2日間以上続かないように」という頻度を重視しており[1]、週末にまとめて運動するより、こまめに続けるほうが理にかなっています。

図:JHO編集部が作成

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数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

運動量の「基準」はこの数年で変わった——なぜ150分が絶対ではなくなったのか

「週150分」という数字を聞いたことがある人は多いはずですが、この数字自体が固定されたものではなく、研究の蓄積とともに更新され続けているという事実は見逃されがちです。ガイドラインが引用する監視下の有酸素運動に関するメタ解析からは、週150分以上の運動群がそれ未満の群よりもHbA1cの改善効果が大きいことが示され、そこから「有酸素運動は週150分以上を目安とする」という基準が広まりました[1]。ところがその後、ガイドラインが引用する2022年発表の最新のメタ解析では、150分を下回る100分/週の運動でもHbA1c改善に十分有効な可能性があることが示されています[1]。日本糖尿病学会のガイドラインの記述も、これを踏まえて「150分を下回る30分から100分の運動でも血糖改善効果が時間依存的に望める可能性がある」という、より柔軟な表現に変わっています[1]。

これは「基準が甘くなった」という話ではありません。運動量と血糖改善効果の関係を精密に測る研究手法が進んだ結果、「150分に届かないなら意味がない」という誤解を正すデータが増えてきた、ということです。実際、ガイドラインによれば運動量とHbA1c改善効果の相関そのものは複数のメタ解析で確認されており[1]、「多いほど良い」という基本方針自体は変わっていません。ただし「150分に届かないから今日はやらない」という判断は、最新のエビデンスとは逆方向だということは知っておく価値があります。同様に、高強度インターバルトレーニングについても、ガイドラインの記述では当初は限られた対象向けの選択肢とされていましたが、その後の系統的レビューでHbA1cや最大酸素摂取量の改善が確認され[1]、現在では「体力のある人にとっての時短オプション」という位置づけに整理されつつあります。ガイドラインは数年おきに改訂されるため、「以前聞いた基準」を何年も更新せずに信じ続けることのほうが、実はリスクだと言えます。糖尿病そのものの診断基準についても同様の見直しが続いており、詳しくは糖尿病と予備群の診断基準【2025年最新】で解説しています。

見逃せない運動法① 「座りっぱなし」を30分ごとに断つ——NEATという発想

5つの中で最も見逃されているのが、これです。多くの人は「まとまった運動の時間」ばかり考えますが、ガイドラインが同じくらい重視しているのが座位行動(座ったり横になったりしている時間)を減らすことです。横断研究では、1日1時間座っている時間が増えると2型糖尿病の有病率が22%増加し、メタボリックシンドロームの有病率が39%増加すると報告されています[1]。長時間の座位は、身体活動量で調整してもなお2型糖尿病や死亡率、心血管疾患の増加と関連することが示されています[1]。

具体的にどうすればよいかという数字も出ています。2型糖尿病の成人を対象にした研究では、食後8時間の間に30分ごとに3分間の低強度のウォーキングや簡単なレジスタンス運動を挟んで長時間の座位を中断すると、食後の血糖値・インスリン値・C-ペプチド値・中性脂肪値が低下し、翌朝までの高血糖が改善したと報告されています[1]。さらに、1日約14時間の座っている時間を4日間、30分ごとに10分程度の立位や軽強度の歩行に置き換えて座位時間を約4.7時間/日減らすと、24時間の血糖値や高血糖の時間、インスリン感受性が改善したとする報告もあります[1]。

ガイドラインは、座位時間が30分を超えたら一度中断し、軽い運動を行うことを勧めています[1]。テレビを見ながら、パソコン作業の合間に、スマートフォンのタイマーで「30分ごとに3分だけ」立って歩く——これは「運動する時間がない」という人にこそ効果がある方法です。

