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糖尿病治療薬2026比較|10系統の選び方

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2型糖尿病の飲み薬・注射薬は現在10系統に大別され、「どれが一番効く」ではなく「あなたの体(肥満の有無、心臓・腎臓の状態、低血糖のなりやすさ、費用)にどれが合うか」で選ぶのが日本糖尿病学会の基本方針です。[1]

日本糖尿病学会のガイドラインでは、肥満のある人にはビグアナイド薬・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬が、非肥満の人にはDPP-4阻害薬などのインスリン分泌促進系が候補になりやすく、心臓や腎臓の合併症がある人ではSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が血糖値とは別に臓器保護の効果を目的に選ばれることがあるとされています[1]。この記事では、薬を替えるべきかどうかを自己判断するための知識ではなく、「次の診察で医師・薬剤師に何を聞けばいいか」を整理するための比較情報を、日本糖尿病学会と米国糖尿病学会(ADA)の最新資料に基づいてまとめています。糖尿病そのものの基礎知識は糖尿病 まとめページ、食事・運動療法から薬物治療まで含めた全体像は糖尿病管理 完全ガイド|最新の診断基準・食事・運動療法から薬物治療、高齢者の目標設定までもあわせてご覧ください。

要点まとめ

  • 日本糖尿病学会のガイドラインでは、現在日本で使えるインスリン以外の血糖降下薬は10系統。作用の仕組みは大きく「インスリンを出させる薬」「インスリンの効きをよくする薬」「糖の吸収・排泄を変える薬」の3タイプに分かれるとされている[1]
  • 大規模臨床試験の報告では、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は、血糖値を下げる作用とは別に、心不全や慢性腎臓病の悪化を抑える効果が確認されている[1]
  • 同ガイドラインでは、SU薬・グリニド薬は血糖降下作用が強い一方、低血糖の頻度が他の薬より高く、特に高齢者・腎機能低下者では注意が必要とされている[1]
  • 2024年に改訂されたガイドラインでは、薬剤選択の手順として「①病態→②安全性→③心・腎などの臓器保護効果→④服薬遵守率と医療費」の4段階(Step1〜4)が示された[1]
  • 自己判断で薬を減らす・やめる・変えることは危険です。合わないと感じたら、次回受診時に医師・薬剤師に相談してください(薬機法上、当サイトは個別の処方変更を勧める立場にありません)

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」、米国糖尿病学会(ADA)Standards of Care、PMDA・学会のRecommendationなど公的機関・学会資料と照合して作成。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の処方判断の代わりにはなりません。薬剤の適応・用量・費用はガイドライン改定や薬価改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報です)。

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薬剤選択の基準チェックリスト

🔧 自分の状況にどの系統が候補になりやすいか、ガイドラインの基準に沿って確認

あなたの状況 ガイドラインで候補にあがりやすい系統
肥満(内臓脂肪の蓄積がある) ビグアナイド薬・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬・チアゾリジン薬など[1]
非肥満・やせ型 DPP-4阻害薬を中心としたインスリン分泌促進系(メトホルミンも候補になり得る)[1]
心血管疾患の既往・高リスク SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬(心血管保護のエビデンスあり)[1]
慢性腎臓病(アルブミン尿あり) SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬(腎症進行抑制のエビデンスあり)[1]
低血糖を強く避けたい(高齢・独居など) DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬・SGLT2阻害薬(単独では低血糖のリスクが低い)[1]
医療費をできるだけ抑えたい ビグアナイド薬(後発品を含め薬価が安く、NDB調査でも1年間の総医療費が最も低い)[1]

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章の内容をもとにJHO編集部が整理[1]。このチェックリストは受診前の整理用であり、実際の薬剤選択は医師が総合的に判断します。

糖尿病治療薬とは?「インスリンを出させる薬」「効きをよくする薬」「糖を出す薬」の3タイプで考える仕組み

2型糖尿病の治療薬は、飲み薬(経口血糖降下薬)と注射薬(GLP-1受容体作動薬の一部・GIP/GLP-1受容体作動薬・インスリン製剤)に分かれ、日本糖尿病学会は現在使用可能なインスリン以外の血糖降下薬を「α-グルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬、チアゾリジン薬、ビグアナイド薬、イメグリミン、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬、スルホニル尿素(SU)薬、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)の10系統」に大別しています[1]。

同ガイドラインの整理によれば、これらは作用の仕組みから大きく3つのグループに整理できます。1つ目は「インスリンの分泌を促す薬」で、血糖値に応じて分泌を促すDPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬・イメグリミンと、血糖値に関係なく分泌を促すSU薬・グリニド薬に分かれます[1]。2つ目は「インスリンの効き(感受性)を良くする薬」で、ビグアナイド薬とチアゾリジン薬がこれにあたり、肝臓からの糖の放出を抑えたり、筋肉・脂肪でのブドウ糖の取り込みを促進したりすると学会資料は説明しています[1]。3つ目は「糖の吸収や排泄そのものを変える薬」で、腸での糖の吸収を遅らせるα-グルコシダーゼ阻害薬と、腎臓での糖の再吸収を防いで尿に糖を出すSGLT2阻害薬がこれにあたります[1]。

図:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章・米国糖尿病学会(ADA)Standards of Care 2024の内容をもとにJHO編集部が作成[1][2]

日本糖尿病学会の資料によれば、2型糖尿病は、日本人を含む東アジア人では欧米人に比べて低いBMIでも内臓脂肪の蓄積が多く、インスリンの分泌そのものが少ない「痩せ型でもインスリン分泌不全が主体」の病態が多いという特徴があります[1]。このため同学会は、体重(肥満の有無)を薬剤選択の重要な指標としつつも、ウエスト周囲長やインスリン分泌指数、HOMA-IRといった指標も含めて総合的に病態を評価することを勧めています[1]。ご自身が糖尿病または予備群にあたるかどうかの判定基準は、糖尿病と予備群の診断基準【2025年最新】— 日本の基準と国際基準の違いを解説で詳しく解説しています。

2型糖尿病の薬物療法アルゴリズム(Step1〜4)— 日本糖尿病学会2024年版の考え方

日本糖尿病学会は2022年9月、糖尿病を専門としない医師にも使いやすい指針として「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」をコンセンサスステートメントとして発表し、2023年10月に改訂しました[1]。このアルゴリズムは、病態に応じて治療薬を選ぶことを最重要視しつつ、次の4段階で薬剤を絞り込む考え方を示しています[1]。

Step 考慮する項目 内容
Step 1 病態に応じた薬剤選択 肥満の有無、インスリン分泌能・インスリン抵抗性の程度などから病態を判断し、候補薬を絞る[1]
Step 2 安全性への配慮 低血糖リスク、腎機能・肝機能障害、心血管障害・心不全の有無など、禁忌にあたらないかを確認する[1]
Step 3 Additional benefits(合併症を考慮) 心・腎などの臓器保護効果、死亡リスク低減効果を期待できる併存疾患(動脈硬化性心血管疾患・心不全・慢性腎臓病)があるか[1]
Step 4 患者背景 服薬遵守率(飲み忘れにくさ)と医療費の負担を考慮する[1]

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章「血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」[1]

同ガイドラインでは、肥満合併例の候補薬としては、ビグアナイド薬・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬・チアゾリジン薬・α-グルコシダーゼ阻害薬・イメグリミン・チルゼパチドがあげられています。一方、非肥満の2型糖尿病はインスリン分泌不全が病態の主体であることが多いため、インスリン分泌促進系薬剤を中心に選ぶ考え方が示されており、メトホルミンは日本人では非肥満でも肥満と同程度のHbA1c低下作用を示すため候補の一つになり得るとされています[1]。DPP-4阻害薬はアジア人で血糖降下作用がより強いとする報告があり、非肥満の2型糖尿病によい適応と考えられています[1]。

近年、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬が動脈硬化性心血管疾患・心不全・慢性腎臓病といった併存症に対する有用性を海外中心に蓄積してきているため、これらの併存症がある場合はStep 3の「臓器保護効果」を重視した薬剤選択が推奨されています[1]。また、日本糖尿病学会が引用する系統的レビューとメタ解析のエビデンスをもとに、DPP-4阻害薬は服薬遵守率が高く、食直前投与が必要なα-グルコシダーゼ阻害薬とグリニド薬は遵守率が低い薬剤としてあげられています[1]。医療費については、NDB(National Database)を用いた調査で、初回処方開始後1年間の総医療費(年齢・性別・併存症などで補正)はビグアナイド薬が最も安く、GLP-1受容体作動薬が最も高かったと報告されています[1]。

10系統の薬剤を1つずつ比較する — 作用機序・利点・注意点

①ビグアナイド薬(メトホルミン)— 世界的な第一選択薬

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、ビグアナイド薬は肝臓からのブドウ糖放出を抑え、筋肉を中心とした末梢組織でのインスリン感受性を高めることで血糖を下げる、インスリン抵抗性改善薬です[1]。単剤では低血糖を起こしにくく、体重も増えにくいという利点があり、肥満2型糖尿病患者に対する大血管症(心筋梗塞・脳卒中など)抑制のエビデンスと経済性の高さから、欧米の主要なガイドラインで長らく第一選択薬として推奨されてきました[1]。日本人でも十分な血糖改善効果が確認されており、観察研究では心血管イベントが有意に抑制される可能性も示唆されています[1]。

注意点は、まれに重篤な乳酸アシドーシスが起こる危険があることです。日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」では、全身状態が悪い患者への投与を避けることを大前提に、eGFRが30(mL/分/1.73m2)未満の患者、脱水や胃腸障害のある患者、過度のアルコール摂取者、高度の心血管・肺機能障害がある患者、外科手術前後の患者には投与禁忌とされています[1]。eGFR低下例では、45≦eGFR<60で1,500mg、30≦eGFR<45で750mgが最高用量の目安とされています[1]。また、造影剤(ヨード造影剤)を使う検査の前後で休薬が必要になる場合があるため、検査予定がある人は必ず事前に医師・薬剤師に伝えてください[1]。長期使用ではビタミンB12が不足することがあり、末梢神経障害や貧血がある場合は注意が必要です[1]。

