糖尿病とヨーグルト|GI27で血糖対策に朗報
この記事でわかること
目次
- ヨーグルトはなぜ糖尿病の人に「朗報」とされるのか?3つの仕組み
- ヨーグルトの糖質・GI値は種類でどう変わる?比較表
- 科学的根拠はどこまで確かなのか?国内外の研究を整理
- ① 発症リスクとの関連(観察研究・メタ解析)
- ② 日本人データに基づく試算
- ③ 他の乳製品(牛乳・チーズ)と比べてどうか
- ④ 血糖値そのものへの直接的な影響(GI値)
- 日本と海外、考え方に大きな矛盾はないか
- 今日からできる食べ方:量・時間帯・組み合わせ
- 量の目安
- 食べる時間帯
- 組み合わせ方の工夫
- 選び方:ラベルの読み方
- 知っておきたい注意点
- 妊娠糖尿病・高齢者・持病がある場合の考え方
- 妊娠糖尿病の場合
- 高齢者の場合
- 慢性腎臓病(CKD)を合併している場合
- 受診の目安:どんなときに医師・管理栄養士に相談すべきか
- 症状・状況別の対応早見表
- よくある質問(FAQ)
- あわせて読みたい
- 参考文献
結論から言うと
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
ヨーグルト(無糖・プレーンタイプ)は、糖質が多い食品の中でも血糖値を急激に上げにくい「低GI食品」の代表格で、シドニー大学のGIデータベースに登録されたプレーンヨーグルト43品目の平均GI値は27(低GI食品の目安とされる55を大きく下回る水準)と報告されています[7]。米国食品医薬品局(FDA)は2024年3月、「週2カップ(3食分)以上のヨーグルトを定期的に食べることは、限定的な科学的根拠ではあるものの2型糖尿病のリスク低減と関連する可能性がある」とする適格健康強調表示(Qualified Health Claim)を初めて認めています[4]。ただし「食べれば血糖値が下がる薬」ではなく、あくまで血糖コントロールを助ける食品の一つという位置づけです。加糖タイプは逆効果になりうるため、「無糖かどうか」の見極めが最初の分かれ目になります。
要点まとめ
🔧 あなたのヨーグルト習慣セルフチェック
| 今の食べ方 | 目安となる判定 |
|---|---|
| 無糖・プレーンタイプを週2カップ(3食分・約280〜300g)以上、習慣的に食べている | FDAの適格健康強調表示が対象とする摂取量の目安に近い[4] |
| 無糖タイプを食べているが週3食分未満 | 量として不足はしていないが、継続すること自体に価値がある摂取習慣 |
| 加糖・フレーバー付きタイプが中心 | 糖質量の増加分が血糖に影響しやすく、栄養成分表示での糖質確認が必要 |
| ほとんど食べていない | 無理に増やす必要はないが、間食を無糖ヨーグルトに置き換える工夫から始められる |
出典:FDA適格健康強調表示の摂取量目安[4]/日本糖尿病学会「食品交換表」の乳製品区分[1]を踏まえてJHO編集部が作成した簡易チェック表(診断ではありません)
ヨーグルトはなぜ糖尿病の人に「朗報」とされるのか?3つの仕組み
糖尿病の食事療法でヨーグルトが注目される理由は、大きく3つの仕組みに分けられます。1つ目は血糖値の上がり方そのものが穏やかなこと、2つ目はたんぱく質と脂質を含むことで他の食品と一緒に食べたときの血糖上昇を抑えやすいこと、3つ目は乳酸菌などの発酵による腸内環境への働きです。
血糖値の上がりやすさを示す指標に「GI(グリセミック・インデックス)値」があります。これはブドウ糖を摂取したときの血糖上昇を100として、同じ量の糖質を含む食品を食べたときの血糖上昇の割合を表したもので、一般に70以上を高GI、56〜69を中GI、55以下を低GI食品と分類します。米国の栄養学専門誌J Nutrに掲載された研究によれば、無糖・プレーンヨーグルトは糖質を多く含む食品でありながらこの分類で明確に低GI食品に入ります[7]。同研究では、GIデータベースに登録されたヨーグルト93品目全体の平均GIが34(標準偏差13)で、そのうち92%が低GI食品(GI55以下)に分類されると報告されています。無糖・プレーンタイプに限ると平均GIはさらに低い27(標準偏差11)で、J Nutr誌の同研究は、この低さは砂糖の有無だけでなく糖質に対してたんぱく質の割合が高いことによって説明されると報告しています[7]。