有酸素運動は結局何をすればいいのか——ウォーキング・ジョギング・水泳の選び方

ガイドラインによれば、有酸素運動で最も多く行われているのは歩行(ウォーキング)で、導入しやすく、実際にメタ解析によって歩行運動だけでも血糖コントロールが改善することが示されています[1]。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、有酸素運動は「ウォーキング(速歩)・ジョギング・水泳などのできるだけ大きな筋を使用する運動」が基本とされ、目安として速歩(時速4.0km程度)や軽いレジスタンス運動などの3メッツ程度の運動強度が挙げられています[2]。日本糖尿病学会のガイドラインでは、運動の最初の5分と最後の5分は、それぞれウォームアップ・クールダウンとして徐々に負荷を上げ下げすることも推奨されています[1]。

強度の管理方法として、ガイドラインには脈拍数を使う場合の簡易的な目安が示されています。50歳未満では1分間に100〜120拍、50歳以上では100拍未満が目安とされ[1]、自覚的な強度としては、ガイドラインは導入時には「楽である」〜「やや楽である」程度で行い、慣れてきたら「ややきつい」程度まで強度を上げるかどうかを患者の状態に応じて検討するとしています[1]。最大心拍数は簡易的には「220−年齢」で推定できますが、ガイドラインは自律神経障害を伴う場合や高齢者、降圧薬(β遮断薬)を内服している場合は、脈拍数だけで運動強度を決めることが難しいとも注意を促しています[1]。

継続のための工夫として、ガイドラインは時間ではなく歩数を目標にする方法も紹介しています。時間を目標として指導したときよりも、目標歩数を提示して歩数計で自己管理したほうが運動療法のアドヒアランスや血糖低下効果が良好だったとガイドラインは報告しており[1]、ガイドラインが引用するメタ解析でも歩数計や活動量計の使用そのものが血糖改善に有意差をもたらすわけではないものの、活動量自体が増加することが示されています[1]。歩数計以外にも運動を促すゲームやアプリの活用例があり、ガイドラインによればWii Fitを使用した12週間のランダム化比較試験では、介入群で空腹時血糖値・HbA1c・体重・BMIの有意な改善が認められたとする報告もあります[1]。間食との付き合い方まで含めた食事全体の工夫は日本の糖尿病患者向け間食完全ガイドで解説しています。

見逃せない運動法② レジスタンス運動を「なんとなく」ではなく「本気で」やる基準

筋トレというと有酸素運動のオマケのように扱われがちですが、ガイドラインの記述はかなり具体的です。一般的には週に2〜3日、連続しない日程で、上半身・下半身の主要な筋肉群を満遍なく含んだ5種類以上のレジスタンス運動を行うことが勧められています[1]。負荷は「10〜15回繰り返すことができる程度の負荷、もしくはごく軽い負荷」から始め、その後徐々に負荷を増やして「8〜12回で限界に達する負荷」で1〜3セット行うことが目標とされています[1]。

見逃されがちなのは「軽い負荷を漫然と続けるより、しっかり重い負荷をかけたほうが効果が高い」という点です。ガイドラインは、低〜中強度の負荷より高強度の負荷(最高に扱える重量の75〜100%)でレジスタンス運動をしたほうが血糖コントロールに有効なことが示されているとしています[1]。ただしガイドラインも、高強度の負荷はケガのリスクが上がるため、正しいフォームで適切に負荷を増やせない場合は、フィットネスクラブや自治体のスポーツ施設など、専門の指導者がいる環境の利用が望ましいと注意しています[1]。

時間がない場合の優先順位も明確です。ガイドラインによれば、下半身の筋肉は全身の約7割を占めており、多くの種類の運動をする時間がない場合はスクワットなど下半身を中心に鍛える種目が勧められています[1]。動作中は、ガイドラインによれば筋肉が収縮する(重りを上げる)段階で息を吐き、筋肉が伸びる(重りを下げる)段階で息を吸って、呼吸を止めないことも重要なポイントとされています[1]。息を止めていきむ動作(バルサルバ手技)は血圧を急上昇させ、心血管疾患や網膜症を悪化させる可能性があるため、ガイドラインはレジスタンス運動を始める前にも禁忌がないかのメディカルチェックを推奨しています[1]。

