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糖尿病患者必見|血糖を支える6栄養素

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厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」とe-ヘルスネットが糖尿病の血糖コントロールに関わるとして重要性を示す栄養素は、食物繊維・マグネシウム・クロム・ビタミンD・オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)・カリウムの6つです。[1][3]

「食事に気をつけているのに体がだるい」「薬と運動はまじめにやっているのに検査結果が安定しない」——カロリーや糖質の量だけに注目していると、見落としがちな栄養素があります。この記事では、それぞれの栄養素が血糖コントロールにどう関わるのか、1日にどれくらい摂ればよいのか、どんな食品で補えるのかを、日本の公的な基準と学会のガイドラインに基づいて具体的にまとめました。ただし、カリウムだけは腎機能が低下している方にとって「摂りすぎ注意」の栄養素になる場合があるため、その見分け方も詳しく解説します[7]。

  • 不足しやすいのは食物繊維・マグネシウム・ビタミンD・オメガ3脂肪酸。日本人の食物繊維摂取量の中央値は1日13.3gで、目標量(成人男性20g以上・女性18g以上)に届いていない人が多いとされています(厚生労働省)[1]。
  • 今日からできることは、主食を玄米・大麦入りご飯に置き換える、青魚を週2〜3回食べる、副菜に海藻・きのこ・豆類を1品加えることです(厚生労働省)[2]。パン派の方には糖尿病の方へ:おすすめのパン完全ガイドも参考になります。
  • 糖尿病腎症でCKD(慢性腎臓病)の病期が進んでいる方は、カリウムを多く含む食品を無条件に増やすと高カリウム血症のリスクが高まるため注意が必要です(厚生労働省)[7]。
  • クロムだけは日本人の食事摂取基準に明確な推奨量・目標量が設定されておらず、通常の食生活で極端な不足は起こりにくいとされています(厚生労働省)[1]。
  • 食事・運動を続けてもHbA1cや血糖値が改善しない、むくみや息切れがあるといったサインが出たら、自己判断で様子を見続けず糖尿病内科に相談してください。

今日の食事、6栄養素はいくつ意識できていますか?

  • □ 主食を玄米・大麦入り・雑穀に置き換えた(食物繊維)
  • □ 副菜に海藻・きのこ・豆類を1品加えた(食物繊維・マグネシウム)
  • □ 青魚(さば・いわし・さんま)を主菜にした(オメガ3脂肪酸・ビタミンD)
  • □ 間食を素焼きナッツや無糖ヨーグルトにした(マグネシウム)
  • □ 果物・野菜の量を腎機能の状態にあわせて確認した(カリウム)

3つ以上チェックできれば、6栄養素をバランスよく意識できている目安です。0〜1個の場合は、まず食物繊維とマグネシウムから見直すのがおすすめです。

糖尿病の食事で意識したい6つの栄養素と、それぞれの役割の関係図

糖尿病患者にとって栄養素が重要な理由

糖尿病の食事療法というと、多くの人が「カロリー制限」や「糖質制限」をまず思い浮かべます。実際、日本糖尿病学会が2024年に発行した「糖尿病診療ガイドライン2024」では、血糖コントロールのための食事療法として、従来の適正エネルギー量を守る食事に加えて、糖質制限食や低GI食、そして食物繊維の積極的な摂取が新たに取り上げられました[3]。つまり最新の指針では、「何を減らすか」だけでなく「何を積極的に摂るか」にも重点が置かれるようになっているのです。

その背景には、糖尿病治療がエネルギー収支だけの問題ではないという理解の広がりがあります。血糖値の上がり方は、同じ糖質量でも一緒に食べる食物繊維の量によって大きく変わりますし、マグネシウムなどのミネラルが不足すると、メタボリックシンドロームや2型糖尿病との関連が報告されています[4]。さらに糖尿病は血管や神経、腎臓に長期的な負担をかける病気であるため、血中の中性脂肪や血圧を下げる作用があるとされるオメガ3脂肪酸、骨や筋肉の維持に関わるビタミンDなど、合併症予防の観点からも重要な栄養素があります[1]。

e-ヘルスネットでは、糖尿病の食事について「主食、主菜、副菜を組み合わせると、炭水化物・たんぱく質・脂質をはじめとした栄養バランスが整いやすくなります」としたうえで、「食物繊維の多い食品を積極的に摂り、脂質や食塩を控えましょう」と明記しています(厚生労働省)[2]。特定の栄養素だけを極端に増やしたり、サプリメントに頼りきったりするのではなく、まずは日々の食事の組み立て方の中でこれらの栄養素を意識的に補っていくことが、遠回りに見えて実は近道になります[2]。

低GI食という考え方——食物繊維とも深く関わる

「糖尿病診療ガイドライン2024」で新たに取り上げられた低GI食も、この記事で紹介する栄養素と密接に関わっています[3]。GI(グリセミック・インデックス)とは、食品に含まれる糖質が血糖値をどれだけ早く上げるかを示す指標で、GI値の高い食品を摂ると糖質の吸収が早く血糖値が急激に上昇し、それを下げようと膵臓が大量のインスリンを分泌するという負担がかかります(日本糖尿病学会)[13]。一方、玄米・そば・もち麦・オートミール・全粒粉パンなどの低GI食品は消化吸収がゆるやかで、血糖値の上昇も穏やかになりインスリンの分泌量が安定しやすいとされています(日本糖尿病学会)[13]。低GI食品の多くは、そのまま食物繊維を豊富に含む食品と重なっており、「食物繊維を意識する」ことは、結果的に「低GI食を実践する」ことにもつながります。 血糖値対策として話題になりやすいレモン水についての解説は糖尿病の血糖値対策にレモン水は有効?科学的根拠と正しい飲み方にまとめています。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

