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感染症

最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)

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✦ 結論から言うと

感染症とは、細菌・ウイルス・真菌(カビ)・寄生虫といった病原体が体内に侵入し、増殖することで発熱や咳、下痢などの症状を引き起こす病気の総称です[3]。感染症法では感染力と重篤性の高さに応じて一類から五類までに分類され、分類によって入院措置や届出義務の重さが大きく変わります[1]。手洗い・咳エチケット・ワクチン接種が最も基本的で効果の高い予防策とされています[5]。

原因 細菌・ウイルス・真菌・寄生虫などの病原体が体内に侵入し増殖すること[3]
主な症状 発熱・咳・のどの痛み・下痢・発疹など、原因となる病原体や感染部位により異なる
受診の目安 高熱が続く・呼吸が苦しい・水分が摂れない・意識がぼんやりするなどの場合はすぐに医療機関へ連絡[6]

感染症とは?原因と症状が出る仕組み

感染症とは、体外から侵入した病原体(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫など)が体内で増殖し、免疫系との相互作用の結果として発熱や炎症などの症状を引き起こす病気の総称です[3]。内閣感染症危機管理統括庁の解説では「病原体は大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などに分類される」とされています[3]。

細菌は大腸菌や黄色ブドウ球菌、結核菌などが代表例で、大きさは2〜10マイクロメートル程度、多くは抗菌薬(抗生物質)による治療が可能です[3]。一方でウイルスはインフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、ノロウイルスなどが代表例で、細菌よりもさらに小さく0.1マイクロメートル程度しかありません[3]。ウイルスは自分自身だけでは増殖できず、人の細胞の中に入り込んでその細胞の仕組みを利用して増える点が細菌と大きく異なります。この違いが「細菌感染症には抗菌薬が効くがウイルス感染症には効かない」という、日常診療で非常に重要な原則につながっています。

真菌は白癬菌(水虫の原因)やカンジダなどのカビの仲間で、皮膚や粘膜、時に肺などの臓器に感染します[3]。寄生虫はアニサキス(生魚・イカに寄生)やマラリア(蚊が媒介)、エキノコックス(キツネなどが宿主)のように、他の生物の体内や体表で生活し栄養を奪う生物です[3]。

感染症を起こす4種類の病原体
大きさ・治療法・代表例が病原体ごとに異なる

病原体の種類によって大きさも治療法も異なる。ウイルス感染症に抗菌薬(抗生物質)は効かない[3]。

出典:内閣感染症危機管理統括庁「感染症の基礎知識」[3]/JHO編集部が作図

感染が成立するには「感染源(病原体)」「感染経路」「宿主(感染を受ける人)」の3つの要因がそろう必要があり、厚生労働省の資料では感染対策の原則として「病原体を持ち込まない・持ち出さない・拡げない」の3点が挙げられています[6]。この3要因のうちどれか1つでも断ち切れば感染は成立しないため、手洗いや換気、ワクチン接種はいずれも「感染経路を断つ」または「宿主の抵抗力を高める」という理屈で予防効果を発揮します。

体が病原体と戦う仕組み(免疫の考え方)

病原体が体内に侵入すると、まず皮膚や粘膜、胃酸などの「物理的・化学的なバリア」がこれを防ごうとします。このバリアを突破されると、白血球などが病原体を攻撃する「自然免疫」がはたらき、さらに時間をかけて、その病原体だけを狙い撃ちする抗体を作り出す「獲得免疫(適応免疫)」が発動します。発熱は、体温を上げることで一部の病原体の増殖を抑え、免疫細胞のはたらきを高めるための体の防御反応の一つと理解されています。一度かかった感染症に対して抗体ができ、再感染しにくくなったり症状が軽くなったりする現象(免疫の記憶)を、あらかじめ人工的に安全な形で体験させ、発症や重症化を防ぐ仕組みがワクチンです。

感染症は「うつる病気」の総称であり単一の病気の名前ではない

「感染症」という言葉は、特定の一つの病気を指すのではなく、「病原体がヒトからヒトへ、あるいは動物や環境からヒトへうつることで起こる病気」全体をまとめて指す総称であるという点を押さえておくことが理解の出発点になります。糖尿病や高血圧のような生活習慣病、多くのがんとは異なり、感染症は「原因となる病原体が特定でき、多くの場合は他者への感染力を持つ」という共通点でまとめられた、非常に幅広いカテゴリーです。そのため「感染症の治療法」を一つに絞って語ることはできず、原因となる病原体の種類に応じて、抗菌薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬・駆虫薬など、まったく異なるアプローチが必要になります。

なぜ「同じような症状」でも原因の病原体が違うのか

発熱・咳・のどの痛みといった症状は、細菌感染症でもウイルス感染症でも共通して見られることが多く、症状だけから原因の病原体を正確に特定するのは医師であっても容易ではありません。そのため医療機関では、症状の経過(発症からの日数、症状の出方の順番)、周囲の流行状況、必要に応じて迅速検査やPCR検査、血液検査などを組み合わせて診断を行います。「熱があるから抗生物質をもらえば安心」という考え方は誤りで、原因がウイルスであれば抗菌薬は効果がなく、不要な服用はかえって薬剤耐性菌を増やすリスクにつながる点に注意が必要です。