②SGLT2阻害薬 — 心不全・慢性腎臓病への保護効果

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、SGLT2阻害薬は、腎臓(近位尿細管)でのブドウ糖の再吸収を抑制し、尿に糖を出すことでインスリンとは独立した血糖低下作用を発揮する飲み薬です[1]。日本ではイプラグリフロジン、ダパグリフロジン、ルセオグリフロジン、トホグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンが承認されています[1]。尿への糖排泄増加にともない体重減少も認められ、国内臨床試験では低血糖の発症頻度を増やさずにHbA1cと体重を低下させたと報告されています[1]。

特筆すべきは血糖値とは独立した臓器保護効果です。ガイドラインが引用する心血管疾患の既往を含むハイリスク2型糖尿病を対象とした大規模臨床試験(EMPA-REG OUTCOME、CANVAS、DECLARE-TIMI 58)で、主要心血管イベント(MACE:心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性虚血性脳卒中)の発症を有意に抑制することが示されており、東アジア人を対象としたサブグループ解析でも同様の傾向が確認されています[1]。心不全患者を対象とした試験の報告でも、糖尿病の有無にかかわらず心不全の増悪・心血管死を有意に低下させることが確認されています[1]。腎保護効果については、CREDENCE試験・DAPA-CKD試験・EMPA-KIDNEY試験などから、アルブミン尿を有する2型糖尿病患者における腎症進行予防効果のエビデンスが示されています[1]。

一方で注意すべき副作用もあります。日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」は、①脱水防止の徹底(利尿薬併用時は特に注意)、②発熱・下痢・嘔吐や食事が十分摂れないシックデイには必ず休薬すること、③手術予定がある場合は術前3日前から休薬すること、④全身倦怠・悪心嘔吐・腹痛があるときは血糖値が正常に近くてもケトアシドーシス(正常血糖ケトアシドーシス)の可能性があるため血中または尿中のケトン体を確認しコンサルテーションすること、⑤外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)を疑わせる症状(発赤・腫脹・疼痛)に注意すること、を求めています[3]。同Recommendationによれば、フルニエ壊疽は海外での関連性が指摘され死亡例も報告されており、進行が早いため早急な外科的治療が必要とされています[3]。また、尿路感染症・性器感染症も投与開始から数日〜2ヵ月程度の幅で報告されており、女性に多いものの男性でも報告があると同資料は述べています[3]。

🚦 受診の目安 — SGLT2阻害薬を使っている人がすぐ医療機関へ相談すべきサイン

受診の目安(日本糖尿病学会Recommendationに基づく):以下のサインが出たら自己判断せず医療機関へ相談してください

  • 発熱・下痢・嘔吐・食欲不振で食事や水分が十分とれない(シックデイ)→ 自己判断で服薬を続けず、休薬してよいか医師・薬剤師に確認する[3]
  • 血糖値が正常でも、全身倦怠感・吐き気・嘔吐・腹痛が続く → 正常血糖ケトアシドーシスの可能性があるため速やかに受診[3]
  • 外陰部・会陰部・肛門周囲の急な発赤・腫れ・強い痛み → フルニエ壊疽の可能性があり緊急性が高い[3]
  • 排尿時痛・発熱を伴う下腹部痛(尿路感染・性器感染の疑い)[3]

③GLP-1受容体作動薬 — 大血管症・腎症の進行抑制、体重減少効果

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、GLP-1受容体作動薬は、血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進すると同時にグルカゴン分泌を抑制する薬で、日本では1日1〜2回の注射製剤(リラグルチド、エキセナチド、リキシセナチド)、週1回の注射製剤(デュラグルチド、セマグルチド注射)、経口のセマグルチドが承認されています[1]。単独投与では低血糖のリスクは少ないですが、SU薬やインスリン製剤との併用では低血糖の発症頻度が増える可能性があり、併用時はこれらの薬の減量が検討されます[1]。

ガイドラインが引用するメタ解析ではHbA1c改善と体重増加の抑制が確認されており、これには食欲抑制作用が関与している可能性があります[1]。心血管イベント発症リスクの高い患者を対象にした大規模試験で、リラグルチド・デュラグルチド・セマグルチド注射はプラセボに比較して主要心血管イベントの発症を有意に抑制することが報告されており、複合腎イベントの発症を抑制することも報告されています[1]。副作用としては消化器症状(吐き気・嘔吐・下痢など)が代表的で、これを軽減するため低用量から開始し徐々に増量することが必要とされています[1]。急性膵炎のリスク増加が懸念されていましたが、学会がまとめた最近のメタ解析や大規模試験からは否定的な結果が示されています[1]。

