非糖質甘味料の選び方|健康管理に役立つ科学的根拠まとめ
この記事でわかること
目次
甘味料選びで最初に知っておくべきことは、日本糖尿病学会の報告によれば「非糖質甘味料(アスパルテーム・アセスルファムK・スクラロース・ステビアなど)は血糖値を直接は上げないが、糖尿病の血糖・体重管理そのものに役立つという十分な科学的根拠はまだない」という点である[6]。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は主要な甘味料の許容一日摂取量(ADI)を設定しており、厚生労働省の調査報告では日本人の実際の摂取量はいずれもADIの1%未満にとどまるとされている[1][8]。
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厚生労働省の資料によれば、フェニルケトン尿症のある人はアスパルテームを含む食品を避ける必要があり[5]、東京都保健医療局の報告では糖アルコール(エリスリトール・キシリトールなど)を一度に大量摂取するとお腹がゆるくなることがあるとされる[9]。2023年にはWHO(世界保健機関)が「体重管理・生活習慣病予防を目的に非糖質甘味料を使うべきではない」という条件付きの指針を発表し[2]、同年エリスリトールと心血管イベントの関連を示す研究論文がNature Medicine誌に掲載されるなど[10]、専門家の間でも見解が分かれている状態である。
要点まとめ(20秒で読めるポイント)
- 日本食品化学研究振興財団の資料によれば、非糖質甘味料はグラムあたりの甘さが砂糖の数百倍あり、ごく微量で同じ甘さを再現できるため使用量自体が極めて少ない[7]
- 2023年7月、食品添加物専門家会議(JECFA)はアスパルテームのADI(0〜40mg/kg体重/日)を維持する一方、国際がん研究機関(IARC)は「グループ2B(発がん性がある可能性)」に分類したと報告された[3][4]
- WHOは2023年、非糖質甘味料を体重管理や生活習慣病予防の目的で使うことを推奨しないという指針を出したが、既に糖尿病がある人はこの指針の対象外である[2]
- 日本糖尿病学会は非栄養性甘味料について「血糖コントロールに有益である可能性はあるが、使用することも使用しないことも推奨するにはいたらない」との立場をとっている[6]
- フェニルケトン尿症の人・妊娠糖尿病がある人・お子さんに甘味料を選ぶ際は、表示と主治医への相談が欠かせない — 詳しくは本文「気をつけるべきサイン」へ
〈編集方針〉JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。
目的別・甘味料早見表(このページ限定の整理表)
| あなたの状況 | 候補となる甘味料 | まず確認すること |
|---|---|---|
| 血糖値・体重が気になる(糖尿病はない) | ステビア・エリスリトール・アスパルテーム等 | 体重管理「目的」での長期使用はWHOが推奨せず[2]。まず食事全体の見直しを |
| 糖尿病があり血糖管理をしている | 非栄養性甘味料全般(種類は主治医・栄養士と相談) | 「有益とも不要とも言い切れない」段階[6]。自己判断で置き換えず相談を |
| フェニルケトン尿症がある | アスパルテーム・ネオテーム以外 | 「L-フェニルアラニン化合物を含む」表示を必ず確認[5] |
| お菓子・料理で使いたい | エリスリトール・キシリトール(加熱可) | 一度に大量摂取するとお腹がゆるくなることがある[9] |
| 心血管疾患のリスクがある | ー(エリスリトールは慎重に) | 2023年の研究で心血管イベントとの関連が報告された[10]。詳細は本文へ |
甘味料とは?種類と体の中での仕組み
「甘味料」とひとくくりに呼ばれるものには、実は性質の異なる複数のグループが含まれている。大きく分けると、①ショ糖(砂糖)やブドウ糖のような「糖類」、②ショ糖の代わりに甘さだけを与える「非糖質甘味料(人工甘味料・高甘味度甘味料)」、③糖アルコール(エリスリトール・キシリトールなど)の3グループである[7]。
非糖質甘味料の代表例は、サッカリン・ネオテーム・アセスルファムカリウム・アスパルテーム・スクラロース・アドバンテーム・ステビア(ステビオール配糖体)である[6]。これらはショ糖と比べて1gあたりの甘さが著しく強く、より低エネルギーであるため、ごく微量の使用で同じ甘さを再現できる[6]。たとえばスクラロースは砂糖の約600倍、アスパルテームやアセスルファムカリウムは約200倍の甘さを持つとされ、使用量そのものが極めて少なくなる[7]。