出典:内閣感染症危機管理統括庁「感染症の基礎知識」[3]/厚生労働省「感染対策の基礎知識」[6]

感染経路の種類と広がり方の違い

内閣感染症危機管理統括庁の解説では、感染経路として主に「①接触感染、②空気感染、③飛沫感染」の3種類が挙げられています[3]。これに加え、食品や水を介する経口感染、蚊やダニなどの生物が病原体を運ぶ媒介感染も、感染対策の現場では重要な経路として扱われます。

飛沫感染

感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛び散った飛沫(ウイルスなどを含む水分の粒)が、他の人の口や鼻、目などの粘膜に付着することで感染が成立する経路です。飛沫は2メートルほど飛ぶことが知られており、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、風しんなど多くの呼吸器感染症の主要な感染経路とされています。

接触感染

感染者の手についた病原体がドアノブや手すり、スイッチなどに付着し、その物に触れた別の人の手を介して、目や鼻、口などの粘膜から体内に入る経路です。ノロウイルスやアデノウイルス感染症(プール熱・咽頭結膜熱)など、多くの感染症で接触感染も無視できない経路になります。

空気感染(飛沫核感染)

空気中を漂う非常に微細な粒子(飛沫核)を吸い込むことで感染する経路で、飛沫感染より遠くまで、長時間にわたって感染性を保つ場合があります。麻しん(はしか)や水痘(水ぼうそう)、結核などが代表的な空気感染性の感染症です。

経口感染

病原体に汚染された食品や水を摂取することで感染する経路です。食中毒の原因となる細菌・ウイルスの多くはこの経路をとります。詳しい原因菌や症状、予防のポイントについては当サイトの食中毒の記事で解説しています。

媒介感染

蚊やダニ、ノミなどの生物(媒介動物)が病原体を運び、吸血などを通じて人に感染させる経路です。マラリアや日本脳炎などが代表例で、海外渡航時の予防接種や虫よけ対策が重要になります。

母子感染(垂直感染)

妊娠中や出産時、母乳を通じて母親から子どもへ病原体が伝わる経路も、一般的な感染経路の分類とは別に「垂直感染」として重要視されています。風しんウイルスのように妊娠初期の感染が胎児に影響を及ぼしうる感染症もあるため、妊娠を希望する場合や妊娠中は、ワクチンの接種歴や抗体の状態について医師に相談することが勧められています。

感染経路と対策の対応関係

感染経路ごとに、特に有効とされる対策には次のような傾向があります。飛沫感染が主体の感染症では、感染者・周囲の人双方のマスク着用や、人と人との距離をとることが重視されます。接触感染が主体の感染症では、手洗い・手指消毒、物の表面の消毒が特に重要になります。空気感染が主体の感染症では、換気の徹底や、必要に応じて特殊なフィルター(N95マスクなど)の使用が検討されます。経口感染が主体の感染症では、食品の十分な加熱、調理器具の消毒、生水を避けるといった対策が中心になります。実際の感染対策では、対象となる感染症の主な感染経路を踏まえたうえで、これらの対策を組み合わせて実施することが基本とされています。

一つの感染症が複数の経路で広がることもある

実際の感染症では、単一の経路だけでなく複数の経路が組み合わさって流行が広がることも珍しくありません。例えばノロウイルス感染症は、汚染された食品を介した経口感染だけでなく、感染者の嘔吐物やふん便に触れることによる接触感染、乾燥した嘔吐物の飛沫核を吸い込むことによる空気感染に近い経路でも広がるとされています。そのため、感染対策を考える際は「この感染症は主にどの経路で広がりやすいか」を踏まえたうえで、手洗い・換気・消毒など複数の対策を組み合わせることが重要です。

出典:内閣感染症危機管理統括庁「感染症の基礎知識」[3]

診断の目安となる数値・基準(感染症法の分類)

感染症法における感染症の類型と主な考え方
類型 考え方 代表的な感染症
一類感染症 感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が極めて高い感染症[1] エボラ出血熱、ペストなど[1]
二類感染症 感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が高い感染症[1] 結核、鳥インフルエンザ(H5N1等)など[1]
三類感染症 特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症[1] コレラ、細菌性赤痢など[1]
四類感染症 動物、飲食物等の物件を介してヒトに感染する感染症[1] E型肝炎、A型肝炎、日本脳炎など[1]
五類感染症 国が発生動向調査を行い、その結果等に基づき国民一般や医療関係者に情報提供・公開することで発生・まん延を防止すべき感染症[1] インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、手足口病、感染性胃腸炎など[1]

出典:厚生労働省「類型から探す(感染症法)」[1]/感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)[2]

五類感染症はさらに、診断した医師に届出を義務づける「全数把握」対象(麻しんや風しんなど)と、指定された定点医療機関からの報告で動向を把握する「定点把握」対象(インフルエンザや手足口病など)に分けられています[1]。インフルエンザについては当サイトのインフルエンザの記事で、症状・受診の目安・出席停止期間まで詳しく解説しています。