④DPP-4阻害薬 — 単独では低血糖リスクが低く、日本で処方頻度が高い

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、DPP-4阻害薬は、GLP-1受容体作動薬と同様に血糖値に依存してインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで主に食後高血糖を改善します[1]。日本では1日1〜2回投与のシタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、サキサグリプチンや、週1回投与のトレラグリプチン、オマリグリプチンが承認されています[1]。単独投与では低血糖リスクは低いですが、SU薬と併用する場合は重症低血糖の報告があるため、SU薬の用量が多い場合は安全のため減量してから併用を開始することが検討されます[1]。基本的に体重を増加させにくく、大規模臨床試験でプラセボに対する心血管イベントの非劣性が確認されているなど、安全性の高さが確認されています[1]。ただし、同ガイドラインが引用する大規模臨床試験では、サキサグリプチンで心不全による入院の頻度が有意に増加していたとの報告があり、特に65歳以上・罹病歴10年以上・BMI30以上の患者では注意が必要とされています[1]。まれに水疱性類天疱瘡(皮膚に水ぶくれができる自己免疫疾患)の発症が報告されており、早期の診断と治療が重要です[1]。

⑤SU薬(スルホニル尿素薬)— 血糖降下作用は強いが低血糖に最も注意

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、SU薬は最も古くから使われている血糖降下薬で、膵β細胞のSU受容体に結合し、血糖値とは関係なくインスリン分泌を促進します[1]。長期間の使用実績があり細小血管症(網膜症・腎症・神経障害)抑制のエビデンスもありますが、血糖降下作用が強い分、低血糖を起こしやすく、特にグリベンクラミドはその頻度が高いとされています[1]。同ガイドラインでは、高齢者では低血糖のリスクが高いため、グリクラジドは20mg、グリメピリドは0.5mgといった低用量からの開始が勧められています[1]。腎機能・肝機能障害が進行した患者では低血糖の危険性がさらに増大するため、ほとんどのSU薬で高度の腎機能・肝機能障害がある患者への投与は禁忌とされています[1]。食事療法・運動療法がおろそかになると体重増加が起こりやすいことも同ガイドラインは指摘しています[1]。夜間の低血糖・高血糖の見分け方や睡眠中の血糖変動への対処法は夜間高血糖の完全ガイド:暁現象とソモジー効果の鑑別、CGM活用法、国内外の最新治療戦略で詳しく解説しています。

⑥速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)— 食後高血糖に的をしぼった薬

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、グリニド薬はSU薬と同じくβ細胞のSU受容体を介してインスリン分泌を促進しますが、作用発現が速く持続時間が短い(3〜4時間)という特徴があり、食後高血糖のある患者に特に適しています[1]。食直前の服用が必要で、食後に飲むと効果が十分に得られず、食前30分では低血糖の危険が増すため注意が必要です[1]。日本ではナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニドが使われており、同ガイドラインが引用する報告では、レパグリニドは日本人の高齢患者でSU薬に比べ低血糖の頻度を増やさずHbA1c低下効果を示したとされています[1]。低血糖はSU薬より頻度が少ないとされますが、肝・腎障害のある患者では低血糖リスクが高まるため慎重な使用が必要です[1]。

⑦チアゾリジン薬 — インスリン抵抗性改善だが体重増加・骨折に注意

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、チアゾリジン薬(ピオグリタゾン)は、末梢組織でのインスリン感受性を高め、肝臓からのブドウ糖放出を抑制することで血糖を改善します[1]。女性や高インスリン血症がある場合に特に血糖改善効果が大きく、インスリン療法導入を抑制する効果も認められています[1]。一方で体液貯留作用と脂肪細胞の分化促進作用があるため体重がしばしば増加し、ときに浮腫がみられると同ガイドラインは注意を促しています[1]。循環血漿量の増加により心機能を悪化させる可能性があるため、心不全やその既往がある場合は投与禁忌とされています[1]。再現性をもって骨折の増加が認められており、特に閉経後の高齢女性では使用の可否を慎重に検討する必要があると同ガイドラインは述べています[1]。重篤な肝・腎機能障害がある場合も投与禁忌です[1]。

⑧α-グルコシダーゼ阻害薬 — 食後高血糖に作用、放屁・下痢に注意

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、α-グルコシダーゼ阻害薬は腸管での糖の分解を抑制して吸収を遅らせる薬で、食直前に内服することで食後の高血糖・高インスリン血症を抑えます[1]。日本ではアカルボース、ボグリボース、ミグリトールの3種類が販売されています[1]。単独投与での血糖改善効果は他の薬に比べて弱いものの、ユニークな作用機序のため併用に適しています[1]。単剤では低血糖を起こしませんが、低血糖を起こし得る薬と併用している場合の低血糖時には、砂糖などの二糖類ではなくブドウ糖で対処する必要があるため、ブドウ糖の携帯が指導されます[1]。副作用として腹部膨満感、放屁や下痢がしばしばみられますが、多くは減量後の再増量で改善するとされています[1]。まれに重篤な肝障害が起こることがあり、腹部手術歴のある場合は腸閉塞、肝硬変がある場合は高アンモニア血症を誘発する可能性があるため慎重投与とすべきと同ガイドラインは述べています[1]。