一方、糖アルコール(エリスリトール・キシリトール・マルチトールなど)は、化学的には糖に近い構造を持ちながら、小腸で吸収されにくい・される量が少ない性質があり、砂糖と同程度からやや低い甘さで、エネルギーは砂糖より低い[9]。「甘味料」と一口に言っても、体内での扱われ方はグループごとにまったく異なる。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
主要な甘味料のADI(許容一日摂取量)— JECFA・食品安全委員会の基準
甘味料の安全性を考えるうえでの基本の物差しが「ADI(許容一日摂取量)」である。ADIとは、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響が見られないと推定される量のことで、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が動物実験データ等をもとに設定し、日本では食品安全委員会が国内向けの評価を行っている[1]。
| 甘味料 | ADI(体重1kgあたり/日) | 備考 |
|---|---|---|
| アスパルテーム | 0〜40mg | 1981年設定、2023年JECFA第96回会合で「変更する理由はない」と再確認[3] |
| アセスルファムカリウム | 0〜15mg | 1990年JECFA第37回会合で設定[8] |
| ステビア抽出物 | 個別設定(体重換算で管理) | 厚労省のマーケットバスケット調査で対ADI比が最も高い甘味料(約0.25%)[8] |
| スクラロース | 個別設定(体重換算で管理) | 熱に強く加熱調理でも甘味が安定[7] |
出典:食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」[1]、厚生労働省「令和元年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査」[8]
厚生労働省が実施したマーケットバスケット方式の調査(実際に売られている食品を購入して分析する調査)では、日本人の甘味料の推定摂取量はいずれもADIを大きく下回っており、対ADI比が最も高かったステビア抽出物でも約0.25%、次いでアセスルファムカリウムが約0.20%だった[8]。アスパルテームについては、JECFAが2023年に公表した世界各国の推定摂取量でも、大人で1kgあたり5mg以下、多く摂る人でも12mg以下とADIより大幅に低く、食品安全委員会も日本国内の推定摂取量は対ADI比で0.3%程度と極めて低いとしている[1][3]。
甘味料を選ぶ前に必ず確認したいサイン・受診の目安
- 「L-フェニルアラニン化合物を含む」の表示があるか — 厚生労働省の食品衛生法に基づく資料によれば、フェニルケトン尿症の人は乳幼児期からフェニルアラニンの摂取量を管理する必要があり、アスパルテームを含む食品にはこの表示が義務づけられている(表示可能面積が30cm²以下でも省略不可)[5]
- 糖アルコールを含む食品を一度にたくさん食べたあと、お腹がゆるくなった — 東京都保健医療局の報告によれば、糖アルコール類は小腸で消化・吸収されにくいため、大量摂取すると大腸内の浸透圧が上がり、一時的な軟便・下痢につながることがある[9]。多くの製品に「摂り過ぎるとお腹がゆるくなることがあります」という注意表示がある
- 糖尿病の治療中で、甘味料入り食品への置き換えを自己判断で増やしている — 日本糖尿病学会の報告では、血糖・体重管理への長期的な有益性は「十分に確認されていない」段階であるとされ[6]、置き換えの前に主治医・管理栄養士へ相談することが望ましい
- 心筋梗塞・脳卒中など心血管疾患の既往やリスクがあり、エリスリトールを含む食品を日常的に摂っている — 2023年の研究で、心血管疾患のリスクが高い人において血中エリスリトール濃度と主要心血管イベントとの関連が報告されている(本文「エリスリトールをめぐる最新の議論」を参照)[10]
WHOの非糖質甘味料ガイドラインと日本の立場の違い