新型コロナウイルス感染症は当初「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」という特別な位置づけでしたが、2023年(令和5年)5月8日に「五類感染症」へ移行しました[7]。移行後は感染症法に基づく外出自粛要請が求められなくなり、外出を控えるかどうかは個人の判断に委ねられるようになりました[7]。また、限られた医療機関でのみ受診可能だった状態から、幅広い医療機関で受診できるようになった一方、医療費は基本的に健康保険が適用され1〜3割の自己負担となり、急激な負担増を避けるための公費支援が期限を区切って継続されています[7]。詳しくは当サイトの新型コロナウイルス感染症の記事をご覧ください。

一類〜五類以外の分類(新型インフルエンザ等感染症・指定感染症)

感染症法の分類は一類〜五類だけではありません。実際の運用では、次のような区分も重要な役割を果たしています。

感染症法上のその他の主な区分
区分 考え方
新型インフルエンザ等感染症 新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスによる感染症で、全国的かつ急速なまん延により国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの[1]。新型コロナウイルス感染症も、五類へ移行する前はこの区分(2類相当の措置)で扱われていました[7]
指定感染症 既知の感染症の中で、一類〜三類、新型インフルエンザ等感染症に分類されない感染症のうち、上記に準じた対応の必要が生じた場合に、政令で1年以内(延長可)に限り指定される区分[1]
新感染症 人から人に伝染する未知の感染症で、感染力や重篤性が極めて高い場合に想定される区分[1]

このように、感染症法は「あらかじめ想定できる感染症」だけでなく、「新たに出現した未知の感染症」にも段階的に対応できるよう設計されている点が特徴です。分類が上がるほど、入院措置や就業制限、まん延防止のための協力要請など、行政が取りうる対応の強さも大きくなる仕組みになっています。

新興感染症・再興感染症とは

感染症は「新興感染症」と「再興感染症」という切り口で語られることもあります。新興感染症とは、新型コロナウイルス感染症のように、新たに出現し、公衆衛生上の問題となる感染症を指します。近年、都市化や国際的な人の往来の増加、環境の変化などを背景に、新たな感染症が出現しやすい状況にあると指摘されています。一方、再興感染症とは、結核のように、かつて発生数が減少していたものの、何らかの理由で再び増加傾向にある感染症を指します。国立健康危機管理研究機構(JIHS)は、こうした新興・再興感染症を含む感染症全般の発生動向調査、研究、危機対応、人材育成などを一体的に担う専門機関として、2025年4月に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合して設立されました[8]。

感染症の種類の見分け方(細菌感染症・ウイルス感染症・真菌感染症)

病原体の種類による特徴の違い
項目 細菌感染症 ウイルス感染症 真菌感染症
大きさ 2〜10μm[3] 約0.1μm(細菌よりはるかに小さい)[3] 細菌よりやや大きい傾向
自力での増殖 可能(栄養があれば単独で分裂増殖) 不可能(人の細胞に侵入し、その仕組みを利用して増える) 可能
代表例 大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌[3] インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、ノロウイルス[3] 白癬菌(水虫)、カンジダ[3]
主な治療薬 抗菌薬(抗生物質) 特効薬がある感染症は一部(インフルエンザ等)に限られ、対症療法が中心になることが多い 抗真菌薬

見分けるカギ:「風邪に抗生物質は効かない」と言われるのは、風邪の多くがウイルス感染症であり、細菌をターゲットにした抗菌薬がウイルスには作用しないためです。自己判断で抗菌薬の使用を求めたり中断したりせず、医師の診断に従うことが薬剤耐性菌を増やさないためにも重要です。

経過とケア:時期別の考え方

多くの感染症は「潜伏期間(病原体が体内に入ってから症状が出るまでの期間)」「発症期(症状が最も強く出る時期)」「回復期(症状が徐々に軽快する時期)」という経過をたどります。潜伏期間は感染症の種類によって数時間(一部の食中毒)から数週間(水痘など)まで大きく異なるため、「いつ・どこで感染したか」を正確に特定するのが難しいことも少なくありません。

発症期には、原因となる病原体に応じた症状(発熱、咳、下痢、発疹など)が現れます。この時期は他の人にうつしやすい期間と重なることが多く、学校保健安全法施行規則では感染症の種類ごとに「出席停止の期間の基準」が定められています[4]。例えばインフルエンザの出席停止期間の基準は「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」とされています[4]。新型コロナウイルス感染症は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」が基準です[4]。回復期には症状が軽快していきますが、感染症によっては症状が消えた後もしばらく病原体を排出し続け、周囲への感染力が残ることがあるため、学校や職場への復帰時期は自己判断せず、基準や医師の指示に従うことが大切です。

子どもの感染症の経過で特に注意したいこと

乳幼児や小学校低学年頃までの子どもは、症状の経過が大人よりも急速に進むことがあり、また自分の体調をうまく言葉で伝えられないことも少なくありません。ぐったりして呼びかけへの反応が乏しい、ミルクや水分をまったく受け付けない、けいれんを起こした、といった様子は、大人であれば様子を見るような場合でも、子どもでは速やかな受診が必要なサインとされています。当サイトの小児科(子どもの病気)の記事では、子どもによく見られる病気全般について解説していますので、あわせてご参照ください。