①食物繊維:血糖値の急上昇を抑えるカギ

食物繊維は、糖尿病の食事療法において最も重要視される栄養素のひとつです。e-ヘルスネットによれば、食物繊維は「消化・吸収されないため、糖の吸収を緩やかにする働きがある」とされ、糖尿病の予防や血糖コントロールに関わる代表的な栄養素として位置づけられています(厚生労働省)[1]。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは成人1日25g以上の摂取が推奨されていますが、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、現状の摂取実態と生活習慣病予防のバランスを踏まえ、「成人の男性では1日20g以上、女性では1日18g以上という目標量が設定されました」とされています[1]。

ただしこの目標量は、日本人の現在の摂取量の中央値(1日13.3g)と理想値(25g)の中間をとった、いわば「現実的な最低ライン」であることに注意が必要です(厚生労働省)[1]。糖尿病がある方は、できればこの目標量よりさらに多く摂ることが望ましいとされ、日本糖尿病学会が編集する食品交換表の関連資料でも、1日20g以上の摂取が血糖値の急上昇抑制やコレステロール代謝の改善、便通の改善に役立つとされています[6]。

年齢区分 男性の目標量 女性の目標量
成人(18歳以上)全体の目安 1日20g以上 1日18g以上
18〜29歳 1日20g以上 1日18g以上
30〜64歳 1日22g以上 1日18g以上
65〜74歳 1日21g以上 1日18g以上

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書[1]

食物繊維を多く含む食品と、今日からできる置き換え

e-ヘルスネットは、糖尿病の食事において「玄米、大麦、野菜、豆類、きのこ、海藻などには食物繊維が多く含まれるため、積極的に摂りましょう」と具体的な食品名を挙げています[2]。特別な食材を新しく買い足す必要はなく、普段の主食・副菜を次のように置き換えるだけでも、食物繊維の摂取量は大きく変わります(厚生労働省)[2]。

置き換え前 置き換え後 ポイント
白米だけの白ご飯 玄米・大麦(もち麦など)を混ぜたご飯 精製度の低い穀物は食物繊維量が多く、血糖値の上昇も緩やかになりやすい[2]
野菜の少ないみそ汁 きのこ・海藻・根菜をたっぷり入れたみそ汁 汁物に混ぜると無理なく量が摂れる
肉・魚のみのおかず 豆・豆腐・納豆を1品追加 植物性たんぱく質と食物繊維を同時に補える[6]
食後に果物ジュース 皮ごと食べられる果物をそのまま 果汁にすると食物繊維が失われやすい

また、食べる順番を「野菜・きのこ・海藻などの副菜→汁物→主菜→主食」の順にする、いわゆる「ベジタブルファースト」も、食物繊維を先に摂ることで血糖値の急上昇を穏やかにする助けになります。ただし、これは食事全体のバランスを整えるための工夫のひとつであり、これだけで薬物療法の代わりになるものではありません。

1食あたりでイメージする、食物繊維の具体的な増やし方

「1日20g以上」と言われても、1食あたりにするとどれくらいなのか分かりにくいという声がよくあります。1日3食に均等に振り分けると、1食あたりおよそ6〜7g以上を目安にするとイメージしやすくなります(厚生労働省)[1]。たとえば朝食であれば、白ご飯を大麦入りご飯に変えるだけでプラス1〜2g、納豆を1パック加えるだけでプラス2g前後、さらにわかめの味噌汁を加えるとさらに上乗せできます。昼食が外食中心になりがちな場合は、丼ものやラーメン単品ではなく、サラダや小鉢のきんぴらごぼう、ひじきの煮物などを1品追加するだけでも十分な効果があります(厚生労働省)[2]。夕食では、汁物にきのこや根菜をたっぷり入れる、副菜に豆類や海藻を取り入れるといった工夫を積み重ねることで、無理なく目標量に近づけます(日本糖尿病学会)[6]。

食べるタイミング 具体的な工夫の例 期待できる効果
朝食 大麦・雑穀ご飯+納豆+わかめの味噌汁 1日の血糖の波を安定させる土台づくり[1]
昼食(外食・コンビニ) サラダ・小鉢(きんぴら、ひじき)を1品追加 丼もの・麺類単品による急な血糖上昇を緩和[13]
夕食 きのこ・根菜たっぷりの汁物+豆や海藻の副菜 1日トータルでの食物繊維目標達成をサポート[6]
間食 菓子パン・清涼飲料水を控え、素焼きナッツや無糖ヨーグルトへ 間食による血糖の乱高下を抑える

②マグネシウム:インスリンの働きを支えるミネラル

マグネシウムは、体内で300種類以上の酵素を活性化する働きを持つミネラルで、不足すると骨粗鬆症・不整脈・虚血性心疾患・高血圧・メタボリックシンドローム・2型糖尿病などとの関連が報告されています[4]。国立がん研究センターが行っている多目的コホート研究(JPHC研究)では、マグネシウム摂取量と糖尿病発症リスクとの関連が検討されましたが、男女ともに統計的に有意な関連はみられませんでした(男性では摂取量が多いグループでリスクがやや低い傾向がみられたものの、統計的有意には達していません)[8]。

米国国立医学図書館PubMed(PMC)に掲載されたメタ解析では、2型糖尿病患者へのマグネシウム経口補充について、血糖コントロール指標(空腹時血糖・HbA1c)の改善傾向がみられたものの、統計的に有意な差ではなかったと報告されています[9]。特に低マグネシウム血症のある患者ではやや大きい改善傾向が見られたものの、こちらも有意差には至らず、同メタ解析は「現時点のデータでは2型糖尿病患者への日常的なマグネシウム補充は推奨できない」と結論づけています[9]。

性別・年齢 1日の推奨量(目安)
男性 18〜29歳 340mg
男性 30〜49歳 380mg
男性 50〜64歳 370mg
男性 65〜74歳 350mg
男性 75歳以上 330mg
女性 18〜29歳 280mg
女性 30〜64歳 290mg
女性 65〜74歳 280mg
女性 75歳以上 270mg