出典:Yogurt Is a Low-Glycemic Index Food(J Nutr, 2017)[7]/JHO編集部が作図(模式図であり、実測データそのものではありません)
2つ目の仕組みは、たんぱく質・脂質による「血糖上昇のブレーキ」です。糖質だけを単独で摂取すると血糖値が急上昇しやすいのに対し、たんぱく質や脂質を同時に摂ると胃から腸への食べ物の移動(胃排出)がゆるやかになり、糖の吸収スピードも緩やかになります。文部科学省の食品成分データベースによると、全脂無糖ヨーグルト100gあたりのエネルギーは56kcal、たんぱく質3.6g、脂質3.0g、炭水化物4.9g、カルシウム120mgで、同じ100gの中に糖質・たんぱく質・脂質・カルシウムがバランスよく含まれていることが同データベースからわかります[8]。
3つ目は、乳酸菌をはじめとする発酵に由来する働きです。乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出す細菌の総称で、ヨーグルトなどの発酵食品や腸内に生息し、整腸作用が期待される代表的な菌として一般に知られています。ただし、腸内環境と血糖コントロールの直接的な関係を検証した研究について、今回参照した資料には十分なデータが見当たりませんでした。乳酸菌そのものが直接血糖値を下げる薬のように働くという意味ではない点に注意が必要です。あくまで「低GIで栄養バランスが良い発酵食品」という食品としての強みが、血糖コントロールを助ける土台になっていると理解してください。
なぜ「たんぱく質・脂質を一緒に摂ると血糖上昇が緩やかになるのか」をもう少し詳しく見ておきます。糖質だけを単独で摂取すると、糖はすぐに胃から小腸へ送られ、短時間で吸収されて血液中に入るため、血糖値が急激に上がります。一方、たんぱく質や脂質を同時に摂取すると、胃の内容物が小腸へ送られる速度(胃排出速度)がゆるやかになり、糖の吸収もそれに応じて時間をかけて進むため、同じ量の糖質でも血糖値の上がり方が穏やかになると考えられています。ヨーグルトはこの「糖質+たんぱく質+脂質」という組み合わせを1つの食品の中に持っているため、単独でも低GIになりやすく、他の食品と組み合わせたときにも全体の血糖上昇を緩和する働きが期待できます。ただし、これは食品の物理的な性質による効果であり、薬物療法のように数値化された効果量が保証されているわけではない点は理解しておく必要があります。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
ヨーグルトの糖質・GI値は種類でどう変わる?比較表
同じ「ヨーグルト」でも、無糖か加糖か、脂肪の有無か、ドリンクタイプかによって糖質量やGI値は大きく変わります。糖尿病の食事療法で選ぶべきなのは、基本的に「無糖・プレーン」タイプです。次の表は、代表的なタイプの特徴を整理したものです。
| タイプ | 糖質・GIの傾向 | 糖尿病の食事療法での位置づけ |
|---|---|---|
| 無糖・プレーンヨーグルト(全脂または低脂肪) | 100gあたり炭水化物約4.9g[8]、平均GI約27[7] | 基本の選択肢。日本糖尿病学会の食品交換表では乳製品として表4に分類され、1日の目安量を「単位」で管理する[1] |
| 加糖・フレーバー付きヨーグルト | 製品によって糖質が無糖の2〜4倍以上になることも珍しくない | 糖質量の増加分がそのまま血糖上昇につながりやすく、選ぶ場合は栄養成分表示で糖質量の確認が必須 |
