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糖尿病 23分で読める 32回

糖尿病の日常ケア6つの基本|足と血糖を守る方法

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糖尿病患者の日々のケアは「①血糖自己測定(SMBG)②フットケア③シックデイ対応④運動⑤食事⑥定期受診」の6項目が柱で、日本糖尿病学会の熊本宣言2013では合併症予防のためのHbA1c目標を7.0%未満としています。[9]

令和5年の国民健康・栄養調査では「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性16.8%、女性8.9%と報告されており[8]、多くの人にとって糖尿病は一生付き合っていく病気になります。特別なことをする必要はなく、毎日の小さな習慣の積み重ねが、目・腎臓・神経・足・心血管の合併症を防ぐ最大の武器です。この記事では、糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)や日本糖尿病学会の資料をもとに、今日から実践できる6つのセルフケアを数値つきで解説します。

要点まとめ

  • 糖尿病情報センターによると、血糖自己測定(SMBG)は低血糖の早期発見・薬や食事の効果判定に役立つ。測定回数は主治医と相談して決める[3]
  • 糖尿病情報センターによると、フットケアは「毎日足の隅々まで見て触って観察」が基本。深爪と低温やけどが2大リスク[2]
  • 糖尿病情報センターによると、シックデイ(体調不良時)は、血糖値が350mg/dL以上続く・38度以上の高熱が続く・24時間食事が摂れないなら、すぐ医療機関へ連絡[1]
  • 糖尿病情報センター・厚生労働省e-ヘルスネットによると、運動は有酸素運動を週150分以上、レジスタンス運動を週2〜3回。空腹時血糖250mg/dL以上のときは中止[5][6]
  • 糖尿病情報センターによると、眼科は年1回、内科は薬の内容に応じて月1回前後の受診が目安。網膜症は自覚症状が出る前に進行する[10]

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。

🔧 今日のセルフケア・チェックリスト
□ 血糖値を測定した(測定している人) □ 足を見て触って観察した □ 靴を履く前に中を確認した □ 体調不良(発熱・嘔吐・下痢)はない □ 服薬・インスリンを予定どおり行った
1つでも「体調不良がある」に該当し、かつ血糖値が高い・食事が摂れない場合は、下の「シックデイ」の項目をすぐに確認してください。

糖尿病患者にセルフケアが欠かせない理由 — 高血糖が体を傷つける仕組み

図:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)・一般社団法人日本糖尿病学会の資料をもとにJHO編集部が作図[1][2][9]

糖尿病情報センターによると、糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)を細胞に取り込むために働くホルモン「インスリン」の量が不足したり、効きが悪くなったりして、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。高血糖そのものは自覚症状に乏しいことが多いため、「痛くないから大丈夫」と自己判断して治療やケアを中断してしまう人が少なくありません。しかし血管は毎日少しずつ傷んでいきます。糖尿病情報センターは、糖尿病治療とうまく付き合っていくためには、血糖・血圧・脂質の管理に加えて日々の生活習慣の見直しが重要だと説明しています[13]。

厚生労働省・糖尿病情報センターの資料によると、高血糖が続くと、まず細い血管(細小血管)が傷み、目の網膜・腎臓・末梢神経に障害が出やすくなります。これがいわゆる糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)です。さらに太い血管(大血管)にも動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や脳卒中、そして足の血流が悪くなることによる足潰瘍・壊疽のリスクも高まります。これらの合併症は、発症してから気づくのではなく、発症する「前」に日々のセルフケアで進行を食い止めることが何よりも重要です。本記事で扱う血糖自己測定・フットケア・シックデイ対応・運動・食事・定期受診の6項目は、いずれもこの合併症予防のための具体的な手段にあたります。

今の血圧・脈拍を確かめる

数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

身長と体重からBMIも調べる

これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

①血糖自己測定(SMBG)— 何のために、どれくらいの頻度で行うのか

血糖自己測定(SMBG:Self-Monitoring of Blood Glucose)は、簡易血糖測定器を使って自分で指先などから採血し、その場で血糖値を確認する方法です。糖尿病情報センターは、自己血糖測定によって「血糖変動の要因を把握できる」「低血糖を早めに発見して対処できる」「食事や運動、薬物療法の効果を判定して見直しができる」といった利点があると説明しています[3]。