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(マグネシウムには目標量ではなく推奨量が設定されています)[1]

マグネシウムは、大豆製品(豆腐・納豆・きな粉)、海藻(わかめ・ひじき)、ナッツ類(アーモンド・カシューナッツ)、玄米や全粒穀物などに多く含まれます[4]。前述の食物繊維を意識した食品選びをそのまま実践すると、自然にマグネシウムの摂取量も増えるという相乗効果があります(厚生労働省)[1]。

普段の食卓にマグネシウムを足す、具体的な一工夫

マグネシウムは特別な食材ではなく、和食の定番食材に多く含まれているのが特徴です(厚生労働省)[4]。たとえば、朝食に納豆を1パック追加する、間食を菓子類からアーモンドなど素焼きナッツ(塩分・油分の少ないもの)に変える、味噌汁の具にわかめや豆腐を選ぶ、主食の一部を玄米や雑穀に置き換える——といった小さな積み重ねが、マグネシウム摂取量の底上げにつながります(厚生労働省)[1]。加工食品や精製された白い食品(白米・白いパン・砂糖菓子)は、製造過程でマグネシウムなどのミネラルが失われやすいとされているため、なるべく精製度の低い食品を選ぶという視点も役立ちます(厚生労働省)[4]。

③クロム:注目はされているが、日本では明確な摂取基準がない栄養素

クロムは、インスリンの働きを助ける微量ミネラルとして海外で注目されてきた成分です(厚生労働省)[1]。しかし、正直にお伝えすると、日本人の食事摂取基準においてクロムの明確な推奨量・目標量は、現時点で科学的根拠が十分ではないという理由から設定が見送られています(厚生労働省)[1]。海外の一部の研究ではクロムのサプリメントがインスリン感受性を改善する可能性が報告されている一方、効果を否定する研究も存在し、国際的にも結論は共通していません。

「見解が分かれており、現時点で確定的な結論はありません」というのが、クロムに関する誠実な回答です。ひじき・あさり・海藻類・全粒穀物・ブロッコリーなどにクロムは含まれているため、通常の食生活を送っていれば極端な不足は起こりにくいと考えられますが、サプリメントで大量に摂取することについては、効果よりも安全性の観点から慎重な判断が必要です。糖尿病の治療中の方がクロムサプリメントの使用を検討する場合は、自己判断で始める前に必ず主治医に相談してください。

④ビタミンD:インスリンを出す膵臓のβ細胞をサポート

ビタミンDは骨の健康に関わる栄養素として知られていますが(国立がん研究センター)[10]、近年は糖代謝との関連でも注目されています(厚生労働省)[5]。厚生労働省eJIMによれば、ビタミンDは膵臓β細胞のビタミンD受容体を介してインスリン分泌を促進すると考えられていますが、実際の臨床試験では、投与量や試験の質にかかわらず血糖値・インスリン抵抗性・HbA1cへの有意な改善効果は確認されていません[5]。

国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC研究)でも、カルシウムとビタミンDの摂取量と糖尿病発症との関連が検討されており、特に女性でこれらの栄養素の摂取が少ない集団で糖尿病リスクがやや高い傾向が報告されています[10]。 カルシウムを多く含む牛乳の摂り方については糖尿病患者における血糖値管理のための牛乳摂取完全ガイドで解説しています。ただし、これは「摂取量が少ない人ほどリスクが高い傾向がある」という観察研究の結果であり、「ビタミンDを摂れば糖尿病が治る」ということを意味するものではない点には注意してください。あくまで食事全体のバランスを整える一要素として捉えることが大切です。

ビタミンDは鮭・さんま・いわしなどの魚類やきのこ類(特に日光に当てた干ししいたけ)に多く含まれるほか、日光を浴びることで皮膚でも合成されます(国立がん研究センター)[10]。屋外での軽い運動や散歩は、血糖コントロールにも良い影響があるとされる身体活動と(厚生労働省)[15]、ビタミンD合成の両方を兼ねられる習慣です。

ビタミンDを補う食習慣のポイント

ビタミンDは、他の栄養素に比べて食品からだけで目標量を満たすのがやや難しい栄養素とされ、日光を浴びることによる皮膚合成と食事の両方を組み合わせることが基本になります(国立がん研究センター)[10]。魚料理を主菜にする日を週に数回設ける、干ししいたけを煮物や汁物の具に使う、天気の良い日は日傘や日焼け止めに頼りきらず10〜15分程度は手や顔に日光を浴びる時間を作る、といった工夫が現実的です。ただし紫外線対策と日光浴のバランスは、皮膚がんなど別のリスクとの兼ね合いもあるため、極端な日光浴を推奨するものではなく、あくまで「無理のない範囲で」という位置づけです。

⑤オメガ3脂肪酸(EPA・DHA):中性脂肪と血管を守る油

糖尿病がある方は、血糖値だけでなく中性脂肪やコレステロールの管理も重要になります(日本糖尿病学会)[3]。オメガ3系脂肪酸には血液中の中性脂肪や血圧を下げるなどの作用があるとされています(厚生労働省)[1]。代表的なオメガ3脂肪酸はEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)で、いわし・さば・さんまなどの青魚に多く含まれ、魚以外ではくるみなどのナッツ類に含まれるα-リノレン酸もオメガ3系脂肪酸の一種です(厚生労働省)[1]。

日本人約5万人を5年間追跡した多目的コホート研究(JPHC研究)では、魚介類の摂取量と糖尿病発症リスクとの関連が調べられ、男性では魚介類(特に小・中型魚や脂肪含量の多い魚)の摂取が多い群ほど糖尿病発症リスクが低く、摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて糖尿病リスクが約3割低下していた一方、女性では明確な関連はみられなかったと報告されています[11]。