2023年5月15日、WHO(世界保健機関)は非糖質甘味料(NSS:Non-Sugar Sweeteners)の使用に関する新しい指針を公表した[2]。この指針は「体重をコントロールする目的、あるいは非感染性疾患(NCDs)のリスクを下げる目的で非糖質甘味料を使用しないこと」を条件付きで推奨するという内容である[2]。WHOの報告によれば、根拠となったのは、非糖質甘味料の長期使用が成人・小児の体脂肪減少に長期的な利益をもたらさないこと、そして長期使用によって2型糖尿病・心血管疾患・死亡リスクが増加する可能性を示す系統的レビューの結果である[2]。世界保健機関のこの指針では、この推奨の対象には、アセスルファムK・アスパルテーム・アドバンテーム・シクラメート・ネオテーム・サッカリン・スクラロース・ステビアおよびステビア関連成分を含む、合成・天然を問わないすべての非糖質甘味料が含まれるとされている[2]。
重要な例外がある。WHOのこの推奨は「既に糖尿病と診断されている人」を対象外としている[2]。つまりWHOの指針は「これから体重管理・予防目的で甘味料を新たに使い始めようとしている、糖尿病のない人」に向けたものであり、既に糖尿病治療の一環として甘味料を利用している人にそのまま当てはめる指針ではない。
| 項目 | WHO(2023年5月) | 日本糖尿病学会(診療ガイドライン2024) |
|---|---|---|
| 対象 | 糖尿病のない人の体重管理・疾病予防目的の使用 | 1型・2型糖尿病患者の血糖コントロール |
| 結論 | 「使用しないこと」を条件付きで推奨[2] | 「使用することも使用しないことも推奨するにはいたらない」[6] |
| 根拠 | 長期使用と体重減少の関連が乏しく、2型糖尿病・心血管疾患リスク増加の報告あり[2] | ショ糖・プラセボいずれと比較してもHbA1c・体重に有益な効果を示すメタ解析上の根拠が乏しい[6] |
両者に共通しているのは、「甘味料に置き換えれば血糖・体重管理が改善する」と言い切れるだけの根拠が、現時点では積み上がっていないという点である。日本糖尿病学会は、非栄養性甘味料の体重・血糖コントロールへの効果について「科学的根拠の集積が必要」であり、その長期的な効果および有害事象についても「科学的根拠の集積が必要」と明記している[6]。
糖尿病がある方・血糖管理をしている方への注意点
甘味料の使い方は、血糖コントロール全体の一部にすぎない。診断基準そのものについては「糖尿病と予備群の診断基準」の解説記事で、食事療法全体の考え方は「糖尿病管理 完全ガイド」で詳しく解説している。ここでは甘味料そのものに絞って見ていく。
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第3章食事療法では、「糖尿病の血糖コントロールのために非栄養性甘味料を使用すべきか?」という問いに対し、同ガイドラインは次のように述べている。「非栄養性甘味料をショ糖の代わりに使用することで摂取総エネルギーを減らすことができると考えられるが、1型および2型糖尿病の血糖コントロールに対する非栄養性甘味料の影響は十分に確認されていない」[6]。
同ガイドラインが引用する欧米人対象のメタ解析では、非栄養性甘味料はショ糖と比較してHbA1c・体重ともに有益な効果はなく、プラセボと比較してもHbA1c・体重に有益な効果は認められなかった[6]。個別のランダム化比較試験(RCT)でも、2型糖尿病において非栄養性甘味料は体重と独立してHbA1c・空腹時血糖に影響を及ぼさなかったと報告されている[6]。有害事象についてはプラセボ群と比較して有意な増加はなかった[6]。
一方で、糖尿病ではない人を対象とした研究では報告が分かれている。体重減少に有益とする報告がある一方、体重増加との関連が示唆された報告もあり、血糖値への影響についても「影響を与えなかった」という報告と「糖尿病発症リスクを増加させた」という報告の両方が存在する[6]。非栄養性甘味料が体重・血糖コントロールに有害であるとする報告については、残余交絡因子(測定しきれていない他の要因)の存在や逆の因果関係で説明できるという指摘もある[6]。一方、非栄養性甘味料はインスリン分泌やGLP-1分泌に直接的な影響を与えないものの、腸内細菌叢の変化を通じて耐糖能を悪化させるという報告もある[6]。
結論として、同ガイドラインは「非栄養甘味料を甘味料の代わりに使用することが糖尿病の管理に有益であるかは、血糖コントロールおよび体重コントロールを評価項目とした科学的根拠の集積が必要である」と明記しており[6]、糖尿病治療中の人が甘味料を選ぶ際は、この「まだ結論が出ていない」という前提を踏まえたうえで、主治医・管理栄養士と相談しながら進めることが望ましい。