| ギリシャヨーグルト(水切りタイプ) | 水切りにより同じ量でもたんぱく質濃度が高く、糖質はプレーンと同程度かやや少なめの製品が多い | たんぱく質量を確保したいときの選択肢になりうるが、製品ごとの表示確認が必要 |
| 乳酸菌飲料(加糖タイプ) | 飲みやすくするため糖分が添加されている製品が多く、液状で摂取スピードも速い | 血糖管理を優先する場合は無糖ヨーグルトの方が適していることが多い |
出典:文部科学省 食品成分データベース[8]/Yogurt Is a Low-Glycemic Index Food(J Nutr, 2017)[7]/日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」[1]。加糖・ギリシャ・乳酸菌飲料の具体的な数値は製品差が大きいため、目安として記載しています。
ポイントは、「ヨーグルト=糖尿病に良い」とひとくくりにしないことです。同じ売り場に並んでいても、無糖のプレーンヨーグルトと、果肉入り・チョコレートソース入りなどの加糖ヨーグルトでは、血糖値への影響がまったく異なります。購入時は必ず栄養成分表示を確認し、「無糖」「プレーン」の表記があっても念のため炭水化物(糖質)量をチェックする習慣をつけることをおすすめします。
科学的根拠はどこまで確かなのか?国内外の研究を整理
「ヨーグルトが糖尿病に良い」という話には、レベルの異なる複数の根拠が混在しています。ここでは、確からしさの異なる情報を分けて整理します。
① 発症リスクとの関連(観察研究・メタ解析)
学術誌PLoS Oneに掲載された乳製品摂取と2型糖尿病リスクに関する用量反応メタ解析(Gao D, et al. 2013)では、ヨーグルト摂取量が多いグループは少ないグループに比べて2型糖尿病の発症リスクが統計学的に有意に低く、相対リスクは0.85(95%信頼区間0.75〜0.97)と報告されています[5]。さらに1日あたりの摂取量を増やすほどリスクが下がる用量反応関係の分析でも、1日50gの摂取増加あたり相対リスク0.91(95%信頼区間0.82〜1.00)という結果が示されています[5]。信頼区間の上限が1.00に近いことから、この関連の強さには一定の限界があることも同時に報告されています[5]。
この結果を受けて、米国食品医薬品局(FDA)は2024年3月1日、ヨーグルトメーカーからの申請を審査した結果、ヨーグルト摂取と2型糖尿病リスク低減との関連について「限定的(limited)」としながらも一定の信頼できる根拠があると判断し、週2カップ(3食分)以上の定期的な摂取と2型糖尿病リスク低減の関連を示す適格健康強調表示を認めました[4]。FDAはこれについて「効果が確実に証明された」という意味ではなく、「限定的な科学的根拠に基づく可能性がある」という、根拠のレベルを明示した表示だと述べています[4]。
② 日本人データに基づく試算
栄養学専門誌Nutrientsに掲載された日本人を対象とした研究(Wakayama R, et al. 2025)は、日本人がヨーグルトの摂取量を推奨水準まで増やした場合の医学的・経済的な影響を、数理モデルを用いて10年間シミュレーションしています[6]。同研究の結果、1日あたりの摂取量を160gまで増やした場合で2型糖尿病の発症率が16.1%、80gまで増やした場合で5.9%低下すると推計され、それに伴い糖尿病関連死亡もそれぞれ1.6%、0.6%減少すると試算されています[6]。同時に、国民医療費についても160g/日のシナリオで2.4%、80g/日のシナリオで0.9%の削減が見込まれると報告されています[6]。これはあくまで数理モデルによる推計であり、実際に全国民の摂取量がその通りに変化することを保証するものではありませんが、日本人集団を対象にした試算として参考になる数値です。