性別・年齢 1日の目安量
男性 18〜49歳 2.2g
男性 50歳以上 2.3g
女性 18〜49歳 1.6g
女性 50〜64歳 1.9g
女性 65〜74歳 2.0g
女性 75歳以上 1.8g

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書[1]

目安として、青魚の切り身を週に2〜3回、1回1切れ程度食べる習慣をつけると、目安量に近づきやすくなります[1]。焼き魚や煮魚だけでなく、缶詰(さば缶・いわし缶)を汁ごと活用する調理法も手軽でおすすめです[11]。ただし、脂質異常症の薬を服用中の方や、抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)を服用中の方がオメガ3脂肪酸のサプリメントを追加する場合は、出血リスクなどに関わるため、自己判断で始めず主治医に相談してください(厚生労働省)[7]。

⑥カリウム:血圧には良いが、腎機能次第では「摂りすぎ注意」になる栄養素

ここまでの5つの栄養素とは違い、カリウムには「積極的に摂ってよい人」と「摂りすぎに注意が必要な人」の2種類が存在します(厚生労働省)[7]。これは糖尿病腎症の食事情報でしばしば見落とされがちなポイントです(厚生労働省)[7]。

カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を助け、血圧を下げる方向に働くミネラルで、野菜・果物・海藻・いも類に豊富に含まれます(厚生労働省)[12]。 果物の糖質・血糖への影響については糖尿病でもリンゴは食べていい?血糖値への影響と安全な食べ方も参考にしてください。腎機能が正常であれば、カリウムを多く含む食品を積極的に摂ることは血圧管理の面で有益とされています(厚生労働省)[12]。しかし糖尿病が長期間続くと、糖尿病腎症(糖尿病性腎臓病)という合併症により腎機能が低下することがあり、腎機能が下がるとカリウムを尿として排出する力も弱まります(厚生労働省)[7]。 糖尿病性腎症そのものについては糖尿病性腎症のすべて:見逃してはいけない危険な兆候と予防・治療戦略で詳しく解説しています。その結果、血液中にカリウムが蓄積し「高カリウム血症」という、不整脈など命に関わる状態を招くことがあります(厚生労働省)[7]。

慢性腎臓病(CKD)の病期 カリウム摂取の目安 備考
G1〜G3a(腎機能が比較的保たれている段階) 基本的に制限なし 他のミネラルと同様、バランスよく摂取
G3b(腎機能が中等度に低下) 1日2,000mg以下を目安 野菜・果物の摂り方に工夫が必要になる場合がある[7]
G4〜G5(腎機能がさらに低下) 1日1,500mg以下を目安 主治医・管理栄養士による個別の食事指導が推奨される[7]

出典:慢性腎臓病(CKD)の食事療法に関する複数の医療機関資料をもとに作成。正式な数値は主治医の指示を優先してください(厚生労働省)[7]。

糖尿病腎症がある方が野菜や芋類のカリウムを減らしたい場合は、「小さく切って茹でこぼす(大量の水で茹でて、その茹で汁を捨てる)」という調理法が、栄養指導の現場でよく勧められています(厚生労働省)[7]。これはカリウムが水に溶け出す性質を利用した工夫です。ただし、この制限が必要かどうかは腎機能の検査値(eGFR、クレアチニンなど)によって個人差が大きいため、「糖尿病だから全員がカリウムを制限すべき」という単純な話ではありません。自己判断で極端に野菜を減らすと、今度は食物繊維やビタミンが不足してしまうため、必ず健診結果をもとに主治医・管理栄養士と相談しながら量を決めることが大切です(厚生労働省)[7]。

糖尿病腎症の病期が進むと、カリウム以外の基準も変わる

カリウム制限だけでなく、糖尿病腎症の病期が進むと、たんぱく質・食塩・エネルギーの基準そのものが見直されることも知っておくとよいでしょう(厚生労働省)[14]。一般に、腎症が進行するとたんぱく質摂取量を段階的に制限し、高血圧を合併している場合は食塩摂取量を管理する方向で指導されますが、具体的な数値の指示は病期・検査値・合併症の有無によって個人差が大きく、必ず現在の病期に応じた医師・管理栄養士の個別指導が必要です(厚生労働省)[14]。エネルギー量についても、病期が進むにつれて血糖コントロール優先からエネルギー確保を重視する方向へ考え方が変わる場合があるとされています(厚生労働省)[14]。このように、糖尿病腎症の食事基準は「進行すればするほど厳しくなる」という単純なものではなく、病期によって重視するポイントが変わります。

6つの栄養素の役割・目標量・注意点 早見表

ここまで紹介した6つの栄養素について、役割・目標量・多く含む食品・注意点を一覧にまとめました。忙しいときはこの表だけ見返しても、今日の食事で何を意識すればよいかが分かるようにしています。

栄養素 血糖・代謝への主な役割 1日の目安 多く含む食品 特に注意したい人
食物繊維 糖の吸収を緩やかにし、食後血糖の急上昇を抑える[1] 男性20g以上/女性18g以上[1] 玄米・大麦・野菜・豆類・きのこ・海藻[2] 摂取量が中央値13.3gにとどまる人が多い[1]
マグネシウム 不足すると2型糖尿病等との関連が報告されるミネラル[4] 男性330〜380mg/女性270〜290mg(年齢による)[1] 豆腐・納豆・海藻・ナッツ・玄米 腎機能低下時は過剰摂取に注意[7]
クロム インスリンの働きへの関与が研究段階 日本の公的な目標量は未設定 ひじき・あさり・海藻・全粒穀物 サプリメントの大量摂取は根拠が不十分
ビタミンD 膵臓β細胞に作用しインスリン分泌を促すとされるが臨床効果は未確認[5] 魚類・日光浴で補う(詳細は摂取基準を参照)[10] 鮭・さんま・いわし・きのこ類 過剰摂取(サプリの大量利用)にも注意
オメガ3脂肪酸 中性脂肪を下げ、血圧にも良い影響[1] 男性2.2〜2.3g/女性1.6〜2.0g(年齢による)[1] いわし・さば・さんま・くるみ 抗凝固薬服用中は主治医に相談
カリウム ナトリウム排出を助け血圧を下げる方向に働く[12] 腎機能正常なら制限なし。CKD進行時は1,500〜2,000mg以下[7] 野菜・果物・海藻・いも類 糖尿病腎症でCKDが進んだ人は要注意[7]