具体的な種目のイメージとしては、「腹筋、ダンベル、腕立て伏せ、スクワット」などが挙げられています[2]。ガイドラインでも、マシーン・ダンベル・バーベル・バンド(ラバーやシリコン)・自重から、それぞれ個々の体力や環境に合ったものを利用することが勧められており[1]、器具がなくても自重トレーニングだけで5種類以上の条件を満たすことは十分可能です。たとえば、スクワット(下半身)・腕立て伏せまたは壁を使った腕立て伏せ(胸・腕)・お腹をへこませて行う体幹運動(腹筋)・かかと上げ(ふくらはぎ)・椅子に座った状態からの立ち上がり(下半身・臀部)という組み合わせは、道具なしで5種目の条件を満たします。ここでも下半身の種目を軸に据えることが、全身の約7割を占める下半身の筋肉量を踏まえた効率のよい配分になります[1]。国内のフィットネスクラブを利用したレジスタンス運動を含む運動プログラムでも、血糖コントロールの改善効果や糖尿病発症予防効果が報告されており[1]、自己流に不安がある場合は施設の指導者を頼ることも選択肢です。

見逃せない運動法③ 運動する「時間帯」で効果が変わる——食後運動とインスリン調整

同じ運動でも、いつ行うかで意味が変わってきます。ガイドラインによれば、有酸素運動の実施タイミングとして食後に行うと食後高血糖の改善が期待できるとされています[1]。一方でインスリンやSU薬などの薬物療法中の患者では、空腹時に運動を行うと低血糖を起こす可能性があるため注意が必要です[1]。

インスリン療法をしている場合、食後に運動をするときは運動前の追加インスリンを減量することが検討されます。また運動前の血糖値が低い場合は補食をすること、運動による血糖低下作用は48時間程度続くため基礎インスリンの減量も考慮することがガイドラインに記されています[1]。1型糖尿病でも同様の注意が必要で、運動強度によって血糖値の変化の仕方が個々の症例で異なるため、血糖自己測定やCGM(持続血糖測定)を用いた一例一例の調整が必要とされています[1]。

1型糖尿病では、運動誘発性の低血糖はレジスタンス運動のほうが少なく、有酸素運動とレジスタンス運動を同時に行う場合はレジスタンス運動を先に行ったほうが低血糖が少なくなったという報告もあります[1]。「筋トレを先に、有酸素は後に」という順番自体が、低血糖対策になり得るということです。

見逃せない運動法④ 高強度インターバルトレーニング(HIIT)という時短の選択肢

「週150分」と聞くと、忙しい人にはハードルが高く感じられます。ここでガイドラインが触れているのが高強度インターバルトレーニングです。若年者や心肺機能が高い患者では、高強度インターバルトレーニングによって、より少ない時間(週75分)でも週150分の中強度運動と同様の効果が得られるかもしれないとガイドラインは述べています[1]。ガイドラインが引用する2型糖尿病に対する高強度インターバルトレーニングの効果を検討した系統的レビューでは、11〜16週間の介入でHbA1c・空腹時インスリン・BMI・体脂肪率・最大酸素摂取量の有意な改善が認められています[1]。

ただし過信は禁物です。ガイドラインによれば、中強度の運動を行った群との比較では、体重・BMI・HbA1c・最大酸素摂取量の有意な改善が見られましたが、運動を行わない対照群との比較では最大酸素摂取量のみしか有意な改善が見られなかったとも報告されています[1]。ガイドラインは、高強度インターバルトレーニングは中強度の運動と比較して心肺機能向上により効果的である可能性があるものの、HbA1cに対する長期的な効果は結論が出ておらず、運動強度の高さから臨床的に適合する症例は多くないと結論づけています[1]。つまりHIITは「体力に自信があり、医師から高強度運動の許可が出ている人」向けの時短オプションであり、誰にでも第一選択で勧められる方法ではありません。

見逃せない運動法⑤ 合併症別「やっていい運動・危険な運動」の線引き

運動を始める前に必ず確認すべきサイン

  • 糖尿病網膜症がある——前増殖網膜症以上では、激しい有酸素運動・ジャンプ・体に衝撃の加わる活動・頭を心臓より下げる動作・息を止めていきむ動作(バルサルバ手技)が禁忌となる場合があります[1]
  • 足に潰瘍や開放創がある——体重をかける活動を制限する必要があります[1]
  • 普段からほとんど座って過ごしており、急に中強度以上の運動を始めようとしている——主治医によるスクリーニングが望ましいとされています[1]