③ 他の乳製品(牛乳・チーズ)と比べてどうか
先ほど紹介したPLoS Oneのメタ解析(Gao D, et al. 2013)は、ヨーグルトだけでなく牛乳・チーズなど乳製品全体について、摂取量と2型糖尿病リスクとの用量反応関係を分析しています[5]。同メタ解析の報告によると、牛乳全体では最高摂取群と最低摂取群の比較で相対リスク0.89(95%信頼区間0.78〜1.01)、低脂肪乳では1日200g増加あたり相対リスク0.83(95%信頼区間0.70〜1.00)、チーズでは1日30g増加あたり相対リスク0.80(95%信頼区間0.69〜0.93)とされ、いずれも同メタ解析でリスク低減の方向を示す結果でした[5]。一方、同メタ解析では高脂肪乳について1日200g増加あたり相対リスク1.27(95%信頼区間0.97〜1.67)と、むしろリスクが高まる方向の数値が示されており、乳製品であれば何でも同じように良いわけではないことがうかがえます[5]。PLoS Oneのメタ解析が示すヨーグルトの相対リスク0.91(95%信頼区間0.82〜1.00、50g/日あたり)は、低脂肪乳・チーズと同様にリスク低減の方向にありますが、信頼区間の上限が1.00に達しており、チーズほど明確な関連ではない点も正直にお伝えしておきます[5]。全体として、「低脂肪・無糖の乳製品を選ぶ」という方向性が、この研究群からは一貫して見えてきます。
④ 血糖値そのものへの直接的な影響(GI値)
すでに紹介したとおり、無糖・プレーンヨーグルトの平均GI値は27前後と報告されており[7]、これは「食べた直後の血糖上昇が穏やかである」という、より直接的で確実性の高いデータです。①②の研究が「長期間の習慣的な摂取と発症リスク・医療費の関連」を扱っているのに対し、③は「1回の食事での血糖の上がり方」を扱っており、レベルの異なる話だと理解しておくと混乱しません。
日本と海外、考え方に大きな矛盾はないか
| 項目 | 日本(日本糖尿病学会) | 米国(FDA・国際的な研究) |
|---|---|---|
| ヨーグルトの位置づけ | 食品交換表で乳製品(表4)に分類し、1日の目安量を単位で管理する対象の一つ[1] | 週2カップ(3食分)以上の摂取で2型糖尿病リスク低減の可能性があるとする限定的健康強調表示を許可[4] |
| 根拠のレベル | 血糖コントロールを目的とした食事療法全体の一部として位置づけ、個々の食品単独の効果を強調する記載は行っていない[1] | 限定的な科学的根拠に基づくと明記[4] |
両者の間で真っ向から対立するような矛盾は見当たりません。日本糖尿病学会の食品交換表は「ヨーグルトだけを特別扱いする」のではなく、乳製品全体を1日の摂取エネルギー・炭水化物量の管理という大きな枠組みの中に位置づけている点が特徴です[1]。一方FDAの表示は、ヨーグルトという食品単体にしぼって、その摂取習慣と発症リスクとの関連を根拠のレベルとともに明示した点に特徴があります[4]。どちらも「ヨーグルトさえ食べれば血糖値の心配がなくなる」とは述べていない点は共通しています。
今日からできる食べ方:量・時間帯・組み合わせ
ここからは、今日の食事にすぐ取り入れられる具体的なポイントを整理します。
量の目安
FDAの適格健康強調表示は、週2カップ(3食分)以上、1食あたりおよそ140〜150g程度を目安とした継続的な摂取習慣を対象としています[4]。日本人を対象とした試算研究では、1日80g・160gという2つのシナリオでリスク低減効果が推計されています[6]。これらを踏まえると、「毎日100g前後の無糖ヨーグルトを続ける」というのが、無理なく続けられる現実的な目安になります。ただし、日本糖尿病学会の食品交換表ではヨーグルトも乳製品として1日の摂取エネルギー・炭水化物量の一部を占めるため、量を大幅に増やす場合は、他の食品(特に主食やお菓子)とのバランスを管理栄養士に相談しながら調整することが大切です[1]。