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」・e-ヘルスネット・国立がん研究センターJPHC研究・CKD食事療法資料を基にJHO編集部が作成[1][7]

年代・状況別の注意点

働き盛り世代(30〜50代)

外食やコンビニ食が多くなりがちな世代です。丼もの・麺類単品になりやすい昼食では、食物繊維が特に不足しやすいため、コンビニでもカット野菜やわかめスープ、もずく酢などを1品プラスするだけで意識的に食物繊維を補うことができます(厚生労働省)[2]。青魚を使ったお惣菜や、さば缶・いわし缶を常備しておくと、オメガ3脂肪酸を手軽に摂りやすくなります(厚生労働省)[1]。

高齢の方

高齢になると食が細くなり、必要なエネルギーやたんぱく質の確保自体が難しくなることがあります(日本糖尿病学会)[3]。食物繊維や低GI食を意識するあまり食事量そのものが減ってしまうと、低栄養や筋力低下(サルコペニア)のリスクが高まるため、極端な制限よりも「主食・主菜・副菜をバランスよく、しっかり食べたうえで工夫する」という考え方が優先されます(厚生労働省)[2]。また高齢の方は腎機能が加齢とともに低下しやすいため、カリウムを含む食品の摂り方については、定期的な血液検査の結果を踏まえて主治医に確認することが特に重要です(厚生労働省)[7]。

妊娠糖尿病・妊娠中に糖尿病がある方

妊娠中は胎児の発育のために必要な栄養素の量も変わり、自己判断でのサプリメント利用や極端な食事制限はリスクが高くなります。この記事で紹介した栄養素の目標量は、妊娠していない成人を対象とした一般的な基準であり、妊娠中・産後の場合は必要量が異なる場合があるため、必ず産婦人科医・糖尿病専門医・管理栄養士と連携した個別の食事指導を受けてください。

1週間の食事プラン例:6つの栄養素を無理なく組み込む

ここまで紹介した栄養素を、特別な食材を使わずに日常の食事へ組み込む一例を紹介します。あくまで一般的な例であり、実際のエネルギー量・たんぱく質量・カリウム制限の要否は、必ず主治医や管理栄養士の指導に基づいて調整してください(日本糖尿病学会)[3]。

曜日 主食の工夫 主菜・副菜の工夫 狙う栄養素
月曜日 もち麦入りご飯 さばの塩焼き+わかめときのこのみそ汁 食物繊維・オメガ3・マグネシウム
火曜日 玄米ご飯 豆腐と野菜の炒め物+納豆 食物繊維・マグネシウム
水曜日 雑穀ご飯 いわしの梅煮+海藻サラダ オメガ3・食物繊維
木曜日 大麦入りご飯 鮭の塩焼き+ひじきの煮物 ビタミンD・食物繊維
金曜日 玄米ご飯 さば缶を使った煮物+きのこの副菜 オメガ3・ビタミンD
土曜日 もち麦入りご飯 鶏肉と野菜の煮物+納豆 食物繊維・マグネシウム
日曜日 雑穀ご飯 さんまの塩焼き+海藻・きのこの副菜 オメガ3・食物繊維

週2〜3回は青魚を主菜にする、主食は白米だけにせず雑穀や大麦を混ぜる、副菜には毎食できるだけ野菜・きのこ・海藻のどれかを添える——この3つのルールだけでも、6つの栄養素のうち多くを自然にカバーできます(厚生労働省)[2]。「1日3食を規則正しく摂り、ゆっくり食べることも大切」というe-ヘルスネットの指摘のとおり(厚生労働省)[2]、栄養素の種類だけでなく、食べ方や食事のリズムを整えることも血糖コントロールには欠かせません。

やってはいけないこと:栄養素を「薬代わり」にしない

ここで強調しておきたいのは、この記事で紹介した栄養素はあくまで食事療法・生活習慣の一部であり、糖尿病治療薬の代わりになるものではないということです。「食物繊維をたくさん摂っているから薬を減らしても大丈夫」「マグネシウムのサプリメントを飲んでいるからインスリン注射を自己判断で減量する」といった対応は、糖尿病の急激な悪化や、低血糖・高血糖による意識障害などの重大なリスクにつながります。薬の量や種類の変更は、必ず主治医の指示のもとで行ってください。

また、特定の栄養素だけを極端に多く摂取するサプリメントの利用にも注意が必要です。マグネシウムやカリウムは、腎機能が低下している方が過剰に摂取すると、それぞれ高マグネシウム血症・高カリウム血症といった不整脈につながる状態を引き起こす可能性があります(厚生労働省)[7]。「体に良い栄養素だから多ければ多いほど良い」という考え方は、糖尿病があり腎機能に不安がある方には当てはまらない場合があることを覚えておいてください。

糖質制限についても、正しい理解が必要です。「糖尿病診療ガイドライン2024」では、6〜12か月以内の期間限定で緩やかな糖質制限を行うことについて有用性が示されていますが[3]、これは医師や管理栄養士の指導のもとで行うことが前提です。自己流で極端な糖質制限を長期間続けると、たんぱく質や脂質に偏った食事になりやすく、腎臓に負担がかかったり、必要な食物繊維やビタミン・ミネラルが不足したりする可能性があります。「糖質を減らせば減らすほど良い」ではなく、「自分の血糖コントロールの状態に合った、無理のない範囲で」という視点が大切です。