エリスリトールをめぐる最新の議論 — 2023年の心血管リスク研究
糖アルコールの一種であるエリスリトールは、砂糖に近い甘さ(約0.7倍)を持ちながらカロリーがほぼゼロに近く、加熱調理にも使えるため、近年広く使われるようになった甘味料である[9]。しかし2023年2月、米国クリーブランド・クリニック・ラーナー研究所のWitkowski氏らのグループがNature Medicine誌に発表した研究が、この甘味料の安全性をめぐる議論を大きく動かした[10]。
この研究では、心臓合併症のリスクを高める基礎疾患(糖尿病など)がある人を対象に血中エリスリトール濃度を測定したところ、濃度が高い群は、3年間の主要心血管イベント(死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中)の発生確率が約2倍高いという関連が報告された[10]。さらに実験室内の検討では、エリスリトールが血小板の反応性を高め、血栓の形成を促進する可能性も示されている[10]。
ただし、この研究には限界もある。示されたのは「血中濃度が高い人ほど心血管イベントが多かった」という関連(相関)であり、エリスリトールの食事からの摂取量そのものを直接測定・コントロールした研究ではない。体は糖代謝の過程で微量のエリスリトールを自ら作り出すため、血中濃度の高さが食事由来か体内合成由来かを完全に切り分けることは難しい[10]。この点について研究グループ自身も追加の検証が必要だと述べている。現時点でこの研究が示しているのは「エリスリトールは絶対に安全とは言い切れない可能性がある」という警鐘であって、「日常的な摂取量で心筋梗塞や脳卒中が起こると確定した」という結論ではない。心血管疾患のリスクがある人は、この論争が続いていることを踏まえたうえで、エリスリトールを含む食品の摂取について主治医に相談することが賢明である。
アスパルテームの発がん性分類 — IARCとJECFAが同時に発表した2つの評価
2023年7月14日、WHOの下部組織である国際がん研究機関(IARC)とJECFAが、アスパルテームについての評価結果を同時に公表した[3][4]。この日、まったく異なる2つの評価軸から2つの結論が出された。
| 評価機関 | 評価の対象 | 結論 |
|---|---|---|
| IARC(国際がん研究機関) | 発がん性の「証拠の強さ」(ハザード評価) | グループ2B「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」に分類[4] |
| JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議) | 実際の摂取量でのリスク(リスク評価) | ADI(0〜40mg/kg体重/日)を変更する理由はないと確認[3] |
国際がん研究機関(IARC)の「グループ2B」という分類は、肝細胞がんについてヒトでの限定的な証拠、実験動物での限定的な証拠、発がんの機序についての限定的な証拠があることを示すものであり、この研究機関の分類そのものは「証拠の強さ」を表すもので、実際にがんになる確率の大きさを示すものではない[4]。一方でFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、1981年に設定したADIを変更する理由はないとし、「アスパルテーム摂取が発がんやそれ以外の影響を含め、ヒトに有害な影響を与えるという確たる証拠はなかった」と報告している[3]。同専門家会議が公表した世界各国の推定摂取量は、いずれもADIを下回っており、平均的な摂取量は大人で体重1kgあたり5mg以下だったと報告されている[3]。
「発がん性がある可能性がある」という分類と「現行の摂取量なら安全上の大きな懸念はない」という評価は、一見矛盾しているように見えるが、これは「証拠の質」と「実際の摂取量でのリスク」という別の物差しで測った結果であり、両方とも同時に成り立ちうる。食品安全委員会も、日本国内の推定摂取量は対ADI比で0.3%程度と極めて低いとの立場を示している[1]。
甘味料の種類別プロファイル — 何がどう違うのか
「甘味料」という一語でまとめて語られがちだが、実際にスーパーやコンビニの原材料表示で目にする名前はそれぞれ性質が異なる。よく使われる甘味料を個別に見ていく。