⑨イメグリミン — 2021年承認の新しい経口薬

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、イメグリミンは2021年に承認された、メトホルミンと似た構造を持つが「テトラヒドロトリアジン(グリミン)系」という新しいカテゴリーに分類される経口血糖降下薬です[1]。膵β細胞でのグルコース濃度依存性インスリン分泌促進作用と、肝臓での糖新生抑制・骨格筋での糖取り込み改善によるインスリン抵抗性改善作用の両方を持つとされています[1]。国内の臨床試験では単独投与、他の経口血糖降下薬またはインスリン製剤との併用でHbA1cを有意に低下させたと報告されています[1]。メトホルミンに構造が似ているため乳酸アシドーシスが懸念されますが、動物実験ではメトホルミンよりリスクが低いとされ、臨床試験でも乳酸アシドーシスを含む重大な副作用は認められていないと同ガイドラインは報告しています[1]。ただし中等度〜重度の腎機能障害(eGFR<45 mL/分/1.73m2)のある患者を対象とした有効性・安全性の試験は実施されておらず、添付文書上、このような患者への投与は推奨されていません[1]。

⑩GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)— 新しいデュアル作動薬

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、チルゼパチドは日本で使用可能な週1回注射製剤で、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に結合して活性化するデュアルアゴニストです[1]。同ガイドラインが引用する日本人2型糖尿病患者を対象とした臨床第III相試験では、単独投与で52週時点のHbA1c減少量において対照薬(デュラグルチド)に対する優越性が確認され、用量依存的な体重減少も認められました[1]。血糖降下薬1剤への追加投与でも、40週時点でHbA1c減少・体重減少の両方でプラセボに対する優越性が確認されています[1]。国内臨床試験での主な有害事象は悪心・便秘・下痢・食欲減退・鼻咽頭炎で、単独投与では重症低血糖は認められませんでしたが、SU薬・インスリンとの併用では重症低血糖が報告されていると同ガイドラインは注意を促しています[1]。日本糖尿病学会は「現時点で得られる情報は臨床試験データが中心であり、今後の実臨床での検証が待たれる」と述べており、比較的新しい薬剤であることを踏まえた慎重な位置づけがなされています[1]。

インスリン療法 — 他の薬では代えられない「絶対的適応」がある

日本糖尿病学会のガイドラインによれば、1型糖尿病を含むインスリン依存状態、糖尿病性ケトアシドーシスなどの急性代謝失調、重度の肝障害・腎障害で食事療法だけでは血糖コントロールがつかない場合、食事療法だけでは対応できない妊娠中の糖代謝異常、重篤な感染症、全身管理が必要な外科手術などでは、インスリン療法の絶対的適応があり、この場合は他の血糖降下薬による治療を行わず、直ちにインスリン療法を開始しなければならないとされています[1]。インスリン非依存状態でも、著明な高血糖(空腹時血糖値250mg/dL以上、随時血糖値350mg/dL以上)がある場合などはインスリン療法が考慮されると同ガイドラインは述べています[1]。複数の飲み薬やGLP-1受容体作動薬を併用しても血糖コントロールが不十分な場合には、基礎インスリンの追加投与や強化インスリン療法への変更が検討され、持効型インスリン/GLP-1受容体作動薬の配合薬も選択肢の一つです[1]。インスリン注射の種類・費用・使い方の詳細はインスリンペンのすべて:種類・費用・正しい使い方からスマートペンの最新情報まで徹底ガイドも参考にしてください。

薬の併用は効くのか — 単剤で目標に届かないときの考え方

第一選択薬の単独投与を開始して3ヵ月間続けても血糖コントロール目標に到達しない場合は、①第一選択薬の増量、②より血糖改善効果の強い薬への変更、③作用機序の異なる薬の併用、のいずれかが検討されます[1]。日本糖尿病学会は、いかなる薬剤の併用でも血糖降下作用における明らかな相乗効果が証明されているわけではなく、日本では併用療法に関する確立したガイドラインはまだない、と正直に述べています[1]。一方で、作用機序の異なる薬の併用は多くの組み合わせで血糖コントロールの改善が報告されています[1]。ただし、SU薬とグリニド薬の組み合わせ、またDPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬・持続性GIP/GLP-1受容体作動薬同士の組み合わせは使用できません[1]。3剤以上の併用でも血糖降下作用は確認されていますが、薬剤数や服薬回数が増えるほど飲み忘れ(アドヒアランス低下)のリスクが高まるため、配合錠の活用などが検討されます[1]。SU薬とメトホルミンの併用については、大血管症抑制効果が失われ死亡率が高くなるとの報告がある一方、日本人を含む観察研究では死亡率低下を示唆する報告もあり、結論は共通していません[1]。