項目 内容 備考
測定の目的 血糖変動の把握・低血糖の早期発見・治療効果の判定 糖尿病情報センターの説明より[3]
測定回数・タイミング 一律の基準はなく、主治医と相談して決める 「測定の回数やタイミングなどは、主治医と良く相談して決めましょう」[3]
公的医療保険が適用される主な対象 インスリン製剤・GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬を使用中の方、妊娠中の糖尿病の方の一部 「血糖自己測定器加算」という診療報酬による[3]
保険適用の消耗品の個数 診療報酬がひと月1回のみ算定されるため、渡せる消耗品の個数に上限がある 具体的な個数は医療機関により異なる[3]

出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「血糖自己測定について」[3]

SMBGは「毎回この数値でなければいけない」という絶対的な正解を出す検査ではなく、自分の生活の中で血糖値がどう動くかを知るための道具です。食前・食後・運動前後・体調不良時など、いつ測るかによって見えてくる情報が変わります。飲み薬のみで治療している人は保険適用の対象外になることが多く、その場合は自費で測定器・センサーを購入することになります。測定を始める・回数を増減させる際は、必ず主治医または看護師・薬剤師に相談してください。

②フットケア — 「見て・触って・清潔にする」毎日の3ステップ

糖尿病が進むと、末梢神経障害によって足の感覚が鈍くなったり、血流が悪くなったりします。その結果、小さな傷や靴擦れに気づかないまま悪化し、足潰瘍や壊疽につながることがあります。糖尿病情報センターは「大切な足を守るためには、血糖値を良好にコントロールするとともに、ご自身の日々のお手入れ(フットケア)がカギになります」と述べています[2]。

ケアの項目 具体的な方法
毎日の観察 「毎日足の隅々まで見て触って、よく観察しましょう」。足の裏など見えにくい部分は鏡を使うか、家族に協力してもらう[2]
洗い方 「石けんをよく泡立てて、柔らかいタオルやスポンジで優しく洗いましょう」[2]
拭き方 「洗った後は水気をよく拭きとりましょう。皮膚を傷つけないよう、こすらずに押さえるようにして拭き取りましょう」(指の間まで)[2]
爪の手入れ 「深爪に注意しましょう」「爪の角は、深く切り落とさないようにしましょう」[2]
靴選び 「つま先に1センチ程度の余裕があり、足の形に合った靴を選びましょう」。クッション性・安定性のある靴を選ぶ[2]
靴下選び 「吸湿性の良い綿素材の靴下を選びましょう」。「重ね履きは血行を妨げてしまうことがあるので避けましょう」[2]
やけど予防 「湯たんぽや電気あんかなどの低温やけどに注意しましょう」。夏の砂浜やプールサイドの高温にも注意[2]

出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「フットケア」[2]

フットケアで最も大切なのは「毎日、自分の目で足を見る」という習慣そのものです。神経障害があると痛みを感じにくいため、靴擦れや水ぶくれ、小さな傷ができても本人が気づかないまま悪化するケースが少なくありません。裸足で歩かない、素足でスリッパを履く前に中に異物がないか確認する、爪切りは深爪せず角を丸くしすぎない、といった基本を毎日続けることが、足潰瘍・壊疽という重い合併症を防ぐ最も確実な方法です。傷・水ぶくれ・色の変化・しびれの悪化に気づいたら、自己判断で様子を見ず、早めに主治医またはフットケア外来(看護師が個別に相談に乗る外来)に相談してください。

③シックデイ(体調不良時)のルール — 発熱・嘔吐・食欲不振のときの対応

すぐに医療機関へ連絡すべきサイン

  • 「嘔吐・下痢がとまらない、38度以上の高熱が続くとき」[1]
  • 「食事が24時間にわたって、全くとれない、または極端に少ないとき」[1]
  • 「血糖値が350mg/dL以上が続くとき」[1]
  • 「意識の状態に変化があるとき」[1]

糖尿病の治療中に風邪・インフルエンザ・胃腸炎などで発熱・嘔吐・下痢が起こり、食事がふだんどおり摂れなくなった状態を「シックデイ」と呼びます。糖尿病情報センターは、シックデイの基本対応として次の5点を挙げています[1]。

対応 具体的な内容
①安静・保温 「安静と保温につとめましょう」[1]
②水分・炭水化物の補給 「スープなどで十分に水分を摂り、お粥やうどんなどで炭水化物をとりましょう」[1]
③インスリンの扱い 「インスリン製剤を使っている方は、決して自己判断でインスリンを中断しないようにします」。食事が摂れない場合は5〜8割程度に減量することもあるが、自己判断ではなく事前に主治医と決めた方法に従う[1]
④飲み薬の扱い 「飲み薬を使用している方は、薬の量の調整が必要な場合があります」。目安として食事量が普段の半分以下であれば減量・中止を検討することもある[1]
⑤血糖自己測定 「可能ならこまめに血糖自己測定をして、血糖値と病気の状態を確認しましょう」[1]