食事だけでなく運動も——栄養素の効果を高める組み合わせ

糖尿病の治療は、食事療法・運動療法・薬物療法の3本柱で成り立っています(厚生労働省)[15]。この記事で紹介した6つの栄養素も、運動と組み合わせることで効果が発揮されやすくなります(厚生労働省)[15]。e-ヘルスネットによれば、糖尿病の運動療法では、ウォーキングや水泳などできるだけ大きな筋肉を使う有酸素運動を週150分以上・週3回以上、中等度の強度で20分以上続けることが一般的に勧められ、さらに腹筋・スクワット・ダンベルなどのレジスタンス運動を連続しない日程で週2〜3回組み合わせることが推奨されています(厚生労働省)[15]。有酸素運動とレジスタンス運動を併用すると、どちらか一方だけを行うよりも糖尿病の改善効果が高いことも報告されています[15]。

前述のとおり、ビタミンDは日光を浴びることで皮膚でも合成されるため、屋外でのウォーキングは「運動療法」と「ビタミンD合成」を同時に行える一石二鳥の習慣です。また、食後に軽い散歩をすることは、食後血糖値の急上昇を抑える工夫としても知られており、低GI食品を選ぶ工夫と合わせて実践すると、より効果的に血糖の波を穏やかにできると考えられます(日本糖尿病学会)[13]。ただし、糖尿病網膜症や重度の心疾患、足の潰瘍など運動が制限される合併症がある場合は、運動の種類や強度について事前に主治医に確認してから始めてください(厚生労働省)[15]。

誤解されがちな3つのポイント

誤解①「食物繊維は多ければ多いほど良い」

食物繊維は目標量を上回っても大きな害はないとされていますが(厚生労働省)[1]、極端に摂取量を増やすと、お腹が張る・便が緩くなるなど消化器症状が出ることがあります。また食物繊維の多い食品ばかりに偏ると、たんぱく質や脂質など他の栄養素が不足しやすくなるため、「食物繊維だけを増やせばよい」のではなく、主食・主菜・副菜のバランスの中で増やすことが大切です(厚生労働省)[2]。

誤解②「サプリメントで摂れば食事の工夫は不要」

マグネシウムやビタミンD、オメガ3脂肪酸に関する研究の多くは、食品からの摂取を対象にしたものか、あるいは臨床試験で管理された用量のサプリメントを使ったものです[9][10]。市販のサプリメントを自己判断で複数組み合わせて摂取すると、過剰摂取のリスクや、糖尿病治療薬との相互作用が起こる可能性もあるため、まずは食事からの摂取を基本とし、サプリメントの追加を検討する場合は必ず主治医に相談してください(厚生労働省)[7]。

誤解③「野菜や果物は誰でもたくさん食べたほうが良い」

腎機能が保たれている段階では、野菜・果物を積極的に摂ることは血圧管理にも良い影響があるとされています(厚生労働省)[12]。しかし、糖尿病腎症が進行しCKDの病期がG3b以降になっている場合は、カリウムの摂取量そのものを見直す必要が出てきます(厚生労働省)[7]。「野菜・果物=無条件に体に良い」という一般的なイメージだけで判断せず、自分の腎機能の検査値を確認したうえで、必要な量を主治医・管理栄養士と一緒に決めることが安全です(厚生労働省)[7]。

ある一日の食事の見直し方(イメージ例)

実際にどんな流れで食事を見直していくのか、あくまで一般的なイメージとして、ある一日の会話例を紹介します。特定の患者・医療機関を描いたものではなく、栄養指導の場でよくあるやり取りを再構成した例です。

患者:「薬もちゃんと飲んでいるし、運動もしているのに、なかなかHbA1cが下がりません。何を変えればいいのか分かりません。」

管理栄養士:「食事の内容を一緒に振り返ってみましょう。まず、1日の食物繊維はどれくらい摂れていそうですか?たとえば朝はパンだけ、昼は麺類だけ、といった主食のみの食事になっていませんか?」

患者:「そういえば、朝は食パン1枚とコーヒーだけで、昼はコンビニのパスタが多いです。」

管理栄養士:「それだと食物繊維がかなり不足しやすい組み合わせです(厚生労働省)[1]。朝食に納豆やヨーグルトを1品足す、昼食にサラダや海藻スープを追加するだけでも、食後の血糖値の上がり方が変わってくる可能性があります(厚生労働省)[2]。それから、青魚はどれくらいの頻度で食べていますか?」

患者:「あまり魚は食べていません。肉料理が多いです。」

管理栄養士:「週に2〜3回、さばやいわしなどの青魚を主菜にする日を作ってみましょう。缶詰でも構いません(国立がん研究センター)[11]。次回の検査結果と合わせて、変化があるか一緒に見ていきましょう。」

このように、食事の見直しは「全部を一気に変える」のではなく、「今の食事のどこに栄養素が不足しているか」を具体的に洗い出し、無理なく続けられる小さな置き換えから始めるのが現実的です。実際の指導内容は、血糖値・体重・腎機能などの検査結果によって一人ひとり異なるため、この会話例はあくまで考え方の一例として参考にしてください。

受診の目安:どんなときに相談すべきか

食事の工夫を続けていても、次のようなサインがある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの糖尿病内科(内分泌代謝内科)に相談してください。

サイン 相談先の目安
食事・運動を続けてもHbA1cや血糖値が改善しない 糖尿病内科・内分泌代謝内科
健診で尿たんぱく・eGFR低下を指摘された 糖尿病内科(必要に応じて腎臓内科と連携)
むくみ、急な体重増加、息切れがある できるだけ早く受診(腎機能・心機能の悪化の可能性)
手足のしびれ、動悸、不整脈のような症状がある 速やかに受診(電解質異常や神経障害の可能性)
サプリメントを始めたい・薬を減らしたいと考えている 自己判断せず、必ず事前に主治医に相談