日本と米国のガイドラインを比べる — メトホルミン中心か、リスク優先か

日本糖尿病学会のアルゴリズムは「病態に応じた薬剤選択」を最重要視し、肥満の有無を主な指標としながら安全性・臓器保護効果・患者背景を段階的に考慮する枠組みです[1]。これに対し、米国糖尿病学会(ADA)のStandards of Care 2024では、動脈硬化性心血管疾患の既往やハイリスク状態、心不全、慢性腎臓病(eGFR 20〜60 mL/分/1.73m2かつ/またはアルブミン尿)がある成人2型糖尿病患者に対しては、心血管ベネフィットが確認されたSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を、HbA1c値やメトホルミンの使用歴とは独立して(=メトホルミンより先に、あるいはメトホルミンなしでも)血糖降下計画の一部として使うことをADAは推奨しています[2]。同Standards of Careでは、さらに進行した慢性腎臓病(eGFR30未満)では、低血糖リスクの低さと心血管イベント抑制の観点からGLP-1受容体作動薬が優先されるとされています[2]。

項目 日本(日本糖尿病学会 2024年版) 米国(ADA Standards of Care 2024)
薬剤選択の出発点 肥満の有無を含む「病態」を最重要視[1] 心血管・腎・心不全リスクの有無を早い段階で重視[2]
心血管疾患・心不全・CKD合併時 Step 3として「Additional benefits」を考慮すべき併存疾患に位置づけ[1] メトホルミンの使用歴やHbA1cに関係なく、SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬を推奨[2]
進行したCKD(eGFR30未満) SGLT2阻害薬は血糖降下作用が期待できないとされる腎機能域[1] 低血糖リスクが低く心血管イベント抑制効果のあるGLP-1受容体作動薬を優先[2]
メトホルミンの位置づけ 非肥満でも候補になり得る基本薬の一つ、経済性も高い[1] 2022年のADA/EASDコンセンサスで「臓器保護薬を使う場合、メトホルミン併用は必須でない」と明記[1]

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章[1]、American Diabetes Association「9. Pharmacologic Approaches to Glycemic Treatment: Standards of Care in Diabetes—2024」[2]

両者の実質的な違いは「順序」よりも「重み付け」にあります。日本のガイドラインもSGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬の心・腎保護効果を明確に評価していますが、これを「病態に応じた選択」という大枠の中の一要素(Step 3)として位置づけているのに対し、ADAのガイドラインは心血管・腎リスクがある場合はHbA1cやメトホルミンの使用有無を問わずこれらの薬剤を推奨する、より前倒しした位置づけをしています[1][2]。どちらが「正しい」というより、日本人の体格・病態(非肥満でもインスリン分泌不全が主体になりやすい)を踏まえて日本のガイドラインが組み立てられている点が重要です[1]。自分がどちらの考え方に近い治療を受けているか気になる場合は、次回の診察でそのまま質問してみてください。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

高齢者の糖尿病治療薬 — 低血糖のリスクをどう避けるか

高齢の糖尿病患者では、若年者と同じ血糖コントロール目標をそのまま当てはめることはできません。日本糖尿病学会は「熊本宣言2013」および「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」をもとに、年齢や併存症、認知機能、サルコペニアの有無などを考慮して個別に目標を設定するとしています[1]。これは、高齢者では低血糖そのものが転倒・骨折・認知機能低下・心血管イベントのリスクを高めるため、「厳しく下げすぎない」ことも治療の一部だからです。

日本糖尿病学会のガイドラインでは、薬剤選択の実務でも高齢者に対する配慮が複数の系統で共通して示されています。SU薬は、高齢者では低血糖のリスクが高いため、グリクラジドは20mg、グリメピリドは0.5mgといった通常より少ない用量からの開始が推奨されています[1]。ビグアナイド薬(メトホルミン)は、75歳以上の高齢者への投与に慎重を要するとされ、利尿作用のある薬剤(利尿薬・SGLT2阻害薬など)との併用時は脱水に特に注意が必要と同ガイドラインは述べています[1]。SGLT2阻害薬についても、日本の市販後調査で75歳以上あるいは利尿薬併用例において体液量減少に関連するイベントの発症頻度が増加していることが報告されており、このような症例への投与は慎重に行うべきとされています[1]。「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」でも、75歳以上の高齢者あるいは65〜74歳でサルコペニア・認知機能低下・ADL低下などの老年症候群がある場合は慎重投与とされています[3]。

一方で、日本人高齢糖尿病患者へのエンパグリフロジン(SGLT2阻害薬)の安全性を検討したEMPA-ELDERLY試験では、65歳以上の高齢糖尿病患者でも体重・脂肪量は減少する一方、筋肉量の減少は認められず、有害事象もプラセボと比較して大きな差はなかったと報告されています[1]。ただしこの試験ではBMI22未満の患者が除外されているため、やせ型の高齢者への投与は引き続き慎重にすべきとされています[1]。DPP-4阻害薬は基本的に体重を増加させにくく、単独投与での低血糖リスクが低いことから、高齢者で比較的選ばれやすい系統の一つです[1]。高齢者を含めた個々の患者に合わせた治療計画の立て方は患者中心の糖尿病ケアプランニング:2024年版ガイドラインに基づく実践的アプローチで解説しています。