出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「シックデイ」[1]

シックデイ対応でもっとも誤解が多いのが「食欲がないから薬もインスリンもやめてしまう」という自己判断です。実際には、体調不良時はストレスホルモンの影響でむしろ血糖値が上がりやすく、インスリンを自己判断で中断すると急激な高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスにつながる危険があります[1]。飲み薬・インスリンをどう調整するかは病状や薬の種類によって異なるため、「体調が悪くなったらどうするか」を元気なうちに主治医とあらかじめ話し合っておく(シックデイルールを個別に決めておく)ことが、シックデイ対応の一番の備えになります。

④運動療法 — 週150分の有酸素運動と1日1万歩の目安

運動は、体を動かすことでブドウ糖を消費し、筋肉量を増やすことで糖の取り込みを助け、インスリンが効きやすい体をつくる効果があります。糖尿病情報センターおよびe-ヘルスネット(厚生労働省・健康日本21アクション支援システム)は、有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)を組み合わせることを勧めています[5][6]。

運動の種類 頻度・時間の目安 備考
有酸素運動(ウォーキング等) 1回15〜30分、1日2回。日常の歩行と合わせて1日約1万歩が目安 糖尿病情報センターより[5]
有酸素運動(全体の頻度) 少なくとも週3日、できれば毎日。1回20〜60分、週150分以上 糖尿病情報センター・e-ヘルスネットとも同水準[5][6]
レジスタンス運動(筋トレ) 連続しない日程で週2〜3回、1セット10回程度 足・腰・背中など大きな筋肉を中心に[5][6]
運動強度の目安(脈拍) (220-年齢)×0.5=運動時の目安脈拍数(回/分) 糖尿病情報センターの計算式[5]
運動を避けるべき血糖値 空腹時血糖250mg/dL以上、または尿ケトン体陽性 e-ヘルスネットより[6]

出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病の運動のはなし」[5]/e-ヘルスネット(厚生労働省)「糖尿病を改善するための運動」[6]

e-ヘルスネットは、運動を食後1時間後に行うと食後の高血糖状態が改善されるとし、運動の前後には5分間程度の準備運動・整理運動を行うことを勧めています[6]。また、感染症・脱水・ケトーシスの状態、進行した網膜症、腎臓病、足の潰瘍・壊疽、重度の心臓病・肺の病気、骨関節疾患がある場合は、運動の可否・種類について主治医の判断が必要になります[6]。ひざや腰に痛みがある場合は、水中運動や座ったままできる運動など、関節への負担が少ない種目を選ぶとよいでしょう。運動療法を新しく始めるとき、または運動の内容を大きく変えるときは、自己判断ではなく事前に主治医に相談することが安全な実践の第一歩です。

⑤食事療法 — 塩分・お酒・間食の具体的な目安

食事療法は、必要なエネルギー量を過不足なく摂りながら、栄養バランスを整えることが基本です。糖尿病情報センターは、食事療法の実践編として、塩分・アルコール・間食について次のような具体的な数値を示しています[4]。

項目 目安 備考
塩分摂取量(一般) 男性1日7.5g未満、女性1日6.5g未満 糖尿病情報センターより[4]
塩分摂取量(高血圧がある場合) 1日6g未満 合併症を伴う場合はさらに制限[4]
塩分摂取量(腎症を伴う場合) 1日6g未満〜3g以上が目安 過度な制限も避ける[4]
アルコール摂取量 1日アルコールとして25g程度まで(日本酒1合、ビール中瓶1本500ml程度) 肝疾患等がなく、主治医の許可がある場合[4]
間食の目安 80kcal前後など、量と時間を決めて摂る 血糖値への影響を見ながら調整[4]
たんぱく質(顕性アルブミン尿がある場合) 目標体重あたり0.8〜1.0g/kg 腎症の進行度により制限が必要になることがある[4]

出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病の食事のはなし(実践編)」[4]