特にむくみや息切れ、動悸といった症状は、腎機能や心機能に関わる変化のサインである可能性があるため、「そのうち治るだろう」と様子を見すぎず、早めの受診が勧められます。

受診の際は、日頃の食事内容や体重の変化、血糖自己測定の記録などをメモしておくと、限られた診察時間の中でも医師や管理栄養士に状況が伝わりやすくなります。特に「栄養素を意識した食事の工夫を始めてから、体調や検査値にどのような変化があったか」を記録しておくと、今の食事の工夫が体に合っているかどうかを医療者と一緒に確認しやすくなります。

根拠の要点整理:この記事が引用した公的データ・研究のまとめ

ここまで紹介してきた内容の根拠を、出典ごとに短くまとめます。個々の詳細は各章と参考文献リストを参照してください。

  • 食物繊維の目標量は、成人男性1日20g以上・女性1日18g以上と定められています[1]。
  • 日本人の食物繊維摂取量の中央値は1日13.3gで、目標量に届いていない人が多いとされています(厚生労働省)[1]。
  • 糖尿病の食事では、玄米・大麦・野菜・豆類・きのこ・海藻など食物繊維の多い食品を積極的に摂ることが勧められています(厚生労働省)[2]。
  • 「糖尿病診療ガイドライン2024」では、低GI食・食物繊維の積極摂取・期間限定の緩やかな糖質制限が新たに取り上げられています[3]。
  • マグネシウムは300種類以上の酵素を活性化する働きを持ち、不足すると2型糖尿病を含む生活習慣病との関連が報告されています[4]。
  • オメガ3脂肪酸には、血液中の中性脂肪や血圧を下げる作用があるとされています[1]。
  • マグネシウム摂取が少ない集団で糖尿病リスクが高い傾向が、国内の多目的コホート研究で報告されています[8]。
  • マグネシウム経口補充と血糖コントロールに関するメタ解析では、改善傾向はみられたものの統計的有意差はなく、日常的な補充は推奨できないと結論づけられています[9]。
  • 特に女性でカルシウムとビタミンDの摂取が少ない集団で糖尿病リスクがやや高い傾向が報告されています[10]。
  • 魚介類の摂取量が多い男性ほど糖尿病発症リスクが低い傾向が、JPHC研究で報告されています[11]。
  • カリウムはナトリウムの排出を助け、血圧を下げる方向に働くとされています[12]。
  • 慢性腎臓病(CKD)の病期が進むと、カリウムの摂取量そのものを見直す必要が出てきます[7]。
  • 糖尿病腎症の病期が進むと、たんぱく質・食塩・エネルギーの摂取基準の考え方が見直されます(厚生労働省)[14]。
  • 糖尿病の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが推奨されています(厚生労働省)[15]。
  • 低GI食品は消化吸収がゆるやかで、食後血糖値の急上昇を抑えるとされています(日本糖尿病学会)[13]。

これらはいずれも、厚生労働省・国立がん研究センター・日本糖尿病学会など公的機関・学会の発表内容、またはそれらを引用した専門資料に基づいています[1][3]。個々の数値や基準は改訂される可能性があるため、実際の食事管理では必ず最新のガイドラインと主治医の指導を確認してください。

医療費の目安

糖尿病の食事療法そのものに追加費用はかかりませんが、栄養指導や定期的な血液検査、糖尿病腎症が進んだ場合の専門的な治療には医療費がかかります[14]。通常の外来診療は保険診療の範囲内で、自己負担はおおむね3割です。管理栄養士による栄養食事指導は、医師の指示のもとで保険診療として受けられる場合があり、外来栄養食事指導料は初回・2回目以降で点数が異なります。人工透析が必要になるほど腎機能が低下した場合は、更生医療や高額療養費制度など負担を軽減する公的制度の対象になることがあるため、心配な場合は医療機関の医療相談窓口や自治体の窓口に相談することをおすすめします。

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よくある質問(FAQ)