糖尿病の合併症は複数あり、それぞれ運動との付き合い方が異なります。詳しい治療全体の話は糖尿病管理 完全ガイドにゆずり、ここでは運動との関わりに絞ります。網膜症は前述の通り、前増殖網膜症以上では激しい運動が禁忌になる場合があるため、ガイドラインは激しい運動療法を始める前には眼科医による網膜症のチェックを推奨しています[1]。

腎症については、ガイドラインによれば微量アルブミン尿がある患者では運動後に一時的に尿タンパク量が増える可能性がありますが、これは腎症の進行そのものには影響しないと考えられており、むしろある程度の身体活動が腎症の発症や進行を抑える可能性も示唆されています[1]。顕性腎症以上の患者でも、ガイドラインによれば運動は身体機能やQOLを改善し得るため基本的に身体活動を高める指導が勧められますが、症例ごとの検討が必要とされています[1]。

末梢神経障害がある患者では、ガイドラインによれば四肢の痛覚が低下することで運動による皮膚障害・感染・シャルコー関節破壊のリスクが高くなるため、重度の末梢神経障害がある人は事前の評価が必要です[1]。一方で、ガイドラインは適切な靴を使用していれば中程度の強度のウォーキングは足潰瘍や再潰瘍のリスク上昇にはつながらず、150分/週の適度な運動は糖尿病性ニューロパチーの転帰を改善するとも報告しています[1]。末梢神経障害を持つ人は、適切な靴を履き、病変を早期に見つけるために毎日足を観察することがガイドラインで推奨されています[1]。

自律神経障害がある患者では、ガイドラインによれば運動負荷に対する循環応答の低下・起立性低血圧・体温調節障害・視力障害・無自覚性低血糖などにより運動誘発性の有害事象が多いとされ、特に心血管系の自律神経障害は心血管死や無症候性心筋梗塞の独立した危険因子であるため、その程度により運動療法の可否が決まります[1]。骨・関節疾患がある場合は、ガイドラインでは整形外科と連携しながら負荷をかけ過ぎない適度な運動を行うことが勧められています[1]。

受診の目安——運動中に胸痛や息切れ、低血糖のサインが出たら

ガイドラインは、運動中の危険な兆候として労作時の胸痛や息切れ、運動耐容能の低下など、冠動脈疾患を示唆する非典型的な症状に注意する必要があると述べています[1]。糖尿病予備群の段階から運動習慣を意識することの重要性は前述の糖尿病と予備群の診断基準でも触れていますが、運動中に次のようなサインが出た場合は、その場で運動を中止し、症状が続く・悪化する場合は速やかに医療機関を受診してください。

受診の目安——運動を中止すべきサイン

  • 運動中・運動後に胸痛や強い息切れ、いつもと違う運動耐容能の低下を感じる[1]
  • 冷や汗・手のふるえ・強い空腹感・意識がぼんやりするなど、低血糖を疑う症状が出た(インスリンやSU薬を使用中の場合は特に注意)[1]
  • 自律神経障害があり、立ちくらみ(起立性低血圧)や体温調節の異常を感じる[1]
  • 足に新しい潰瘍・傷・腫れが見つかった[1]

表でわかる運動処方の目安——有酸素運動とレジスタンス運動

項目 有酸素運動 レジスタンス運動
頻度 週3回以上(休みが2日以上続かない)[1] 週2〜3日、連続しない日程[1]
1回の目安 週150分以上(150分未満でも30〜100分で時間依存的な効果の可能性)[1] 5種類以上、8〜12回で限界がくる負荷を1〜3セット[1]
強度の目安 導入時:最大心拍数の50〜60%・自覚的運動強度(RPE)11〜12「楽である程度」
慣れたら:最大心拍数の60〜70%・RPE12〜13「ややきつい程度」[1]
高強度(最高に扱える重量の75〜100%)が血糖改善に有効との報告あり[1]
脈拍の簡易目安 50歳未満:1分間に100〜120拍
50歳以上:1分間に100拍未満[1]
—
歩数の目安 1日+2,000歩を目標に、最終的に1日8,000歩程度[1] —

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」4章 運動療法[1]