糖尿病情報センターが示す高齢者の食事療法の考え方も参考になります。同センターは、高齢者では「サルコペニア・フレイルの予防のためには、重度な腎障害がなければ十分なタンパク質を摂ることが推奨」されるとしており[7]、年齢や合併症の有無によって「制限すべきこと」と「むしろしっかり摂るべきこと」が変わる点に注意が必要です。塩分・アルコール・たんぱく質の具体的な目標値は、腎機能・血圧・体重・年齢によって個人差があり一人ひとり異なるとされているため、上記の数値はあくまで一般的な目安として捉え、自分自身の目標値は必ず主治医・管理栄養士と一緀に決めてください。

⑥定期受診の目安 — 眼科・内科・歯科をどのくらいの頻度で回るか

糖尿病のセルフケアは自宅での取り組みだけでは完結しません。合併症は自覚症状が出る前から進行するため、症状がなくても定期的に医療機関で検査を受けることが欠かせません。糖尿病情報センターは、網膜症について「糖尿病の患者さんは、目の見え方などが正常と思っても、1年に1回は眼科受診をするようにしましょう」と述べています[10]。

受診先 目安の頻度 チェックする内容
眼科 少なくとも年1回。網膜症が進行している場合はより頻回 糖尿病網膜症の有無・進行度[10]
内科(糖尿病専門医・かかりつけ医) 治療内容により月1回前後が一般的 HbA1c・血糖値・血圧・体重・薬の効果と副作用
歯科 定期的な歯周病チェック 糖尿病は歯周病を悪化させ、歯周病は血糖コントロールを悪化させる相互関係がある

HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標)の目標値については、日本糖尿病学会が2013年に発表した「熊本宣言2013」で、合併症予防のための目標をHbA1c 7.0%未満とし、これに対応する血糖値の目安として空腹時血糖値130mg/dL未満・食後2時間血糖値180mg/dL未満を挙げています[9]。同宣言では目標値を3段階に整理しており、食事療法・運動療法のみ、または低血糖などの副作用なく達成できる場合は6.0%未満、治療の強化が難しい場合は8.0%未満を目標とすることが示されています[9]。一方、高齢者では低血糖のリスクが高まるため、糖尿病情報センターは年齢・認知機能・身体機能・併存疾患などに応じて個別に目標を設定するとし、目安として7.0%未満を基本としつつ、薬物療法なしで達成できる場合は6.0%未満、治療強化が難しい場合は8.0%未満とする考え方を紹介しています[7]。

日本(糖尿病学会)とアメリカ(ADA)のガイドライン比較

糖尿病のセルフケアに関する考え方は、日本と海外でおおむね共通していますが、シックデイ対応の「事前準備」の考え方には違いが見られます。

項目 日本(日本糖尿病学会・糖尿病情報センター) 米国(ADA:米国糖尿病協会 2026)
合併症予防のHbA1c目標 7.0%未満(熊本宣言2013)[9] 個別化した目標を推奨し、多くの成人で7%未満を目安とする[12]
シックデイの基本対応 安静・保温/水分と炭水化物の補給/インスリン継続/薬の調整/こまめな血糖測定の5点を提示[1] あらかじめ主治医と「シックデイ・アクションプラン」を作成し、ケトン体の測定方法や市販薬の可否まで事前に決めておくことを重視[11]
シックデイの備え 体調不良時にどう対応するかの一般的な指針が中心[1] 「シックデイキット」として、血糖測定用品・予備電池・7日分の薬(月ごとに入れ替え)を事前に用意しておくことを具体的に推奨[11]

この比較から分かる最大の違いは、米国ADAが「体調不良になってから何をするか」に加えて「体調不良になる前に何を準備しておくか」を具体的な物品リストとして示している点です[11]。日本の資料はシックデイ時の対応(安静・水分補給・薬の調整・測定)を中心に説明しており[1]、事前の「シックデイキット」づくりまで踏み込んだ一般向け資料は多くありません。体調を崩してから薬や測定用品を探すのではなく、元気なうちに数日分の薬・測定用品をまとめておく習慣は、日本の患者にとっても取り入れる価値のある考え方です。

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セルフケアを怠るとどうなるか — 合併症の実例から学ぶ

糖尿病情報センターは、実際に合併症が進行した患者の事例を紹介しています。数値だけでは実感しにくいセルフケアの重要性を、具体的な経過から確認しておきましょう[14]。