アスパルテーム:日本食品化学研究振興財団の品目概要によれば、L-アスパラギン酸とL-フェニルアラニンから作られる化合物で、砂糖の約200倍の甘さを持つと報告されている[7]。ガムや清涼飲料水、卓上甘味料に広く使われている。厚生労働省の食品衛生法上の表示義務に関する資料によれば、体内でフェニルアラニンに分解されるため、フェニルケトン尿症の人は摂取を避ける必要があり、「L-フェニルアラニン化合物を含む」旨の表示が義務づけられている[5]。熱に弱く、高温での長時間調理には向かない。
アセスルファムカリウム(アセスルファムK):同財団の資料では、砂糖の約200倍の甘さを持ち、熱・酸に安定しているため加熱調理や炭酸飲料にも使われると報告されている[7]。ADIは体重1kgあたり0〜15mgで、1990年のJECFA第37回会合で設定されたと厚生労働省の調査資料に記載されている[8]。他の甘味料と組み合わせて使われることが多く、単体よりも自然な甘さに近づけられるとされる。
スクラロース:同財団の資料によれば、砂糖を化学的に加工して作られ、砂糖の約600倍という非常に強い甘さを持つと報告されている[7]。熱に強く、焼き菓子や加熱調理を含む幅広い用途に使われている。体内でほとんど吸収されずそのまま排出されるとされる。
ステビア(ステビオール配糖体):同財団の資料では、南米原産のキク科植物ステビアの葉から抽出される天然由来の甘味料で、砂糖の200〜300倍の甘さを持つと報告されている[7]。日本は世界に先駆けてステビアを食品添加物として利用してきた国の一つである。厚生労働省のマーケットバスケット調査では、対ADI比が主要甘味料の中で最も高い(約0.25%)と報告されているが、これはADIそのものが低いというより、他の甘味料に比べ広く使われていることを反映した数字であり、この値自体が安全性への懸念を意味するものではない[8]。
羅漢果(ラカンカ)エキス:中国南部原産のウリ科植物の果実から抽出される天然甘味料で、モンクフルーツとも呼ばれる。主成分のモグロシドが砂糖の150〜250倍程度の甘さを持つとされる。日本での流通量はステビアや合成甘味料に比べるとまだ少ないが、天然甘味料として近年注目されている。
糖アルコール(エリスリトール・キシリトール・マルチトールなど):東京都保健医療局の食品安全FAQによれば、糖に似た化学構造を持ちながら、小腸で吸収されにくい・される量が少ない性質があるため、砂糖に近い甘さでありながらエネルギーは低く抑えられると説明されている[9]。エリスリトールは砂糖の約0.7倍、キシリトールは砂糖とほぼ同等の甘さを持つ。加熱調理に使える点が非糖質甘味料との大きな違いだが、同局の資料では一度に大量摂取するとお腹がゆるくなることがあるとされ[9]、Nature Medicine誌の研究ではエリスリトールについて心血管リスクとの関連が報告されている(前述)ため注意が必要である[10]。
食品表示を正しく読む — 「糖類ゼロ」「糖質オフ」の基準
甘味料入りの食品を選ぶとき、パッケージの表示を正しく読めるかどうかで判断の精度が変わる。消費者庁の食品表示基準では、栄養強調表示について具体的な数値基準が定められている。
| 表示 | 基準 | 注意点 |
|---|---|---|
| 糖類ゼロ | 食品100gまたは100mlあたり糖類0.5g未満 | 「糖類」がゼロなだけで、非糖質甘味料や糖アルコールで甘さが付けられていることが多い |
| 糖類オフ・糖類控えめ | 比較対象食品より糖類が100gあたり5g以上(飲料は100mlあたり2.5g以上)低減、かつ相対差25%以上 | 「何と比べて」低減されているかが基準の前提になる |
| 糖質オフ | 法律上の統一基準なし | メーカーごとに独自基準で表示しているため、糖類ゼロほどの厳密さは保証されない |
出典:消費者庁 食品表示基準(栄養成分表示・栄養強調表示に関する資料)
「糖類」と「糖質」は別の概念である点にも注意したい。「糖類」はブドウ糖・果糖・ショ糖など単糖類・二糖類を指す狭い分類で、「糖質」はそれに加えて多糖類(でんぷんなど)や糖アルコールも含む広い分類である。「糖類ゼロ」の食品でも、糖アルコールが使われていれば「糖質」はゼロではない、ということが起こりうる。原材料表示欄で「甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物を含む)」「甘味料(アセスルファムK、スクラロース)」のようにカッコ書きで具体的な物質名が併記されているので、気になる場合はここを確認するのが最も確実である。