系統 高齢者での留意点
SU薬 低血糖リスクが高い。グリクラジド20mg、グリメピリド0.5mgなど低用量から開始[1]
ビグアナイド薬 75歳以上は慎重投与。脱水・腎機能低下時は乳酸アシドーシスのリスクに注意[1]
SGLT2阻害薬 75歳以上・利尿薬併用・老年症候群がある場合は慎重投与。脱水関連イベントに注意[1][3]
DPP-4阻害薬 単独では低血糖リスクが低く、体重も増加させにくいため選択されやすい[1]

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」[1][3]

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飲み方・注射の頻度で比べる — 毎日食前か、週1回か

薬の効果や安全性だけでなく、「どれくらいの頻度で、いつ服用・注射するか」も、続けやすさを左右する重要な要素です。日本糖尿病学会のガイドラインは、服薬遵守率に関する系統的レビュー・メタ解析のエビデンスをもとに、DPP-4阻害薬は服薬遵守率が高い薬剤として、食直前投与が必要なα-グルコシダーゼ阻害薬とグリニド薬は遵守率が低い薬剤としてあげています[1]。高齢化が進む日本では、服薬回数をできるだけ減らし、一包化や配合剤の使用を含めた服薬管理が重要と考えられています[1]。

服用・注射のタイミング あてはまる系統・薬剤
食直前(毎食) α-グルコシダーゼ阻害薬、グリニド薬 — 食後に飲むと効果が十分に得られない[1]
1日1回(食事に関係なく) ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬(1日1回製剤)、SGLT2阻害薬、チアゾリジン薬、イメグリミン(1日2回)など
週1回・経口 DPP-4阻害薬(トレラグリプチン、オマリグリプチン)[1]
週1回・注射 GLP-1受容体作動薬(デュラグルチド、セマグルチド注射)、GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)[1]
週1回・経口GLP-1 経口セマグルチド — 胃粘膜からの吸収を可能にした経口GLP-1受容体作動薬[1]

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章の記載をもとにJHO編集部が整理[1]

週1回のデュラグルチドとリラグルチド(1日1回)を比較した報告では、血糖改善効果や副作用の発症頻度に有意な差はないとされていますが、患者報告アウトカム(利便性・融通性・継続性)では週1回製剤のほうが高く、注射の遵守率も高いことが示されています[1]。頻度が少ないほど必ず優れているわけではありませんが、「打ち忘れやすさ」「外出先での注射のしにくさ」といった生活面の負担を減らせる可能性がある、という点は診察で相談する価値があります。

🖨️ 診察に持っていくメモ(コピーしてお使いください)

  • 現在飲んでいる/注射している糖尿病治療薬の名前と量(お薬手帳を持参)
  • 今の薬を使い始めてからの体重変化(増えた・減った・変わらない)
  • 低血糖(冷や汗・手の震え・強い空腹感など)を経験したことがあるか、あればいつ・何回
  • 心臓(心不全・狭心症など)や腎臓の病気を指摘されたことがあるか
  • シックデイ(発熱・下痢・嘔吐で食事が摂れないとき)に、今の薬をどう扱えばよいか
  • 手術や検査(造影剤を使う検査など)の予定がある場合、いつから休薬すべきか
  • 今の薬の月々の自己負担額と、後発品(ジェネリック)や配合錠に切り替えた場合の目安

薬剤ごとの日本人における長期的な大血管症抑制効果の直接比較(例えばSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬のどちらがより優れているか)や、3剤・4剤併用時の最適な組み合わせについては、今回参照した日本糖尿病学会のガイドラインにおいても「一定の成績が得られていない」「確立したガイドラインはない」と明記されている領域があり[1]、当サイトも無理に優劣を断定することはしません。今後、ガイドラインが更新され次第、このページの内容も見直します。