高齢者の感染症の経過で特に注意したいこと

高齢者は、感染症にかかっても発熱などの典型的な症状がはっきり出にくく、「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」「反応が鈍い」といった非典型的な症状で感染症が進行していることがあります。このため、家族や周囲が普段との違いに気づいたときは、発熱の有無だけにとらわれず、早めに医療機関へ相談することが勧められます。

受診の目安:今すぐ救急要請すべきか、自宅で様子見か

感染症にかかったときにどのタイミングで医療機関を受診すべきかは、症状の強さと種類によって次のように整理できます。

受診の目安(3段階の考え方)
段階 状態の例 対応
今すぐ救急要請(119番) 呼吸が苦しい・唇や顔色が悪い・意識がはっきりしない・けいれんが続く・水分を全く受け付けない ためらわず119番へ連絡する[6]
できるだけ早く受診 高熱が2〜3日以上続く・ぐったりして食欲が全くない・強い脱水症状(尿が極端に少ない等) かかりつけ医や発熱外来へ連絡のうえ受診
自宅で様子を見てよい場合が多い 軽い発熱・咳・鼻水程度で、水分や食事がとれ、機嫌や活気がある 安静・水分補給をしながら経過観察。悪化すれば早めに受診

どの感染症であっても、「意識状態がおかしい」「呼吸が明らかに苦しそう」「水分がまったく摂れない」といった徴候は緊急性が高いサインです。迷った場合は救急安心センター事業(#7119)など地域の相談窓口の利用も選択肢になります。

「様子見」と「早めの受診」の境目をどう考えるか

症状の強さは同じように見えても、「経過とともに良くなっているか、悪くなっているか」という時間の流れを見ることが、受診のタイミングを判断するうえで重要な視点になります。発熱の1〜2日目は多くの感染症で症状が強く出やすい時期ですが、その後も熱が下がらない、一度落ち着いた症状がぶり返す、新たな症状(呼吸のしにくさ、意識のもうろう感など)が加わるといった場合は、経過観察を続けるのではなく、早めに医療機関へ相談することが勧められます。逆に、症状のピークを越え、食事や水分がとれ、活気が戻ってきている場合は、多くの感染症で自然な回復過程にあると考えられます。

特に注意が必要な人(重症化しやすい人)

同じ感染症にかかっても、重症化のしやすさは年齢や基礎疾患の有無によって大きく異なります。一般に、乳幼児は免疫の仕組みが未成熟で症状が急速に進みやすく、高齢者は加齢に伴う免疫機能の低下や複数の持病により重症化しやすいとされています。また、糖尿病や慢性の呼吸器疾患・心疾患・腎臓病などの基礎疾患がある人、免疫を抑える治療(がん治療や臓器移植後の免疫抑制薬など)を受けている人、妊娠中の人も、通常より重症化のリスクが高いグループとして注意が呼びかけられています。これらに該当する人は、発熱などの初期症状の段階で早めに医療機関へ相談することが勧められます。

海外渡航前後の注意点

海外、特に衛生状態や流行状況が日本と異なる地域へ渡航する場合は、渡航先で流行している感染症(マラリア、デング熱、狂犬病、A型肝炎など)についてあらかじめ調べ、必要なワクチン接種や予防内服を検討することが勧められます。帰国後に発熱などの症状が出た場合は、受診時に渡航先・渡航時期・現地での行動(動物との接触や生水の摂取など)を医師に伝えることが、正確な診断につながります。

日本と海外(WHO・CDC)の感染症対策の考え方の比較

項目 日本(感染症法・厚生労働省) 国際的な枠組み(WHO国際保健規則)
分類の仕組み 一類〜五類・新型インフルエンザ等感染症・指定感染症など、法律に基づく多段階の類型で入院措置や届出義務の強さを規定[1] 「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の宣言など、加盟国共通の枠組みで国際的な対応を調整
新型コロナの位置づけの変化 2類相当の特別な扱いから2023年5月8日に5類感染症へ移行し、外出自粛要請なども個人判断に変更[7] WHOは2023年5月にCOVID-19のPHEIC終了を宣言(国際的な緊急事態としての扱いを終了)

日本の感染症法は国内の医療提供体制(入院勧告・就業制限・届出義務など)を細かく規定する法律であるのに対し、WHOの国際保健規則は国境を越えた感染症危機に加盟国が協調して対応するための枠組みという役割の違いがあります。どちらも「感染力」と「重篤性」を評価軸にしている点は共通していますが、法的拘束力の範囲や適用単位(国内 vs 国際)が異なるため、単純に「同じ基準」として比較することはできません。

また、感染症対策の運用面でも日本と海外で違いが見られることがあります。例えば、新型コロナウイルス感染症をめぐっては、マスク着用の考え方について、日本では屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針が採られている一方、海外では地域や時期によって、医療機関や公共交通機関でのマスク着用を推奨または義務付ける対応が続けられている国・地域もあります。このように、同じ感染症であっても、社会・文化的背景や医療制度の違いによって具体的な対策の内容が異なることがあるため、海外の情報をそのまま日本の状況に当てはめるのではなく、日本国内の最新の公的情報(厚生労働省・自治体・JIHSなど)を確認することが重要です[7][8]。