目的別の選び方 — 妊娠中・子ども・料理・ダイエット
妊娠中・妊娠糖尿病がある場合:甘味料の使用について明確な指針を示す日本の公的資料は限られており、まずは主治医・管理栄養士に相談したうえで、指示された範囲内で使用することが基本となる。フェニルケトン尿症のスクリーニングを受けていない、あるいは家族歴がある場合は、アスパルテームを含む食品の「L-フェニルアラニン化合物を含む」表示を必ず確認する[5]。
お子さんに使う場合:JECFAのADIは体重1kgあたりで設定されているため、体重の軽い子どもは大人よりも同じグラム数の甘味料で対ADI比が高くなりやすい。特定の商品に偏った摂り方をせず、飲料・お菓子など複数の食品からの合計摂取量を意識することが望ましい。
料理・お菓子作りで使う場合:スクラロースやエリスリトールは熱に強く、加熱調理でも甘味が安定するため焼き菓子などに向いている[7]。エリスリトールは糖アルコール特有の「一度に大量摂取すると胃腸症状が出ることがある」という性質があるため、レシピの分量を大きく超えて使わないようにする[9]。市販の低糖質おやつの選び方は「糖尿病患者向け間食完全ガイド」、レシピの具体例は「糖尿病の食事・完全ガイドとレシピ集」も参考になる。
体重管理・ダイエット目的の場合:WHOは2023年の指針で、体重コントロールや生活習慣病の予防を「目的として」非糖質甘味料を使用することを推奨しないとしている[2]。甘味料への置き換えだけに頼るのではなく、食事全体の内容や量を見直すことが優先される。
砂糖大さじ1をどのくらいの甘味料で置き換えられるか — 甘さの換算目安
甘味料は種類によって甘さの強さがまったく違うため、「同じレシピで砂糖をそのまま同じ重さの甘味料に置き換える」ことができない場合が多い。各甘味料の甘さの目安(砂糖を1とした場合の相対値)をもとに、換算のおおよその考え方を示す。
| 甘味料 | 甘さの目安(砂糖=1) | 砂糖大さじ1(重さ約9g)分の甘さに必要な目安量 |
|---|---|---|
| 砂糖(ショ糖) | 1倍 | 大さじ1(約9g)=基準 |
| エリスリトール | 約0.7倍 | 大さじ1強(甘さは砂糖よりやや弱いため多めに) |
| キシリトール | 約1.0倍 | 大さじ1程度(砂糖とほぼ同量で置き換え可) |
| アスパルテーム | 約200倍[7] | 砂糖の1/200量、ごく少量(商品ごとの目安表示に従う) |
| アセスルファムK | 約200倍[7] | 砂糖の1/200量 |
| ステビア(配糖体) | 約200〜300倍[7] | 砂糖の1/200〜1/300量 |
| スクラロース | 約600倍[7] | 砂糖の1/600量 |
出典:公益財団法人日本食品化学研究振興財団 甘味料品目概要[7](数値は目安。実際の使用量は市販製品の甘味度・配合により異なるため、商品パッケージの表示に従うこと)
非糖質甘味料は数百倍の甘さを持つため、実際の市販製品では「かさ」を出すためデキストリンなどの増量剤と一緒に配合され、スプーンで計量しやすい形に調整されていることが多い。自己判断で「甘さの倍率」だけから逆算して手作りする場合は、必ず少量から試し、味を確認しながら調整することが望ましい。
・今使っている(使おうとしている)甘味料の名前:______________
・1日にどのくらいの量・頻度で摂っているか:______________
・糖尿病・フェニルケトン尿症・心血管疾患の診断歴の有無:______________
・現在服用中の薬・インスリンの種類:______________
・主治医に聞きたいこと:この甘味料を使い続けてよいか/血糖値・体重への影響をどう評価すればよいか/他に確認すべき検査はあるか
妊娠中の甘味料摂取量の上限や、乳幼児期からの長期摂取が成長にどう影響するかについては、今回参照した資料には明確な結論が見当たりませんでした。また、非栄養性甘味料が腸内細菌叢に与える影響と血糖・体重への影響の因果関係についても、専門家の間で見解が分かれており、現時点で確定的な結論はありません。糖尿病の食事療法全体については糖尿病についてのまとめページもあわせて参照してほしい。