5つの運動法を1週間にどう組み込むか——モデルスケジュール

ここまでの5つの運動法は、それぞれ単独で行うものではなく、組み合わせることで効果が高まります。有酸素運動単独、レジスタンス運動単独と、それぞれの組み合わせを比較した検討では、両者を組み合わせることでHbA1cの低下効果が高まることが示されているメタ解析があります[1]。以下は、ここまで紹介した内容をもとにした1週間の組み立て例です(実際の運動可否は主治医と相談してください)。

曜日 有酸素運動 レジスタンス運動 座位の中断(毎日共通)
月 速歩30分(食後) — 30分ごとに3分歩く
火 — 5種目・8〜12回×1〜3セット 同上
水 速歩30分(食後) — 同上
木 — 5種目・8〜12回×1〜3セット 同上
金 速歩30分(食後) — 同上
土 ジョギングまたは水泳30分 — 同上
日 軽い散歩または休養 — 同上

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」4章 運動療法の各推奨事項を組み合わせて編集部が作成[1]

このスケジュールで有酸素運動は週150分、レジスタンス運動は週2回・連続しない日程になっており、いずれもガイドラインの目安を満たしています[1]。体力に余裕がある人は、土曜日の運動を高強度インターバルトレーニングに置き換えることで、より短い時間で同程度の効果を狙う組み立ても可能です[1]。逆に運動になかなか時間を割けない週は、座位の中断だけは欠かさない、という優先順位のつけ方が現実的です。

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日本(日本糖尿病学会)と世界(WHO)の基準を並べてみる

「日本の基準は海外と違うのでは」と気にする方もいますが、有酸素運動の量については世界保健機関(WHO)の一般的な指針とも足並みが揃っています。WHOは成人に対し、少なくとも週150分の中強度の身体活動を行うことを世界共通の指針としており[4]、この数字自体は日本糖尿病学会のガイドラインが示す「週150分以上」ともほぼ重なります[1]。WHOはまた、筋力トレーニングはすべての人に恩恵があるとし、あわせてすべての年代で座っている時間を減らすことを呼びかけています[4]。

項目 日本(日本糖尿病学会 2024) 世界(WHO)
有酸素運動の量 週150分以上(150分未満でも30〜100分で時間依存的な効果の可能性)[1] 少なくとも週150分の中強度の身体活動[4]
レジスタンス運動・筋力トレーニング 連続しない日程で週2〜3回、5種類以上を目安に数値まで規定[1] 筋力トレーニングはすべての人に恩恵があると総論的に言及(頻度の数値までは踏み込まず)[4]
座位行動を減らすこと 座位30分で一度中断、食後8時間で30分ごとに3分歩く、といった介入試験の具体的数値まで踏み込んで記載[1] すべての年代で座っている時間を減らすべきと総論的に呼びかけ[4]
1型糖尿病への運動の位置づけ 血糖コントロール改善への効果は一定の見解が得られておらず、推奨グレードUと明記[1] 疾患別の個別基準は設けておらず、成人全般への指針として記載

週150分という有酸素運動の量そのものは、日本の糖尿病診療ガイドラインと世界共通のWHOの指針との間で足並みが揃っています[1][4]。一方で、レジスタンス運動の具体的な回数や座位行動の中断タイミングをどこまで数値化して示すかには温度差があり、日本糖尿病学会のガイドラインのほうが糖尿病患者向けに踏み込んだ数値を提示しています[1]。1型糖尿病の方は、運動の血糖改善効果に個人差が大きいというガイドラインの前提を踏まえ、自己測定やCGMでの確認を優先してください[1]。

運動を始める前のメディカルチェック——何を聞かれ、何を調べるのか

ガイドラインによれば、運動療法を開始する際には、糖尿病の代謝コントロール状態、網膜症・腎症・末梢神経障害・自律神経障害などの合併症、整形外科的疾患を含む身体状態を把握し、運動制限の必要性を検討することが推奨されています[1]。心血管疾患のスクリーニングについては、ガイドラインでは無症状で、行う運動が軽度〜中強度(速歩など日常生活活動の範囲内)であれば一般的には不要とされています[1]。一方で、普段より高強度の運動を行う場合、心血管疾患リスクの高い患者(高コレステロール血症・喫煙者・心血管疾患の家族歴がある人など)、現在ほとんど座って過ごしている患者が中強度以上の運動を開始する場合には、主治医によるスクリーニングと、必要に応じて運動負荷試験などが考慮されるとガイドラインは述べています[1]。