食べる時間帯
血糖値の急上昇を避けたい場合、食事の最初にヨーグルトなどのたんぱく質・脂質を含む食品や、野菜・海藻などの食物繊維を含む食品を先に食べ、糖質の多い主食を後に回す「食べる順番」の工夫が広く知られています。ヨーグルトを食前や食事の最初の一口として取り入れることで、後から食べる糖質の血糖上昇をゆるやかにする助けになると考えられます。間食として食べる場合も、菓子パンやスナック菓子の代わりに無糖ヨーグルトに置き換えることで、同じ「間食」でも血糖値への影響を小さくできます。
組み合わせ方の工夫
無糖ヨーグルトは味が単調になりがちですが、砂糖やはちみつで甘みを足すと糖質量が一気に増えてしまいます。代わりに、シナモンなどの香辛料で風味を変える、少量のナッツで食感と良質な脂質を加える、食物繊維の多い果物(皮ごと食べられる少量のベリー類など)を組み合わせるといった工夫で、糖質の急な追加を避けながら満足感を高めることができます。果物を加える場合も、量が多くなるとその分の糖質が加わるため、「小さめの器に、無糖ヨーグルトをベースに少量の果物を添える」くらいの分量感を意識してください。
選び方:ラベルの読み方
スーパーの売り場で商品を選ぶときは、次の順番で確認すると失敗が少なくなります。①商品名に「加糖」「はちみつ入り」「フルーツソース入り」などの表記がないか、②栄養成分表示の「炭水化物」または「糖質」の欄の数値、③無脂肪・低脂肪と表示されている場合でも、脂肪を減らす代わりに糖分や増粘剤で味を補っている製品がないか、の3点です。「プレーン」と書かれていても、メーカーによってわずかに加糖している製品もあるため、栄養成分表示の数値そのものを確認する習慣が最も確実です。
知っておきたい注意点
自己判断で治療を変えないためのポイント
- ヨーグルトを食事に取り入れることは食事療法の工夫の一つであり、医師から処方されている糖尿病治療薬(インスリンを含む)の量や回数を自己判断で減らしたり中止したりする理由にはなりません。
- 低血糖の症状(冷や汗・手の震え・強い空腹感・意識のもうろうなど)が出た場合は、ヨーグルトの摂取有無にかかわらず、まず主治医の指示に従ったブドウ糖などでの対応を優先し、症状が続く場合は速やかに医療機関を受診してください。
- すでに慢性腎臓病(CKD)を合併し、リンやカリウムの摂取制限を主治医・管理栄養士から指示されている場合は、乳製品であるヨーグルトの摂取量についても事前に相談してください。
今回参照した資料の範囲では、ヨーグルトそのものと特定の糖尿病治療薬との間で、摂取を避けるべきとされる明確な薬物相互作用についての記載は見当たりませんでした。ただし、これは「調べていない」ことと「相互作用が存在しないと証明された」こととは異なります。日本糖尿病学会の食品交換表が示す考え方に沿えば、服用中の薬がある場合は食事内容を大きく変える前に必ず主治医・薬剤師・管理栄養士に確認することが大切です[1]。
妊娠糖尿病・高齢者・持病がある場合の考え方
糖尿病といっても、対象となる人の状態によって食事療法の考え方は異なります。ここでは代表的な3つのケースについて、注意すべきポイントを整理します。
妊娠糖尿病の場合
妊娠中に発見される「妊娠糖尿病」では、母体の血糖コントロールが赤ちゃんの発育にも影響するため、食事療法はより厳密に管理されるのが一般的です。ヨーグルト自体は低GIで栄養バランスの良い食品ですが、妊娠中は1回の食事量・間食の内容・タイミングについて、産科医・糖尿病内科医・管理栄養士による個別の指導を受けながら決めるのが基本です。今回参照した資料の範囲では、妊娠糖尿病に特化したヨーグルトの摂取量に関する具体的な数値の記載は見当たりませんでした。自己判断で量を増減させず、必ず妊婦健診・糖尿病外来での指導に従ってください。
高齢者の場合