更新日:2026年7月18日。ガイドライン改定や新しい研究により内容は変わることがあります。記載内容に誤りやわかりにくい点がありましたら、お問い合わせフォームからご連絡ください。
よくある質問
エリスリトールは心臓に悪いと聞きましたが本当ですか?
糖尿病がありますが甘味料入りの食品に置き換えてよいですか?
ステビアは「天然」だから合成甘味料より安全なのですか?
「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」は同じ意味ですか?
子どもに人工甘味料入りの飲み物を与えても大丈夫ですか?
甘味料入りのお菓子を一度にたくさん食べたらお腹がゆるくなりました。なぜですか?
WHOは非糖質甘味料を全面的に禁止しているのですか?
妊娠中や授乳中に人工甘味料を摂っても問題ありませんか?
複数の甘味料が入った食品を毎日食べていますが、ADIを超えていないか心配です
「天然甘味料」と「人工甘味料」で安全性に違いはありますか?
参考文献
- 食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」 https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/aspartame.html
- World Health Organization「WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control in newly released guideline」2023年5月15日 https://www.who.int/news/item/15-05-2023-who-advises-not-to-use-non-sugar-sweeteners-for-weight-control-in-newly-released-guideline
- 食品安全委員会「アスパルテーム」添加物評価書(JECFA第96回会合評価結果を含む) https://www.fsc.go.jp/hazard/a_hazard2_s1.data/Aspartame.pdf
- 国際がん研究機関(IARC)/WHO 発がん性分類に関する発表、2023年7月14日(農林水産省「IARC発がん性分類について」より) https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/iarc.html
- 厚生労働省「甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物)」表示義務に関する資料 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1208-18-3-4.pdf
- 一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」3章食事療法 3-8「糖尿病の血糖コントロールのために非栄養性甘味料を使用すべきか?」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/03_1.pdf
- 公益財団法人日本食品化学研究振興財団 甘味料の品目概要(アセスルファムカリウム等) https://www.ffcr.or.jp/
- 厚生労働省「令和元年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果について」 https://www.mhlw.go.jp/content/000920072.pdf
- 東京都保健医療局「ノンシュガーや低カロリーの菓子や飲料を食べたり飲んだりすると下痢をしてしまうのですが、何故でしょうか?」食品安全FAQ https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/anzen/food_faq/sonota/sonota11
- Witkowski M, et al. “The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk.” Nature Medicine, 2023. https://www.nature.com/articles/s41591-023-02223-9
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