事例 経過 教訓
糖尿病腎症・透析導入(70代男性) 約20年の糖尿病経過の後、足のむくみや息苦しさが出現し、透析導入となった 「血糖や血圧の管理が重要」であり、「たんぱく制限食」の実施が腎症進行を遅らせる[14]
心筋梗塞(60代男性) 突然の胸痛で救急搬送され、冠動脈ステント治療を受けた 予防には「血糖値・血圧・脂質の管理、禁煙が必要」[14]
脳梗塞(80代女性) 右手の麻痺と言語障害で発症した 複数の危険因子が重なると起こりやすく、「血糖値・血圧・脂質の管理、禁煙」が予防に有効[14]
足病変・下肢切断 神経障害により傷に気付かず悪化することが多い 「毎日きれいに洗ってよく観察」し、「異常に気が付いたらすぐ受診」することが強調されている[14]

出典:糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病の合併症のエピソード」[14]

これらの事例に共通しているのは、いずれも「症状が出たときにはすでに進行していた」という点です。腎症は足のむくみが出る段階で、心筋梗塞・脳梗塞は発作そのものが最初の自覚症状になることが少なくありません。足病変だけは唯一、毎日の観察という自分の目でのセルフケアによって早期発見が可能な合併症です。逆に言えば、①〜⑥のセルフケアを続けることは、「症状が出る前」の段階で医療者と一緒に進行を止めるための、ほぼ唯一の手段だということになります。

セルフケアが続かないときのつまずきポイント

糖尿病のセルフケアは一度覚えれば終わりではなく、何年も、多くの場合は一生続けていくものです。糖尿病情報センターも、糖尿病治療と「うまくつきあっていく」ための工夫の必要性を説明しています[13]。実際につまずきやすいポイントと、対応の考え方を整理します。

  • 「痛くないから大丈夫」と受診を中断してしまう:糖尿病の合併症は自覚症状が出る前から進行することが多いため、体調が良いと感じる時期こそ定期受診を続ける意味があります。
  • シックデイのたびに自己判断で薬をやめてしまう:体調不良時の対応があいまいなままだと不安が大きくなります。元気なうちに主治医とシックデイ時の具体的なルールを決めておくと、迷わず行動できます[1]。
  • 足のケアを「面倒」と感じて省いてしまう:毎日の観察を歯磨きや入浴のタイミングに組み込むなど、既存の生活習慣とセットにすると続けやすくなります[2]。
  • 運動・食事の目標が高すぎて挫折する:週150分・1万歩といった目安はあくまで到達目標であり、まずは「今より少し増やす」ことから始めても構いません[5]。

🖨️ 受診時に持参するメモ(コピーして使えます)
・体調不良(シックデイ)が起きた日付と症状(発熱・嘔吐・下痢の有無)
・その間の血糖自己測定の数値(測定している場合)
・服薬・インスリンをどう調整したか(自己判断で中断していないか)
・足に傷・水ぶくれ・色の変化がないか
・直近の眼科受診はいつだったか
・運動を新しく始めたい、または今の運動量に不安がある
・主治医に確認したいこと(自分の目標HbA1c・食事の塩分量・SMBGの頻度など)

血糖自己測定の消耗品を公的医療保険でひと月に何個まで受け取れるかについては、医療機関ごとの取り扱いにより差があり、今回参照した資料には全国一律の具体的な個数は記載が見当たりませんでした。詳しくは通院先の医療機関にご確認ください。また、シックデイ時の内服薬・インスリンの具体的な減量幅は、薬の種類や個人の病状によって大きく異なる傾向があり、本記事の数値はあくまで一般的な目安であり、必ず主治医とあらかじめ決めた個別のルールに従ってください。

更新日:2026年7月18日。本記事の内容は、公開時点で公的機関・学会が公表している資料をもとに作成しています。誤りや古い情報にお気づきの際は、お問い合わせフォームよりお知らせください。事実を確認のうえ訂正します。