高齢の糖尿病患者では、血糖コントロールと同時に、低栄養やフレイル(心身の衰え)の予防も重要な課題になります。文部科学省の食品成分データベースが示すとおりヨーグルトはたんぱく質・カルシウムを含む食品であるため、食が細くなりがちな高齢者にとって、間食や補食としてエネルギー・栄養素を補う選択肢の一つになり得ます[8]。一方で、腎機能が低下している場合や、複数の薬を服用している場合は、乳製品の摂取量について主治医の確認を受けることが望ましいとされています。「血糖値のためだけ」を考えて極端に食事量を減らすことは、高齢者ではかえって低栄養のリスクを高める可能性があるため、血糖コントロールと栄養状態のバランスを主治医・管理栄養士と一緒に考えることが大切です。
慢性腎臓病(CKD)を合併している場合
糖尿病はしばしば慢性腎臓病を合併します。腎機能の低下がある場合、リンやカリウムの摂取制限が必要になることがあり、乳製品であるヨーグルトもその対象に含まれる場合があります。今回参照した資料には、CKDの病期(ステージ)ごとの具体的なヨーグルト摂取量の上限についての記載は見当たりませんでした。腎臓の状態は人によって大きく異なるため、CKDを合併している場合は、糖尿病の食事療法とは別に、腎臓専門の管理栄養士による食事指導を受けることをおすすめします。
受診の目安:どんなときに医師・管理栄養士に相談すべきか
ヨーグルトを含む食事の工夫を始める・変える際に、次のような状況にあてはまる場合は、自己判断で進める前に医療機関への相談を優先してください。
- インスリン注射やSU薬(スルホニル尿素薬)など、低血糖を起こしやすいタイプの薬を使用している場合の食事内容の変更
- 慢性腎臓病、脂質異常症、心不全など、乳製品の摂取量に配慮が必要な持病がある場合
- 食事の工夫を続けても、自己測定した血糖値やHbA1cの数値に改善がみられない、またはかえって悪化している場合
- 乳糖不耐症(ヨーグルトなどの乳製品でお腹がゆるくなる体質)があり、症状が続く場合
糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)は、血糖値のマネジメントには食事療法・運動療法・薬物療法の3本柱が大切だと説明しています[2]。ヨーグルトの取り入れ方も、この食事療法全体の方針の中で考えるべきものです。受診先は、通常通っている糖尿病内科・内分泌代謝内科が基本です。食事内容の具体的な相談については、多くの医療機関で管理栄養士による栄養食事指導を受けられます。健康保険が適用される診療の場合、自己負担は通常3割です。特別な検査や入院を伴わない外来での食事相談であれば高額療養費制度の対象になるケースは限定的ですが、治療全体で医療費が高額になった場合の制度については、かかりつけの医療機関の医事課やケースワーカーに確認することをおすすめします。
症状・状況別の対応早見表
| 状況 | 目安となる対応 | 備考 |
|---|---|---|
| 血糖コントロールのために間食を見直したい | 菓子・清涼飲料の代わりに無糖ヨーグルト約100gに置き換える | 栄養成分表示で炭水化物量を確認[8] |
| 薬物療法(インスリン・SU薬など)を受けている | 食事量を大きく変える前に必ず主治医・管理栄養士に相談 | 低血糖リスクがある治療では自己判断での急な変更は避ける |
| 慢性腎臓病などでリン・カリウム制限がある | ヨーグルトを含む乳製品の摂取量について事前に相談 | 個々の制限値は病状により異なる |
| 食後血糖値の急上昇が気になる | 食事の最初にヨーグルトなどを食べ、主食を後に回す | 低GI食品としての性質を活用する工夫[7] |
| 加糖ヨーグルトしか手元にない | 量を減らす、または無糖タイプが買えるときに切り替える | 製品によって糖質量の差が大きい |
よくある質問(FAQ)
糖尿病でもヨーグルトは毎日食べていいですか?