無症状の糖尿病患者の心血管疾患をスクリーニングする最良のプロトコールはまだ明確になっていませんが、ガイドラインによればアメリカ糖尿病学会(ADA)やアメリカスポーツ医学会(ACSM)は、運動処方前の全例にルーチンの検査を必ずしも推奨しないと結論づけています[1]。高リスクの患者には、低強度の運動を短時間で開始し、忍容性に従って徐々に強度と時間を増やしていくことがガイドラインで奨励されています[1]。運動療法の開始にあたっては、日々の血糖管理の全体像を扱う患者中心の糖尿病ケアプランニングもあわせて確認しておくと、主治医との相談がスムーズになります。

ヨガ・太極拳という選択肢——高齢者や運動が苦手な人向け

激しい有酸素運動やレジスタンス運動が難しい人には、ヨガや太極拳という選択肢もあります。ガイドラインによれば、ヨガは空腹時血糖値やHbA1cを改善させるだけでなく、筋力と心肺機能も向上させ、太極拳は血糖値とバランス能力を改善させるというメタ解析が報告されています[1]。高齢者においては、ガイドラインによればレジスタンス運動にバランス運動を併用することが転倒リスクをより軽減させる可能性も示唆されています[1]。高齢の糖尿病患者は非糖尿病者に比べて筋量の低下が生じやすいことがガイドラインで示唆されており、サルコペニア予防の観点からもレジスタンス運動は有効と考えられています[1]。体調を崩しやすい時期の注意点は糖尿病患者のインフルエンザ対策|シックデイと血糖管理の注意点でも解説しています。

ヨガ・太極拳の糖尿病への効果については、まだ限られた数の研究結果のみで出版バイアスも見受けられ、今後のさらなる検討が望まれると、ガイドライン自体が明記しています[1]。また、高強度インターバルトレーニングの長期的な血糖コントロール改善効果についても、ガイドラインは現在のところ結論は出ていないとしています[1]。「エビデンスが十分にある部分」と「まだ研究の途上にある部分」を分けて理解することが大切です。

運動を始める前、診察室で確認したいことリスト(印刷して持参できます)
・現在の網膜症の有無と進行度(前増殖網膜症以上かどうか)
・腎症の進行度(微量アルブミン尿・顕性腎症の有無)
・末梢神経障害・自律神経障害の有無と足の状態
・服用中の薬(インスリン・SU薬など、低血糖リスクのある薬の有無)
・普段の活動量(座っている時間が長いかどうか)
・始めたい運動の種類と強度について、主治医からの許可