糖尿病の人は食物繊維を1日どれくらい摂ればいいですか?
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人男性で1日20g以上、女性で1日18g以上が目標量とされています(厚生労働省)[1]。ただし、これは日本人の摂取実態を踏まえた現実的な目標であり、日本人の食物繊維摂取量の中央値は1日13.3gにとどまっているとされています(厚生労働省)[1]。糖尿病がある方は、玄米・大麦・野菜・豆類・きのこ・海藻を積極的に取り入れ、この目標量を上回ることを意識するとよいでしょう(厚生労働省)[2]。
マグネシウムのサプリメントを飲めば血糖値は下がりますか?
2型糖尿病患者を対象としたメタ解析では、マグネシウム経口補充によって血糖コントロール指標に改善傾向はみられたものの、統計的に有意な差ではなく、現時点のデータでは日常的なマグネシウム補充は推奨できないと結論づけられています(PubMed)[9]。マグネシウムだけで血糖値を下げる効果を期待するのではなく、食事全体のバランスを整える一部として捉え、サプリメントの利用を検討する場合は主治医に相談してください。
糖尿病でカリウムの多い野菜や果物を食べてはいけませんか?
腎機能が保たれている段階では、カリウムを含む野菜・果物を制限する必要は基本的にありません。ただし糖尿病腎症が進み、慢性腎臓病(CKD)の病期がG3b以降になると、カリウムの摂取制限が必要になる場合があります(厚生労働省)[7]。制限が必要かどうかは血液検査の結果(eGFR、血清カリウム値など)によって個人差が大きいため、自己判断せず主治医・管理栄養士に確認してください。
クロムのサプリメントは糖尿病に効果がありますか?
クロムはインスリンの働きに関わる可能性が海外で研究されているミネラルですが、日本人の食事摂取基準では明確な推奨量・目標量が設定されておらず、効果についても研究によって結果が分かれており、現時点で確定的な結論はありません。通常の食生活(ひじき・海藻・全粒穀物など)で極端な不足は起こりにくいと考えられ、サプリメントでの大量摂取を検討する場合は自己判断せず主治医に相談することをおすすめします。
青魚を食べる習慣は本当に糖尿病リスクを下げますか?
日本人約5万人を追跡した多目的コホート研究(JPHC研究)では、男性において魚介類の摂取量が多い群ほど糖尿病発症リスクが低く、最も多い群は最も少ない群に比べて糖尿病リスクが約3割低かった一方、女性では明確な関連はみられなかったと報告されています[11]。これは観察研究の結果であり、魚を食べれば必ず糖尿病を防げるということを保証するものではありませんが、青魚を週に2〜3回取り入れる食習慣は、中性脂肪の管理も含めて有益と考えられます[1]。
ビタミンDのサプリメントで血糖値は改善しますか?
ビタミンDは膵臓β細胞でのインスリン分泌を促す働きがあると考えられていますが(厚生労働省)[5]、実際の臨床試験では投与量や試験の質にかかわらず血糖値・インスリン抵抗性・HbA1cへの有意な改善効果は確認されていません(厚生労働省)[5]。日光浴や魚・きのこ類からの摂取を基本としつつ、サプリメントの利用を考える場合は血中濃度の検査を含めて主治医に相談することをおすすめします。
食事の工夫だけで糖尿病の薬をやめられますか?
この記事で紹介した栄養素の工夫は食事療法の一部であり、糖尿病治療薬の代わりになるものではありません。自己判断で薬を減らしたり中止したりすると、血糖値の急激な悪化や重篤な合併症のリスクが高まります。薬の量や種類の変更は必ず主治医の指示のもとで行ってください。
低GI食と糖質制限はどちらを優先すればいいですか?
「糖尿病診療ガイドライン2024」では、低GI食・積極的な食物繊維摂取・期間限定の緩やかな糖質制限のいずれも選択肢として取り上げられており、どれか一つが万人にとっての正解というわけではありません[3]。年齢、腎機能、他の合併症の有無によって適した方法は変わるため、自己判断で一つの方法に偏るのではなく、主治医・管理栄養士と相談しながら自分に合った組み合わせを見つけることが大切です。
糖尿病腎症になったら、たんぱく質はどれくらい減らせばいいですか?
腎症の病期によって基準が異なり、一般に病期が進むほどたんぱく質摂取量を段階的に制限する方向で指導されます(厚生労働省)[14]。ただし具体的なg数の指示は病期・検査値・合併症によって個人差が大きいため、自己判断でたんぱく質を極端に減らさず、必ず現在の病期を確認したうえで医師・管理栄養士の指導を受けてください。
1食あたりで食物繊維をどれくらい意識すればいいですか?
1日の目標量(男性20g以上・女性18g以上)を3食に均等に割ると(厚生労働省)[1]、1食あたりおよそ6〜7g以上が目安になります。大麦入りご飯・納豆・わかめの味噌汁を組み合わせるなど、主食・主菜・副菜それぞれに少しずつ食物繊維の多い食品を足していくと、無理なく1食分の目安に近づけます(厚生労働省)[2]。
外食やコンビニ食が多くても、栄養素は補えますか?
難しく考えなくても、選び方の工夫で補えます。丼もの・麺類単品ではなく定食スタイルを選ぶ、サラダや海藻・きのこの小鉢を1品追加する、青魚のお惣菜やさば缶を活用する、といった工夫で、食物繊維・オメガ3脂肪酸・マグネシウムを意識的に補うことができます(厚生労働省)[2](厚生労働省)[1]。完璧を目指すより、続けられる範囲での工夫を積み重ねることが大切です。

クロムの糖尿病に対する明確な効果や、日本人における摂取基準の詳細については、今回参照した資料の範囲では確定的な数値や結論が見当たりませんでした。海外の一部研究でインスリン感受性への関与が示唆されている段階にとどまり、断定的な推奨量は記載していません。本記事で紹介した数値・基準は執筆時点の公的資料に基づくものであり、ガイドライン改定により変わることがあります。実際の食事管理・治療方針は、必ず主治医・管理栄養士の指導を優先してください。

この記事について

この記事は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書、e-ヘルスネット(厚生労働省)、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」、国立がん研究センター多目的コホート研究(JPHC研究)など、公的機関・学会が公表している一次資料をもとに編集部が作成しています。個々の症状・治療方針については、必ず医療機関で医師にご相談ください。この記事は特定の医師の監修を受けたものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新のガイドラインとは内容が異なる場合があります。

参考文献

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
  2. e-ヘルスネット「糖尿病の食事」(厚生労働省) kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-004.html
  3. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第3章 食事療法 jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/03_1.pdf
  4. e-ヘルスネット「マグネシウム」(厚生労働省) kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-034.html
  5. 厚生労働省eJIM「ビタミンD」(医療者向け) ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/17.html
  6. 日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表」 jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=3
  7. e-ヘルスネット「カリウム」(厚生労働省) kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-005.html
  8. 国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC研究)「マグネシウム摂取と糖尿病との関連について」 epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2119.html
  9. 米国国立医学図書館PubMed(PMC)「Efficacy of Magnesium Supplementation on Glycemic Control in Type 2 Diabetes Patients: A Meta-analysis」 pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7784187
  10. 国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC研究)「カルシウムとビタミンD摂取量と糖尿病との関連について」 epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/384.html
  11. 国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC研究)「魚介類摂取と糖尿病との関連について」 epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2798.html
  12. e-ヘルスネット「カリウム」(厚生労働省) kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-005.html
  13. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第3章 食事療法 jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/03_1.pdf
  14. e-ヘルスネット「糖尿病性腎症」(厚生労働省) kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-038.html
  15. e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動」(厚生労働省) kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-005.html

更新日:2026年7月18日。本記事の内容にお気づきの誤りやご指摘がありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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