出典:厚生労働省「類型から探す(感染症法)」[1]/厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」[7]

感染症の発生動向調査とは(ニュースで見る数字の出どころ)

「インフルエンザが流行期に入りました」「手足口病の患者数が過去5年で最多です」といったニュースで報じられる数字は、感染症法に基づく感染症発生動向調査の仕組みから得られています[1]。五類感染症のうち、麻しんや風しんなど特に重要とされる感染症は「全数把握」の対象とされ、診断したすべての医師に届出義務があります[1]。一方、インフルエンザや手足口病、感染性胃腸炎などは「定点把握」の対象とされ、全国に指定された定点医療機関が1週間ごとに患者数を報告する仕組みで動向が把握されています[1]。

定点把握の場合、報告数はすべての患者数そのものではなく、指定医療機関から報告された患者数を基にした「1定点当たりの報告数」という指標で示されるのが一般的です。この数値がある基準(警報レベル・注意報レベルなど)を超えると、自治体などから流行の注意喚起が発表されます。このような仕組みを理解しておくと、ニュースで見る感染症の数字が「国内すべての患者数の実数」ではなく、「調査の仕組みに基づく指標」であることが分かり、数字の意味をより正確に読み取れるようになります。

季節による感染症の傾向

感染症の流行には季節性がみられるものが少なくありません。冬季(12月〜3月頃)はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、低温・低湿度で飛沫が乾燥しやすく空気中を漂いやすい環境で広がりやすい呼吸器感染症が流行しやすい時期とされています。夏季(6月〜9月頃)は手足口病やヘルパンギーナ、感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス以外の腸管系ウイルス)など、高温多湿な環境や子ども同士の接触機会の増加を背景に流行する感染症が中心になります。手足口病について詳しくは当サイトの手足口病の記事をご覧ください。また、プールの時期に増えるアデノウイルス感染症(プール熱・咽頭結膜熱)についてはアデノウイルス感染症の記事で解説しています。

ただし、季節性はあくまで統計的な傾向であり、どの感染症も年間を通じて発生する可能性がある点には注意が必要です。特に近年は新型コロナウイルス感染症のように、季節を問わず流行の波が生じる感染症も存在します。また、梅雨時期から夏にかけては食品が傷みやすくなることから、細菌性の食中毒(腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ菌など)が増加する傾向があり、気温・湿度の変化に応じて注意すべき感染症の顔ぶれが移り変わっていく点も、季節ごとの傾向として押さえておきたいポイントです。

予防の基本:手洗い・うがい・マスク・ワクチン・標準予防策

厚生労働省の資料では、感染対策の原則として「病原体を持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」という3つの視点が挙げられています[6]。この考え方に基づく代表的な予防策は次のとおりです。

手洗い

手指衛生(手洗い)は感染対策の基本中の基本とされ、石けんと流水による丁寧な手洗い、またはアルコール性手指消毒薬の使用が推奨されています。外出後、食事前、トイレの後、咳やくしゃみを手で押さえた後などのタイミングでの手洗いが特に重要です。

うがい・マスクの着用(咳エチケット)

厚生労働省は、新型コロナウイルスを含む感染症対策の基本として「手洗い」や「マスクの着用を含む咳エチケット」を挙げています[5]。咳エチケットとは、咳やくしゃみをする際にティッシュやマスク、袖などで口と鼻を覆い、周囲へ飛沫を飛ばさないようにする配慮のことです。とっさに咳やくしゃみが出た場合でも、手のひらではなく袖やひじの内側で口と鼻を覆うと、その後に手で周囲のものに触れて病原体を広げてしまうリスクを減らせるとされています。

ワクチン接種

ワクチンは、病原体そのもの、またはその一部を弱毒化・不活化した成分をあらかじめ体に接種することで、免疫の仕組みをはたらかせ、実際に感染した際の発症や重症化を防ぐ、または軽減することを目的とした予防法です。対象となる感染症や接種スケジュール、費用の公費負担の有無は感染症の種類や年齢によって異なるため、詳細は自治体や医療機関、厚生労働省の最新情報で確認することが重要です。

標準予防策(スタンダード・プリコーション)

医療現場で用いられる「標準予防策」は、血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚や粘膜などを、感染症の有無にかかわらずすべて「感染の可能性があるもの」として一律に取り扱うという考え方です。家庭内でも、この考え方を参考に、傷口の手当てや嘔吐物の処理などの際に手袋を使用する、使い捨て可能なものは適切に廃棄するといった対応が応用できます。

換気

空気感染や飛沫核感染のリスクを下げるうえで、こまめな換気は重要な対策の一つです。窓を2カ所以上開けて空気の通り道を作る、換気設備を活用するなどして、室内の空気を入れ替えることが推奨されています。特に人が集まる密閉された空間では、換気の頻度を意識的に増やすことが勧められます。

消毒

ドアノブや手すり、スイッチなど、多くの人が触れる物の表面を定期的に消毒することは、接触感染の対策として有効です。病原体の種類によって有効な消毒薬(アルコール、次亜塩素酸ナトリウムなど)が異なるため、対象となる感染症に応じた消毒方法を確認することが望ましいとされています。例えばノロウイルスのようにアルコール消毒の効果が限定的とされる病原体もあり、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が推奨される場面もあります。