よくある質問

血糖自己測定(SMBG)は毎日何回測ればいいですか?
全員に共通する回数の決まりはありません。糖尿病情報センターも「測定の回数やタイミングなどは、主治医と良く相談して決めましょう」としています[3]。使用している薬の種類(インスリンかどうか)や生活リズムによって適切な回数は変わります。
フットケアで足を洗うとき、お湯の温度はどのくらいがよいですか?
今回参照した糖尿病情報センターの資料には具体的な湯温の数値記載は見当たりませんでした。神経障害があると熱さを感じにくく低温やけどのリスクがあるため、熱すぎるお湯は避け、家族に温度を確認してもらうなど客観的な確認方法を併用すると安心です[2]。
シックデイのとき、インスリンをやめてもいいですか?
自己判断でのインスリン中断は避けてください。糖尿病情報センターは「インスリン製剤を使っている方は、決して自己判断でインスリンを中断しないようにします」と明記しています[1]。食事が摂れない場合の減量幅は病状によって異なるため、あらかじめ主治医と決めたルールに従ってください。
血糖値が350mg/dL以上のとき、家でどう対応すればいいですか?
糖尿病情報センターは、血糖値が350mg/dL以上の状態が続くときは医療機関へ連絡すべきサインの一つとして挙げています[1]。水分を十分にとりながら、自己判断で様子を見続けず、早めに主治医または夜間・休日の相談窓口に連絡してください。
運動はどのくらいの強度で行えばよいですか?
厚生労働省のe-ヘルスネットは、中等度の強度の有酸素運動を目安とし、脈拍数の目安として(220-年齢)×0.5という計算式を紹介しています[5]。ただし空腹時血糖250mg/dL以上や尿ケトン体陽性のときは運動を控える必要があるとされています[6]。持病(心臓病・腎臓病・網膜症など)がある場合は、運動を始める前に主治医に相談してください。
お酒は絶対に飲んではいけませんか?
絶対禁止ではありませんが、量に目安があります。糖尿病情報センターは「1日アルコールとして25g程度まで(日本酒1合、ビール中瓶1本500ml程度)」を目安として示しています[4]。肝疾患や高中性脂肪血症などがある場合は主治医の判断が優先されます。
眼科に異常を感じないのに、毎年通う必要はありますか?
必要です。糖尿病網膜症は視力低下などの自覚症状が出るころにはかなり進行していることが多いため、糖尿病情報センターは自覚症状がなくても「1年に1回は眼科受診をするようにしましょう」と勧めています[10]。
HbA1cはどのくらいを目指せばいいですか?
日本糖尿病学会の熊本宣言2013では、合併症予防のための目標をHbA1c 7.0%未満としつつ、達成のしやすさに応じて6.0%未満・8.0%未満という段階も示されています[9]。高齢の方や低血糖のリスクが高い方は、個別に目標を緩めることもあるため、自分の目標値は主治医に確認してください[7]。
高齢の家族が糖尿病です。運動や食事で特に注意することはありますか?
糖尿病情報センターによると、高齢者では低血糖の症状(発汗・動悸・手のふるえなど)が出にくくなり、重症化しやすい傾向があります[7]。運動は「急激な運動は避け、医師に許可された範囲内で、軽い運動から始めて無理をせず安全に行う」ことが勧められ、食事はサルコペニア・フレイル予防のため、重度な腎障害がなければたんぱく質を十分に摂ることが推奨されています[7]。個人差があり、実際の運動量・たんぱく質量は主治医・管理栄養士と相談のうえ決めることが望まれます。
足に傷ができました。すぐ病院に行くべきですか?
神経障害があると小さな傷でも気づかないうちに悪化することがあります。糖尿病情報センターが紹介する足病変の事例でも、傷に気付かず悪化するケースが強調されており、「異常に気が付いたらすぐ受診」することが勧められています[14]。自己判断で様子を見続けず、早めに主治医やフットケア外来に相談してください。
糖尿病のセルフケアが何年も続けられるか不安です
セルフケアは完璧を目指す必要はありません。糖尿病情報センターも、治療と長く付き合っていくための工夫の必要性を説明しています[13]。運動や食事の目安(週150分の運動、塩分の目標量など)は到達目標であり、まずは今の生活から少しずつ近づけていく形で問題ありません[5]。

参考文献

  1. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「シックデイ」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/060/06.html
  2. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「フットケア」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/070/11.html
  3. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「血糖自己測定について」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/100/040/04.html
  4. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病の食事のはなし(実践編)」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/030/02-2.html
  5. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病の運動のはなし」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/040/03.html
  6. e-ヘルスネット(厚生労働省・健康日本21アクション支援システム)「糖尿病を改善するための運動」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-005.html
  7. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「高齢者と糖尿病」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/080/070/01.html
  8. 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」(2024年) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
  9. 一般社団法人日本糖尿病学会「熊本宣言2013 ―あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%―」 https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=42
  10. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「網膜症」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/060/050/01.html
  11. American Diabetes Association「Sick Day Guide for People with Diabetes」(2025年) https://diabetes.org/sites/default/files/2025-09/SickDayGuide_Final.pdf
  12. American Diabetes Association「A1C」 https://diabetes.org/about-diabetes/a1c
  13. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病治療とうまくつきあっていくために」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/080/110/01.html
  14. 糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病の合併症のエピソード」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/080/110/03.html
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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