よくある質問

糖尿病の運動療法は、結局いつ・どれくらいやればいいですか?
ガイドラインによれば、目安は有酸素運動が中強度で週150分以上・週3回以上(休みが2日以上続かないように)、レジスタンス運動が連続しない日程で週2〜3回です[1]。加えて、30分以上座り続けたら一度立って軽く体を動かすこともガイドラインで推奨されています[1]。
運動する時間がない場合、何を優先すべきですか?
まず座位を30分ごとに3分中断することを優先してください。ガイドラインによれば時間がなくても取り組みやすく、食後血糖・インスリン値の上昇を抑える効果が報告されています[1]。筋トレの種目を絞る場合は、ガイドラインが示す全身の約7割を占める下半身を鍛えるスクワットが優先候補です[1]。
運動はいつ行うのがいちばん効果的ですか?空腹時と食後、どちらがいいですか?
ガイドラインによれば、食後に運動すると食後高血糖の改善が期待できます[1]。ただしインスリンやSU薬を使用している場合、空腹時の運動は低血糖のリスクがあるためガイドラインも注意を促しています[1]。
網膜症があると言われました。もう運動はできないのでしょうか?
できないわけではありません。ただしガイドラインによれば、前増殖網膜症以上の場合、激しい有酸素運動・ジャンプ・体に衝撃の加わる活動・頭を心臓より下げる動作・息を止めていきむ動作は禁忌となる場合があるため、激しい運動を始める前に眼科医による網膜症のチェックが推奨されます[1]。軽度〜中強度の運動については主治医と相談してください。
足に潰瘍がある場合、歩く運動はしてはいけませんか?
ガイドラインによれば、開放性の潰瘍や足の怪我がある場合は、体重をかける活動を制限する必要があります[1]。一方で、潰瘍がなく適切な靴を使用している末梢神経障害の方であれば、中程度の強度のウォーキングは足潰瘍のリスクを上げないとガイドラインは述べています[1]。毎日足を観察する習慣も併せて持ってください[1]。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は誰でもやったほうがいいのですか?
いいえ。ガイドラインによれば、若年者や心肺機能が高い患者では週75分程度でも効果が期待できるとされていますが、運動強度の高さから臨床的に適合する症例は多くないともされています[1]。持病や合併症がある方は、まず主治医に相談してください。
レジスタンス運動はどのくらいの重さでやればいいですか?軽いダンベルでも意味はありますか?
軽い負荷から始めて構いません。ガイドラインでは、10〜15回繰り返せる負荷、またはごく軽い負荷から始め、徐々に負荷を増やして8〜12回で限界がくる負荷にしていくのが目安とされています[1]。高強度(最高に扱える重量の75〜100%)のほうが血糖改善効果が高い可能性があるとガイドラインは示していますが、フォームが崩れるとケガのリスクが上がるため、無理に重量を追わないことも大切です[1]。
1型糖尿病でも同じように運動していいですか?
ガイドラインによれば、1型糖尿病では血糖コントロールへの長期的な運動の効果について一定の見解が得られていません(推奨グレードU)[1]。ただし心血管疾患のリスク因子の改善やQOLの向上のために運動療法自体はガイドラインでも勧められています[1]。運動誘発性の低血糖に注意し、血糖自己測定やCGMを用いた個別調整が必要です[1]。
ヨガや太極拳だけでも効果はありますか?
ガイドラインによれば、ヨガは空腹時血糖値やHbA1cの改善・筋力と心肺機能の向上、太極拳は血糖値とバランス能力の改善が報告されているメタ解析があります[1]。ただしガイドライン自体が、研究数がまだ限られており出版バイアスの可能性も指摘しているため、単独よりも有酸素運動・レジスタンス運動と組み合わせる形が現実的です[1]。
歩数計やアプリを使ったほうが続けやすいですか?
ガイドラインによれば、時間を目標にするより、目標歩数を提示して歩数計で自己管理したほうが運動療法のアドヒアランスや血糖低下効果が良好だったという報告があります[1]。週150分の有酸素運動は約15,000歩の歩行に相当するとされ、1日あたり+2,000歩を目安に、最終的に1日8,000歩程度を目標にする方法がガイドラインで紹介されています[1]。
ウォーキングとジョギング、糖尿病にはどちらが向いていますか?
導入のしやすさから、ガイドラインによれば有酸素運動で最も多く行われているのは歩行(ウォーキング)で、歩行だけでも血糖コントロールが改善することがメタ解析で示されています[1]。関節への負担が心配な場合や体力に自信がない場合は、e-ヘルスネットの情報を参考に、まず速歩から始め、慣れてきたらジョギングや水泳を組み合わせるとよいでしょう[2]。
運動療法の基準は今後また変わりますか?昔と今で数字が違うのはなぜですか?
実際に変わっています。ガイドラインでは以前は週150分以上が基本とされていましたが、2022年の最新のメタ解析で150分を下回る100分/週の運動でも十分な効果が得られる可能性が示され、ガイドラインの表現もより柔軟になりました[1]。基準は研究の蓄積とともに更新されるため、数年前に聞いた情報をそのまま信じ続けるのではなく、最新のガイドラインを定期的に確認することが勧められます。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」4章 運動療法 2024 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf
  2. 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット)「糖尿病を改善するための運動」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-005.html
  3. 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット)「運動療法」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/kinesitherapy.html
  4. 世界保健機関(WHO)「Physical activity」Fact sheet 2024 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/physical-activity
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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