栄養・睡眠など体調管理の基本

病原体そのものへの対策に加え、十分な睡眠・バランスの取れた食事・適度な運動によって体調を整えておくことも、感染症にかかりにくい体、またはかかっても重症化しにくい体を維持するうえで基本的な要素とされています。特に体調がすぐれないときに無理をして活動を続けることは、症状の悪化や周囲への感染拡大につながる可能性があるため、休養を優先することが勧められます。

予防接種(ワクチン)の種類と考え方

日本の予防接種制度は、大きく「定期接種」と「任意接種」に分けられます。定期接種は予防接種法に基づき、対象となる年齢の人が公費(多くは自治体負担)で受けられる接種で、麻しん・風しん混合(MR)ワクチンや日本脳炎ワクチンなどが含まれます。対象年齢や接種スケジュールは感染症・ワクチンの種類ごとに細かく定められているため、母子健康手帳や自治体からの案内、かかりつけの小児科・内科で確認することが基本になります。任意接種は、対象者が希望に応じて自己負担(一部公費助成がある場合も)で受ける接種で、季節性インフルエンザワクチンなどが該当します。

ワクチンには、病原体を弱毒化して用いる「生ワクチン」、病原体を不活化(無毒化)して用いる「不活化ワクチン」、病原体の遺伝情報の一部を利用する「mRNAワクチン」など複数の種類があり、それぞれ接種間隔や接種後の注意点が異なります。特に生ワクチンは、他の生ワクチンとの接種間隔に一定の制限が設けられている場合があるため、複数のワクチンを受ける際は医療機関で接種スケジュールを確認することが重要です。子どもの定期接種は種類が多く、接種時期が前後すると免疫がつきにくくなる場合もあるため、母子健康手帳の記録をもとに、かかりつけ医と一緒にスケジュールを管理していくことが勧められます。

学校・職場・高齢者施設での感染症対策

学校では、学校保健安全法及び同法施行規則に基づき、感染症の種類ごとに出席停止の基準が定められているほか、必要に応じて学級閉鎖・学年閉鎖・臨時休業などの措置がとられることがあります[4]。これは、集団生活の場でまとまった人数が長時間近い距離で過ごすことにより、感染症が急速に広がりやすいという特性を踏まえた対応です。

職場においては、学校のような一律の法的な出席停止基準はありませんが、就業規則や企業ごとの方針で、発熱時の出社基準やテレワークへの切り替えなどが定められている場合があります。感染症法上の三類感染症(コレラ、細菌性赤痢など)については、飲食物を扱う仕事など特定の職業に就く場合に就業制限がかかることがある点も、一般的な体調管理とは別に押さえておきたいポイントです[1]。

高齢者施設や医療機関のように、重症化しやすい人が集団で生活・療養する場では、施設内で感染症が広がった場合に重症化するリスクが特に高いことから、面会時のマスク着用や手指消毒、体調不良時の面会制限など、一般家庭よりも厳格な感染対策が求められることが一般的です。施設ごとの方針は異なるため、家族が面会する際は事前に施設の案内を確認することが望ましいとされています。

よくある誤解と注意点

感染症をめぐっては、医学的な根拠が乏しい情報が広まることも少なくありません。ここでは特に注意したい誤解をいくつか整理します。

誤解1:「熱が出たらとにかく抗生物質を飲めば早く治る」 — 発熱の原因がウイルスであれば、抗菌薬(抗生物質)は効果がありません[3]。不必要な抗菌薬の使用は、体に有用な細菌のバランスを崩したり、薬剤耐性菌(抗菌薬が効きにくい細菌)を生み出す一因になったりすることが懸念されています。

誤解2:「一度かかった感染症には二度とかからない」 — 感染症の種類によっては、一度の感染で長期間にわたる免疫(防御力)が得られるものもありますが、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのように変異を繰り返す病原体では、以前とは異なる型に再度感染することがあります。「一度かかったから安心」とは限らない点に注意が必要です。

誤解3:「症状がなければ人にうつすことはない」 — 感染症の中には、症状が出る前や、症状が軽快した後もしばらくの間、体内に病原体を保有し他人にうつす可能性がある期間(感染性期間)が続くものがあります。学校保健安全法施行規則の出席停止基準が「解熱後○日を経過するまで」のように症状消失後の期間まで定めているのは、このためです[4]。

誤解4:「マスクさえしていれば手洗いは不要」 — マスクは主に飛沫感染・空気感染への対策として位置づけられており、接触感染や経口感染を防ぐ効果は限定的です[3]。マスクと手洗いはそれぞれ異なる感染経路を意識した対策であり、どちらか一方で十分というわけではありません。

誤解5:「感染症法で五類に分類された感染症は軽い病気だ」 — 五類感染症は「危険性が低い」という意味ではなく、「国が発生動向調査を行い、情報提供・公開を通じてまん延を防止すべき感染症」という位置づけです[1]。新型コロナウイルス感染症のように、五類であっても人によっては重症化しうる感染症が含まれている点には注意が必要です。分類は主に行政上の対応の強さを区分するものであり、個々の患者にとっての症状の重さを直接示す指標ではありません。