よくある質問

糖尿病の薬は一度始めたら一生やめられないのですか?
薬の必要性は病態や生活習慣の改善によって変わり得ます。日本糖尿病学会のガイドラインでも、食事療法・運動療法の実践状況によって薬の効果や必要量は変化するとされています[1]。ただし、自己判断で減量・中止すると血糖コントロールが急に悪化する場合があるため、やめられるかどうかは必ず医師の判断のもとで検討してください。当サイトは個別の減薬・中止を勧める立場にありません。
SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬、どちらが体重減少効果が大きいですか?
どちらも体重減少作用が報告されていますが、作用の仕組みが異なります。SGLT2阻害薬は尿への糖排泄によるカロリー損失を通じた減少で[1]、GLP-1受容体作動薬は食欲抑制作用が関与すると考えられています[1]。個人差が大きいため、どちらが自分に合うかは医師との相談が必要です。
DPP-4阻害薬が日本でよく処方されるのはなぜですか?
日本糖尿病学会のガイドラインは、DPP-4阻害薬が近年日本で第一選択薬として使用されるケースが最も多いと報告されていることに言及しています[1]。単独投与での低血糖リスクの低さ、体重を増加させにくいこと、アジア人で血糖降下作用がより強い可能性が報告されていること、服薬遵守率が高いことなどが背景にあると考えられます[1]。
チルゼパチドのような新しい薬は、従来のGLP-1受容体作動薬よりも「優れている」のですか?
日本人を対象とした臨床試験では、チルゼパチドはHbA1c低下量・体重減少量の両方で対照薬(デュラグルチド)に対する優越性が示されています[1]。ただし日本糖尿病学会は「現時点で得られる情報は臨床試験データが中心であり、今後の実臨床での検証が待たれる」と述べており[1]、長期の実臨床データはまだ蓄積の途上です。「新しい=誰にでも最適」ではなく、副作用プロファイルや費用も含めて医師と相談することが大切です。
薬を飲み忘れたときはどうすればいいですか?
薬剤の種類(作用時間や食前・食後の指定の有無)によって対応が異なるため、一律の答えはありません。特にα-グルコシダーゼ阻害薬・グリニド薬は食直前投与が必須で、飲み忘れて食後に服用すると効果が十分に得られなかったり、低血糖のリスクが変わったりする可能性があります[1]。自己判断で2回分をまとめて飲むなどはせず、処方時に薬剤師から渡される説明書に従うか、次回受診時に確認してください。
糖尿病の薬とサプリメントや市販薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
薬剤ごとに相互作用のリスクは異なります。例えば、SGLT2阻害薬を使用中に脱水を起こしやすい状況が重なると急性腎障害のリスクが高まるとされ[3]、ビグアナイド薬使用中に利尿作用のある薬を併用する場合は特に脱水に注意が必要とされています[1]。新しいサプリメントや市販薬を始める前には、必ず処方医または薬剤師に相談してください。
薬の費用が高くて続けられるか心配です。安くする方法はありますか?
日本糖尿病学会のガイドラインは、患者の経済的負担軽減のために、後発品(ジェネリック)の使用、ビグアナイド薬など薬価の安い薬への変更、複数クラスを併用している場合は配合薬への切り替えを考慮するとしています[1]。また高額療養費制度を使うと自己負担に上限を設けられる場合があります。下の制度概要も参考にしてください。医療費の相談は、通院先の医療機関の医療ソーシャルワーカーや、加入している健康保険組合の窓口でも受け付けています。
低血糖になったらどう対処すればいいですか?
薬剤の種類によって対処法が異なります。特に、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用中に低血糖を起こした場合は、砂糖などの二糖類ではなく、ブドウ糖で対処する必要があるとされています[1]。これは、α-グルコシダーゼ阻害薬が二糖類の分解を阻害する薬であるため、砂糖では血糖値がすぐに上がらないためです。SU薬やインスリンを使用している人は特に低血糖のリスクが高いため、あらかじめ処方医からブドウ糖の携帯を指導されている場合はそれに従ってください[1]。
糖尿病の薬を飲んでいても、食事療法や運動療法は続ける必要がありますか?
はい。日本糖尿病学会のガイドラインは、薬物療法を開始したあとも食事療法・運動療法の実践状況によって薬の効果が変化するため、常に注意を払う必要があると述べています[1]。実際、血糖降下薬の単独投与で良好なコントロールを得られた患者でも、生活習慣が崩れると次第にコントロールが悪化する場合が多いことが指摘されています[1]。薬は生活習慣の改善を「代わりに行うもの」ではなく、「支えるもの」と考えるとわかりやすいでしょう。
1型糖尿病でも、インスリン以外のこれらの薬は使えますか?
1型糖尿病を含むインスリン依存状態、糖尿病性ケトアシドーシスなどの急性代謝失調がある場合、インスリン以外の血糖降下薬による治療を行ってはならず、直ちにインスリン療法を開始しなくてはならないとされています[1]。例外的に、α-グルコシダーゼ阻害薬は1型糖尿病患者でも使用でき、インスリンとの併用で食後高血糖が抑制されることが示されています[1]。SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン、ダパグリフロジン)も1型糖尿病への使用が可能ですが、ケトアシドーシスのリスクが増加することが報告されており、使用には専門医の指導のもとでの十分な注意が必要です[1][3]。

更新日:2026年7月18日。内容に誤りや古い情報にお気づきの際はご連絡ください。事実関係を確認のうえ訂正いたします。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第5章 血糖降下薬による治療(インスリンを除く) https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/05.pdf
  2. American Diabetes Association「9. Pharmacologic Approaches to Glycemic Treatment: Standards of Care in Diabetes—2024」Diabetes Care 47(Suppl.1):S158-S178, 2024 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10725810/
  3. 日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」 https://fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/recommendation_SGLT2.pdf
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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