加糖のヨーグルトはどのくらい避けるべきですか?
ヨーグルトを食べるタイミングはいつがいいですか?
ヨーグルトを食べれば糖尿病の薬を減らせますか?
ギリシャヨーグルトの方が糖尿病には向いていますか?
乳酸菌飲料でも同じ効果が期待できますか?
お腹がゆるくなるのですが、それでも食べた方がいいですか?
子どもの糖尿病(1型・2型)でもヨーグルトは同じように考えていいですか?
妊娠糖尿病でもヨーグルトを食べていいですか?
ヨーグルトと一緒に食べると良い食品はありますか?
豆乳ヨーグルトや植物性ヨーグルトでも同じ効果がありますか?
ヨーグルトの摂取量と血糖値・HbA1cの変化との間の量的な関係(何gをどのくらいの期間続けると数値がどの程度変化するか)を直接検証した日本人対象のランダム化比較試験については、今回参照した資料には十分なデータが見当たりませんでした。本記事で紹介した研究の多くは観察研究や数理モデルによる推計であり、「ヨーグルトを食べれば必ず数値が改善する」ことを保証するものではない点にご留意ください[5][6]。
この記事について(編集方針・情報の確認方法)
本記事はJHO編集部が、日本糖尿病学会・糖尿病情報センター・厚生労働省e-ヘルスネットなどの公的機関・学会が公開する情報、および米国食品医薬品局(FDA)の公表資料、PubMed/PMCに収載された査読済み論文と照合して作成しました。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医師による個別の診断・治療方針の代わりになるものではありません。ガイドラインや数値は将来の改定により変わる可能性があるため、実際の治療方針については必ず主治医・管理栄養士にご確認ください(2026年7月時点の情報に基づいています)。本記事はいかなる医師・医療機関による監修を受けたものではありません。更新日:2026年7月18日。本記事の内容に誤りや古い情報があるとお気づきの際は、事実関係を確認のうえ訂正しますので、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、医学的な診断・治療の代わりにはなりません。体調に不安がある場合や、治療方針を変更したい場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
参考文献
- 一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」(2024年11月19日発行) jds.or.jp/modules/publication
- 糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」 dmic.jihs.go.jp/general/about-dm
- U.S. Food and Drug Administration「FDA Announces Qualified Health Claim for Yogurt and Reduced Risk of Type 2 Diabetes」(2024年3月1日、原文サイトはボット遮断のためアーカイブ版を掲載) web.archive.org (FDA fda.gov)
- Gao D, Ning N, Wang C, et al. “Dairy Products Consumption and Risk of Type 2 Diabetes: Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis.” PLoS One. 2013;8(9):e73965. pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3785489
- Wakayama R, Araki M, Nakamura M, Ikeda N. “The Cost-Effectiveness of Increased Yogurt Intake in Type 2 Diabetes in Japan.” Nutrients. 2025. pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12300867
- “Yogurt Is a Low-Glycemic Index Food.” J Nutr. 2017;147(7):1519S-1524S. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28615381
- 文部科学省 食品成分データベース「乳類/<牛乳及び乳製品>/(発酵乳・乳酸菌飲料)/ヨーグルト/全脂無糖」(日本食品標準成分表2020年版八訂) fooddb.mext.go.jp
📚 糖尿病についてもっと知る
この記事について(運営者情報・免責事項) タップで表示
医療情報に関する重要なお知らせ
本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