用語集(感染症を理解するための基本用語)

感染症に関する基本用語
用語 意味
潜伏期間 病原体が体内に侵入してから、症状が現れるまでの期間
不顕性感染 病原体に感染しているにもかかわらず、症状がまったく現れない状態
日和見感染 健康な人には通常症状を起こさない病原体が、免疫力が低下した人に症状を引き起こすこと
院内感染(医療関連感染) 医療機関内で新たに感染症にかかること
薬剤耐性(AMR) 細菌などが抗菌薬に対して抵抗力を持ち、薬が効きにくくなる現象
集団免疫 集団の中で免疫を持つ人の割合が高まることで、感染症全体の広がりが抑えられる状態
アウトブレイク 特定の地域や集団で、通常予想される以上に感染症が発生すること
パンデミック 感染症が世界的な規模で流行すること

これらの用語は、ニュースや自治体からの情報提供などでもたびたび登場します。基本的な意味を押さえておくことで、感染症に関する情報をより正確に理解する助けになります。特に「不顕性感染」は見落とされがちな概念で、症状がないからといって病原体を保有していない、あるいは周囲にうつす可能性がないとは限らないという点が、感染対策を考えるうえで重要になります。また「薬剤耐性(AMR)」は、世界的にも対策が急がれている課題の一つとされており、一人ひとりが不必要な抗菌薬の使用を避けることが、社会全体で薬剤耐性菌の増加を防ぐことにつながると考えられています。

医療費の目安

感染症にかかった際の医療費は、感染症の種類、外来か入院か、公費支援の有無(新型コロナウイルス感染症など制度が設けられている場合)によって大きく異なります。特に長期入院が必要になった場合や、複数の医療機関を受診した場合には、1カ月あたりの自己負担額が高額になることがありますが、そのような場合に自己負担の上限を定める「高額療養費制度」をはじめ、子どもの医療費助成、傷病手当金など、経済的な負担を軽減するための公的な制度が複数用意されています。どの制度が使えるかは年齢・所得・加入している医療保険の種類によって異なるため、加入している健康保険組合や自治体の窓口へ確認することが確実です。最新の制度内容は次の情報でご確認ください。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

よくある質問(FAQ)

感染症とウイルス性疾患は同じ意味ですか?
感染症はウイルス・細菌・真菌・寄生虫などあらゆる病原体による病気を含む広い概念で、ウイルス性疾患はそのうちウイルスが原因のものだけを指します[3]。細菌が原因の感染症(結核や細菌性赤痢など)はウイルス性疾患には含まれません。
感染症法の1類〜5類はどうやって決まっていますか?
感染力と、かかった場合の重篤性(症状の重さ)の高さを基準に一類から五類に分類されています。一類が最も危険性が高く、五類は国民や医療関係者への情報提供を通じてまん延を防止すべき感染症です[1]。
新型コロナウイルス感染症は今何類ですか?
2023年5月8日以降、五類感染症に分類されています[7]。以前は新型インフルエンザ等感染症(2類相当)として扱われていましたが、移行後は外出自粛要請などが個人の判断に委ねられるようになりました[7]。
感染経路にはどんな種類がありますか?
主に接触感染・飛沫感染・空気感染の3種類が挙げられ、これに経口感染や蚊などを介した媒介感染を加えて整理されることもあります[3]。感染症によって主な経路が異なるため、対策も変わります。
子どもの感染症で学校を休ませる期間はどう決まりますか?
学校保健安全法施行規則第19条で、感染症の種類ごとに出席停止期間の基準が定められています[4]。例えばインフルエンザは、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまでが基準です[4]。
抗生物質(抗菌薬)はどんな感染症にも効きますか?
効きません。抗菌薬は細菌に対して作用する薬であり、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などウイルスが原因の感染症には効果がありません[3]。自己判断での使用や中断は薬剤耐性菌の増加につながるおそれがあります。
発熱が続くとき、何科を受診すればよいですか?
まずはかかりつけの内科や小児科(子どもの場合)に相談するのが基本です。強い呼吸器症状が疑われる場合は発熱外来の設置状況を事前に医療機関や自治体窓口へ確認してから受診するとスムーズです。
夏に流行しやすい感染症には何がありますか?
手足口病やヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症(プール熱)など、子どもを中心に接触機会の多い夏季に流行しやすい感染症があります。詳しくは手足口病・アデノウイルス感染症の記事をご覧ください。
冬に流行しやすい感染症には何がありますか?
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、低温・低湿度の環境で広がりやすい呼吸器感染症が中心です。詳しくはインフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の記事をご覧ください。
マスクは全ての感染症に効果がありますか?
マスクは主に飛沫感染や一部の空気感染性の感染症に対する対策として位置づけられています[5]。接触感染や経口感染が主体の感染症(一部の食中毒など)では、マスクよりも手洗いや調理時の衛生管理がより重要になります。
感染症にかかったら必ず仕事や学校を休む必要がありますか?
学校については学校保健安全法施行規則で感染症ごとの出席停止期間が定められています[4]。職場についてはこのような一律の法的基準はありませんが、周囲への感染拡大を防ぐ観点から、症状が強い間や医師の指示がある間は休養することが望ましいとされています。
感染症法上の届出義務は誰が行いますか?
多くの感染症では、診断した医師が保健所へ届け出る義務を負います。五類感染症の一部(全数把握対象)はすべての医師に届出義務がありますが、インフルエンザなど定点把握対象の感染症は指定された医療機関からの報告により動向が把握されます[1]。
国立感染症研究所は今もありますか?
2025年4月に国立国際医療研究センターと統合され、「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」という新しい組織になりました[8]。感染症の情報分析・研究・危機対応などの機能は、この新組織に引き継がれています[8]。
新興感染症と再興感染症の違いは何ですか?
新興感染症は新型コロナウイルス感染症のように新たに出現した感染症を指し、再興感染症は結核のように一度発生数が減った後に再び増加した感染症を指します。どちらも国立健康危機管理研究機構(JIHS)などが監視・研究を続けています[8]。
感染症法の「指定感染症」とはどういうものですか?
一類〜三類感染症や新型インフルエンザ等感染症に分類されない既知の感染症のうち、それらに準じた対応が必要になった場合に、政令で1年以内(延長可)の期間を区切って指定される区分です[1]。状況の変化に応じて機動的に対応するための仕組みとされています。
感染症にかかりやすい人・重症化しやすい人はいますか?
乳幼児、高齢者、糖尿病や慢性呼吸器疾患・心疾患・腎臓病などの基礎疾患がある人、免疫を抑える治療を受けている人、妊娠中の人は、一般的に重症化のリスクが高いグループとされています。該当する場合は症状が軽いうちから早めに医療機関へ相談することが勧められます。
子どもが感染症にかかったとき、家庭内でうつさないための工夫はありますか?
タオルや食器の共有を避ける、看病する人を可能な範囲で限定する、手洗い・換気・こまめな消毒を徹底するといった対応が一般的に勧められています。特にノロウイルスなど嘔吐物を介して広がる感染症では、嘔吐物の適切な処理方法(使い捨て手袋の使用、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒など)を確認しておくことが重要です。

感染症に関する記事一覧

記事一覧 106件

基礎知識・原因 2

症状・見分け方 13

検査・数値 4

食事・生活 14

治療・薬 52

合併症・リスク 11

その他 10

感染症にまつわる社会制度と相談窓口(医師も詳しくない分野)

感染症の診断や治療そのものは医師の専門領域ですが、感染症にかかった際に利用できる社会制度や相談窓口については、必ずしも医師が詳しいとは限りません。ここでは、患者やその家族が実際によく直面する制度・相談先を整理します。

傷病手当金:会社員などが加入する健康保険において、業務外の病気やけがで働けなくなり、給与の支払いを受けられない場合に、一定の条件を満たすと支給される制度です。感染症による長期の療養が必要になった場合にも対象となり得ますが、支給には申請手続きが必要なため、加入している健康保険組合や協会けんぽへの確認が必要です。

感染症に関する相談窓口:感染症の症状や受診の目安について迷ったときは、地域の保健所や、救急安心センター事業(#7119)が実施されている地域ではその窓口、こども医療電話相談事業(#8000)などが相談先として利用できます。特に休日や夜間で医療機関の受診可否に迷う場合、こうした窓口へ電話で相談することで、緊急性の判断や適切な受診先についての助言を受けられることがあります。

感染症発生時の情報公開:学校や保育施設、職場などで感染症の集団発生(アウトブレイク)が起きた場合、施設側から保護者や関係者へ情報提供が行われることが一般的です。個人が特定される情報の取り扱いには配慮しつつ、必要な感染対策の情報が共有される仕組みになっています。

感染症の種類ごとの具体的な潜伏期間や重症化リスクの詳細な数値については、感染症や年齢、基礎疾患の有無によって大きく異なり、現時点で確定的な結論が出ていない論点も残されています。今回参照した資料にも、すべての感染症を網羅する詳細な数値までは記載が見当たりませんでした。個別の感染症について詳しく知りたい場合は、当サイトの各感染症の記事、または厚生労働省・国立健康危機管理研究機構(JIHS)の最新情報をあわせてご確認ください。

参考文献

  1. 厚生労働省「類型から探す(感染症法)」 mhlw.go.jp/sagasu_ruikei
  2. 厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い」(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律「感染症法」に基づき、診断した医師が保健所へ届け出る制度についての解説ページ) mhlw.go.jp/kekkaku-kansenshou11
  3. 内閣感染症危機管理統括庁「感染症の基礎知識」 caicm.go.jp/knowledge
  4. 学校保健安全法施行規則(e-Gov法令検索) laws.e-gov.go.jp/333M50000080018
  5. 厚生労働省「咳エチケット」(咳やくしゃみの際にマスクやティッシュ、袖などで口と鼻を覆い、周囲への飛沫の飛散を防ぐための解説ページ) mhlw.go.jp/0000187997
  6. 厚生労働省「感染対策の基礎知識」 mhlw.go.jp/000501120.pdf
  7. 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」 mhlw.go.jp/corona5rui
  8. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)公式サイト jihs.go.jp/aboutus